JP2015520094A - 合成石英ガラス粒体の製造法 - Google Patents

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Abstract

石英ガラス粒体の製造は、熱分解法により製造したケイ酸を造粒する工程、SiO2顆粒(9)を形成する工程、前記SiO2顆粒(9)をハロゲン含有雰囲気中で乾燥及び精製する工程、及び前記SiO2顆粒を、少なくとも30体積%のヘリウム及び/又は水素を含有する処理ガス下でガラス化する工程を包含する。多孔質のSiO2顆粒(9)から出発して、石英ガラスより成る気泡不含の部品を溶融させるのに適している緻密な合成石英ガラス粒体の低コストの製造を可能にする方法を示すために、本発明により、前記SiO2顆粒(9)の精製及びガラス化並びに前記ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を、中心軸(7)の周りを回転する回転管炉(1)の回転管(6)の中でそのつど行い、ここで、前記回転管(6)が前記ガラス化においてセラミック材料製の内壁を有し、かつ、ここで、前記ガラス化された石英ガラス粒体(15)を、20%未満のヘリウム又は水素を含有する雰囲気中での後処理に、300℃以上の処理温度にて少なくとも10分の処理時間にわたって供することが提案される。

Description

本発明は、以下の工程段階:
(a)熱分解法により製造したケイ酸を造粒して多孔質の顆粒粒子より成るSiO2顆粒を形成する工程、
(b)SiO2顆粒を乾燥する工程、
(c)SiO2顆粒をハロゲン含有雰囲気中で加熱することによって精製する工程、
(d)精製されたSiO2顆粒を、少なくとも30体積%のヘリウム及び/又は水素を含有する処理ガス下でガラス化してガラス化された石英ガラス粒体(Quarzglaskoernung)を形成する工程
を包含する、易流動性のSiO2顆粒をガラス化することによって合成石英ガラス粒体を製造する方法に関する。
緻密な石英ガラス粒体は、石英ガラス部品、例えば坩堝、管、ホルダー、クラウン、半導体作製又はランプ作製用の反応器を製造するために及び化学プロセス工学において用いられることができる。このような製造プロセスの場合、純度及び化学安定性の他に、高い温度安定性が頻繁に重要な役割を果たす。純粋な石英ガラスの下方軟化点として、文献には1150℃の温度値が記載されている。しかしながら、必要とされるプロセス温度はそれより高いことが多く、そのため石英ガラス部品の塑性変形が起こる可能性がある。
先行技術
基本的に、多孔質のSiO2顆粒を可能な限り気泡無しに圧縮するという課題が生まれる。多孔質の顆粒粒子はSiO2粒子の凝集物であり、例えば、重合、重縮合、沈殿又はCVD堆積法による合成石英ガラスの製造において得られる。それらの低い嵩密度ゆえに、このようなSiO2粒子は直接溶融してしまうという問題があり、そのため一般的にSiO2粒子はまず初めに造粒によって予め圧縮される。例として、ロール造粒、スプレー造粒、遠心噴霧、流動層造粒、造粒ミルを用いた造粒法、圧密化、ロールプレス、ブリケッティング、ヘゲ製造(Schuelpenherstellung)又は押出が挙げられる。
その際に発生する離散した、機械的にかつ場合により早い時点で熱的に予め圧縮された粒子は、それゆえ多数の一次粒子から成っており、この場合“SiO2顆粒粒子”と呼ばれる。全体としては、それらは多孔質の“SiO2顆粒”を形成している。
“SiO2顆粒”を溶融して石英ガラスを形成する際には、ガスで満たされ閉じられた空隙が形成する恐れがあり、これらは高粘性の石英ガラス材料から除去されることができないか又は非常にゆっくりとしか除去されることができず、そのため石英ガラス中に気泡をもたらし得る。したがって、一般に高い要求が課せられる適用においては、多孔質の顆粒粒子からガラス化された緻密な石英ガラス粒子を作り出す必要がある。先行技術には、この目標を達成するために多数の異なる技術がある。
例えば、EP1076043A2では、多孔質のSiO2顆粒をバーナー火炎の中に吹きかけて、その中に細かく分散させて2000〜2500℃の温度でガラス化することが提案されている。顆粒は、好ましくはフィルターダストの噴霧造粒又は湿式造粒によって得られ、これは5〜300μmの範囲の粒度を有する。ガラス化の前にマイクロ波線を用いた処理によって加熱し、かつ予め圧縮していてもよい。
注ぎ入れられた顆粒粒子の焼結度は、その粒径及び入熱に依存し、入熱はまたバーナー火炎中での滞留時間及び火炎温度によって決められる。しかしながら、一般に顆粒はある一定の粒径分布を有し、そして燃焼ガス火炎は、異なる流速及び火炎温度の範囲を有する。これは不均一かつ殆ど再現可能でない焼結度をもたらす。そのうえ、石英ガラス粒子が燃焼ガスによって汚染される恐れがある。これと関連して、とりわけ水素含有燃焼ガスが用いられるとヒドロキシル基が取り込まれることが挙げられ、これに付随して現れるのが石英ガラスの比較的低い粘度である。
EP1088789A2では、多孔質のSiO2顆粒のガラス化のために、合成的に作り出された顆粒をまず回転管炉内でHCl含有雰囲気において加熱することによって精製し、引き続き流動床においてか焼し、それから垂直式の流動床装置中で又は坩堝内で真空又はヘリウム又は水素下にガラス化を行って合成石英ガラス粒体を得ることが提案されている。
これは不連続的なガラス化法であり、炉の大きな熱慣性及びその結果長い処理期間と、それに応じて時間及びコストとがひどく費やされ、処理量は僅かでありかつ結局のところ得られる顆粒は比較的高価なものである。
JP10287416Aに従った類似の方法の場合、10〜1,000μmの範囲の直径を有する粒子状のSiO2ゲルが連続的に回転管路内で圧縮される。これは2mの長さ及び200mmの内径を有する石英ガラス製の回転管を包含する。この回転管はヒーターにより外側から加熱され、かつ50℃〜1,100℃の温度範囲にわたる複数の温度ゾーンに分けられている。100μmから500μmの間の粒径を有する粒子状のSiO2ゲルから、8rpmで回転する回転管内で、酸素含有ガスの供給によって有機成分が除去され、かつSiO2粉末へと焼結される。焼結に際しての炉の雰囲気は、酸素及び任意にアルゴン、窒素又はヘリウムを含有する。
その後に得られたSiO2粉末は、しかしながら、なおシラノール基を1,000質量ppm以上の高い濃度で含有する。これらのシラノール基を取り除くために、SiO2粉末は最終的に1,300℃のより高い温度にて、550mmの内径を有する石英ガラス坩堝内で130kgのバッチにおいてか焼され、かつ緻密に焼結される。
顆粒粒子をガラス化するために高い温度が用いられる場合、石英ガラス製の回転炉の熱安定性により、その使用が制限される。しかしながら、石英ガラス坩堝内でのガラス化においては、焼結する顆粒粒子はケーキングを起こす可能性があり、これは定義不能の多孔性の石英ガラス材料を生む。
WO88/03914A1は、アモルファスの多孔質SiO2粉末のBET表面積を、回転管炉を用いてヘリウム及び/又は水素を含有する雰囲気中で減少させることを教示している。第一の方法様式においては、微細なSiO2煤塵(Sootstaub)が回転管炉内に入れられ、空気中で1200℃に加熱され、かつこの温度で1時間保持される。この処理の結果、0.1〜5mmの粒度及び1m2/g未満のBET表面積を有する易流動性、球面形の顆粒が得られることになる。しかしながら、煤塵は易流動性ではなく、極端に焼結活性であり、それは気泡を生んでしまい易い。それゆえ、回転管炉内での煤塵の加工は非常に問題を孕んでいる。この方法様式の1つの変形例においては、SiO2煤塵を水と混合することで、湿った砕けやすい材料を得ることが提案されている。この材料は回転管炉内に加えられ、そして600℃の温度で0.1〜3mmの粒度を有する粉末へと圧縮される。このようにして予め圧縮されたSiO2粉末は、引き続き別個の炉内でガラス化される。
DE102004038602B3からは、ランプ作製及び半導体作製において用いるための電気溶融された合成石英ガラスの製造法が知られている。電気溶融石英ガラスの原料として、熱により圧縮されたSiO2顆粒が用いられる。顆粒は、アモルファス、ナノスケールのSiCl4火炎加水分解によって作り出された熱分解法SiO2粒子の水性懸濁液の造粒によって形成される。
粘度を高めるために、懸濁液に、熱分解法により製造されたAl23のナノ粒子又は可溶性アルミニウム塩を加えることで、SiO2顆粒にAl23がドープされる。
丸みのある160μmから1000μmの間の範囲の外径を有する顆粒の粒子が得られる。顆粒は、約400℃にて回転管炉内で乾燥され、そして約1420℃の温度にて約3m2/gのBET表面積まで圧縮される。
ガラス化を完全なものにするために、顆粒の個々の粒質物は、引き続き様々な雰囲気下で、例えばヘリウム、水素又は真空下で完全にガラス化される。顆粒のガラス化における加熱プロファイルは、5℃/分の加熱速度による1400℃への加熱と120分の持続時間とをそのつど包含する。この処理後に、個々の顆粒粒質物はそれ自体ガラス化されている。粒質物は、溶融して塊とはならずに単独で存在している。
顆粒は、電気溶融処理において石英ガラスへとさらに加工され、例えば坩堝内で溶融されて成形体が得られるか又は坩堝引き上げ法において連続的に引き上げられてストランドが得られる。
ここでもガラス化は別個の炉内で行われており、そのため、費用の掛かる複数の加熱プロセスを伴う不連続的な方法が問題となる。
US4,225,443Aは、ろ過目的のガラス粒子を製造するための回転管炉の使用を記載している。100μmの粒径を有する微細に粉砕されたガラス粉末が水及びバインダーと混合され、そして300μm〜4.5mmの粒径を有する顆粒粒子へと加工される。これらの粒子は、ムライト製の回転管を有する回転管炉内で焼結されて500〜4000μmの大きさを有する実質的に球面形のペレットが得られる。
技術課題設定
本発明の課題は、多孔質のSiO2顆粒から出発して、石英ガラスより成る気泡不含の石英ガラス部品を溶融させるに適している緻密な合成石英ガラス粒体の低コストの製造を可能にする方法を示すことである。
本発明の一般的な記載
この課題は、冒頭に挙げた種類の方法から出発して、本発明により、SiO2顆粒の精製及びガラス化を、中心軸の周りを回転する回転管炉の回転管の中でそのつど行い、ここで、セラミック材料製の内壁を有する回転管の中で行われる工程段階(d)に従ったガラス化には、ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を下流に設けており、そこではガラス化された石英ガラス粒体を、20%未満のヘリウム又は水素を含有する雰囲気下で300℃以上の処理温度にて少なくとも10分の処理時間の間ずっとアニールする方法によって解決される。
SiO2顆粒は、熱分解法により製造されたケイ酸−以下で“SiO2煤塵”とも呼ぶ−を、慣用の造粒法を用いて予め圧縮することにより得る。造粒は、先行技術から公知のように、回転管を使用して行ってよい。しかしながら重要なのは、少なくとも顆粒の製造に続く熱的な処理工程、すなわち精製及びガラス化を、それぞれ1つの回転管炉において高い温度で行うことである。これによって、実質的に連続的な製造プロセスが達成され、そして炉系の交換を行わずに済む。これは、連続する処理工程における時間的及び空間的な調整を容易にし、かつ顆粒の通過時間の短縮に寄与する。
回転管炉は、そのつどの処理工程の特別な要件に合わせられている。ここで、回転管炉は、複数の互いに分離された処理スペースに分けられていてよい。特に、早くも実質的に顆粒が乾燥している場合、仕上げの乾燥及び精製は、1つの精製炉内で1つの工程段階において行ってよい。しかし理想的には、各処理工程の乾燥、精製及びガラス化のために固有の回転管炉が備えられている。これによって、処理時間、処理温度及び処理雰囲気をそれぞれ互いに無関係にそれぞれのプロセスに最適化することができ、これにより、品質的により良好な最終製品がもたらされる。これによって、例えば乾燥から精製及び精製からガラス化への移行に際して、そのつど前のプロセスの余熱を利用することができるようになる。
処理は、中心軸の周りを回転する加熱された回転管を有する回転管炉の中でそのつど行われる。これは、顆粒の移送をその流入側から流出側に引き起こすために、炉の長手方向において僅かに傾斜している。
ここで、高い温度と、それと結び付いた材料負荷ゆえに、回転管炉内でのガラス化に際しては特別な要件が課されるが、以下ではこれについて詳細に説明する。
回転管の長さ全体を通して見ると、ガラス化において、1つの温度極大値を伴う温度プロファイルが生まれ、これは石英ガラスの軟化点より高く、つまり1150℃を上回る。回転管が変形することなくこれを可能にするために、回転管の内壁又は少なくとも回転管の最も負荷の高い部分は、非ドープの石英ガラスより高い軟化点を有する耐熱特性のあるセラミックから成る。
回転管は一体品であるか又は複数の部品から成り、ここで、回転管の内壁は、少なくとも最大温度負荷に曝されている部分長にわたって、耐熱特性のあるセラミックから成る。内壁は回転管の一体化している構成要素であるか又は例えば回転管の内装部材として仕上げられている。
顆粒粒子は、回転管内でガラス化のために十分な温度に加熱される。それによりガラス化後に得られた石英ガラス粒子は、1cm2/g未満の比表面積(DIN ISO 9277に従って算出−2003年5月;“BET法に従ったガス吸着による固体の比表面積の測定”)を有する。表面は緻密であり、ここで、粒子は透明であるか又は部分的に不透明であってよい。
多孔質のSiO2顆粒より成る装入材料(Schuettung)の回転管内でのガラス化が総じて上手くいくように、更なる前提条件は、ヘリウム及び/又は水素を含有する雰囲気である。十分にヘリウム及び/又は水素を含有する雰囲気のみが、気泡不含の若しくはとりわけ気泡の少ない多孔質の顆粒粒子の溶融を、回転管炉のガラス化の条件下で可能であるような低い温度及び/又は短いガラス化時間で可能にする。場合により閉じ込められたガスは、大部分(例えば少なくとも90体積%)がヘリウムから成る。ガラス化された石英ガラス粒体の更なる加工に際して同様に容易に拡散し得る水素の割合、並びに更に別のガスの少ない割合は、多くの適用にとって無害である。
それゆえ本発明によれば、回転管をガラス化に際して処理ガスで充溢させるか又は回転管をこの処理ガスを用いて連続的に若しくは時にフラッシングすることが予定されており、ここで、処理ガスは、少なくとも30体積%がヘリウム及び/又は水素から成り、かつ同時に可能な限り少ない−理想的には含まない−窒素を含有する。それというのも、窒素の存在においてガラス化された顆粒粒子は、比較的高い気泡含有量を有する傾向にあることが示されたからである。
回転管を横切る際、顆粒粒子は、装入材料の質量及び循環によって生み出される機械的な力に曝されている。ここで、場合によっては生じる可能性のあるガラス化された粒体の凝集物が再び解砕される。
回転管炉内でのガラス化は、1回の通過又は複数回の通過を包含する。複数回の通過の場合、温度は通過毎に高めてよい。複数回の通過の場合、石英ガラス粒体の気泡性はより僅かなものとなる。
ガラス化された石英ガラス粒体は、直ぐに石英ガラス部品の製造のために溶融させてよい。しかしながら、溶融技術次第では、また、石英ガラス部品の気泡不含に非常に高い要求が課せられる場合には、上で説明した回転管炉内でのガラス化処置は、結果生じる粒体が明らかに完全に透明に見えたとしても十分ではないことがわかった。
しかしながら、ガラス化プロセスに、ヘリウム及び水素が少ない雰囲気中でのガラス化された石英ガラス粒体の熱的な後処理が続く場合、それより溶融された石英ガラス部品の気泡性をはっきりと減少させることができる。この後処理は、雰囲気中のヘリウム及び水素の濃度が低ければ低いほど、並びに処理温度と処理時間とからの積が高ければ高いほど、それだけ一層効果的である。後処理された粒体の気泡低減作用が、20%未満のヘリウム又は水素を含有する処理雰囲気において、かつ300℃を上回る、好ましくは800℃を上回る処理温度において、並びに少なくとも10分、好ましくは少なくとも15分の処理時間において現れる。
ガラス化された石英ガラス粒体の後処理において、雰囲気は、理想的にはヘリウム及び水素を含んでおらず、20体積%未満のこれらのガスの僅かな割合は無害である。最も単純なケースにおいては、雰囲気は、本質的に窒素又はアルゴンから成り、一方でそれは酸素も含有してよい。
ガラス化におけるヘリウム及び/又は水素の使用によって、比較的低い温度と短い時間とで、多孔質の顆粒粒子の完全なガラス化に成功する。しかしながら、このようにしてガラス化された石英ガラス粒体は、製造に関係して、ヘリウム若しくは水素を含有する。後処理の気泡低減作用は、これらのガスの高い拡散速度に関わらず、回転管炉を用いた方法によって規定されたガラス化条件が−特に短い時間と低い温度ゆえに−冷却に際して高負荷の粒体からこれらのガスが十分に拡散することもさらに可能にするには十分でないことがもとになっている。このことは特に、比較的大きい石英ガラス粒子に当てはめられる。後処理を成し遂げるために最も重要なことは、ガラス化された粒体からのヘリウム及び水素の拡散を容易にするパラメーター、つまり、特に石英ガラス粒体を取り囲む雰囲気中での温度、時間及びこれらのガスの分圧である。
温度に関して、それ自体としては粒体のコア温度が最も重要であり、なぜなら、実質的に粒子体積からの上述のガスの拡散が問題になるからである。しかしながら、より簡単に調べることが可能であり、それゆえより再現可能に調整可能であるのは、石英ガラス粒体の表面温度である。
原則的に、高温処理工程の移行に際して表面温度の温度低下が少なければ少ないほど、それだけ一層コア温度はあまり低下しない。
それゆえ、有利な1つの方法様式の場合、ガラス化された石英ガラス粒体の表面温度は、ガラス化と後処理の工程段階の間で、そのつど200℃未満には低下しない、好ましくは800℃未満には低下しないことが予定されている。
それによってさらに、1つの工程段階から次の工程段階へ余熱をより上手く利用することができるようになる。連続する工程段階の間での温度低下を可能な限り低くするというこの要求は、好ましくは、精製とガラス化の工程段階の間でのSiO2顆粒の表面温度にも関係している。
回転管炉内でガラス化された石英ガラス粒体のヘリウム及び水素による負荷を完全に取り除くことは必ずしも必要ではない。困難な溶融条件下でも、すなわち、短い溶融時間及び大きい溶融材料の場合であっても、石英ガラス粒体を気泡不含で溶融させるためには、石英ガラス粒体1cm3当たりの水素及びヘリウム含有量が、標準条件下で2cm3未満のガス体積を占める程度であれば十分であることが判明した。
ヘリウム及び/又は水素下でのガラス化プロセスにより、これらのガスは石英ガラス粒体に大いに取り込まれる。ガス発生に際して、ヘリウム及び水素のガス体積は、標準条件下での(室温(25℃)及び大気圧にて)ガス体積の3倍までとなる。後処理は、この取り込まれたガスを少なくとも3分の1低下させ、そのため、後処理された石英ガラス粒体のガス発生の結果、合わせてガス体積の2倍未満のヘリウム及び水素のガス体積が生じる。
石英ガラス粒体の後処理は、別個の炉内で、例えば別個の回転管炉内で行ってよい。しかしながら、可能な限り生産性があり、かつ実質的に連続的な方法様式に鑑みて、SiO2顆粒のガラス化のために及び石英ガラス粒体の後処理のために、中心軸方向に見て、ガラス化ゾーン及び後処理ゾーンを包含するゾーンに分けられている1つの同じ回転管炉が用いられる。
回転管炉の個々のゾーンは、それらの温度、雰囲気及び長さの点で異なっており、長さが、より実質的に顆粒及びガラス化された粒体の処理時間を決める。
ゾーンは、回転管の化学組成の点でも異なっていてよい。例えば、後処理ゾーン内では、好ましくは石英ガラス製の回転管が備えられている。回転管が異なる材料より成る場合、これらは断続的に互いに隣接していてよく、しかし好ましくは、これらはそのつどの材料の異なる熱膨張係数のために生じる問題を回避するために、ある一定の遊びを伴って相互に差し込まれている。
回転管炉の異なるゾーン内での雰囲気を実質的に互いに無関係に調整できるようにするために、回転管炉の隣接したゾーンは流動的に互いにある程度切り離されており、かつこのために、好ましくはオリフィスを備えた分離板によって又はラビリンストラップによって仕切られている。
実質的に連続的な1つの方法様式によればまた、SiO2顆粒の乾燥のために及び精製のために1つの回転管炉のみが用いられ、ここで、これは中心軸方向に見て、乾燥ゾーン及び精製ゾーンを包含するゾーンに分けられている。
ゾーンへの区分けは、好ましくはまた、有利にはオリフィスを備えた分離板又はラビリンストラップによって行われる。乾燥ゾーン及び精製ゾーンの領域中では、回転管の内壁は、顆粒の汚染を回避するために、好ましくは石英ガラスから成る。
共通の回転管炉内で、例えば乾燥/精製又はガラス化/後処理といった複数のプロセス工程が続く場合、各ゾーンには固有の加熱装置が備わっていてよい。優れたエネルギー利用に鑑みて、精製及びガラス化のための回転管は、回転管を取り囲む抵抗加熱装置によってそのつど加熱され、かつ後処理のために用いられる回転管又は後処理のために用いられる回転管の領域は直接的には加熱されない。
本発明による方法は、顆粒粒子が、100μmから2000μmの間、好ましくは200μmから400μmの間の平均粒度を有する場合に、特に良好な結果をもたらす。
1000μmを上回る平均粒度を有する顆粒粒子は、ゆっくりとのみガラス化することができる。とりわけ細粒状の石英ガラス粒体は、回転管壁とケーキングを起こす傾向にある。
この作用を最小化するために、100μm未満の粒径を有するSiO2顆粒の微細分を、それが顆粒の全質量の10質量%未満となるように予め調整することが有効であると実証された。
工程段階(b)に従った顆粒の乾燥は、好ましくは、200℃から600℃の間の範囲の温度にて空気下で加熱することによって行われる。
この方法様式の場合、顆粒の乾燥のために別個の乾燥炉が備えられており、これは好ましくは回転管炉として形成されている。温度は一定であるか又は乾燥が進むと高められる。温度が200℃を下回ると、乾燥時間は長くなる。600℃を上回ると、閉じ込められたガスが突如漏れ出す可能性があり、これは顆粒の破壊につながり得る。
工程段階(c)に従った回転管内での精製は、塩素含有雰囲気下で900℃から1250℃の間の範囲の温度にて行われる。
塩素含有雰囲気は、特にSiO2顆粒からアルカリ金属不純物及び鉄不純物を低下させる。温度が900℃を下回ると、処理時間は長くなり、かつ温度が1250℃を上回ると、多孔質の顆粒が塩素又はガス状の塩素化合物を含めながら緻密焼結する恐れがある。
特に言及していない限り、以下の説明は、回転管炉内での顆粒のガラス化における好ましい態様に関する。
とりわけ高い密度及び僅かな気泡含有量に鑑みて、ガラス化に際しては、少なくとも50体積%、好ましくは少なくとも95体積%のヘリウム及び/又は水素を含有する処理ガスが有効であることが実証された。残分は、アルゴンといった不活性ガス又は窒素及び/又は酸素によって形成されていてよく、ここで、最後に挙げた2種のガスの体積割合は、好ましくは30%未満であり、つまり、雰囲気は、窒素及び酸素をあまり含まない。
顆粒粒子は、回転管内で、ガラス化を引き起こす温度に加熱される。有効であることが実証された温度範囲は1300℃〜1600℃である。
温度が1300℃を下回ると、完全なガラス化のために長い処理時間が必要となる。好ましくは、温度は少なくとも1450℃である。温度が1600℃を上回ると、回転管及び炉は、過度の熱負荷を被る。
回転管の回転による顆粒の機械的応力は、凝集物が形成するリスクを軽減する。しかしながら、約1400℃を上回る高い温度の場合、石英ガラスは部分的に軟化することになり、そうして複数の領域中で僅かな動きにより回転管壁に付着する可能性がある。
これを防止するために、1つの有利な方法様式の場合、顆粒粒子を振動させることが予定されている。
振動は、揺動、衝突又は超音波によって生み出されることができる。これは規則的に又はパルス状で時々行われる。
高いガラス化温度は、顆粒粒子に影響を及ぼすバーナーによってもたらされることができる。しかしながら有利なのは、回転管を取り囲む抵抗加熱装置によって加熱を行う方法様式である。
外側から回転管を通じての入熱に望まれていることは、上で説明した通り、高温安定性セラミックからの1つの態様である。この種類の加熱によって、顆粒粒子が機械的に(気泡の発生)又は化学的に(汚染によって)バーナーガスにより影響を及ぼされることが妨げられる。
回転管の内壁の材料として、有利には、同時に石英ガラスの粘度を高める物質、好ましくはAl23、ZrO2又はSi34が考慮に入れられる。
回転管の内壁の材料は、この場合、石英ガラスの粘度の上昇ひいては石英ガラス部品の熱安定性の改善に寄与するドーパントを含有する付加的な特性を有する。ドーパントを含有しないか又は十分な濃度では含有しない多孔質の顆粒粒子は、回転管内で連続的に加熱され、その際、循環させられる。ドーパントを含有する内壁との接触によって微細な摩耗が生じ、これにより顆粒粒子の所望のドープが行われるか又は寄与する。ドーパントは、石英ガラス中で通常は酸化物として存在する。したがって、本発明による方法のこの実施形態の中心思想は、多孔質のSiO2顆粒粒子の完全なガラス化を回転管炉内で高温にて実施することであり、これはガラス化における適切な雰囲気によって及び同時に摩耗によって石英ガラス粒体のドーパント源として用いられる回転管の高温安定性材料によって可能となる。この方法は、SiO2顆粒粒子の連続的なガラス化と、その際、粘度を高めるドーパントで同時に均質に負荷されることを可能にする。
これに従った適切なドーパントとして、特にAl23及び窒素(Si34の形で)が考慮に入れられる。これらのドーパントを十分に供給するために、回転管の内壁が、少なくとも最も多く負荷された領域中で、少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも99質量%が該当物質から成る場合に好ましい。
特にAl23は、高い温度安定性、良好な耐温度衝撃性及び腐食安定性によって際立っている。最も単純なケースにおいては、回転管の内壁全体はAl23から成る。他の場合には、最も高い温度負荷に曝されている回転管の部分がAl23から成る。
温度が高いと、顆粒粒子及びガラス化された石英ガラス粒子は、回転管の内壁の材料の摩耗によって汚染される可能性がある。僅かなアルカリ金属含有量でも、石英ガラスの失透傾向が少なからず強まる。それゆえ回転管の内壁の物質は、好ましくは0.5%未満のアルカリ金属含有量を有する。
Al23による石英ガラス粒子のドープにおいて、回転管の内壁が合成的に製造されたAl23から成る場合、汚染によるこのコンタミネーションは抑えられる。
合成的に製造された99質量%を上回る純度を有するAl23は、商品名“Alsint”として知られている。材料コストを最小限にするために、合成材料は、回転管の薄い内装部材の領域に限定されていてよい。Al23を含有する回転管を用いると、このように簡単に、石英ガラス粒体のAl23ドープ量を1〜20質量ppmの範囲で生み出すことができる。
その選択肢として、回転管の内壁はZrO2又はTiO2から成る。
これらの材料は、SiO2顆粒のガラス化に対して十分に高い融点によって際立っており(ZrO2:約2700℃;TiO2:約1855℃)、かつそれらは多くの適用にとって、例えば半導体作製にとって、僅かな濃度では不純物として無害である。
場合によっては用いられる金属フレームは別として、回転管は、最も単純なケースにおいては、完全にセラミックから成る。
顆粒粒子の可能な限り均一なガラス化及びドーパントによる可能な限り均質な負荷のために、ほぼ同じ粒径が好ましい。これに鑑みて、顆粒粒子が狭い粒度分布を有することが有効であると実証され、この場合、D90値に分類された粒径は、D10値に分類された粒径の最大2倍の大きさである。
狭い粒度分布は、比較僅かな嵩密度を示し、これによりガラス化に際しての凝集が抑えられる。そのうえ、理想的には、顆粒粒子の単峰性の粒度分布においては、場合によっては起こり得る装入材料内部の分離のパラメーターとしての粒子間の重量差がなくなり、これは装入材料のより均一なガラス化に有益である。
ガラス化された石英ガラス粒子は、不透明又は透明な石英ガラス製の部品、例えば遠心分離法において製造される不透明な石英ガラス製の管の製造のために用いられることができる。それらは、いわゆるベルヌーイ法における石英ガラスシリンダーを製造するための粒子状の原料としても用いられることができる。
しかしながら好ましくは、石英ガラス粒子は、石英ガラス坩堝を製造するために、特に坩堝の外層を製造するために用いられる。
石英ガラス粒子のドーパントの粘度上昇作用は、石英ガラス坩堝の可使時間を延ばすことに寄与する。
本発明による方法のガラス化工程及び後処理工程を実施するための回転管炉を側面図で示す図 回転管炉の長さ全体にわたった温度プロファイルを示す図
実施例
以下では、本発明を、実施例及び図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、ローラー2に載置された回転管炉1を示す。回転管炉1は、実質的にSiC製のフレーム5を有し、その中には150mmの内径及び1.8mの長さを有する合成的に製造されたAl23(商品名Alsint)製の回転管6が固定されている。回転管6は、中心軸7の周りを回転可能であり、かつ外装に備わった抵抗加熱装置8によって加熱可能である。
回転管炉1は、長手方向7において水平面に対してやや傾斜しており、その結果、多孔質のSiO2顆粒9より成る装入材料が回転管炉1の流入側3から取出側10に移送される。開口した流入側3は、回転式に据え付けられている流入ケーシング4によって閉じられている。流入ケーシング4には、多孔質のSiO2顆粒9を供給するための入口16と、ヘリウム及び他の処理ガスを供給するための更に別の入口(非図示)とが備え付けられている。
回転管6の開口した取出側10は、同様に回転式に据え付けられている取出ケーシング11によって閉じられている。取出ケーシング11には、ガラス化及び後処理された石英ガラス粒体15を取り出すための出口17が備わっており、出口17を介してガスも回転管炉1から流出することができる。ヘリウムに富んだガスを吸引するために、吸引ノズル18が備えられており、これは回転管炉1の上方領域に配置されている。さらに、取出ケーシング11には吸気ノズル19が備え付けられており、これによってヘリウムに富んだガス、特にアルゴンが回転管6の中に導かれる。
分離板12によって、室内は、予熱及びガラス化ゾーン13と後処理ゾーン14とに分けられている。分離板12は、それが顆粒粒子9若しくはガラス化された石英ガラス粒体15の装入材料に対して透過性であり、しかしながら、ガス室をそれ以外の点では実質的に切り離すように形作られている。このために、それは回転管6の内壁に固定されており、かつその外縁に、半径方向に対向する2つの同じ大きさの20a、20bを有している。この一つの開口部20aが、回転管6の回転の結果、顆粒9若しくは石英ガラス粒体15の装入材料の領域内に達したら、開口部20aはこれらを通過させ、かつ同時に装入材料により実質的に閉塞させられ、そうして、そこではほんの僅かのガスしか燃焼ゾーン13から後処理ゾーン内に抜けることができなくなる。同じタイミングで、対向する開口部20bは、回転管1内で最も上の位置に存在する。そこで、比較的軽いヘリウムガスが有利には流出し、かつ直接そこに位置決めされた吸引ノズル18によって吸引されて同時に吸気口19を介してアルゴンと交換される。
このようにして、予熱/ガラス化ゾーン13及び後処理ゾーン14のガス室の実質的な切り離しに成功する。さらにより効果的に切り離すために、ラビリンス状に互いにずらして配置された開口部を有する複数の連続して配置された分離板12が用いられるか、又は顆粒9のガラス化のために及びその後処理のために切り離された回転管炉が用いられる。後者の場合、なお少なくとも200℃の温度のガラス化された石英ガラス粒体が、後処理用の回転管炉内に直接運ばれる。
抵抗加熱装置8は、後処理ゾーン14の領域には伸びていない;これは−隣接したガラス化ゾーン13からの対流及び伝熱による入熱は除き−加熱されていない。
以下では、本発明による方法を実施例に基づいて詳細に説明する。
SiO 2 顆粒の製造、乾燥及び精製
例A
顆粒は、熱分解法ケイ酸(ナノスケールのSiO2粉末、SiO2煤煙)と完全脱塩水とより成る湿分60質量%のスラリーを強力ミキサー中で造粒することによって製造した。造粒後、残留湿分率は20%未満である。顆粒は3mm未満の粒度に篩分した。
回転炉内で(処理量:20kg/h)空気中400℃にて乾燥させることによって、残留湿分率を1%未満に下げた。引き続き、100μm未満の粒度を有する微細分を取り除いた。100〜750μmの分級物への篩分を行い、すなわち、100μm未満の粒度を有する微細分を除去した。粒度分布は、200μmのD10値と400μmのD90値とを特徴としている。
引き続き、精製及び更なる乾燥を、回転管炉内でHCl含有雰囲気において1040℃の最大温度にて行う(処理量:10kg/h)。ここで、比表面積(BET)は約50%低下する。
高い純度を有する非ドープの合成石英ガラスより成るSiO2顆粒を得た。これは、200μmのD10値、400μmのD90値及び300μmの平均粒径(D50値)の粒度分布を有する多孔質の球面形の粒子から実質的に成る。
例B
顆粒は、熱分解法ケイ酸(ナノスケールのSiO2粉末、SiO2煤煙)と完全脱塩水とから強力ミキサー中での高速造粒によって製造した。このために、完全脱塩水を強力ミキサーに初めに装入し、かつ残留湿分率が約23質量%となり顆粒が製造されるまで、熱分解法ケイ酸を混ぜ合わせながら添加する。顆粒は2mm以下の粒度に篩分する。
回転炉内で(処理量:15kg/h)空気中350℃にて乾燥させることによって、残留湿分率を1%未満に下げた。100μm未満の粒度を有する微細分を取り除いた;それ以外は更なる篩分は行わなかった。
引き続き、精製及び更なる乾燥を、回転管炉内でHCl含有雰囲気において1050℃〜1150℃の温度にて行う(処理量:10kg/h)。
化学不純物の合計は、高温塩素化において原料の10分の1未満に下げられる(すなわち10ppm未満に)。顆粒は、300μmのD10値、450μmのD90値及び350μmの平均粒径(D50値)の粒度分布を有する多孔質の粒子から実質的に成る。
顆粒のガラス化
その回転軸7の周りを8rpmの回転速度で回転する回転管6に、15kg/hの供給速度で、非ドープの多孔質SiO2顆粒9を連続的に供給する。
回転管6は、長手方向7において顆粒粒子9の特定の安息角に傾斜させられており、そうして、その長さ全体にわたって顆粒−装入材料の均一な厚みが生じる。装入材料の均一な厚みは、予熱及びガラス化ゾーン13と後処理ゾーン14とへの回転管の室内の実質的な切り離しを軽減する。図1で入口ケーシング4に示された装入材料は相違する安息角を示す;これは、簡略化した模式図のためにだけ用いている。
回転管6のゾーン13にはヘリウムが充溢している。顆粒−装入材料は、連続的に回転させられ、その際、抵抗加熱装置8によって回転管6の内部で加熱され、かつ徐々に石英ガラス粒子15へとガラス化される。おおよそ回転管6の後方3分の1の直前での最大温度は、約1460℃である。Al23製の回転管6は、問題なくこの温度に耐える。
分離板の開口部20a;20bを介して、ガラス化された石英ガラス粒子15の装入材料は、徐々に後処理ゾーン14に達する。吸気口19を介したアルゴンの連続的な導入によって、そして一方では吸引ノズル18を用いた分離板12の開口部(20a;20b)を通って流出するヘリウムに富んだガスの吸引による、かつ他方では取出ノズル17を介したガス損失による、ヘリウムに富んだガラス化雰囲気中でのほぼ同じ大きさのガス損失のために、後処理ゾーン14内で、ヘリウムと明らかに過剰量のアルゴンとの混合物より成る雰囲気が生じる;ヘリウム含有量は20体積%未満である。後処理ゾーン14は直接的には加熱されないので、分離板12の温度は出口ケーシング11に至るまで連続的に減少する。そこでは、ガラス化された粒体15の平均表面温度は約500℃を上回る。後処理ゾーン14内でのガラス化された粒体15の平均滞留時間は約40分である。
これまで理想的と見られている、回転管6の長さ全体にわたった軸方向の温度プロファイルを、図2のグラフで概略的に示している。y軸には顆粒−装入材料9の表面の温度T(高温計を用いて測定)を、回転管6内での軸方向の位置に対してプロットしている。顆粒の供給直後に、これを30分の時間にわたり500℃の温度で乾燥し、その後、約1000℃〜1300℃に温度を徐々に上昇させながら、熱により予め圧縮する。ここで同時に、多孔質の顆粒中に存在するガスとヘリウムとの交換が行われる。この圧縮プロセス及びガス交換プロセスは約60分間続く。引き続き、顆粒−装入材料9を完全にガラス化するために加熱し、その際、1460℃の最大温度に達する。そのときまで、回転管炉6内における平均滞留時間は約3時間である。
この処理段階では、ガラス化された石英ガラス粒子15のヘリウム含有量は比較的高い。理論的に放出し得るヘリウムガスのガス体積は、粒子自体の体積の3倍である(25℃及び雰囲気圧力に標準化したガス体積の場合)。
分離板12を通過した後、ガラス化された、かつヘリウムで高負荷された石英ガラス粒子15は、後処理ゾーン内で徐々に冷めていき、その際、ヘリウムが少ない雰囲気ゆえに同時に実質的にガス分が除去され、すなわち、温度を十分に高く−例えば500℃を超えて−かつガス発生時間を十分に長く−例えば30分を超えて−維持することで、ヘリウムは、緻密な石英ガラス粒体から拡散する機会を得る。後処理の終了後、放出されるヘリウムのガス体積は、いずれにせよ粒子自体の体積のわずか2分の1未満である(25℃及び雰囲気圧力に標準化した)。
上記のプロセスパラメーターは、回転管炉1内での顆粒9の滞留時間及びガラス化ゾーン13におけるヘリウム雰囲気と一緒に、開放気孔率の実質的な消失をもたらす。表面は緻密である。石英ガラス粒子15は、この工程段階で取り出した場合、明らかに完全に透明である。
凝集物が生じる場合、これらは、移動する顆粒−装入材料9における機械的応力のために又は回転管6の振動によって再び解砕する。
同時に、顆粒粒子9の表面上やそれらの細孔に達するAl23の均一な摩耗が起こる。このようにして作製したガラス化された石英ガラス粒体は、15質量ppmのAl23により均質にドープされている。石英ガラスとのAl23の濡れ性は不十分であることから、回転管6の内壁への付着は実質的に回避される。
完全にガラス化された、かつ均質にドープされた石英ガラス粒体は、2.0g/cm3を上回る密度及び1m2/g未満のBET表面積を有し、かつそれは−ヘリウム下でのガラス化にしては−比較的僅かなヘリウム含有量を有する。それは、排出ケーシング11及び出口ノズル17を介して連続的に取り出される。
石英ガラス粒体は、石英ガラス坩堝の外層を製造するために用いられ、ここで、Al23ドープによる粘度上昇作用は、石英ガラス坩堝の可使時間を高めることに寄与する。
以下では、多孔質のSiO2顆粒を回転管炉内でヘリウム雰囲気下にガラス化することに関する比較例及び実施例を説明する。これらの例は半ば予備試験であり、かつ上で説明した最終的に最適なものであると見なされたプロセス条件に必ずしも従うものではないが、本発明による教示の実施及び効果について説明するものである。
例1−例Aの顆粒を用いる
サンプルA
予備試験においては、顆粒を周囲雰囲気(空気)中で1350℃の最大温度にて焼結した。材料は1350℃を上回る温度で回転管に付着する。顆粒は焼結を起こすが、しかしながら、多数の粒子は完全には焼結されていない。
サンプルB
この方法様式の第一の変形例の場合、顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に1.1cm3/hの流量及び1350℃の最大温度にて回転管炉1内で焼結した。
そのようにして作製した石英ガラス粒体は、均質に焼結されており、焼結されていない粒子は僅かに過ぎない。それは石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融において透明かつ適切に気泡を少なくガラス化することができる。
サンプルC
この方法様式の更に別の変形例の場合、顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に2.1cm3/hの流量及び1440℃の最大温度にて回転管炉1内で焼結した。その際、材料は回転管6に容易に付着する。回転管6の機械的な振動によって(タッピング及び揺動)付着は回避することができた。しかしながら、その結果また処理量はより高くなり(2kg/hから4kg/h)、これは焼結の度合いを悪化させた。回転管6の傾斜を和らげることによって、処理量は再び減少させることができた。
その後に作製した石英ガラス粒体15は、均質に焼結されている(あまり焼結されていないか又は焼結されていない粒子はごく僅かである)。それは石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融において透明かつ適切に気泡を少なくガラス化することができる。
例2−例Bの顆粒を用いる
サンプルD
顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に3.5cm3/hの流量及び1400℃の最大温度にて焼結する。顆粒は焼結を起こすが、しかしながら、多数の粒子は焼結し切っていない。所定の粒度及び温度の場合、4kg/hの処理量は明らかに高過ぎる。材料はアーク溶融において気泡不含でガラス化することはできず、微細気泡の不透明な領域が確認される。
サンプルE
方法の1つの変形例の場合、処理量は、回転数及び傾斜を下げることによって2.4kg/hに減少させることができ、かつ顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に3.5m3/hの流量にて1400℃で焼結した。このように作製した石英ガラス粒体は、まだ均質には焼結されていない。1430℃の最大温度に高めて初めて(それ以外は同じパラメーターで)ほぼ透明な石英ガラス粒体を得た。さらに高い温度の場合、顆粒はますます回転管6に付着する傾向にある。
このようにして作製した石英ガラス粒体は、石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融において透明かつ気泡の少ない層へとガラス化することができる。
サンプルF
方法の1つの変形例の場合、顆粒は、ヘリウム雰囲気下で3.5m3/hの流量で2回連続して焼結した。1回目の通過は1400℃で行い、かつ2回目の通過は1450℃で行った。その際、殆ど付着は観察されなかった。
このようして得られた石英ガラス粒体は、完全かつ透明にガラス化されている。大きな粒子の場合にのみ、気泡状の同伴ガスを確認することができる。それは石英ガラス坩堝の作製に従って透明かつ気泡の少ない層へとガラス化することができる。
上述のサンプルB〜Fを回転管内で溶融し、その際、後処理ゾーンはまだ整えていなかった。それ以外の点でも、石英ガラス粒体15の後処理は、この発明によれば予定していなかった。しかし、このようにして得られた石英ガラス粒体を石英ガラス溶融のために用いる場合、特に石英ガラスの気泡不含性が非常に高く要求される場合、改善の余地があることがわかった。
それゆえ、回転管炉1内に、延長された冷却段階を、それも特にヘリウムが少ない雰囲気中で可能する後処理ゾーン14を整えた。これらの周辺条件下で、全体としては上手くいった上記試験のいくつかを繰り返し、しかし、ここでは、後処理ゾーン14における、ガラス化された石英ガラス粒子の上記後処理を付加的に伴った。
サンプルB’−ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を伴う
顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に1.1cm3/hの流量及び1350℃の最大温度にて焼結した。
ヘリウムが少ない雰囲気における引き続く後処理の結果、石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融において用いたサンプルBと比べてほんの少しの改善が生じた。
サンプルC’−ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を伴う
顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に1400℃の最大温度で焼結し、そして同じ回転管炉1内で、上で説明した通り、分離板12の開口部を介して後処理ゾーン14に供給し、かつその中でヘリウム雰囲気下に後処理し、上で説明した通り、実質的にガス分を除去した。
そのようにして作製した石英ガラス粒体は、均質に焼結されている(あまり焼結されていないか又は焼結されていない粒子はごく僅かである)。石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融におけるサンプルC’の石英ガラス粒体の使用の結果、後処理されなかったサンプルCと比べて気泡不含性に関して顕著な改善が生じた。
サンプルE’−ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を伴う
2.4kg/hの処理量の場合、顆粒は、フラッシング運転においてヘリウム雰囲気下に3.5m3/hの処理量で1430℃にて焼結し、引き続き後処理ゾーン14におけるヘリウムが少ない雰囲気下で後処理した。
このようにして作製した石英ガラス粒体は、石英ガラス坩堝の作製に従ったアーク溶融において透明かつ気泡の少ない層へとガラス化することができた。この場合も、後処理されなかったサンプルEと比較して気泡不含性に関して顕著な改善が見られた。
サンプルF’−ガラス化された石英ガラス粒体の後処理を伴う
ヘリウム雰囲気下で3.5m3/hの流量において2度続けて焼結された顆粒は、全てのサンプルA〜Fの初めの最良の透明性及び気泡不含性を示していた。このようにして得られた石英ガラス粒体は、完全かつ透明にガラス化されている。大きな粒子の場合にのみ、気泡状の同伴ガスが確認される。
しかしながら、明らかにこの石英ガラス粒体15は、ヘリウムでとりわけ高負荷されていた。それというのも、後処理ゾーン14のヘリウムが少ない雰囲気中での後処理の結果、まさにこの粒体の場合、石英ガラス坩堝の作製に従った溶融に際して、気泡不含性に関して明らかな改善が生じたからである。
先行技術
基本的に、多孔質のSiO2顆粒を可能な限り気泡無しに圧縮するという課題が生まれる。多孔質の顆粒粒子はSiO2粒子の凝集物であり、例えば、重合、重縮合、沈殿又はCVD堆積法による合成石英ガラスの製造において得られる。それらの低い嵩密度ゆえに、このようなSiO2粒子は直接溶融してしまうという問題があり、そのため一般的にSiO2粒子はまず初めに造粒によって予め圧縮される。例として、ロール造粒、スプレー造粒、遠心噴霧、流動層造粒、造粒ミルを用いた造粒法、圧密化、ロールプレス、ブリケッティング、フレーク製造(Schuelpenherstellung)又は押出が挙げられる。

Claims (21)

  1. 以下の工程段階:
    (a)熱分解法により製造したケイ酸を造粒して多孔質の顆粒粒子より成るSiO2顆粒(9)を形成する工程、
    (b)前記SiO2顆粒を乾燥する工程、
    (c)前記SiO2顆粒をハロゲン含有雰囲気中で加熱することによって精製する工程、
    (d)前記精製されたSiO2顆粒を、少なくとも30体積%のヘリウム及び/又は水素を含有する処理ガス下でガラス化してガラス化された石英ガラス粒体を形成する工程
    を包含する、易流動性のSiO2顆粒をガラス化することによって合成石英ガラス粒体を製造する方法において、工程段階(d)に従った前記ガラス化後に得られたガラス化された石英ガラス粒体(15)を、20%未満のヘリウム又は水素を含有する雰囲気下での後処理に、300℃以上の処理温度にて少なくとも10分の処理時間にわたって供し、ここで、前記SiO2顆粒の精製及びガラス化並びに前記ガラス化された石英ガラス粒体の前記後処理を、中心軸(7)の周りを回転する回転管炉(1)の回転管(6)の中でそのつど行い、かつ前記回転管(6)が工程段階(d)に従ったガラス化においてセラミック材料製の内壁を有することを特徴とする方法。
  2. 前記ガラス化された石英ガラス粒体(15)の表面温度は、前記ガラス化と前記後処理の工程段階の間で、200℃未満に低下しない、好ましくは800℃未満に低下しないことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 前記ガラス化された石英ガラス粒体(15)を、後処理に800℃以上の処理温度で供することを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記ガラス化された石英ガラス粒体(15)を、後処理に15分以上の処理時間にわたって供することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 石英ガラス粒体(15)1cm3当たりの水素及びヘリウムの含有量は、前記後処理の終了後に、標準条件下で2cm3未満のガス体積を占める量になることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 前記SiO2顆粒(9)のガラス化のために及び前記石英ガラス粒体(15)の後処理のために、前記中心軸(7)方向に見て、ガラス化ゾーン(13)及び後処理ゾーン(14)を包含するゾーンに分けられている1つの同じ回転炉(1)を用いることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記SiO2顆粒(9)の乾燥のために及び精製のために、前記中心軸(7)方向に見て、乾燥ゾーン及び精製ゾーンを包含するゾーンに分けられている1つの同じ回転炉(1)を用いることを特徴とする、請求項6記載の方法。
  8. 前記回転管路(1)の隣接するゾーン(13;14)は、オリフィス(20a;20b)が設けられた分離板(12)によってか又はラビリンストラップによって仕切られていることを特徴とする、請求項6又は7記載の方法。
  9. 前記精製のために石英ガラス製の加熱された回転管を備え、前記ガラス化のためにセラミック製の加熱された回転管を備え、かつ前記後処理のために石英ガラス製の回転管を備えることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 精製及びガラス化のための前記回転管を、前記回転管(6)を取り囲む抵抗加熱装置(8)によってそのつど加熱すること、及び前記後処理のために用いられる前記回転管又は前記後処理のために用いられる前記回転管(6)の領域は直接には加熱しないことを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 100μm未満の粒径を有する前記SiO2顆粒の微細分を、前記微細分が顆粒の全質量の10質量%未満となるように予め調節することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 工程段階(c)に従った前記回転管内における前記精製を、塩素含有雰囲気下で、900℃から1250℃の間の範囲の温度にて行うことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記処理ガスは、工程段階(d)に従ったガラス化において、少なくとも50%のヘリウム及び/又は水素を含有し、好ましくは少なくとも95%で含有することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記顆粒粒子(9)を、工程段階(d)に従ったガラス化において、1300℃〜1600℃の範囲の温度に加熱することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 前記顆粒粒子(9)又は前記ガラス化された石英ガラス粒体(15)を振動に供することを特徴とする、請求項14記載の方法。
  16. 前記ガラス化において、Al23、ZrO2又はSi34製の内壁を有する回転管(1)を用いることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 前記回転管の内壁の物質が0.5%未満のアルカリ金属含有量を有することを特徴とする、請求項16記載の方法。
  18. 前記回転管の内壁が合成的に製造されたAl23から成ることを特徴とする、請求項16又は17記載の方法。
  19. Al23含有回転管(1)を用いて、前記ガラス化された石英ガラス粒体のAl23ドープ量を1〜20質量ppmの範囲で作り出すことを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
  20. 前記顆粒粒子(9)は、20μmから2000μmの間、好ましくは100μmから400μmの間の平均粒度を有する(それぞれD50値)ことを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
  21. 前記顆粒粒子(9)が狭い粒度分布を有し、ここで、D90値に分類された粒径は、D10値に分類された粒径の最大2倍の大きさであることを特徴とする、請求項1から20までのいずれか1項記載の方法。
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