JP2015503610A - Ip受容体アゴニストの塩 - Google Patents

Ip受容体アゴニストの塩 Download PDF

Info

Publication number
JP2015503610A
JP2015503610A JP2014551715A JP2014551715A JP2015503610A JP 2015503610 A JP2015503610 A JP 2015503610A JP 2014551715 A JP2014551715 A JP 2014551715A JP 2014551715 A JP2014551715 A JP 2014551715A JP 2015503610 A JP2015503610 A JP 2015503610A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound according
pah
salt
compound
receptor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014551715A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015503610A5 (ja
JP6058698B2 (ja
Inventor
ルブラン,キャサリン
カール マキューン,スティーブン
カール マキューン,スティーブン
パールバーグ,アーネット
トゥフィッリ,ニコラ
Original Assignee
ノバルティス アーゲー
ノバルティス アーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ノバルティス アーゲー, ノバルティス アーゲー filed Critical ノバルティス アーゲー
Publication of JP2015503610A publication Critical patent/JP2015503610A/ja
Publication of JP2015503610A5 publication Critical patent/JP2015503610A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6058698B2 publication Critical patent/JP6058698B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D471/00Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00
    • C07D471/02Heterocyclic compounds containing nitrogen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system, at least one ring being a six-membered ring with one nitrogen atom, not provided for by groups C07D451/00 - C07D463/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D471/04Ortho-condensed systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/12Antihypertensives

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

本発明は、IP受容体の活性化によって影響される疾患を治療するのに有用な(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の塩に関し、その塩を含む医薬組成物およびその塩を調製するための方法も記述する。

Description

本発明は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の新規な塩、それらを調製するための方法および医薬組成物におけるそれらの使用に関する。
国際特許出願PCT/EP2011/062028(WO2012/007539)は、活性なIP受容体アゴニストである特定の複素環式化合物、ならびに、例えば肺動脈高血圧症を含むIP受容体の活性化によって影響を受ける様々な状態または疾患の治療におけるそれらの使用を開示している。それらの複素環式化合物の1つは、以下の構造:
Figure 2015503610
を有する7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド−[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸である。
国際特許出願PCT/EP2011/062028(WO2012/007539)は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸および対応するメシル酸塩を調製するための方法を開示している。
肺動脈高血圧症(PAH)は、右心室肥大をもたらす進行性肺血管障害を特徴とする生命にかかわる疾患である。IP受容体のアゴニストの外因的投与は、PAHの治療における重要な戦略となってきている(例えば、Tuderら、Am. J. Respir. Crit. Care. Med., 1999, 159:1925-1932;Humbertら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:13S-24S;Rosenzweig, Expert Opin. Emerging Drugs, 2006, 11:609-619;McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431;Rosenkranz, Clin. Res. Cardiol., 2007, 96:527-541;Driscollら、Expert Opin. Pharmacother., 2008, 9:65-81を参照されたい)。
肺動脈高血圧症の治療における7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の塩の好ましい投与経路は吸入による肺送達である。
遊離形態の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸は、劣った溶解性および安定性を含む物理的特性を有しており、これは医薬(pharmaceutical)、特に吸入可能な製品、例えば吸入可能な乾燥粉末として使用するために製造および製剤化する場合に重大な技術的問題をもたらす。
メシル酸塩形態の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸は主に、純粋なメタンスルホネート(メシレート)塩に関してではなく、遺伝毒性効果を発揮することが知られている特定の対応スルホン酸エステルについての毒物学的な理由のため好ましくない。そうしたエステルは、原薬(drug substance)の合成の間、塩の結晶化の間または貯蔵の間に、特にその結晶化溶媒がメタノール、エタノールまたはプロパノールなどのアルコールを含む場合に生成する可能性がある。それらは、剤形(dosage form)を調製するためにアルコール系溶媒が使用される場合にも生成する可能性がある。
問題の少なくとも一部を、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の特定の新規な塩を調製することによって克服することができ、または、最低限でも、そうした塩は、遊離形態およびメシル酸塩形態に対する有用な代替物を提供することをここに見出した。
発明のステートメント(Statement of the Invention)
第1の態様では、本発明は、
Figure 2015503610
からなる群から選択される化合物を提供する。
第1の態様における実施形態(i)では、その化合物は結晶形態である。
第1の態様における実施形態(ii)では、その化合物は
Figure 2015503610
である。
第1の態様における実施形態(iii)では、その化合物は
Figure 2015503610
である。
第1の態様における実施形態(iv)では、その化合物は
Figure 2015503610
である。
第1の態様における実施形態(v)では、その化合物は
Figure 2015503610
である。
第1の態様における実施形態(vi)では、その化合物は、塩または溶媒和物の形態の式Iの化合物
Figure 2015503610
(式中、Aは、サルフェート、キシナホエート、ナトリウム、塩化水素、臭化水素およびL−アルギニンからなる群から選択される)
である。
第1の態様における実施形態(vii)では、その化合物は、
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエートサルフェート(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の硫酸塩);
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエートキシナホエート(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のキシナホ酸塩)、
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエートナトリウム(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のナトリウム塩)、および
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエート塩酸塩(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の塩化水素塩)、
特にその結晶形態である。
第2の態様では、本発明は、有効量の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を、活性成分(active ingredient)として、薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、その組成物は吸入可能な形態、例えば吸入可能な乾燥粉末である。
第3の態様では、本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を投与する工程を含む方法を提供する。好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症および線維症(fibrotic disease)から選択される。特定の好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は肺動脈高血圧症である。
第4の態様では、本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療用医薬(medicament)を調製するための第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物の使用に関する。好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症および線維症から選択される。特定の好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は肺動脈高血圧症である。
第5の態様では、本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療において使用するための第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を提供する。好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は、肺動脈高血圧症、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、COPD、高血糖症および線維症から選択される。特定の好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は肺動脈高血圧症である。
第6の態様では、本発明は、第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を含み、肺投与によってそれを送達するように適合されている吸入デバイスを提供する。特定の好ましい実施形態では、その吸入デバイスは、乾燥粉末吸入器、例えばBREEZHALER(登録商標)の吸入デバイスである。
第7の態様では、本発明は、第1の態様の実施形態(vi)および(vii)に記載の化合物を調製するための方法であって:
(i)Aがサルフェートである第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を調製するために、その遊離形態を硫酸と反応させるステップ;
(ii)Aがキシナホエートである第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を調製するために、その遊離形態を1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸と反応させるステップ;
(iii)Aがナトリウムである第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を調製するために、その遊離形態を水酸化ナトリウムと反応させるステップ;あるいは
(iv)Aが塩化水素である第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を調製するために、その遊離形態を塩酸と反応させるステップ
を含む方法を提供する。
本明細書で使用する用語は以下の意味を有する:
本明細書で用いる「肺動脈高血圧症」すなわちPAHは、右心室肥大をもたらす進行性の肺血管障害を特徴とする、生命にかかわる疾患である。肺動脈高血圧症(PAH)には、特発性PAH;家族性PAH;強皮症、CREST症候群、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、関節リウマチ、高安動脈炎、多発性筋炎および皮膚筋炎から選択される膠原血管病に付随するPAH;個体における心房中隔欠損症(ASD)、心室中隔欠損症(VSD)および動脈管開存症から選択される先天性心疾患に付随するPAH;門脈高血圧症に付随するPAH;HIV感染症に付随するPAH;薬物または毒素の摂取に付随するPAH;遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH;脾臓摘出に付随するPAH;重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAH;肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAH;ならびに肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHから選択されるPAH;レイノー病およびレイノー症候群を含むレイノー現象;肺線維症、全身性硬化症/強皮症、肝臓線維症/肝硬変症、腎臓線維症を含む線維症;過剰な血小板凝集に付随する血栓性疾患、冠動脈疾患、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、狭心症、脳梗塞、虚血再かん流傷害、再狭窄、心房性細動、血塊の形成、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、ぜんそく、ぜんそくの症状、糖尿病関連障害、糖尿病性末梢神経障害、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性網膜症、緑内障または異常眼圧を有する目の他の疾患、高血圧症、子癇前症、炎症、COX−1、COX−2および非選択的COX阻害剤の望ましくない副作用、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、クローン病、移植片拒絶反応、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、潰瘍性大腸炎、虚血再かん流傷害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、座瘡、1型糖尿、2型糖尿、敗血症ならびに慢性閉塞性肺障害(COPD)などが含まれる。
本明細書を通して、また以下の請求項において、文脈により異なった形で求められない限り、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形体は、言及された整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むが、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を排除するものではないことを意味すると理解すべきである。
図1は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の結晶性硫酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。 図2は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の結晶性キシナホ酸塩の粉末X線回折パターンを示す図である。 図3は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の結晶性ナトリウム塩の粉末X線回折パターンを示す図である。 図4は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の結晶性塩化水素塩の粉末X線回折パターンを示す図である。
詳細な説明
本発明は、活性なIP受容体アゴニストである7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の特定の塩を提供する。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸、すなわち遊離形態の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物は、本出願人が国際特許出願PCT/EP2011/062028(WO2012/007539)において記載している、IP受容体アゴニスト活性を有する多くの複素環式化合物のうちの1つである。
国際特許出願PCT/EP2011/062028(WO2012/007539)(その内容を参照により本明細書に組み込む)は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド−[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のその調製のための方法を開示している。しかし、完全を期すために、その化合物を調製するための方法を、本特許明細書の実施例のセクションにおいて提供する。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の単一の結晶形態は特定されているが、それは水への溶解度が低く、光の下での安定性が低いことが分かっており、このことは、この化合物を、特に吸入可能な乾燥粉末として製剤化するのに重大な技術的課題をもたらしている。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のメシル酸塩は、好都合なことに、肺動脈高血圧症の治療のために試験されている。しかし、溶媒和されていないこの塩は、遊離形態と比べて著しく高い溶解速度を示すことが分かっている。この塩の結晶形態は、結晶構造中に、溶融させて始めて放出されることになる相当量の溶媒を取り込んでいることが分かっている。さらにかつ特に重要なことに、上記したように、特定のスルホン酸エステルは遺伝毒性効果を発揮することが知られており、原薬の製造および貯蔵の際のそれらの合成を最少化する、好ましくはそれを防止するために高度の注意を払わなければならない。したがって、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロ(dihyrdro)−ピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のメシル酸塩は、特に吸入可能な乾燥粉末として製剤化するのが困難である。
本出願者は、化合物の製剤化について言及した上記課題に対処するために非常に多くの数の代替塩を検討した。ごくわずかな数の代替塩だけが得られた。これらの塩のいくつかは、例えば原薬の溶解、製造/精製の容易な経路に関して、原薬開発の可能性があり、かつ/または吸入可能な乾燥粉末として製剤化することができる物理的特性を有することが分かった。
驚くべきことに、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の硫酸塩は、良好な結晶性および物理的安定性を示すことが分かった。
この硫酸塩の結晶形態は、そのX線回折パターンにおいて、50%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):6.8°、9.4°および22.1°を有する。これは、その同じX線回折パターンにおいて、25%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):5.8°、6.8°、9.4°、16.8°、17.0°、18.4°、20.7°、22.1°および22.6°を有する。この塩は190℃の融点も特徴とする。
驚くべきことに、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のキシナホ酸塩は、良好な結晶性、物理的安定性および光安定性を示すことが分かっている。
このキシナホ酸塩の結晶形態は、そのX線回折パターンにおいて、50%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):11.1°、16.9°、18.0°、21.9°、22.3°および26.2°を有する。これは、その同じX線回折パターンにおいて、25%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):6.5°、9.8°、11.1°、16.4°、16.9°、18.0°、18.3°、19.2°、19.5°、19.8°、20.1°、20.7°、21.0°、21.9°、22.3°、23.8°、24.9°、26.2°、26.6°、27.7°および31.5°を有する。この塩は153℃の融点も特徴とする。
驚くべきことに、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のナトリウム塩は、良好な結晶性および物理的安定性を示すことが分かった。
このナトリウム塩の結晶形態は、そのX線回折パターンにおいて、50%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):9.3°、18.6°および22.1°を有する。これは、その同じX線回折パターンにおいて、25%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):9.3°、16.9°、17.4°、17.8°、18.6°、18.9°、19.4°、20.2°、20.5°、21.5°、22.1°、23.2°、23.7°、24.6°および25.0°を有する。この塩は272℃の融点も特徴とする。
驚くべきことに、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の塩化水素塩は、良好な結晶性および物理的安定性を示すことが分かった。
この塩化水素塩の結晶形態は、そのX線回折パターンにおいて、50%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):18.8°、19.1°、23.1°および23.5°を有する。これは、その同じX線回折パターンにおいて、25%以上の強度で以下の特徴的な回折線(2θ):7.7°、18.8°、19.1°、19.8°、23.1°、23.5°、25.7°、26.6°および30.6°を有する。この塩は153℃の融点も特徴とする。
第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の特定の化合物は、遊離形態(または遊離塩基)を関連する酸と反応させることによって、または、第二アミンから酸付加塩を生成させるための当技術分野で公知の方法を用いて、実施例に記載されているのと同様にして調製される。例えば、第1の態様の実施形態(ii)、(iii)および(v)について、関連する酸は、それぞれ硫酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(キシナホ酸)および塩酸である。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸は、同一分子内で酸性の機能と塩基性の機能を示す。これは、水酸化ナトリウムと反応させると酸として働く、すなわちこの化合物の遊離形態の酸性基は塩の生成に関与している。したがって、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のナトリウム塩は、7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸を水酸化ナトリウムと反応させることによって調製される。
製剤(Formulation)および投与
本発明は、有効量の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を、活性成分として、薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物も提供する。
本発明の薬剤は、適切な任意の経路により、例えば経口で、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で;非経口で、例えば静脈内で;例えば閉塞性気道疾患の治療において吸入により;例えばアレルギー性鼻炎の治療において鼻腔内で;皮膚へ局所で;または経直腸で投与することができる。他の態様では、本発明は、任意選択により、薬学的に許容されるそのための賦形剤または担体と一緒に、第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物を含む医薬組成物も提供する。組成物は、上述したような抗炎症性、気管支拡張性の抗ヒスタミン剤または鎮咳薬物などの共治療剤を含むことができる。そうした組成物は、慣用的な賦形剤または添加剤およびガレヌス分野(galenic art)で公知の技術を用いて調製することができる。したがって経口剤形は錠剤およびカプセル剤を含むことができる。局所投与用の処方物は、クリーム剤、軟膏剤、ジェル剤または経皮送達系、例えばパッチ剤の形態をとることができる。吸入用の組成物は、エアゾールもしくは他の噴霧可能な処方物または乾燥粉末処方物を含むことができる。
特定の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は吸入可能な形態である。
組成物がエアゾール処方物を含む場合、それは、例えば、HFA134aもしくはHFA227またはこれらの混合物などのヒドロ−フルオロ−アルカン(HFA)噴射剤を含むことが好ましく、エタノール(最大で20重量%)などの当技術分野で公知の1つもしくは複数の共溶媒および/またはオレイン酸もしくはトリオレイン酸ソルビタンなどの1つもしくは複数の界面活性剤および/またはラクトースなどの1つもしくは複数の充てん剤を含むことができる。組成物が乾燥粉末処方物を含む場合、それは、例えば、最大で10ミクロンの粒径を有する第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物を、所望粒径分布のラクトースなどの賦形剤または担体、および水分に起因する製品性能低下に対する保護を助ける化合物、例えばステアリン酸マグネシウムと、任意選択により、一緒に含むことが好ましい。組成物が噴霧処方物を含む場合、それは、例えば、式Iの化合物を、水、エタノールまたはプロピレングリコールなどの共溶媒、および界面活性剤であってもよい安定剤を含むビヒクル中に溶解または懸濁して含むことが好ましい。
本発明の他の態様は:
(a)吸入可能な形態、例えばエアゾールもしくは他の噴霧可能な組成物または吸入可能な微粒子、例えば微粉化された形態の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物;
(b)吸入可能な形態で第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物を含む吸入可能な医薬;
(c)吸入可能な形態の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物を、吸入デバイスと一緒に含む医薬製品(pharmaceutical product);および
(d)第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物を吸入可能な形態で含む吸入デバイス
を含む。
本発明の実施において、使用される第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物の投薬量(dosage)は、もちろん、治療されるべき具体的な状態、所望される効果および投与方法に応じて変化することになる。一般に、吸入による投与のための適切な1日投薬量は0.005〜10mgのオーダーであり、経口投与のための適切な1日投与量は0.05〜100mgのオーダーである。
カプセル化された形態の乾燥粉末の送達に適したデバイスには、国際特許出願WO05/113042(BREEZHALER(商標)デバイスを含む)およびUS3,991,761(AEROLIZER(商標)デバイスを含む)に記載されているものが含まれる。適切なMDDPIデバイスには、WO97/20589(CERTIHALER(商標)デバイスを含む)、WO97/30743(TWISTHALER(商標)デバイスを含む)およびWO05/37353(GYROHALER(商標)デバイスを含む)に記載されているものが含まれる。
本発明を実践するのに用いられる本発明の薬剤の投薬量は、もちろん、例えば、治療されるべき具体的な状態、所望の効果および投与方式に応じて変わることになる。一般に、吸入による投与のための適切な1日投薬量は0.005〜10mgのオーダーであるが、経口投与に適した1日用量(dose)は0.05〜100mgのオーダーである。
薬剤としての使用およびアッセイ
第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物は医薬として有用である。特に、これらの化合物はIP受容体アゴニストとして適切であり、以下のアッセイで試験することができる。
IP受容体(IP受容体)での化合物の活性は、PerkinElmer ΑlphaScreenアッセイを用いて、IP受容体を安定的に発現するCHO細胞(CHO−IP)におけるcAMP蓄積を測定することによって評価される。この技術は、非放射性ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイで、cAMPの内因性産生を測定するものである。生物学的反応が、ストレプトアビジンコートドナービーズ、ビオチン化cAMPおよび抗cAMPアクセプタービーズの間で起こり、ドナービーズとアクセプタービーズを十分近接させると、結果として、励起されて蛍光シグナルが発生する。内因性cAMPが産生されると、ビオチン化cAMPと細胞由来のcAMPとの間の競合は蛍光シグナルの減少を引き起こす。そのシグナルの減少は、産生されるcAMPの量に比例する。したがって、アゴニストによる刺激によって産生されたcAMPの量を定量化することができる。
試験化合物および参照化合物を、100%DMSO中に100×[最終]で調製し、Biomek Fx(Beckman Coulter)を用いて1:3に希釈する。続いて、中間体をアッセイ緩衝液(5mM HEPES、0.1%(w/v)BSAを含むHBSS)中に5×[最終]で希釈する。次いで5μLの5×[最終]試験化合物、参照化合物および緩衝液/DMSO対照を、20μLのCHO−IP細胞懸濁液(15,000細胞/ウェル、凍結したものから調製)を入れた384ウェル白色OptiPlateに移し、プレートを室温で1時間インキュベートする。cAMP標準曲線を各実験用に構築し(アッセイ緩衝液中に10000nM〜0.001nMの濃度範囲)、25μLの各濃度液を、アッセイプレートの最後の2つのカラムに加える。アッセイプレートの添加の直前に溶解緩衝液に加えられた、20単位mL−1のストレプトアビジンコートドナービーズおよびビオチン化cAMP(30分間プレインキュベートした)ならびに20単位mL−1の抗cAMPアクセプタービーズを含む溶解緩衝液(dHO;0.3%(v v−1)Tween−20)を添加して、インキュベーションを完了させる。次いでアッセイプレートを暗所中、室温で緩やかに振とうさせながら60分間インキュベートし、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)で読み取る。
参照化合物、試験化合物および対照の生データを、GraphPadPrism(GraphPad Software Inc)でcAMP標準曲線を用いて、cAMP濃度に変換する。EC50ならびにアゴニスト曲線の最大値を、4パラメーターロジスティック方程式を用いて決定する。すべての試験化合物の最大応答値%を、トレプロスチニル濃度−応答曲線の頂点を用いて決定する。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸は、上記したデータ測定で0.00011μMのEC50値を有する。
治療上の使用
本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物を投与する工程を含む方法も提供する。
本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療用医薬を調製するための第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物の使用にも関する。
本発明は、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療において使用するための塩または溶媒和物形態の第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物も提供する。
以下代替的に「本発明の薬剤」と称する第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)に記載の化合物は、IP受容体を活性化し、いくつかの疾患および障害の治療ならびにその症状の改善に有用である。
IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患には、これらに限定されないが、肺動脈高血圧症(PAH)、血小板凝集に関連する状態、アテローム性動脈硬化症、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、高血糖症、炎症状態および線維症が含まれる。特定の好ましい実施形態では、IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患は肺動脈高血圧症である。
肺動脈高血圧症
肺動脈高血圧症(PAH)は多因子性の病理生物学を有する。血管収縮、肺血管壁のリモデリングおよび血栓症は、PAHにおける肺血管抵抗性の増進をもたらす(Humbertら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:13S-24S)。本明細書で開示される本発明の化合物は、肺動脈高血圧症(PAH)およびその症状の治療に有用である。PAHは、2003年の世界保健機関(WHO)の肺動脈高血圧症の臨床的分類に記載されている以下の形態の肺動脈高血圧症:すなわち、特発性PAH(BPAH);家族性PAH(FPAH);他の状態に付随するPAH(APAH)、例えば膠原血管病に付随するPAH、先天性全身−肺シャント(congenital systemic-to-pulmonary shunt)に付随するPAH、門脈高血圧症に付随するPAH、HTV感染症に付随するPAH、薬物または毒素に付随するPAH、またはその他に付随するPAH;および重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。特発性PAHは原因が未確定なPAHを指す。家族性PAHはそのために遺伝的継承が疑われるまたは確認されているPAHを指す。膠原血管病に付随するPAHは、強皮症に付随するPAH、CREST(皮膚石灰沈着症、レイノー現象、食道機能不全、手指硬化症および毛細血管拡張症)症候群に付随するPAH、全身性紅斑性狼瘡(SLE)に付随するPAH、関節リウマチに付随するPAH、高安動脈炎に付随するPAH、多発性筋炎に付随するPAH、および皮膚筋炎に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。congenital systerruc−to−pulmonary shuntに付随するPAHは、心房中隔欠損症(ASD)に付随するPAH、心室中隔欠損症(VSD)に付随するPAHおよび動脈管開存症に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。
薬物または毒素に付随するPAHは、アミノレックスの摂取に付随するPAH、フェンフルラミン化合物の摂取に付随するPAH(例えば、フェンフルラミンの摂取に付随するPAHまたはデクスフェンフルラミンの摂取に付随するPAH)、特定の有毒油の摂取に付随するPAH(例えば、菜種油の摂取に付随するPAH)、ピロリジジンアルカロイドの摂取に付随するPAH(例えば、ブッシュティーの摂取に付随するPAH)およびモノクロタリンの摂取に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。その他に付随するPAHは、甲状腺障害に付随するPAH、グリコーゲン貯蔵症に付随するPAH、ゴーシェ病に付随するPAH、遺伝性出血性毛細血管拡張症に付随するPAH、異常血色素症に付随するPAH、骨髄増殖性障害に付随するPAHおよび脾臓摘出に付随するPAHを包含するものと理解すべきである。重大な静脈または毛細血管の関与に付随するPAHは、肺静脈閉塞性疾患(PVOD)に付随するPAHおよび肺毛細管血管腫症(PCH)に付随するPAHを包含するものと理解すべきである(例えば、Simonneauら、J. Am. Coll. Cardiol., 2004, 43:5S-12S;McGoonら、Chest, 2004, 126:14S-34S;Rabinovitch, Annu. Rev. Pathol. Mech. Dis., 2007, 2:369-399;McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431;Straussら、Clin. Chest. Med., 2007, 28:127-142;Taichmanら、Clin. Chest. Med., 2007, 28:1-22を参照されたい)。
PAHの強皮症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果は、Badeschら(Badeschら、Ann. Intern. Med., 2000, 132:425-434)によって示されている。PAHと膠原血管病混合結合組織病(MCTD)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、シェーグレン症候群およびCREST症候群との関連についての証拠ならびにPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はHumbertら(Eur. Respir. J., 1999, 13:1351-1356)によって示されている。PAHとCREST症候群との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はMiwaら(Int. Heart J., 2007, 48:417-422)によって示されている。PAHとSLEとの関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はRobbinsら(Chest, 2000, 117:14-18)によって示されている。PAHとHIV感染症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益性はAguilarら(Am. J. Respir. Crit. Care Med., 2000, 162:1846-1850)によって示されている。PAHと先天性心臓欠陥(ASD、VSDおよび動脈管開存症を含む)との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はRosenzweigら(Circulation, 1999, 99:1858-1865)によって示されている。
PAHとフェンフルラミンおよびデクスフェンフルラミン、食欲抑制因子との関連についての証拠はArcherら(Am. J. Respir. Crit. Care Med., 1998, 158:1061-1067)によって示されている。PAHと遺伝性出血性毛細血管拡張症との関連についての証拠はMcGoonら(Chest, 2004, 126:14-34)によって示されている。PAHと脾臓摘出との関連についての証拠はHoeperら(Ann. Intern. Med., 1999, 130:506-509)によって示されている。PAHと門脈高血圧症との関連についての証拠およびPAHに対するIP受容体のアゴニストの有益な効果はHoeperら(Eur. Respir. J., 2005, 25:502-508)によって示されている。
PAHの症状には、呼吸困難、狭心症、失神および浮腫が含まれる(McLaughlinら、Circulation, 2006, 114:1417-1431)。本明細書で開示する本発明の化合物はPAHの症状の治療に有用である。
抗血小板治療(血小板凝集に関係する状態)
抗血小板剤(抗血小板物質(antiplatelets))は様々な状態に対して処方される。例えば、冠動脈疾患において、これらは、閉塞性血塊を増進させるリスクがある(例えば、冠状動脈血栓症)患者における心筋梗塞または脳卒中(stroke)を防止する助けとなるように使用される。
心筋梗塞において、冠状動脈血管における閉塞の結果として、心筋は、酸素リッチな血液を十分に受けられない。もし、発作が進行中であるかまたはその直後(好ましくは30min以内)である場合、抗血小板物質は、心臓への損傷を軽減することができる。
一過性虚血発作(「TIA」または「ミニ脳卒中」)は、通常、閉塞性の血塊による、動脈を通る血流量の低下に起因した脳への酸素流の短期的中断である。抗血小板性薬物は、TIAを防止するのに効果的であることが分かっている。狭心症は、心臓のある部分への不十分な酸素リッチな血流(虚血)によって引き起こされる、一時的でしばしば再発する胸痛、圧迫または不快症状である。狭心症を有する患者において、抗血小板物質治療は、狭心症の影響および心筋梗塞のリスクを低減することができる。
脳卒中は、通常血塊による脳血管の閉塞に起因して、脳が酸素リッチな血液を十分受けられない事象である。ハイリスク患者において、抗血小板物質を定期的に取ると、初回または2回目の脳卒中を引き起こす血塊の形成が防止されることが分かっている。血管形成術は、血塊によって塞がれた動脈を広げるために用いられるカテーテルをベースとした技術である。動脈を広げたままにしておくためのこの手順の直後に、ステント留置を実施してもしなくても、抗血小板物質は、その手順の後の追加的な血塊形成のリスクを低減させることができる。
冠状動脈バイパス術は、体内のよその部位から動脈または静脈を取り、閉塞した冠状動脈に移植して、閉塞部を迂回し、新たに取り付けた血管を通して、血液を別の経路で送る外科的手順である。この手順の後、抗血小板物質は二次的な血塊のリスクを低減させることができる。
心房性細動は、最も一般的なタイプの持続性の不規則心拍リズム(不整脈)である。心房性細動は毎年約2百万人のアメリカ人に影響を及ぼしている。心房性細動では、心房(心臓の上方室)は、正常な収縮よりむしろ震えを引き起こす電気信号を急激に発する。それによって、異常に速く非常に不規則な心拍がもたらされる。心房性細動のエピソード後に投与された場合、抗血小板物質は、心臓内で血塊が形成され、脳へ移動するリスク(塞栓症)を低減させることができる。
IP受容体アゴニストは血小板凝集を阻害することになり、したがって抗血小板物質治療としての潜在的処置法である証拠がある(例えば、Moncadaら、Lancet, 1977, 1:18-20を参照されたい)。マウスにおけるIP受容体の遺伝的欠損は、血栓症へのかかり易さ(propensity)の増大をもたらすことが示されている(Murataら、Nature, 1997, 388:678-682)。
IP受容体アゴニストは、例えば、跛行または末梢動脈疾患ならびに心血管系の合併症、動脈血栓症、アテローム性動脈硬化症、セロトニンによって引き起こされる血管収縮、虚血再かん流傷害および血管形成術またはステント留置術の後の動脈の再狭窄を治療するのに使用することができる(例えば、Fetalveroら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:109-118;Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Daviら、N. Engl. J. Med., 2007, 357:2482-2494;Fetalveroら、Am. J. Physiol. Heart. Circ. Physiol., 2006, 290:H1337-H1346;Murataら、Nature, 1997, 388:678-682;Wangら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2006, 103:14507-14512;Xiaoら、Circulation, 2001, 104:2210-2215;McCormickら、Biochem. Soc. Trans., 2007, 35:910-911;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6を参照されたい)。
IP受容体アゴニストは、単独で使用するか、または血栓溶解治療法、例えば組織型プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)と組み合わせて使用して、それらからもたらされる合併症を含む、MIまたは虚血後心筋機能障害の後の心臓保護または経皮冠状動脈インターベンションの際の虚血性傷害からの保護などを提供することもできる。IP受容体アゴニストは、例えばαトコフェロール(ビタミンE)、エキスタチン(ディスインテグリン)と組み合わせて、または凝固性亢進の状態においてヘパリンと組み合わせて、抗血小板物質治療において使用することもできる(例えば、Chan., J. Nutr., 1998, 128:1593-1596;Mardlaら、Platelets, 2004, 15:319-324;Bernabeiら、Ann. Thorac. Surg., 1995, 59:149-153;Gainzaら、J. Nephrol., 2006, 19:648-655を参照されたい)。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、それらに限定されないが、上記の適応症(indication)において、凝集血小板の血管収縮物質をアンタゴナイズすることによって、抗血小板物質治療を必要とする患者に微小循環における有益な改善を提供する。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における血小板凝集を低減させる方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をその患者に投与する工程を含む方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における冠動脈疾患、心筋梗塞、一過性虚血発作、狭心症、脳卒中、心房性細動または上記のいずれかの症状を治療する方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をその患者に投与する工程を含む方法を提供する。
他の実施形態では、本発明は、血管形成術もしくは冠状動脈バイパス術の患者または心房性細動に苦しむ患者における血塊の形成のリスクを低減させる方法であって、本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物をそうしたリスクが存在する時点でその患者に投与する工程を含む方法を提供する。
アテローム性動脈硬化症
アテローム性動脈硬化症は、炎症、脂肪蓄積、細胞死および線維症を特徴とする複雑な疾患である。これは、米国を含む多くの国における死亡の主要原因である。この用語を本明細書で使用する場合、アテローム性動脈硬化症は、平滑筋の細胞および脂質の内膜内での漸進的蓄積をもたらす大動脈および中動脈の障害を包含するものと理解されるべきである。
IP受容体のアゴニストは、アテローム血栓症などのアテローム性動脈硬化症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Stithamら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:95-108;Friesら、Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program, 2005,:445-451;Eganら、Science, 2004, 306:1954-1957;Kobayashiら、J. Clin. Invest, 2004, 114:784-794;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。欠陥のあるIP受容体シグナル伝達はヒトにおけるアテローム血栓症を加速するようである、すなわち、IP受容体のアゴニストはヒトにおけるアテローム血栓症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。
本明細書で開示する本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症の治療およびその症状の治療において有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるアテローム性動脈硬化症の症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
ぜんそく
ぜんそくは、気道好酸球増加、杯細胞による粘液産生の増加および気道壁の構造的リモデリングを特徴とするリンパ球媒介性炎症性気道障害である。ぜんそくの有病率は、世界的に最近数十年で劇的に増加している。マウスにおけるIP受容体の遺伝的欠損は、アレルギー性気道炎症を増大させることが示されている(Takahashiら、Br J Pharmacol, 2002, 137:315-322)。IP受容体のアゴニストは、感作相の間に与えられた場合のぜんそくの増悪(development)の抑制だけでなく、惹起相(challenge phase)の間に与えられた場合の実験的ぜんそくの主要な特性も、少なくとも一部において気道内の抗原提示dendnuc cellの機能を著しく妨害することによって(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-72, Nagaoら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 2003, 29:314-320)抑制できることが示されている(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710;Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203;Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 3:865-878)。これらの細胞は、アレルギー性ぜんそくの開始相と維持相の両方に極めて重要である。その理由は、感作マウスにおいて、二次惹起の間の気道の樹状細胞が枯渇するとぜんそくのすべての特徴的な特性が消失されており、これは、野生型樹状細胞の養子免疫伝達によって完全に回復できる可能性のある効果であるからである(van Rijtら、J. Exp. Med., 2005, 201:981-991)。IP受容体のアゴニストは、ヒト肺胞マクロファージによる炎症性サイトカイン分泌を阻害できることも示されている(Raychaudhuriら, J. Biol. Chem., 2002, 277:33344-33348)。本明細書で開示する本発明の化合物は、ぜんそくの治療およびその症状の治療において有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者におけるぜんそくを治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるぜんそくの症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
慢性閉塞性肺疾患
IP受容体の活性化は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)にも有益である可能性がある。IP受容体アゴニストであるタプロステンは、インビトロで、ヒト気道上皮細胞からのCD8+T細胞化学誘引物質CXCL9およびCXCL10の産生を抑制した(Ayer, L. M., S. M. Wilson, S. L. Traves, D. Proud, M. A. Giembycz. 2008. J. Pharmacol. Exp. Ther. 324:815-826)。IP受容体アゴニストであるベラプロストは、実験的なたばこ煙誘発気腫の発現に対してラットを保護しているが、これは多分、肺胞上皮細胞アポトーシス、酸化的負荷、マトリックスメタロプロテアーゼ発現および炎症性サイトカイン産生に対する協奏的阻害作用によるものである(Chen, Y., M. Hanaoka, P. Chen, Y. Droma, N. F. Voelkel, K. Kubo. 2009. Am. J. Physiol. 296:L648-L656)。
他の実施形態では、治療を必要とする患者におけるCOPDを治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。
高血糖症
高血糖症は糖尿病性末梢神経障害(DPN)、糖尿病性ネフロパシー(DN)および糖尿病性網膜症(DR)などの糖尿病性合併症発症の主原因であるが、糖尿病患者における亢進した血管収縮および血小板凝集も、疾患の進行において役割を果たすのに関与している(Cameronら、Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 2003, 367:607-614)。IP受容体のアゴニストは血管拡張を促進し、血小板凝集を阻害する。微小血管の血流を改善すると、糖尿病性合併症に利益をもたらすことができる(Cameron, Diabetologia, 2001, 44:1973-1988)。
IP受容体のアゴニストは、ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットにおいて、運動および感覚末梢神経伝達異常を防止し逆転させることができることが示されている(Cotterら、Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 1993, 347:534-540)。糖尿病性末梢神経障害の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての他の証拠が、Hottaら(Diabetes, 1996, 45:361-366)、Uenoら(Jpn. J. Pharmacol., 1996, 70:177-182)、Uenoら(Life Sci., 1996, 59:PL1O5-PL110)、Hottaら(Prostaglandins, 1995, 49:339-349)、Shindoら(Prostaglandins, 1991, 41:85-96)、Okudaら(Prostaglandins, 1996, 52:375-384)およびKoikeら(FASEB J., 2003, 17:779-781)によって示されている。
糖尿病性ネフロパシーの治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Owadaら(Nephron, 2002, 92:788-796)およびYamashitaら(Diabetes Res. Clin. Pract., 2002, 57:149-161)によって示されている。糖尿病性網膜症の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Yamagishiら(Mol. Med., 2002, 8:546-550)、Burnetteら(Exp. Eye Res., 2006, 83:1359-1365)およびHottaら(Diabetes, 1996, 45:361-366)によって示されている。IP受容体のアゴニストは、糖尿病患者における高い腫瘍壊死因子−[α](TNF−[α])レベルを低下させることができることが示されており、これは、IP受容体のアゴニストが糖尿病性合併症の進行の阻止に寄与する可能性を示している(Fujiwaraら、Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes, 2004, 112:390-394)。
ウサギおよびイヌにおいてIP受容体のアゴニストを局所投与すると眼圧(IOP)を低下させることができ、それによって緑内障の治療において有益な効果があるという証拠がHoyngら(Hoyngら、Invest. Ophthalmol. Vis. Sci., 1987, 28:470-476)によって示されている。
IP受容体のアゴニストは、血管緊張の調節、血管拡張および肺高血圧症の改善に対して活性を有していることが示されている(例えば、Straussら、Clin Chest Med, 2007, 28:127-142;Driscollら、Expert Opin. Pharmacother., 2008, 9:65-81を参照されたい)。高血圧症の治療におけるIP受容体のアゴニストの有益な効果についての証拠が、Yamadaら(Peptides, 2008, 29:412-418)によって示されている。IP受容体のアゴニストは脳虚血を保護することができるという証拠が、Doganら(Gen. Pharmacol., 1996, 27:1163-1166)およびFangら(J. Cereb. Blood Flow Metab., 2006, 26:491-501)によって示されている。
抗炎症
抗炎症剤は様々な状態のために処方される。例えば、炎症性疾患において、これらは基礎をなす有害作用を妨害し、それによってその有害作用を低減させるのに用いられる。
IP受容体アゴニストは炎症を阻止することができ、したがって抗炎症治療としての潜在的な治療法であるという証拠がある。IP受容体のアゴニストは、炎症促進性のサイトカインおよびケモカイン(インターロイキン−12(IL−12)、腫瘍壊死因子−[α](TNF−[α])、DL−l[α]、EL−6、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−l[α])、単球走化性タンパク質−1(MCP−I))の産生および樹状細胞のT細胞刺激機能を阻害できることが示されている(Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 865-878;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710;Nagaoら、Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 2003, 29:314-320;Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472)。IP受容体のアゴニストは、マクロファージによる炎症促進性サイトカイン(TNF−[α]、IL−1/3、EL−6、顆粒球マクロファージ刺激因子(GM−CSF))の産生を阻害できることが示されている(Raychaudhuriら、J. Biol. Chem., 2002, 277:33344-33348;Czeslickら、Eur. J. Clin. Invest., 2003, 33:1013-1017;Di Renzoら、Prostaglandin Leukot. Essent. Fatty Acids, 2005, 73:405-410;Shinomiyaら、Biochem. Pharmacol., 2001, 61:1153-1160)。IP受容体のアゴニストは、樹状細胞による抗炎症性サイトカイン(DL−IO)の産生を刺激できることが示されている(Jozefowskiら、Int. Immunopharmacol., 2003, 865-878;Zhouら、J. Immunol., 2007, 178:702-710)。IP受容体のアゴニストは、マクロファージによる抗炎症性サイトカイン(DL−10)産生を刺激できることが示されている(Shinomiyaら、Biochem. Pharmacol., 2001, 61:1153-1160)。IP受容体のアゴニストは、白血球(CD4<+>Th2 T細胞)のケモカイン(CCL17)誘発走化性を阻害できることが示されている(Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203)。IP受容体のアゴニストは、アテローム血栓症などのアテローム性動脈硬化症からの保護を与えることができることが示されている(Arehartら、Curr. Med. Chem., 2007, 14:2161-2169;Stithamら、Prostaglandins Other Lipid Mediat., 2007, 82:95-108;Friesら、Hematology Am. Soc. Hematol. Educ. Program, 2005,:445-451;Eganら、Science, 2004, 306:1954-1957;Kobayashiら、J. Clin. Invest., 2004, 114:784-794;Arehartら、Circ. Res., 2008, Mar 6)。IP受容体のアゴニストは、ぜんそくを減弱させることができることが示されている(Idzkoら、J. Clin. Invest., 2007, 117:464-472;Jaffarら、J. Immunol., 2007, 179:6193-6203;Nagaoら、Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol., 2003, 29:314-320)。IP受容体のアゴニストは、2型糖尿病患者におけるTNF−[α]産生を低下させることができることが示されている(Fujiwaraら、Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes, 2004, 112:390-394;Goyaら、Metabolism, 2003, 52:192-198)。IP受容体のアゴニストは、虚血再かん流傷害を阻害できることが示されている(Xiaoら、Circulation, 2001, 104:2210-2215)。IP受容体のアゴニストは、再狭窄を阻害できることが示されている(Chengら、Science, 2002, 296:539-541)。IP受容体のアゴニストは、敗血症性ショックのラットモデルにおいて、肺血管損傷およびショックを減弱させることができることが示されている(Haradaら、Shock, 2008, Feb 21)。IP受容体のアゴニストは、関節リウマチを有する患者において、インビボでTNF−[α]の血清中濃度を低下させることができ、これは、この疾患の臨床経過における改善と関係していることが示されている(Gaoら、Rheumatol. Int., 2002, 22:45-51;Boehmeら、Rheumatol. Int., 2006, 26:340-347)。
本明細書で開示する本発明の化合物は炎症の有益な低減をもたらす。本明細書で開示する本発明の化合物は、炎症性疾患に付随する有害な炎症反応の有益な低減をもたらす。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における炎症を低減させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるIL−12、TNF−[α]、IL−l[α]、IL−IjS、BL−6、MIP−IaまたはMCP−Iの産生を減少させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるTNF−[α]の産生を減少させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者におけるEL−IOの産生を増大させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における炎症性疾患に付随する有害な炎症反応を低減させる方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、治療を必要とする患者における炎症性疾患またはその症状を治療する方法であって、その患者に本明細書で開示するIP受容体アゴニストを含む組成物を投与する工程を含む方法を提供し、ここでその炎症性疾患は、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、クローン病、移植片拒絶反応、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、潰瘍性大腸炎、虚血再かん流傷害、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、座瘡、糖尿病(1型糖尿病および2型糖尿病を含む)、敗血症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびぜんそくからなる群から選択される。
線維症
PGI2シグナル伝達は、腎臓、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓を含む様々な器官の線維症(fibrotic disease)ならびに全身性硬化症および関連病理において有益な役割を果たすことが示されている。IP受容体のアゴニストは、心臓線維症を改善できることが示されている(Chan ECら(2010)J Mol Cell Cardiol. Apr 18;Hirata Yら(2009)Biomed Pharmacother. 63(10):781-6;Kaneshige Tら(2007)J Vet Med Sci. 69(12):1271-6)。IP受容体のアゴニストは、腎臓線維症を減弱させることができることが示されている(Takenaka Mら(2009)Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 80(5-6):263-7)。IP受容体のアゴニストは、ブレオマイシンモデルにおいて肺線維症に対して保護できることが示されている(Zhu Yら(2010)Respir Res. 20;11(1):34)。IP受容体のアゴニストは、強皮症患者における線維症の主要メディエーターである結合組織成長因子の産生を抑制できることが示されている(Stratton Rら(2001)J Clin Invest. 108(2):241-50)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者における指潰瘍(digital ulceration)の発生率を低下させることができることが示されている。M. Vayssairat(1999)J Rheumatol 26:2173-2178。IP受容体のアゴニストは、難治性のRenaud’s phenomenonを有する幼児における指先の壊死を低減できることが示されている(Shouval DSら(2008)Clin Exp Rheumatol. 26(3 Suppl 49):S105-7)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者における内皮活性化のマーカーを減少させることができることが示されている(Rehberger Pら(2009)Acta Derm Venereol. 89(3):245-9)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症を有する患者におけるレイノー発作の重症度、頻度を低減し、期間を短縮させることができることが示されている(Torlayら(1991)Ann Rheum Dis 50, 800-804)。IP受容体のアゴニストは、全身性硬化症およびレイノー現象を有する患者における門脈血行動態を改善できることが示されている(Zardiら(2006) In Vivo 20(3):377-80)。IP受容体のアゴニストは、肥満したズッカーラットにおいて、膵臓線維症の進行を阻止できることが示されている(Satoら(2010) Diabetes 59(4):1092-100)。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、特発性であっても慢性炎症に続発するものであってもよい腎臓、心臓、肺、皮膚、膵臓および肝臓の線維症ならびに全身性硬化症(上記の適応症に限定されない)に苦しむ患者に、有益な抗線維化効果をもたらす。
さらに、IP受容体のアゴニストが、急性および慢性の腎不全において腎臓機能を改善できる実質的な証拠がある。IP受容体のアゴニストは、内毒血症関連の急性腎不全において腎機能を回復させることができることが示されている(Johannes Tら(2009)Crit Care Med. 37(4):1423-32)。IP受容体のアゴニストは、腎虚血/再かん流傷害のモデルにおいて腎機能を改善できることが示されている。Sahsivar MOら(2009)Shock 32(5):498-502)。IP受容体のアゴニストは、心臓手術を受けた腎機能障害を有する患者における造影剤誘発性腎症を防止できることが示されている(Spargias Kら(2009)Circulation 3;120(18):1793-9)。IP受容体のアゴニストは、糖尿病性ネフロパシーについてのモデルにおいて、腎機能を改善し、腎臓の炎症および硬化性変化を低減させることができることが示されている。Watanabe Mら(2009)Am J Nephrol. 2009;30(1):1-11)。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、例えば、染料造影剤に続発する急性および慢性の腎臓損傷および腎症、虚血再かん流傷害、全身性炎症ならびに糖尿病(上記の適応症に限定されない)を有する患者における腎機能の有益な改善をもたらす。
子癇前症の発症におけるプロスタサイクリン欠損の因果的役割についての相当な証拠が存在する(Mills JLら(1999)JAMA 282:356-362;Walsh SW(2004)Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids 70:223-232)。子癇前症のラットモデルにおいて、IP受容体のアゴニストの投与は血圧を低下させることが示されている(Zlatnik MGら(1999)Am J Obstet Gynecol. 180(5):1191-5)。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、子癇前症を有する患者における血行動態の有益な改善をもたらす。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは、嚢胞性線維症の有益な治療を提供し得る。
本明細書で開示するIP受容体アゴニストは化学的予防を提供し得る。化学的予防は、癌の発症またはその再発のリスクを低下させるための、薬物、ビタミンまたは栄養補給剤の使用の実践である。経口イロプロスト(Ventavis)、プロスタサイクリンの類似体は、肺癌のための化学抗癌剤として有望である。IP受容体アゴニストによる化学的予防を支持するデータは、米国癌学会(American Association for Cancer Research)の第102回年次大会での国際肺癌学会(International Association for the Study of Lung Cancer)の事務局長(executive Director)であるPaul Bunn Jr. MDによって示されており、喫煙経験者における気管支内異形成が著しく改善されていることが示されている。
組合せ(併用(combination))
第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物は、第2の薬剤、例えば有機硝酸塩およびNO−供与体、例えばニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1および吸入性NO;環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えばホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にシルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィルなどのPDE5阻害剤;特にWO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載されている化合物などの、グアニル酸シクラーゼのNO非依存性であるがヘム依存性であるスティミュレーター;特にWO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載されている化合物などの、グアニル酸シクラーゼのNOおよびヘム非依存性活性化因子;シベレスタットまたはDX−890(レルトラン(Reltran))などのヒト好中球エラスターゼを阻害する化合物;チロシンキナーゼおよび/またはセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、特にイマチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ソラフェニブおよびスニチニブなどのシグナル伝達カスケードを阻害する化合物;心臓のエネルギー代謝に影響を及ぼす化合物、例えば、好ましくはエトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン;例えば、好ましくは血小板凝集阻害剤、抗凝血剤または線維素溶解促進性物質を含む群からの抗血栓剤;例えば、好ましくはカルシウムアンタゴニスト、アンジオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、レニン阻害剤、アルドステロンシンターゼ阻害剤、α受容体遮断剤、β受容体遮断剤、電解質コルチコイド受容体アンタゴニスト、Rho−キナーゼ阻害剤および利尿剤を含む群からの血圧を低下させるための活性物質;および/または、例えば、好ましくは、甲状腺受容体アゴニスト、コレステロール合成の阻害剤、例えば、好ましくはHMG−CoA−レダクターゼ阻害剤またはスクアレン合成の阻害剤、ACAT阻害剤、CETP阻害剤、MTP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、コレステロール吸収阻害剤、リパーゼ阻害剤、高分子胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤およびリポタンパク質(a)アンタゴニストを含む群からの脂質代謝を改変する活性物質と組み合わせて、特に、PAHまたは上記にあげたものなどの疾患もしくは障害の治療において、例えばそうした薬物の治療活性の増強物質として、またはそうした薬物の所要投薬量もしくは潜在的副作用を低減させる手段として使用するための共治療剤としても有用である。
特に、本発明の実施形態は、式Iの化合物および第2の薬剤を含む医薬的組合せ(組合せ医薬(pharmaceutical combination))であって、その第2の薬剤がPDEV阻害剤または中性エンドペプチダーゼ阻害剤である医薬的組合せである。
第1の態様または第1の態様の実施形態(i)〜(vii)で定義された化合物は、一定の医薬組成で第2の薬剤と混合することができ、また、他の原薬(drug substance)の前、それと同時またはその後に別個に投与することができる。
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体活性と、浸透圧性薬剤(高張食塩水、デキストラン、マンニトール、キシリトール)、ENaC遮断剤、抗炎症性、気管支拡張薬、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、抗生物質および/またはDNase原薬の組合せを含む。ここで、IP受容体アゴニストおよび他の原薬は、同じ医薬組成物であっても異なる医薬組成物であってもよい。
適切な抗生物質には、マクロライド抗生物質、例えばトブラマイシン(TOBI(商標))が含まれる。
適切なDNase原薬には、ドルナーゼアルファ(Pulmozyme(商標))、DNAを選択的に切断する、組み換え型ヒトデオキシリボヌクレアーゼI(rhDNase)の高度に精製された溶液が含まれる。ドルナーゼアルファは嚢胞性線維症を治療するのに使用される。
IP受容体アゴニストと抗炎症性薬物の他の有用な組合せは、ケモカイン受容体のアンタゴニスト、例えばCCR−1、CCR−2、CCR−3、CCR−4、CCR−5、CCR−6、CCR−7、CCR−8、CCR−9およびCCR10、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、特にCCR−5アンタゴニスト、例えばSchering−PloughアンタゴニストSC−351125、SCH−55700およびSCH−D;Takedaアンタゴニスト、例えばN−[[4−[[[6,7−ジヒドロ−2−(4−メチル−フェニル)−5H−ベンゾ−シクロヘプテン−8−イル]カルボニル]アミノ]フェニル]−メチル]テトラヒドロ−N,N−ジメチル−2H−ピラン−4−アミン−イウムクロリド(TAK−770);ならびにUSP6,166,037(特に請求項18および19)、WO00/66558(特に請求項8)、WO00/66559(特に請求項9)、WO04/018425およびWO04/026873に記載されているCCR−5アンタゴニストとの組合せである。
適切な抗炎症性薬物には、ステロイド、例えばコルチコステロイドが含まれる。適切なステロイドには、ブデソニド、ベクラメタゾン(beclamethasone)(例えば、ジプロピオネート)、ブチキソコート(例えば、プロピオネート)、CHF5188、シクレソニド、デキサメタゾン、フルニソリド、フルチカゾン(例えば、プロピオネートまたはフロエート)、GSK−685698、GSK−870086、LAS40369、メチルプレドニゾロン、モメタゾン(例えば、フロエート)、プレドニゾロン、ロフレポニドおよびトリアムシノロン(例えば、アセトニド)が含まれる。特定の好ましい実施形態では、ステロイドは、ブデソニド、シクレソニド、フルチカゾンまたはモメタゾンなどの長時間作用型のコルチコステロイドである。
適切な第2の活性成分(active ingredient)構成要素にはβアゴニストが含まれる。適切なβアゴニストには、アルホルモテロール(例えば、タートレート)、アルブテロール/サルブタモール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に硫酸塩)、AZD3199、バンブテロール、BI−171800、ビトルテロール(例えば、メシレート)、カルモテロール、クレンブテロール、エタンテロール、フェノテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に臭化水素酸塩)、フレルブテロール、フォルモテロール(例えば、ラセミ化合物または単一のジアステレオマー、例えばR,R−ジアステレオマーまたはその塩、特にフマル酸塩またはフマル酸塩二水和物)、GSK−159802、GSK−597901、GSK−678007、インダカテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特にマレイン酸塩、酢酸塩またはキシナホ酸塩)、LAS100977、メタプロテレノール、ミルベテロール(例えば、塩酸塩)、ナミンテロール、オロダテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特に塩酸塩)、PF−610355、ピルブテロール(例えば、酢酸塩)、プロカテロール、レプロテロール、サルメファモール、サルメテロール(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体、例えばR型鏡像異性体もしくはその塩、特にキシナホ酸塩)、テルブタリン(例えば、硫酸塩)およびビランテロール(またはその塩、特にトリフェナテートが含まれる。特定の好ましい実施形態では、βアゴニストは、超長時間作用型βアゴニスト、例えばインダカテロールまたは潜在的にカルモテロール、LAS−100977、ミルベテロール、オロダテロール、PF−610355またはビランテロールである。第2の活性成分の好ましい実施形態の1つは、インダカテロール(すなわち、(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン)またはその塩である。これは、特に長い作用期間(すなわち、24時間超)および短期の作用発現(すなわち、約10分間)を有するβアドレナリン受容体アゴニストである。この化合物は、国際特許出願WO2000/75114およびWO2005/123684に記載されている方法で調製される。これは、酸付加塩、特に薬学的に許容される酸付加塩を形成することができる。(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンの好ましい塩はマレイン酸塩である。他の好ましい塩は(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン酢酸塩である。他の好ましい塩は(R)−5−[2−(5,6−ジエチル−インダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オンキシナホ酸塩である。
適切な気管支拡張性薬物には、抗コリン作用剤または抗ムスカリン剤、例えばアクリジニウム(例えば、ブロミド)、BEA−2108(例えば、ブロミド)、BEA−2180(例えば、ブロミド)、CHF−5407、ダリフェナシン(例えば、ブロミド)、ダロトロピウム(例えば、ブロミド)、グリコピロレート(例えば、ラセミ化合物または単一の鏡像異性体もしくはその塩、特にブロミド)、デキシピロニウム(例えば、ブロミド)、iGSK−202405、GSK−203423、GSK−573719、GSK−656398、イプラトロピウム(例えば、ブロミド)、LAS35201、LAS186368、オチロニウム(例えば、ブロミド)、オキシトロピウム(例えば、ブロミド)、オキシブチニン、PF−3715455、PF−3635659、ピレンゼピン、レバトロペート(revatropate)(例えば、ヒドロブロミド)、ソリフェナシン(例えば、スクシネート)、SVT−40776、TD−4208、テロジリン、チオトロピウム(例えば、ブロミド)、トルテロジン(例えば、タートレート)およびトロスピウム(例えば、クロリド)が含まれる。特定の好ましい実施形態では、ムスカリン性アンタゴニストは、長時間作用型ムスカリン性アンタゴニスト、例えばダロトロピウムブロミド、グリコピロレートまたはチオトロピウムブロミドである。
適切な二重抗炎症性および気管支拡張性の薬物には、二重β−2アドレナリン受容体アゴニスト/ムスカリン性アンタゴニスト、例えばGSK−961081(例えば、スクシネート)ならびにUSP2004/0167167、WO04/74246およびWO04/74812に開示されているものが含まれる。
適切な抗ヒスタミン原薬には、セチリジン塩酸塩、アセトアミノフェン、フマル酸クレマスチン、プロメタジン、ロラチジン(loratidine)、デスロラチジン(desloratidine)、ジフェンヒドラミンおよびフェキソフェナジン塩酸塩、アクチバスチン、アステミゾール、アゼラスチン、エバスチン、エピナスチン、ミゾラスチンおよびテフェナジン(tefenadine)ならびにJP2004107299、WO03/099807およびWO04/026841に開示されているものが含まれる。
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとSmad2およびSmad3のALK5および/またはALK4リン酸化を阻害する薬剤の組合せを含む。
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとRho−キナーゼ阻害剤である第2の薬剤の組合せを含む。
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストとtryptophan hydroylase 1(TPH1)阻害剤である第2の薬剤の組合せを含む。
したがって、本発明は、他の態様として、IP受容体アゴニストと、多標的キナーゼ阻害剤、例えばイマチニブミシレート(imatinib mysilate)、グリベック(Gleevec)である第2の薬剤の組合せを含む。イマチニブは、多くのチロシンキナーゼ酵素の特異的阻害剤として機能する。これはTK活性部位を占有し、活性の低下をもたらす。体内のTK酵素にはインスリン受容体が含まれる。イマチニブは、エーベルソンプロトオンコジーン、c−kitおよびPDGF−R(血小板由来の成長因子受容体)中のTKドメインに対して特異的である。
本発明の実施形態では、本発明のIP受容体アゴニストは、ホスホジエステラーゼV阻害剤、中性エンドペプチダーゼ1阻害剤、THP1阻害剤、多標的キナーゼ阻害剤、エンドセリンアンタゴニスト、利尿剤、アルドステロン受容体遮断剤およびエンドセリン受容体遮断剤から選択される第2の活性薬剤と組合せて(併用して)投与される。
本発明の実施形態では、本発明のIP受容体アゴニストは、ホスホジエステラーゼV阻害剤、中性エンドペプチダーゼ1阻害剤、THP1阻害剤、および多標的キナーゼ阻害剤、例えばPDGFRまたはc−Kitから選択される第2の活性薬剤と組合せて投与される。
本発明を、以下の実施例によって例示する。
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の調製
Figure 2015503610
ステップ1:エチル7−(2,3−dip−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエート
DCE(300ml)中の2,3−ジ−p−トリル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[2,3−b]ピラジン(中間体E)(10g、31.7mmol)の溶液にDIPEA(6.09ml、34.9mmol)を加え、次いでエチル7−オキソヘプタノエート(10.92g、63.4mmol)を加えた。混合物をRTで10分間撹拌し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(16.80g、79mmol)を滴下添加した。反応混合物を40℃で終夜加熱し、次いで水(500ml)に徐々に加え、RTで10分間撹拌した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(2×200ml)で抽出した。一緒にした有機部分をブライン(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮して淡黄色油状物を得た。Isolute Separtis SCX−2(捕捉/放出型強陽イオン交換樹脂)(222g、127mmol)をカラムに加え、生成物をMeOH(50ml)でロードした。カラムを、MeOH(750L)でフラッシュし、次いで2N NH/MeOH(1000ml、280ml 7N+720mlのMeOHにより調製)でフラッシュして表題化合物を得た。さらなる精製は実施しなかった。
HPLC(Agilent1200)Rt6.38min、方法B
ステップ2:7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸
エチル7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタノエート(ステップ1)をTHF(94ml)に溶解し、水(94ml)中の水酸化リチウム一水和物(7.79g、186mmol)を滴下添加した。反応混合物を50℃に加温し、7.5時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮してTHFを除去し、水(500ml)で希釈した。水層のpHを1N HCl(100ml)でpH2に調節し、EtOAc(3×500ml)で抽出した。一緒にした有機層をブライン(200ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、真空下で濃縮した。粗製固体をTBME/ヘキサン(1:1、100ml)に懸濁し、ロータリーエバポレーター(真空はかけず)で結晶が生成されるまでRTで回転させた。固体をろ別し、ヘプタン(50ml)で洗浄し、RTで終夜乾燥した。固体を、EtOH(211ml)と水(159ml)の熱混合液から再結晶化させた。播種し、5℃で1時間撹拌した後、結晶をろ別し、生成物を真空オーブン中、40℃で終夜乾燥して表題化合物を得た。
特徴づけデータ:Rt=4.54min;[M+H]444.4、方法 10minLC_v003
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.95 (1H, br s), 7.21(2H, d), 7.13 (2H, d), 7.07 (2H, d), 7.03 (2H, d), 3.57 (2H, m), 3.44 (2H, m), 2.88 (2H, t), 2.27 (3H, s), 2.26 (3H, s), 2.15 (2H, t), 2.00 (2H, m), 1.59 (2H, m), 1.47 (2H, m), 1.36-1.25 (4H, m).
2,3−ジ−p−トリル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[2,3−b]ピラジン(中間体E)の調製
Figure 2015503610
ステップ1:2,3−ジ−p−トリルピリド[2,3−b]ピラジン
EtOH(1609ml)およびAcOH(179ml)の中の1,2−dip−トリルエタン−1,2−ジオン(市販されている)(175g、733mmol)およびピリジン−2,3−ジアミン(80g、733mmol)の溶液を還流下で1.5時間加熱した(浴85℃で)。混合物を冷却し、真空下で濃縮した。粗製物質をDCM(500ml)に溶解し、シリカでろ過してベースラインの不純物を除去した。シリカをEtOAc(2L)で洗浄した。一緒にしたろ液層を真空下で濃縮して褐色固体を得た。この物質を1:1TBME/ヘプタン(300ml)中で摩砕した。固体をろ別し、1:1TBME/ヘプタン(200ml)で洗浄し、次いでRTで2日間乾燥して表題化合物をAcOH塩(1eq)として得た。
HPLC(Agilent1200)、Rt5.37min、方法B。
ステップ2:2,3−ジ−p−トリル−5,6,7,8−テトラヒドロピリド[2,3−b]ピラジン
EtOH/THF(1:2、2100ml)中の2,3−dip−トリルピリド[2,3−b]ピラジン(ステップ1)(181g、487mmol)の溶液を10%カーボン担持パラジウム(30g、28.8mmol)で処理し、反応混合物をRTで0.1バールの水素下に置いた。それぞれ2日および4日後、追加バッチの10%カーボン担持パラジウム(10g、9.6mmol、2回)をEtN(85ml、706mmol、2回)と一緒に加えた。全部で7日後、反応混合物をHyflo(フィルター材料)でろ過し、THF(2.5Lを分割して)で洗浄した。ろ液を真空下で濃縮して緑色/黄色固体を得た。固体を1:1TBME/ヘプタン(500ml)で摩砕し、ろ過した。固体を1:1TBME/ヘプタン(200ml)で洗浄して淡黄色固体を得た。これを終夜かけて乾燥して表題化合物を得た。
HPLC(Agilent1200)、Rt4.73min、方法B。
一般的条件:
質量スペクトルは、エレクトロスプレーイオン化を用いてLCMSシステムで実行した。これらのシステムは、Agilent 1100HPLC/Micromass Platform質量分析計の組合せかまたはSQD質量分析計を備えたWaters Acquity UPLCであった。[M+H]はモノアイソトピック分子量を指す。
NMRスペクトルは、ICON−NMRを用いてオープンアクセス型のBruker AVANCE 400NMR分光計で実行した。スペクトルを298Kで測定し、溶媒ピークを用いて参照した。以下の実施例は、本発明の例示を目的とするものであるが、それらに限定されるものと解釈すべきではない。温度は摂氏温度で示す。別段の言及がなされていない場合、すべての蒸発は減圧下、好ましくは約15mmHg〜100mmHgの間(=20〜133ミリバール)で実施される。最終生成物、中間体および出発原料の構造は、標準的な分析方法、例えば微量分析および分光学的同定、例えばMS、IR、NMRで確認する。使用する略語は当技術分野で慣用的なものである。以下に定義されていない場合、その用語は、それらの一般的に受け入れられている意味を有する。
方法BのためのHPLC分析条件
カラム:Zorbax Eclipse XDB−C18 4.6×50mm、1.8μm
カラム温度:35℃
溶離液:A:HO+0.1%TFA、B:アセトニトリル+0.1%TFA
流量:1ml/min
勾配:5〜100%MeCN(6min)、100MeCN(1.5min)、100〜5%MeCN(0.5min)
Method 10minLC_v003のためのHPLC分析条件
カラム:Waters BEH C18 50×2.1mm、1.7μm
カラム温度:50℃
溶離液:A:HO、B:アセトニトリル、どちらも0.1%TFAを含む
流量:0.8ml/min
勾配:0.20min 5%B;7.80minで5%〜95%B、1.00min 95%B
略語
AcOH 酢酸
br 幅広い
d 二重項
DCM ジクロロメタン
DCE 1,2−ジクロルエタン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
h 時間
HPLC 高圧液体クロマトグラフィー
IT 内部温度(反応器中の混合物の)
JT ジャケット温度(反応器の冷却/加熱ジャケット中の液体の温度)
LC−MS 液体クロマトグラフィーおよび質量分析
MeOH メタノール
MS 質量分析
m 多重項
min 分
ml ミリリットル
NMR 核磁気共鳴
NMP 1−メチル−2−ピロリドン
Rt 保持時間
RT 室温(約22〜26℃)
s 一重項
t 三重項
TBME メチル−tert−ブチルエーテル
THF テトラヒドロフラン
理論値 化学式にもとづいてそれぞれの元素の理論的に計算された質量割合(%m/mで示す)
測定値 それぞれの元素の実験的に測定された質量割合(%m/mで示す)
実施例1
7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の硫酸塩の調製
Figure 2015503610
硫酸塩の調製−バッチA
54.40mgの7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸(0.123mmol)および11.66mgの硫酸(0.117mmol、98%溶液として添加した)を1mLの熱アセトニトリルに溶解した。250rpmで振とうさせながら、溶液をRTに冷却した。冷却の間に自発的な結晶化が起こり、黄色の懸濁液が得られた。懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをRTで終夜乾燥した。収量:30mgの黄色粉末。
硫酸塩の調製−バッチB
700mg(1.578mmol)の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸を、パドル型撹拌機を備えた50mL四ッ口フラスコ中の8mLアセトンにRTで懸濁し、IT40℃、JT60℃(pH5)で加熱した。157mg(1.578mmol)の硫酸98%を加えた(pH1、透明で濃い黄色の溶液)。透明溶液を30minかけてRTに冷却した。結晶化が40℃で自発的に急速に起こった。懸濁液をRTで終夜(16時間)撹拌した。濃い黄色の懸濁液が得られた。懸濁液を、ガラスフィルターを用いてRTでろ過し(迅速ろ過、時間:0.5分未満)、ろ過ケーキを3×1.0mLの純アセトンで洗浄した。湿潤ろ過ケーキを乾燥オーブン中で2段階:最初にRTで終夜(16時間)、続いて50℃で終夜(16時間)かけて乾固するまで乾燥した。収量:812mgの黄色粉末。
バッチBからの塩の粉末X線回折パターン
粉末X線回折パターンを、CuKα放射線を用いてBruker(商標)D8回折計で記録した。測定されたX線回折パターンを図1に示し、以下の表1Aに、最も重要な線の反射線および強度で表す。
Figure 2015503610
バッチBからの塩の元素分析
元素分析の結果を以下の表1Bに示す。
水分含量(カールフィッシャー滴定):0.2%m/m未満
Figure 2015503610
実験データは、化学量論式C2833・HSOについての期待値に良好に対応していた。
バッチBからの塩の融点
Buchi融点測定装置で測定:約190℃(目視判定)
水の中の1%溶液/懸濁液のpH:1.78(24.4℃)
10mgの塩と1mLの水の混合物を超音波で約5min処理した。続いて混合物をRTで1時間撹拌し、次いでpH測定を行った。
示差走査熱量測定(DSC)データ
データを、Perkin Elmer Diamond DSC装置を用いて測定した。試料調製を、微細な穴を備えたアルミニウム製サンプルパン(aluminium crucible)で実施した。20K/minの加熱速度を適用し、試料を30℃から210℃に加熱した。DSC曲線は、硫酸塩の多形挙動に起因すると思われるいくつかのプレ溶融イベントを示す。この熱イベントの解釈を以下に示す。
141.3℃である開始温度での第1の二重吸熱は、図1に示すXRPDによって特徴付けられる、試料の(部分)溶融に対応している。後に続く発熱(153.5℃である開始温度)は、190.0℃(最終的な溶融吸熱の開始温度)で最終的に溶融する、より安定な結晶形態の再結晶化をおそらく表している。
実施例2
(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のキシナホ酸塩の調製
Figure 2015503610
キシナホ酸塩の調製−バッチA
45.50mgの7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸(0.103mmol)および18.58mgの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(0.097mmol)を1mL熱アセトニトリルに溶解した。250rpmで振とうさせながら、溶液をRTに冷却した。冷却の間に自発的な結晶化が起こり、黄色の懸濁液が得られた。懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをRTで終夜乾燥した。収量:50mgの黄色粉末。
キシナホ酸塩の調製−バッチB
600mg(1.353mmol)の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸を、パドル型撹拌機を備えた50mL四ッ口フラスコ中の8mLのアセトニトリルおよび1mLのアセトンにRTで懸濁し、IT50℃、JT65℃(pH5)で加熱し溶解させた。260mg(1.353mmol)のキシナホ酸を加えた(pH3、透明溶液)。透明溶液を30minかけてRTに冷却し(IT43℃で結晶化が起こった)、次いでRTで終夜(16時間)撹拌した。黄色の懸濁液が得られた。懸濁液を、ガラスフィルターを用いてRTでろ過し(迅速ろ過、時間:0.5分未満)、ろ過ケーキを3×1.0mLの純アセトニトリルで洗浄した。得られた湿潤ろ過ケーキを乾燥オーブン中、RTで終夜(16時間)かけて乾固するまで乾燥した。収量:709mgの黄色粉末。
バッチBからのキシナホ酸塩の粉末X線回折パターン
粉末X線回折パターンを、CuKα放射線を用いてBruker(商標)D8回折計で記録した。測定されたX線回折パターンを図2に示し、以下の表2Aに、最も重要な線の反射線および強度で表す。
Figure 2015503610
バッチBからのキシナホ酸塩の元素分析
元素分析の結果を以下の表2Bに示す。
水分含量(カールフィッシャー滴定):0.2%m/m未満
Figure 2015503610
実験データは、化学量論式C2833・C11についての期待値に良好に対応していた。
バッチBからのキシナホ酸塩の融点
Buchi融点測定装置で測定した:約153℃(目視判定)
水の中の1%溶液/懸濁液のpH:6.46(24.5℃)
10mgの塩と1mLの水の混合物を超音波で約5min処理した。続いて混合物をRTで1時間撹拌し、次いでpH測定を行った。
示差走査熱量測定(DSC)データ:
データを、Perkin Elmer Diamond DSC装置を用いて測定した。試料調製を、微細な穴を備えたアルミニウム製サンプルパンで実施した。20K/minの加熱速度を適用し、試料を30℃から175℃に加熱した。DSC曲線は、キシナホ酸塩の多形挙動に起因すると思われるいくつかのプレ溶融イベントを示す。143.7℃である開始温度での第1の吸熱は、図2に示すXRPDによって特徴付けられる、試料の(部分)溶融に対応している。後に続く発熱(147.1℃である開始温度)は、153.5℃(最終的な溶融吸熱の開始温度)で最終的に溶融する、より安定な結晶形態の再結晶化をおそらく表している。
SC−XRD(単結晶X線回折)データは、キシナホ酸塩が共結晶であり、塩ではない(プロトン移動なし)ことを示した。
実施例3
(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸のナトリウム塩の調製
Figure 2015503610
ナトリウム塩の調製−バッチA
54.70mgの7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸(0.114mmol)および14.48mgの水酸化ナトリウム(0.114mmol、30%水溶液として添加した)を1mLの熱アセトニトリルに溶解した。250rpmで振とうさせながら、溶液をRTに冷却した。冷却の間に自発的な結晶化が起こり、白色懸濁液を得た。懸濁液をRTでろ過し、ろ過ケーキをRTで終夜乾燥した。収量:48mgの白色粉末。
ナトリウム塩の調製−バッチB
800mg(1.804mmol)の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸を、パドル型撹拌機を備えた50mL四ッ口フラスコ中の8mLのアセトニトリルおよび1.5mLのアセトンにRTで懸濁し、IT55℃、JT70℃(pH5)で加熱した。241mg(1.804mmol)のNaOH 30%を加えた(pH10、透明溶液)。溶液を30minかけてRTに冷却し、冷却の間に結晶化が急速に起こり、非常に濃厚な懸濁液が得られた。懸濁液を4mLのアセトニトリルで希釈し、RTで終夜(16時間)撹拌した。非常に濃厚な白色−灰色の懸濁液が得られた。懸濁液を、ガラスフィルターを用いてRTでろ過し(遅いが、良好なろ過、時間:3分未満)、ろ過ケーキを3×3.0mLの純アセトニトリルで洗浄した。湿潤ろ過ケーキを乾燥オーブン中、RTで終夜(16時間)かけて乾固するまで乾燥した。収量:810mgの白色粉末。
バッチBからのナトリウム塩の粉末X線回折パターン
粉末X線回折パターンを、CuKα放射線を用いてBruker(商標)D8回折計で記録した。測定されたX線回折パターンを図3に示し、以下の表3Aに、最も重要な線の反射線および強度で表す。
Figure 2015503610
バッチBからのナトリウム塩の元素分析
元素分析の結果を以下の表3Bに示す。
水分含量(カールフィッシャー滴定):2.8%m/m
Figure 2015503610
実験データは、追加的な2.8%の水分含量を考慮して、化学量論式C2832Naについての期待値に良好に対応していた。
バッチBからのナトリウム塩の融点
Buchi融点測定装置で測定した:約272℃(目視判定)
水の中の1%溶液/懸濁液のpH:9.16(24.3℃)
10mgの塩と1mLの水の混合物を超音波で約5min処理した。続いて混合物をRTで1時間撹拌し、次いでpH測定を行った。
示差走査熱量測定(DSC)データ:
データを、Perkin Elmer Diamond DSC装置を用いて測定した。試料調製を、微細な穴を備えたアルミニウム製サンプルパンで実施した。20K/minの加熱速度を適用し、試料を30℃から290℃に加熱した。DSC曲線は、ナトリウム塩の多形挙動に起因すると思われるいくつかのプレ溶融イベントを示す。136.7℃である開始温度での第1の吸熱は、図3に示すXRPDによって特徴付けられる、試料の(部分)溶融に対応している。後に続く発熱(148.6℃である開始温度)は、220.3℃(最終的な溶融吸熱の開始温度)で最終的に溶融する、より安定な結晶形態の再結晶化をおそらく表している。
実施例4
(7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸の塩化水素塩の調製
Figure 2015503610
塩化水素塩の調製−バッチA
56.00mgの7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸(0.126mmol)および11.82mgの塩酸(0.120mmol、37%水溶液として添加した)を1mLの熱アセトニトリルに溶解した。250rpmで振とうさせながら、溶液をRTに冷却した。得られた透明溶液をRTで蒸発させ、残留物を1mLの熱ジイソプロピルエーテルに溶解した。250rpmで振とうさせながら、溶液をRTに冷却し、沈殿物を観察した。得られた懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをRTで終夜乾燥した。収量:44mgの黄色粉末。
塩化水素塩の調製−バッチB
ステップ1:150.20mgの7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸(0.339mmol)および33.37mgの塩酸(0.339mmol、37%水溶液として添加)を2〜3mL熱メタノールに溶解した。溶液を蒸発させた。0.10mLのアセトンを固体残留物に加え、混合物を55℃で加熱した。透明溶液を得、RTに冷却した。溶液にバッチAからの物質を播種し、撹拌している間に懸濁液となった。
ステップ2:800mg(1.804mmol)の7−(2,3−ジ−p−トリル−7,8−ジヒドロピリド[2,3−b]ピラジン−5(6H)−イル)ヘプタン酸を、パドル型撹拌機を備えた50mL四ッ口フラスコ中の8mLのアセトンにRTで懸濁し、IT45℃、JT60℃(pH5)で加熱し、180mg(1.804mmol)のHCl37%を加えた(pH1、透明な濃い黄色溶液)。透明溶液を30minかけてRTに冷却し、IT30℃で、ステップ1で得た懸濁液で播種した。結晶化が急速に起こり、混合物をRTでさらに終夜(16時間)撹拌すると、黄色懸濁液が得られた。懸濁液を、ガラスフィルターを用いてRTでろ過し(迅速ろ過、時間:0.5分未満)、ろ過ケーキを3×1.0mLの純アセトンで洗浄した。湿潤ろ過ケーキを乾燥オーブン中、RTで終夜(16時間)かけて乾固するまで乾燥した。収量:693mgの濃い黄色粉末。
バッチBからの塩化水素塩の粉末X線回折パターン
粉末X線回折パターンを、CuKα放射線を用いてBruker(商標)D8回折計で記録した。測定されたX線回折パターンを図4に示し、以下の表4Aに、最も重要な線の反射線および強度で表す。
Figure 2015503610
バッチBの塩化水素塩の元素分析
元素分析の結果を以下の表4Bに示す。
水分含量(カールフィッシャー滴定):0.2%m/m未満
Figure 2015503610
実験データは、化学量論式C2833・HClについての期待値に良好に対応していた。
バッチBからの塩化水素塩の融点
Buchi融点測定装置で測定した:約153℃(目視判定)
水の中の1%溶液/懸濁液のpH:2.3(25.2℃)
10mgの塩と1mLの水の混合物を超音波で約5min処理した。続いて混合物をRTで1時間撹拌し、次いでpH測定を行った。
示差走査熱量測定(DSC)データ:
データを、Perkin Elmer Diamond DSC装置を用いて測定した。試料調製を、微細な穴を備えたアルミニウム製サンプルパンで実施した。20K/minの加熱速度を適用し、試料を30℃から175℃に加熱した。DSC曲線は、HCl塩の多形固体−固体相転移に起因すると思われるプレ溶融吸熱(94.8℃である開始温度)を示す。第2の吸熱(147.3℃である開始温度)は、試料の溶融と関係している。

Claims (19)

  1. Figure 2015503610
    からなる群から選択される化合物。
  2. 結晶形態である、請求項1に記載の化合物。
  3. Figure 2015503610
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  4. Figure 2015503610
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  5. Figure 2015503610
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  6. Figure 2015503610
    である、請求項1または2に記載の化合物。
  7. 結晶形態であり、そのX線回折パターンにおいて以下の特徴的な回折線(2θ):6.8°、9.4°および22.1°を有する、請求項3に記載の化合物。
  8. 結晶形態であり、そのX線回折パターンにおいて以下の特徴的な回折線(2θ):11.1°、16.9°、18.0°、21.9°、22.3°および26.2°を有する、請求項4に記載の化合物。
  9. 結晶形態であり、そのX線回折パターンにおいて以下の特徴的な回折線(2θ):9.3°、18.6°および22.1を有する、請求項5に記載の化合物。
  10. 結晶形態であり、そのX線回折パターンにおいて以下の特徴的な回折線(2θ):18.8°、19.1°、23.1°および23.5°を有する、請求項6に記載の化合物。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を、活性成分として、薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物。
  12. 1つ、2つまたは3つの追加の活性成分をさらに含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 吸入可能な形態である、請求項11または12に記載の医薬組成物。
  14. IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
  15. 肺動脈高血圧症を治療する方法であって、それを必要とする患者に有効量の請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を投与する工程を含む方法。
  16. IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療用医薬を調製するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の使用。
  17. IP受容体の活性化によって影響される状態または疾患の治療において使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
  18. 請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物を含み、肺投与によってそれを送達するように適合されている吸入デバイス。
  19. 請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬組成物を含み、肺投与によってそれを送達するように適合されている吸入デバイス。
JP2014551715A 2012-01-13 2013-01-11 Ip受容体アゴニストの塩 Active JP6058698B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201261586324P 2012-01-13 2012-01-13
US61/586,324 2012-01-13
PCT/IB2013/050283 WO2013105066A1 (en) 2012-01-13 2013-01-11 Salts of an ip receptor agonist

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015503610A true JP2015503610A (ja) 2015-02-02
JP2015503610A5 JP2015503610A5 (ja) 2016-02-25
JP6058698B2 JP6058698B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=47757663

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014551715A Active JP6058698B2 (ja) 2012-01-13 2013-01-11 Ip受容体アゴニストの塩

Country Status (6)

Country Link
US (1) US9174985B2 (ja)
EP (1) EP2802584B1 (ja)
JP (1) JP6058698B2 (ja)
CN (1) CN104169282B (ja)
ES (1) ES2561353T3 (ja)
WO (1) WO2013105066A1 (ja)

Families Citing this family (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RS55856B1 (sr) 2010-07-14 2017-08-31 Novartis Ag Heterociklična jedinjenja agonisti ip receptora
US9801969B2 (en) 2011-03-25 2017-10-31 Szent Bev Co. Scented attachment for containers
US10744223B2 (en) 2011-03-25 2020-08-18 Szent Co. Scented material compositions and articles for use with food and beverage
ES2565826T3 (es) 2012-01-13 2016-04-07 Novartis Ag Pirroles fusionados como agonistas del receptor IP para el tratamiento de hipertensión arterial pulmonar (PAH) y trastornos relacionados
EP2802585A1 (en) 2012-01-13 2014-11-19 Novartis AG Fused piperidines as ip receptor agonists for the treatment of pah and related disorders
CN104169282B (zh) 2012-01-13 2016-04-20 诺华股份有限公司 Ip受体激动剂的盐
JP2016507582A (ja) 2013-02-13 2016-03-10 ノバルティス アーゲー Ip受容体アゴニスト複素環式化合物
UA119247C2 (uk) 2013-09-06 2019-05-27 РОЙВЕНТ САЙЕНСИЗ ҐмбГ Спіроциклічні сполуки як інгібітори триптофангідроксилази
WO2015089137A1 (en) 2013-12-11 2015-06-18 Karos Pharmaceuticals, Inc. Acylguanidines as tryptophan hydroxylase inhibitors
WO2016109501A1 (en) 2014-12-30 2016-07-07 Karos Pharmaceuticals, Inc. Amide compounds as tryptophan hydroxylase inhibitors
US9611201B2 (en) 2015-03-05 2017-04-04 Karos Pharmaceuticals, Inc. Processes for preparing (R)-1-(5-chloro-[1,1′-biphenyl]-2-yl)-2,2,2-trifluoroethanol and 1-(5-chloro-[1,1′-biphenyl]-2-yl)-2,2,2-trifluoroethanone
CN105801578B (zh) * 2016-04-28 2018-06-22 华南理工大学 一种半饱和吡嗪衍生物的合成方法及应用
USD826047S1 (en) 2017-03-29 2018-08-21 Szent Co. Bottle ring
CN110877768B (zh) * 2017-05-05 2022-05-06 圣特公司 一种用于制作香味传递系统的方法
USD950384S1 (en) 2018-05-16 2022-05-03 Szent Co. Bottle
WO2019232431A1 (en) 2018-05-31 2019-12-05 Szent Co. Scent delivery and preservation systems and methods for beverage containers
MX2021005559A (es) 2018-11-14 2021-09-10 Altavant Sciences Gmbh Compuesto espirocíclico cristalino, forma de dosificación que lo contiene, procedimiento de uso en el tratamiento de una enfermedad y procedimiento de recristalización.
US11018362B2 (en) 2019-05-30 2021-05-25 Lih-Ren Shiue System for generating electricity using oxygen from water
US11312528B2 (en) 2019-10-07 2022-04-26 Szent Co. Scented attachments for beverage cartons

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009502837A (ja) * 2005-07-29 2009-01-29 ラボラトリオス・アルミラル・ソシエダッド・アノニマ アデノシン受容体アンタゴニストとして有用なピラジン誘導体
US20100280041A1 (en) * 2009-04-30 2010-11-04 Kaohsiung Medical University Rhokinase-dependent inhibition activity on pulmonary artery endothelium dysfunction, medial wall thickness and vascular obstruction of pulmodil and pulmodil-1
JP2011526281A (ja) * 2008-06-24 2011-10-06 アミラ ファーマシューティカルズ,インク. プロスタグランジンd2受容体のシクロアルカン[b]インドールアンタゴニスト
JP5781159B2 (ja) * 2010-07-14 2015-09-16 ノバルティス アーゲー Ip受容体アゴニストヘテロ環式化合物

Family Cites Families (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1016489B (it) 1974-03-18 1977-05-30 Isf Spa Inalatore
ATE193455T1 (de) 1995-12-07 2000-06-15 Jago Pharma Ag Inhalator zur mehrfachen dosisweisen abgabe eines pharmakologischen trockenpulvers
HU221033B1 (hu) 1996-02-21 2002-07-29 Schering Corp. Poradagoló készülék
US6166037A (en) 1997-08-28 2000-12-26 Merck & Co., Inc. Pyrrolidine and piperidine modulators of chemokine receptor activity
DE19834047A1 (de) 1998-07-29 2000-02-03 Bayer Ag Substituierte Pyrazolderivate
DE19834044A1 (de) 1998-07-29 2000-02-03 Bayer Ag Neue substituierte Pyrazolderivate
GB9913083D0 (en) 1999-06-04 1999-08-04 Novartis Ag Organic compounds
KR100439358B1 (ko) 1999-05-04 2004-07-07 쉐링 코포레이션 Ccr5 길항제로서 유용한 피페라진 유도체
HUP0203528A3 (en) 1999-05-04 2003-11-28 Schering Corp Piperidine derivatives useful as ccr5 antagonists, pharmaceutical compositions containing them and their use
DE19943635A1 (de) 1999-09-13 2001-03-15 Bayer Ag Neuartige Aminodicarbonsäurederivate mit pharmazeutischen Eigenschaften
DE19943634A1 (de) 1999-09-13 2001-04-12 Bayer Ag Neuartige Dicarbonsäurederivate mit pharmazeutischen Eigenschaften
DE19943636A1 (de) 1999-09-13 2001-03-15 Bayer Ag Neuartige Dicarbonsäurederivate mit pharmazeutischen Eigenschaften
DE19943639A1 (de) 1999-09-13 2001-03-15 Bayer Ag Dicarbonsäurederivate mit neuartigen pharmazeutischen Eigenschaften
AR031176A1 (es) 2000-11-22 2003-09-10 Bayer Ag Nuevos derivados de pirazolpiridina sustituidos con piridina
DE10110749A1 (de) 2001-03-07 2002-09-12 Bayer Ag Substituierte Aminodicarbonsäurederivate
DE10110750A1 (de) 2001-03-07 2002-09-12 Bayer Ag Neuartige Aminodicarbonsäurederivate mit pharmazeutischen Eigenschaften
DE10220570A1 (de) 2002-05-08 2003-11-20 Bayer Ag Carbamat-substituierte Pyrazolopyridine
ES2201907B1 (es) 2002-05-29 2005-06-01 Almirall Prodesfarma, S.A. Nuevos derivados de indolilpiperidina como potentes agentes antihistaminicos y antialergicos.
SE0202483D0 (sv) 2002-08-21 2002-08-21 Astrazeneca Ab Chemical compounds
JP2006096662A (ja) 2002-09-18 2006-04-13 Sumitomo Pharmaceut Co Ltd 新規6−置換ウラシル誘導体及びアレルギー性疾患の治療剤
CN1688577A (zh) 2002-09-18 2005-10-26 小野药品工业株式会社 三氮杂螺[5.5]十一烷衍生物及以它为活性成分的药物
JP2004107299A (ja) 2002-09-20 2004-04-08 Japan Energy Corp 新規1−置換ウラシル誘導体及びアレルギー性疾患の治療剤
PE20040950A1 (es) 2003-02-14 2005-01-01 Theravance Inc DERIVADOS DE BIFENILO COMO AGONISTAS DE LOS RECEPTORES ADRENERGICOS ß2 Y COMO ANTAGONISTAS DE LOS RECEPTORES MUSCARINICOS
GB2407042B (en) 2003-10-17 2007-10-24 Vectura Ltd Inhaler
GB0410712D0 (en) 2004-05-13 2004-06-16 Novartis Ag Organic compounds
GB0413960D0 (en) 2004-06-22 2004-07-28 Novartis Ag Organic compounds
EP2802585A1 (en) 2012-01-13 2014-11-19 Novartis AG Fused piperidines as ip receptor agonists for the treatment of pah and related disorders
EP2802582A1 (en) 2012-01-13 2014-11-19 Novartis AG Fused dihydropyrido [2,3 -b]pyrazines as ip receptor agonists for the treatment of pulmonary arterial hypertension (pah) and related disorders
ES2565826T3 (es) 2012-01-13 2016-04-07 Novartis Ag Pirroles fusionados como agonistas del receptor IP para el tratamiento de hipertensión arterial pulmonar (PAH) y trastornos relacionados
US20140378463A1 (en) 2012-01-13 2014-12-25 Novartis Ag IP receptor agonist heterocyclic compounds
US20150005311A1 (en) 2012-01-13 2015-01-01 Novartis Ag IP receptor agonist heterocyclic compounds
CN104169282B (zh) 2012-01-13 2016-04-20 诺华股份有限公司 Ip受体激动剂的盐
JP2016507582A (ja) 2013-02-13 2016-03-10 ノバルティス アーゲー Ip受容体アゴニスト複素環式化合物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009502837A (ja) * 2005-07-29 2009-01-29 ラボラトリオス・アルミラル・ソシエダッド・アノニマ アデノシン受容体アンタゴニストとして有用なピラジン誘導体
JP2011526281A (ja) * 2008-06-24 2011-10-06 アミラ ファーマシューティカルズ,インク. プロスタグランジンd2受容体のシクロアルカン[b]インドールアンタゴニスト
US20100280041A1 (en) * 2009-04-30 2010-11-04 Kaohsiung Medical University Rhokinase-dependent inhibition activity on pulmonary artery endothelium dysfunction, medial wall thickness and vascular obstruction of pulmodil and pulmodil-1
JP5781159B2 (ja) * 2010-07-14 2015-09-16 ノバルティス アーゲー Ip受容体アゴニストヘテロ環式化合物

Also Published As

Publication number Publication date
CN104169282B (zh) 2016-04-20
US20150011555A1 (en) 2015-01-08
WO2013105066A1 (en) 2013-07-18
CN104169282A (zh) 2014-11-26
EP2802584B1 (en) 2015-11-18
EP2802584A1 (en) 2014-11-19
JP6058698B2 (ja) 2017-01-11
US9174985B2 (en) 2015-11-03
ES2561353T3 (es) 2016-02-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6058698B2 (ja) Ip受容体アゴニストの塩
JP6073923B2 (ja) 肺動脈高血圧症(pah)および関連障害の治療のためのip受容体アゴニストとしての縮合ピロール
JP5781159B2 (ja) Ip受容体アゴニストヘテロ環式化合物
US9115129B2 (en) Substituted pyrido[2,3-B]pyrazines as IP receptor agonists
WO2013105063A1 (en) Fused piperidines as ip receptor agonists for the treatment of pulmonary arterial hypertension (pah) and related disorders
WO2013105061A1 (en) Fused dihydropyrido [2,3 -b] pyrazines as ip receptor agonists for the treatment of pulmonary arterial hypertension (pah) and related disorders
US20140378463A1 (en) IP receptor agonist heterocyclic compounds
EP2956455B1 (en) Ip receptor agonist heterocyclic compounds
TWI659030B (zh) Ip受體促效劑雜環化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151228

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151228

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160707

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A132

Effective date: 20160712

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6058698

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250