JP2015508662A - 1→3リーディングフレームシフトを減少させるための方法 - Google Patents

1→3リーディングフレームシフトを減少させるための方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015508662A
JP2015508662A JP2014559174A JP2014559174A JP2015508662A JP 2015508662 A JP2015508662 A JP 2015508662A JP 2014559174 A JP2014559174 A JP 2014559174A JP 2014559174 A JP2014559174 A JP 2014559174A JP 2015508662 A JP2015508662 A JP 2015508662A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
seq
amino acid
aaa
oligonucleotide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014559174A
Other languages
English (en)
Inventor
グロースマン,アデルベルト
ヘッセ,フリーデリーケ
コペツキー,エアハルト
ラウ,ヴィルマ
シャンツ,クリスティアン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
F Hoffmann La Roche AG
Original Assignee
F Hoffmann La Roche AG
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by F Hoffmann La Roche AG filed Critical F Hoffmann La Roche AG
Publication of JP2015508662A publication Critical patent/JP2015508662A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/775Apolipopeptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • C07K14/4701Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals not used
    • C07K14/4726Lectins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

本明細書において、トリペプチドQKKを含むポリペプチドの組換え産生法が報告される。前記方法は、前記ポリペプチドをコードし、それにより前記ポリペプチドを産生する核酸を含む細胞か、該細胞の培地から前記ポリペプチドを回収する工程を含み、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcag aaa aaaまたはオリゴヌクレオチドcaa aag aaaによってコードされることを特徴とする。

Description

本発明は、組換えポリペプチドの産生の分野に属する。本明細書において、副産物の含量の減少したポリペプチドを組換え産生するための方法が報告され、前記副産物の含量の減少は、翻訳または転写プロセス中のフレームシフトを減少させるコード核酸の改変によって達成される。
発明の背景
タンパク質は今日の医学ポートフォリオで重要な役割を果たしている。ヒトへの適用のために、あらゆる薬学的物質が個別に異なる基準を満たさなければならない。ヒトへの生物学的製剤の安全性を確実するために、深刻な害を引き起こすであろう核酸、ウイルスおよび宿主細胞のタンパク質は、特に除去されなければならない。規制の仕様書に沿うために、1回以上の精製工程を、製造プロセス後に行わなければならない。
組換えポリペプチドは、例えば大腸菌などの原核細胞によって産生され得る。組換え産生されたポリペプチドは、前記原核細胞のポリペプチド含量の大半を占め、そしてしばしば不溶性の凝集物として、すなわちいわゆる封入体として、前記原核細胞内に堆積する。前記組換えポリペプチドの単離のために、細胞を解体しなければならず、そして封入体に含まれる組換えポリペプチドを、細胞片から封入体を分離した後に可溶化しなければならない。可溶化のために、カオトロピック試薬(尿素または塩化グアニジニウムなど)を使用する。ジスルフィド結合を切断するために、特にアルカリ条件下で、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール、またはβ−メルカプトエタノールなどの還元剤を加える。凝集したポリペプチドの可溶化後、生物学的活性に必須である組換えポリペプチドの球状構造を再確立しなければならない。このいわゆる再生プロセス中に、変性剤の濃度を、例えば、変性したポリペプチドをその生物学的に活性な構造へとリフォールディングすることを可能とする適した緩衝液に対する透析によって(ゆっくりと)減少させる。再生後、組換えポリペプチドを、目的とする用途のために許容可能な純度まで精製する。例えば、治療タンパク質として使用するために、90%超の純度を確立しなければならない。
組換え産生ポリペプチドは、例えば、通常、産生細胞に由来する核酸、内毒素、および/またはポリペプチドを伴う。宿主細胞に由来する副産物の他に、ポリペプチドに由来する副産物も粗ポリペプチド調製物中に存在する。とりわけ、対象のポリペプチドの短縮された変異体が存在し得る。
国際公開公報第95/25786号では、細菌発現系におけるヒトアポリポタンパク質AIの産生が報告されている。Karathanasis, S.K., et al.は、ヒトアポリポタンパク質A−I遺伝子の単離および特徴付けを報告する(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80 (1983) 6147-6151)。有意なレベルのフレームシフトを指令する配列は、Escherichia coliのコード領域に頻繁に存在することは、Gurvich, O.L., et al. in the EMBO Journal (22 (2003) 5941-5950)によって報告されている。Graversen, J.H., et al.は、アポリポタンパク質A−1の三量体化は、血漿クリアランスを遅延させ、そして抗アテローム硬化特性を保存することを報告する(J. Cardiovascular Pharmacology 51 (2008) 170-177)。
発明の要約
トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドは、トリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸の転写または翻訳プロセス中の1→3フレームシフトの場所であり得ることが判明した。フレームシフトの発生に因り、非コードアミノ酸配列を有するナンセンスポリペプチドが産生される。
従って、本明細書において、1つの局面として、トリペプチドQKK(配列番号06)を含むポリペプチドの組換え産生法が報告され、前記方法は、以下の工程:
− 前記ポリペプチドをコードし、それにより前記ポリペプチドを産生する核酸を含む、細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程
を含み、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされることを特徴とする。
1つの態様において、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされる。
本明細書において報告された1つの局面は、そのアミノ酸配列にトリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸であり、前記トリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされている。
本明細書において報告された1つの局面は、そのアミノ酸配列にトリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸であり、前記トリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされている。
本明細書において報告された1つの局面は、本明細書において報告された核酸を含む細胞である。
本明細書において報告された1つの局面は、大腸菌において発現されるポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)の使用である。
本明細書において報告された1つの局面は、大腸菌において発現されるポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)の使用である。
以下に、本明細書において報告された全ての局面の態様が明記されている。
1つの態様において、トリペプチドQKKはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)によってコードされている。
1つの態様において、トリペプチドQKKはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされている。
1つの態様において、前記の(完全長)ポリペプチドは、約50個ないし約500個のアミノ酸残基を含む。1つの態様において、前記の(完全長)ポリペプチドは、約100個ないし約400個のアミノ酸残基を含む。1つの態様において、前記の(完全長)ポリペプチドは約250個ないし約350個のアミノ酸残基を含む。
1つの態様において、前記細胞は原核細胞である。1つの態様において、前記原核細胞は大腸菌細胞、または桿菌細胞である。
1つの態様において、前記細胞は真核細胞である。1つの態様において、前記細胞はCHO細胞、またはHEK細胞、またはBHK細胞、またはNS0細胞、またはSP2/0細胞、または酵母細胞である。
1つの態様において、前記ポリペプチドはヘテロ多量体ポリペプチドである。1つの態様において、前記ポリペプチドは抗体または抗体フラグメントである。
1つの態様において、前記ポリペプチドはホモ多量体ポリペプチドである。1つの態様において、前記ポリペプチドはホモ二量体またはホモ三量体である。
1つの態様において、前記ポリペプチドはヒトアポリポタンパク質A−Iまたはその変異体またはそれを含む融合ポリペプチドであり、前記変異体または融合ポリペプチドは、in vitroおよびin vivoにおいてヒトアポリポタンパク質A−Iの機能を示す。1つの態様において、アポリポタンパク質A−I変異体は、配列番号09ないし配列番号14の群から選択されたアミノ酸配列を有する。
発明の詳細な説明
定義:
「アミノ酸」という用語は、直接的にまたは前駆体の形態で、核酸によってコードされ得る、カルボキシα−アミノ酸の群を示す。個々のアミノ酸は、いわゆるコドンまたはトリプレットと呼ばれる、3つのヌクレオチドからなる核酸によってコードされている。各アミノ酸は、少なくとも1つのコドンによってコードされている。異なるコドンによる同じアミノ酸のコード化は、「遺伝子コードの縮重」として知られている。「アミノ酸」という用語は、天然カルボキシα−アミノ酸を示し、そしてアラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、トレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、およびバリン(val、V)を含む。
「アポリポタンパク質A−I」という用語は、タンパク質−脂質およびタンパク質−タンパク質相互作用特性を有する両親媒性のラセン状ポリペプチドを示す。アポリポタンパク質A−Iは、アミノ酸残基267個のプレプロ−アポリポタンパク質として肝臓および小腸によって合成され、これはプロ−アポリポタンパク質として分泌され、そして切断されて、アミノ酸残基243個を有する成熟ポリペプチドとなる。アポリポタンパク質A−Iは、リンカー部分(しばしばプロリンであり、そしていくつかの場合においてはいくつかの残基で作られた配列からなる)によって隔てられた各々22個のアミノ酸残基からなる6〜8個の異なるアミノ酸反復配列からなる。例示的なヒトアポリポタンパク質A−Iアミノ酸配列は、GenPeptデータベース登録NM−000039またはデータベース登録X00566;GenBank NP−000030.1(gi4557321)に報告されている。ヒトアポリポタンパク質A−I(配列番号07)の中で、P27H、P27R、P28R、R34L、G50R、L84R、D113E、A−A119D、D127N、K131の欠失、K131M、W132R、E133K、R151C(アミノ酸残基151がArgからCysへと変化している、アポリポタンパク質A−I−Paris)、E160K、E163G、P167R、L168R、E171V、P189R、R197C(アミノ酸残基173がArgからCysへと変化している、アポリポタンパク質A−I−Milano)およびE222Kなどの天然の変異体が存在する。また、保存的アミノ酸改変を有する変異体も含まれる。
「コドン」という用語は、規定のアミノ酸をコードする3つのヌクレオチドからなるオリゴヌクレオチドを示す。遺伝子コードの縮重に因り、いくつかのアミノ酸は1つを超えるコドンによってコードされている。同じアミノ酸をコードするこれらの異なるコドンは、個々の宿主細胞において異なる相対的使用頻度を有する。従って、特定のアミノ酸は、異なるコドンの群によってコードされ得る。同様に、ポリペプチドのアミノ酸配列は、異なる核酸によってコードされ得る。それ故、特定のアミノ酸は、異なるコドンの群によってコードされ得、これらの各コドンは、所与の宿主細胞内の使用頻度を有する。
Figure 2015508662
例示的変化は、以下の表に、「例示的置換」の表題で提供されている。保存的置換は、以下の表に、「好ましい置換」の表題で示され、そしてアミノ酸側鎖クラスに言及して以下にさらに記載されている。
Figure 2015508662
非保存的置換は、これらの1つのクラスのメンバーを別のクラスのメンバーと交換することを伴う。
「保存的アミノ酸改変」という用語は、ポリペプチドの特徴に影響を及ぼさないまたは変化させない、アミノ酸配列の改変を示す。改変は、部位特異的突然変異誘発およびPCR媒介突然変異誘発などの当技術分野において公知の標準的な技術によって導入することができる。保存的アミノ酸改変は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されたものを含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
「ポリペプチドの変異体」という用語は、アミノ酸配列が、「親」ポリペプチドのアミノ酸配列と比べて、10個以下の、1つの態様において約2〜約5個の付加、欠失および/または置換だけ異なる、ポリペプチドを示す。アミノ酸配列の改変は、Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327およびQueen, C., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10029-10033によって記載された分子モデリングに基づいた突然変異誘発によって実施され得る。
異なるアミノ酸配列の相同性および同一性は、BLOSUM 30、BLOSUM 40、BLOSUM 45、BLOSUM 50、BLOSUM 55、BLOSUM 60、BLOSUM 62、BLOSUM 65、BLOSUM 70、BLOSUM 75、BLOSUM 80、BLOSUM 85、またはBLOSUM 90などの周知のアルゴリズムを使用して計算され得る。1つの態様においてアルゴリズムはBLOSUM 30である。
「宿主細胞」、「宿主細胞系」および「宿主細胞培養液」という用語は同義語として使用され、そして外来性核酸が導入された細胞(このような細胞の子孫を含む)を指す。宿主細胞は「形質転換体」および「形質転換細胞」を含み、これらは最初の形質転換細胞、および継代数に関わらずそれから派生した子孫を含む。子孫は、親細胞と比較して核酸含量に関して完全に同一でないかもしれないが、突然変異を含み得る。元の形質転換細胞についてスクリーニングまたは選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異子孫がそこに含まれる。
「核酸」および「核酸配列」という用語は、個々のヌクレオチド(塩基とも呼ばれる)、すなわち「a」、「c」、「g」および「t」(またはRNAにおいては「u」)からなるポリマー分子、すなわちDNA、RNAまたはその改変体を示す。このポリヌクレオチド分子は、天然のポリヌクレオチド分子もしくは合成ポリヌクレオチド分子、または1つ以上の天然のポリヌクレオチド分子と1つ以上の合成ポリヌクレオチド分子との組合せであり得る。また、この定義によって、1つ以上のヌクレオチドが変化(例えば突然変異誘発によって)、欠失または付加されている天然のポリヌクレオチド分子が包含される。核酸は、単離されているか、または別の核酸(例えば発現カセット、プラスミド、または宿主細胞の染色体)に組み込まれているかのいずれかであり得る。核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列によって特徴付けられる。「オリゴヌクレオチド」という用語は、最大で10個の個々のヌクレオチド(塩基とも呼ばれる)、すなわち「a」、「c」、「g」および「t」(またはRNAにおいては「u」)からなるポリマー分子を示す。
当業者には、例えばポリペプチドのアミノ酸配列を、このアミノ酸配列をコードする対応する核酸配列へと変換するための手順および方法は周知である。それ故、核酸は、個々のヌクレオチドからなるその核酸配列によって、および同様にそれによりコードされるポリペプチドのアミノ酸配列によって特徴付けられる。
基準ポリペプチド配列に対する「アミノ酸配列同一率(%)」は、配列をアラインさせ、そして必要であればギャップを導入して、配列同一部分として保存的置換は全く考慮せずに、最大の配列同一率を達成した後に、基準ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基の比率として定義される。アミノ酸配列同一率を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技能範囲内である種々の方法で、例えば、公に利用可能なコンピューターソフトウェア(例えばBLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア)を使用して達成することができる。当業者は、比較しようとする配列の全長におよび最大のアラインメントを達成するために必要とされるあらゆるアルゴリズムを含む、配列をアラインさせるための適切なパラメーターを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一率の値は、配列比較コンピュータープログラムALIGN−2を使用して算出される。ALIGN−2配列比較コンピュータープログラムは、Genentech, Inc.によって作成され、そしてソースコードは、ユーザー文書と共にワシントンD.C.、20559の米国著作権局に届け出され、そこで米国著作権登録番号TXU510087で登録されている。ALIGN−2プログラムはGenentech, Inc., South San Francisco, Californiaから公に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムでの使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメーターは、ALIGN−2プログラムによって設定され、そして変化しない。
ALIGN−2がアミノ酸配列の比較のために使用される状況においては、所与のアミノ酸配列Bに対する所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一率(あるいは、所与のアミノ酸配列Bに対して特定のアミノ酸配列同一率を有するまたは含む所与のアミノ酸配列Aと表現することもできる)は以下のように計算される:
X/Yの割合の100倍
ここで、Xは、AおよびBのプログラムアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2による同一マッチとしてスコアリングされたアミノ酸残基の数であり、そしてYは、Bにおけるアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合には、Bに対するAのアミノ酸配列同一率は、Aに対するBのアミノ酸配列同一率と等しくないであろうことが理解されるだろう。特記しない限り、本明細書において使用された全てのアミノ酸配列同一率の値は、ALIGN−2コンピュータープログラムを使用して直前の段落で記載されたように得られる。
「組換えポリペプチド」および「組換え産生ポリペプチド」という用語は、組換え手段によって調製、発現または作製されたポリペプチド、例えば宿主細胞、例えば大腸菌、NS0、BHK、またはCHO細胞から単離されたポリペプチドを示す。
「置換」という用語は、親核酸中の1つの特定のヌクレオチドが変化して、置換/変化した核酸が得られることを示す。
本明細書において報告された方法:
本発明を実施するために有用である当業者に公知の方法および技術は、例えば、Ausubel, F.M., et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I to III, John Wiley and Sons, Inc., New York (1997); Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989), Morrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5,202,238号および米国特許第US 5,204,244号に記載されている。
各生物について、規定のアミノ酸をコードするコドンの特徴的な(個々の)使用法が与えられ得る。例えば、アミノ酸のグルタミン(一文字コードではQ)は、2つの異なるコドン(すなわちcagおよびcaa)によってコードされ得る(遺伝子コードの縮重に因り)。ヒトにおいては2つのグルタミンコドンは、それぞれ74%および26%の使用頻度を有する。大腸菌においても使用頻度は同等であり、すなわちそれぞれ82%および18%である。アミノ酸のリジン(K)も、2つの異なるコドン(すなわちaagおよびaaa)によってコードされ得る。ヒトにおいてはリジンをコードする2つの異なるコドンは、それぞれ59%および41%の使用頻度を有するが、大腸菌においてはリジンをコードする2つの異なるコドンは、それぞれ20%および80%という均等ではない使用頻度を有する。トリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸に含まれるトリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドは、トリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸の転写または翻訳プロセス中の1→3フレームシフト(突然変異)の場所であり得ることが判明した。フレームシフトの発生に因り、非コードアミノ酸配列、最も可能性が高いのはナンセンスまたは短縮化されたアミノ酸配列を有するポリペプチドが産生される。
より詳細に言えば、トリペプチドQKKをコードし、そしてより大きな、すなわち少なくともアミノ酸残基50個のポリペプチドをコードする核酸に含まれるオリゴヌクレオチドに依存して、オリゴヌクレオチドの転写または翻訳プロセス中の1→3フレームシフトが起こることが判明した。フレームシフトの頻度は、個々のコドンの組合せに依存する(以下の表を参照)。
Figure 2015508662
大腸菌において、トリペプチドQKKが核酸caa aaa aagおよびcaa aag aagによってコードされていれば、1→3フレームシフトが起こることが分かる。今回、驚くべきことに、このフレームシフトは、核酸配列cag aag aag(配列番号03)、またはcaa aag aaa(配列番号04)、またはcag aaa aaa(配列番号05)を使用することによって防ぐことができることが判明した。従って、完全長ポリペプチドの発現収率を、前記ポリペプチド中のトリペプチドQKKをコードする、配列番号03、または配列番号04、または配列番号05の核酸を使用することによって向上させることができる(同様に、完全長ではないポリペプチドの副産物の形成を減少させることができる)。
従って、本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKK(配列番号06)を含む大腸菌における(完全長)ポリペプチドの組換え産生法であり、前記方法は、以下の工程:
− 前記ポリペプチドをコードし、それにより前記ポリペプチドを産生する核酸を含む、細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程
を含み、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされることを特徴とする。
従って、本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKK(配列番号06)を含む大腸菌における(完全長)ポリペプチドの組換え産生法であり、前記方法は、以下の工程:
− 前記ポリペプチドをコードし、それにより前記ポリペプチドを産生する核酸を含む、細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程
を含み、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされることを特徴とする。
1つの態様において、前記方法は以下の工程を含む:
− ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を準備する工程、
− 細胞を培養する工程(ポリペプチドの発現に適した条件下で)、
− 細胞または培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程、
− 場合により、1回以上のクロマトグラフィー工程を用いて産生されたポリペプチドを精製する工程。
1つの態様において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)含むポリペプチドをコードする核酸は、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)中の1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得ることによって得られる。
1つの態様において、産生されたポリペプチドを、1〜5回のクロマトグラフィー工程で精製する。1つの態様において、産生されたポリペプチドを2〜4回のクロマトグラフィー工程で精製する。1つの態様において、産生されたポリペプチドを、3回のクロマトグラフィー工程で精製する。
一般的なクロマトグラフィー法およびその使用は、当業者に公知である。例えば、Heftmann, E. (ed.), Chromatography, 5th edition, Part A: Fundamentals and Techniques, Elsevier Science Publishing Company, New York (1992); Deyl, Z. (ed.), Advanced Chromatographic and Electromigration Methods in Biosciences, Elsevier Science BV, Amsterdam, The Netherlands (1998); Poole, C.F., and Poole, S.K., Chromatography Today, Elsevier Science Publishing Company, New York (1991); Scopes, R.K., Protein Purification: Principles and Practice (1982); Sambrook, J., et al. (ed.), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989);またはAusubel, F.M., et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I〜III, John Wiley & Sons, Inc., New York (1997)を参照されたい。
本明細書において報告された1つの局面は、そのアミノ酸配列にトリペプチドQKKを含むポリペプチドをコードする核酸であり、トリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)によってコードされている。
本明細書において報告された1つの局面は、本明細書において報告された核酸を含む細胞である。
本明細書において報告された1つの局面は、前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKをコードする、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)の使用である。
本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKKを含む大腸菌における(完全長)ポリペプチドの組換え産生中の副産物の形成を減少させるための方法であり、以下の工程を含む:
− 前記ポリペプチドをコードする核酸において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)中の1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得、これにより、置換されたポリペプチドをコードする核酸を産生する工程、および
− 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を含む細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収して、トリペプチドQKKを含むポリペプチドの組換え産生中の副産物の形成を減少させる工程。
本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKKを含む大腸菌における(完全長)ポリペプチドの組換え産生中の副産物の形成を減少させるための方法であり、以下の工程を含む:
− 前記ポリペプチドをコードする核酸において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)中の1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得、これにより、置換されたポリペプチドをコードする核酸を産生する工程、および
− 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を含む細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収して、トリペプチドQKKを含むポリペプチドの組換え産生中の副産物の形成を減少させる工程。
本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKKを含む大腸菌における組換え産生された(完全長)ポリペプチドの発現を増加させるための方法であり、以下の工程を含む:
− 前記ポリペプチドをコードする核酸において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)中の1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得、これにより、置換されたポリペプチドをコードする核酸を産生する工程、および
− 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を含む細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収して、前記ポリペプチドの発現を増加させる工程。
本明細書において報告された1つの局面は、トリペプチドQKKを含む大腸菌における組換え産生された(完全長)ポリペプチドの発現を増加させるための方法であり、以下の工程を含む:
− 前記ポリペプチドをコードする核酸において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)またはオリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)中の1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得、これにより、置換されたポリペプチドをコードする核酸を産生する工程、および
− 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を含む細胞または細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収して、前記ポリペプチドの発現を増加させる工程。
個々の以前の各々の局面の1つの態様において、前記方法は、以下の1つ以上のさらなる工程を含む:
− トリペプチドQKKを含むポリペプチドのアミノ酸配列またはコード核酸を準備する工程、および/または
− 細胞を、前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を用いてトランスフェクションする工程、および/または
− 置換された核酸を用いてトランスフェクションされた細胞を培養する工程(ポリペプチドの発現に適した条件下で)、および/または
− 細胞または培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程、および/または
− 場合により、1回以上のクロマトグラフィー工程を用いて産生されたポリペプチドを精製する工程。
1つの態様において、産生されたポリペプチドを、1〜5回のクロマトグラフィー工程で精製する。1つの態様において、産生されたポリペプチドを2〜4回のクロマトグラフィー工程で精製する。1つの態様において、産生されたポリペプチドを3回のクロマトグラフィー工程で精製する。
本明細書において報告された方法は、以下において、原核細胞で産生された組換えポリペプチド、すなわち、大腸菌において産生されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドを用いて例示されている。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、(N末端からC末端の方向へ)ヒトテトラネクチン三量体形成構造エレメントおよび野生型ヒトアポリポタンパク質A−Iを含む。ヒトテトラネクチン三量体構造エレメントのアミノ酸配列は、最初の9個のアミノ酸だけ短縮することができ、従って、天然の切断短縮部位である10位のイソロイシン残基から始まる。この切断短縮の結果として、4位のトレオニン残基のO−グリコシル化部位が欠失する。テトラネクチン三量体構造エレメントとヒトアポリポタンパク質A−Iの間の5個のアミノ酸残基SLKGS(配列番号08)は除去された。
向上した発現および精製のために、N末端精製タグ(例えばヘキサヒスチジンタグ)および精製タグの除去のためのプロテアーゼ切断部位を含む構築物を作製することができる。1つの態様において、プロテアーゼはIgAプロテアーゼであり、そしてプロテアーゼ切断部位は、IgAプロテアーゼ切断部位である。プロテアーゼの特異的な切断の結果、プロテアーゼ切断部位のいくつかのアミノ酸残基は、ポリペプチドのN末端に保持され、すなわち、IgAプロテアーゼ切断部位の場合には、2つのアミノ酸残基(1番目としてアラニンまたはグリシンまたはセリンまたはトレオニン、2番目としてプロリン)が、ポリペプチド(例えばテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド)のN末端に維持される。
テトラネクチン三量体形成構造エレメントは、個々のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I単量体の各々の間の非共有結合的相互作用によって構成されるテトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iホモ三量体の形成を可能とするドメインを提供する。
1つの態様において、アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、保存的アミノ酸置換を含む変異体である。
1つの態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、発現タグおよび精製タグを含み、そして
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有する。
1つの態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(IVN)は、
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有する。
従って、1つの好ましい態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(PIVN)は、
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有する。
1つの態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(XPIVN)は、
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有する。
従って、1つの態様において、テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(APIVN)は、
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有する。
1つの態様において、ヘキサヒスチジンタグを含むテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(XIVN)は、
Figure 2015508662

のアミノ酸配列を有し、Xは、以下のアミノ酸配列のいずれかであり得る:
Figure 2015508662
ポリペプチドが大腸菌株において組換え産生されている場合、N末端メチオニン残基は、通常、大腸菌プロテアーゼによって効率的に切断されないことに留意しなければならない。従って、N末端メチオニン残基は、一部、産生されたポリペプチドに存在する。
配列番号09のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、大腸菌において組換え産生された。主な副産物(全タンパク質の約10%)を検出することができた。
Lys−Cペプチドマッピング(LC−ESI−MS/MS)およびトップダウンMSを介して、アミノ酸残基1〜148のN末端アミノ酸配列(リジン)が正しかったことが確認された(配列番号13に示したように)。短縮された副産物のC末端アミノ酸配列は、VARRNGTVQTES(配列番号53)であった。ターゲットのテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドの配列からの逸脱は、トリペプチドQKKで始まった。C末端アミノ酸配列の変化は、翻訳または転写プロセス中のリーディングフレームの1→3フレームシフトに起因していた(図1参照)。
トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドの種々の変異体を試験した。オリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)は、短縮された副産物の量を30%までさらに増加させることが判明した。それに対して、オリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)、caa aag aaa (配列番号04)およびcag aaa aaa(配列番号04)を使用することによって、短縮された副産物の形成を、使用したLC−MS法の検出限界未満に減少させることができた(図2参照)。
以下の実施例、配列表、および図面は、本発明の理解を助けるために提供され、その真の範囲は、添付の特許請求の範囲に示される。本発明の精神から逸脱することなく、示された手順に改変を行なうことができることが理解される。
配列表の記載
配列番号01 オリゴヌクレオチドcaa aaa aag
配列番号02 オリゴヌクレオチドcaa aag aag
配列番号03 オリゴヌクレオチドcag aag aag
配列番号04 オリゴヌクレオチドcaa aag aaa
配列番号05 オリゴヌクレオチドcag aaa aaa
配列番号06 トリペプチドQKK
配列番号07 ヒトアポリポタンパク質A−I
配列番号08 除去されたSLKGSポリペプチド
配列番号09 発現タグおよび精製タグを含むテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド
配列番号10 テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(IVN)
配列番号11 テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(PIVN)
配列番号12 テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(XPIVN)
配列番号13 テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(APIVN)
配列番号14 ヘキサヒスチジンタグを含むテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチド(XIVN)
配列番号15〜52 リンカーポリペプチド
配列番号53 主な副産物のC末端アミノ酸配列
配列番号54 インターフェロンフラグメント
配列番号55 ヘキサヒスチジンタグ
配列番号56 IgAプロテアーゼ切断部位
異なるリーディングフレームにより、異なるアミノ酸配列がもたらされ、1→3フレームシフトにより、C末端アミノ酸配列の決定された短縮された産物(Δ分子量=−14369Da)が得られる。 1→3フレームシフトの副産物の形成に関する、トリペプチドQKKをコードする種々のオリゴヌクレオチドを含む構築物のLC−MS分析。
材料および方法
タンパク質の測定:
タンパク質濃度は、アミノ酸配列に基づいて計算されたモル吸光係数を使用して、280nmにおける吸光度(OD)を決定することによって決定された。
組換えDNA技術:
標準的な方法を使用して、Sambrook, J., et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (1989)に記載されたようにDNAを操作した。分子生物学的試薬を、製造業者の説明書に従って使用した。
実施例1
大腸菌発現プラスミドの作製および説明
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドを組換え手段によって調製した。N末端からC末端方向への発現された融合ポリペプチドのアミノ酸配列は、以下の通りである:
− アミノ酸メチオニン(M)、
− CDLPQTHSL(配列番号54)のアミノ酸配列を有するインターフェロン配列のフラグメント、
− GSリンカー、
− HHHHHH(配列番号55)のアミノ酸配列を有するヘキサヒスチジンタグ、
− GSリンカー、
− VVAPPAP(配列番号56)のアミノ酸配列を有するIgAプロテアーゼ切断部位、および
− 配列番号10のアミノ酸配列を有するテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I。
前記したようなテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドは、前駆体ポリペプチドであり、これから、最終的なテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドが、IgAプロテアーゼを使用したin vitroにおける酵素的切断によって遊離した。
前駆体ポリペプチドをコードする融合遺伝子は、公知の組換え法および技術を用いて、適切な核酸セグメントとの連結によって構築された。化学合成によって作製された核酸配列は、DNAシークエンスによって確認された。配列番号09の融合ポリペプチドをコードする配列番号10のテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドの産生のための発現プラスミドは、以下のように調製された。
大腸菌発現プラスミドの作製:
プラスミド4980(4980−pBRori−URA3−LACI−SAC)は、大腸菌におけるコア−ストレプトアビジンの発現のための発現プラスミドである。それは、プラスミド1966(1966−pBRori−URA3−LACI−T−リピート;EP−B1422237において報告されている)に由来する3142bp長のEcoRI/CelIIベクターフラグメントを、435bp長のコア−ストレプトアビジンをコードするEcoRI/CelIIフラグメントとライゲーションすることによって生成された。
コア−ストレプトアビジン大腸菌発現プラスミドは、以下のエレメントを含む:
− 大腸菌における複製のためのベクターpBR322の複製起点(Sutcliffe, G., et al., Quant. Biol. 43 (1979) 77-90によると、2517〜3160bp位に相当する)、
− 大腸菌pyrF突然変異株の相補性(ウラシル栄養要求性)によるプラスミドの選択を可能とする、オロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼをコードするSaccharomyces cerevisiaeのURA3遺伝子(Rose, M. et al. Gene 29 (1984) 113-124)、
− 以下を含むコア−ストレプトアビジン発現カセット
− Stueber, D., et al.(前記参照)による合成リボソーム結合部位を含む、T5ハイブリッドプロモーター(Bujard, H., et al. Methods. Enzymol. 155 (1987) 416-433およびStueber, D., et al., Immunol. Methods IV (1990) 121-152によるT5-PN25/03/04ハイブリッドプロモーター)、
− コア−ストレプトアビジン遺伝子、
− 2つのバクテリオファージ由来転写終結因子、すなわちλ−T0終結因子(Schwarz, E., et al., Nature 272 (1978) 410-414)およびfd−終結因子(Beck, E.およびZink, B., Gene 1-3 (1981) 35-58)、
− 大腸菌由来のlacIリプレッサー遺伝子(Farabaugh, P.J., Nature 274 (1978) 765-769)。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体ポリペプチドの発現のための最終発現プラスミドは、単一のフランキングしているEcoRIおよびCelII制限エンドヌクレアーゼ切断部位を使用してベクター4980からコア−ストレプトアビジン構造遺伝子を切り出し、そして前駆体ポリペプチドをコードするEcoRII/CelII制限酵素部位にフランキングしている核酸を、3142bp長のEcoRI/CelII−4980ベクターフラグメントに挿入することによって調製された。
実施例2
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの発現
融合タンパク質の発現のために、大腸菌栄養要求性(PyrF)の相補による抗生物質を用いないプラスミドの選択を可能とする大腸菌宿主/ベクター系を使用した(欧州特許第0972838号および米国特許第6,291,245号を参照)。
大腸菌K12 CSPZ−2株(leuB、proC、trpE、th−1、ΔpyrF)を、発現プラスミドp(IFN−His6−IgA−テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I)を用いての電気穿孔によって形質転換した。形質転換された大腸菌細胞をまず37℃で寒天プレート上で増殖させた。
発酵プロトコール1:
前発酵のために、約1g/lのL−ロイシン、約1g/lのL−プロリンおよび約1mg/lのチアミン−HClが添加された、Sambrook et al (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))によるM9培地を使用した。
前発酵のために、整流装置を有する1000mlのエーレンマイヤーフラスコ中の300mlのM9培地に、初代種子バンクアンプルからの2mlを接種した。培養を、1〜3の吸光度(578nm)が得られるまで、37℃で13時間回転振とう機で実施した。
発酵のために、Riesenberg et al.によるバッチ培地を使用した(Riesenberg, D., et al., J. Biotechnol. 20 (1991) 17-27): 27.6g/l グルコース*HO、13.3g/l KHPO、4.0g/l (NHHPO、1.7g/l クエン酸塩、1.2g/l MgSO*7 HO、60mg/l クエン酸鉄(III)、2.5mg/l CoCl*6 HO、15mg/l MnCl*4 HO、1.5mg/l CuCl*2 HO、3mg/l HBO、2.5mg/l NaMoO*2 HO、8mg/l Zn(CHCOO)*2 HO、8.4mg/lチトリプレックスIII、1.3ml/l シンペロニック10%消泡剤)。バッチ培地に、それぞれ5.4mg/lのチアミン−HCl並びに1.2g/lのL−ロイシンおよびL−プロリンを添加した。フィード1溶液は、19.7g/l MgSO*7 HOが添加された700g/lのグルコースを含んでいた。pH調節のためのアルカリ溶液は、それぞれ50g/lのL−ロイシンおよび50g/lのL−プロリンが添加された12.5%(w/v)NH水溶液であった。全ての成分を脱イオン水に溶解した。
10リットルのバイオスタットC DCU3発酵槽(Sartorius, Melsungen, Germany)で発酵を実施した。6.4リットルの無菌の発酵バッチ培地と前発酵からの300mlの接種材料を用いて開始し、バッチ発酵を、37℃、pH6.9±0.2、500mbarおよび通気速度10リットル/分で実施した。最初に添加したグルコースを枯渇させた後、温度を28℃にシフトし、そして発酵はフェッドバッチモードに入った。ここで溶存酸素(pO)の相対値を、一定して増加する撹拌速度(10時間以内に550rpmから1000rpmに、そして16時間以内に1000rpmから1400pmに)および通気速度(10時間以内に10リットル/分から16リットル/分に、そして5時間以内に16リットル/分から20リットル/分に)と組み合わせてフィード1に加えることによって50%に維持した(DO-stat、例えば Shay, L.K., et al., J. Indus. Microbiol. Biotechnol. 2 (1987) 79-85参照)。追加のアミノ酸の供給は、約8時間の培養後にpHが調節下限(6.70)に達した場合に、アルカリ溶液の添加からもたらされた。組換え治療タンパク質の発現は、吸光度70で1mMのIPTGの添加によって誘導された。
発酵終了時に、細胞質内および可溶性の発現テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、加熱工程(発酵槽中の全培養ブロスを収集前に1〜2時間、50℃まで加熱する)により、不溶性のタンパク質凝集物(いわゆる封入体)へと移行する(例えば、EP−B1486571参照)。その後、発酵槽の内容物を、フロースルー遠心機(13,000rpm、13リットル/h)を用いて遠心分離し、そして収集したバイオマスをさらに処理するまで−20℃で保存した。合成されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体タンパク質は、不溶性のタンパク質凝集物、いわゆる封入体(IB)の形態で、不溶性細胞片画分においてのみ認められた。
発酵槽から回収された試料(1つは誘導前、そしてその他はタンパク質発現の誘導後の特定の時点でのもの)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分析する。どの試料からも、同量の細胞(ODターゲット=5)を5mLのPBS緩衝液に再懸濁し、そして超音波を介して氷上で破砕した。その後、100μLの各懸濁液を遠心分離にかけ(15,000rpm、5分間)、そして各上清を取り出し、そして別々のバイアルに移す。これは、可溶性発現ターゲットタンパク質と、不溶性発現ターゲットタンパク質とを識別するためである。各上清(=可溶性)画分に、SDS試料緩衝液300μLを、および各ペレット(=不溶性)画分に、SDS試料緩衝液400μL(Laemmli, U.K., Nature 227 (1970) 680-685)を加える。試料を15分間95℃で振とう下で加熱し、試料中の全てのタンパク質を可溶化および還元する。室温まで冷却した後、5μLの各試料を4〜20%のTGX Criterion Stain Freeポリアクリルアミドゲル(Bio-Rad)に移す。さらに既知の製品タンパク質濃度(0.1μg/μl)を有する5μlの分子量標準物質(Precision Plus Protein Standard, Bio-Rad)および3つの量の(0.3μl、0.6μl、および0.9μl)定量標準物質をゲル上に配置する。
電気泳動を200Vで60分間行ない、その後、ゲルをGelDOC EZ Imager (Bio-Rad)に転写し、そしてUV照射により5分間処理した。ゲルの画像を、Image Lab分析ソフトウェア(Bio-Rad)を使用して分析した。3つの標準物質を用いて、直線回帰曲線を、0.99超の係数を用いて計算し、そして元の試料中のターゲットタンパク質の濃度を計算した。
発酵プロトコール2:
前発酵のために、約1g/lのL−ロイシン、約1g/lのL−プロリンおよび約1mg/lのチアミン−HClが添加された、Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1989))によるM9培地を使用した。
前発酵のために、整流装置を有する1000mlのエーレンマイヤーフラスコ中の300mlの改変M9培地に、寒天プレートから、または初代種子バンクアンプルからの1〜2mlを接種した。培養を、1〜3の吸光度(578nm)が得られるまで、37℃で13時間回転振とう機で実施した。
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの発酵および高収率での発現のために、以下のバッチ培地およびフィードを使用した。
8.85g/lのグルコース、63.5g/lの酵母抽出物、2.2g/lのNHCl、1.94g/lのL−ロイシン、2.91g/lのL−プロリン、0.74g/lのL−メチオニン、17.3g/lのKHPO*H2、2.02g/lのMgSO*7 HO、25.8mg/lのチアミン−HCl、1.0ml/lのシンペロニック10%消泡剤。フィード1溶液は、1.67g/lのL−メチオニン並びに各々5g/lのL−ロイシンおよびL−プロリンが添加された、333g/lの酵母抽出物および333g/lの85%グリセロールを含んでいた。フィード2は、600g/lのL−プロリン溶液であった。pH調節のためのアルカリ溶液は10%(w/v)KOH溶液であり、そして酸として75%グルコース溶液を使用した。全ての成分を脱イオン水に溶解した。
発酵を、10リットルのバイオスタットC DCU3発酵槽(Sartorius, Melsungen, Germany)で行なった。5.15リットルの無菌の発酵バッチ培地と前発酵からの300mlの接種材料を用いて開始し、フェッドバッチ発酵を、25℃、pH6.7±0.2、300mbarおよび通気速度10リットル/分で実施した。最初に添加したグルコースが枯渇する前に、培養液は吸光度15(578nm)に達し、そしてフィード1を70g/hで開始した場合、発酵はフェッドバッチモードに入った。培養液中のグルコース濃度をモニタリングしながら、フィード1を、グルコース蓄積を回避しつつ、そしてpHを調節上限6.9付近に保持しながら、最大150g/hまで増加させた。吸光度50(578nm)でフィード2を一定フィード速度10ml/hで開始した。溶存酸素(pO)の相対値を、撹拌速度(500rpmから1500rpmに)、通気速度(10リットル/分から20リットル/分に)および圧力(300mbarから500mbarに)を平行して増加させることによって50%超に保持した。組換え治療タンパク質の発現は、吸光度90で1mMのIPTGの添加によって誘導された。
発酵槽から回収された7つの試料(1つは誘導前、そしてその他はタンパク質発現の誘導後の特定の時点でのもの)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて分析する。どの試料からも、同量の細胞(ODターゲット=5)を5mLのPBS緩衝液に再懸濁し、そして超音波を介して氷上で破砕した。その後、100μLの各懸濁液を遠心分離にかけ(15,000rpm、5分間)、そして各上清を取り出し、そして別々のバイアルに移す。これは、可溶性発現ターゲットタンパク質と、不溶性発現ターゲットタンパク質とを識別するためである。各上清(=可溶性)画分に、SDS試料緩衝液300μLを、および各ペレット(=不溶性)画分に、SDS試料緩衝液200μL(Laemmli, U.K., Nature 227 (1970) 680-685)を加える。試料を15分間95℃で振とう下で加熱し、試料中の全てのタンパク質を可溶化および還元する。室温まで冷却した後、5μLの各試料を10%Bis−トリスポリアクリルアミドゲル(Novagen)に移す。さらに既知の製品タンパク質濃度(0.1μg/μl)を有する5μlの分子量標準物質(Precision Plus Protein Standard, Bio-Rad)および3つの量の(0.3μl、0.6μl、および0.9μl)定量標準物質をゲル上に配置する。
電気泳動を200Vで35分間行ない、その後、ゲルをクーマシーブリリアントブルーR色素で染色し、加熱した水で脱染し、そしてデジタル化のために吸光光度計に移す(GS710, Bio-Rad)。ゲル画像を、Quantity One 1-D分析ソフトウェア(Bio-Rad)を使用して分析した。3つの標準物質を用いて、直線回帰曲線を、0.98超の係数を用いて計算し、そして元の試料中のターゲットタンパク質のその濃度を計算した。
発酵終了時に、細胞質内および可溶性の発現テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iを、加熱工程(発酵槽中の全培養ブロスを収集前に1または2時間、50℃まで加熱する)により、不溶性のタンパク質凝集物(いわゆる封入体)へと移行する(例えば、EP−B1486571参照)。加熱工程後、合成されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I前駆体タンパク質は、IBの形態で不溶性細胞片画分においてのみ認められた。
発酵槽の内容物を4〜8℃まで冷却し、フロースルー遠心機(13,000rpm、13リットル/h)を用いて遠心分離し、そして収集したバイオマスをさらに処理するまで−20℃で保存する。収集した全バイオマスは、発現構築物に依存して、39g/lから90g/lの乾燥物の範囲であった。
実施例3
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−Iの調製
封入体の調製は、リン酸カリウム緩衝溶液(0.1M、1mMのMgSOが添加されている、pH6.5)中に収集された細菌細胞を再懸濁することによって実施された。DNAseの添加後、細胞を、900barの圧力でホモジナイズすることによって破砕した。1.5MのNaClを含む緩衝溶液を、ホモジナイズされた細胞懸濁液に加えた。25%(w/v)HClを用いてpH値を5.0に調整した後、最終の封入体スラリーがさらなる遠心分離工程の後に得られた。スラリーは、さらなる処理まで、単回使用の無菌プラスチックバッグに−20℃で保存された。
7gの封入体を、140mlの可溶化緩衝液(8Mの塩化グアニジニウム、50mMのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0)に一晩かけて可溶化した。遠心分離して、不溶性材料を除去した後、緩衝液を、SG Hydrosart 10kDaメンブラン(Sartorius Stedim)を使用して7.2Mの塩化グアニジニウム、50mMのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0へとダイアフィルトレーションによって変化させた。前記溶液を、50mMのトリス(pH8.0)の添加によって2Mの塩化グアニジニウムまで希釈した。遠心分離後、可溶化タンパク質を、2M塩化グアニジニウム、50mMのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0中で平衡化したIMAC(Zn2+をローディングしたFractogel(登録商標)EMDキレート、Merck Chemicals)にローディングした。基線に到達した後、カラムを、20%エチレングリコール、50mMのトリス、10mMのメチオニンで洗浄し、その後、1Mのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0で再度平衡化した。
カラムでのIgAプロテアーゼによる切断を、1Mトリス(pH8.0)中のIgAプロテアーゼ(IgAプロテアーゼ:タンパク質=1:100w/w)を用いて一晩かけて実施した。切断されたテトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドを、1Mのトリス、10mMのメチオニン、pH8を用いてカラムから洗浄した。7.5Mの尿素、20mMのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0への緩衝液の交換は、限外濾過によって達成された。テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドを、同緩衝液中で平衡化したQ−セファロース(商標)Fast Flow (GE Healthcare)にローディングした。カラムを、7.5Mの尿素、20mMのトリス、pH8.0で洗浄し、その後、平衡緩衝液中で75mMのNaClまでの塩勾配にかけた。融合ポリペプチドが溶出し始めたらすぐに、塩濃度を、10カラム容量で一定に維持した。その後、塩勾配を続け、さらなる溶出工程を同緩衝液中250mMおよび500mMのNaClを用いて実施した。回収した画分を、7.2Mの塩化グアニジニウム、50mMのトリス、10mMのメチオニン、pH8.0に対して透析し、そして4℃で保管した。
実施例4
テトラネクチン−アポリポタンパク質A−I融合ポリペプチドの分析
IMAC(Zn2+をローディングしたFractogel(登録商標)EMDキレート)およびQ−セファロース(商標)精製カラムからのプールおよび画分を脱塩し、そしてエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)によって分析した。
脱塩は、セファデックスG25スーパーファイン材料(Amersham Bioscience 17-0851-01)を用いて社内で充填されたHR5/20カラム(0.7×22cm、Amersham Bioscience)、および40%アセトニトリル、2%ギ酸を含む均一濃度の溶出を1ml/分の流速で使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによって非直結式で実施された。シグナルを280nmの波長でモニタリングし、そして溶出したテトラネクチン−アポリポタンパク質融合ポリペプチドのピークを手作業で集めた。
フラグメントの存在をモニタリングするためのESI−MSを、デクラスタリング電圧50およびフォーカシング電圧200を使用して、Triversa NanoMateソースシステム(Advion, Ithaka, USA)の装備されたQ-Star Elite QTOF質量分析計(Applied Biosystems (ABI), Darmstadt, Germany)で実施した。5秒間あたりに15回のスキャンを、700〜2000のm/z範囲で記録した。
ESI−MSデータを、2つのソフトウェアパッケージ、すなわちAnalyst (Applied Biosystems (ABI), Darmstadt, Germany)およびMassAnalyzer (社内で開発されたソフトウェアプラットフォーム)を使用して分析した。質量分析を、それぞれのQKKトリペプチドをコードするオリゴヌクレオチドにおけるフレームシフトから生じる、タンパク質フラグメントの分子量を有するシグナルの存在について手作業で確認した(予想される完全長の融合ポリペプチドの分子量と比較してΔ−14369Da)。

Claims (7)

  1. トリペプチドQKKを含む大腸菌細胞における(完全長)ポリペプチドの組換え産生法であって、以下の工程:
    − 前記ポリペプチドをコードし、それにより前記ポリペプチドを産生する核酸を含む、細胞または大腸菌細胞培養の培養培地から前記ポリペプチドを回収する工程を含み、
    前記ポリペプチドに含まれるトリペプチドQKKは、オリゴヌクレオチドcag aaa aaaまたはオリゴヌクレオチドcaa aag aaaによってコードされることを特徴とする、方法。
  2. 以下の工程:
    − ポリペプチドをコードする核酸において、トリペプチドQKKをコードするオリゴヌクレオチドcaa aaa aag(配列番号01)またはオリゴヌクレオチドcaa aag aag(配列番号02)またはオリゴヌクレオチドcag aag aag(配列番号03)のうちの1〜3個のヌクレオチドを置換して、オリゴヌクレオチドcaa aag aaa(配列番号04)またはオリゴヌクレオチドcag aaa aaa(配列番号05)を得、これにより、置換されたポリペプチドをコードする核酸を産生する工程と、
    − 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸を含む細胞か、細胞培養の培地かから前記ポリペプチドを回収して、トリペプチドQKKを含むポリペプチドの組換え産生中の副産物の形成を減少させる工程とを含む、
    トリペプチドQKKを含む完全長ポリペプチドの大腸菌細胞における組換え産生中の副産物の形成を減少させる方法。
  3. 前記方法は、以下の1つ以上のさらなる工程:
    − トリペプチドQKKを含むポリペプチドのアミノ酸配列か、該配列をコードする核酸を準備する工程、および/または
    − 前記ポリペプチドをコードする置換された核酸で細胞をトランスフェクションする工程、および/または
    − (ポリペプチドの発現に適した条件下で)前記置換された核酸でトランスフェクションされた細胞を培養する工程、および/または
    − 前記細胞または培地から前記ポリペプチドを回収する工程、および/または
    − 場合により、1回以上のクロマトグラフィー工程を用いて産生された前記ポリペプチドを精製する工程を含む、
    請求項1または2のいずれか1項記載の方法。
  4. 産生された前記ポリペプチドは、1ないし5回のクロマトグラフィー工程を用いて精製されることを特徴とする、請求項2ないし3のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記ポリペプチドは、アポリポタンパク質A−Iか、アポリポタンパク質A−Iの機能を有するその変異体か、その融合ポリペプチドかであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 前記ポリペプチドが、配列番号09ないし配列番号14を含む群から選択されたアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項5記載の方法。
  7. 前記ポリペプチドは配列番号11のアミノ酸配列を有することを特徴とする、請求項5ないし6のいずれか1項記載の方法。
JP2014559174A 2012-02-29 2013-02-26 1→3リーディングフレームシフトを減少させるための方法 Pending JP2015508662A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP12157513.8 2012-02-29
EP12157513 2012-02-29
EP12162814.3 2012-04-02
EP12162814 2012-04-02
PCT/EP2013/053753 WO2013127752A1 (en) 2012-02-29 2013-02-26 Method for reduction of 1->3 reading frame shifts

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015508662A true JP2015508662A (ja) 2015-03-23

Family

ID=47748651

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014559174A Pending JP2015508662A (ja) 2012-02-29 2013-02-26 1→3リーディングフレームシフトを減少させるための方法

Country Status (10)

Country Link
US (1) US20150064746A1 (ja)
EP (1) EP2820039A1 (ja)
JP (1) JP2015508662A (ja)
KR (1) KR20150009953A (ja)
CN (1) CN104136460A (ja)
CA (1) CA2863108A1 (ja)
HK (1) HK1199045A1 (ja)
MX (1) MX2014009979A (ja)
RU (1) RU2014138583A (ja)
WO (1) WO2013127752A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6207507B2 (ja) 2011-08-25 2017-10-04 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーF. Hoffmann−La Roche Aktiengesellschaft 短縮されたテトラネクチン−アポリポプロテインa−i融合タンパク質、それを含む脂質粒子、及びその使用
CA2997263C (en) * 2015-09-08 2022-10-04 Theripion, Inc. Apoa-1 fusion polypeptides and related compositions and methods

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010049933A1 (en) * 2008-10-30 2010-05-06 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd. Efficient expression of truncated human rnaset2 in e. coli

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5202238A (en) 1987-10-27 1993-04-13 Oncogen Production of chimeric antibodies by homologous recombination
US5204244A (en) 1987-10-27 1993-04-20 Oncogen Production of chimeric antibodies by homologous recombination
SE500941C2 (sv) 1989-08-16 1994-10-03 Algy Persson Förfarande och apparat för snittning av ett preparat
US5643757A (en) 1994-03-21 1997-07-01 American Cyanamid Company High yield production of human apolipoprotein A1 in E. coli.
US6291245B1 (en) 1998-07-15 2001-09-18 Roche Diagnostics Gmbh Host-vector system
EP0972838B1 (en) 1998-07-15 2004-09-15 Roche Diagnostics GmbH Escherichia coli host/vector system based on antibiotic-free selection by complementation of an auxotrophy

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010049933A1 (en) * 2008-10-30 2010-05-06 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd. Efficient expression of truncated human rnaset2 in e. coli

Also Published As

Publication number Publication date
RU2014138583A (ru) 2016-04-20
EP2820039A1 (en) 2015-01-07
WO2013127752A1 (en) 2013-09-06
KR20150009953A (ko) 2015-01-27
US20150064746A1 (en) 2015-03-05
MX2014009979A (es) 2014-09-08
HK1199045A1 (en) 2015-06-19
CA2863108A1 (en) 2013-09-06
CN104136460A (zh) 2014-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210284698A1 (en) Stabilized soluble pre-fusion rsv f polypeptides
EP3210997B1 (en) Agents and methods for the expression and secretion of peptides and proteins
EP2986633B1 (en) Methods for the expression of peptides and proteins
JP2003501035A (ja) 安定性に関して改変されたサイトカイン
TW200813093A (en) Refolding of recombinant proteins
EP3943599A1 (en) Aminoacyl-trna synthetase for efficiently introducing lysine derivative in protein
KR20140135959A (ko) 온-컬럼 효소적 절단
Tomisawa et al. Efficient production of a correctly folded mouse α-defensin, cryptdin-4, by refolding during inclusion body solubilization
JP2015508662A (ja) 1→3リーディングフレームシフトを減少させるための方法
US9487576B2 (en) Method for reduction of 1->2 reading frame shifts
Tamas et al. A β-turn rich barley seed protein is correctly folded in Escherichia coli
EP2839010B1 (en) Method of producing a recombinant peptide
KR101858598B1 (ko) 인터페론 알파 5의 제조방법
JPH11508134A (ja) 肥満症蛋白質中間体およびその製法と使用
JPH01199998A (ja) 新規ポリペプチド及びそれをコードするdna
Tamas et al. A 6-Turn Rich Barley Seed Protein ls Correctly Folded
JPH02142476A (ja) 新規組換えプラスミドpGRFM44−6
EP2912173A1 (en) Process for preparation and purification of recombinant human oncostatin m protein

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150312

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171017