JP2015501295A - 疾患を治療するのに有用な抗ヒトsema4A抗体 - Google Patents
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Abstract
自己免疫疾患、癌、および他の疾患を治療するのに有用な抗ヒトsema4A抗体を本明細書において提供する。抗ヒトsemaA抗体は、IL-4、抗CD3、抗CD28、および組換えsema4Aによって誘導されるT細胞増殖およびTh2分化を阻害し得る。
Description
発明の分野
本発明は、全体としてヒトsema4Aの調節に関し、より詳細には、ヒトsema4Aを阻害して、抗CD3、抗CD28、IL-4、組換えsema4A、および樹状細胞によって誘導される増殖およびTh2分化を阻止すること、ならびに疾患を治療することに関する。
本発明は、全体としてヒトsema4Aの調節に関し、より詳細には、ヒトsema4Aを阻害して、抗CD3、抗CD28、IL-4、組換えsema4A、および樹状細胞によって誘導される増殖およびTh2分化を阻止すること、ならびに疾患を治療することに関する。
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2011年10月6日に出願された米国特許仮出願第61/543,877号の恩典および優先権を主張する。
本出願は、参照により本明細書に組み入れられる、2011年10月6日に出願された米国特許仮出願第61/543,877号の恩典および優先権を主張する。
連邦政府支援の研究または開発に関する記載
本発明は、米国立衛生研究所により付与されたR01 AI062888-01の下で、政府の支援を受けてなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
本発明は、米国立衛生研究所により付与されたR01 AI062888-01の下で、政府の支援を受けてなされたものである。政府は、本発明において一定の権利を有する。
共同研究契約の関係者の名称
該当なし。
該当なし。
配列表の参照
本開示は、2012年10月5日に作成された、46,124バイトのサイズのsequence listing.txtという名称のテキストファイルとして、37 C.F.R. § 1.52(e)(v)に従って提出された配列表を含み、これは参照により本明細書に組み入れられる。添付の配列の記述および配列表は、37 C.F.R. §§ 1.821〜1.825に記載される、特許出願におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の開示に適用される規則に従う。配列表は、Nucleic Acids Res. 13:3021-3030 (1985)およびBiochemical J. 219 (No. 2):345-373 (1984)に記載のIUPAC-IUBMB基準に従って定義される、ヌクレオチド配列文字についての1文字記号およびアミノ酸についての3文字記号を含む。ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列データのために使用される記号および型式は、37 C.F.R. §1.822に記載される規則に従う。
本開示は、2012年10月5日に作成された、46,124バイトのサイズのsequence listing.txtという名称のテキストファイルとして、37 C.F.R. § 1.52(e)(v)に従って提出された配列表を含み、これは参照により本明細書に組み入れられる。添付の配列の記述および配列表は、37 C.F.R. §§ 1.821〜1.825に記載される、特許出願におけるヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列の開示に適用される規則に従う。配列表は、Nucleic Acids Res. 13:3021-3030 (1985)およびBiochemical J. 219 (No. 2):345-373 (1984)に記載のIUPAC-IUBMB基準に従って定義される、ヌクレオチド配列文字についての1文字記号およびアミノ酸についての3文字記号を含む。ヌクレオチドおよびアミノ酸の配列データのために使用される記号および型式は、37 C.F.R. §1.822に記載される規則に従う。
発明の背景
セマフォリンは、成長円錐に対する反発性要因または誘因性要因のいずれかとして機能する分泌型または膜結合型のリガンドの大きな保存されたファミリーである。セマフォリンファミリーは、機能的ドメインおよび配列類似性に基づいてサブクラスに分類される。Rice, D., et al., Severe Retinal Degeneration Associated with Disruption of Semaphorin 4A, Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol. 45, No. 8 (2004)(非特許文献1)。sema4AはクラスIVセマフォリンである。マウスにおいて、sema4Aが骨髄由来DCおよび脾臓DCによって、ならびにB細胞および活性化T細胞によって発現されることを示す証拠がある。sema4Aはその受容体TIM2を介してT細胞増殖を刺激することができ、これはIL-2産生を誘導し、報告によれば抗CD40モノクローナル抗体によるB細胞刺激後に上方制御される。Kumanogoh, A., et al. Nature, 419:629-33, 2002(非特許文献2)。sema4A欠損マウスは、Th1応答の欠損を示すことが示されている。sema4Aは、T細胞プライミング、およびTh1/Th2応答の調節に関与していると考えられる。Kumanogoh, A. et al. Immunity, 22:305-16, 2005(非特許文献3)。しかしながら今日まで、ヒト免疫系におけるsema4Aの生物学的機能は研究されていない。
セマフォリンは、成長円錐に対する反発性要因または誘因性要因のいずれかとして機能する分泌型または膜結合型のリガンドの大きな保存されたファミリーである。セマフォリンファミリーは、機能的ドメインおよび配列類似性に基づいてサブクラスに分類される。Rice, D., et al., Severe Retinal Degeneration Associated with Disruption of Semaphorin 4A, Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol. 45, No. 8 (2004)(非特許文献1)。sema4AはクラスIVセマフォリンである。マウスにおいて、sema4Aが骨髄由来DCおよび脾臓DCによって、ならびにB細胞および活性化T細胞によって発現されることを示す証拠がある。sema4Aはその受容体TIM2を介してT細胞増殖を刺激することができ、これはIL-2産生を誘導し、報告によれば抗CD40モノクローナル抗体によるB細胞刺激後に上方制御される。Kumanogoh, A., et al. Nature, 419:629-33, 2002(非特許文献2)。sema4A欠損マウスは、Th1応答の欠損を示すことが示されている。sema4Aは、T細胞プライミング、およびTh1/Th2応答の調節に関与していると考えられる。Kumanogoh, A. et al. Immunity, 22:305-16, 2005(非特許文献3)。しかしながら今日まで、ヒト免疫系におけるsema4Aの生物学的機能は研究されていない。
Rice, D., et al., Severe Retinal Degeneration Associated with Disruption of Semaphorin 4A, Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol. 45, No. 8 (2004)
Kumanogoh, A., et al. Nature, 419:629-33, 2002
Kumanogoh, A. et al. Immunity, 22:305-16, 2005
ヒトsema4Aは、樹状細胞および活性化胚中心B細胞などの抗原提示細胞、ならびにCD4+ Th2細胞によって高度に発現される。本発明者らは、組換えsema4Aタンパク質が、IL-4、抗CD3、抗CD28、および組換えsema4Aによって誘導されるヒトCD4+ T細胞増殖およびTh2分化を強く促進することを発見した。同時に、中和mAbはこの生物学的機能を阻止することができる。したがって、ヒトsema4A(本明細書では「hsema4A」、またはより一般的には「sema4A」もしくは「Sema4A」とも称される)は、重要でかつ有利な治療標的になる。
ヒトsema4Aに結合する新規モノクローナルおよびヒト化抗体を、本明細書において提供する。これらの抗体は場合により、本明細書において「抗ヒトsema4A抗体(anti-human sema4A antibody)」または「抗ヒトsema4A抗体(anti-human sema4A antibodies)」と称されるが、単数形または複数形で示される単離された抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または単に抗体とも称され得る。
教示される抗ヒトsema4A抗体は、急性または慢性の疾患および状態の治療または予防において有用である。1つの局面において、単離された抗体、またはヒトsema4Aに結合するその抗原結合部分が記載され、これは癌治療法として有効である。抗ヒトsema4A抗体はまた、ヒトの自己免疫疾患、アレルギー性疾患、炎症性疾患、移植片対宿主病、および移植片拒絶を治療する上で有用であり得る。
ヒトsema4Aに対するこれらの抗体結合剤に基づいた組成物、方法、キット、および製品をさらに提供する。これらの抗ヒトsema4A抗体は治療薬および/または診断薬になり得、ヒトsema4Aの発現および/または活性、ならびにその受容体であるヒト免疫グロブリン様転写物4(hILT-4)、ヒトT細胞免疫グロブリンドメインおよびヒトムチンドメイン3(hTIM-3)、およびヒト免疫グロブリン様転写物2(hILT-2)シグナル伝達経路と関連した病態を標的化する上で有用である。
さらに、本明細書に記載される単離された抗体は、ヒトsema4Aに結合し、かつ、以下の遺伝子からコードされるヒトsema4Aに結合し得る:NCBIアクセッション番号HGNC:10729、Genpeptアクセッション番号64218、またはそれらと90パーセントの相同性を有する遺伝子。本明細書において提供される単離された抗体はさらに、以下のGenBankアクセッション番号のうちの1つを有するヒトsema4A受容体に結合し得る:10288、84868、または10859。
本明細書において提供されるとおり、例示的なものは、ヒトsema4Aに結合する単離された抗体であり、該抗体が、(a) SEQ ID NO: 36のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 38のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合する単離された抗体であり、該抗体が、(a) SEQ ID NO: 54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む。
あるいは、単離された抗体は、SEQ ID NO: 36もしくは54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 37もしくは55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/またはSEQ ID NO: 38もしくは56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域CDRを有し得る。
さらに、単離された抗体は、SEQ ID NO: 48もしくは66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 49もしくは67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および/またはSEQ ID NO: 50もしくは68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域を有し得る。
単離された抗体は、軽鎖可変領域(「VL」)を有し得、該軽鎖可変領域が、SEQ ID NO: 51もしくは69のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 51もしくは69のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む。単離された抗体は、重鎖可変領域(「VH」)を有し得、該重鎖可変領域が、SEQ ID NO: 39、45、57、または63のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 39、45、57、または63のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む。したがって、一例として、単離された抗体は、SEQ ID NO: 39、45、57、または63の可変重鎖配列およびSEQ ID NO: 51の可変軽鎖配列、またはそれらと90パーセントの相同性を有する配列を含み得る。同様に、単離された抗体は、SEQ ID NO: 39、45、57、または63の可変重鎖配列およびSEQ ID NO: 69の可変軽鎖配列、またはそれらと90パーセントの相同性を有する配列を有し得る。
単離された抗体は、SEQ ID NO: 52もしくは70の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 52もしくは70の核酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変軽鎖を有し得る。単離された抗体は、SEQ ID NO: 40、46、58、もしくは64の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 40、46、58、もしくは64の核酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変重鎖を有し得る。
モノクローナル抗体もまた、本明細書において提供する。このモノクローナル抗体は、可変軽鎖を有し得、該可変軽鎖が、SEQ ID NO: 73、75、もしくは77のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 73、75、もしくは77のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む。さらに、可変重鎖を有するモノクローナル抗体を提供し、該可変重鎖が、SEQ ID NO: 72、74、もしくは76のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 72、74、もしくは76のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む。
他の抗体は、以下の成分:可変軽鎖;可変重鎖;または重鎖もしくは軽鎖可変領域CDR1、CDR2、もしくはCDR3のうちのいずれか1つまたは複数を有してよく、各成分は、本明細書に記載され、配列表において特定される配列SEQ ID NO: 1〜77のアミノ酸配列もしくは核酸配列を含むか、またはSEQ ID NO: 1〜77の配列の1つと少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸もしくは核酸を含む。
本明細書において教示される抗ヒトsema4A抗体のいずれかをコードする単離された核酸もまた、本明細書において提供する。さらに、本明細書に記載される抗ヒトsema4A抗体のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞を本明細書において提供する。抗体が産生されるように宿主細胞を培養する段階、および/または該宿主細胞から抗体を回収する段階を含む、抗体を作製する方法(本明細書に記載される抗sema4A抗体のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞など)をさらに提供する。
本発明の上述の特徴、局面、および利点、ならびに明らかになるその他のものが達成される方法が詳細に理解され得るように、上記に簡潔に要約された本発明のより詳細な説明が、本明細書の一部を形成する図面において説明されるその態様を参照して行われ得る。しかしながら、添付の図面は、本発明のいくつかの態様を説明するものであり、したがって本発明の範囲を限定すると見なされるべきではないことに留意されたく、というのは本発明が同等に効果的な他の態様も認め得るためである。
図1A、1A1、1B、および1Cは、ヒトmDCにおけるsema4A発現を示す。
図2Aおよび2Bは、ヒト扁桃腺におけるsema4Aの免疫組織学的染色を提供する。
図3Aおよび3Bは、抗ヒトsema4A mAbがmDCとT細胞との間の相互作用を阻止することを示す。
図4A、4B、4C、および4Dは、sema4AがCD4+ナイーブT細胞増殖を増強することを示す。
図5A、5B、5C、5D、および5Eは、抗ヒトsema4A mAbが、TCR誘発下のsema4A媒介性のCD4+ T細胞増殖を阻止することを示す。
図6A、6B、6C、および6Dは、sema4Aが、Th2プライミングされたCD4+ ThにおけるTh2サイトカイン分泌を調節することを示す。
図7A、7B、7C、および7Dは、sema4Aが、T細胞活性化およびTh2培養条件の両方において、Th2サイトカインを産生するCRTH2+記憶Th2細胞を上方制御し、Th1サイトカインを下方制御することを示す。
図8A、8B、8C、8D、8E、8F、8G、8H、および8Iは、抗sema4Aモノクローナル抗体が、CD4+ Th2細胞においてsema4Aによって誘導されるTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、およびIL-13)産生を抑制することを示す。
第1バッチからの抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体の同定を示す。
図10A、10B、10C、10D、および10Eは、抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体クローン番号126-65、126-28、および126-63の機能アッセイ法の結果を示す。
図11A、11B、11C、および11Dは、抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体クローン番号126-25および126-31の機能アッセイ法の結果を示す。
第2バッチからの抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体の同定を示す。
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体クローン番号161-70-1、161-90、161-96B、161-110B、161-117、161-118A、および161-66の機能アッセイ法の結果を示す。
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体クローン番号161-15B、161-18B、161-33、161-35、161-44、161-49、および161-51の機能アッセイ法の結果を示す。
L/sema4AへのLB70抗体結合の解析の結果を示す。
図16Aおよび16Bは、L/sema4AへのLB51抗体結合の解析の結果を示す。
図17Aおよび17Bは、抗ヒトSema4A mAbの陽性クローンが、PBMCにおけるアカゲザルSema4A発現を検出することを示す。
図18A、18B、18C、および18Dは、hSema4Aに対するヒト化mAbの2つの株の解析の結果を示す。
図19Aおよび19Bは、ヒトT細胞発現cDNAライブラリースクリーニングによるsema4A受容体クローニングを示す。
図20Aおよび20Bは、sema4A受容体がsema4Aトランスフェクト細胞株に結合することを示す。
図21Aおよび21Bは、受容体-Fc融合タンパク質が、rhSema4Aによって媒介されるヒトCD4+ T細胞増殖を阻止することを示す。
図22A、22B、および22Cは、sema4Aがヒト喘息肺組織において特異的に過剰発現されることを示す。
マウス161-51-1 VH cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。この図はまた、1文字記号で示されるアミノ酸残基を提供する。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-51-1 VL cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。この図はまた、1文字記号で示されるアミノ酸残基を提供する。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(E)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-70-1 VH cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。この図はまた、1文字記号で示されるアミノ酸残基を提供する。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(E)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-70-1 VL cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-15B-1 VH cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-15B-1 VL1 cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(N)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
マウス161-15B-1 VL2 cDNAのヌクレオチド配列を推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(A)には二重下線を引いてあり、かつ太字である。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体、HuLB51の可変重鎖領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。HuLB51 VH1遺伝子はSpeI部位およびHindIII部位(下線)に隣接されており、推定アミノ酸配列と共に示される。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interests, Fifth edition, NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, 1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体で示してある。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体、HuLB51の可変重鎖領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。SpeI部位およびHindIII部位(下線)に隣接されたHuLB51 VH2遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体、HuLB51の可変軽鎖領域のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。NheI部位およびEcoRI部位(下線)に隣接されたHuLB51 VL遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体の可変重鎖領域、HuLB70 VH1のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。SpeI部位およびHindIII部位(下線)に隣接されたHuLB70 VH1遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体の可変重鎖領域、HuLB70 VH2のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。SpeI部位およびHindIII部位(下線)に隣接されたHuLB70 VH2遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VHのN末端アミノ酸残基(Q)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。
抗ヒトsema4Aヒト化抗体の可変軽鎖領域、HuLB70 VLのヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を提供する。NheI部位およびEcoRI部位(下線)に隣接されたHuLB70 VL遺伝子のヌクレオチド配列を、推定アミノ酸配列と共に示す。アミノ酸残基は1文字記号で示してある。シグナルペプチド配列はイタリック体である。成熟VLのN末端アミノ酸残基(D)には二重下線を引いてある。Kabat et al. (1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。イントロン配列はイタリック体である。
発明の詳細な説明
ヒトsema4A受容体を結合させるモノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体(場合により、本明細書において「抗ヒトsema4A抗体」および/またはこれの他の変化形とも称される)を、本明細書において提供する。これらの抗体は、その病理がヒトsema4Aを伴う急性または慢性の疾患または状態の治療または予防に有用である。1つの局面において、ヒトsema4Aに結合し、かつ癌治療または自己免疫疾患に対する治療として有効な、単離されたヒト抗体またはその抗原結合部分について記載する。本明細書に開示される抗ヒトsema4A抗体のいずれかを、医薬として使用することができる。抗ヒトsema4A抗体のいずれか1つまたは複数を用いて、本明細書に記載される1つまたは複数の様々な癌または自己免疫疾患を治療することができる。
ヒトsema4A受容体を結合させるモノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体(場合により、本明細書において「抗ヒトsema4A抗体」および/またはこれの他の変化形とも称される)を、本明細書において提供する。これらの抗体は、その病理がヒトsema4Aを伴う急性または慢性の疾患または状態の治療または予防に有用である。1つの局面において、ヒトsema4Aに結合し、かつ癌治療または自己免疫疾患に対する治療として有効な、単離されたヒト抗体またはその抗原結合部分について記載する。本明細書に開示される抗ヒトsema4A抗体のいずれかを、医薬として使用することができる。抗ヒトsema4A抗体のいずれか1つまたは複数を用いて、本明細書に記載される1つまたは複数の様々な癌または自己免疫疾患を治療することができる。
本明細書において提供される抗ヒトsema4A抗体は、CD4+ T細胞増殖およびTh2分化を阻止する。以下に記載されるように、抗ヒトsema4A抗体は、ヒトsema4Aに結合するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってよい。モノクローナル抗体および/またはポリクローナル抗体の起源は、ウサギ、ラット、およびマウスであってよい。さらに、抗ヒトsema4A抗体は、キメラ抗体、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体であってよい。さらに、抗ヒトsema4A抗体は、抗体断片、またはFab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2、もしくはscFvであってよい。
本明細書に示されるとおり、キメラ抗ヒトsema4抗体は、異種性の非ヒト配列、ヒト配列、またはヒト化配列(例えば、フレームワークおよび/または定常ドメイン配列)に移植された、非ヒトドナーからの抗原結合配列を含む。非ヒトドナーは、マウス、ラット、またはウサギであってよい。また、抗原結合配列は、例えば突然変異誘発(例えば、ファージディスプレイスクリーニング等)によって得られるような合成のものであってもよい。キメラ抗体は、マウスV領域およびヒトC領域を有する。マウス軽鎖V領域を、ヒトκ軽鎖に融合させることができる。マウス重鎖V領域を、ヒトIgG1 C領域に融合させることができる。
本明細書に記載される単離された抗体は、ヒトsema4Aに結合し、また以下の遺伝子:NCBIアクセッション番号HGNC:10729、Genpeptアクセッション番号64218、またはそれらと90パーセントの相同性を有する遺伝子からコードされるヒトsema4Aに結合し得る。本明細書において提供される単離された抗体はさらに、以下のGenBankアクセッション番号:10288、84868、および10859のうちの1つを有するヒトsema4A受容体に結合し得る。
本明細書において教示されるとおり、例示的なものは、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 36のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 38のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
あるいは、単離された抗体は、SEQ ID NO: 36もしくは54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 37もしくは55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/またはSEQ ID NO: 38もしくは56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域CDRを有し得る。
さらに、単離された抗体は、SEQ ID NO: 48もしくは66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 49もしくは67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および/またはSEQ ID NO: 50もしくは68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域を有し得る。
単離された抗体は、SEQ ID NO: 51もしくは69のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 51もしくは69のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(「VL」)を有し得る。単離された抗体は、SEQ ID NO: 39、45、57、もしくは63のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 39、45、57、もしくは63のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(「VH」)を有し得る。したがって、一例として、単離された抗体は、SEQ ID NO: 39、45、57、もしくは63の可変重鎖配列およびSEQ ID NO: 51の可変軽鎖配列、またはそれらと90パーセントの相同性を有する配列を含み得る。同様に、単離された抗体は、SEQ ID NO: 39、45、57、もしくは63の可変重鎖配列およびSEQ ID NO: 69の可変軽鎖配列、またはそれらと90パーセントの相同性を有する配列を有し得る。
単離された抗体は、SEQ ID NO: 52もしくは70の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 52もしくは70のヌクレオチド配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変軽鎖を有し得る。単離された抗体は、SEQ ID NO: 40、46、58、もしくは64の核酸配列によって、またはSEQ ID NO: 40、46、58、もしくは64のヌクレオチド配列と少なくとも90パーセントの同一性を有する核酸配列によってコードされる可変重鎖を有し得る。
モノクローナル抗体およびキメラ抗体もまた、本明細書において提供する。これらの抗体は、SEQ ID NO: 73、75、もしくは77のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 73、75、もしくは77のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む可変軽鎖を有し得る。SEQ ID NO: 72、74、もしくは76のアミノ酸配列、またはSEQ ID NO: 72、74、もしくは76のアミノ酸配列と少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸配列を含む可変重鎖を有するモノクローナル抗体をさらに提供する。
他の抗体は、以下の成分:可変軽鎖;可変重鎖;または重鎖もしくは軽鎖可変領域CDR1、CDR2、もしくはCDR3のうちのいずれか1つまたは複数を有してよく、各成分は、本明細書に記載され、配列表において特定される配列SEQ ID NO: 1〜77のアミノ酸配列もしくは核酸配列を含むか、またはSEQ ID NO: 1〜77の配列の1つと少なくとも90パーセントの同一性を有するアミノ酸もしくは核酸を含む。
本明細書において教示されるとおり、例示的なものは、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、さらに別の単離された抗体である。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 17のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 27のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
さらに、別の例は、ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 33のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体である。
あるいは、単離された抗体は、SEQ ID NO: 1、11、もしくは21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 2、12、もしくは22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;および/またはSEQ ID NO: 3、13、もしくは23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域CDRを有し得る。
さらに、単離された抗体は、SEQ ID NO: 6、16、26、もしくは31のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;SEQ ID NO: 7、17、27、もしくは32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2、および/またはSEQ ID NO: 8、18、28、もしくは33のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、あるいはそれらと90パーセントの相同性を有する重鎖可変領域を有し得る。
本明細書において教示される抗ヒトsema4A抗体のいずれかをコードする単離された核酸もまた、本明細書において提供する。本明細書に記載される抗ヒトsema4A抗体のいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞を、本明細書においてさらに提供する。抗体が産生されるように宿主細胞を培養する段階、および/または該宿主細胞から抗体を回収する段階を含む、抗体を作製する方法(本明細書に記載される抗sema4Aのいずれかをコードする核酸を含む宿主細胞など)をさらに提供する。
ヒト化抗体はモノクローナル抗体配列から作製することができ、ヒト化抗体には、FR内にアミノ酸置換を有する抗体、および移植されたCDR内に変化を伴う親和性成熟変種が含まれる。CDRまたはFR内の置換されたアミノ酸は、ドナーまたはレシピエントの抗体中に存在するものに限定されない。本明細書において提供される抗体は、CDCおよび/またはADCC機能ならびにB細胞死滅の増強を含むエフェクター機能の改善をもたらす、Fc領域内のアミノ酸残基の変化をさらに含み得る。他の抗体には、安定性を改善する特定の変化を有するものが含まれ得る。
定義
「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
「抗体」という用語は、4本のポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互接続された2本の重(H)鎖および2本の軽(L)鎖からなる免疫グロブリン分子を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、CLからなる。VH領域およびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDRおよび4つのFRから構成される。
一般的に、「癌」および「癌性」という用語は、典型的に制御されない細胞成長が特徴である、哺乳動物における生理的状態を指すかまたは表す。より具体的には、本明細書に記載される抗体またはその変種のいずれか1つまたは複数を用いて治療または予防され得る癌には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、および白血病が含まれるが、これらに限定されない。このような癌のより詳細な例には、扁平上皮癌、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、および肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌および消化管間質癌を含む)、膵癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌または腎癌、肝臓癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、および様々な種類の頭頸部癌、黒色腫、表在拡大型黒色腫、悪性黒子黒色腫、末端黒子型黒色腫、結節性黒色腫、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL) NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非切れ込み核細胞性NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;エイズ関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);ヘアリー細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病;および移植後リンパ球増殖性障害(PTLD)、ならびに母斑症に関連した異常な血管増殖、浮腫(脳腫瘍と関連するものなど)、およびメイグス症候群が含まれるが、これらに限定されない。
「単離された」抗体とは、その天然環境の成分から同定され、分離および/または回収されたものである。その天然環境の混入成分とは、その抗体の診断上または治療上の使用を妨げる物質であり、これには酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質が含まれ得る。抗体は、(1) ローリー法で決定して95重量%を超える抗体にまで、最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2) スピニングカップ配列決定装置を用いて、少なくとも15残基のN末端もしくは内部アミノ酸配列を得るのに十分な程度まで、または(3) クーマシーブルーもしくは好ましくは銀染色を用いた還元もしくは非還元条件下でのSDS-PAGEにより均一になるまで、精製される。単離された抗体には、抗体の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないという理由で、組換え細胞内のインサイチューの抗体が含まれる。しかしながら、単離された抗体は少なくとも1つの精製工程によって調製され得る。
「単離された」核酸分子とは、抗体核酸の天然源において通常これと付随している少なくとも1つの混入核酸分子から同定され分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、それが天然で見出される形態または設定にある以外のものである。したがって、単離された核酸分子は、天然の細胞内に存在する場合の核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子には、例えば核酸分子が天然細胞の染色体位置とは異なる位置にある場合の、抗体を通常発現する細胞内に含まれる核酸分子が含まれる。
「Kabatの番号付け」、「Kabatの定義」、および「Kabatのラベル付け」という用語は、本明細書において互換的に用いられる。当技術分野で認識されるこれらの用語は、抗体またはその抗原結合部分の重鎖および軽鎖可変領域中の他のアミノ酸残基よりもより可変的(すなわち、超可変的)であるアミノ酸残基を番号付けるシステムを指す(Kabat et al. (1971) Ann. NY Acad, Sci. 190:382-391、およびKabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。
「Kabatなどにおける可変ドメイン残基番号付け」または「Kabatなどにおけるアミノ酸位置番号付け」という用語およびその変化形とは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)における、抗体の編集物の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに用いられる番号付けシステムを指す。この番号付けシステムを用いると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮またはこれに対する挿入に相当する、より少ないかまたは付加的なアミノ酸を含み得る。残基のKabat番号付けは、所与の抗体に関して、抗体の配列と「標準」Kabat番号付け配列の相同領域でのアラインメントによって決定され得る。
「結合親和性」とは一般的に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合的な相互作用の総合的な強度を指す。別段の指示がない限り、本明細書で用いられる場合の「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般的に、解離定数(Kd)によって表される。親和性は、本明細書に記載されるものを含め、当技術分野で公知の通常の方法によって測定することができる。低親和性抗体は一般的に、抗原をゆっくりと結合させ、かつ素早く解離する傾向があるのに対し、高親和性抗体は一般的に、抗原をより速く結合させ、かつより長く結合させたままである傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野で公知であり、それらのいずれかを本発明の目的のために用いることができる。
本明細書で用いられる「ベクター」という用語は、核酸分子に連結されている別の核酸を輸送することができる該核酸分子を指すことが意図される。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、これは、その中に付加的なDNAセグメントが連結され得る環状二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、この場合、付加的なDNAセグメントはウイルスゲノム中に連結され得る。ある種のベクターは、それらが導入された宿主細胞内で自律的複製ができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞中に導入されると宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得、これにより宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に連結されている遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書において「組換え発現ベクター」(または単に、「組換えベクター」)と称される。一般的に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。プラスミドは最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は互換的に使用され得る。
本明細書において互換的に用いられる「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、これにはDNAおよびRNAが含まれる。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾されたヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼにより、または合成反応によりポリマー中に取り込まれ得る任意の基質であってよい。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらの類似体などの、修飾されたヌクレオチドを含み得る。存在する場合は、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーの組み立ての前または後になされ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、標識との結合によるなど、合成後にさらに修飾されてもよい。他の種類の修飾には、例えば、「キャップ」、類似体による天然ヌクレオチドのうちの1つまたは複数の置換、ヌクレオチド間修飾、例えば非荷電性結合(例えば、ホスホン酸メチル、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバミン酸等)および荷電性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)を有するもの、ペンダント部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジン等)などを含むもの、挿入物(例えば、アクリジン、ソラレン等)を有するもの、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属等)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾された結合(例えば、αアノマー核酸等)を有するもの、ならびに非修飾型のポリヌクレオチドが含まれる。ポリヌクレオチド中のすべての結合が同一である必要はない。前述の記載は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及されるすべてのポリヌクレオチドに当てはまる。
本明細書で用いられる「オリゴヌクレオチド」とは一般的に、必ずしもそうとは限らないが一般的に約200ヌクレオチド長未満である、短い、一般的に一本鎖の、一般的に合成のポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の記載は、オリゴヌクレオチドに同等にかつ十分に適用可能である。
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、最も広い意味で互換的に用いられ、モノクローナル抗体(例えば、全長または無傷のモノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多価抗体、多重特異性抗体(例えば、所望の生物学的活性を示す限りの二重特異性抗体)を含み、特定の抗体断片もまた含み得る。抗体は、ヒト、ヒト化、および/または親和性成熟したものであってよい。
「可変」という用語は、可変ドメインのある部分が、抗体の中で配列が大規模に異なっており、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合および特異性に用いられるという事実を指す。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインにわたって均等に分布しているわけではない。可変性は、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方にある、相補性決定領域(CDR)または超可変領域と称される3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)と称される。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、主としてβシート立体配置をとる4つのFR領域を含み、これらは3つのCDRによって連結されており、CDRは、βシート構造を連結し、場合によってはその一部を形成するループを形成する。各鎖のCDRは、FR領域によって近接して結び付けられ、他方の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequence of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, National Institutes of Health, BEthesda, Md. (1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原に対する抗体の結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害への関与などの様々なエフェクター機能を示す。
抗体のパパイン消化は、それぞれが単一の抗原結合部位を有する、「Fab」断片と称される2つの同一の抗体結合断片と、その名称が容易に結晶化するその能力を反映している残りの「Fc」断片を生成する。ペプシン処理は、2つの抗原結合部位を有し、なお抗原を架橋結合することができるF(ab')2断片を生じる。
「Fv」とは、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含む最小抗体断片である。二本鎖Fv種において、この領域は、堅固に非共有結合された1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインとの二量体からなる。一本鎖Fv種では、軽鎖と重鎖が二本鎖Fv種における構造と類似した「二量体」構造で会合できるように、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインは可動性ペプチドリンカーによって共有結合され得る。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、VH-VL二量体の表面上で抗原結合部位を規定するのは、この立体配置においてである。あわせて、6つのCDRが抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、完全な結合部位よりも低い親和性ではあるものの、抗原を認識して結合させる能力を有する。
Fab断片は、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1定常ドメイン(CH1)もまた含む。Fab'断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端において、抗体ヒンジ領域由来の1つまたは複数のシステインを含む数個の残基が付加されている点で、Fab断片とは異なる。Fab'-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab'に対する本明細書における命名である。F(ab')2抗体断片は最初は、間にヒンジシステインを有するFab'断片の対として生成された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と称される2つの明らかに異なる型の一方に割り当てられる。
免疫グロブリンは、それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、これらのうちのいくつかはさらに、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2に分類され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと称される。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。
「抗体断片」は無傷の抗体の一部のみを含み、この部分は、無傷の抗体に存在する場合のその部分に通常付随する機能の少なくとも1つ、好ましくは大部分もしくはすべてを保持することが好ましい。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、およびFv断片;ダイアボティ;直鎖状抗体;一本鎖抗体分子;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。1つの態様において、抗体断片は無傷の抗体の抗原結合部位を含み、したがって抗体を結合させる能力を保持する。別の態様において、抗体断片、例えばFc領域を含むものは、無傷の抗体に存在する場合のFc領域に通常付随する生物学的機能、例えば、FcRn結合、抗体半減期の調節、ADCC機能、および補体結合などの少なくとも1つを保持する。1つの態様において、抗体断片は、無傷の抗体と実質的に類似したインビボ半減期を有する一価抗体である。例えば、このような抗体断片は、断片にインビボ安定性を付与することができるFc配列に連結された抗原結合アームを含み得る。
「超可変領域」、「HVR」、または「HV」という用語は、本明細書で用いられる場合、配列が超可変的であり、および/または構造的に明確なループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、6つの超可変領域;VH中の3つ(H1、H2、H3)およびVL中の3つ(L1、L2、L3)を含む。多くの超可変領域描写が使用されており、本明細書において包含される。Kabat相補性決定領域(CDR)は配列可変性に基づいており、最も一般的に用いられている(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を参照している(Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の譲歩を表しており、Oxford Molecular's AbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」超可変領域は、利用可能な複合体結晶構造の解析に基づいている。
超可変領域は、以下のような「伸長超可変領域」:VL内の24〜36(L1)、46〜56(L2)、および89〜97(L3)、ならびにVH内の26〜35(H1)、47〜66または49〜66または50〜66(H2)、および93〜101または93〜102(H3)を含み得る。可変ドメイン残基は、これらの定義のそれぞれについて、Kabat et al.、前記に従って番号付けされる。
「フレームワーク」または「FR」残基とは、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」型とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域からの残基によって置換されたヒト免疫グロブリンである。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にもドナー抗体中にも見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体の性能をさらに精緻化するために行われる。一般的には、ヒト化抗体は、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、かつすべてまたは実質的にすべてのFRがヒト免疫グロブリン配列のものである、実質的にすべて、または少なくとも1つ、および典型的には2つの可変ドメインを含む。ヒト化抗体は任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部もまた含む。
「キメラ」抗体(免疫グロブリン)は、重鎖および/または軽鎖が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的であり、該鎖の残りの部分が、別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一または相同的である、該重鎖および/または該軽鎖のすべてまたは一部に加えて、所望の生物活性を示す限りこのような抗体の断片もまた有する。本明細書中で用いられるヒト化抗体は、キメラ抗体のサブセットである。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は抗体のVHおよびVLドメインを含み、
これらのドメインは単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般的に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、scFvが抗原結合にとって望ましい構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーをさらに含む。
これらのドメインは単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般的に、scFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間に、scFvが抗原結合にとって望ましい構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーをさらに含む。
「抗原」とは、抗体が選択的に結合し得る所定の抗原である。標的抗原は、ポリペプチド、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然化合物もしくは合成化合物であってよい。
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片を指し、この断片は、同一ポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(VL)につなげられた重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH-VL)。同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインとの対形成が強いられ、2つの抗原結合部位を作製する。
「ヒト抗体」とは、ヒトによって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するもの、および/または本明細書において開示されるヒト抗体を作製するための技術のいずれかを用いて作製されたものである。ヒト抗体のこの定義は、厳密には、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除く。
「親和性成熟」抗体とは、1つまたは複数の変更をその1つまたは複数のCDR内に有するものであり、これによりそのような変更を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性が向上しているものである。
「阻止」抗体または「アンタゴニスト」抗体とは、それが結合させる抗原の生物活性を阻害するかまたは低下させるものである。好ましい阻止抗体またはアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を実質的にまたは完全に阻害する。同様の様式で、「アゴニスト」という用語は、それが結合させる抗原の生物活性を促進、増強、または刺激する任意の分子を含むように、本明細書で用いられる。
「障害」または「疾患」とは、本発明の物質/分子または方法を用いた治療から恩恵を受ける任意の状態である。これには、問題とする障害に哺乳動物をかかりやすくさせる病態を含む慢性および急性の障害または疾患が含まれる。T細胞の活性化および増殖に関連し、かつ治療されるべき障害の非限定的な例には、ヒトの自己免疫疾患および炎症性疾患、ならびに移植片対宿主病および移植片拒絶が含まれる。これらの疾患には、関節リウマチ、エリテマトーデス、自己免疫性糖尿病、移植、多発性硬化症、変形性関節症、クローン病、潰瘍性大腸炎、ならびにループスおよび混合性自己免疫疾患などの自己免疫疾患、インスリン依存型糖尿病(IDDM)、糖尿病、実験的自己免疫性脳脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、関節炎、関節リウマチ、実験的自己免疫性関節炎、重症筋無力症、甲状腺炎、橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、早発閉経、男性不妊症、若年性糖尿病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感性眼炎、水晶体起因性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、突発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎 Hbs-ve、特発性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性/皮膚筋炎、円板状LE、乾癬、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、特発性血小板減少性紫斑病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、ORd甲状腺炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑症、外陰部痛、炎症性皮膚疾患、アレルギー性接触皮膚炎、ピロリ菌(H. pylory)胃炎、慢性の鼻の炎症性疾患、動脈硬化症、ならびに移植片対宿主病が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書における「自己免疫疾患」とは、個体自身の組織もしくは器官または同時分離物から生じこれらに向けられた疾患または障害、またはそれらの症状発現、またはそれらから生じる状態である。これらの自己免疫障害および炎症性障害の多くにおいて、高ガンマグロブリン血症、高レベルの自己抗体、組織中に沈着する抗原抗体複合体、コルチコステロイドまたは免疫抑制療法からの恩恵、および罹患組織におけるリンパ球凝集物を含むがこれらに限定されない多くの臨床マーカーおよび実験マーカーが存在し得る。
本明細書で用いられる場合、「治療」とは、治療を受けている個体または細胞の自然経過を変化させるための臨床的介入を指し、予防のため、または臨床病理の経過中に行うことができる。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、疾患進行の速度の減少、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後の改善が含まれる。
「個体」とは哺乳動物またはヒトなどの脊椎動物である。哺乳動物には、家畜(ウシなど)、運動動物、ペット(ネコ、イヌ、およびウマなど)、霊長類、マウス、およびラットが含まれるが、これらに限定されない。
「有効量」とは、必要な投与量および期間で、所望の治療結果または予防の結果を達成するのに有効な量を指す。
本発明の物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストの「治療的有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの因子、ならびに物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストが所望の応答を個体において誘発する能力に応じて異なり得る。治療的有効量とはまた、治療上有益な効果が物質/分子、アゴニスト、またはアンタゴニストのいかなる毒性または有害効果も上回るものでもある。「予防的有効量」とは、必要な投与量および期間で、所望の予防の結果を達成するのに有効な量を指す。必ずしもというわけではないが典型的には、予防的用量は対象において疾患の初期段階の前または初期段階で用いられるため、予防的有効量は治療的有効量よりも少ない。
上記の通り、ヒト免疫系におけるsema4Aの生物学的機能は研究されていない。以前の研究において、本発明者らは、CRTH2+記憶Th2細胞が、アレルギー性疾患に関連するTh2応答を維持する上で重要な役割を果たすことを示した。具体的には、本発明者らは、CRTH2+記憶Th2細胞が、活性化直後に高レベルのTh2サイトカインIl-4、IL-5、およびIL-13を迅速に産生し得ることを見出した。さらに、本発明者らは、TSLP活性化DCが、CD4+ Th2記憶細胞の強力な増殖およびさらなるTh2進行を誘導することを見出した(Wang, YH, et al. Immunity. 24(6):827-38, 2006)。広範なマイクロアレイ発現解析を通じて、本発明者らは、ヒトCRTH2+ Th2記憶細胞が、IL-25受容体およびSema4Aを含む2つの表面受容体を選択的に発現することを見出した(Want, YH et al. J Exp Med. 204(8):1837-47, 2007)。
本発明者らは初めて、Sema4Aが、ヒトにおいてT細胞増殖の同時刺激およびTh2応答の調節において特有の機能を有することを実証している。Sema4Aの機構を探索するために、本発明者らは、ヒトSema4Aに対するモノクローナル抗体のいくつかのバッチを作製し、抗体の機能アッセイ法を実施した。次に本発明者らは、組換えヒトSema4A媒介性のT細胞増殖およびTh2分化を阻止し得るモノクローナル抗体の合計16個のクローンを取得した。
本発明の組成物およびこれを作製する方法
本発明は、抗ヒトsema4a抗体、および抗ヒトsema4a抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物をはじめとする組成物を包含する。本明細書で用いられる場合、組成物は、ヒトsema4aに結合する1つもしくは複数の抗体、および/またはヒトsema4Aに結合する1つもしくは複数の抗体をコードする配列を含む1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知である、緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤などの適切な担体をさらに含み得る。
本発明は、抗ヒトsema4a抗体、および抗ヒトsema4a抗体をコードする配列を含むポリヌクレオチドを含む、薬学的組成物をはじめとする組成物を包含する。本明細書で用いられる場合、組成物は、ヒトsema4aに結合する1つもしくは複数の抗体、および/またはヒトsema4Aに結合する1つもしくは複数の抗体をコードする配列を含む1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む。これらの組成物は、当技術分野で周知である、緩衝液を含む薬学的に許容される賦形剤などの適切な担体をさらに含み得る。
抗ヒトsema4A抗体はモノクローナルである。本明細書に提供される抗ヒトsema4A抗体のFab、Fab'、Fab'-SH、およびF(ab')2断片もまた、本発明の範囲内に包含される。これらの抗体断片は、酵素消化などの伝統的な手段によって作製することができ、または組換え技術によって作製することもできる。このような抗体断片は、キメラまたはヒト化であってよい。これらの断片は、以下に記載される診断および治療目的に有用である。
モノクローナル抗体は実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る自然に生じる可能性のある変異を除いて同一である。
本明細書に示される抗sema4A抗体は、コンビナトリアルライブラリーを用いて、所望の1つまたは複数の活性を有する合成抗体クローンをスクリーニングすることによって、作製することができる。原理的には、合成抗体クローンは、ファージコートタンパク質に融合された抗体可変領域(Fv)の様々な断片を提示するファージを含むファージライブラリーをスクリーニングすることによって選択される。所望の抗原に結合可能なFv断片を発現するクローンを抗原に吸着させ、そうしてライブラリー中の非結合クローンから分離する。次に、結合クローンを抗原から溶出し、抗原の吸着/溶出の付加的なサイクルによってさらに濃縮することができる。
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体の作製は、例えば、確立されたプロトコールに従って、ヒトsema4Aがトランスフェクトされたマウス細胞株をマウスに免疫することによって行うことができる。
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体の作製は、例えば、確立されたプロトコールに従って、ヒトsema4Aがトランスフェクトされたマウス細胞株をマウスに免疫することによって行うことができる。
本発明者らは徹底的なスクリーニングを設計して、Tr1細胞の生成および機能の阻害により、sema4Aシグナル伝達を誘発するクローン(すなわち、アゴニスト抗体)を検出する。このようなクローンをさらに精製した。sema4Aに対するアゴニスト抗体をヒト化し、臨床プロトコールにおいて、単独であるか、または抗腫瘍ワクチン接種および他のアジュバントと併用するかのいずれかで、ヒトの抗腫瘍治療に使用することができる。黒色腫、リンパ腫、および乳癌を含むいくつかの異なる腫瘍型が、これらの抗体の標的となり得る。
BALB/c雌マウスを、足蹠または皮下免疫に用いることもできる。各マウスに、ヒトsema4AがトランスフェクトされたマウスL細胞(L-sema4A)を注射すべきである。注射の数日後にマウスを屠殺し、膝窩リンパ節(足蹠免疫による)または脾臓(皮下免疫による)を摘出しなければならない。次に、確立されたプロトコールを用いて、細胞をSP2.0骨髄腫細胞と1対1の比率で融合させて、ハイブリドーマクローンを作製する。次いで、モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマクローンを、ELISAアッセイ法により、L-sema4A細胞に対するそれらの結合特異性についてスクリーニングすることができる。L-sema4A細胞に結合し、L親細胞には結合しないハイブリドーマ上清を、フローサイトメトリー解析により、L-sema4A細胞上およびSUPM2-sema4A細胞上での結合についてさらに試験した。
キメラ抗体およびヒト化抗体
ヒト化(「再形成」または「CDR移植」とも称される)は、異種供給源(齧歯類を含むがこれに限定されない)からのモノクローナル抗体の免疫原性を減少させるため、およびヒト免疫系のそれらの活性化を改善するための確立された技術である。分子生物学の技術を用いて、操作されたモノクローナル抗体を作製する方法は公知であるが、ヒトフレームワークへの齧歯類相補性決定領域(「CDR」)の単純な移植は、元のモノクローナル抗体の結合親和性および特異性を常に再構成するわけではない。
ヒト化(「再形成」または「CDR移植」とも称される)は、異種供給源(齧歯類を含むがこれに限定されない)からのモノクローナル抗体の免疫原性を減少させるため、およびヒト免疫系のそれらの活性化を改善するための確立された技術である。分子生物学の技術を用いて、操作されたモノクローナル抗体を作製する方法は公知であるが、ヒトフレームワークへの齧歯類相補性決定領域(「CDR」)の単純な移植は、元のモノクローナル抗体の結合親和性および特異性を常に再構成するわけではない。
抗体をヒト化するために、ヒト化抗体の設計は、元の分子の機能を再現する重要な段階となる。様々な選択:CDRの範囲、用いるためのヒトフレームワーク、および齧歯類モノクローナル抗体からの残基のヒトのフレームワーク領域への置換(復帰突然変異)が、この設計に含まれる。このような復帰突然変異の位置は、主に、配列/構造解析によって、または可変領域の3D構造の相同性モデルの解析によって同定されている。
最近は、選択された位置においてアミノ酸を変更するために、ファージライブラリーが用いられている。同様に、齧歯類CDRを移植するのに最も適したヒトフレームワークを選択するために、多くのアプローチが用いられている。初期の実験では、齧歯類モノクローナル抗体に対する配列同一性に関係なく、十分に特徴決定されたヒトモノクローナル抗体の限られたサブセット(常にというわけではないが、多くの場合、その構造は入手可能である)を使用した(いわゆる固定化フレームワークアプローチ)。いくつかのグループは、齧歯類可変領域に対して高いアミノ酸配列同一性を有する可変領域を使用し(相同性適合または最良適合);他のグループは共通配列または生殖系列配列を使用し、さらなる他のグループは、いくつかの異なるヒトモノクローナル抗体から各軽鎖または重鎖可変領域内のフレームワーク配列の断片を選択する。表面の齧歯類残基を、ヒトモノクローナル抗体中に見出される最も一般的な残基で置換する、ヒト化のためのアプローチ(「再表面化」または「張り合わせ」)、およびCDRの範囲の異なる定義を使用するヒト化のためのアプローチも開発されている。
ヒト化抗sema4A抗体の発現
本発明の抗体または抗体部分は、免疫グロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の宿主細胞における組換え発現によって調製することができる。抗体を組換えにより発現させるために、宿主細胞に、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を保有する1つまたは複数の組換え発現ベクターをトランスフェクトし、該軽鎖および該重鎖を宿主細胞内で発現させ、好ましくは宿主細胞を培養する培地中に分泌させ、その培地から抗体を回収できるようにする。抗体重鎖および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクター中に組み込み、該ベクターを宿主細胞に導入するためには、Sambrook, Fritsch and Maniatis (eds), Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)、Ausubel, F. M. et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, (1989)、およびBoss et alによる米国特許第4,816,397号に記載されているような、標準的な組換えDNA方法論が用いられる。
本発明の抗体または抗体部分は、免疫グロブリン軽鎖および重鎖遺伝子の宿主細胞における組換え発現によって調製することができる。抗体を組換えにより発現させるために、宿主細胞に、抗体の免疫グロブリン軽鎖および重鎖をコードするDNA断片を保有する1つまたは複数の組換え発現ベクターをトランスフェクトし、該軽鎖および該重鎖を宿主細胞内で発現させ、好ましくは宿主細胞を培養する培地中に分泌させ、その培地から抗体を回収できるようにする。抗体重鎖および軽鎖遺伝子を得て、これらの遺伝子を組換え発現ベクター中に組み込み、該ベクターを宿主細胞に導入するためには、Sambrook, Fritsch and Maniatis (eds), Molecular Cloning; A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, N.Y., (1989)、Ausubel, F. M. et al. (eds.) Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates, (1989)、およびBoss et alによる米国特許第4,816,397号に記載されているような、標準的な組換えDNA方法論が用いられる。
抗体ならびに抗体断片および変種は、様々な動物細胞から、好ましくは哺乳動物細胞から産生させることができ、マウスおよびヒト細胞が特に好ましい。また、組換えDNA発現システムは、宿主細胞、および高レベルの特定タンパク質を産生するように操作された発現構築物を用いる発現システムを含み得る。そのような宿主細胞および発現構築物には、プラスミドまたはウイルス(バクテリオファージ)に由来する発現構築物を有する大腸菌(Escherichia coli);エピソーム発現構築物または染色体に組み込まれた発現構築物を有するサッカロミセス・セレビシエ(Sacharomyces cerevisieae)またはフィキア・パストラス(Fichia pastoras)などの酵母;Sf9細胞およびバキュロウイルスなどの昆虫細胞およびウイルス;ならびにエピソーム発現構築物または染色体に組み込まれた発現構築物(レトロウイルスを含むがこれに限定されない)を有する哺乳動物細胞が含まれ得る(このような方法は、例えば、Verma et al., J. Immunol. Methods 216:165-181, 1998の原稿から見出され得る)。抗体はまた、植物において(このような方法は、例えば、米国特許第6,046,037号;Ma et al., Science 268:716-719, 1995から見出され得る)、またはファージディスプレイ技術によって(このような方法は、例えば、Winter et al., Annu. Rev. Immunol. 12:433-455, 1994から見出され得る)産生させることもできる。
望ましいあるレベルの活性および結合特異性/親和性を示したヒト抗sema4A抗体は、例えば、可変領域遺伝子を完全長の抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子、またはscFv遺伝子に変換するために、標準的な組換えDNA技術によりさらに操作することができる。このような操作では、VLまたはVHコードDNA断片を、抗体定常領域または可動性リンカーなどの別のタンパク質をコードする別のDNA断片に機能的に連結する。この文脈で用いられる「機能的に連結する」という用語は、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がインフレームのままであるように、2つのDNA断片を結合させることを意味することが意図される。
別の局面において、VH領域をコードする単離されたDNAは、VHコードDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、およびCH3)をコードする別のDNA分子に機能的に連結することによって、完全長の重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG 1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、またはIgD定常領域、およびKabat (Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)に記載されているような、それらの中のいかなるアロタイプ変種であってもよいが、最も好ましくはIgG1またはIgG4定常領域である。Fab断片重鎖遺伝子については、VHコードDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に機能的に連結することができる。
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLコードDNAを、軽鎖定常領域であるCLをコードする別のDNA分子に機能的に連結することによって、完全長の軽鎖遺伝子(およびFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で公知であり(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、これらの領域を含むDNA断片は、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、κまたはλ定常領域であってよい。
scFv遺伝子を作製するためには、VL領域とVH領域が可動性リンカーによって結合しているVH配列およびVL配列が、連続した一本鎖タンパク質として発現され得るように、VHコードDNA断片およびVLコードDNA断片が、例えばアミノ酸配列(Gly.sub.4-Ser).sub.3をコードするなどの可動性リンカーをコードする別の断片に機能的に連結される(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;Huston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;McCafferty et al., Nature (1990) 348:552-554を参照されたい)。
本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を改変することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列変種は、適切なヌクレオチド変更を抗体核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれらへの挿入、および/またはそれらの置換が含まれる。最終構築物が所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に到達するように、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせが行われる。アミノ酸変更は、対象となる抗体アミノ酸配列に、その配列が作製された時点で導入してもよい。
突然変異誘発に好ましい位置である抗体の特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085に記載されているとおり、「アラニンスキャン突然変異誘発」と称される。ここでは、残基または標的残基の群を同定し(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluなどの荷電残基)、これらのアミノ酸と抗原の相互作用に影響を及ぼすように、それらを中性または負荷電のアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)により置換する。次に、さらなるまたは他の変種を置換部位においてまたはその代わりに導入することにより、置換に対して機能的感受性を示すアミノ酸位置を精緻化する。このように、アミノ酸配列変異を導入するための部位は予め決定されるものの、突然変異の性質自体は予め決定される必要がない。例えば、所与の部位における突然変異の性能を解析するためには、標的コドンまたは領域においてalaスキャンまたはランダム突然変異誘発を行い、発現した免疫グロブリンを所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入には、1残基から、100残基またはそれ以上を含むポリペプチドまでの長さにわたるアミノ末端融合および/またはカルボキシ末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニン残基を有する抗体、または細胞毒性ポリペプチドに融合された抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変種は、酵素(例えば、ADEPTのため)、または抗体の血清半減期を延長するポリペプチドの、抗体のN末端またはC末端への融合を含む。抗体の別の種類のアミノ酸変種は、抗体の元のグリコシル化パターンを変化させる。このような変化は、抗体中に見出される1つもしくは複数の糖部分を欠失させること、および/または抗体中に存在しない1つもしくは複数のグリコシル化部位を付加することを含む。
別の種類の変種は、アミノ酸置換変種である。これらの変種は、抗体分子内に、異なる残基によって置換された少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換突然変異誘発に関して最も関心の高い部位には、超可変領域が含まれるが、FR変更もまた企図される。保存的置換は、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第7,812,133号、Col. 43、ls. 55〜Col. 44 l. 49の表1において、「好ましい置換(preferred substitutions)」の表題で示されている。このような置換が生物活性の変化をもたらす場合には、表1において「例示的置換(exemplary substitutions)」と命名されているか、またはアミノ酸クラスに関して以下にさらに記載されている、より多くの実質的変化を導入し、その産物をスクリーニングすることができる。
さらに、抗体の生物学的特性における実質的改変は、(a) 例えば、シートまたはヘリックス高次構造としての、置換の領域におけるポリペプチド骨格の構造、(b) 標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c) 側鎖のかさ、の維持に及ぼす影響が有意に異なる置換を選択することにより達成される。天然残基は、共通する側鎖の特性に基づいてグループ分けされる:(1) 疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile;(2) 中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3) 酸性:asp、glu;(4) 塩基性:his、lys、arg;(5) 鎖の配向に影響する残基:gly、pro;および(6) 芳香族:trp、tyr、phe。非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのあるメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
本明細書に記載される抗体または抗体部分を発現させるためには、上記のとおりに得られた、部分的または全長の軽鎖および重鎖をコードするDNAを、遺伝子が転写および翻訳制御配列と機能的に連結されるように、発現ベクター中に挿入する。この文脈において、「機能的に連結される」という用語は、ベクター内の転写および翻訳制御配列が抗体遺伝子の転写および翻訳を調節するというそれらの意図される機能を果たすように、抗体遺伝子をベクター中に連結することを意味することが意図される。発現ベクターおよび発現制御配列は、用いられる発現宿主細胞と適合するように選択される。抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子を別個のベクターに挿入することができるが、より典型的には、両遺伝子が同じ発現ベクター中に挿入される。抗体遺伝子は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片とベクター上の相補的制限部位の連結、または制限部位が存在しない場合には平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入される。
組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードし得る。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端にインフレームで連結されるように、ベクター中にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質からのシグナルペプチド)であってよい。
上記のとおり、抗体鎖遺伝子に加え、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞内で抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を保有する。「調節配列」という用語は、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、および他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むことが意図される。このような調節配列は、例えば、Goeddel; Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990)に記載されている。調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞、所望されるタンパク質の発現レベル等のような要素に依存し得ることが認識されると考えられる。哺乳動物宿主細胞発現に好ましい調節配列には、サイトメガロウイルス(CMV)(CMVプロモーター/エンハンサーなど)、サルウイルス40(SV40)(SV40プロモーター/エンハンサーなど)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、およびポリオーマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーなどの、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を指示するウイルスエレメントが含まれる。ウイルス調節エレメントおよびその配列のさらなる記載については、例えば、Stinskiによる米国特許第5,168,062号、Bell et al.による米国特許第4,510,245号、およびSchaffner et al.による米国特許第4,968,615号、Bujard et al.による米国特許第5,464,758号、およびBujard et al.による米国特許第5,654,168号を参照されたい。
抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)、および選択マーカー遺伝子などの付加的な配列を保有し得る。選択マーカー遺伝子により、ベクターが導入された宿主細胞の選択が容易になる(例えば、いずれもAxel et al.による米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、および同第5,179,017号を参照されたい)。例えば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に対して、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子(メトトレキサート選択/増幅と共にdhfr-宿主細胞において使用するため)、およびneo遺伝子(G418選択のため)が含まれる。
軽鎖および重鎖の発現のためには、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターを、標準的な技術により宿主細胞中にトランスフェクトする。様々な形態の「トランスフェクション」という用語は、外因性DNAを原核または真核宿主細胞に導入するために通常用いられる多種多様な技術、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラントランスフェクション等を包含することが意図される。理論的には、本発明の抗体を原核または真核宿主細胞のいずれかで発現させることが可能であるが、真核細胞、および特に哺乳動物細胞は、適切に折りたたまれた免疫学的に活性のある抗体を構築し、分泌する可能性が原核細胞よりも高いため、真核細胞、および最も好ましくは哺乳動物宿主細胞における抗体の発現が最も好ましい。本明細書に記載される組換え抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(例えば、R. J. Kaufman and P. A. Sharp (1982) Mol. Biol. 159:601-621に記載されているようなDHFR選択マーカーと共に用いられる、Urlaub and Chasin, (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr-CHO細胞など)、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、およびSP2細胞が含まれる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、宿主細胞内での抗体の発現、または宿主細胞を増殖させる培地中への抗体の分泌を可能にするのに十分な期間、宿主細胞を培養することにより、抗体が産生される。抗体は、標準的なタンパク質精製法を用いて培地から回収することができる。
宿主細胞はまた、Fab断片またはscFv分子などの、無傷の抗体の一部を産生させるために使用することもできる。上記手順の変化形も本発明の範囲内であることが理解されると考えられる。例えば、宿主細胞に、本発明の抗体の軽鎖または重鎖のいずれか(ただし両方ではない)をコードするDNAをトランスフェクトすることが望ましい場合がある。組換えDNA技術を用いて、sema4Aへの結合に必要でない軽鎖および重鎖のいずれかまたは両方をコードするDNAの一部またはすべてを除去することもできる。そのような切断型DNA分子から発現された分子もまた、本発明の抗体によって包含される。加えて、標準的な化学架橋法によって本発明の抗体を第2抗体に架橋させることにより、一方の重鎖および一方の軽鎖が本発明の抗体であり、他方の重鎖および軽鎖が、sema4A以外の抗原に対して特異的である、二機能性抗体を生成することもできる。
本明細書において教示される抗ヒトsema4A抗体のいずれかは、関心対象のファージクローンを選択するために適した抗原スクリーニング手順を設計し、続いて関心対象のファージクローンからのFv配列、およびKabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda Md. (1991), vols. 1-3に記載される適切な定常領域(Fc)配列を用いて全長抗ヒトsema4A抗体クローンを構築することによって得ることができる。
この場合、抗体の抗原結合ドメインは約110アミノ酸の2つの可変(V)領域から形成され、これらはそれぞれ軽鎖(VL)および重鎖(VH)に由来し、いずれも3つの超可変ループまたは相補鎖決定領域(CDR)を示す。可変ドメインは、VHとVLが短い可動性のペプチドを介して共有結合している一本鎖Fv(scFv)断片として、またはそれらがそれぞれ定常ドメインと融合して非共有結合的に相互作用しているFab断片のいずれかとして、ファージ上に機能的に提示され得る。本明細書で用いられる場合、scFvコードファージクローンおよびFabコードファージクローンは、まとめて「Fvファージクローン」または「Fvクローン」と称される。
VH遺伝子およびVL遺伝子のレパートリーをポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)により別々にクローニングし、ファージライブラリーにおいてランダムに組み換えることができ、その後これを抗原結合クローンについて探索することができる。免疫化供給源からのライブラリーは、ハイブリドーマの構築を必要とせずに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。あるいは、いかなる免疫化もせずに、未処理レパートリーをクローニングして、広範囲の非自己抗原およびまた自己抗原に対するヒト抗体の単一供給源を提供することもできる。最後に、再編成されていないV遺伝子セグメントを幹細胞からクローニングして、超可変CDR3領域をコードし、インビトロで再編成を達成させるためのランダム配列を含むPCRプライマーを用いることよって、未処理ライブラリーを合成的に作製することもできる。
繊維状ファージを用いて、マイナーコートタンパク質pIIIへの融合によって抗体断片を提示させることができる。抗体断片は、VHドメインとVLドメインが可動性ポリペプチドスペーサーによって同一ポリペプチド鎖上で結合している一本鎖Fv断片として、または一方の鎖がpIIIに融合し、他方が細菌宿主細胞ペリプラズムに分泌され、ペリプラズムにおいてFab-コートタンパク質構造の会合体が、野生型コートタンパク質のいくつかと置き換わることによってファージ表面上に提示されるようになるFab断片として提示させることができる。
一般的に、抗体遺伝子断片をコードする核酸は、ヒトまたは動物から収集された免疫細胞から得られる。抗ヒトsema4Aクローンに有利になるように偏ったライブラリーが望ましい場合には、対象にsema4Aを免疫して抗体応答を生じさせ、ライブラリー構築のために脾臓細胞および/または循環B細胞 他の末梢血リンパ球(PBL)を回収する。
抗ヒトsema4Aクローンに有利になるように偏ったヒト抗体遺伝子断片ライブラリーは、sema4Aの免疫によってsema4Aに対するヒト抗体を産生するB細胞が生じるように、機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子アレイを保有する(かつ機能的内在性抗体産生システムを欠く)トランスジェニックマウスにおいて抗ヒトsema4A抗体応答を引き起こすことによって得られる。
あるいは、非免疫化ドナーからの脾臓細胞および/またはB細胞もしくは他のPBLを使用することにより、可能な抗体レパートリーのより良好な表示が提供され、sema4Aが抗原性を示さない任意の動物(ヒトまたは非ヒト)種を用いた抗体ライブラリーの構築もまた可能となる。
インビトロの抗体遺伝子構築を導入するライブラリーに関しては、幹細胞を対象から収集して、再編成されていない抗体遺伝子セグメントをコードする核酸を提供する。関心対象の免疫細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ目、オオカミ(luprine)、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ウマ、およびトリ種等などの種々の動物種から得ることができる。
抗体可変遺伝子セグメント(VHおよびVLセグメントを含む)をコードする核酸を関心対象の細胞から回収し、増殖する。再編成されたVHおよびVL遺伝子ライブラリーの場合には、ゲノムDNAまたはmRNAをリンパ球から単離し、次いで再編成されたVHおよびVL遺伝子の5'および3'末端と一致するプライマーでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことにより、所望のDNAを得ることができ、それによって発現のための多様なV遺伝子レパートリーを作製する。
抗体断片のレパートリーは、いくつかの方法でVH遺伝子レパートリーとVL遺伝子レパートリーを共に組み合わせることによって構築することができる。各レパートリーを異なるベクターで作製し、そのベクターをインビトロで、または組み合わせ感染、例えばloxPシステムによってインビボで組み換えることができる。インビボの組換えアプローチでは、大腸菌の形質転換効率によって課せられるライブラリーサイズの限界を克服するために、二本鎖種のFab断片を利用する。未処理のVHレパートリーおよびVLレパートリーは、一方はファージミドへ、および他方はファージベクターへと別々にクローニングされる。この2つのライブラリーはその後、各細胞が異なる組み合わせを含み、ライブラリーサイズが、存在する細胞の数(約1012個クローン)によってのみ限定されるように、ファージミド含有細菌のファージ感染によって組み合わせられる。いずれのベクターも、VH遺伝子およびVL遺伝子が単一のレプリコンに組み換えられ、ファージビリオン中に共にパッケージングされるように、インビボ組換えシグナルを含む。このような巨大なライブラリーは、良好な親和性(約10-8 MのKd -1)の多数の多様な抗体を提供する。
あるいは、レパートリーを同じベクターに連続してクローニングするか、またはPCRにより共に組み立てた後に、クローニングすることもできる。PCR組み立てを用いて、VH DNAおよびVL DNAと、可動性ペプチドスペーサーをコードするDNAを結合して、一本鎖Fv(scFv)レパートリーを形成することもできる。さらなる別の技術では、「細胞内PCR組み立て」を用いて、PCRによってリンパ球内でVH遺伝子とVL遺伝子を組み合わせた後に、連結された遺伝子のレパートリーをクローニングする。
未処理ライブラリー(天然または合成のいずれか)によって産生される抗体は、中程度の親和性(約106〜107 M1のKd -1)のものであってよいが、二次ライブラリーを構築し、そこから再選択することによって、親和性成熟をインビトロで模倣することもできる。
加えて、選択された個々のFvクローンにおいて、例えば関心対象のCDRにまたがるランダム配列を保有するプライマーによるPCRを用いて、1つまたは複数のCDRをランダムに変異させ、より高い親和性クローンをスクリーニングすることによって、親和性成熟を行うことができる。WO 9607754(1996年3月14日公開)は、免疫グロブリン軽鎖の相補性決定領域において突然変異誘発を誘導して、軽鎖遺伝子のライブラリーを作製する方法を記載している。別の有効なアプローチは、非免疫化ドナーから得られた天然Vドメイン変種のレパートリーのファージディスプレイによって選択されたVHドメインまたはVLドメインを組み換え、数ラウンドのチェーン・リシャッフリングにおいてより高い親和性についてスクリーニングすることである。この技術により、10-9 M範囲の親和性を有する抗体および抗体断片の生成が可能になる。
抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体の作製およびその後のその抗体産生
本発明の抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製することができ、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
本発明の抗ヒトsema4Aモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature, 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製することができ、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製することができる。
ハイブリドーマ法では、マウス、またはハムスターなどの他の適切な宿主動物を免疫化して、免疫化に用いられたタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するか、または産生可能なリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。次に、リンパ球を、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を用いて骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を好ましくは含む適切な培地に播種し、増殖させる。好ましい骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベル発現を支持し、かつ培地に対して感受性のある細胞である。
ハイブリドーマ細胞が増殖している培地を、ヒトsema4Aに対するモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって産生され得るモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、または放射免疫測定法(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などのインビトロ結合アッセイ法によって決定することができる。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al., Anal. Biochem., 107:220 (1980)のスキャッチャード解析によって決定することができる。
所望の特異性、親和性、および/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる。この目的に適した培地には、例えばD-MEMまたはRPMI-1640培地が含まれる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物において腹水腫瘍としてインビボで増殖させてもよい。
サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-Sepharose、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順により、培地、腹水、または血清から分離する。
ヒトsema4Aに結合する特異的なモノクローナル抗体を、真下の表1〜6に提供する。
マウス161-51-1、161-70-1、および161-15B-1モノクローナル抗体の可変領域遺伝子のクローニングおよび配列決定
マウス161-51-1、161-70-1、および161-15B1ハイブリドーマ細胞を、7.5% CO2インキュベーター内で37℃において、10%ウシ胎仔血清(HyClone、Logan, UT)および1 mMピルビン酸ナトリウムを含むRPMI-1640培地中で増殖させた。供給業者のプロトコールに従ってTRIzol試薬(Invitrogen、Carlsbad, CA)を用いて、8×106個のハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出した。供給業者のプロトコールに従ってSMARTer RACE cDNA増幅キット(Clontech、Mountain View, CA)を用いて、オリゴdTプライミングcDNAを合成した。161-51-1、161-70-1、および161-15B-1の重鎖および軽鎖の可変領域cDNAを、それぞれマウスγ鎖定常領域およびκ鎖定常領域とアニールする3'プライマー、ならびにSMARTer RACE cDNA増幅キットにおいて提供された5'-RACEプライマー(Universal Primer A MixまたはNested Universal Primer A)を使用して、Phusion DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、Beverly, MA)を用いてポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によって増幅した。161-51-1および161-15B-1の重鎖可変領域(VH)のPCR増幅に関して、マウスγ1遺伝子に結合する3'プライマーは、配列
を有する。161-70-1 VHのPCR増幅に関して、マウスγ2a遺伝子に結合する3'プライマーは、配列
を有する。全3つの抗体の軽鎖可変領域(VL)のPCR増幅に関して、3'プライマーは配列
を有する。増幅されたVH cDNAおよびVL cDNAを、配列決定のためにpCR-Blunt II-TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。可変領域のDNA配列決定はTocore(Menlo Park, CA)で実施した。各抗体についていくつかの重鎖クローンおよび軽鎖クローンを配列決定し、典型的なマウスの重鎖可変領域および軽鎖可変領域と相同的な特有の配列が同定された。
マウス161-51-1、161-70-1、および161-15B1ハイブリドーマ細胞を、7.5% CO2インキュベーター内で37℃において、10%ウシ胎仔血清(HyClone、Logan, UT)および1 mMピルビン酸ナトリウムを含むRPMI-1640培地中で増殖させた。供給業者のプロトコールに従ってTRIzol試薬(Invitrogen、Carlsbad, CA)を用いて、8×106個のハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出した。供給業者のプロトコールに従ってSMARTer RACE cDNA増幅キット(Clontech、Mountain View, CA)を用いて、オリゴdTプライミングcDNAを合成した。161-51-1、161-70-1、および161-15B-1の重鎖および軽鎖の可変領域cDNAを、それぞれマウスγ鎖定常領域およびκ鎖定常領域とアニールする3'プライマー、ならびにSMARTer RACE cDNA増幅キットにおいて提供された5'-RACEプライマー(Universal Primer A MixまたはNested Universal Primer A)を使用して、Phusion DNAポリメラーゼ(New England Biolabs、Beverly, MA)を用いてポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)によって増幅した。161-51-1および161-15B-1の重鎖可変領域(VH)のPCR増幅に関して、マウスγ1遺伝子に結合する3'プライマーは、配列
を有する。161-70-1 VHのPCR増幅に関して、マウスγ2a遺伝子に結合する3'プライマーは、配列
を有する。全3つの抗体の軽鎖可変領域(VL)のPCR増幅に関して、3'プライマーは配列
を有する。増幅されたVH cDNAおよびVL cDNAを、配列決定のためにpCR-Blunt II-TOPOベクター(Invitrogen)にクローニングした。可変領域のDNA配列決定はTocore(Menlo Park, CA)で実施した。各抗体についていくつかの重鎖クローンおよび軽鎖クローンを配列決定し、典型的なマウスの重鎖可変領域および軽鎖可変領域と相同的な特有の配列が同定された。
161-51-1 VHおよびVLのコンセンサスcDNA配列を推定アミノ酸配列と共に、それぞれ図23および24に示す。各図において、シグナルペプチド配列はイタリック体であり、Kabat et al. (Sequences of Proteins of Immunological Interests, Fifth edition, NIH Publication No. 91-3242, U.S. Department of Health and Human Services, 1991)の定義によるCDR配列に下線を引いてある。同様に、161-70-1 VHおよびVLのコンセンサスcDNA配列を推定アミノ酸配列と共に、それぞれ図25および26に示す。161-15B-1 VHのコンセンサスcDNA配列を推定アミノ酸配列と共に、図27に示す。161-15B-1 VLに関しては、2種類の生産的VL配列が得られた。161-15B-1ハイブリドーマ細胞に由来する9つの生産的VL配列のうちの7つは、図28において161-15B-1 VL1として示される配列を有した。9つの生産的VL配列のうちの2つは、図29において161-15B-1 VL2として示される配列を有した。161-15B-1ハイブリドーマ細胞からは、図27において示される1種類の生産的VH配列のみが得られた。真下に提供される表5は、本明細書に記載されるヒト化抗体に関連する情報を提供する。
(表5)
ChLB51:キメラ161-51-1;HuLB51-1およびHuLB51-2:ヒト化161-51-1の2つの形態。
ChLB70:キメラ161-70-1;HuLB70-1およびHuLB70-2:ヒト化161-70-1の2つの形態。
*HuLB51-1とHuLB51-2は互いにVH領域中のaaが1つ異なる。
*HuLB70-1とHuLB70-2は互いにVH領域中のaaが1つ異なる。
ChLB51:キメラ161-51-1;HuLB51-1およびHuLB51-2:ヒト化161-51-1の2つの形態。
ChLB70:キメラ161-70-1;HuLB70-1およびHuLB70-2:ヒト化161-70-1の2つの形態。
*HuLB51-1とHuLB51-2は互いにVH領域中のaaが1つ異なる。
*HuLB70-1とHuLB70-2は互いにVH領域中のaaが1つ異なる。
抗体産生細胞から単離されたポリヌクレオチド配列に基づく抗体産生
抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技術を用いて得ることができる。上記の通りに、所望のポリヌクレオチド配列をハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離し、配列決定することができる。あるいは、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を用いてポリヌクレオチドを合成することもできる。
抗体のポリペプチド成分をコードするポリヌクレオチド配列は、標準的な組換え技術を用いて得ることができる。上記の通りに、所望のポリヌクレオチド配列をハイブリドーマ細胞などの抗体産生細胞から単離し、配列決定することができる。あるいは、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を用いてポリヌクレオチドを合成することもできる。
ひとたび得られると、原核生物または真核生物宿主中で異種ポリヌクレオチドを複製および発現し得る組換えベクター中に、ポリペプチドをコードする配列を挿入する。入手可能であり、当技術分野で公知の多くのベクターを、この目的のために用いることができる。適切なベクターの選択は主に、ベクター中に挿入される核酸のサイズ、およびベクターを形質転換される特定の宿主細胞に依存する。
各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅もしくは発現、またはその両方)、およびそれが属する特定の宿主細胞との適合性に応じて、様々な成分を含む。ベクター成分には一般的に、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入物、および転写終結配列が含まれるが、これらに限定されない。
宿主細胞に発現ベクターおよび/または核酸を形質転換、形質導入、またはトランスフェクトし、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、または望ましい配列をコードする遺伝子の増幅のために必要に応じて改変された培地中で培養することができる。原核細胞に関して、当技術分野で公知の標準的なタンパク質精製法を用いることができる。以下の手順は適切な精製手順の例示である:イムノアフィニティーカラムまたはイオン交換カラムでの分画、エタノール沈澱、逆相HPLC、シリカまたはDEAEなどの陽イオン交換樹脂でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈澱、および例えばSephadex G-75を用いたゲル濾過。
真核生物宿主細胞を用いて抗体を生成する場合、ベクター成分には一般的に、以下のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない:シグナル配列、複製起点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、および転写終結配列。真核生物宿主細胞において用いるためのベクターはまた、関心対象の成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有するシグナル配列または他のポリペプチドを含み得る。好ましく選択される異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識されプロセシングされる(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。哺乳動物細胞発現では、哺乳動物シグナル配列およびにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用可能である。このような前駆体領域のDNAは、抗体をコードするDNAにリーディングフレームを一致させて連結される。一般的に、複製起点成分は哺乳動物発現ベクターには必要ない。例えば、初期プロモーターを含むという理由で、典型的にはSV40起点のみを用いることができる。
真核生物宿主細胞で用いられる発現ベクターおよびクローニングベクターは、選択マーカーとも称される選択遺伝子を含み得る。 (a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセート、もしくはテトラサイクリンに対する耐性を付与するか、(b) 必要があれば栄養要求性欠損を補完するか、または(c) 複合培地から利用できない重要な栄養素を供給する、タンパク質を、典型的な選択遺伝子はコードする。選択スキームの一例では、宿主細胞の増殖を停止させるための薬物を使用する。異種遺伝子で首尾よく形質転換された細胞は、薬物耐性を付与するタンパク質を産生し、よって選択レジメンを生き抜く。このような優性選択の例は、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸、およびハイグロマイシンを使用する。哺乳動物細胞に適した選択マーカーの別の例は、抗体核酸を取り込む能力のある細胞を同定することができる選択マーカー、例えば、DHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインIおよびII、好ましくは霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等である。
変形性関節症、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、ならびにループスおよび混合性自己免疫疾患のような自己免疫疾患などの、炎症性疾患ならびに炎症状態を予防または治療するために、本明細書に記載される抗体および方法を使用することもできる。例えば、本明細書に記載される抗体は、それを必要とする対象に抗体の治療上有効な量を投与する段階を含む、様々な自己免疫疾患および炎症性疾患の治療に有用であると考えられ、自己免疫疾患または炎症性疾患は、以下の疾患のうちのいずれか1つまたは複数である:インスリン依存型糖尿病(IDDM)、糖尿病、多発性硬化症、実験的自己免疫性脳脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、関節炎、関節リウマチ、実験的自己免疫性関節炎、重症筋無力症、甲状腺炎、橋本病、原発性粘液水腫、甲状腺中毒症、悪性貧血、自己免疫性萎縮性胃炎、アジソン病、早発閉経、男性不妊症、若年性糖尿病、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、水晶体起因性ブドウ膜炎、自己免疫性溶血性貧血、突発性白血球減少症、原発性胆汁性肝硬変、活動性慢性肝炎Hbs-ve、特発性肝硬変、潰瘍性大腸炎、シェーグレン症候群、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性/皮膚筋炎、円板状LE、全身性エリテマトーデス、クローン病、乾癬、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性肝炎、セリアック病、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、特発性血小板減少性紫斑病、眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、ORd甲状腺炎、天疱瘡、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、ライター症候群、高安、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症、全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、子宮内膜症、化膿性汗腺炎、間質性膀胱炎、神経性筋強直症、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、白斑症、外陰部痛、炎症性皮膚疾患、アレルギー性接触皮膚炎、ピロリ菌胃炎、慢性の鼻の炎症性疾患、動脈硬化症、および移植片対宿主病。
より具体的には、本明細書において言及する「自己免疫疾患」とは、個体自身の組織もしくは器官または同時分離物から生じこれらに向けられた疾患または障害、またはそれらの症状発現、またはそれらから生じる状態である。自己免疫疾患は、正常な体組織および抗原と反応する抗体のB細胞による産生によって生じるか、またはこれによって悪化する状態を指し得る。また、自己免疫疾患とは、自己抗原(例えば、核抗原)由来のエピトープに特異的な自己抗体の分泌を含み得るものである。
本明細書に記載される抗体のいずれか1つまたは複数によって治療可能および/または予防可能である自己免疫疾患または自己免疫障害には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない:関節炎(関節リウマチ、例えば、急性関節炎、慢性関節リウマチ、痛風または痛風関節炎、急性痛風関節炎、急性免疫性関節炎、慢性炎症性関節炎、変形性関節炎、II型コラーゲン誘発関節炎、感染性関節炎、ライム関節炎、増殖性関節炎、乾癬性関節炎、スティル病、脊椎関節炎、および若年発症関節リウマチ、変形性関節症、進行性慢性関節炎(arthritis chronica progrediente)、変形関節炎、原発性慢性多発性関節炎(polyarthritis chronica primaria)、反応性関節炎、ならびに強直性脊椎炎)、炎症性過剰増殖性皮膚疾患、乾癬、例えば、尋常性乾癬、滴状乾癬、膿疱性乾癬、および爪の乾癬、アトピー、例えば、アトピー性疾患、例えば、枯草熱およびヨブ症候群、皮膚炎、例えば、接触皮膚炎、慢性接触皮膚炎、剥脱性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、疱疹状皮膚炎、貨幣状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、非特異的皮膚炎、一次刺激性接触皮膚炎、およびアトピー性皮膚炎、x連鎖性高IgM症候群、アレルギー性眼内炎症性疾患、蕁麻疹、例えば、慢性アレルギー性蕁麻疹および慢性特発性蕁麻疹、例えば、慢性自己免疫性蕁麻疹、筋炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、若年性皮膚筋炎、中毒性表皮壊死症、強皮症(全身性強皮症を含む)、硬化症、例えば、全身性硬化症、多発性硬化症(MS)、例えば、脊髄-眼(spino-optical)MS、原発性進行性MS(PPMS)、および再発寛解型MS(RRMS)、進行性全身性硬化症、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、播種性硬化症、失調性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、炎症性腸疾患(IBD)(例えば、クローン病、自己免疫媒介性胃腸疾患、大腸炎、例えば、潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis)、潰瘍性大腸炎(colitis ulcerosa)、顕微鏡的大腸炎、コラーゲン蓄積大腸炎、ポリープ性大腸炎、壊死性全腸炎、および貫壁性大腸炎、ならびに自己免疫性炎症性腸疾患)、腸炎、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、原発性硬化性胆管炎、呼吸窮迫症候群、例えば、成人または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、髄膜炎、ブドウ膜の全体または一部の炎症、虹彩炎、脈絡膜炎、自己免疫性血液障害、リウマチ性脊椎炎、リウマチ性滑膜炎、遺伝性血管浮腫、髄膜炎におけるような脳神経損傷、妊娠性疱疹、妊娠性類天疱瘡、陰嚢掻痒症(pruritis scroti)、自己免疫性早期卵巣機能不全、自己免疫状態に起因する突発性難聴、IgE媒介性疾患、例えば、アナフィラキシーならびにアレルギー性およびアトピー性鼻炎、脳炎、例えば、ラスムッセン脳炎ならびに辺縁系および/または脳幹脳炎、ぶどう膜炎、例えば、前部ブドウ膜炎、急性前部ブドウ膜炎、肉芽腫性ブドウ膜炎、非肉芽腫性ブドウ膜炎、水晶体抗原性ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、または自己免疫性ブドウ膜炎、ネフローゼ症候群を有するまたは有さない糸球体腎炎(GN)、例えば、慢性または急性糸球体腎炎、例えば、原発性GN、免疫媒介性GN、膜性GN(膜性腎症)、特発性膜性GNまたは特発性膜性腎症、I型およびII型を含む膜または膜性増殖性GN(MPGN)、ならびに急速進行性GN、増殖性腎炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、亀頭炎、例えば、形質細胞限局性亀頭炎、亀頭包皮炎、遠心性環状紅斑、色素異常性固定性紅斑、多形性紅斑、環状肉芽腫、光沢苔癬、硬化性萎縮性苔癬、慢性単純性苔癬、棘状苔癬、扁平苔癬、葉状魚鱗癬、表皮剥離性角質増殖症、前悪性角化症、壊疽性膿皮症、アレルギー状態および応答、アレルギー反応、湿疹、例えば、アレルギー性またはアトピー性湿疹、皮脂欠乏性湿疹、汗疱状湿疹、および水疱性掌蹠湿疹(vesicular palmoplantar eczema)、喘息、例えば、気管支喘息(asthma bronchiale)、気管支喘息(bronchial asthma)、および自己免疫性喘息、T細胞の浸潤を伴う状態および慢性炎症反応、妊娠中の胎児A-B-O血液型などの外来抗原に対する免疫反応、慢性肺炎症性疾患、自己免疫性心筋炎、白血球接着不全症、ループス、例えば、ループス腎炎、ループス脳炎、小児ループス、非腎性ループス、腎外ループス、円板状ループスおよび円板状エリテマトーデス、脱毛症ループス、全身性エリテマトーデス(SLE)、例えば、皮膚SLEまたは亜急性皮膚SLE、新生児ループス症候群(NLE)、ならびに播種性紅斑性狼瘡、若年発症(I型)糖尿病、例えば、小児インスリン依存性糖尿病(IDDM)、成人発症型糖尿病(II型糖尿病)、自己免疫性糖尿病、特発性尿崩症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性大動脈障害、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅延型過敏症と関連する免疫応答、結核、サルコイドーシス、肉芽腫症、例えば、リンパ腫様肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫症、無顆粒球症、脈管炎、例えば、血管炎、大血管血管炎(リウマチ性多発性筋痛および巨細胞性(高安)動脈炎を含む)、中型血管血管炎(川崎病および結節性多発動脈炎/結節性動脈周囲炎を含む)、顕微鏡的多発動脈炎、免疫血管炎、CNS血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、壊死性血管炎、例えば、全身性壊死性血管炎、ならびにANCA関連血管炎、例えば、チャーグ・ストラウス血管炎または症候群(CSS)およびANCA関連小血管血管炎、側頭動脈炎、再生不良性貧血、自己免疫性再生不良性貧血、クームス陽性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、溶血性貧血または免疫性溶血性貧血、例えば、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、悪性貧血(pernicious anemia)(悪性貧血(anemia perniciosa))、アジソン病、真正赤血球性貧血または形成不全(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫性好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出を伴う疾患、CNS炎症性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、多臓器損傷症候群、例えば、敗血症、外傷、または出血に続発するもの、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、抗リン脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病/症候群、キャッスルマン症候群、グッドパスチャー症候群、レイノー症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、類天疱瘡、例えば、水疱性類天疱瘡および皮膚類天疱瘡、天疱瘡(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、天疱瘡粘膜類天疱瘡(pemphigus mucus-membrane pemphigoid)、および紅斑性天疱瘡を含む)、自己免疫性多発性内分泌障害、ライター病または症候群、熱傷、子癇前症、免疫複合体障害、例えば、免疫複合体腎炎、抗体媒介性腎炎、多発ニューロパチー、慢性神経障害、例えば、IgM多発ニューロパチーまたはIgM媒介性神経障害、血小板減少症(例えば、心筋梗塞患者が発症する場合の)、例えば、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、輸血後紫斑病(PTP)、ヘパリン起因性血小板減少症、および自己免疫性または免疫媒介性血小板減少症、例えば、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、例えば、慢性または急性ITP、強膜炎、例えば、特発性角強膜炎、上強膜炎、精巣および卵巣の自己免疫疾患、例えば、自己免疫性精巣炎および卵巣炎、原発性甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症、自己免疫性内分泌疾患、例えば、甲状腺炎、例えば、自己免疫性甲状腺炎、橋本病、慢性甲状腺炎(橋本甲状腺炎)、または亜急性甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、特発性甲状腺機能低下症、グレーブス病、多腺性症候群、例えば、自己免疫性多腺性症候群(または多腺性内分泌障害症候群)、腫瘍随伴症候群、例えば、神経性腫瘍随伴症候群、例えば、ランバート・イートン筋無力症症候群またはイートン・ランバート症候群、スティッフマンまたはスティッフパーソン症候群、脳脊髄炎、例えば、アレルギー性脳脊髄炎(allergic encephalomyelitis)またはアレルギー性脳脊髄炎(encephalomyelitis allergica)および実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)、重症筋無力症、例えば、胸腺腫関連重症筋無力症、小脳変性症、神経性筋強直症、眼球クローヌスまたは眼球クローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、および感覚性ニューロパチー、多巣性運動ニューロパチー、シーハン症候群、自己免疫性肝炎、慢性肝炎、ルポイド肝炎、巨細胞性肝炎、慢性活動性肝炎または自己免疫性慢性活動性肝炎、リンパ球性間質性肺炎(LIP)、閉塞性細気管支炎(非移植)対NSIP、ギランバレー症候群、ベルガー病(IgA腎症)、特発性IgA腎症、線状IgA皮膚症、急性熱性好中球性皮膚症、角層下膿疱性皮膚症、一過性棘融解性皮膚症、肝硬変、例えば、原発性胆汁性肝硬変および肺硬変、自己免疫性腸疾患症候群、セリアック(Celiac)またはセリアック(Coeliac)病、セリアックスプルー(グルテン性腸症)、難治性スプルー、特発性スプルー、クリオグロブリン血症、筋萎縮性側索硬化症(ALS;ルー・ゲーリック病)、冠動脈疾患、自己免疫性耳疾患、例えば、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性難聴、多発性軟骨炎、例えば、難治性または再発または再発性多発性軟骨炎、肺胞タンパク症、コーガン症候群/非梅毒性角膜実質炎、ベル麻痺、スウィート病/症候群、酒さ性自己免疫、帯状疱疹関連疼痛、アミロイドーシス、非癌性リンパ球増加症、原発性リンパ球増加症、例えば、単クローン性B細胞リンパ球増加症(例えば、良性単クローン性γグロブリン血症および意義不明の単クローン性γグロブリン血症、MGUS)、末梢神経障害、腫瘍随伴症候群、チャネル病、例えば、てんかん、片頭痛、不整脈、筋障害、聴覚消失、視覚消失、周期性四肢麻痺、およびCNSのチャネル病、自閉症、炎症性ミオパチー、巣状もしくは分節状または巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)、内分泌性眼障害、ブドウ膜網膜炎、脈絡網膜炎、自己免疫性肝臓病学的障害、線維筋痛症、多発性内分泌不全、シュミット症候群、副腎炎、胃萎縮症、初老期認認知症、脱髄疾患、例えば、自己免疫性脱髄疾患および慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、ドレスラー症候群、円形脱毛症、全脱毛症、CREST症候群(石灰沈着症、レイノー現象、食道運動障害、強指症、および毛細血管拡張症)、例えば抗精子抗体に起因する男性および女性の自己免疫性不妊症、混合性結合組織病、シャーガス病、リウマチ熱、反復流産、農夫肺、多形性紅斑、開心術後症候群、クッシング症候群、鳥愛好者肺、アレルギー性肉芽腫性血管炎、良性リンパ球性血管炎、アルポート症候群、肺胞炎、例えば、アレルギー性肺胞炎および線維化性肺胞炎、間質性肺疾患、輸血反応、ハンセン病、マラリア、寄生虫病、例えば、リーシュマニア症、トリパノソーマ症、住血吸虫症、回虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、カプラン症候群、デング熱、心内膜炎、心内膜心筋線維症、びまん性間質性肺線維症、間質性肺線維症、肺線維症、特発性肺線維症、嚢胞性線維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、例えば、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、虹彩毛様体炎(急性または慢性)、またはフックス毛様体炎、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、SCID、後天性免疫不全症候群(エイズ)、エコーウイルス感染症、セプシス、内毒素血症、膵炎、甲状腺中毒症、パルボウイルス感染症、風疹ウイルス感染症、予防接種後症候群、先天性風疹感染症、エプスタイン・バーウイルス感染症、流行性耳下腺炎、エヴァンス症候群、自己免疫性性腺機能不全、シデナム舞踏病、連鎖球菌感染後腎炎、閉塞性血栓性血管炎、甲状腺中毒症、脊髄癆、脈絡膜炎、巨細胞性多発筋痛、慢性過敏性肺炎、乾性角結膜炎、流行性角結膜炎、特発性腎炎症候群、微小変化型ネフローゼ、良性家族性および虚血再灌流障害、移植臓器再灌流、網膜自己免疫、関節炎症、気管支炎、慢性閉塞性気道/肺疾患、珪肺症、アフタ、アフタ性口内炎、動脈硬化性障害、精子形成欠如(asperniogenese)、自己免疫性溶血、ベック病、クリオグロブリン血症、デュプュイトラン拘縮、水晶体過敏性眼内炎、アレルギー性腸炎、癩性結節性紅斑、特発性顔面神経麻痺、慢性疲症候群、リウマチ性熱、ハンマン・リッチ病、感音難聴、
発作性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、限局性回腸炎、白血球減少症、伝染性単核球症、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感性眼炎、肉芽腫性精巣炎、膵炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ケルバン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮、非悪性胸腺腫、白斑症、毒素性ショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う状態、白血球接着不全症、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅発型過敏症と関連する免疫応答、白血球漏出を伴う疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多内分泌不全、多腺性自己免疫症候群I型、成人発症型特発性副甲状腺機能低下症 (AOIH)、心筋症、例えば、拡張型心筋症、後天性表皮水疱症 (EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、または蝶形骨洞炎、好酸球関連障害、例えば、好酸球増加症、肺浸潤好酸球増加症、好酸球増多筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増多症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、または好酸球を含む肉芽腫、アナフィラキシー、血清陰性脊椎関節炎、多内分泌性自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルートン症候群、乳児一過性低γグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病と関連する自己免疫障害、リウマチ、神経系疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織損傷、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、および血管新生を伴う疾患、アレルギー性過敏性障害、糸球体腎炎、再灌流障害、虚血性再灌流障害、心筋または他の組織の再灌流障害、リンパ腫性気管気管支炎、炎症性皮膚病、急性炎症性成分を有する皮膚病、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎またはその他の中枢神経系炎症性障害、眼球および眼窩の炎症性障害、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘発毒性、ナルコレプシー、急性の重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、ならびに子宮内膜症。
発作性ヘモグロビン尿症、性腺機能低下症、限局性回腸炎、白血球減少症、伝染性単核球症、横断性脊髄炎、原発性特発性粘液水腫、ネフローゼ、交感性眼炎、肉芽腫性精巣炎、膵炎、急性多発性神経根炎、壊疽性膿皮症、ケルバン甲状腺炎、後天性脾臓萎縮、非悪性胸腺腫、白斑症、毒素性ショック症候群、食中毒、T細胞の浸潤を伴う状態、白血球接着不全症、サイトカインおよびTリンパ球によって媒介される急性および遅発型過敏症と関連する免疫応答、白血球漏出を伴う疾患、多臓器損傷症候群、抗原抗体複合体媒介性疾患、抗糸球体基底膜疾患、アレルギー性神経炎、自己免疫性多腺性内分泌障害、卵巣炎、原発性粘液水腫、自己免疫性萎縮性胃炎、交感性眼炎(sympathetic ophthalmia)、リウマチ性疾患、混合性結合組織病、ネフローゼ症候群、膵島炎、多内分泌不全、多腺性自己免疫症候群I型、成人発症型特発性副甲状腺機能低下症 (AOIH)、心筋症、例えば、拡張型心筋症、後天性表皮水疱症 (EBA)、ヘモクロマトーシス、心筋炎、ネフローゼ症候群、原発性硬化性胆管炎、化膿性または非化膿性副鼻腔炎、急性または慢性副鼻腔炎、篩骨洞炎、前頭洞炎、上顎洞炎、または蝶形骨洞炎、好酸球関連障害、例えば、好酸球増加症、肺浸潤好酸球増加症、好酸球増多筋痛症候群、レフラー症候群、慢性好酸球性肺炎、熱帯性肺好酸球増多症、気管支肺炎アスペルギルス症、アスペルギルス腫、または好酸球を含む肉芽腫、アナフィラキシー、血清陰性脊椎関節炎、多内分泌性自己免疫疾患、硬化性胆管炎、強膜、上強膜、慢性粘膜皮膚カンジダ症、ブルートン症候群、乳児一過性低γグロブリン血症、ウィスコット・アルドリッチ症候群、毛細血管拡張性運動失調症候群、血管拡張症、膠原病と関連する自己免疫障害、リウマチ、神経系疾患、リンパ節炎、血圧反応の低下、血管機能不全、組織損傷、心血管虚血、痛覚過敏、腎虚血、脳虚血、および血管新生を伴う疾患、アレルギー性過敏性障害、糸球体腎炎、再灌流障害、虚血性再灌流障害、心筋または他の組織の再灌流障害、リンパ腫性気管気管支炎、炎症性皮膚病、急性炎症性成分を有する皮膚病、多臓器不全、水疱性疾患、腎皮質壊死、急性化膿性髄膜炎またはその他の中枢神経系炎症性障害、眼球および眼窩の炎症性障害、顆粒球輸血関連症候群、サイトカイン誘発毒性、ナルコレプシー、急性の重篤な炎症、慢性難治性炎症、腎盂炎、動脈内過形成、消化性潰瘍、弁膜炎、ならびに子宮内膜症。
本明細書に記載される抗体は、様々な学術的、医学的、および商業的用途を有し得る。本抗体は、例えば、多種多様な疾患、または薬物(薬剤)、毒素、もしくはホルモンを含むその他のタンパク質の存在をインビトロまたはインビボのいずれかで検出するための、異なる種類の診断試験に使用することができる。本明細書に記載される抗体は、例えば患者の血清または血液において疾患を試験するのに有用であり得る。疾患には、様々な癌、炎症性疾患、または自己免疫疾患を含む、ヒトsema4A関連疾患またはヒトsema4Aと関連のない疾患もしくは徴候が含まれ得る。抗体はまた、癌の放射免疫検出および放射免疫治療に使用することもでき、いくつかの新たな試験法は、特定の細胞型、すなわち癌の細胞膜のみを標的化するために、記載されるこれらの抗体を用い得る。
本明細書に記載される抗体は、キットまたはその他の診断パッケージの一部となり得る。したがって、本明細書における前処理法と共に使用するための診断キットまたは製造品を本明細書に提供する。診断キットは、以下のうちのいずれか1つまたは複数を含み得る:アンタゴニスト/抗体/薬物参照物質;陽性対照中和抗体(好ましくはヤギまたはカニクイザル);プロテインA+Gカラム(例えば、プロテインA/Gカラム);脱脂試薬;免疫グロブリンアフィニティー精製緩衝液(例えば、結合、溶出、および中和緩衝液);補体血清;細胞用のアッセイ希釈液;取扱説明書または文献;凍結細胞(例えば、WIL2細胞)のバイアル;細胞標識試薬(CELL TITER GLO(登録商標)など)等。例として、診断キットは、(a) 脱脂試薬;(b) 免疫グロブリンをアフィニティー精製するための緩衝液(例えば、結合および溶出緩衝液);および(c) 試料において細胞ベースのバイオアッセイ法(中和抗体アッセイ法など)を行う前に、自己免疫疾患または癌の対象からの生体試料を前処理するため(例えば、血清干渉の問題を回避するため)に診断キットを使用することを該キットの使用者に指示する取扱説明書を含み得るが、これらに限定されない。診断キットは任意に、以下のうちのいずれか1つまたは複数をさらに含む:薬物参照物質、陽性対照中和抗体、補体血清、細胞用のアッセイ希釈液、および細胞標識試薬等。
本明細書に記載される抗体およびその他の発見はまた、ハイスループットスクリーニング法を提供する。
実施例I
CD4+CD11c+ mDCはヒトPBMCにおいて他のサブセットよりもSema4Aを高発現する
マイクロアレイ遺伝子発現解析から、ヒトPBMCの中で、B細胞、単球、NK細胞、T細胞、およびpDCを含む他のサブセットと比較して、CD4+CD11c+ mDCが高レベルのSema4Aを発現することが示される(図1A)。図1Bに示される通り、これはQ-PCR解析によって確認された。本発明者らの研究室で作製されたマウス抗ヒトSema4A mAbおよびフローサイトメトリーを用いて、本発明者らは、静止CD4+CD11c+ mDCが表面Sema4Aを発現し、培地で培養されたmDCが高レベルの表面Sema4Aを発現することを見出した(図1C)。
CD4+CD11c+ mDCはヒトPBMCにおいて他のサブセットよりもSema4Aを高発現する
マイクロアレイ遺伝子発現解析から、ヒトPBMCの中で、B細胞、単球、NK細胞、T細胞、およびpDCを含む他のサブセットと比較して、CD4+CD11c+ mDCが高レベルのSema4Aを発現することが示される(図1A)。図1Bに示される通り、これはQ-PCR解析によって確認された。本発明者らの研究室で作製されたマウス抗ヒトSema4A mAbおよびフローサイトメトリーを用いて、本発明者らは、静止CD4+CD11c+ mDCが表面Sema4Aを発現し、培地で培養されたmDCが高レベルの表面Sema4Aを発現することを見出した(図1C)。
実施例II
ヒト扁桃腺におけるヒト骨髄DCおよび胚中心B細胞はsema4Aを高発現する
図2Aに示される通り、ヒトSema4Aに対するマウスモノクローナル抗体を用いて、本発明者らはヒト扁桃腺の凍結切片において免疫組織学的染色を行ったが、これによりSema4Aが濾胞間領域における胚中心B細胞およびDCによって発現されることが示される。図2Bに示される通り、抗CD11c(赤色)および抗Sema4A(緑色)による二重免疫蛍光染色から、濾胞間領域における胚中心B細胞およびCD11c+ DCのサブセットがSema4Aを発現することがさらに示される。
ヒト扁桃腺におけるヒト骨髄DCおよび胚中心B細胞はsema4Aを高発現する
図2Aに示される通り、ヒトSema4Aに対するマウスモノクローナル抗体を用いて、本発明者らはヒト扁桃腺の凍結切片において免疫組織学的染色を行ったが、これによりSema4Aが濾胞間領域における胚中心B細胞およびDCによって発現されることが示される。図2Bに示される通り、抗CD11c(赤色)および抗Sema4A(緑色)による二重免疫蛍光染色から、濾胞間領域における胚中心B細胞およびCD11c+ DCのサブセットがSema4Aを発現することがさらに示される。
実施例III
Sema4AはmDCとT細胞の相互作用に関与する
CD4+CD11c+ mDCを細胞選別によりヒトPBMCから単離し、培地で19時間培養した後、抗Sema4A阻止mAbまたはmIgGの存在下で、CFSE標識された同種ナイーブCD4+ T細胞と5:1のT:mDC比で7日間同時培養する。図3Bにおいて、CFSE希釈によると、培地で前処理した同種mDcによって誘導されるT細胞増殖は、抗sema4A中和mAbによって相乗的に抑制され得る。図3Aに示される通り、この現象はmIgG対照群では観察することができない。
Sema4AはmDCとT細胞の相互作用に関与する
CD4+CD11c+ mDCを細胞選別によりヒトPBMCから単離し、培地で19時間培養した後、抗Sema4A阻止mAbまたはmIgGの存在下で、CFSE標識された同種ナイーブCD4+ T細胞と5:1のT:mDC比で7日間同時培養する。図3Bにおいて、CFSE希釈によると、培地で前処理した同種mDcによって誘導されるT細胞増殖は、抗sema4A中和mAbによって相乗的に抑制され得る。図3Aに示される通り、この現象はmIgG対照群では観察することができない。
実施例IV
Sema4AはヒトCD4+ナイーブT細胞の増殖を同時刺激する
本発明者らは、APCとしてSema4Aトランスフェクト細胞株を樹立した。この細胞株と共に、本発明者らは、図4AのCFSE希釈、および図4Bにおいて示される通り、準最適用量のOKT3の存在下で精製CD4+ナイーブT細胞を7日間培養した。3名のドナーにおける全細胞数カウントによって、Sema4AトランスフェクトL細胞がCD4+ナイーブT細胞増殖を刺激し得ることが実証された。後に、本発明者らは、Sema4A-Ig融合タンパク質が、CD4+ナイーブT細胞増殖を刺激する同じ機能を有するかどうかを検出した。図4Cおよび4Dに示される通り、CFSE希釈によると、Sema4A-Ig融合タンパク質は、CD4+ナイーブT細胞増殖の調節に対して相乗的効果を及ぼす。
Sema4AはヒトCD4+ナイーブT細胞の増殖を同時刺激する
本発明者らは、APCとしてSema4Aトランスフェクト細胞株を樹立した。この細胞株と共に、本発明者らは、図4AのCFSE希釈、および図4Bにおいて示される通り、準最適用量のOKT3の存在下で精製CD4+ナイーブT細胞を7日間培養した。3名のドナーにおける全細胞数カウントによって、Sema4AトランスフェクトL細胞がCD4+ナイーブT細胞増殖を刺激し得ることが実証された。後に、本発明者らは、Sema4A-Ig融合タンパク質が、CD4+ナイーブT細胞増殖を刺激する同じ機能を有するかどうかを検出した。図4Cおよび4Dに示される通り、CFSE希釈によると、Sema4A-Ig融合タンパク質は、CD4+ナイーブT細胞増殖の調節に対して相乗的効果を及ぼす。
実施例V
ヒト抗Sema4Aモノクローナル抗体はOKT3および抗CD28の存在下におけるSema4A媒介性のT細胞増殖を阻止する
最初にCD4+ナイーブT細胞を細胞選別によって精製し、次にCSFEで標識した後、抗Sema4Aモノクローナル抗体またはmIgGの存在下で、天然条件(抗CD3および抗CD28)においてSema4AトランスフェクトL細胞または親L細胞と共に7日間培養した。図5Aおよび5Bに示される通り、CFSE希釈によると、T細胞増殖は、親L細胞培養群と比較してSema4A+ L細胞培養群において増強された。
ヒト抗Sema4Aモノクローナル抗体はOKT3および抗CD28の存在下におけるSema4A媒介性のT細胞増殖を阻止する
最初にCD4+ナイーブT細胞を細胞選別によって精製し、次にCSFEで標識した後、抗Sema4Aモノクローナル抗体またはmIgGの存在下で、天然条件(抗CD3および抗CD28)においてSema4AトランスフェクトL細胞または親L細胞と共に7日間培養した。図5Aおよび5Bに示される通り、CFSE希釈によると、T細胞増殖は、親L細胞培養群と比較してSema4A+ L細胞培養群において増強された。
図5Aおよび5Bに示される通り、mIgGは、Sema4Aによって刺激されるT細胞増殖を妨げることができなかった。一方、Sema4Aに対する3つのmAbは、Sema4A+ L細胞培養においてSema4A媒介性のT細胞増殖を抑制することができる(図5C、5D、および5E)。
実施例VI
Sema4AはTH2へのナイーブCD4+ T細胞の分化を促進する
細胞選別によってヒト末梢血から単離されたCD4+Tn細胞を、それぞれ天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、培養上清中に放出されたサイトカインをE1SA(R&D systems)によって測定した。図6A〜Dに示される通り、Th1条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞は高いIFN-gを産生し、Th2条件でプライミングされたナイーブCD4+ T細胞はIl-4、IL-5、およびIL-13を産生する。Sema4Aでプライミングされた抗CD3/抗CD28活性化CD4+ナイーブT細胞は、Th2サイトカインであるIL-13、IL-5、およびより少ない程度にIL-4を産生するが、それほど多くのIFN-gは産生しない。最も著しくは、Sema4A+Th2条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞は、膨大な量のIL-4、IL-5、およびIL-13を産生し、これは従来のTh2条件によって誘導されたTh2細胞によって産生される量よりも4〜5倍高かった。Sema4Aは、Th1条件によって誘導されるTh1細胞には有意な効果を及ぼさなかった。
Sema4AはTH2へのナイーブCD4+ T細胞の分化を促進する
細胞選別によってヒト末梢血から単離されたCD4+Tn細胞を、それぞれ天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、培養上清中に放出されたサイトカインをE1SA(R&D systems)によって測定した。図6A〜Dに示される通り、Th1条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞は高いIFN-gを産生し、Th2条件でプライミングされたナイーブCD4+ T細胞はIl-4、IL-5、およびIL-13を産生する。Sema4Aでプライミングされた抗CD3/抗CD28活性化CD4+ナイーブT細胞は、Th2サイトカインであるIL-13、IL-5、およびより少ない程度にIL-4を産生するが、それほど多くのIFN-gは産生しない。最も著しくは、Sema4A+Th2条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞は、膨大な量のIL-4、IL-5、およびIL-13を産生し、これは従来のTh2条件によって誘導されたTh2細胞によって産生される量よりも4〜5倍高かった。Sema4Aは、Th1条件によって誘導されるTh1細胞には有意な効果を及ぼさなかった。
実施例VII
Sema4AはIL-4によって誘導されたCRTH2+ TH2記憶T細胞によるTH2サイトカイン産生を促進する
最初にCRTH2+記憶T細胞をセルソーターにより精製し、次にそれぞれ天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、培養上清中に放出されたサイトカインをE1SA(R&D systems)によって測定した。単独のSema4Aは、CRTH2+ TH2記憶T細胞がTH2サイトカインを産生することを促進し、Sema4Aは、CRTH2+記憶細胞がTh2サイトカインを産生することを促進する上で、Th2条件との強い相乗効果を有した(図7A〜7D)。対照的に、Sema4Aは、TH1条件で培養されたCRTH2+ TH2記憶細胞には有意な効果を及ぼさなかった。
Sema4AはIL-4によって誘導されたCRTH2+ TH2記憶T細胞によるTH2サイトカイン産生を促進する
最初にCRTH2+記憶T細胞をセルソーターにより精製し、次にそれぞれ天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、培養上清中に放出されたサイトカインをE1SA(R&D systems)によって測定した。単独のSema4Aは、CRTH2+ TH2記憶T細胞がTH2サイトカインを産生することを促進し、Sema4Aは、CRTH2+記憶細胞がTh2サイトカインを産生することを促進する上で、Th2条件との強い相乗効果を有した(図7A〜7D)。対照的に、Sema4Aは、TH1条件で培養されたCRTH2+ TH2記憶細胞には有意な効果を及ぼさなかった。
実施例VIII
抗Sema4AモノクローナルAbはSema4A媒介性のTH2サイトカイン産生を阻止する
細胞選別によってヒト末梢血から単離されたCD4+ Tn細胞を、それぞれヒトSema4Aに対する中和mAbを含めて/含めずに、天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、サイトカイン産生をE1SA(R&D systems)によって測定した。図8A〜8Iから、Sema4Aに対する中和mAbが、3名のドナーにおいて、Th2条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞においてSema4Aにより上方制御されたTh2サイトカインIL-4(図8A〜C)、IL-5(図D〜F)、およびIL-13(図8G〜I)の産生を阻止し得ることが示される。
抗Sema4AモノクローナルAbはSema4A媒介性のTH2サイトカイン産生を阻止する
細胞選別によってヒト末梢血から単離されたCD4+ Tn細胞を、それぞれヒトSema4Aに対する中和mAbを含めて/含めずに、天然条件(抗CD3+抗CD28)またはTh1条件(抗CD3、抗CD28、抗IL-4、およびIL-12)またはTh2条件(抗CD3、抗CD28、抗IFNg、IL-4)においてヒトSema4A発現L細胞または親L細胞と共に7日間培養した。培養したT細胞を抗CD3+抗CD28によって24時間にわたり再刺激し、サイトカイン産生をE1SA(R&D systems)によって測定した。図8A〜8Iから、Sema4Aに対する中和mAbが、3名のドナーにおいて、Th2条件でプライミングされたCD4+ナイーブT細胞においてSema4Aにより上方制御されたTh2サイトカインIL-4(図8A〜C)、IL-5(図D〜F)、およびIL-13(図8G〜I)の産生を阻止し得ることが示される。
実施例IX
ヒト化mAbクローン161-51および161-70の機能アッセイ法
最初にCD4+ナイーブT細胞を細胞選別によって精製し、CSFEで標識した後、ヒト化抗hSema4Aモノクローナル抗体クローン161-51、161-70、またはマウス抗hSema4A mAbクローン161-51、161-70、またはmIgGの存在下で、天然条件(抗CD3および抗CD28)において親L細胞またはSema4AトランスフェクトL細胞と共に7日間培養した。図18A〜Dに示される通り、CFSE希釈によると、T細胞増殖は、親L細胞培養群と比較してSema4A+ L細胞培養群において増強された。マウスmAbと比較して、ヒト化mAbは、hSema4Aによって媒介されるT細胞増殖を抑制する上で非常に強力な阻止機能を有する。
ヒト化mAbクローン161-51および161-70の機能アッセイ法
最初にCD4+ナイーブT細胞を細胞選別によって精製し、CSFEで標識した後、ヒト化抗hSema4Aモノクローナル抗体クローン161-51、161-70、またはマウス抗hSema4A mAbクローン161-51、161-70、またはmIgGの存在下で、天然条件(抗CD3および抗CD28)において親L細胞またはSema4AトランスフェクトL細胞と共に7日間培養した。図18A〜Dに示される通り、CFSE希釈によると、T細胞増殖は、親L細胞培養群と比較してSema4A+ L細胞培養群において増強された。マウスmAbと比較して、ヒト化mAbは、hSema4Aによって媒介されるT細胞増殖を抑制する上で非常に強力な阻止機能を有する。
実施例X
発現cDNAライブラリースクリーニングを用いたSema4A受容体のクローニング
最初にCD4+ Tn細胞を細胞選別によって単離した後、Sema4A-Fc融合タンパク質染色を用いたFACSによってSema4Aの推定受容体が検出され得るまで、固定化OKT3+抗CD28で13時間刺激した。あらかじめ活性化したCD4+ T細胞から全cDNAを単離し、ATGC Companyによって発現cDNAライブラリーを構築した。レトロウイルスを用いてcDNAライブラリーを標的細胞にトランスフェクトすることにより、cDNAライブラリー発現細胞株を作製し、Sema4A-Fc染色および選別によって濃縮した(図19A)。濃縮された陽性細胞のゲノムを単離し、特異的プライマー設計を伴う鋳型として適用した。ゲノムPCRおよびクローニング技術を適用して、cDNAライブラリー由来の挿入cDNAを増幅した(図19B)。
発現cDNAライブラリースクリーニングを用いたSema4A受容体のクローニング
最初にCD4+ Tn細胞を細胞選別によって単離した後、Sema4A-Fc融合タンパク質染色を用いたFACSによってSema4Aの推定受容体が検出され得るまで、固定化OKT3+抗CD28で13時間刺激した。あらかじめ活性化したCD4+ T細胞から全cDNAを単離し、ATGC Companyによって発現cDNAライブラリーを構築した。レトロウイルスを用いてcDNAライブラリーを標的細胞にトランスフェクトすることにより、cDNAライブラリー発現細胞株を作製し、Sema4A-Fc染色および選別によって濃縮した(図19A)。濃縮された陽性細胞のゲノムを単離し、特異的プライマー設計を伴う鋳型として適用した。ゲノムPCRおよびクローニング技術を適用して、cDNAライブラリー由来の挿入cDNAを増幅した(図19B)。
実施例XI
組換えhILT4-Fc、hILT2-Fc、およびhTIM3-FCはSema4A媒介性のCD4+ T細胞増殖を阻止する
精製されたCD4+ナイーブT細胞をCFSEで標識した後、用量依存的様式の個々のまたは組み合わせの組換えhILT4-Fc、hILT2-Fc、およびhTIM3-FC融合タンパク質の存在下で、準最適用量のOKT3+hSema4A-Fcと共に7日間培養した(hIgG Fcを対照群とした)。T細胞増殖をCFSE希釈によって検出した。図21Aに示される通り、各四角の中の数字は、増殖したT細胞の割合を示す。図21Bから、CFSE希釈を通して、受容体-Fcが、hSema4Aによって媒介されるCD4+ T細胞増殖の抑制に対して相乗効果を及ぼすことが示される。
組換えhILT4-Fc、hILT2-Fc、およびhTIM3-FCはSema4A媒介性のCD4+ T細胞増殖を阻止する
精製されたCD4+ナイーブT細胞をCFSEで標識した後、用量依存的様式の個々のまたは組み合わせの組換えhILT4-Fc、hILT2-Fc、およびhTIM3-FC融合タンパク質の存在下で、準最適用量のOKT3+hSema4A-Fcと共に7日間培養した(hIgG Fcを対照群とした)。T細胞増殖をCFSE希釈によって検出した。図21Aに示される通り、各四角の中の数字は、増殖したT細胞の割合を示す。図21Bから、CFSE希釈を通して、受容体-Fcが、hSema4Aによって媒介されるCD4+ T細胞増殖の抑制に対して相乗効果を及ぼすことが示される。
実施例XII
Sema4Aは喘息肺組織において過剰発現される
RNAレベルでのヒト肺組織におけるhsema4Aの相対的発現を、Q-PCR解析によって試験した。喘息または健常ドナー組織からの肺組織の全RNAを単離し、特異的プライマーとしてのhsema4A(「ヒトsema4A」)と共に、RNAのcDNAへの逆転写物を鋳型として用いた。Q-PCR解析を適用した。図22Aに示される通り、hsema4Aの発現を評価した。各ドットは1名のドナーを表し、各群における短い線は平均発現を表す。
Sema4Aは喘息肺組織において過剰発現される
RNAレベルでのヒト肺組織におけるhsema4Aの相対的発現を、Q-PCR解析によって試験した。喘息または健常ドナー組織からの肺組織の全RNAを単離し、特異的プライマーとしてのhsema4A(「ヒトsema4A」)と共に、RNAのcDNAへの逆転写物を鋳型として用いた。Q-PCR解析を適用した。図22Aに示される通り、hsema4Aの発現を評価した。各ドットは1名のドナーを表し、各群における短い線は平均発現を表す。
ヒト凍結切片におけるhSema4A発現の免疫組織学的試験を調製した。図22Bに示される通り、Sema4Aはヒト正常肺組織では検出され得なかった。図22C中のデータによってさらに示される通り、Sema4Aは、ヒト喘息肺組織における浸潤細胞において高度にかつ特異的に発現される。
Claims (16)
- ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 36のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 38のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 49のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体。
- ヒトsema4Aに結合し、(a) SEQ ID NO: 54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1と;(b) SEQ ID NO: 55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2と;(c) SEQ ID NO: 56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3と;(d) SEQ ID NO: 66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1と;(e) SEQ ID NO: 67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2と;(f) SEQ ID NO: 68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3とを含む、単離された抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 36もしくは54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 36もしくは54のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 37もしくは55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 37もしくは55のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 38もしくは56のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 38もしくは56のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 48もしくは66のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 48もしくは66のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 49もしくは67のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 49もしくは67のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- ヒトsema4Aを結合させ、SEQ ID NO: 50もしくは68のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3を含む有してもよい、単離された抗体、または、SEQ ID NO: 50もしくは68のアミノ酸配列と90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を含む、抗体。
- SEQ ID NO: 39、45、57、もしくは63のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、SEQ ID NO: 51もしくは69のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを有する抗体によって、またはそれらと少なくとも90パーセントの相同性を有するアミノ酸配列を有する抗体によって認識されるヒトsema4A上のエピトープに結合する、単離された抗体。
- 医薬として使用するための、請求項1〜9のいずれか一項記載の抗体。
- 自己免疫疾患の治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項記載の抗体。
- 癌の治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項記載の抗体。
- 癌または自己免疫疾患を治療するためである医薬の製造における、請求項1〜9のいずれか一項記載の抗体の使用。
- 以下の段階を含む、それを必要とする患者において自己免疫疾患を治療する方法であって、T細胞増殖および/またはTh2分化が阻止される、方法: 該患者に抗ヒトsema4A抗体の治療的有効量を投与する段階。
- 以下の段階を含む、それを必要とする患者において癌を治療する方法であって、T細胞増殖および/またはTh2分化が阻止される、方法: 該患者に抗ヒトsema4A抗体の治療的有効量を投与する段階。
- 以下の段階を含む、それを必要とする患者においてアレルギー性疾患を治療する方法であって、T細胞増殖および/またはTh2分化が阻止される、方法: 該患者に抗ヒトsema4A抗体の治療的有効量を投与する段階。
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