JP2015500115A - 薬物送達システム用のリザーバまたは薬用モジュール、それを充填する方法、およびそれ用の組立体 - Google Patents

薬物送達システム用のリザーバまたは薬用モジュール、それを充填する方法、およびそれ用の組立体 Download PDF

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Abstract

薬物送達システム(1)用のリザーバ(7)が提供され、リザーバ(7)は、薬物の用量(8)が空洞(30)の95%またはそれ以上を占めるように流体薬物(8)の用量で充填される空洞(30)を備え、用量体積は5ml未満である。さらに、薬物送達システム(1)用のリザーバ(7)を充填する方法が提供される。

Description

本開示は、薬物送達システム用のリザーバを充填する方法、薬物送達システム用のリザーバを充填するための組立体、および薬物送達システム用のリザーバに関する。
薬物送達システムにおいては、しばしば、複数回の用量の薬物を収容するカートリッジ内の栓がピストン・ロッドによって変位される。それによって、ある用量の薬物が、カートリッジから吐出される。
薬物送達システムは、たとえば、特許文献1に説明されている。
WO2008/058666A1
本開示の目的は、改良型薬物送達システム、たとえば、使用者の安全性を高めた薬物送達システム用のリザーバを充填する方法、およびこの方法を実行するための関連した組立体を提供することである。さらに、本開示の目的は、改良型薬物送達システム用のリザーバを提供することである。
この目的は、とりわけ、独立請求項の主題によって実現することができる。有利な実施形態および改良は、従属請求項の主題である。しかしながら、さらに有利な概念は、請求項に記載されているものの他にも本明細書に開示され得る。
一態様は、薬物送達システム用のリザーバを充填する方法に関する。薬物送達システムは、ペン型の薬物送達システムを備えることができる。代替として、薬物送達システムは、注入ポンプを備えてもよい。リザーバは、ある用量の流体薬物、特に、1回の用量の流体薬物を保持するように構成することができる。用量は、所定の体積を含み得る。特に、用量は、5ml未満、好ましくは1ml未満の体積を含み得る。用量は、微少用量とすることもできる。用量は、30μl以下などの50μl未満の体積を含み得る。この方法は、以下の工程の1つまたはそれ以上を含み得る:
A)リザーバを用意する工程。このリザーバは、空とすることができ、すなわち流体薬物の体積は、リザーバ内でまだ保持されなくてもよい。リザーバは、空洞を画成することができる。空洞は、不規則、たとえば、非円筒形形状を備えることができる。空洞は、たとえば、漏斗形状を備えることができる。空洞は、この空洞がリザーバ内の薬物の流れを分配するように成形することができる。空洞は、1つまたはそれ以上のチャネルを備えることができる。薬物の用量全体は、リザーバに充填された後で、空洞内に保持することができる。
B)圧力、特にリザーバ内に画成された空洞内の気体圧力を減少させる工程。この圧力は、空洞内の圧力が、たとえば200ミリバール以下であるように減少させることができる。圧力の減少は、真空を作り出すことを意味し得る。
C)ある体積の流体薬物、たとえば、薬物の用量の10%、薬物の用量の30%、薬物の用量の半分、薬物の用量のほとんどすべて、または薬物の完全な用量を、減圧されている間、空洞に充填する工程。この充填工程中、減圧は、所与の一定値で維持することができる。
D)充填が完了した後に、薬物の用量が保持されるように、リザーバの空洞への流体薬物の充填を終了する工程。この最終充填工程中、減圧は、所与の一定値でさらに維持することができる。代替として、工程C)で説明したように、ある用量の薬物を空洞に充填した後、かつ流体薬物の充填を終了する前、たとえば、残りの体積の薬物を空洞に充填する前、圧力は、たとえば、常圧まで増大させることができる。前記増大した圧力は、残りの体積の薬物を空洞に充填する間に、所与の一定値で維持することができる。
リザーバは、標準的な充填動作を行うのが複雑であることを特徴とする。標準的な充填動作は、ガラス瓶、ボトル、カートリッジ、シリンジなどのような円筒状容器の充填に関連している。さらに、滅菌医薬品のための標準的な充填動作は、輸液または灌注液について約1000mlの体積またはそれ以上までの注射のための0.5mlの体積を超える体積の充填に関連している。場合によっては、充填体積は、0.2mlから0.5mlの範囲内であり、この範囲は、たとえば、プレフィルド・シリンジを生産するための特殊な投与装置を用いて実現可能である。
リザーバの内部容積、特に、リザーバによって画成された空洞の容積は、非常に小さい可能性がある。たとえば、空洞の容積は、0.2ml未満、好ましくは0.1ml未満、またはさらに少ない、たとえば、20〜50μlなどを含み得る。しかしながら、代替として、リザーバ空洞の容積は、2mlから5mlの間であってもよい。この容積は、たとえば、1ml、1.5ml、2ml、2.5ml、3ml、3.5ml、4ml、またはさらに4.5mlになり得る。1ml未満の小容積に比べてそのようなより大きい容積については、リザーバは、たとえば、皮膚に取り付けられる、またはベルトに装着され、カテーテルは皮膚を穿孔する針に連結している注入ポンプ(たとえば、携帯用インスリン・ポンプ)に用いるのに適したものとすることができる。
上記のリザーバに関する複雑さは、リザーバが複雑な内部構造を備えることを意味し得る。たとえば、リザーバは、流れ分配または流れ方向システム(flow distribution or flow−direction system)を備えることができる。この流れ分配または流れ方向システムは、リザーバの内部に配置することができる。空洞は、リザーバの複雑な内部構造、たとえば、流れ分配システムによって、およびリザーバの内壁によって画成することができる。流れ分配または流れ方向システムは、1つ、2つまたはそれ以上のチャネルを備えることができる。チャネルおよびリザーバの内壁は、前述の空洞を画成する。チャネルは、小さい寸法または幅を備えることができる。チャネルは、湾曲してもよい。したがって、毛細管力、行き止まりもしくは狭い端部、またはチャネルの凹形状は、空洞内の流体の急速な進入および分配を妨げるので、空洞は、充填するのが難しい可能性がある。さらに、一部のプラスチック材料の疎水性のような表面特性は、完全な充填のために取り除くのが困難である空洞の各隅の気泡を保持することができる。
減圧下でのリザーバの充填により、空洞内の気体、たとえば空気の混入は、最小にすることができ、または防止することもできる。したがって、充填過程中の空洞内の減圧により、リザーバは、充填動作が完了した後に、流体が空洞の95%またはそれ以上、たとえば、96%、97%、98%、99%、または100%をも占め得るように薬物溶液で充填することができる。好ましくは、空の空洞の容積によって画成できるリザーバの自由容積(free volume)は、充填動作が完了した後で、流体薬物で完全に充填される。したがって、用量精度が向上し得る。特に、使用者にとって致命的結果となり得るリザーバから過少用量を送達する危険は、最小にされ、またはさらに防止することができる。このようにして使用者の安全性を高めた薬物送達システムの提供を促進することができる。
さらなる態様は、薬物送達システム用のリザーバを充填するための組立体に関する。この組立体は、リザーバを充填するように適合および配置された装置を含むことができる。この組立体は、上記のような薬物送達システム用のリザーバを充填する方法を実行するために動作可能であり得る。この組立体は、リザーバを備えることができる。リザーバは、前述の複雑な内部構造を備えることができる。リザーバは、空洞を有することができる。この空洞は、流体薬物の用量、好ましくは1回の用量を保持するように構成することができる。組立体は、圧力部材をさらに備えることができる。圧力部材は、リザーバを液体薬物で充填するためにリザーバの空洞内に減圧を作り出すように適合および配置することができる。組立体は、投与弁(dosing valve)をさらに備えてもよい。投与弁は、好ましくは自動で、液体薬物を空洞に充填するように配置され構成することができる。組立体は、空洞内の減圧下でリザーバの空洞をある体積の液体薬物で充填する動作を行うように構成することができる。
空洞は、小さい幅または寸法を備えることができる。この空洞は、複雑な形状、たとえば、非円筒形形状を備えることができる。空洞は、リザーバ内の薬物の流れを分配するように構成することができる。上記のように、空洞は、チャネルを備えることができ、好ましくは2つ、3つまたはそれ以上のチャネルを備えることができる。これらのチャネルまたはチャネルの部材は、湾曲していてもよい。チャネルは、リザーバの近位端と遠位端の間の流体連通を確立するように構成することができる。それぞれのチャネルは、最大幅および最小幅を備えることができる。チャネルの最大幅は、たとえば、8mmから15mmの間とすることができる。最大幅は、たとえば、10mmになり得る。チャネルの最小幅は、たとえば、0.5mmから2mmの間とすることができる。最小幅は、たとえば、1mmになり得る。たとえば、流体チャネルは、上流での約10mmから下流での1mmへ狭くなって漏斗形状を形成することができる。チャネルは、毛細管チャネル、好ましくは湾曲した毛細管チャネルで終わることができる。毛細管チャネルは、チャネルの行き止まりを形成することができる。特に、毛細管チャネルは、通常の環境条件下で通常の充填法によって液体が毛細管チャネルに直接充填されるには小さすぎる幅を備えることができる。毛細管チャネルは、0.5mmから1.5mmの間の幅を備えることができる。毛細管チャネルの幅は、たとえば、1mmとすることができる。毛細管チャネルは、4mmから6mmの間の長さを備えることができる。好ましくは、この長さは、5mmになり得る。たとえば、空洞の全容積は、45μlから55μlの間、好ましくは50μlであり得る。
前述の充填動作により、特に、充填動作中の空洞内の減圧により、流体薬物による気体混入の形成を減少させることができる。さらに、充填動作中の空洞内の減圧により、流体薬物は、空洞内の流体薬物の粘性および/または流体薬物の表面張力ために、気体混入を限定するように妨げられ得る。したがって、空洞、および特にその前述の行き止まりは、気体または空気が空洞内に含まれることなく、液体薬物で完全に充填可能とすることができる。
気体混入は液体の流れパターンの乱れをもたらすので、そのようなリザーバを含む薬物送達システムの用量精度は、気泡がなければ高めることができる。閉じ込められた気体は圧縮できるので、これも、用量精度を損なう(miss)原因であり得る。さらに、薬物溶液の代わりに気泡の用量が、用量精度を低下させる。空洞内の気泡を避けることは、使用者の安全性を高めた薬物送達システムの提供を促進する助けとなることができる。
さらなる態様は、薬物送達システム用のリザーバに関する。このリザーバは、上記のように、複雑な内部構造を備えることができる。リザーバは、空洞を備えることができる。リザーバの空の空洞は、リザーバの自由容積を形成することができる。空洞は、複雑な形状を有することができる。空洞は、不規則な形状、たとえば、非円筒形形状または漏斗形状を有することができる。空洞は、空洞がリザーバ内の薬物の流れを分配するように成形することができる。上記のように、空洞は、チャネルを備えることができる。空洞は、流体薬物の用量、好ましくは1回の用量を保持することができる。用量体積(dose volume)は、5ml未満、好ましくは1ml未満とすることができる。好ましくは、流体薬物の用量の体積は、50μl未満、または30μl未満である。リザーバは、薬物の用量がリザーバの自由容積の95%またはそれ以上、たとえば、96%、97%、98%、99%、または100%を占めるように薬物で充填することができる。リザーバは、上記の方法に従って充填され得る。リザーバは、上記の組立体によって充填することができる。少なくとも1つのセプタム、好ましくは2つのセプタムを、空洞、特に、充填された空洞を閉じるために設けることができる。
好ましくは、気体または空気は、リザーバ内、特に、薬物が空洞に充填される前にリザーバの自由容積を定める空洞内に含まれない。言い換えると、自由容積は、液体薬物で完全に充填することができる。このようにして、用量精度を高めることができる。使用者にとって致命的結果またはさらに命取りの結果となり得るリザーバからの過少用量の投薬を、防止することができる。これは、改良型薬物送達システムの提供を促進する。
好ましい実施形態によれば、薬物送達システム用のリザーバを充填する方法が提供され、リザーバは、流体薬物の用量を保持するように構成される。この方法は、以下の工程を含む。
A)リザーバを用意する工程、
B)リザーバに画成された空洞内を減圧する工程、
C)減圧されている間、ある体積の流体薬物を空洞に充填する工程、
D)充填が完了した後に、薬物の用量がリザーバの空洞に保持されるようにリザーバの空洞への流体薬物の充填を終了する工程。
好ましい実施形態によれば、薬物送達システム用のリザーバを充填するための組立体が提供され、この組立体は、上記のような方法を実行するように動作可能であり、この組立体は、流体薬物の用量を保持するように構成されている空洞を有するリザーバと、該リザーバを液体薬物で充填するためにリザーバの空洞内に減圧を作り出すように適合および配置されている圧力部材と、液体薬物を空洞に充填するように構成されている投与弁とを備える。この組立体は、空洞内の減圧下で液体薬物の体積でリザーバの空洞を充填する動作を行うように構成される。
好ましい実施形態によれば、薬物送達システム用のリザーバが提供され、
リザーバは、薬物の用量が空洞の95%またはそれ以上を占めるように流体薬物の用量で充填される空洞を備え、用量体積は5ml未満である。
当然ながら、種々の態様および実施形態に関連して上述した特徴は、互いに組み合わせることも、後述の特徴と組み合わせることもできる。
さらなる特徴および改良点は、添付図面に関連して以下の例示的な実施形態の説明から明らかになる。
薬物送達システムの概略斜視図である。 図1の薬物送達システムの一部の概略斜視図である。 図1の薬物送達システムの一部の概略断面図である。 薬物送達システム用のリザーバの一実施形態の概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの一実施形態の概略断面図である。 薬物送達システム用のリザーバの内部構造の概略斜視図である。 図6Aの内部構造を備える薬物送達システム用のリザーバの概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの内部構造の概略斜視図である。 図6Cの内部構造を備える薬物送達システム用のリザーバの概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの内部構造の実施形態の概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバの概略斜視図である。 薬物送達システム用のリザーバを充填するための組立体の概略図である。 図11の組立体の一部の概略図である。 図11の組立体の一部の概略図である。 図11の組立体の一部の概略図である。
同じ要素、同種の要素、および同一作用の要素は、各図において同じ参照符号で与えられ得る。
図1、図2、および図3には、薬物送達システム1、またはこの薬物送達システム1の部材が示されている。薬物送達システム1は、図1から図3に示されるとともに図1から図14に関連して説明されるペン型の注射システムを備えることができる。代替として(図には明示せず)、薬物送達システムは、たとえば、皮膚(パッチ・ポンプ)に取り付けられる、またはベルトに装着される注入ポンプを備えることができ、カテーテルは皮膚を穿孔する針に連結している(たとえば、携帯用インスリン・ポンプ)。
各図に示される実施形態では、薬物送達システム1は、薬物送達デバイス19を備える。薬物送達システム1は、投薬モジュール5(medicated module)を備える。この投薬モジュール5は、好ましくは解放可能に、たとえば、ねじ式連結によって薬物送達デバイス19に連結されて、薬物送達システム1を形成する。薬物送達デバイス19は、スタンド・アローン・デバイス、すなわち、投薬モジュール5がそこに連結されることなく用量設定および用量送達動作を行うように構成されているデバイスであり得る。薬物送達デバイス19は、複数回の用量設定および用量送達動作を行うために動作可能とすることができる。投薬モジュール5は、好ましくは唯一、薬物送達デバイス19と組み合わせて動作するように構成され得る。投薬モジュール5は、1回の用量送達動作を行うように動作可能とすることができる。
薬物送達デバイス19は、ハウジング20を備える。投薬モジュール5は、ハウジング6を備える。薬物送達システム1および/またはその構成要素は、遠位端および近位端を有する。遠位端は、矢印11によって示されている。近位端は、矢印12によって示されている。「遠位端」という用語は、薬物送達システム1の投薬端(dispensing end)に最も近接して配置される、または配置される予定である薬物送達システム1またはその構成要素の端を示す。「近位端」という用語は、システム1の投薬端から最も遠く離れて配置される、または配置される予定であるシステム1またはその構成要素の端を示す。遠位端および近位端は、軸の方向に互いに離間している。この軸は、薬物送達システム1または投薬モジュール5または薬物送達デバイス19などのその要素の長手方向軸であり得る。
以下には、薬物送達デバイス19および投薬モジュール5の構成要素が、詳細に説明される:
薬物送達デバイス19は、リザーバ、特に、一次リザーバ3を備える。一次リザーバ3は、リザーバ・ホルダ2内に保持することができる(たとえば、図2および図3参照)。リザーバ・ホルダ2は、一次リザーバ3の位置を機械的に安定させる。リザーバ・ホルダ2、特に、リザーバ・ホルダ2の近位端は、たとえば、ねじ式係合、溶接、またはスナップ嵌めによって薬物送達デバイス19のハウジング20に連結可能である。リザーバ・ホルダ2、特に、リザーバ・ホルダ2の遠位端は、たとえば、ねじ式係合、溶接、またはスナップ嵌めによって投薬モジュール5のハウジング6に連結可能である。代替実施形態(図1参照)では、一次リザーバ3は、投薬モジュール5のハウジング6および薬物送達デバイス19のハウジング20に直接連結することができる。この場合には、リザーバ・ホルダ2は、冗長なものとすることができる。
一次リザーバ3は、一次薬物4、好ましくは複数回の用量の一次薬物4を収容する。一次薬物4は、液体薬物とすることができる。本明細書で使用する用語「薬物」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を好ましくは意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体(antihousing)もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(CH)と可変領域(VH)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
栓(図には明示せず)が、一次リザーバ3内で可動保持される。この栓は、一次リザーバ3を近位で封止する。以下に詳細に述べるように一次リザーバ3の遠位端と環境の間の流体連通が、たとえば針を介して確立されていることを条件に、一次リザーバ3に対して遠位方向で栓が動くことによって、一次薬物4が一次リザーバ3から投薬される。
薬物送達デバイス19は、ペン型のデバイス、特に、ペン型の注射器であり得る。デバイス19は、一定の用量、すなわち使用者によって変更できない用量の一次薬物4、または変更可能な用量の一次薬物4を投薬するように構成することができる。デバイス19は、再利用可能なデバイスとすることができ、このことは、一次リザーバ3が、複数回の用量を交換リザーバから投薬するための交換リザーバによって、特にリセット動作中に交換できることを意味する。代替として、デバイス19は、使い捨てのデバイスであってもよい。この場合には、一次リザーバ3は、リザーバ・ホルダ2に解放不可能に連結される。薬物送達デバイス19は、マルチドーズ・デバイス(multidose device)、すなわち一次薬物4の複数回の用量を設定および投薬するように構成されたデバイスとすることができる。薬物送達デバイス19は、駆動機構21を備える。駆動機構21は、一次薬物4の用量を設定および投薬するために使用される。
投薬モジュール5は、二次リザーバ7を備える。リザーバ7は、いわゆる一次パッケージ(PP:primary package)である。二次リザーバ7は、たとえば、プラスチック製とすることができる。二次リザーバ7は、空洞30を備える(たとえば、図6A参照)。空洞30は、流体の二次薬物8、好ましくは1回の用量の流体の二次薬物8を保持する。流体の二次薬物8の用量は、一定の用量、すなわち使用者によって変更できない用量である。流体の二次薬物8の体積は、5ml未満、たとえば1mlである。この用量は、二次薬物8の微少用量、好ましくは1回の微少用量であり得る。好ましくは、流体の二次薬物8の体積は、100μl未満である。好ましくは、流体の二次薬物8の体積は、1μlより大きい。流体の二次薬物8の体積は、たとえば、25μlになる。代替として、二次リザーバ7が注入ポンプに設けられているとき、薬物8の体積は、1mlよりも大きい値、たとえば、4mlまたは4.5mlになり得る。リザーバ7が、注入ポンプとともに使用するために設けられるとき、投薬モジュールおよび一次リザーバは、冗長であり得、二次リザーバ7は、注入ポンプに単一のリザーバとして直接一体化することができる。
二次薬物8は、たとえば、GLP−1および/またはインスリンを含む。投薬モジュール5は、1回使用のデバイス、すなわち、特に一定の用量の二次薬物8を投薬するために、一度だけ使用されるデバイスであり得る。
投薬モジュール5は、第1のセプタム16を備える(図3参照)、第1のセプタム16は、二次リザーバ7の遠位端セクションに配置される。第1のセプタム16は、二次リザーバ7を遠位で封止する。投薬モジュール5は、第2のセプタム17を備える(図3参照)。第2のセプタム17は、リザーバ7の近位端セクションに配置される。第2のセプタム17は、二次リザーバ7を近位で封止する。一次リザーバ3は、セプタム18を備える(図3参照)。セプタム18は、一次リザーバ3の遠位端セクションに配置される。セプタム18は、遠位で一次リザーバ3を封止する。
投薬モジュール5は、第1の針14を備える。第1の針14は、投薬モジュール5の遠位端セクションに設けられる。投薬モジュール5は、第2の針13を備える。第2の針13は、投薬モジュール5の近位端セクションに設けられる。二次リザーバ7は、第1の針14および第2の針13と流体連通するように構成される。第1の針14、特に、第1の針14の近位端は、二次リザーバ7との流体連通を確立するために二次リザーバ7の第1のセプタム16を穿孔する。第1の針14、特に、第1の針14の遠位端は、使用者の皮膚を穿孔するように構成される。第2の針13、特に、第2の針13の遠位端は、二次リザーバ7との流体連通を確立するために二次リザーバ7の第2のセプタム16を穿孔する。第2の針13、特に、第2の針13の近位端は、一次リザーバ3との流体連通を確立するために一次リザーバ3のセプタム18を穿孔する。
投薬モジュール5は、針ガード9を備える(図2および図3参照)。針ガード9は、第1の針14を環境の影響から保護するために使用される。針ガード9は、ばね10によってハウジング6に対して遠位方向に自動的に押される(図2および図3参照)。
薬物送達システム1は、一次リザーバ3からある用量の一次薬物4、好ましくは変更可能な用量の一次薬物4を投薬するとともに、二次リザーバ7から一定の用量の流体の二次薬物8を投薬するように構成されている。特に、薬物送達システム1は、薬物4、8を前もって混合することなく、別個のリザーバ3、7から2つの別個の薬物4、8を投薬するように構成されている。それによって、まず、一次リザーバ3に収容された一次薬物4の用量が、駆動機構21を動作させることによって使用者によって設定される。次の工程において、使用者は、設定用量の一次薬物4がハウジング20に対して遠位方向に一次リザーバ3から動かされるように駆動機構21をさらに動作させる。設定用量の一次薬物4は、一次リザーバ3から第2の針13を介して二次リザーバ7の中に動かされる。それによって、設定用量の一次薬物4は、使用者によって設定可能でない用量(non−user settable dose)の二次薬物8を二次リザーバ7から、特に空洞30から押し出す。設定用量の一次薬物4と二次リザーバ7からの一定の用量の流体の二次薬物8との混合は、後に詳細に説明される二次リザーバ7の内部構造によって防止される。送達手順が完了すると、好ましくは、一次リザーバの設定用量の一次薬物4が第1の針14を通じて吐出されるのと同様に、二次リザーバ7の完全な用量の二次薬物8、すなわち1回の用量の二次薬物8が、吐出される。
二次リザーバ7は、内部構造、特に、複雑な内部構造を備える。図示した実施形態によれば、この内部構造は、流れ分配器32(たとえば、図5、図6Aから図6D、図7、図8、図9、および図10参照)を備える。流れ分配器32は、プラスチック製とすることができる。流れ分配器32は、二次リザーバ7の挿入物であり得る。代替として、流れ分配器32は、二次リザーバ7と一体に形成されてもよい。内部構造、すなわち流れ分配器32と、リザーバ7、特にリザーバ7の内壁との組合せが、二次リザーバ7の空洞30を画成する。流れ分配器32は、たとえば、再循環および/または停滞域によって引き起こされるとともに用量送達動作の終わりに二次リザーバ7に残っている可能性がある二次薬物8の残留量を最小にするために、図6Bに示されるように、二次リザーバ7の内部に位置する。
好ましくは、流れ分配器32は、二次薬物8の液量の少なくとも約80%が第1の針14を通じて二次リザーバ7から吐出されるように設計される。最も好ましくは、少なくとも約90%が、吐出されるべきである。理想的には、薬物送達デバイス19から第2の針13内への一次薬物4の変位は、2つの薬物4、8を実質的に混合することなく、完全な用量の二次薬物8を変位させる。特に、流れ分配器32は、投薬中に2つの薬物4、8の間に生じる混合の危険を最小にするために使用され、したがって栓流を促進する。
流れ分配器32は、少なくとも1つのチャネル22を備える(たとえば、図2および図3参照)。好ましくは、流れ分配器32は、2つ、3つまたはそれ以上のチャネル22を備える(たとえば、図6A参照)。それぞれのチャネル22は、リザーバ7の遠位端と近位端の間で延びる。それぞれのチャネル22は、遠位端と近位端との間の流体連通を確立している。それぞれのチャネルは、それがリザーバ7内またはリザーバ7を通じて薬物8の流れを分配するように成形される。チャネル22は、リザーバ7の内壁とともに、二次リザーバ7の空洞30を画成する。
それぞれのチャネル22は、最大の直径または幅、および最小の直径または幅を備え、これは、たとえば、図4および図5から知ることができる。最大の直径または幅は、たとえば、8mmから15mmの間である。最大の直径は、たとえば、10mmになる。最小の直径または幅は、たとえば、0.5mmから2mmの間である。最小の直径は、たとえば、1mmになる。たとえば、それぞれのチャネル22は、針14の方向に約10mmから約1mmまで狭くなって(図4参照)、漏斗形状を形成する(図14参照)。チャネル22は、たとえば、図4および図5に見られるように湾曲していてもよい。チャネル22は、毛細管チャネル48(図14参照)、好ましくは湾曲した毛細管チャネルで末端をなす。毛細管チャネル48は、小さい幅または直径を備える。言い換えれば、毛細管チャネル48は狭い。特に、毛細管チャネル48は、通常の環境条件下で通常の充填法によって薬物8が毛細管チャネル48に直接充填されるには小さすぎる寸法を備えることができる。毛細管チャネル48は、チャネル22のいわゆる行き止まりを形成する。毛細管チャネル48は、0.5mmから1.5mmの間の直径または幅を備える。毛細管チャネル48の直径または幅は、たとえば、1mmとすることができる。毛細管チャネル48は、4mmから6mmの間の長さを備える。好ましくは、この長さは、5mmになる。それぞれのチャネル22のこの複雑な構造により、チャネル22およびリザーバ7の内壁によって画成される空洞30は、複雑な形状を備える。特に、空洞30の形状は、不規則、たとえば、非円筒形である。空洞30は、漏斗形状であってもよい。
空の空洞30は、リザーバ7の自由容積を画成する。空洞30の容積は、5000ml未満、好ましくは1000mm未満である。最も好ましくは、空洞30の容積は、100mm未満である。空洞30の容積は、1mmより大きくすることができる。空洞30の容積は、たとえば、25mmになる。二次薬物8は、チャネル22によって画成された空洞30に保持される。
流れ分配器32の2つの可能な実施形態が、図6A、図6B、図6C、および図6Dに示されている。前記各図によれば、流れ分配器32は、円筒形のピンまたは挿入物を備える。図6Aおよび図6Bの実施形態によれば、流れ分配器32は、二次リザーバ7内に配置され、二次薬物8が2つまたはそれ以上の支持リブ33の形状および位置によって画成される4つのチャネル22を充填するように構成される。好ましい実施形態では、流れ分配器32は、それぞれの流れチャネル22の縁部が、リザーバ7の内壁に直接接触している(図6B)ように位置する。流れ分配器32は、一次薬物4および二次薬物8に適合している任意の材料で構成することができる。好ましい材料は、典型的にはマルチドーズ薬剤カートリッジに見られるセプタムまたはピストン(栓)を製造するために使用される材料であるが、薬物4、8に適合している任意の他の材料、たとえば、ガラス、プラスチック、または特定のポリマーが、使用されてもよい。流れチャネル22の形状は、支持リブ33の寸法、幾何形状、および個数を変更することにより図6B中の矢印34によって示された薬剤の栓流を促進するように最適化され得る。流れ分配器32とリザーバ7の壁との間に形成されたアニュラス(annulus)の断面積は、相対的に小さく維持されるべきである。二次薬物8を収納するのに利用できる自由容積は、二次リザーバ7の内部容積から流れ分配器32の容積を減じたものに等しい。したがって、流れ分配器32の容積がリザーバ7の内部容積よりわずかに小さい場合、二次薬物8が占める小容積が残される。したがって、小体積の薬剤を収納する一方、リザーバ7と流れ分配器32の両方のスケールは大きくなり得る。したがって、二次リザーバ7の外側の幾何形状は、二次薬物8の体積によって示されない。結果として、小体積の二次薬物8(たとえば、5から500μl)の場合、投薬モジュール5は、取扱い、輸送、製造、および組立てについて許容できるサイズとなり得る。
図6Cおよび図6Dは、1つまたはそれ以上の径方向ベーン35を含む流れ分配器32の別の実施形態を示す。加えて、径方向流れ部分に存在するチャネル22の幅は、狭くされて、ベースで流れを加速させ、それによって二次薬物8の吐出を助けるとともに、第1のセプタム16に存在する停滞容積を減少させる。加えて、これらのような径方向の特性は、流れ分配器32が挿入されるときにはねることによる充填過程中の薬物の喪失を減少させる/なくす助けとなることもできる。本質的に、それらは、生じる上向きのはねをそらす/収容するためのじゃま板のように働く助けとなる。図6Dは、コンピュータによる流体の動的モデリングから得られた二次リザーバ7を通じての薬物の流れ36を示す。図6Cおよび図6Dに示された流れ分配器32を用いるとき、コンピュータ・モデリングは、用量送達後に、二次薬物8の5%未満の残留量が二次リザーバ7に残り、したがって約95%の排出を実現すると予測する。
図7は、流れ分配器32の代替実施形態を示す。これらの実施形態は、流れ分配器32のそれぞれのチャネル22について異なる形状、特に幅を示す。当然ながら、流れ分配器32は、投薬モジュール5内の構造上の構成要素の組合せを等しく備えることができる。たとえば、二次リザーバ7の内面は、溝およびリブとともに、流体の流れチャネルを画成するように構成することができ、セプタム16、17は、渦を巻くように軸方向から径方向に流体の流れを変える、またはその逆にする助けとなるように構成することができる。同様に、流れ分配器32の様々な部材が、二次リザーバ7の製造中にインモールド(in−moulded)されてもよく、好ましくは、リザーバの壁と同じプラスチック材料から製造されるが、2つまたは複数の構成要素の射出成形に適した他の材料が使用されてもよい。流れ分配器32が二次リザーバ7の壁でインモールドされている例示的な実施形態が、図8および図9に示されている。
投薬モジュール5は、一次薬物4で第1の針14を呼び水する(priming)のを容易にするために二次リザーバ7の一部として組み込まれる図8に示されるようなバイパス・チャネル37を含むこともできる。
空洞30を画成するそれぞれのチャネル22の幅は、二次リザーバ7が通常の条件下で二次薬物8で充填されるときに、流体薬物8が、通常の環境条件下、たとえば1013ミリバールの標準圧力下で、その表面張力および/または粘性のために、チャネル22内、特に毛細管チャネル48内の気体混入、たとえば、空気の混入を限定することができるように非常に小さいものであり得る。気体混入(たとえば、図5中の気体混入31参照)は、チャネル22の幅全体にわたって広がる可能性がある。言い換えると、チャネル22の幅、特に、毛細管チャネル48の幅(図4および図14参照)は非常に小さいので、二次リザーバ7の充填は、通常の環境条件下でチャネル22内に気泡の混入をもたらし得る。このようにして、完全ではない体積の薬物18がチャネル22に充填されること、および/または空気が薬物8とともに供給されるということが発生する可能性があり、これは過少量投与をもたらし得る。また、空気混入は、空洞30内の薬物の流れを妨げる可能性があり、それによって送達動作中に一次薬物4および二次薬物8の乱流がもたらされ得る。これは、前述の栓流を遮る可能性があり、これは同様に、用量の不正確さをもたらし得る。
潜在的に閉じ込められる空気の体積は、いくつかのパラメータに依存する。まず、充填済み薬物8の表面張力および粘性は、どの程度まで溶液が、行き止まりを有する所与の直径の毛細管構造、たとえば、毛細管チャネル48に浸透することができるのかを決定し得る。次に、充填済み薬物8の沸点は、充填においてシステムに適用することができる真空度を決定する。たとえば、充填温度20℃における液体薬物8の沸点(すなわち液相から気相への変化)が50ミリバールの圧力で到達する場合、これは、充填過程のために設定している真空の限界を下げることになる。沸騰、したがって充填中の液体の気体形成を避けるために、充填過程についての圧力限界は、たとえば、安全マージンを含むために100ミリバールに設定することができる。充填過程が完了し、圧力が周囲圧力約1000ミリバールに戻された後、空洞内の薬物8は、この増大した圧力下で、行き止まりに、特に、毛細管チャネル48に押し込まれる。たとえば、100ミリバールの圧力で直径1mmおよび長さ5mmの毛細管チャネル48に閉じ込められた空気が、3.9μlの体積を有する場合、これは、圧力が100ミリバールから1000ミリバールまで上昇するときに10分の1倍に減少、すなわち0.39μlになり得る。充填済みリザーバ7の全容積が50μlである場合、毛細管チャネル48内の減少した空気の体積0.39μlは、リザーバ容積の約0.78%であり得る。この例では、有効な充填体積は、99.2%になり得る。沸点、表面張力および/または粘性、ならびに空洞30内の毛細管チャネル48の幾何学的寸法、ならびに充填中に加えた圧力といった形成パラメータ(formulation parameter)の最適化によって、リザーバ7は、最小の残留空気体積ないし残留空気体積がない状態で充填することができる。
空気の混入、したがって過少量投与を避けるために、二次リザーバ7は、以下のように充填される(特に、図11、図12、および図13参照):
1)第1の工程において、リザーバ7を充填する組立体、たとえば、リザーバ7を充填する装置が用意される。この組立体は、空洞30内で減圧下で、二次リザーバ7の空洞30を液体薬物8で充填する動作を行うように構成される。
それによって、まず、前述の二次リザーバ7が用意される。リザーバ7は空である。特に、当然ながら、空洞30は、液体薬物8でまだ充填されていない。
さらに、圧力部材23が設けられる。圧力部材23は、空洞30内に真空を作り出すように適合および配置される。特に、圧力部材23は、リザーバ7を液体薬物8で充填するためにリザーバ7の空洞30内に減圧を作り出すように適合および配置される。圧力部材23は、真空ポンプとすることができる。圧力部材23は、回転すべり弁真空ポンプとすることができる。圧力部材23は、たとえば、回転すべり弁真空ポンプVACFOX VC75、または製造業者Vacuubrandの真空ポンプM24とすることができる。
さらに、投与弁26が設けられる(特に、図12参照)。投与弁26は、液体薬物8を空洞30に充填するように構成されている。投与弁26は、ピエゾ弁である。投与弁は、出口44を備える。液体薬物8は、充填動作中に投与弁26の出口44から空洞30の中に投薬される。
さらに、加圧リザーバ28が設けられる。このリザーバ28は、流体薬物8を含む。好ましくは、リザーバ28は、投与弁26を介して空洞30に充填されることになる流体薬物の用量体積より大きい流体薬物8の体積を備える。流体薬物8は、リザーバ28から投与弁26に送達チャネル37を介して動かされる。加圧リザーバ28から薬物8を供給するための圧力は、制御弁29を介して制御される。
投与弁26(図12参照)の内部には、セラミックの封止ボール45とともにプランジャがある(図14も参照)。このプランジャは、投与弁25のピエゾ・パッケージ(piezo package)42を介して軸方向に動かすことができる。プランジャが、出口44の方向にその最大変位に到達したとき、投与弁26が閉じられる。このピエゾ駆動は、非常に短い切替え時間を実現することができ、これは、後でより詳細に説明される。
投与弁26は、薬物8を用いた空洞30の時間と圧力に依存した充填(time−pressure dependent filling)を可能にする。投与弁26は、所定の周波数、たとえば、1000Hzによって空洞30を充填するように構成されており、投与弁26の出口44は、この周波数で繰り返し開閉される。言い換えると、投与弁26は、出口44の高周波開閉を可能にする。このようにして、体積が1μl未満、好ましくは10nlである薬物8の小さい液滴が、出口44から出て空洞30に充填されることが可能になる。これは、上述のようにそれがチャネル22内の気体混入を限定しないようにそれぞれの液滴の体積が十分に小さいという特有の利点を有する。
投与弁26の周波数は、空洞30内の真空および空洞30に向かう方向の薬物8の流体経路内の真空に対する潜在的な影響を最小化できるように選ぶことができる。特に、投与弁26の開放時間は、真空に対する影響を低減するために最小化され得る。また、投与弁26の所定の周波数は、次の時間に出口44が開かれる前に、薬物8が空洞30内、特にチャネル22内で分散できるように選ばれる。弁閉鎖速度が遅くなるほど、はねの発生は少なくなる。しかしながら、最小速度は、出口44における滴形成の傾向によって制限される。たとえば、出口44は、再び閉じられる前に10μ秒だけ開かれる。これは、流体薬物8が出口44から出た後で、流体薬物8は空洞30に自由に流れ込むことができ、それによって空洞30の中に分散するという利点を有する。
加えて、投与弁26は、統合された温度制御を装備している。この温度制御の場合、充填される薬物8は、必要ならば、180℃まで加熱することができる。この機能は、充填動作中に薬物8の温度を一定に保持し、したがって温度の変動によって引き起こされる薬物8の充填量のばらつきを防止する。この温度制御は、熱蒸気を用いた投与弁26の殺菌もサポートする。温度は、空洞30に充填される薬物8の粘性を調整することができる。したがって、温度制御により、非常に異なる粘性を有する薬物を、空洞30に充填することができる。
投与弁26の電子制御が、さらに用意されてもよい。投与弁26の電子制御によって、リザーバ7の充填の動作は、空洞30に充填される種々の薬物8の特性に調整することができる。充填動作を制御するための電子フィードバックが、さらに用意されてもよい。
減圧下で液体薬物8を空洞30に充填するための他のシステム、たとえば、針とは対照的に、投与弁26は、空洞30に充填される薬物8の体積が、正確に制御できるという利点を有する。言い換えると、投与弁26は、高い用量精度を可能にする。特に、薬物8が針によって空洞30に充填された場合、流体薬物8は、制御できないやり方で針から流れる可能性があり、空洞30内の減圧は、針および送達チャネル37内の液体薬物8の先頭に影響を及ぼし得る。
さらに、所与の小体積の液体薬物8を空洞30に充填する場合、小さい内径を有する針が必要とされる。それによって、流体薬物8は、その表面張力のために、針から出ると、液滴の形状に適合させる。それによって、液滴の直径は、針のルーメンより大きくなり得る。この液滴が空洞30、すなわちチャネル22に入った場合、この液滴は、チャネル22を塞ぎ、それによってチャネル22の下部に保持された空気31を含む可能性がある(図5参照)。したがって、針などの通常のシステムでリザーバ7を充填することは、空洞30内で空気混入の増大をもたらし、これは、上記のように、薬物送達システム1の用量精度に悪影響を及ぼす。
それとは対照的に、投与弁26は適合することができ、たとえば、投与弁26の直径は、上述のように、出口44を通過する流体薬物8の液滴が、ほんのわずかに小さい直径を有するように選ぶことができる。前記直径は、空洞30の直径、特に、チャネル22の幅に調整することができる。このようにして、薬物8は、空洞30の容積に深く分散することができる。チャネル22を塞ぐ薬物8の大きい液滴に起因し得る空気混入は、このようにして避けることができる。
リザーバ7を充填するための組立体の少なくとも一部として、真空チャンバ27が設けられる。リザーバ7は、この真空チャンバ27内に入れられる。投与弁26も、真空チャンバ27内に入れられる。投与弁26は、調整可能な投与弁ホルダ41を介してベース板39に連結される(図13参照)。リザーバ7は、ホルダ40を介して投与弁26の下に取り付けられる(図13)。
2)次の工程において、リザーバ7の空洞30内を減圧する。これは、圧力部材23によって実現される(図11参照)。特に、圧力部材23は、真空チャンバ27を真空にし、ここで、リザーバ7が保持される。減圧は、真空センサ25によって読み出すことができる。この圧力は、調整可能スロットル38によって調整することができる。スロットル38によって、このシステムに入る過剰空気の量を調整することができる。そのことは、真空チャンバ27内で到達しなければならない絶対圧力が高くなるにつれて、過剰空気がより多く入ることを意味する。
流体薬物8の非常に小さい液滴の生成が強化され、この液滴は、気体または空気の混入をもたらすことなく小さい空洞30に充填できるので、空洞30内の圧力の低減は、流体薬物8が、充填動作中に空洞30内、特に、空洞30の複雑な構造内でさらにより良く分散できるという利点を有する。
空洞30内の圧力の減少は、充填動作中の空洞30における、特に、毛細管チャネル48の狭い行き止まりにおける空気の混入(図4および図14参照)が、さらに最小化され、または避けられもするという利点をさらに有する。特に、充填動作中に毛細管チャネル48に含まれる空気が、充填動作中に空の容積、すなわち空洞30に確立された絶対圧力に従って減少し、充填動作が完了した後には、含まれた空気が最小残留量だけ存在する、またはさらには、もはや空気は存在しないようになる。
減圧は、できる限り低くあるべきである。好都合には、空洞30内の減圧は、200ミリバール未満である。好ましくは、減圧は、50ミリバールより大きい。たとえば、減圧は、100ミリバールになる。減圧は、空洞30に充填される液体薬物8の蒸気圧に従って選ばれる。特に、減圧は、それが液体薬物8の蒸気圧より大きいように選ばれる。好ましくは、減圧は、約20℃の温度で水の蒸気圧の値の約4倍である値になる。これは、減圧下で液体薬物8の自発的な蒸発を避けるために賢明である。
3)充填手順の次の工程では、減圧されている間に、流体薬物8の体積は、空洞30に充填される。
薬物8を空洞30に充填する2つの実施形態がある。両実施形態によれば、空洞30内の圧力が減少され、次いで所与の時間にわたって一定に維持される。
第1の実施形態では、リザーバ7は、用量の第1の体積が空洞30内の第1の圧力下で充填され、用量の残りの体積が空洞30内の第2の圧力下で充填されるように充填される。それによって、第2の圧力は、第1の圧力より大きい。第1の圧力は、減圧、たとえば、100ミリバールとすることができる。第2の圧力は、常圧、たとえば、1013ミリバールとすることができる。第1の圧力および第2の圧力は、所与の時間にわたって一定値を有する。特に、薬物8は、図14に示されるように、薬物8が所定の充填レベル43に到達するまで、減圧下で空洞30に充填される。この所定の充填レベル43は、空洞30の行き止まりの狭い構造46の上にあり得る。特に、所定の充填レベル43は、毛細管チャネル48上にあり得る。図5に示されるように、薬物8は、毛細管チャネル48の狭い構造46を塞ぐ可能性があり、それによって空気が毛細管チャネル48に取り囲まれ得る。取り囲まれた空気31は、さらなる充填動作中に動かされ得る。取り囲まれた空気31は、さらなる充填動作中に、構造46に押し込まれ、特に圧縮され得る。このようにして、毛細管チャネル48の構造46は、もはや空気31によって完全に塞がれることはあり得ない。したがって、毛細管チャネル48は、薬物8での充填に利用できる。
薬物8が所定の充填レベル43に到達したとき、空洞30にさらに充填される薬物8のさらなる体積、たとえば、残りの薬物8の液滴は、空洞30にすでに充填された薬物8の体積の表面に直接作用する。これは、流体薬物8に乱流をもたらす可能性があり、さらに、周囲空気が、この表面に作用する液滴によって流体薬物8に含まれ得る。減圧下で薬物8のさらなる充填中に、これは、常圧下での充填に比べて、流体薬物8に強化された気泡の形成をもたらす場合がある可能性があり得る。さらなる空気が流体薬物8に混入される時、前記気泡は、気体が抜かれ得る。これは、空洞30内の流体薬物8の体積を増大させることになり得る。最悪の場合には、これは、薬物8が空洞30から溢れることをもたらし得る。空洞30から溢れる薬物8の体積は、送達動作中に空洞30からもはや投薬できない。したがって、過少用量が、使用者に送達され得る。この状況を避けるために、圧力が充填動作中に調整できる。特に、薬物8が所定の充填レベル43に到達したとき、空洞30内の圧力が増大する。特に、薬物8が所定の充填レベル43に到達したとき、圧力は、空洞30内に常圧が確立されるまで増大する。その後、空洞30は、薬物8の用量がリザーバ7内に保持されるまで、残りの体積の薬物8で充填される。空洞30内の周囲圧力は、それによって流体薬物8内の気泡が抜けるのを防止する助けとなる。
第2の実施形態では、減圧されている間、特に、圧力が低い値に維持されている間、薬物8の全体積、すなわち薬物8の用量全体が、空洞30の複雑な内部構造、すなわち行き止まりの狭い構造が毛細管チャネル48によって与えられたチャネル22に充填される。これは、薬物8が所定の充填レベル43(図14)に到達したとき、薬物8の用量がリザーバ7内に保持されるまで、減圧が空洞30内で維持されるとともに、空洞30が残りの体積の薬物8で充填されることを意味する。減圧は、全充填時間にわたって一定値を有する。空洞30が流体薬物8で充填された後、減圧は、常圧へ増大させられる。本実施形態では、薬物8を空洞30に充填する前に、流体薬物8は、流体薬物8内の気泡を追い出すために減圧、たとえば真空にさらすことができる。また、空洞30内の温度は、流体薬物8内の気泡が抜けるのを防ぐように選ばれる。
両実施形態において、充填動作中に含まれ得る空気の体積は、充填動作が完了した後(第2の実施形態)または薬物8の第1の体積が空洞30に充填された後(第1の実施形態)に、圧力が減圧(たとえば、100ミリバール)から常圧(たとえば、1000ミリバール)へ増大するときに10分の1に減少し得る。圧力が増大するとき、薬物8は、この増大した圧力下で、空洞30の行き止まりの狭い構造46、特に、毛細管チャネル48に押し込まれる。このようにして、潜在的に取り囲まれる空気31は空洞30から取り除かれる。
充填動作が完了すると、リザーバ7は、薬物8の用量が空洞30の容積の95%またはそれ以上を占めるように薬物8で充填される。薬物8の用量は、空洞30の容積の96%、97%、または98%を占め得る。薬物8の用量は、空洞30の容積の99%を占めることができる。薬物8の用量は、空洞30の容積の100%を占めることができる。
減圧下での投与弁26による空洞30の充填は、特に、高い充填精度を備えた減圧下または真空下の完全自動の充填動作が可能になるという利点を有する。さらに、前述の方法および/または組立体によって、nmからmlの範囲内の体積を有する用量が、空洞30に充填できる。
充填動作が完了すると、リザーバ7は、図1から図3に関連して説明されるように、セプタム16、17で閉じられる。
図4は、二次リザーバ7の一実施形態を示す。
上述の充填動作を完了した後に、二次リザーバ7は、1回の用量の液体薬物8で充填される。特に、薬物8は、流れ分配器32およびリザーバ7によって画成されるチャネル22内に保持される。好ましくは、空気は、チャネル22内に含まれない。
ここで、リザーバ7は、投薬モジュール5に挿入される準備ができており、次いで、投薬モジュール5は、高い用量精度および使用者の安全性で一次薬物4および二次薬物8の組合せを投薬するために、薬物送達デバイス19に解放可能に連結することができる。代替として、リザーバ7は、リザーバ7の中身を使用者に投薬するために、単一の薬物リザーバとして注入ポンプ(明示せず)に挿入することができる。
1 薬物送達システム
2 リザーバ・ホルダ
3 一次リザーバ
4 一次薬物
5 投薬モジュール
6 投薬モジュールのハウジング
7 二次リザーバ
8 二次薬物
9 針ガード
10 ばね部材
11 遠位端
12 近位端
14 針
15 針
16 セプタム
17 セプタム
18 セプタム
19 薬物送達デバイス
20 ハウジング
21 駆動機構
22 チャネル
23 圧力部材
24 真空リザーバ
25 センサ
26 投与弁
27 真空チャンバ
28 リザーバ
29 弁
30 空洞
31 空気
32 流れ分配器
33 リブ
34 矢印
35 ベーン
36 薬物の流れ
37 送達チャネル
38 スロットル
39 ベース板
40 ホルダ
41 投与弁ホルダ
42 ピエゾ・パッケージ
43 所定の充填レベル
44 出口
45 封止ボール
46 構造
48 毛細管チャネル

Claims (22)

  1. 流体薬物(8)の用量を保持するように構成された薬物送達システム(1)用のリザーバ(7)を充填する方法であって、
    A)該リザーバ(7)を用意する工程と、
    B)該リザーバ(7)に画成された空洞(30)内を減圧する工程と、
    C)減圧されている間、ある体積の該流体薬物(8)を該空洞(30)に充填する工程と、
    D)充填が完了した後に、該薬物(8)の用量が該リザーバ(7)の該空洞(30)に保持されるように該リザーバ(7)の該空洞(30)への該流体薬物(8)の充填を終了する工程と
    を含む、上記方法。
  2. 空洞(30)内の減圧は、200ミリバール未満であり、薬物(8)の用量の体積は、5ml未満である、請求項1に記載の方法。
  3. リザーバ(7)は、薬物(8)の用量が空の空洞(30)の95%またはそれ以上を占めるように薬物(8)で充填される、請求項2に記載の方法。
  4. 薬物(8)は、投与弁(26)によって空洞(30)に充填され、該投与弁(26)はピエゾ弁であり、該投与弁(26)は出口(44)を備え、薬物(8)は、該投与弁(26)が開いているときに該投与弁(26)の出口(44)から該空洞(30)の中に投薬され、該投与弁(26)は、薬物(8)を該空洞(30)に充填する間に繰り返し開閉される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 投与弁(26)が開いたときに出口(44)から出る薬物(8)の体積は、1μl未満、好ましくは10nlである、請求項4に記載の方法。
  6. 開閉周波数は、次の時間に出口(44)が開かれる前に、薬物(8)が空洞(30)内で分散できるように選ばれる、請求項4または5に記載の方法。
  7. 投与弁(26)は、100Hzから1000Hzまでの範囲内の周波数で開閉される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 投与弁(26)は、統合された温度制御部を装備し、薬物(8)の温度は、充填中、一定に保持される、請求項4〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 薬物(8)は、該薬物(8)が所定の充填レベル(43)に到達するまで、減圧下で空洞(30)に充填され、所定の充填レベル(43)は、リザーバ(7)に対する充填レベルによって定められ、空洞(30)の構造(46)の上にあり、該構造(46)は、非常に小さく、その結果、該構造(46)が充填動作中に閉じ込められた空気(31)によって塞がれる可能性がある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 空洞(30)は、構造(46)を有する毛細管チャネル(48)で末端をなし、該構造(46)は、該構造(46)が毛細管チャネル(48)内の閉じ込められた空気(31)によって塞がれ得るように非常に小さい、請求項9に記載の方法。
  11. 薬物(8)が所定の充填レベル(43)に到達したときに、空洞(30)内の圧力を増大させる工程と、次いで、該薬物(8)の用量がリザーバ(7)内に保持されるまで残りの体積の該薬物(8)で該空洞(30)を充填する工程とをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
  12. 薬物(8)が所定の充填レベル(47)に到達したときに、空洞(30)内の減圧を維持する工程と、該薬物(8)の用量がリザーバ(7)に充填されるまで該空洞(30)をさらなる体積の該薬物(8)で充填する工程とをさらに含む、請求項9または10に記載の方法。
  13. 薬物(8)の用量がリザーバ(7)に充填されたときに、閉じ込められた空気(31)は、空洞(30)の構造(46)に押し込まれる、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 薬物(8)の用量がリザーバ(7)に充填されたときに、該薬物(8)は、増大した圧力下で毛細管チャネル(48)に押し込まれる、請求項10との組合せにおける請求項11または12に記載の方法。
  15. 薬物送達システム(1)用のリザーバ(7)であって、
    薬物の用量(8)が空洞(30)の95%またはそれ以上を占めるように流体薬物(8)の用量で充填される該空洞(30)を備え、ここで、用量体積は5ml未満である、上記リザーバ(7)。
  16. 空洞(30)は、非円筒形形状を有する、請求項15に記載のリザーバ(7)。
  17. 空洞(30)は、リザーバ(7)内の薬物(8)の流れを分配するように成形される、請求項15または16に記載のリザーバ(7)。
  18. 空洞(30)は、少なくとも1つのチャネル(22)を備え、リザーバ(7)は、遠位端および近位端を備え、該チャネル(22)は、リザーバ(7)の遠位端と近位端との間の流体連通を確立するように構成される、請求項15〜17のいずれか1項に記載のリザーバ(7)。
  19. チャネル(22)は、通常の環境条件下で流体薬物(8)を該チャネル(22)に充填しようと試みられた場合、該流体薬物(8)の表面張力および/または該流体薬物(8)の粘性のために該流体薬物(8)が該チャネル(22)内の気体混入を限定することができるように非常に小さい幅を有する、請求項18に記載のリザーバ(7)。
  20. 空洞(30)の容積は、1ml未満である、請求項15〜19のいずれか1項に記載のリザーバ(7)。
  21. リザーバ(7)は、流れ分配器(32)を備え、該流れ分配器(32)および該リザーバ(7)の内壁は、組み合わさって、空洞(30)を画成する、請求項15に記載のリザーバ(7)。
  22. 請求項1から14のいずれか1項に記載の方法を実行するように動作可能である、薬物送達システム(1)用のリザーバ(7)を充填するための組立体であって、
    流体薬物(8)の用量を保持するように構成されている空洞(30)を有するリザーバ(7)と、
    該リザーバ(7)を該液体薬物(8)で充填するために該リザーバ(7)の該空洞(30)内に減圧を作り出すように適合および配置されている圧力部材(23)と、
    該液体薬物(8)を該空洞(30)に充填するように構成されている投与弁(26)とを備え、
    ここで、該組立体は、空洞(30)内の減圧下で液体薬物(8)の体積でリザーバ(7)の空洞(30)を充填する動作を行うように構成される、上記組立体。
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