JP2015506496A - 4f光学系を用いた位相画像システム - Google Patents
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Abstract
本発明は、4F光学系を用いた位相画像システムに関するものであり、特に、当該4F光学系を用いた位相画像システムを使用する際に、物体の定量的位相情報を再構成する方法に関するものである。本発明は、物体により引き起こされる複素空間変調に加えて、二次元複素空間光変調器(SLM)を使用して複素空間合成変調をおこなう。上記SLMは、合成変調が物体変調と重ね合わせられ、それが当該位相画像システムの入力面に位置するように配置される。当該位相画像システムからの出力画像を評価することにより、出力画像におけるパラメータを最適化するように、上記合成変調を選択する。これにより、最終的な出力画像からの定性的および定量的な物体位相情報の再構成過程を改善することができる。
Description
本発明は、4F光学系を用いた位相画像システムに関するものであり、特に、このシステムを使用した際の物体の定量的位相情報の再構成に関するものである。
(位相情報の曖昧さ)
多くの生物サンプルがほとんど透明であり、普通の顕微鏡では観察が難しい。このことにより、位相差顕微鏡が生物学において広く使われている。光の強度より、むしろ位相差を観察することにより、このようなサンプルは、より高い画質で描画することができる。
多くの生物サンプルがほとんど透明であり、普通の顕微鏡では観察が難しい。このことにより、位相差顕微鏡が生物学において広く使われている。光の強度より、むしろ位相差を観察することにより、このようなサンプルは、より高い画質で描画することができる。
位相差顕微鏡は、細胞内での微小な光学路の変化に対して鋭敏であるが、そこから引き出される情報は定性的である。すなわち、それにより、サンプル内の位相遅れの真の値を得ることはできない。干渉を使用した位相画像法の一つの問題として、違う位相でも、得られた干渉パターン内において、同じ強度を持ちうるということが挙げられる。例えば、位相+π/2と-π/2の光線を、位相0の参照光と干渉させた場合、この2つの光線は同じ強度の干渉を示す。この位相情報の曖昧さの問題は、従来の干渉法においては、参照光に種々の位相シフトをかけて干渉パターンを取得することにより解決することができる。一般化位相コントラスト(GPC)において、GPC出力を、コントラストフィルタの種々の位相シフトを行って取得するという同様な手法が採用されている。(P. J. Rodrigo, D. Palima, and J. Gluckstad, "Accurate quantitative phase imaging using generalized phase contrast," Opt. Express 16, 2740-2751 (2008)参照)。これにより、サンプルの各部位間の光路長において、波長の1/10以上の光路差を明瞭に視覚化することができる。
一般に、位相差顕微鏡及びGPCは、位相差フィルタ(PCF)を使用した共通光路干渉計の形態を有する4F光学系を適用して、位相シフトした参照光(合成参照波、SRW)を合成する。出力面において、SRWと入力位相画像が干渉することにより、高コントラストの強度分布が得られる。
一般に、位相差顕微鏡は、種々の対物レンズを有し、各対物レンズには、物体位相変調の比較的狭い範囲において十分なフィルタリング効果が得られるようなフィルタリング関数が選択されたPCPが取り付けられている。こうした構成は、いわゆる「弱い位相変調」に対応する物体に対してうまく機能する。しかし、強い位相変調を引き起こす物体を調べようとすると、問題が発生し、疑似画像が出現したりする。一般化位相コントラスト(GPC)においては、種々のフィルタ関数を使用することにより、物体位相変調の広い範囲にわたって、最適な位相コントラストが得られている。(J. Gluckstad and P. C. Mogensen, "Optimal phase contrast in common-path interferometry," Appl. Opt. 40 , 268-282 (2001)参照)。これらの方法は、弱い位相変調を引き起こす物体を視覚化するのには十分であるが、大きな位相変調を視覚化したり、また、定量的な位相画像化については、満足できる結果が得られるものではない。
共通光路干渉計は、入力位相変調のうち、低周波成分を使用して、参照波を作成し、これにより、位相パターンを視覚化している。しかしながら、未知の物体による位相変調が予測できない場合、画像化された位相物体像は、十分な低周波成分をもたない可能性があり、合成された参照波は、弱すぎて、低画質の干渉パターンしか得られない可能性がある。例えば、π逆位相の領域からの光はお互いに光軸上で打ち消しあってしまうので、完全に対象な位相パターンは、ゼロ次の成分を含まない可能性がある。言い換えると、未知の物体を画像化する場合、PCFのフィルタ関数が、画像化する位相物体のフーリエ変換の周波数成分に適切であるかどうかは保証することができない、ということである。
4F光学系を用いた画像システムの出力画像を向上させる技術に関する文献が数多くでている。
US2009/0290156は、透明なサンプルについて、定量的な位相マップを描画する技術に関するものである。広帯域光源、対物レンズ、フーリエ光学素子、及びプログラマブル二次元位相変調器を組み合わせて、フィルタ面において使用し、画像面において、強度及び位相情報を得るものである。プログラマブル二次元位相変調器は、物体位相変調のフーリエ変換の周波数成分に適切な位相リングを形成するようにプログラム可能である。(例えば、[0091]〜[0096]及び図6a乃至6cを参照)。
このように、位相リングは、種々の位相シフトや振幅変調をおこすようにプログラム可能ではあるが、それは、リング内で周波数変数を調整できるに過ぎなく、これは、この方法の欠点となっている。未知の物体位相変調を可視化する場合、このリング内の周波数成分はひずんでいるか、または、弱すぎる可能性があり、その結果、出力には、弱いコントラストしか出ないという問題となる。この問題に対して、US2009/0290156の[0092]で説明しているように、SLM(空間光変調器)は、種々のマスクを表示するようにプログラムされてもよく、例えば、参照光に適切な周波数成分を選択するようにプログラムされてもよい。
文献「Opt. Express 19821, vol. 16, No. 24, 24 November 2008」には、2つのSLM(空間光変調器)を使用する例が記述されている。このうち、一つのSLMは、周波数フィルタを形成するもので、例えば、位相リングまたは、ランダムな位相ドット列等を形成する。他方のSLMは、フィルタ面において、フィルタパターンに一致するリングまたはドット列を形成するように正確に調整されたホログラムで符号化される。ランダムドット列を使用した場合、リングフィルタを使用した場合に現れる不要な疑似画像のいくつかは、最小化することができる。しかし、未知の物体の位相変調波を可視化する場合、ドット内の周波数成分は歪んでいたり、あるいは、弱すぎて、出力に弱いコントラストしか付かないという問題がある。
文献「Opt. Exp. 14063, Vol. 18, No. 13, 21 June 2010」は、定量的な微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡に関するものであり、ビデオ速度にて、複数の位相シフトしたDIC画像を、完全電子化で取得することができる。これを解析することにより、サンプルの光路長の変動を得ることができる。これは、SLMを、微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡内で、自由度が高いフーリエフィルタとして使用するものである(アブストラクト、図1)。
特許文献「EP0840159A1」は、対象画像を表示する画像生成装置に関する物であり、4Fの配置構造からなる装置が記述されている。画像は、液晶ディスプレイを使用して、4F配置構造の入力面に形成され、平行配向液晶空間光変調器(PALSLM)に結像される。この参照文献は、4F配置構造からの出力画像が目標画像に一致するように、LCDパネル、及びPALSLMとPCFのパラメータを最適化する方法を開示している。よって、この参照文献は、既知の画像の画像形成に関するものである。
本発明は、4F光学系に基づいた位相画像化システムにおける画質の改善を目的とするものであり、このための方法、コンピュータ・プログラム、及び画像システムを提供する。
従来技術において、4F光学系を用いた画像システムで物体を画像化する際には、画像化対象の物体により与えられた位相変調と空間振幅とが、物体を照射する光の開口関数と相まって、フーリエ変換の周波数成分を決定する。周波数成分とPCFとの相互作用がSRWを決定し、このSRWが物体位相変調との干渉により出力面にて強度画像を形成するのである。このため、出力画像の定性的パラメータおよび定量的パラメータは主に、通常は未知である物体変調により決定される。例えば、物体位相変調のフーリエ変換の周波数成分とPCFのフィルタリング関数との整合性が低いと、コントラストの低い画像が形成されてしまう可能性がある。そのため、出力画像の質が低い場合には、画像化対象の物体に対してより適切になるように4F配置構造を修正しなければならないのである。
特許文献「US2009/0290156」では、物体の定量的位相画像化を行うためにPCFの位相シフトを種々異ならせることが記載されている。
本発明は、周知の4F光学系を用いた画像システムを複素SLMと組み合わせることにより調節可能な複素空間変調(以下では合成変調ともいう)を加え、この合成変調を物体変調に重ね合わせて、統合変調を形成し(以下では統合変調ともいう)、この統合変調を画像化する、という新しいアプローチを用いるものである。合成変調を制御するというのは、入力統合変調を制御するということであり、その結果フーリエ変換の周波数成分、ひいてはSRWを制御する、ということである。つまり、物体によって決定される入力変調に整合するように4F配置構造を変更するのではなく、4F配置構造の性能に整合するように入力変調を変更するのである。
第一の側面において本発明は、請求項1記載の、4F光学系を用いた位相画像システムを用いて物体の定量的位相画像を再構成する方法を提供する。
第二の側面において本発明は、請求項15記載の、4F光学系を用いた位相画像システムにより画像化された物体の定量的位相画像を再構成するためのコンピュータ・プログラムを提供する。
第三の側面において本発明は、請求項16記載の、物体の定量的位相画像を再構成する4F光学系を用いた位相画像システムを提供する。
合成変調を調節することによって、統合変調のフーリエ変換の周波数成分を制御して、この周波数成分をPCFに適したものとすることができる。これによって、PCFを最適及び/又は意図した通りに作用させることができる。その結果、ほとんどどのような物体を観察する場合でも、同じPCFを用いて、高コントラストの出力画像を提供するSRWを生成することができる。このように、本発明では、PCFのフィルタリング関数と物体位相変調のフーリエ変換の周波数成分が不適合であることに起因する参照光に関する上記の問題を解決するものである。
位相画像を再構成する方法は、通常は位相画像システムの動作中、すなわち物体の検査中において実行される。そのため、較正を必要とする場合は、そのような較正の工程は、本発明の方法の工程に先立って行ってもよい。
本発明による利点のひとつとして、合成変調の調整がコンピュータにより実行され、PCFの交換を必要としない。そのため、未知の物体を観察する場合、その位相変調の最適なGPC画像化を高速に行える。他の利点としては、上記合成変調の調整は、極めて広範囲にわたる物体位相変調について、PCFにあうように調整を合わせることができることが挙げられる。そのため、種々の異なるPCFを幅広く揃えて選択する必要がない。更なる利点として、比較的廉価なSLMが適用でき選択対象のPCFを幅広く揃える必要がなくなるため、本発明によるコスト上昇をほとんど伴わないことが挙げられる。
別の側面において、本発明は4F光学系を用いた位相画像システムの物体の定量的位相画像を再構成する方法であって、
4F光学系を用いた位相画像システムを用いた物体の画像化を行う工程であって、前記位相画像システムへの入力に複素空間の物体変調を与える処理を含む工程と、
前記位相画像システムの出力画像を評価する工程と、
前記出力画像に基づき、前記出力画像における選択パラメータを最適化するように適合された複素空間の合成変調を選択する工程と、
前記合成変調を前記物体変調に付与して統合変調を生成し、前記位相画像システムへの前記入力に当該統合変調を与えるように配置された二次元複素空間の光変調器に前記合成変調を与えさせる工程と、
前記位相画像システムを用いて前記統合変調を画像化する工程と、
前記合成変調と、前記統合変調の出力画像とに基づいて、前記物体の定量的な位相画像を再構成する工程と、
を有する方法である。
4F光学系を用いた位相画像システムを用いた物体の画像化を行う工程であって、前記位相画像システムへの入力に複素空間の物体変調を与える処理を含む工程と、
前記位相画像システムの出力画像を評価する工程と、
前記出力画像に基づき、前記出力画像における選択パラメータを最適化するように適合された複素空間の合成変調を選択する工程と、
前記合成変調を前記物体変調に付与して統合変調を生成し、前記位相画像システムへの前記入力に当該統合変調を与えるように配置された二次元複素空間の光変調器に前記合成変調を与えさせる工程と、
前記位相画像システムを用いて前記統合変調を画像化する工程と、
前記合成変調と、前記統合変調の出力画像とに基づいて、前記物体の定量的な位相画像を再構成する工程と、
を有する方法である。
複素空間変調は一般にa(x,y)eiψ(x,y)と表すことができ、空間依存性を略して、単にaeiψと表す。a(x,y)が一定の場合は位相のみの変調、ψ(x,y)が一定の場合は振幅のみの変調であることが理解される。よって、この「複素」という表現は、必ずしも、振幅と位相の両方について変調を行うことに限定されないものである。つまり、振幅と位相の両方について変調を行うことができる、ということを意味している。この標記に基づき、以下のことがいえる。
・物体によって与えられた複素空間変調をaoeiψoとし、一般に「物体変調」と呼ぶ。
・SLMによって付与される変調であり、物体変調に重ね合わされる複素空間変調をaseiψsとし、一般に「合成変調」と呼ぶ。
・合成変調と物体変調の重ね合わせにより形成された複素空間変調は、aMeiψM=ao・ei(ψo+ψs)で表され、一般に「統合変調」と呼ぶ。
・4F光学系を用いた位相画像システムに有効に入力される複素空間変調は、物体を照らす照明の残留変調(例えば、開口や環状体)、物体変調、及び選択したいずれかの合成変調の結果生じるものであり、aIeiψIで表し、一般に「画像変調」と呼ぶ。
・4F光学系を用いた位相画像システムを用いた画像プロセスから得られる出力強度分布をI(x,y)として一般に「出力画像」と呼ぶ。
・物体によって与えられた複素空間変調をaoeiψoとし、一般に「物体変調」と呼ぶ。
・SLMによって付与される変調であり、物体変調に重ね合わされる複素空間変調をaseiψsとし、一般に「合成変調」と呼ぶ。
・合成変調と物体変調の重ね合わせにより形成された複素空間変調は、aMeiψM=ao・ei(ψo+ψs)で表され、一般に「統合変調」と呼ぶ。
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・4F光学系を用いた位相画像システムを用いた画像プロセスから得られる出力強度分布をI(x,y)として一般に「出力画像」と呼ぶ。
4F光学系は、フーリエ光学の分野では4F配置構造として知られるものを用いる。典型的な4F配置構造1が図1に示されており、2枚のレンズ3、5と、透過マスク4とを含んでいる。レンズ3、5と透過マスク4とは、入力面(対物面)2と出力面(結像面)6の間の距離が4焦点距離分になるように配置されている。なお、レンズ5を省き、遠視野結像を行うことも可能である。これは理論的に、結像面6を無限遠に移動することに相当する。このような配置も図1の配置と同様に作用するため、同様に4F配置構造と呼ぶ。透過マスク4の面は、一般的にフィルタ面あるいはフーリエ面と呼ばれる。4F相関器とも知られる透過マスク4は、第一のレンズによりフーリエ変換された入力画像とマスクに与えられたマスク関数の畳み込みを行う。透過マスクは典型的には振幅と位相の変調器またはフィルタで、マスクやフィルタの機能は入射光の透過を遮蔽または減衰させる、及び/又は位相シフトをおこなう領域によって実現される。
本発明の方法の実施例の一つにおいて、4F光学系は顕微鏡であるか、顕微鏡の一部であるか、又は、顕微鏡の光路と光学的に通じている。このように、本方法は例えば位相差顕微鏡の位相情報の曖昧さの問題の対応に適用できる。この4F光学系は例えば顕微鏡に直接組み込むこともできるし、既存の顕微鏡の機能向上のために追加モジュールとして提供することもできる。追加モジュールとして提供する場合には、例えば顕微鏡のカメラポートのような出力ポートに取り付けることができる。
複素SLMは、作用光に対して振幅変調と位相変調の両方を与えることが可能であればどのようなSLMでもよい。なお、例えば回折構造が書き込まれている場合には、従来の振幅のみの変調器を使用してもよく、これにより効果的に位相変調を付与することができる。同様に、例えば回折構造が形成されている場合、干渉パターンが作られている場合、あるいは光学系の有限開口の外に光が散乱する場合には、従来の位相のみの変調器を使用してもよく、これにより、効果的に振幅変調を付与することができる。
SLMに指示可能であるということは、すなわちSLMが付与する合成変調が動的に制御できる、すなわち好ましくはコンピュータを用いて電子的にSLMに指示することにより合成変調を導入、調節、及び除去することが可能である、ということである。付与される変調は、好ましくは電子的に、例えばコンピュータを用いて、aSとψSの組み合わせとして決定される。
選択パラメータは、位相の定量化の目的と物体の種類とに応じた合成変調の選択を行う上で指針として用いられるパラメータである。選択パラメータは、定性的及び/又は定量的なパラメータ、性質、又は特徴であって、出力画像から検出可能又は導出可能である。選択パラメータは、出力画像及び/又は位相画像システムの品質を数値化したものであってもよいし、性能指数であってもよい。つまり、出力画像において選択パラメータを最適化するということは、統合変調の後段階の出力画像において、選択パラメータが所望の基準、達成目標、または目的に近づくように、合成変調を選択することである。例えば、選択パラメータがコントラストである場合には、所望の基準は以前よりも高いコントラスト、あるいはできる限り高いコントラストということになる。選択パラメータが物体変調の打ち消しである場合には、所望の基準は物体変調や合成変調を含まない出力画像に相当する出力画像ということになる。
以下に、いくつかの側面、好適及び/又は任意の特徴、構成要素、例示、実施を述べるが、ひとつの実施例や側面に関連して説明した特徴や構成要素は、適用可能な範囲で他の実施例や側面と組み合わせたり適用したりすることができる。例えば、画像システムに関連して適用した構造的特徴や機能的特徴は、適切な適用により位相画像化の方法に関連した特徴として使用することもできるし、その逆もまた同様である。さらに、本発明者による本発明の基本メカニズムの記載は説明を目的とするものであり、発明を推定するための事後分析に用いるべきではない。
好適な実施例において、4F光学系を用いた位相画像システムは、入力面における空間位相分布を出力面において強度分布として画像化するのに用いられる共通光路干渉計を備える、位相コントラスト画像システムまたは波面検出システムである。好適には、4F光学系を用いた位相画像システムはGPCシステムである。このような配置構成において、透過マスクは典型的には位相差フィルタ(phase contrast filter(PCF))であって、入力位相分布像を通過させ、かつ、位相シフトされた干渉光を生成して、その結果、入力の空間位相分布像が変換されて結像面において空間強度分布像として画像化される。本発明はこのようなシステムにおいてSRWの制御を可能にするものであり、その結果、位相コントラスト画像の品質向上を実現するものである。
更に別の実施例においては、画像記録のシーケンスにおいて合成位相変調を動的に調整することによって、出力画像から定量的な情報を導出可能にする。このことで位相情報の曖昧さ及び/又は参照光が弱すぎるということに関連した上記の問題を解決できるという効果を奏する。
好適な実施例において、上記出力画像における上記選択パラメータは、解像度、コントラスト、位相定量性、位相範囲、入力位相値と出力強度値の関係(例えばマッピング形式で)、及び合成変調による物体変調の打ち消し、の内ひとつ以上を含む。下記の様々な構成において、これらの更に詳細な説明と実施例による例示とを示す。
上記出力画像における選択パラメータはコントラストとすることができる。コントラストは一般的に、SRWの強度に関連している。この構成においては、以下のことを行う。すなわち、物体位相変調の部位間で位相バランスがなりたつことにより、少なくとも部分的な打ち消しあいがおこって弱い合成参照波を生成してしまい、低コントラストの出力画像となってしまうことがある。この構成においては、この位相バランスを崩すように合成変調を選択することができる。このような位相バランスがとれた部分配置の例として、π逆位相の部分を均一に配置した場合と、部分的に打ち消し合う非π逆位相の部分を不均一に配置した場合とが挙げられる。この打ち消し合いは、ベクトル加法として視覚化できる。選択パラメータの目的は、SRWの強度を強め、出力画像のコントラストを向上させることである。これらの部分に対して位相バランスが崩れた合成変調を導入することにより、有効位相変調とSRWとの顕著な相殺的干渉を回避することで、この目的が達成される。
人為的物体を除いては、完全な相殺的干渉は稀なため、通常の物体観察においては、合成変調の選択プロセスに用いることができる程度の品質の画像は、最初に準備することができる。また、特異的な動機に基づいて行われる実験を除いては、実際には全く未知の物体を取り扱うという事はないので、ユーザは何を観察しているのかはある程度見当がついているのが通常である。つまり、観察したい特徴の検出精度を高めるというのが趣旨になる。完全な打ち消し合いが起こっている場合には、第一段階として、縞模様、市松模様、同心円、格子、などの所定のまたは新規に考案した一連の位相追加により位相バランスをある一定の秩序に基づいて崩す。低品質の出力画像が既に利用できる場合は、第一段階として、PCFとより良く整合するSRWを作成するような意図に基づいて位相バランスを崩す。好適な実施例において、第一段階として、出力画像において同様あるいは等しい強度を持つ部分は等しく変調され、かつ異なる強度を持つ部分とは異なって変調されるように、合成変調を出力画像より導出、選択する。
この基準に従って合成変調を選択することは、統合変調の出力画像のコントラストを向上させるという効果を奏する。
出力画像の選択パラメータは、位相定量性とすることができる。これは、物体中で、位相シフトの大きさが等しくかつ逆方向の位相シフトを持つ物体変調の各部間の位相情報の曖昧さを解決することを目的としている。これは、これら各部に不均等な位相シフトを与えるような位相オフセットを導入することにより実現できる。この目的においては、出力画像中において同様な強度値を持つ部分に位相オフセットを与える合成位相変調を選択してもよい。
この目的に従って合成変調を選択することは、物体変調の出力画像における位相情報の曖昧さがおこる可能性がある、という問題点を解決できるという利点を有する。従来技術においては、これを解決するために、種々のPCFを使ったデータ記録が必要であるという問題があった。本発明は、PCFは固定でありながら、このような位相情報の曖昧さを解決できるという利点を有する。
出力画像における選択パラメータに、合成変調による物体変調の打ち消しの度合いを含めてもよい。このスキームは、物体位相変調の値の負の値となるように合成位相変調を調整し、物体位相変調、合成位相変調の双方を相殺させることを目的とする。これを反転物体アプローチと呼ぶ。このスキームにおいて好適には、物体あるいは統合変調の出力画像、及び入力位相変調と出力強度値の間の既知のあるいは予期される関係に基づき、物体位相変調を打ち消すように合成変調が選択される。すなわち、物体位相変調の反転に相当する合成変調を選択する。
その結果得られる出力画像は平面的な位相面を持つものであり、GPCにおいては、典型的には、図6に示すような中央の凸状の形状に対応する。また、開口している部分については、軸上を直進する光の二倍の強度を持つ異なった位相をもつSRWが生じていることがわかる。このように、合成変調を選択する上では、物体変調や合成変調が無い状態での位相画像システムの出力画像を把握していることが望ましい。
物体位相変調の反転に相当する合成変調は、PID(比例・積分・微分)コントローラのような反復フィードバック機構に基づいて得られることが望ましい。位相相殺ができたということは、得られた合成位相変調が、平面的な位相波面の照射光をあてた場合の物体位相変調に対応するという裏付けとなり、有用である(図9参照)。反転物体アプローチにおいては、出力画像において最適化されるものは、物体位相変調やその特性ではない。この場合、選択パラメータの目的は、出力画像のコントラストを全般的に抑えたり、あるいは、平面的な位相面を持つ照射光を照射した場合に期待される出力画像を得る、といったことである。
出力画像における選択パラメータは、入力位相値と出力位相値の関係性とすることができる。この関係を使えば、出力強度値と入力位相値の相関から統合変調を近似し、そこから物体変調を計算することができるので有用である。望ましくは、合成変調は、この関係を調整するように選択する。この一例として、物体の出力画像において物体変調がない領域(物体がない画像と同じ強度値を示す領域)を特定し、この領域に対して既知の合成位相値を設定し、その結果この領域に起こる強度値の変化を観察する。好適には、このような調整を、物体の出力画像内で物体変調がない複数の異なる領域において、複数の異なる合成位相値を用いて行う。強度値と入力値間の関係を調整することで位相の定量化を可能にするという利点を提供できる。この点については、後に図8A乃至8Gを参照して詳細に説明する。
これとは別に、あるいはこれに加えて、この関係の調整には出力画像の強度値の範囲を広げるように合成変調を選択することができる。例えば、最も低い強度値がゼロと等しくなり(黒表示)、かつ、最大(最大可能光子数)の強度値を引き上げるように調整する。この調整により、強度値と入力位相値との関係における解像度を最適化できるという効果を奏する。
出力画像における選択パラメータは、入力位相値と出力強度値の関係性とすることができ、合成変調は入力位相値と出力強度値の間に1対1の関係を形成するように選択するものである。上記1対1の関係性とは、各強度値が厳密にひとつの位相値に対応するということを意味しており、出力強度値と入力位相値とのマッピングが1対1で対応していることを意味する。これは、位相情報の曖昧さを解決し、また、入力位相値と出力強度値の関係を調整する上記の実施例を複数組み合わせることにより実現できる。
出力画像における選択パラメータは、位相画像の空間解像度とすることができる。この場合、合成変調は、位相干渉像を投影して、高い空間周波数を持つ微細な構造からの光(これは、通常は、大きな偏向角度で散乱されてしまい、位相画像システムにより捉えることができない)の向きを調整するように選択される。この場合、この合成変調により、通常失われる光、すなわち通常は物体について失われる微細な構造情報を、位相画像システムの入力に偏向して戻し、出力として検出することができる。
好適には、合成変調は、選択パラメータを、ある選択された位相範囲内で最適化するように選択してもよい。これについては後に図6A乃至6Dを参照して詳細に述べる。このことは、既存の位相画像システムについて、その限定された動作範囲に対応するのに有用な場合がある。これは合成変調による物体変調の相殺と類似するものである。この構成においては、部分的にのみ、先述の構成と同様、物体位相変調を打ち消して、使用する位相画像システムの動作範囲が狭い場合でも、その動作範囲に収まる統合変調を得るものである。この構成により、従来の位相画像システムを用いて、広い位相範囲を持つ物体を視覚化できる。ある実施例において、まず、位相相殺工程を実施する。位相相殺に使用する位相変調を導出した後、その相殺レベルを縮小したバージョンの相殺位相変調を用い、物体の構造の特徴を維持しつつ、物体位相を部分的に打ち消す。その結果、限定的な動作範囲である位相画像システムを使用したとしても、このように範囲を縮小した統合位相像を視覚化することができる。
典型的には、合成変調は、物体変調の出力画像を評価した結果に基づいて選択される。出力画像が物体位相変調を正しく、かつ位相情報の曖昧さなく、かつ定量的に表しているのであれば、合成変調を調整する必要はない。そうでない場合は、出力画像における選択パラメータを、本発明に従って適合させることより、正しい情報を得ても良い。そのような場合、合成変調の選択は物体変調の出力画像から導いてもよい。あるいは、経験的に得られている、発生率の高い問題を解決することができ、かつ、簡単にデコンボリューション(による除去)ができる既定の変調パターンを使用してもよい。これについては、後に図7A乃至7Dを参照してより詳細に述べる。
合成変調を、物体変調の出力画像の関数as(x,y)=f[Io(x,y)]として導出してもよい。合成変調の例としては、出力画像を単にオフセットを加えて比例させるという関数、すなわち、as(x,y)∝TH[Io(x,y)]+constant、または、出力画像の級数展開関数、すなわち、as(x,y)=a0+a1Io(x,y)]+a2Io(x,y)2+…、または、出力画像の三角関数で表されるもの、例えばas(x,y)=mcos-1{[Io(x,y)-A(x,y)−B(x,y)]/n}+p(ただし、定数m、n、p、及び関数A(x,y)とB(x,y)は実際に使用される位相画像システム(例えばGPC)の理論モデルに基づいて決定され、反復的に調整してもよい)、等が挙げられる。また、これらの関数の組み合わせも合成変調を行うのに用いることができる。好適な実施例においては、合成振幅及び/又は位相変調が物体変調の閾値関数に比例する。すなわちas(x,y)∝TH[Io(x,y)]及び/又はψs(x,y)∝TH[Io(x,y)]となる。
出力画像から合成変調を導くことが実際に不可能な場合(例えば、コントラストが過度に低いなどの問題により)、あるいはユーザの判断により、出力画像から導いたのではない既定の変調パターンを合成位相変調に用いることができる。この物体変調の出力画像から導いたものではなく、発生頻度が高い問題を解決することができる既定の変調パターンの例としては、線、位相縞、市松模様、同心円、格子模様、ランダムなドット、等が挙げられる。出力パターンが改善された後、このような単純なパターンは、簡単にデコンボリューション(による除去)できる。それに続いて、この改善した画像に基づいて、その後の合成変調を導くことができる。
好適には、合成変調の選択は、反復的な合成変調の調整をおこなう、ということでもよい。好適には、この合成変調の調整は、生成された出力画像の経時的観察に基づいて、統合位相変調を動的に調整すること、及び/又は、最適化することにより、(この調整は、合成変調を調整することによりなされる)行われる。このような反復的な調整や動的調整は、定量的位相画像化に関連する選択パラメータの適合にも使用できる。この実施例において、合成変調の選択は、出力画像の評価、合成変調の選択、及び、物体の位相画像を定量的に再構成する前工程において合成変調をおこなう空間光変調器に変調させる工程を繰り返すことを含む。好適には、初回の出力画像の評価は物体変調の出力画像に関して行い、それ以降の出力画像の評価は、出力された最新の統合変調画像の出力画像に関するものである。
合成変調の動的調整及び/又は最適化は、フィードバックループを含んでも良い。この場合、新しい合成変調を、過去の統合変調出力画像の閾値関数に基づいて作成、導出し、またはその比例画像を新しい合成変調とする。例えば、as(x,y)∝TH[IM(x,y)]及び/又はψs(x,y)∝TH[IM(x,y)]としてもよい。
本発明の更なる利点として、この合成変調により、物体において、小さな注目領域を形成することができる。注目領域の外において追加的な位相変調をおこない、この注目領域以外の領域の光が位相画像システムの許容角度を超えて偏向されるようにすることで、画像に寄与できなくすることにより、この注目領域を形成することができる。別の方法としては、注目領域の外の領域に相殺する位相を施すことにより、(それに加えてオフセットを加えることもあり得る)、出力において、統合位相像の強度レベルは、「黒」となる。この二番目の方法では、外の暗い領域の光を注目領域に流用し、注目領域の輝度を上げることができる。
ある実施例において、本発明は合成変調を適切に選択することにより、合成参照波の制御が可能となっている。これは、観察の対象ではないがSRWの歪みにつながるような、ゆっくりと傾きが変化する位相諧調が物体の背景に存在する場合などにおいて有用である。すなわち、そのままではSRWに悪影響を与える可能性がある無関心領域や既知の領域を、変調を追加して打ち消すことにより、SRWを改善することができる。
位相画像システムの出力画像は、ノイズ、光学系における近似や不完全性、照明光の固有位相変調、有限であるSLMの分解能など、様々なエラー源により質が低下する。ある実施例においては、物体の定量的な位相画像を再構成する工程は、統合変調の出力画像に基づいて、有効な入力変調を判定し、合成変調を含んでいる有効な入力変調に対してデコンボリューションを行い物体変調を回復するというものである。ここで、有効な入力変調は、既知のエラー源を考慮しそれを補償して統合変調の出力画像から判定できる、統合変調の最良の推測である。
以下に本発明を添付された図面を参照して詳細に説明する。図面は本発明を実施するひとつの方法を示すものであり、添付された請求の範囲に含まれる他の実施形態を制限するものと解釈するべきでない。
図1は4F配置構造を示す図である。
図2A及び2Bは、本発明の種々の実施例に適用される4F光学系を用いた画像システムの一般的な配置を示す図である。
図3A及び3Bは、本発明の実施例における、回折入力変調を適用した4F光学系を用いた画像システムの概略図である。
図4A乃至4Dは、本発明の実施例を例示する図であり、図4Aは物体変調の出力画像を示す図、図4Bは統合変調の出力画像を示す図、図4Cは合成変調を示す図、図4Dは図4A(点線)と図4B(実線)の中央における線上のスキャン像を示す図である。
図5A乃至5Dは、本発明の実施例を例示する図であり、図5Aは物体位相変調を示す図、図5Bは物体変調の出力画像を示す図、図5Cは合成変調を示す図、図5Dは統合変調の出力画像を示す図である。
図6A乃至6D’は、出力画像を最適化するべく合成変調を選択する構成の他の実施例または例示を示す図である。
図7A乃至7D’は、出力画像を最適化するべく合成変調を選択する構成の他の実施例または例示を示す図である。
図8A乃至8Gは、出力画像を最適化するべく合成変調を選択する構成の他の実施例または例示を示す図である。
図9は、空値画像入力をした場合のGPCによる標準的な出力画像を示す図である。
図2Aと図2Bは、本発明の種々の実施例に適用される4F光学系を用いた画像システム10の一般的な配置を示す。
図2Aにおいて、図1に関連して先述したように、4F光システムは、4F配置構造を含む。これに加えて、4F光システムは、合成変調をおこなうためのSLM7と、画像面6に出力される画像を検出するための画像検出器8を含む。好ましい実施例において、本システムは、光源9と物体12を物体面2’に保持するためのサンプルホルダー11をさらに含んでも良い。画像検出器8、光源9、及び物体ホルダー11は、レンズLのような別の光学部品を備えても良い。特に、レンズL’は、物体面11の光を、拡大有りまたは無しで、入力面2に複製する画像中継光学素子を示す。 このレンズL’は複数のレンズで構成されても良い。例えば、図3Aでは、二枚のレンズで構成される例を示す。
図2Bに示す4F画像システムは、図2Aと同様な構成を有するが、物体12とSLM7の順番が逆となっている。なお、物体変調と合成変調は重ね合わせられた後、4F光システムに入力される。
図2A、2Bは、線型構造をもつ4F光学系を用いた画像システムを示す。なお、例えば折りたたみ構造等、多くの等価な構造を構成することが可能であり、これは、当業者に容易に理解できるものである。
(回折格子SLM)
本発明に使用される変調制御可能な二次元複素空間光変調器は、原理的に、振幅変調、及び/又は、位相変調が可能なSLMを使用することができる。
本発明に使用される変調制御可能な二次元複素空間光変調器は、原理的に、振幅変調、及び/又は、位相変調が可能なSLMを使用することができる。
好ましい実施例において、SLMは回折変調を採用しており、その概略を図3A及び3Bに示す.これらの構成において、物体変調は、ブレーズド回折格子のような位相単独回折光学素子に重ね合わされ、もしくは、搬送波として振る舞う周波数変調搬送波に重ね合わされる。この方法は、共通の部材を使用して効率よく振幅及び/又は位相の合成変調が可能であるという特長を有する。回折変調を採用した場合、回折次数に対応する軸に沿って、二値グレーチングにおける種々の横方向シフトが種々の位相レベルを表現する。すなわち、この場合、多くの位相レベルを変調可能な二値位相デバイスを使用することが可能となる。
図3A及び図3Bは、GPCシステムの概略と回折入力変調を示す。図3Aにおいて、位相物体15は、レンズLを使用して、GPC入力面2の回折素子16に中継される。回折素子は搬送波変調を行い、本発明における合成変調17を作成する。合成された変調はGPC入力として使用される。図3Bにおいて、GPC入力面2は位相物体像15及び回折素子16を有する。いずれのシステムにおいても、ある回折次数軸に沿って得られた位相変調は、出力面6に画像化され、位相差フィルタ4により合成された、共通光路上の参照波と干渉させることにより、高コントラストの強度パターン18が形成される。
ここで説明する対応する例において、SLMは、位相単独SLM(Holoeye,HOE1080)であり、例示的には、物体位相変調及び回折素子(回折搬送波及び合成変調)を変調するのに使用される。合成変調を変調するのに動的回折光素子を使用した場合、希望する出力特性に応じて、入力開口パラメータ(画像変調パラメータ)を測定サイクル単位で最適化することが可能となり、さらに、振幅合成及び/又は位相変調を、高い自由度で簡単に行うことが可能となる。
以下に、合成変調、または物体像と合成変調(統合変調)を形成するための動的回折光素子を使用する形態について説明する。
従来のGPCの入力場は、(1)式で表される。
ここで、振幅変調a(x,y)(例えば、開口関数あるいはガウス分布した照明)は、位相変調関数φ(x,y)と結合される。この入力画像は、合成参照波と出力面において干渉し、次の(2)式で表される強度パターンを形成する。
ここで、参照波は、ゆるやかに変動する関数であり、次の(3)式で表される。
この式は、入力位相の効果を以下の複素振幅係数に含ませている。
この式は、入力フーリエ変換のゼロ次項を正規化したものである。本GPCの手法は回折入力変調を採用するものであり、図3Aと図3Bに、その概略を示す。従来の構成との相違点は、物体位相変調が、例えば、ブレーズド回折格子のような位相単独回折光素子や搬送波周波数変調と組み合わされることである。標準的な条件において、GPC出力は、回折位相変調を新たに加えて入力位相を可視化する。位相入力のみを描写するには、後から少し述べるように、この光学構造が回折位相変調と適合するように再構成すればよい。
本手法において、回折位相変調が物体位相変調に加えられる。この処理は、独立した構成(図3A)により行うことができ、また、回折面に中継した物体位相変調を乗算処理することにより行うことができる(図3B)。この処理された入力像は、次の(5)式で表される。
ここで、φD(x,y)は、位相単独回折変調を表す。標準的なGPCにおいては、元画像であるφ(x,y)ではなく、この処理された入力像φ(x,y)+φD(x,y)が可視化される。適切な回折素子を選択し、かつ、この光システムを適切に調整することにより、元画像であるφ(x,y)のみに基づいた出力強度パターンを描画することが可能である。
簡単な例から始めるとして、ブレーズド回折格子を位相単独回折素子として追加することを考える。この場合、入力は次の(6)式で表される。
ここで、wは回折格子の各格子の幅を表しており、Xは、回折格子の周期を表し、f0は、ブレーズ角に関係した定数を示す。また、rect(x)は、xの絶対値が1/2以下の場合1であり、それ以外は0である関数である。また、comb(x)=Σ-∞〜∞δ(x-n)である。このフィルタにおける場は、以下の(7)式に示すようにフーリエ変換に比例している。
フィルファクターが100%であり(すなわち、X=2w)、かつ、ブレーズ角f0がm/Xである理想的な場合、回折格子のくし状部は、sinc関数が、m次の項以外が0の状態になるように位置合わせされ、その場合、m次回折に全てのエネルギーが向かうことになる。
GPCシステムをこの回折次に位置合わせすることにより、周波数オフセットをキャンセルし、GPC出力における通常の強度パターンを再生することができる。理想的でない場合、(7)式のsinc関数の項は、1より小さくなり、光は目的外の次数の項で失われる。しかしながら、このように空間的にブレーズ角を変調することにより、入力振幅を制御することが可能になり、これを利用して、出力を希望する形態に最適化することができる。
(合成変調の選択)
続いて、図4〜10を参照して、本発明の態様及び実施例において、出力画像を最適化する合成変調の選択方法について説明する。本発明の全ての態様に関して、物体変調は、一般的な位相画像化において起こりうる状態を表現できるように選んでいる。また、説明を簡単にするために、物体変調は、自然の物体では起こらないような簡単な特性、または、誇張された特性を示すようなものが選ばれている。
続いて、図4〜10を参照して、本発明の態様及び実施例において、出力画像を最適化する合成変調の選択方法について説明する。本発明の全ての態様に関して、物体変調は、一般的な位相画像化において起こりうる状態を表現できるように選んでいる。また、説明を簡単にするために、物体変調は、自然の物体では起こらないような簡単な特性、または、誇張された特性を示すようなものが選ばれている。
(合成参照波の改善)
先述の通り、共通光路干渉計は、入力位相変調の低周波成分を使用し、位相パターンを可視化するための参照波を作成する。ある構成例において、0及びπの二値の市松模様の物体位相変調波を画像化する例を説明する。π逆位相の領域群からの光は、光軸上でほぼお互い打ち消し合ってしまうので、この場合、ゼロ次光は極めて弱い強度となってしまい、その結果、合成される参照波も極めて弱い強度となってしまう。従って、図4Aに示す出力画像は、極めて低いコントラストしか持つことができない。なお、完全に対称な位相パターンの場合、ゼロ次成分は全く含まないのであるが、この場合は、円形開口による領域の切り捨てがあるので、0位相領域とπ位相領域の間で位相のバランスが崩れ、よって、参照波の成分がゼロではないため、出力には低いながらもコントラストを出すことができる。
先述の通り、共通光路干渉計は、入力位相変調の低周波成分を使用し、位相パターンを可視化するための参照波を作成する。ある構成例において、0及びπの二値の市松模様の物体位相変調波を画像化する例を説明する。π逆位相の領域群からの光は、光軸上でほぼお互い打ち消し合ってしまうので、この場合、ゼロ次光は極めて弱い強度となってしまい、その結果、合成される参照波も極めて弱い強度となってしまう。従って、図4Aに示す出力画像は、極めて低いコントラストしか持つことができない。なお、完全に対称な位相パターンの場合、ゼロ次成分は全く含まないのであるが、この場合は、円形開口による領域の切り捨てがあるので、0位相領域とπ位相領域の間で位相のバランスが崩れ、よって、参照波の成分がゼロではないため、出力には低いながらもコントラストを出すことができる。
本発明の実施例において、入力面に配置したSLM(ここでは回折格子)を使用して、合成振幅変調を物体位相変調にかけて、GPC出力(すなわち、選択するパラメータはコントラスト)のコントラストを向上させる。GPCシステムにおいて、適切な回折次数に光軸合わせすることにより、振幅変調と位相変調の両方を含んだ統合変調がGPCに入力できる。
合成振幅変調の選択は、図4Aに示すような低コントラストのGPC出力画像についてのしきい値関数に基づいて決定する。図4Aの画像の場合、しきい値計算により、市松模様の二値パターンが形成される。ここで形成された市松模様の二値パターンに基づいて、GPC入力面における回折振幅変調パターン(合成変調)を選択する。0または1の二値の市松模様パターンを使用する代わりに、図4Cに示す、0.5または1の入力振幅変調パターンを使用して、物体像の全ての領域を明るくすることにした。
この合成振幅変調を加えると、0位相領域とπ位相領域のバランスが崩れるので、SRW(参照波)の強度が大きくなり、よって、出力画像のコントラストが向上する。これについては、図4Bに向上したコントラストをもつ出力パターンを示す。また、図4Dに、実線で、向上したコントラストをもつ出力パターンを、ある直線上でスキャンしたグラフを示す。また、図4Dには、比較のために、点線で図4Aの本処理が加えられてない低コントラスト画像を直線上でスキャンしたグラフも示されている。
(位相定量化)
前述したように、干渉位相画像法においては、形成された干渉パターン内で、異なる位相でも同じ強度を持ちうることが問題となっている。例えば、0位相光と干渉させた場合、+π/2位相光と-π/2位相光は、同じ強度の干渉を起こす。図5Aは、一例として、ある物体位相変調をグレースケールで表したものを示す(白領域は+π/2位相領域を示し、黒は-π/2位相領域を示す)。この物体位相変調をGPC入力として使用すると、図5Bに示す出力画像が形成される。この出力画像においては、正の位相領域と負の位相領域が同じ強度を持っているという位相情報の曖昧さがあるという問題がある(例えば、図5Aと図5Bの矢印を参照)
前述したように、干渉位相画像法においては、形成された干渉パターン内で、異なる位相でも同じ強度を持ちうることが問題となっている。例えば、0位相光と干渉させた場合、+π/2位相光と-π/2位相光は、同じ強度の干渉を起こす。図5Aは、一例として、ある物体位相変調をグレースケールで表したものを示す(白領域は+π/2位相領域を示し、黒は-π/2位相領域を示す)。この物体位相変調をGPC入力として使用すると、図5Bに示す出力画像が形成される。この出力画像においては、正の位相領域と負の位相領域が同じ強度を持っているという位相情報の曖昧さがあるという問題がある(例えば、図5Aと図5Bの矢印を参照)
本発明のある態様において、SLM(ここでは回折格子)が入力面に配置され、合成位相変調を物体位相変調にかけるのに使用され、これによりGPC出力において、位相情報の曖昧さを解決する。
合成振幅変調の選択は、図5Bに示すような位相情報の曖昧さが残るGPC出力画像にしきい値計算して、その結果に基づき決定される。この画像を使用したしきい値計算により、図5Cに示す画像が形成される。GPCに入力される回折位相入力像(統合変調)は、このしきい値パターン(合成変調)に高周波数の格子パターン(物体変調)をかけた積に対応するであろう。位相物体像をこの回折入力に投影し、GPCシステムを適切な回折次数に軸合わせすると、図5Dに示す出力強度パターンが形成される。ここでは、正の位相領域と負の位相領域とが違った強度で現されている。このように、位相にオフセット成分を追加することにより、初期状態では強度において縮退している領域において、その位相の違いを見分けるようにすることが可能となる。すなわち、本発明は、位相物体像にさらに空間位相変調をかけることにより、GPC出力画像における位相情報の曖昧さを解決するものである。
(位相範囲調整)
図6A及び図6Bは、物体位相変調の上面図及び斜視図である。図6Cは、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図6Dは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
図6A及び図6Bは、物体位相変調の上面図及び斜視図である。図6Cは、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図6Dは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
物体変調として、極めて大きな位相範囲をもつものを例として選び、図6A及び図6Bに示した。図6Dは、追加の合成変調を加えない場合の結果画像を示す。この物体位相変調の中央のピークは、使用された4F位相画像システムの動作位相範囲を超えているので、この中央ピークは、明るい像とはならず、暗い画像となってしまう。
前述したように、部分的に物体位相変調を打ち消すような合成変調を新たに加えることにより、位相範囲を調整(圧縮)して、統合変調の位相範囲を狭くすることができる。このようなことを行うように形成された合成変調を図6C’に示す。図6D’には、出力結果画像を示しており、これは、物体位相像をより良く再現している。この場合、合成変調は、物体変調の情報が既知である場合、それを基に導出可能である。あるいは、他の箇所で述べるように、最初に全面的に物体変調の打ち消しを行い、その後、打消しが部分的になるように調整してもよい。
(規定の位相変調による出力画質の向上)
図7A及び7Bは、物体位相変調の上面図及び斜視図である。図7Cは、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図7Dは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
図7A及び7Bは、物体位相変調の上面図及び斜視図である。図7Cは、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図7Dは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
一例として図7A及び7Bに選定した物体変調においては、大きさは同じで反対の位相部位をもつため、位相がちょうど釣り合ってお互い打ち消し合ってしまい、その結果、参照波が弱い強度となってしまう。このため、出力画像において、コントラストが低いものになってしまう。
図7Dに、追加の合成変調を加えない場合の出力結果画像を示す。図を参照して分かるように、出力画像のコントラストは低く、物体変調における大きな位相の段差を表現できていない。
前述のように、出力画像から合成変調を導出することが現実的に不可能な場合(例えば、コントラストが低すぎるなど)、合成位相変調として、出力画像から導出されたものではない既定の変調を採用してもよい。図7C’に、このような既定の変調を示す。この例においては、この既定の変調は、グリッド(格子パターン)を含む。その出力結果画像を図7D’に示す。この出力結果画像は、明らかに、物体位相変調をより良く再現している。このような簡単な既定パターンは、画像出力の後のソフトウェア上の後処理において、デコンボリューション(による除去)ができるようなものを選択するのが望ましい。この画質が向上した出力画像に基づいて、さらに新たな合成変調を導出しても良い。
(定量的位相画像法における、値の一元化及び較正)
図8Aは、物体位相変調の斜視図を示す。図8B、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図8Cは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
図8Aは、物体位相変調の斜視図を示す。図8B、初期状態としてゼロあるいは一定値をとる合成位相変調を示す。ここで、符号「+」は、物体変調と合成変調を重ね合わせて統合変調を作成する処理を示す。図8Cは、統合変調が4F位相画像システムに画像化された場合の出力結果画像を示す。
物体変調として、3つの円柱像a,b,cを含むものを例として選び、図8Aに示した。ここで、円柱像a及びbは、同じ位相を持ち(例えば、π/2)、円柱像cは、それより大きな位相を持つ(例えばπ)。図8Cは、新たな合成変調を加えない場合の結果画像を示す。この結果画像において、円柱像aは、弱く描出されており、円柱像bとcは同じような強度で描出されている。この2つの円柱像aとbは同じ位相を持つにもかかわらず、出力画像においては、描出に差が現れている。これは、位相マッピングでの歪みが原因である。この位相マッピングでの歪みは、画像システムの疑似画像や使用している光学系固有の性質に起因している可能性がある。
ここで、図8B’に示すような調整可能な位相高さと位置を有する位相ラインを持つ合成変調を選択し、入力位相値と出力強度値の関係(マッピング)を較正する。この処理は、入力統合位相値と出力強度値とが1対1対応するように行われるものである。
図8B’において、-π/2位相ラインを内部に有する合成変調を使用した場合、図8C’に示す結果出力画像において、円柱像aとbに黒い帯状の像を形成するが、円柱像cにはこの帯状の像は現れない。これにより、位相円柱像a及びbは共にπ/2の位相を持ち、円柱像cは違う位相を持つことが確認できる。
図8B’において、-π位相ラインを内部に有する合成変調を使用した場合、図8C’’に示す結果出力画像において、円柱像Cに黒い帯状の像を形成するが、円柱像a及びbにはこの帯状の像は現れない。これにより位相円柱像cはπの位相を持ち、この位相は、円柱像a及びbとは違うことが確認できる。
この出力画像からの円柱位置を使用し、さらに、位相ラインを有する合成変調を介して得られた較正/定量化位相を適用することにより、図8Dに示すように、物体位相像を打ち消すことができる合成変調の反転を新しく作成することができる。これにより、図8Eに示すように、空値を入力した場合の標準的な出力画像が形成される。これにより、全打ち消しされたことが確認でき、かつ、この合成変調は、物体位相像の反転画像であることが確認できる。
あるいは、図8Fに示すように、合成変調において、位相円柱像a,b,及びcを調整して、これらが図8Gに示す出力画像において、相対的に正しい明度で現わすことが可能である。これは、前述した位相範囲調整に類似しているが、今回のものは、システム固有の位相像歪みを補正するというものである。
(応用)
本発明者らは、大部分が透明である生物サンプルの画像生成への応用、実験室での測定や産業での応用における定量的な位相の画像化への応用を提案する。
本発明者らは、大部分が透明である生物サンプルの画像生成への応用、実験室での測定や産業での応用における定量的な位相の画像化への応用を提案する。
Claims (16)
- 4F光学系を用いた位相画像システムの動作中において、前記位相画像システム用いて被検体である物体の定量的位相画像の再構成方法であって、
上記位相画像システムからの出力画像であって、少なくとも物体が4F光学系を用いた位相画像システムへの入力に与えた複素空間の物体変調ao(x,y)eiψo(x,y)を含む出力画像を評価する工程と、
前記出力画像に基づき、前記出力画像における選択パラメータを最適化するように適合した複素空間の合成変調as(x,y)eiψs(x,y)を選択する工程と、
前記位相画像システムへの前記入力に与える統合変調aM(x,y)eiψM(x,y) =ao(x,y)・as(x,y)ei(ψo(x,y)+ψs(x,y))を、前記合成変調に前記物体変調を重ね合わせることで生成するように構成された二次元複素空間光変調器を変調する工程と、
前記合成変調と、前記統合変調の出力画像IM(x,y)とに基づいて、前記物体の定量的な位相画像を再構成する工程とを含む、再構成する方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは、解像度、コントラスト、位相定量性、位相範囲、入力位相値と出力強度値との関係性又はマッピング、及び、合成変調による物体変調の打ち消しの度合いのうち、1つ以上を含む、請求項1記載の再構成方法。
- 前記出力画像における前記選択パラメータはコントラストを含み、
前記合成変調は、少なくとも部分的に打ち消し合って弱い合成参照波を生成してしまう前記物体変調の部位の間のバランスを崩すように選択するものであり、前記部位において不均衡な合成変調を導入することにより前記バランスを崩す、請求項1又は2記載の再構成方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは位相定量化を含み、
前記合成変調は、前記物体変調について同じ大きさで逆方向の位相シフトを持つ部位間の位相情報の曖昧さの問題を解決するように選択するものであり、前記出力画像において近接する強度値を持つ部位に対して位相オフセットを与える合成変調を導入する、請求項1から3のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは、入力位相値と出力強度値の関係性を含み、
前記合成変調は、前記関係性を較正するように選択される、請求項1から4のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは、入力位相値と出力強度値の関係性を含み、
前記合成変調は、前記入力位相値と前記出力強度値の間に1対1の関係が成り立つように選択される、請求項1から5のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは、解像度を含み、
前記合成変調は、位相干渉像を投影して、前記位相画像システムの許容角度を超える大きな偏向角度で偏向されうる空間周波数を持つ微細な構造からの光の向きを調整して、当該合成変調により向きが調整された光が前記位相画像システムに入力できるように選択される、請求項1から6のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記出力画像における前記選択パラメータは、合成変調による物体変調の打消しの度合いを含み、
前記合成変調は、前記物体変調又は前記統合変調の前記出力画像、及び、入力位相変調と出力強度値の既知の関係又は予想される関係に基づき、前記物体変調を打ち消すように選択される、請求項1から7のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記合成変調は、さらに物体変調と合成変調が入力されない場合の前記位相画像システムの前記出力画像の情報にも基づき選択される、請求項8記載の再構成方法。
- 前記出力画像における前記選択パラメータは、位相範囲を含み、
前記合成変調は、前記物体変調の一部のみ打ち消して、前記物体変調よりも狭い位相範囲を持つ統合変調を形成するように選択される、請求項1から9のいずれかに記載の再構成方法。 - 前記合成変調を選択する工程は、前記物体変調の前記出力画像の閾値関数から導出される合成変調、又は、前記閾値関数に比例する合成変調の選択を含む、請求項1から10のいずれかに記載の再構成方法。
- 前記合成変調を選択する工程は、前記物体の前記定量的な位相画像を再構成する前に、前記出力画像を評価する工程、前記合成変調を選択する工程、及び前記二次元複素空間光変調器に前記合成変調を付与させる工程を繰り返すことを含む、請求項1から11のいずれかに記載の再構成方法。
- 前記合成変調を選択する工程は、前記物体の注目領域の外において追加の位相変調を行うことにより、前記注目領域を形成するような前記合成変調の振幅の設定を行うことを含む、請求項1から12のいずれかに記載の再構成方法。
- 前記4F光学系を用いた位相画像システムは、顕微鏡であるか、顕微鏡の一部であるか、又は、顕微鏡の光路と光学的に通じている、請求項1から13のいずれかに記載の再構成方法。
- 4F光学系を用いた位相画像システムにより画像化された物体の定量的位相画像を再構成するコンピュータ・プログラムであって、前記二次元複素空間光変調器及び前記位相画像システムの出力面に備えられた画像検出器に接続された電子プロセッサにより実行されることによって請求項1から14のいずれかに記載の再構成方法を実行するコンピュータ・プログラム。
- 物体の定量的位相画像を再構成する4F光学系を用いた位相画像システムであって、
4F配置構造と、光源と、
保持された物体が前記光源によって光照射され、前記4F配置構造への光入力に物体変調が付与されるように構成された物体ホルダーと、
前記物体ホルダーに保持された物体により与えられた物体変調に、合成変調が重ね合わされるように構成された変調制御可能な二次元複素空間光変調器と、
前記4F配置構造の出力面に備えられた画像検出器と、
前記二次元複素空間光変調器及び前記画像検出器に接続された電子プロセッサと、
前記電子プロセッサによって、請求項1から14のいずれかに記載の再構成方法を実行するコンピュータ・プログラムを保持するメモリとを備える、位相画像システム。
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