JP2015500097A - 限局性1次元磁気共鳴空間周波数分光法 - Google Patents

限局性1次元磁気共鳴空間周波数分光法 Download PDF

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Abstract

構造の標本内の空間周波数分布を評価する方法であって:標本を磁気共鳴励起に曝すこと;標本を磁場勾配に曝している間に、標本からエコー信号を受信すること;可逆線形変換をエコー信号に適用すること;変換されたエコー信号内で関心領域を識別し、対応する窓関数を導出すること;(信号又は変換ドメイン内の)窓関数をエコー信号に適用して、標本の、関心領域の外側の領域に由来するエコー信号を除去すること;窓を掛けたエコー信号内の1次元空間周波数容量を分析して、画像を生成することなく、標本内の関心領域内の1次元空間周波数分布を評価すること、を含む、方法。【選択図】図4

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2011年12月6日出願の米国仮特許出願第61/567511号の優先権を主張するものである。
本発明は、磁気共鳴を特徴とする微細構造の分野に関し、また磁気共鳴信号を処理するための方法に関する。
特許文献1は、従来の磁気共鳴画像化で分析するには余りに微細な生物学的テクスチャを測定するための方法について記載しており、この方法は、これらのテクスチャの特徴的な空間波長の定量的測定法を提供する。上記方法は、その最も単純な形態では、分析される生物学的組織内に位置決めされた、選択的に励起された内部容積の軸に沿って、空間的に符号化された磁気共鳴エコーを、細かく標本抽出して得ることからなる。信号分析によって、選択された組織容積の空間的に符号化された軸に沿った様々なサブ領域内の、テクスチャの波長のスペクトルが得られる。
選択的に励起された内部容積内に窓を掛けることによって、サブ領域(関心領域)を選択的に分析するために、従来技術ではフィルタリング技術が使用されてきたが、上記方法は、信号の大きさを用いて、信号強度を位置の関数として生成することを伴うため、これらの技術は非線形である。この従来技術の方法(特許文献1)は、基本ステップが以下:
1.標本を磁場に曝す;
2.標本を磁気共鳴励起に曝す;
3.標本を磁場勾配に曝している間に、標本からエコー信号を受信する;
4.上記エコーをフーリエ変換し、その大きさを用いて上記エコーを位置に対する信号強度に変換する;
5.変換したデータに窓関数を掛けることによって、関心領域を選択する;
6.再びフーリエ変換して、エコードメインに再変換する;
7.結果として得られたスペクトルの大きさとして結果を表示し、これを周波数容量の尺度として扱う
である方法について記載している。
特許文献1のアプローチは、特に生物学的標本に関して、基底構造に対する洞察を提供するが、このアプローチは非線形であるため限定されており、大きさの非線形関数及び2回のフーリエ変換の使用に制限される。
微細テクスチャを分析するための、磁気共鳴に基づく他の従来技術の方法は、位置に対する信号強度を生成するために大きさを用いることにより非線形となる点で、特許文献1の方法と同様である。この方法は、1次元信号強度ではなく磁気共鳴画像データの分析に基づく点で、特許文献1とは異なる。これらの方法で使用されるステップは一般に、以下の通りである:
1.(2D又は3D磁気共鳴取得シーケンスの結果として)多数のエコーを受信する;
2.上記エコーをフーリエ変換し、エコーの大きさを用いて位置に対する信号強度に変換する(即ち、1つの画像又は一連の複数の画像を生成する);
3.変換したデータに窓関数を掛けることによって、関心領域を選択する(打ち切りアーチファクトを導入することなく信号抽出を最適化するために、及び空間解像度の低下を最小化するために、形状及び幅は注意深く選択されている);
4.フーリエ変換又はその他の変換を再び用いて、周波数容量の尺度となるエコードメインへの再変換を行う;
5.結果として得られたスペクトルの大きさとして、結果を表示する。
米国特許第7932720号
図1は、内部容積を選択的に励起して、rに沿って1次元空間符号化を行うための、磁気共鳴技術の一例を示す。選択的に励起された内部容積のサブ領域を、ROI(region of interest:関心領域)で表す。 図2は、識別された関心領域(ROI)に基づいて窓関数を生成するための、特許文献1に記載されたアプローチを示す。 図3は、2回のフーリエ変換及び複素乗算を利用して信号を関心領域に局在化する、線形方法を示す。 図4は、エコー信号をフィルタリングするための畳み込みを利用して信号を関心領域に局在化する、線形の方法を示す。
本発明は、1次元周波数符号化励起からの磁気共鳴エコー信号が名目上、構造の1次元フーリエ変換となるという事実に基づいている。更に、構造の1次元フーリエ変換は、構造が含む空間周波数及び位相の分布(スペクトル)である。
本発明の方法はまず、特許文献1の方法と同様に進行する。即ち:
1.標本を磁場に曝す;
2.標本を磁気共鳴励起に曝す;
3.標本を磁場勾配に曝している間に、標本からエコー信号を受信する。
しかしながら本発明は、特許文献1に記載された従来技術と類似しているものの、主要かつ重要な点でこれとは異なっており、即ち本発明の方法は、構造の標本から空間周波数スペクトルを生成するために線形信号処理のみを使用する。複素信号の大きさを得るのは非線形操作であり、これによって情報は失われ、アーチファクトが導入される。このような影響を回避するために、本発明は一連の複数の線形信号処理ステップを利用し、これはノイズ統計を容易に計算できる能力、S/N比を更に最適化する機会を含む、有意な利点をもたらす。以下に述べる多数の理由から、線形信号処理方法は、従来技術を全体的に改善する:
−エコー信号のノイズ成分のガウス分布を保存し(これはS/N比に関して、後続の定量的分析を容易にする)、統計的に確実な定量的測定のための基礎を提供する;
−線形性によって、特に位置が符号化される位相空間において、基底信号の複素構造を保存する。対照的に、特に大きさの操作等の非線形処理は、有用な位相情報を破棄する;
−非線形分析は、結果として得られる、元のデータセットには存在しなかったデータセットに、アーチファクトを導入し得る。対照的に、線形アプローチではこのようなことは起こらない;
−線形変換の使用によって、更なる分析及び特徴識別を容易に行うことができるいわゆる変換ドメインに、データセットを投射できる。そしてこれらの線形変換は、関心対象の信号を元のエコーから最も良好に抽出するための方法に関する指示を提供できる。
一般に、MRの取得の一部として受信したノイズは、複素値付加白色ガウスノイズとして良好にモデル化できる。
MR取得プロセスの一部として、MRからのK個の標本のエコーe[k](ここでk=1,2,…K−1,K)のシーケンスは以下のようにモデル化される。
e[k]=s[k]+n[k]
ここで、s[k]は、信号のk番目の標本値を表し、n[k]は、MR取得プロセスの一部として受信したノイズのk番目の標本値を表す。信号及びノイズの標本値は共に複素値である。複素値としての性質は、以下のようにしてより明らかにすることができる。
r[k]+jei[k]=(sr[k]+jsi[k])+(nr[k]+jni[k])
ここで添字「r」は実数成分を表し、添字「i」は虚数成分を表し、「j」は虚数√−1である。
ノイズ標本は、独立した、等しく分布した、平均ゼロのガウス分布を有するものとして良好にモデル化される。より具体的には、ノイズ項のいわゆる確率密度関数は、以下のように表すことができる。
Figure 2015500097
ここでσは、kから独立して、いずれのノイズ標本nr[k]又はni[k]に関する標準偏差を表す。更に、各ノイズ項の独立は、ノイズ標本のうちのいずれの値も、他のノイズ標本値のいずれかに影響を与えないことを意味する。
これら全てを、以下のような多変量確率密度関数でより簡潔に説明できる。
Figure 2015500097
ここでnは、2K次元ベクトル(K個の実数、K個の虚数)である。
続いてe[k]を線形フィルタリング処理に供すると、結果として得られるノイズ分布は改変されるものの、ガウス分布のままである。結果として得られる多変量確率密度関数は、ここで以下のように表すことができることがわかる。
Figure 2015500097
ここでΣは共分散行列であり、|Σ|はその行列式である。
Σの値は、線形フィルタの知識及び入力ノイズ処理の分散σ2を用いて計算できる。代替として、良好に確立された様々な推定アルゴリズムを用いて、Σを推定できる。ここでもまた、ノイズ分布は信号と独立していることに留意されたい。言い換えると、ノイズの平均を信号の値へとシフトすることとは別に、入力ノイズ分散及び線形フィルタによって、ノイズの共分散が決定される。
ノイズ寄与の統計を得ることができることの重要性は、線形フィルタリング処理の使用において重要な因子であり、なぜならこれらの統計から、処理後のS/N比、エラーバー、信頼区間等を比較的容易に定量化できるためである。これにより、定量的な構造スペクトル分析を容易に行うことができ、これは特に、例えば医療分野への応用に関連する。
最後に、特定の非線形処理ステップを許容することができる一方で、その非線形性による信号自体の潜在的な歪みに対処することに加えて、結果として得られるノイズ分布と、これに関連する基底信号に対する依存性とに関して更なる困難が存在する。いくつかの「単純な」非線形処理に関して、結果として得られるノイズ分布の閉形式解が存在するが、これらはほとんどの場合基底信号に大きく依存している。一般に、非線形処理から得られるノイズ分布は処理しにくいことが多く、閉形式解として容易に表すことができない。
図1は、選択的内部容積励起と、全内部容積からのエコーを生成する空間符号化とを行う1つの方法を示す。内部容積は、2片の選択的励起の交点及びMRIスキャナレシーバの帯域によって画定される。この場合の関心領域(ROI)は、分析に関連する内部容積のセグメントである。
図2は、選択的に励起された内部容積に沿った信号強度の1次元プロット(r)から関心領域(ROI)を識別し、結果として得られるエコーがROIのみからの空間周波数を含むように、窓関数を計算してエコー信号をフィルタリングするための、1つの方法を示す。窓関数は、「r」の値と、選択的に励起された内部容積に沿った窓の幅とを単に特定する等、他の方法でも生成できる。
図3は、事前に導出した窓関数を用いて特定のROIを選択するために使用できる、1つの方法を示す。フーリエ変換を用いて、複素エコーを、概して複素値である1次元プロファイルに変換する。事前に導出した窓関数を上記プロファイルに掛けることによってROIを選択する。巡回畳み込みに関連するエイリアシングアーチファクトを低減するために、及び「より滑らかな」スペクトル表現を提供するために使用されるゼロシーケンスを前後に付加することによって、得られたシーケンスの長さを延長する。逆フーリエ変換を用いて、得られたシーケンスを、概して複素値である1次元スペクトルに変換する。
図4は、事前に導出した窓関数を用いて特定のROIを選択するために使用できる、別の方法を示す。この場合、上記計算された窓関数を、ゼロ埋め込み及びそれに続くフーリエ変換を用いて、等価のインパルス応答に変換する。続いてこのインパルス応答を、複素線形畳み込みを用いて直接的に、又は上述のようなインパルス応答の線形フィルタの使用によって間接的に、複素エコーに適用する。
以上の図では、エコードメインと、関連する変換ドメイン(この特定の例では研究対象の材料の空間分布に対応する)との間の変換のための手段としてフーリエ変換を使用する。そしてこの変換ドメイン内で「関心領域」を選択し、結果として得られるスペクトルを抽出する。
しかしながら、上記変換ドメイン及びこの変換空間内での「関心領域」の実際の選択の両方は、エコーのフーリエ変換領域のサブセットの選択のみに限定されない。
実際には、エコーを対応する変形ドメインに投射するための手段として、いずれの可逆線形変換を使用できる。変換ドメイン内の等価の関心領域を選択する(即ち窓を掛ける)ことができ、残りをエコー領域に再変換し、更にこれを基底物理表現のスペクトルとして解釈できる。
一般的に使用される可逆変換には、様々ないわゆるウェーブレット変換又はZ変換が含まれる。
変換の使用は、物理的局在化のみならず、ノイズ低減のためにも同等に有用であり得る。
本発明は、解剖学的構造の評価に適用可能であり、これは上記構造が硬質組織であるか軟質組織であるかに関わらない。よって本発明は多数の態様を有し、これらの態様は所望に応じて単独で、又は様々な組み合わせ若しくは部分的組み合わせで実施してよい。本明細書では例示のために、本発明の好ましい実施形態を開示及び説明したが、本発明はこれに限定されることはない。本発明は以下の請求項全体によって定義されるような本発明の制振及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細に関する様々な変更を行うことができることは、当業者には理解されるであろう。

Claims (7)

  1. 構造の標本内の空間周波数分布を評価する方法であって:
    a)前記標本を磁場に曝すこと;
    b)前記標本を磁気共鳴励起に曝すこと;
    c)前記標本を磁場勾配に曝している間に、前記標本からエコー信号を受信すること;
    d)可逆線形変換を用いて、前記エコー信号を対応する変換ドメインに投射すること;
    e)前記変換ドメイン内で関心領域を識別し、対応する窓関数を導出すること;
    f)線形窓関数を前記エコー信号に適用して、前記標本の、前記関心領域の外側の領域に由来するエコー信号を除去すること;
    g)前記f)で得られた前記窓を掛けたエコー信号内の1次元空間周波数容量を分析して、画像を生成することなく、前記構造の前記標本内の前記関心領域内の1次元空間周波数分布を評価すること
    を含む、方法。
  2. 前記線形窓関数を適用することは:
    a)前記エコー信号の変換を行うこと;
    b)前記エコー信号によって、前記計算された窓関数に複素乗算を行うこと;
    c)前記b)の結果の逆変換を行うこと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記変換及び前記逆変換はフーリエ変換である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記変換及び前記逆変換はウェーブレット変換である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記変換及び前記逆変換はZ変換である、請求項2に記載の方法。
  6. 前記線形窓関数を適用することは:
    a)前記計算された窓関数のフーリエ変換を行うこと;
    b)前記変換した窓関数を用いて、前記エコー信号の複素畳み込みを行うこと
    を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 内部容積を選択的に励起するために、前記標本は、第1及び第2の磁気共鳴励起に曝される、請求項1に記載の方法。
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