JP2015231657A - フェースドライブ用の加工素材およびその加工素材の加工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記フェースドライバは、旋盤等の主軸に装着される本体部と、本体部の中心から突出するセンターピンと、前記本体部におけるセンターピンの周囲に放射状に配置される複数のドライブ爪とを備えており、前記センターピンを加工素材の一側端面の中心部に形成されるセンター穴に嵌挿するとともに、前記ドライブ爪を加工素材の一側端面に打ち込んで喰い込ませることにより、加工素材を保持するように構成されている。
特に、加工素材の一側端面にセンター穴を形成するために、冷鍛加工等で前記一側端面にコイニングを行った場合には、前記一側端面の平滑度が高くなるとともに加工素材の硬度が上昇するため、ドライブ爪の加工素材に対する喰い込み量の減少が大きくなり、前記フェースドライバと加工素材との間の回転方向の滑りが生じやすくなって、加工素材の旋削加工ができなくなるおそれがあった。
即ち、請求項1においては、センターピンと、前記センターピンの周囲に配置される複数のドライブ爪とを備えたフェースドライバにより、その一側端面が保持された状態で、フェースドライブがなされるフェースドライブ用の加工素材であって、前記一側端面は、前記センターピンが嵌挿されるセンター穴と、前記センター穴の周囲において、周方向の全ての位相において存在するように形成される凹部または凸部とを有し、前記凹部または凸部は、前記一側端面の半径方向における、前記ドライバ爪が打ち込まれる範囲内に配置される。
図1、図2に示すように、加工装置1は、略柱状部材にて構成される加工素材5の軸方向における一側端面51を保持するフェースドライバ2と、加工素材5の軸方向における他側端面52を支持する心押軸3と、加工素材5の外周面を旋削加工する刃具であるバイト4とを備えている。
本体部21は、前記主軸によりセンターピン22を中心にして回転駆動可能に構成されている。
センターピン22は柱状部材にて形成され、その先端部が、先端側へ行くに従って縮径する円錐形状に形成されている。
複数のドライブ爪23・23・・・は、センターピン22を中心とする円の周方向に沿って配置されており、各ドライブ爪23の爪部23aは、前記円の半径方向に沿って延出している。つまり、複数のドライブ爪23・23・・・は、爪部23a・23a・・・がセンターピン22を中心とした放射状に配置されるように、本体部21に取り付けられている。
また、ドライブ爪23・23・・・は、本体部21に対して、軸方向へ摺動可能に構成されている。
加工素材5の軸方向における一側端面51は平面状に形成されており、その中心部にセンター穴51bが形成されている。
センター穴51bは、加工素材5の軸方向に沿って形成されており、深さ方向に縮径する円錐形状に形成されている。センター穴51bは、フェースドライバ2におけるセンターピン22の先端部形状に応じた形状に形成されており、センターピン22が嵌挿可能に構成されている。
センター穴52bは、加工素材5の軸方向に沿って形成されており、深さ方向に縮径する円錐形状に形成されている。センター穴52bは、心押軸3の先端部形状に応じた形状に形成されており、心押軸3が嵌挿可能に構成されている。
まず図5(a)に示すように、フェースドライバ2のセンターピン22を加工素材5のセンター穴51bに嵌挿し、その後図5(b)に示すように、心押軸3を加工素材5側へ摺動させて、心押軸3を加工素材5のセンター穴52bに嵌挿する。
さらに、フェースドライバ2のドライブ爪23・23・・・を本体部21から突出する方向へ摺動させて加工素材5の一側端面51に打ち込み、ドライブ爪23・23・・・を一側端面51に喰い込ませる。
さらに、回転される加工素材5の外周面をバイト4により旋削加工する。
しかし、ドライブ爪23・23・・・の一側端面51に対する喰い込み量が少ないと、バイト4による旋削加工時に、バイト4から加工素材5に対してかかる抵抗(切削抵抗)により、フェースドライバ2と加工素材5との間に回転方向の滑りが生じ、正常な旋削加工を行うことができないおそれがある。
次に、加工素材5における一側端面51の構成について詳しく説明する。
また、円環状に形成される溝部51a・51a・・・は、一側端面51の周方向の全ての位相において存在するように形成されている。
さらに、溝部51a・51a・・・は、一側端面51の半径方向と直交する方向に延出している。
つまり、図7(a)に示すように、ドライバ爪23・23・・・を一側端面51に近接させて打ち込むと、爪部23a・23a・・・が、一側端面51における溝部51a・51a・・・が形成された箇所に当接し、一側端面51の当該箇所に喰い込む。
この場合、ドライバ爪23・23・・・が当接して流動する加工素材5は、隣接する溝部51a・51a・・・内に流れ込むため移動距離が短く、小さな押圧荷重でも容易に流動することができ、ドライバ爪23・23・・・の一側端面51に対する喰い込み深さDoを大きくすることができる。
これにより、ドライバ爪23・23・・・と一側端面51の間に付与される回転方向の抵抗を大きくして、フェースドライバ2と加工素材5との間に生じる回転方向の滑りを防止することが可能となる。
しかし、図8(b)、図8(c)に示すように、ドライバ爪23・23・・・が当接した箇所の加工素材5の全てをドライバ爪23・23・・・の外周部へ流動させるためには、加工素材5の流動距離が大きくなるため(図8(b)における矢印を参照)、例えば溝部51a・51a・・・を形成した場合と同じ押圧荷重では、ドライバ爪23・23・・・の一側端面51に対する喰い込み深さDoが小さくなる。また、必要な喰い込み深さDoを得るためには、ドライバ爪23・23・・・の一側端面51に対する押圧荷重を大きくする必要がある。
一方、図9(b)に示すように、ドライバ爪23・23・・・による押圧荷重から解放された加工後の加工素材5においては、大径部における小径部側へ弾性変形していた部分が、弾性回復して元の形状に戻る。
このように、加工素材5は、押圧荷重により弾性変形した状態で旋削加工が行われ、加工後においては弾性回復して元の形状に戻るものであるため、加工時におけるドライバ爪23・23・・・による押圧荷重が大きいと加工精度の悪化につながるため好ましくない。
つまり、ドライバ爪23・23・・・を加工素材5の一側端面51に打ち込む際に、ドライバ爪23・23・・・と一側端面51との周方向の位相合わせを行う必要がなく、フェースドライバ2に加工素材5を保持させる作業を簡便にすることができる。
つまり、各溝部51d・51d・・・は円弧状に形成されており、一側端面51の半径方向におけるドライバ爪23・23・・・が打ち込まれる範囲内(保持領域Ra内)に配置されるとともに、周方向の全ての位相において溝部51d・51d・・・が存在するように形成されていればよい。
さらには、図14に示すように、互いに異なる径の楕円環状の溝部51g・51g・・・を形成することもできる。
同様に、一側端面51には、図15(b)に示すように、三角螺旋形状の溝部51iを形成したり、図15(c)に示すように、四角螺旋形状の溝部51jを形成したりすることもできる。また、他の多角螺旋形状の溝部を形成することもできる。
さらには、図16に示すように、楕円螺旋形状の溝部51kを形成することもできる。
穴部51n・51n・・・は円形状に形成される穴であり、各穴部51n・51n・・・は、保持領域Ra内において、半径方向の位置および周方向の位置を互いに異ならせて配置されている。この場合、穴部51n・51n・・・は、少なくとも周方向における一部の位相において、半径方向の複数箇所に配置されるように形成される。
穴部51n・51n・・・をこのような配置構成とすることにより、小さな押圧荷重で
ドライバ爪23・23・・・の一側端面51に対する喰い込み深さDを大きくして、フェースドライバ2と加工素材5との間に生じる回転方向の滑りを防止することが可能である。
即ち、フェースドライバ2により加工素材5を保持する度に、半径方向における溝部51d〜51mおよび穴部51nのドライバ爪23・23・・・に対する当接位置が変化することとなる。
従って、溝部51d〜溝部51mおよび穴部51nを一側端面51に形成した場合は、溝部51aおよび溝部51cを一側端面51に形成した場合に比べて、ドライバ爪23・23・・・の摩耗が一か所に集中することなく、ドライバ爪23・23・・・の寿命を向上することが可能である。
このように、加工素材5の一側端面51に凸部を形成した場合も、凹部を形成した場合と同様に、小さな押圧荷重で、ドライバ爪23・23・・・の一側端面51(詳しくは、一側端面51に形成される凸部)に対する喰い込み深さを大きくして、フェースドライバ2と加工素材5との間に生じる回転方向の滑りを防止することが可能である。
2 フェースドライバ
3 心押軸
4 バイト
5 加工素材
21 本体部
22 センターピン
23 ドライブ爪
23a 爪部
51 一側端面
51a 溝部
51b センター穴
52 他側端面
52b センター穴
Ra 保持領域
Claims (4)
- センターピンと、前記センターピンの周囲に配置される複数のドライブ爪とを備えたフェースドライバにより、その一側端面が保持された状態で、フェースドライブがなされるフェースドライブ用の加工素材であって、
前記一側端面は、
前記センターピンが嵌挿されるセンター穴と、
前記センター穴の周囲において、周方向の全ての位相において存在するように形成される凹部または凸部とを有し、
前記凹部または凸部は、前記一側端面の半径方向における、前記ドライバ爪が打ち込まれる範囲内に配置される、
ことを特徴とするフェースドライブ用の加工素材。 - 前記凹部または凸部は、
前記一側端面の周方向における少なくとも一部の位相において、
半径方向における前記ドライバ爪が打ち込まれる範囲内の複数箇所に配置されるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のフェースドライブ用の加工素材。 - 前記凹部は、
前記一側端面の半径方向と交差する方向に延出する溝である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフェースドライブ用の加工素材。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載のフェースドライブ用の加工素材における前記一側端面のセンター穴に前記フェースドライバのセンターピンを嵌挿し、前記一側端面の保持領域に前記フェースドライバのドライバ爪を打ち込むことにより、前記加工素材の一側端面を前記フェースドライバにより保持するとともに、前記加工素材の他側端面を支持部材により支持した状態で、
前記加工素材を前記フェースドライバにより前記センターピンを中心に回転駆動しながら、前記加工素材の外周を旋削加工する、
ことを特徴とするフェースドライブ用の加工素材の加工方法。
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