JP2015513415A - 近視の進行の抑制、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方を行うこと - Google Patents

近視の進行の抑制、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方を行うこと Download PDF

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Abstract

本発明は、1つ以上の傾斜プリズム部品を備える眼科用レンズを提供し、レンズは、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患または状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う。1つ以上の傾斜プリズム部品は、基底下方または基底下方および基底内方または基底上方および基底内方であり得る。1つ以上の傾斜プリズム部品は、眼科用レンズの中心、遠用部、および近用部のうちの少なくとも一方にあり得る。本発明はまた、遠用部に中心基底下方プリズムを備える眼科用レンズも提供し、レンズは、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う。1つ以上の眼科用レンズを備える光学装置と、1つ以上の眼科用レンズを使用するステップを含む、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法もまた提供される。

Description

本明細書に記載するこの発明は、概して、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防を行うことのうちの少なくとも一方を行うためのレンズ、装置および方法に関する。特に、本発明は、垂直あるいは傾斜プリズムまたは中心基底下方プリズムを備えるレンズおよび装置と、そのレンズまたは装置を用いる、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防を行うことのうちの少なくとも一方を行う方法とに関するが、本発明の範囲は必ずしもそれらに限定されない。
近視は、視力低下の重要な世界的な原因であり、世界保健機関(WHO)による「ビジョン(Vision)2020」イニシアチブに対する優先事項のうちの1つである。近視、すなわち近眼の兆候は、幼児、子供または大人で発生する可能性がある。近視の兆候が子供で発生する場合、近視のレベルは成人になるまで上昇し続ける可能性がある。近視が高いレベルまで進行することは、生活の質に悪影響を及ぼす可能性があり、後年、緑内障および網膜変性等の深刻な眼の問題のリスクを増大させる。近視の進行には、環境要因および遺伝的性質を含む種々の要因が関係していることが確認されている。
いくつかの研究では、二焦点眼鏡が子供の近視の進行をわずかに抑制することができることが示されている。しかしながら、近視をより有効に抑制すること、および治療する改善された治療を行うことのうちの少なくとも一方が必要とされている。
本発明は、概して、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療および予防することのうちの少なくとも一方のための眼科用レンズ、装置および方法に関する。意外なことに、本発明者らは、垂直プリズムまたは傾斜プリズムを備える眼科用レンズが、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことができることを発見した。著しく有利には、本発明は、外眼筋の緊張を低減し、それにより近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことができる。本発明者らはまた、同様に近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことができる、遠用部に中心基底下方プリズムを備える眼科用レンズおよび装置も提供した。
第1態様では、1つ以上の垂直プリズム部品または傾斜プリズム部品を備える眼科用レンズが提供され、レンズは、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の垂直プリズム部品を基底下方プリズムから構成することができ、または1つ以上の傾斜プリズム部品を基底下方および基底内方プリズムから構成することができる。
垂直プリズム部品を、基底下方プリズムから構成することができる。
傾斜プリズム部品を、基底下方および基底内方プリズムから構成することができる。
第1態様の別の実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品を、基底上方および基底内方プリズムから構成することができる。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の垂直プリズム部品または傾斜プリズム部品は中心であり得る。
中心の1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品は、注視の方向に対して中心であり得る。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品は、眼科用レンズの遠用部および近用部のうちの少なくとも一方にあり得る。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品を、垂直経線(90°)に対して1°〜45°の傾斜角で方向付けることができる。好ましい実施形態では、傾斜角は、垂直経線(90°)に対して5°〜45°、5°〜35°、5°〜25°または5°〜10°であり得る。傾斜角は、垂直経線(90°)に対して1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°または45°であり得る。
傾斜の角度は一定でも可変でもあり得る。
1つ以上の傾斜またはプリズム部品の大きさは、一定でも可変でもあり得る。
傾斜角および屈折力のうちの少なくとも一方は、レンズの遠用中心から近用部中心まで増大することができる。
傾斜角および屈折力のうちの少なくとも一方は、各々、独立した連続関数であり得る。
例示的な実施形態では、プリズム屈折レベルおよび傾斜角は、それぞれ1.0Δおよび0°からそれぞれ2.0Δおよび4°まで、それぞれ3.0Δおよび9°まで、4.0Δおよび21°まで増大することができる。
複数の基底下方傾斜および基底内方傾斜プリズムを備える別の例示的な実施形態では、傾斜プリズムは、4Δ〜8Δのプリズム屈折力の累進加入度を含むことができる。
1つ以上の傾斜プリズム部品のプリズムディオプトリの大きさは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、110.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5または20.0であり得る。一実施形態では、屈折レベルは、0.1〜20.0プリズムディオプトリ、0.5〜15プリズムディオプトリである。別の実施形態では、屈折レベルは、4〜12プリズムディオプトリである。
1つ以上の傾斜プリズム部品の傾斜の角度および大きさのうちの少なくとも一方は、定数関数でも可変関数であり得る。好ましい実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品の傾斜の角度および大きさのうちの少なくとも一方は定数関数である。
1つ以上の傾斜プリズム部品の傾斜の角度は、遠用中心から近用部中心まで可変であり得る。
1つ以上の傾斜プリズム部品の大きさは、遠用中心から近用部中心まで可変であり得る。
第1態様の一実施形態では、瞳孔間距離40mm〜80mmであり得る。好ましい実施形態では、瞳孔間距離は55mm〜70mmであり得る。瞳孔間距離は、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、60mm、61mm、62mm、63mm、64mm、65mm、66mm、67mm、68mm、69mm、70mm、71mm、72mm、73mm、74mm、75mm、76mm、77mm、78mm、79mmまたは80mmであり得る。
第1態様の一実施形態では、近用瞳孔間距離は、35mm〜75mmであり得る。好ましい実施形態では、近用瞳孔間距離は48mm〜68mmであり得る。近用瞳孔間距離は、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、60mm、61mm、62mm、63mm、64mm、65mm、66mm、67mm、68mm、69mm、70mm、71mm、72mm、73mm、74mmまたは75mmであり得る。
第1態様の一実施形態では、レンズは、プラスの屈折度数の累進加入度、およびプラスの加入度の屈折度数のうちの少なくとも一方の1つ以上の別個のゾーンをさらに含むことができる。
プラスの屈折度数を、単焦点近方屈折力レンズ、二重焦点レンズ、三重焦点レンズまたは累進型レンズに含めることができる。
第1態様の一実施形態では、近視の進行の抑制および近視の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方は、ある期間にわたる可能性がある。その期間は、何週間か、何か月間かまたは何年間かであり得る。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品は、中心基底下方および基底内方傾斜プリズムを含むかまたは中心基底下方および基底内方傾斜プリズムである。
第1態様の一実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品は、複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品を含むかまたは複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品である。
第1態様の一実施形態では、眼科用レンズは、累進加入度を含み、1つ以上の傾斜プリズム部品は、複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品を含むかまたは複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品である。
第1態様の一実施形態では、眼科用レンズは、外眼筋の緊張または力を低減する。緊張および力を、角度のついた注視を必要とする活動中に低減することができる。角度のついた注視は、下方および内方または上方および内方であり得る。
第2態様では、遠用部に中心基底下方プリズムを備える眼科用レンズが提供され、レンズは、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う。
第2態様の一実施形態では、近視の進行の抑制および近視の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方は、ある期間にわたる可能性がある。期間は、何週間か、何か月間かまたは何年間かであり得る。
第3態様では、1つ以上の眼科用レンズを備える光学装置が提供され、1つ以上のレンズは各々、第1実施形態または第2実施形態のレンズを含む。
光学装置は、遠用、中間または近用単焦点光学装置を含むことができる。
第3態様の好ましい実施形態では、光学装置は眼鏡を含む。
第3態様の別の実施形態では、光学装置は1つ以上の可変眼科用レンズを備え、遠用部の1つ以上の傾斜プリズム部品または中心基底下方プリズムは、注視角度を変化させることによって変更される。
注視角度をカメラによって追跡することができる。
あらゆる上記態様によれば、近視の進行の抑制および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方が、軸長の増大を抑制あるいは阻止することおよび外眼筋の緊張あるいは力を低減することのうちの少なくとも一方を含むことができる。
第4態様では、本発明は、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法であって、第1態様または第2態様による1つ以上の眼科用レンズまたは第3態様による光学装置を使用し、それにより近視の進行を抑制すること、および近視を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことを含む方法を提供する。
第6態様では、本発明は、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法であって、外眼筋の緊張または力に関連する光学的変化または眼軸長の変化を特定するステップと、第1実施形態あるいは第2実施形態による眼科用レンズまたは第3実施形態による光学装置を用いて光学的変化または眼軸長の変化を矯正あるいは阻止するステップとを含む方法を提供する。
第6態様の一実施形態では、光学的変化または眼軸長の変化が、注視の角度に関連する外眼筋の緊張による変化を含むことができる。
注視の角度は、上方および内方または下方および内方であり得る。
第7態様では、本発明は、注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する方法であって、
眼の第1軸方向測定値を第1注視角度で測定するステップと、
眼の2つ以上のさらなる軸方向測定値をそれぞれのさらなるかつ異なる注視角度で測定するステップと、
第1軸方向測定値およびさらなる軸方向測定値を分析して、必要な眼の光学的矯正の変化を求めるステップと、
を含む方法を提供する。
第7態様の方法は、レンズを設計するために、求められた光学的矯正の変化を適用するステップをさらに含むことができる。
第8態様では、本発明は、第7態様に従って設計された眼科用レンズを提供する。
第9態様では、本発明は、第8態様の1つまたは2つの眼科用レンズを備える眼鏡を提供する。
1つまたは2つの眼科用レンズは可変レンズを含むことができる。
第9態様の眼鏡は、中間作業および近見作業のうちの少なくとも一方のためのものであり得る。
中間作業はコンピュータ作業であり得る。
近見作業は、本、電子書籍、タブレットコンピュータ、電話、電子デバイス、雑誌または新聞等の手持ち素材を読むことであり得る。
第10態様では、本発明は、注視角度に関連する軸長の変化を測定するステップと、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を備えるレンズを用いてこれらの変化をなくすかまたは矯正するステップとを含む、レンズを設計する方法を提供する。
第8態様による軸長の変化を測定するステップは、第7態様の方法を含むことができる。
第11態様では、本発明は、注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する装置であって、
眼の第1軸方向測定値を第1注視角度で測定し、眼の2つ以上のさらなる軸方向測定値をそれぞれのさらなるかつ異なる注視角度で測定するバイオメータ
を備える装置を提供する。
第11態様の装置は、眼に対するバイオメータの角度を変化させる傾斜装置を備えることができる。
傾斜装置は、機械的装置または光学装置を含むことができる。
第11態様の装置は、第1測定およびさらなる測定中に被験者の頭部位置を追跡するヘッドトラッカを備えることができる。
ヘッドトラッカは、ロール、ピッチおよびヨーを含む3軸で頭部位置を追跡することができる。
あらゆる上記態様によれば、近視に関連する疾患または状態は、白内障、緑内障、脈絡網膜症、網膜剥離、Bruch膜断裂(lacquer crack)、網脈絡膜萎縮、格子状変性および後部硝子体剥離を含むことができる。
文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、本明細書で使用する「備える(comprise)」という用語ならびに「備えている(comprising)」、「備える(comprises)」および「備えた(comprised)」等のその用語の変形は、さらなる添加物、構成要素、完全体またはステップを排除するようには意図されていない。
本発明を容易に理解し実施することができるために、ここで、同様の参照数字が同様の特徴を指す添付図面を参照する。
本発明の一実施形態による可変屈折力および角度のレンズを示す。 本発明によるレンズのさまざまな実施形態を示す。 本発明によるレンズのさまざまな実施形態を示す。 本発明によるレンズのさまざまな実施形態を示す。 本発明によるレンズのさまざまな実施形態を示す。 A及びBは、本発明での使用に適している測定設備の一実施形態の概略図およびデジタル写真を示す。 本発明による傾斜測定装置の一実施形態を示す。 B−Dは、本発明の一実施形態による制御状態中の、眼の角度および頭部の角度を変化させた測定を示す。 本発明の一実施形態による結果を集計する一連の棒グラフを示す。 本発明の実施形態による結果を示す折れ線グラフを示す。 本発明の一実施形態による結果を示す棒グラフを示す。 本発明による傾斜測定装置の別の図を示す。 25°輻輳および2D調節力で10°の下方注視において近見作業を行っている被験者を示す。 本発明の一実施形態による種々の試験条件の要約である。 本発明の一実施形態によるさまざまな試験条件の概略図である。 Aは、(下)本発明によるヘッドトラッカの一実施形態の正面図を示し、Bは、(上)使用時に使用者の頭部に取り付けられた図13Aに示す特注ヘッドトラッカを示す。 調節力、輻輳および注視角度の結合された効果によるさまざまな自然の視覚作業(すなわち、TVを観る、コンピュータ作業および読書)中における右眼の軸長(AXL)(n=7)の群平均変化を示す。正の角度は輻輳に対応し、負の角度は開散に対応する。
本発明は、有利に近視の進行を予防すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療または予防することのうちの少なくとも一方を行うことができる眼科用レンズおよび装置を生成した。意外なことに、本明細書おいて例示するように、本発明者らは、傾斜プリズムあるいは垂直プリズムおよび中心基底下方プリズムのうちの少なくとも一方を備える眼科用レンズを提供することにより、近視の進行を抑制すること、および近視を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことができることを発見した。
当業者は、「傾斜プリズム」では、プリズム軸が、眼科用レンズの水平(0度〜180度)経線または垂直(90度〜270度)経線に位置合せされないことを理解するであろう。本明細書で使用する「傾斜」は、主に垂直に向けられた傾斜プリズムを含み、垂直軸に対して最大45度の角度をさらに含む。
本明細書で使用する、近視に関連する疾患または状態には、近視からもたらされるかまたは近視に関連する可能性があるあらゆる疾患または状態が含まれる。こうした疾患および状態の例としては、白内障、緑内障、脈絡網膜症、網膜剥離、Bruch膜断裂、網脈絡膜萎縮、格子状変性および後部硝子体剥離が挙げられる。
そのように、本発明は、近視ならびにこれらの関連する疾患および状態の社会経済的コストを低減することにおいて非常に有利である。
さらに、本発明による眼科用レンズおよび光学レンズのうちの少なくとも一方を備える光学装置は、有利に、眼球の軸方向延長の進行を抑制し、それにより近視の進行を制御すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うことができる。
好ましい実施形態では、本発明の光学装置は眼鏡を含む。当業者には理解されるように、眼鏡は、右眼用に処方された右眼レンズと左目用に処方された左眼レンズとを備えることができる。
重大なことには、本発明は、従来の眼鏡に限定されず、可変レンズ技術に適用することも可能である。可変レンズでは、光学部品を、注視角度の変化に応じて変更し選択することができる。たとえば本発明では、遠用部における1つ以上の傾斜プリズム部品または中心基底下方プリズムを、注視角度の変化により変更することができる。
変化を、たとえば液晶光学部品によって実施することができる。注視角度の変化を、後方に面するマイクロカメラ等のカメラによって追跡することができる。
一実施形態では、本発明は、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を備える眼科用レンズに関する。
限定されないが、一実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を、眼科用レンズの遠用部に含めることができる。本明細書における教示に基づき、当業者は、第1遠方注視中に着用者の瞳孔の中心に位置合せすることができる、眼科用レンズにおいて遠用部が配置される場所を容易に理解する。
別の実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を、眼科用レンズの近用部に含めることができる。
さらに別の実施形態では、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を、眼科用レンズの遠用部および近用部に含めることができる。
本発明のレンズは、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を備えることができる。1つ以上の垂直プリズム部品は、(i)基底下方であり得る。1つ以上の傾斜プリズム部品は、(ii)基底下方および基底内方であるか、または(iii)基底上方および基底内方であり得る。
限定されないが、1つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品を、レンズの中心に配置することができる。
当業者は、一実施形態では中心が注視の方向に対して中心を意味することを理解する。
当業者は、2つ以上の傾斜プリズム部品または垂直プリズム部品が含まれる場合、それらは、中心領域にあるかまたは視線に対して中心に位置決めされあるいは方向付けられることを理解する。本発明によれば、1つ以上の傾斜プリズム部品は、垂直経線(90°)に対して1°〜45°の傾斜角を含むことができる。好ましい実施形態では、傾斜角は、垂直経線(90°)に対して5°〜45°、5°〜35°、5°〜25°または5°〜10°であり得る。傾斜角は、垂直経線(90°)に対して1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°または45°であり得る。
傾斜の角度は、一定でも可変でもあり得る。可変とは、眼科用レンズ上の1つの位置が眼科用レンズ上の別の位置に対してプリズムの異なる傾斜の角度を含むことができることを意味する。
1つ以上の眼科用部品の大きさは、一定でも可変でもあり得る。上記と同様に、可変とは、眼科用レンズ上の1つの位置が、眼科用レンズの別の位置に対して異なるプリズムの大きさを有することができることを意味する。
傾斜角および屈折力のうちの少なくとも一方は、レンズの遠用中心から近用部中心まで増大することができる。
傾斜角および屈折力のうちの少なくとも一方は、各々、独立した連続関数であり得る。
例示的な実施形態では、プリズム屈折レベルおよび傾斜角は、それぞれ1.0Δおよび0°からそれぞれ2.0Δおよび4°まで、それぞれ3.0Δおよび9°まで、4.0Δおよび21°まで増大することができる。
複数の基底下方傾斜プリズムおよび基底内方傾斜プリズムを備える別の例示的な実施形態では、傾斜プリズムは、4Δ〜8Δのプリズム屈折力の累進加入度を含むことができる。
図1は、プリズムの可変傾斜角およびプリズムの可変屈折力の例を示す。図1において、可変傾斜角および可変屈折力は、レンズ10の遠用中心12から近用部中心14まで増大する。
図1はまた、可変傾斜角および可変屈折力を各々独立した連続関数であるように示す。ゾーン16では、プリズム屈折レベルは1.0Δであり、傾斜角は0°である。ゾーン18では、プリズム屈折レベルは2.0Δであり、傾斜角は4°である。ゾーン20では、プリズム屈折レベルは3.0Δであり、傾斜角は9°である。ゾーン22では、プリズム屈折レベルは4.0Δであり、傾斜角は21°である。
1つ以上の傾斜プリズム部品のプリズム屈折レベルの大きさは、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5または20.0プリズムディオプトリであり得る。他の実施形態では、屈折度数は、0.1〜20.0プリズムディオプトリ、0.5〜15プリズムディオプトリ、または4〜12プリズムディオプトリであり得る。
この発明によれば、瞳孔間距離40mm〜80mmであり得る。好ましい実施形態では、瞳孔間距離は55mm〜70mmであり得る。瞳孔間距離は、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、60mm、61mm、62mm、63mm、64mm、65mm、66mm、67mm、68mm、69mm、70mm、71mm、72mm、73mm、74mm、75mm、76mm、77mm、78mm、79mmまたは80mmであり得る。
近用瞳孔間距離は、35mm〜75mmであり得る。好ましい実施形態では、近用瞳孔間距離は48mm〜68mmであり得る。近用瞳孔間距離は、35mm、36mm、37mm、38mm、39mm、40mm、41mm、42mm、43mm、44mm、45mm、46mm、47mm、48mm、49mm、50mm、51mm、52mm、53mm、54mm、55mm、56mm、57mm、58mm、59mm、60mm、61mm、62mm、63mm、64mm、65mm、66mm、67mm、68mm、69mm、70mm、71mm、72mm、73mm、74mmまたは75mmであり得る。
レンズは、プラスの屈折度数の累進加入度、またはプラスの加入度の屈折度数の1つ以上の別個のゾーンをさらに含むことができる。プラスの屈折度数は、単焦点近用屈折力レンズ、二重焦点レンズ、三重焦点レンズまたは累進型レンズを構成することができる。一実施形態では、累進的またはゾーン毎の屈折度数は、下方近用セグメントに傾斜プリズムを備える二重焦点レンズを構成する。
本発明によれば、近視の進行の抑制および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方は、ある期間にわたる可能性がある。その期間は、何週間か、何か月間かまたは何年間かであり得る。
図2Aは、右眼レンズ100および左眼レンズ200を備える本発明の一実施形態を示す。レンズ100、200は、遠用部102、202に位置する基底下方および基底内方から構成された中心傾斜プリズム110、210を備えている。
図2Aに示す本発明によるレンズ100、200の実施形態では、プリズムディオプトリ106、206は4Δを含む。当業者は、処方を満たすために適切な屈折レベルを容易に選択することができる。
別の実施形態では、中心傾斜プリズムは、複数の基底上方および基底内方傾斜プリズム部品を備えることができる。
図2Aに示すように、プリズム110、210は、光学中心104、204を含むように位置決めされている。
図2Aでは、レンズ110、210の傾斜角112、212は、垂直経線(90°)に対して5°〜10°であるように示されているが、本明細書における教示に基づき、当業者は、容易に適切な角度を選択することができる。
図2Bは、4Δ306a、406aから8Δ306b、406bまでのプラスの屈折度数の累積加入度も含む複数の基底上方および基底内方傾斜プリズム310a、410a、310b、410bを備えるレンズ300、400を備える本発明の別の実施形態を示す。
図2Bでは、傾斜角312、412が、垂直経線(90°)に対して5°〜15°であるように示されているが、本明細書における教示に基づいて、当業者は、容易に適切な角度を選択することができる。
当業者は、図2Bに示す実施形態が、累進ガラスではなく単焦点ガラスに最も適していることを容易に理解するであろう。
図3は、レンズ500、600を備える本発明の別の実施形態を示す。レンズ500、600は、可変累進加入度を含む可変傾斜プリズム510a、610a、510b、610b、510c、610cを備えている。
図3は、6Δ506a、606aから8Δ506b、606bまで12Δ505c、606cまでのプラスの屈折度数の累進加入度も含む複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム510a、610a、510b、610b、510c、610cを備えるレンズ500、600を示す。
図3では、傾斜角512、612は、垂直経線(90°)に対して5°〜15°であるように示されているが、本明細書における教示に基づいて、当業者は、容易に適切な角度を選択することができる。
レンズ500、600の非陰影領域520、620はレンズの光学ゾーン/領域を表し、陰影領域530、630は、概して、累進加入度屈折力設計の設計上の特質による望ましくない光学歪みを含む。
図4に示すように、本発明はまた、遠用部702、802に中心基底下方プリズム710、810を備える眼科用レンズ700、800も提供し、それらレンズは近視の進行を抑制すること、近視を治療することのうちの少なくとも一方を行う。
本発明はまた、1つ以上の眼科用レンズ100、200、300、400、500、600、700、800を備える光学装置も提供する。
第1態様の好ましい実施形態では、光学装置は眼鏡を含む。
本発明によれば、近視の進行の抑制および近視の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方は、軸長の増大を抑制するかあるいは抑止することおよび外眼筋の緊張または力を低減することのうちの少なくとも一方を含むことができる。
本発明はまた、第1態様あるいは第3態様による1つ以上の眼科用レンズまたは第2態様あるいは第4態様による光学装置を使用し、それにより近視の進行および近視の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方を制御することを含む、近視の進行を抑制すること、および近視を治療するかあるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法も提供する。
本発明は、眼球外緊張または筋力に関連する光学的変化または眼軸長の変化を特定するステップと、第1実施形態あるいは第3実施形態による眼科用レンズまたは第2実施形態あるいは第4実施形態による光学装置を用いて光学的変化または眼軸長の変化を矯正または阻止するステップとを含む、近視の進行を抑制すること、および近視を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法をさらに提供する。
第6態様の一実施形態では、光学的変化または眼軸長の変化は、角度のついた注視に関連する外眼筋の緊張または筋力による変化を含むことができる。
注視の角度は、上方および内方または下方および内方であり得る。
本発明はまた、注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する方法も提供する。あるステップでは、この方法は、第1注視角度で眼の第1軸方向測定値を測定するステップを含む。
この方法はまた、それぞれの追加のかつ異なる注視角度で2つ以上のさらなる眼の軸方向測定値を測定するステップを含むことができる。
別のステップでは、この方法はまた、第1軸方向測定値およびさらなる軸方向測定値を分析して必要な眼の光学的矯正の変化を求めるステップを含むことができる。
この方法は、レンズを設計するために、求められた光学的矯正の変化を適用するステップをさらに含むことができる。
本発明によれば、上述した注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する方法に従って設計された眼科用レンズも提供される。
本発明は、第8態様の1つまたは2つの眼科用レンズを備える眼鏡を提供する。
1つまたは2つの眼科用レンズは可変レンズを含むことができる。
眼鏡は、中間作業および近見作業のうちの少なくとも一方のためのものであり得る。中間作業は、たとえばコンピュータ作業であり得る。近見作業は、たとえば、本、電子書籍、タブレットコンピュータ、電話、電子デバイス、雑誌または新聞等の手持ち素材を読むことであり得る。
本発明者らはまた、注視角度に関連する軸長の変化を測定するステップと、1つ以上の傾斜プリズム部品を備えるレンズを用いて軸長の変化をなくすかまたは最小限にするステップとを含む、レンズを設計する方法も提供している。
レンズを設計する上記方法によって軸長の変化を測定することは、上述した注視角度の結果として必要な光学的矯正の変化を測定する方法を含むことができる。
重要なことには、本発明者らはまた、注視角度による軸長の引き起こされた変化を測定する装置も提供している。本装置は、第1注視角度で眼の第1軸方向測定値を測定し、眼の2つ以上のさらなる軸方向測定値をそれぞれの追加のかつ異なる注視角度で測定するバイオメータを備えることができる。
本装置は、眼に対するバイオメータの角度を変化させる傾斜装置をさらに備えることができる。傾斜装置は、機械的装置または光学装置を含むことができる。本装置は、第1測定およびさらなる測定中に被験者の頭部位置を追跡するヘッドトラッカを備えることができる。
ヘッドトラッカは、ロール、ピッチおよびヨーを含む3軸で頭部位置を追跡することができる。
したがって、読書または近見作業中の外眼筋の緊張を低減する傾斜プリズム(基底下方/基底内方)を用いて眼鏡を設計することにより、子供および若年成人において近見作業または読書に関連する近視の進行を低減することができる。
本発明者らは、注視方向における15°シフト中に発生する眼軸長および前方バイオメトリクスの変化を、5分間にわたって調べた。本発明者らはまた、15°および25°の下方注視におけるバイオメトリックパラメータの変化に対する重力および外眼筋の相対的な影響を5分間にわたって調べた。
本明細書において提供される結果は、いくつかの角度で短期間の注視中に外眼筋が著しく眼球を延長させるように見えることを示す。重要なことには、本発明者らは、下鼻側注視で、中等度の近視の被験者に、軽度の近視の被験者および正視者より軸方向の延長が大きいことを示し、近視のレベルと注視角度に関連する軸方向延長との相関を示唆した。
以下の限定しない実施例は、本発明のレンズ、装置および方法を示す。これらの実施例は、限定するものとして解釈されるべきではなく、それらの実施例は、単に例示の目的で含まれている。実施例において考察されるレンズ、装置および方法は、本発明の例証を表すように理解されよう。
実施例1−注視方向の角度シフトならびに重力および外眼筋の影響による眼軸長および前方バイオメトリクスの変化
本発明者らは、注視方向における15°シフト中に発生する眼軸長および前方バイオメトリクスの変化を5分間にわたって調べるとともに、15°および25°の下方注視における重力および外眼筋のバイオメトリックパラメータの変化に対する相対的な影響を5分間にわたって調べた。
材料および方法
この調査では、30人の若い被験者(10人の正視者、10人の軽度近視者および10人の中等度近視者)を採用した。レンスター(Lenstar)LS900光学式バイオメータを使用して、0分および5分に、9つの主要注視方向において、15°のフレで、中心窩軸に沿って、回転プリズムを通して各被験者の左眼から軸長測定値を取得した。
全注視状態に対して、被験者は、自身の最適に矯正された他眼によって外側遠方目標物を凝視した。したがって、両眼分離視で、外側目標物の画像は右眼から見え、レンスター(Lenstar)の目標物の画像は同時に左(検査)眼から見えた(図5Aおよび図5B)。
下方注視における重力および外眼筋の軸長変化に対する相対的な影響をさらに調査するために、レンスター(Lenstar)を傾斜台で15°および25°で傾斜させた(図6A)。軸長の測定を、頭部角度または眼球の傾きのない制御条件下で(図6B)かつ2つの検査条件すなわちi)頭部を傾けるが眼球の回転なしで下方を見ること(図6D)およびii)頭部を傾けないが眼球の回転のみで下方を見ること(図6C)で、5分間にわたり再び行った。
結果
結果は図7に要約されており、図7は、5分間にわたる調節力なしの条件のベースラインに対する、9つの主要注視方向における左眼(OS)の軸長(AXL)(n=30)の群平均変化を示す。各注視測定の前に、第1注視で6メートルの目標物を(すなわち調節力なしで(0D))10分間見た後にベースライン値を取得した。
図8は、被験者の球面屈折誤差によって分類される調節力なしのベースラインに対する5分間の作業の後の下鼻側注視における左眼(OS)の軸長の測定された変化を要約する折れ線グラフを示す。ベースライン値を、第1注視において6メートルの目標物を(すなわち調節力なしに(0D))5分間見た後に取得した。
図9は、5分間の作業にわたる調節力なしの条件でのベースラインに対する、頭部を傾け(WHT)(すなわち頭部を下方に下げ眼球はまっすぐ)、かつ頭部を傾けずに(WOHT)(すなわち頭部はまっすぐ眼球は下方に回転して)、15°および25°の下方注視における左眼の軸長(AXL)の群平均変化を示す棒グラフを示す。各試験条件の前に、第1注視で6メートルの目標物を(すなわち調節力なしに(0D))5分間見た後にベースライン値を取得した。このプロットでは、頭部の傾きなしに15°および25°両方の下方注視方向に、AXLが著しく変化した(分散分析、p<0.05)。しかしながら、AXLは、頭部を傾けた(15°および25°両方)下方注視においてそれほどの変化を示していない(分散分析、p>0.05)。
結論
本発明者らは、意外なことに、(典型的には読書中に発生する等)下鼻側方向に発生する最大の眼球の延長で、注視の角度が眼軸長に著しい短期間の影響を与えることを示した。
本発明者らはまた、意外なことに、中等度の近視の被験者が、下鼻側注視において軽度の近視の被験者および正視者より軸方向延長が大きいことも示した。
いかなる1つの理論にも縛られることは望まないが、本発明者らは、眼球の延長が、外眼筋の影響によるように見えることを提案し、それは、その影響が、眼球の回転ではなく頭部の回転が用いられた場合になくなったためである。
実施例2−自然の視覚作業の間の眼のバイオメトリクスの変化
本発明者らは、近視者および正視者において5分間にわたり、自然の視覚作業(たとえばTVを観る、コンピュータ作業および読書)の間の調節力および注視の角度(輻輳および下方注視)の結合された影響による軸長および眼のバイトメトリクスの変化を調べるさらなる実験を行った。
材料および方法
被験者:この調査では7人の被験者が参加した。年齢は18歳〜29歳の範囲であった。影響のある眼の疾患または傷害の病歴はなかった。すべての被験者が、両眼に最適に矯正された視力20/20以上および被験者の年齢に対して通常のレベルの調節力を有していた。
設備:図10は、調整可能ヘッドバー902、第1表面ミラー904、近方目標物906、ビームスプリッタ908および輻輳制御回転台910を備えるレンスター(Lenstar)LS900 900(ハーグ−ストレイトインターナショナル(Haag−Streit international))を示す。レンスター(Lenstar)LS900 900を、それ自体の商用設定から個別高さおよび傾き調整可能台にシフトさせた。被験者のあご台を、第1注視または下方注視における被験者の頭部の軸の回転によりさまざまなレベルの輻輳を引き起こすことができるように、回転台に搭載した。図10Aは、10°下方注視における25°の輻輳および2D調節力で近見作業を行っている被験者を示す。
ヘッドトラッカ:被験者は、実験を通して、測定中に被験者の相対的な頭部移動(ロール、ピッチおよびヨー)をモニタリングする特注の3軸ヘッドトラッカを着用した。図13A(上)は、本発明によるヘッドトラッカ1000の一実施形態の正面図を示す。図13B(下)は、使用時に使用者の頭部に取り付けられた図13Aに示す特注のヘッドトラッカ1000を示す。
「ウォッシュアウト作業」:最初に、各被験者は、両眼で、6m距離で遠方を観る作業(DVDを観る等、被験者の好む作業)を行った。
「ベースライン測定」:そして、5分間の「ウォッシュアウト作業」の最後に、レンスター(Lenster)LS900を用いて、第1注視で軸長および眼のバイオメトリクスを測定した。これらの測定を、各セッションの前に行った。
被験者の軸長および眼のバイオメトリクスを、図11および図12に示すように、5分間にわたり9つの異なる注視条件で測定した。
遠見作業(すなわちTVを観る)は、0D調節力および0°下方注視(すなわち第1注視)に対応し、中間作業(すなわちコンピュータ作業)は、2D調節力および10°下方注視に対応し、近見作業(すなわち読書)は、5D調節力および20°下方注視に対応する。
すべての注視測定に対するこれらの9つのセッション(すなわち、3レベルの調節力×3レベルの輻輳)を、3日間の検査(各日1つの調節力条件)にわたって完了した。
結果
軸長の最高変化(群平均およそ35ミクロン)が、20°下方注視における33°の輻輳で、5D調節力が必要な5分間の近見作業の後に発生した(図14参照)。
図14は、調節力、輻輳および注視角度の結合された影響による、さまざまな自然の視覚作業(すなわち、TVを観る、コンピュータ作業および読書)中の右眼の軸長(AXL)(n=7)の群平均変化を示す。正の角度は輻輳に対応し、負の角度は開散に対応する。
軸長はまた、特に下方注視における輻輳により、中間距離作業(たとえばコンピュータ作業)中に中程度に増大する可能性がある。しかしながら、下方注視の輻輳がある作業距離の近い作業(たとえば読書)中に軸長が実質的により大きく増大する可能性がある。
遠見作業(たとえばTVを観る)によって軸長の著しい変化はもたらされない可能性がある。
これらの結果から、近見作業中の眼の軸長の変化は、必要な調整力の量、輻輳角の大きさおよび下方角度の大きさに関連する可能性があることが明らかである。
要約
調節力および下方/内方注視により、眼軸長に小さい短期間の増大がもたらされる。
これらの変化に対するメカニズムは、生体力学的力および光学的刺激の組合せであり得る。
経時的な複数の短期間の、下方注視を採用する近見作業活動(たとえば、下方注視での読書、コンピュータ作業または顕微鏡使用)の累積的影響が、外眼筋の力学的影響を通して眼球のより長期間の延長および近視の発生を促進する可能性がある。
本明細書を通して、目的は、本発明の好ましい実施形態を、本発明をいかなる1つの実施形態または特徴の具体的な集まりに限定することなく説明することであった。したがって、本開示に鑑みて、本発明の範囲から逸脱することなく、例証した特定の実施形態においてさまざまな変更および変形を行うことができることが当業者には明らかとなろう。
本明細書において言及するすべてのコンピュータプログラム、アルゴリズム、特許および科学文献は、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (43)

  1. 眼科用レンズであって、
    1つ以上の垂直プリズム部品または傾斜プリズム部品を具備し、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う眼科用レンズ。
  2. 前記1つ以上の垂直プリズム部品が基底下方プリズムを含み、または前記1つ以上の傾斜プリズム部品が基底下方および基底内方プリズムを含む、請求項1に記載のレンズ。
  3. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が基底上方および基底内方プリズムを含む、請求項1または2に記載のレンズ。
  4. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、注視の方向に対して中心にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンズ。
  5. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、前記眼科用レンズの遠用部または近用部にあり得る、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ。
  6. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、垂直経線(90°)に対して1°〜45°の傾斜で方向付けられている、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレンズ。
  7. 前記傾斜の角度が一定角度または可変角度を含む、請求項6に記載のレンズ。
  8. 前記1つ以上のプリズム部品の大きさが、角度または屈折度数において一定または可変である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のレンズ。
  9. 屈折レベルが0.1〜20プリズムディオプトリを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレンズ。
  10. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品の傾斜および大きさのうちの少なくとも一方が連続関数または可変関数を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のレンズ。
  11. 前記1つ以上の傾斜プリズムの傾斜の角度が、連続関数を含むか、または遠用中心から近用部中心までの変動を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のレンズ。
  12. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品の大きさが、連続関数を含むか、または遠用中心から近用部中心までの変動を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のレンズ。
  13. プラスの屈折度数の累進加入度をさらに含むことができる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のレンズ。
  14. 近視の進行の抑制および近視の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方が、ある期間にわたる可能性がある、請求項1〜13のいずれか一項に記載のレンズ。
  15. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、中心基底下方および基底内方傾斜プリズムを含むかまたは中心基底下方および基底内方傾斜プリズムである、請求項1〜14のいずれか一項に記載のレンズ。
  16. 前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、複数の基底上方および基底内方傾斜プリズム部品を含むかまたは複数の基底上方および基底内方傾斜プリズム部品である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のレンズ。
  17. 前記レンズが累進加入度を含み、前記1つ以上の傾斜プリズム部品が、複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品を含むかまたは複数の基底下方および基底内方傾斜プリズム部品である、請求項1〜16のいずれか一項に記載のレンズ。
  18. 外眼筋の緊張または力を低減する、請求項1〜17のいずれか一項に記載のレンズ。
  19. 前記緊張および力を、角度のついた注視を必要とする活動の間に低減させることができる、請求項18に記載のレンズ。
  20. 角度のついた注視が、下方および内方または上方および内方であり得る、請求項18に記載のレンズ。
  21. 眼科用レンズであって、
    遠用部に中心基底下方プリズムを具備し、近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う眼科用レンズ。
  22. 前記近視の進行の抑制および前記近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方が、ある期間にわたる可能性がある、請求項21に記載のレンズ。
  23. 前記期間が、何週間か、何か月間かまたは何年間かであり得る、請求項22に記載のレンズ。
  24. 1つ以上の眼科用レンズを備える光学装置であって、前記1つ以上のレンズが各々、請求項1〜23のいずれか一項に記載のレンズを含む、光学装置。
  25. 眼鏡を含む、請求項24に記載の光学装置。
  26. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のレンズまたは請求項24あるいは25に記載の光学装置であって、前記近視の進行の抑制および前記近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方が、軸長の増大を抑制あるいは阻止することおよび外眼筋の緊張あるいは力を低減することのうちの少なくとも一方を含むことができるレンズまたは光学装置。
  27. 近視の進行を抑制すること、近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法であって、請求項1〜23のいずれか一項に記載の1つ以上の眼科用レンズまたは請求項24〜26のいずれか一項に記載の光学装置を使用し、それにより近視の進行を抑制すること、および近視を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行うステップを含む方法。
  28. 近視の進行を抑制すること、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態を治療あるいは予防することのうちの少なくとも一方を行う方法であって、外眼筋の緊張または力に関連する光学的変化または眼軸長の変化を特定するステップと、請求項1〜23のいずれか一項に記載の眼科用レンズまたは請求項24〜28のいずれか一項に記載の光学装置を用いて、前記光学的変化または眼軸長の変化を矯正するステップとを含む方法。
  29. 前記光学的変化が、注視の角度に関連する外眼筋の緊張による変化を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記注視の角度が、上方および内方または下方および内方であり得る、請求項29に記載の方法。
  31. 注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する方法であって、
    眼の第1軸方向測定値を第1注視角度で測定するステップと、
    前記眼の2つ以上のさらなる軸方向測定値をそれぞれのさらなるかつ異なる注視角度で測定するステップと、
    前記第1軸方向測定値および前記さらなる軸方向測定値を分析して、必要な前記眼の前記光学的矯正の変化を求めるステップと、
    を含む方法。
  32. レンズを設計するために前記求められた光学的矯正の変化を適用するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
  33. 請求項31または32に記載の方法に従って設計された眼科用レンズ。
  34. 請求項33に記載の1つまたは2つの眼科用レンズを具備する眼鏡。
  35. 前記1つまたは2つの眼科用レンズが可変レンズを含むことができる、請求項34に記載の眼鏡。
  36. 中間作業および近見作業のうちの少なくとも一方のためのものである、請求項34または35に記載の眼鏡。
  37. 方法であって、
    注視角度に関連する軸長の変化を測定するステップと、1つ以上の傾斜プリズム部品を備えるレンズを用いて前記変化をなくすかまたは最小限にするステップとを含む、レンズを設計する方法。
  38. 軸長の変化を測定する前記ステップが、請求項31または請求項32に記載の方法を含むことができる、請求項38に記載の方法。
  39. 注視角度による必要な光学的矯正の変化を測定する装置であって、
    眼の第1軸方向測定値を第1注視角度で測定し、前記眼の2つ以上のさらなる軸方向測定値をそれぞれのさらなるかつ異なる注視角度で測定するバイオメータ
    を具備する装置。
  40. 前記眼に対する前記バイオメータの角度を変化させる傾斜装置をさらに具備する、請求項39に記載の装置。
  41. 前記傾斜装置が機械的装置または光学装置を含む、請求項40に記載の装置。
  42. 第1測定およびさらなる測定中に被験者の頭部位置を追跡するヘッドトラッカをさらに具備する、請求項39〜41のいずれか一項に記載の装置。
  43. 前記ヘッドトラッカが、ロール、ピッチおよびヨーを含む3軸で頭部位置を追跡することができる、請求項42に記載の装置。
JP2014557943A 2012-02-21 2013-02-21 近視の進行の抑制、および近視あるいは近視に関連する疾患あるいは状態の治療あるいは予防のうちの少なくとも一方を行うこと Withdrawn JP2015513415A (ja)

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