本開示は、モーションセンサに関し、詳しくは、制御電圧及び充電シーケンスを利用して差分容量型モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。
例えば加速度計等の力平衡型モーションセンサでは、機器出力信号が、検知される入力状態に比例することが一般に望ましい。したがって、多くのタイプの静電的及び電磁的力平衡型検知機器では、機器出力と機器入力との間の線形関係を得るために特別の手法が必要とされる。静電的及び電磁的機器では、機器フォーサによって印加される力は、フォーサに供給されるフィードバック電圧又は電流に線形に関連しない。更に、機器自体の最適動作のために、フィードバック制御ネットワークによって印加されるフィードバック力が、検知される入力と線形関係を有することが好ましい。そのため、特別な手法が、こうした線形性を得るために使用されてきた。
例えば、静電力平衡型加速度計では、閉ループシステム内において静電的フォーシングが使用されて振り子式慣性マス又はプルーフマスから出力を得る。静電的フォーシングシステムは、シリコン基板からエッチングされた振り子式部材のそれぞれの側に容量性ピックオフ電極を使用する。制御パルスが、各電極に一定量の電荷を順次付与するために使用される。電荷がそれぞれの構造上に残る時間量(例えば、デューティサイクル)を変えることによって可変の力が慣性マスに印加される。電荷がそれぞれの構造上に残る時間量は、ヌル位置を基準とする慣性マスの変位に基づく。このタイプのフォーシングシステムは、一般に、サンプル及びホールド回路と、それに続く、それぞれの構造に残る電荷を測定する比較器エラー増幅器を必要とする。同様に、制御パルスは、適切なサンプリングを可能にするため、かなりの期間、構造上に残されるべきであり、そのことが、次に、加速度計の有効性を徐々になくさせる可能性がある。
本開示は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。
一態様では、システムは、第1の電極構造と第2の電極構造との間に配設された慣性プルーフマスを有する容量センサを含む。切換えシステムは、第1の電極構造及び第2の電極構造のうちの一方に対して、正充電パルスの供給と負充電パルスの供給とを切換え可能である。コントローラは、切換え回路の切換えを制御して、充電サイクル期間のうちの第1の期間に正充電パルス又は負充電パルスを第1の電極構造に供給し、充電サイクル期間のうちの第2の期間に、第1の電極構造に供給される充電パルスとは逆極性の充電パルスを第2の電極構造に供給することにより、容量センサの慣性プルーフマスに関するエラー信号を生成する。
別の態様では、方法は、充電サイクル期間のうちの第1の期間に容量センサに対し第1の極性構成で充電パルスを印加することを含む。方法は、充電サイクル期間の第1の期間に容量センサからの第1の被測定電荷を測定することを含む。方法は、充電サイクル期間のうちの第2の期間に容量センサに対し逆の極性構成で充電パルスを印加することを含む。これは、充電サイクル期間の第2の期間に容量センサからの第2の被測定電荷をプロセッサによって測定することを含む。方法は、第1の被測定電荷と第2の被測定電荷との電荷差を測定して、その電荷差を略ゼロに減少させるデューティサイクルを確定することを含む。
更に別の態様では、加速度計は、第1の電極構造と第2の電極構造との間に配設された慣性プルーフマスを有する容量センサを含む。切換え回路は、容量センサに対して第1の電極構造に第1の極性構成で充電パルスを供給することと、容量センサに対する第2の電極構造に第1の極性構成とは逆の極性構成で充電パルスを供給することとを切換え可能である。シーケンサは、充電サイクル期間の間に容量センサの第1の電極構造及び第2の電極構造に供給すべき充電パルスの第1の極性構成及び逆の極性構成の順序を記述するフレームプロファイルを生成する。コントローラは、シーケンサから受信したフレームプロファイルに基づき切換え回路の切換えを制御して、容量センサの慣性プルーフマスに関する加速度計エラー信号を生成する。
制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステムの例を示す図である。
充電シーケンスのフレームプロファイルを生成して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化するシーケンサの例を示す図である。
制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する方法の例を示す図である。
制御電圧及び充電シーケンスを切換えて、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する例示的な切換え回路を示す図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
本開示は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。システムは、差分容量センサを利用して、移動物体の加速度を確定するコントローラを含む。線形化アプローチが、センサの導出される位置エラー信号に関してセンサの非線形静電的フォーシング関数のために提供される。大きさが等しいが極性が逆の2つの電圧源が、同じ充電サイクル期間において利用され、センサの非線形性を軽減し、また同様に、関連するセンサエレクトロニクスのパラメータエラーを軽減するように容量を充電するエラー信号を生成するデジタル制御式フォーシング関数が提供される。充電サイクル期間中に同じ極性の充電パルスを印加する従来のシステムと対照的に、同じ充電サイクル期間中に逆の充電パルスを印加することによって、1つのセンサ容量は、エラー信号を生成するため、対向する容量に電荷を付与する前に放電される必要がない。これは、従来のサンプル及びホールド回路無しでセンサエラー信号を測定することを可能にする。その理由は、エラー信号が、センサ電荷測定値を確定する前に直前の電荷を保持することなくセンサから直接測定され得るからである。
逆極性の電圧及び充電パルスの組合せがセンサに印加され、センサ切換えを実施するために使用される電子コンポーネントが、電荷漏洩及び電荷漏洩に伴うセンサフォーシング関数のエラーをもたらす作用に対して感度を低くさせられる。例示的な方法は、適切な時間におけるセンサの接続及び切断による信号サンプリングを利用し、センサは、1次制御ループがモーション信号をモニターすることを可能にすると共に、2次制御ループが絶対スケールファクタ及びスケールファクタ非対称性補正を可能にする。方法はまた、逆極性の対称パルスが複数のシーケンスにわたって印加される(例えば、1つのシーケンスではプラス及びマイナス、また、別のシーケンスではマイナス及びプラス)ことを可能にすることによって、フルスケールの力がセンサの移動要素に作用するのを軽減し、2つの逆極性の電圧及び2つのセンサ容量の種々の置換が用いられる。
図1は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム100の例を示す。システム100は、差分容量センサ(DCS)110を含み、差分容量センサ(DCS)110は、振り子(P)(慣性プルーフマスとも呼ばれる)に関して形成される第1のキャパシタ(C1)及び振り子に関して形成される第2のキャパシタ(C2)を有する。コントローラ120が使用されて、正及び負の電圧が第1及び第2のキャパシタC1及びC2にそれぞれ印加されるよう指令することによって振り子Pの移動を制御し得る。図示するように、コントローラ120は、正及び負の電圧をDCS110に印加するコマンドを切換え回路130に発行し、正及び負の電圧は、それぞれの充電サイクル期間中に印加されて、DCS110から加速度を確定する。
本明細書において、充電サイクル期間は、充電電圧がセンサに印加され、センサからのエラー信号が確定される1つの期間を指す。充電サイクルシーケンスは、充電サイクル期間中にセンサに印加される充電パルスを指す。充電サイクルシーケンスは、一方のパルスが1つの極性であり他方のパルスが逆の極性である少なくとも2つの充電パルスがそのシーケンスで印加されることを常に記述する。充電サイクルシーケンスは、図2に関して以下でより詳細に述べるフレームプロファイルにおいて述べる。1つの充電サイクルシーケンスを記述する1つのフレームプロファイルは、充電サイクル期間ごとに実行される。複数の充電サイクル期間にわたる複数のフレームプロファイルの実行は、フレームシーケンスと呼ばれる。
測定回路140は、コントローラ120からの指令される正及び負の印加電圧コマンドに基づいて第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2に付与される電荷(Q)を確定する。測定回路140は、フィードバックキャパシタCQと、電荷Qの指示を行うためにアナログ・デジタル変換器(A/D)160を駆動する出力電圧VQを有する積分器150とを含み得る。従来システムの場合と同様にDCS110の充電状態を確定するため、サンプル及びホールド回路は測定回路140によって使用されない。同様に、サンプルとホールドとの間の出力の差を測定するための電圧比較器等の他の回路要素もまた、測定回路140によって使用されない。その理由は、逆極性の充電パルスの印加が単一の充電サイクル期間中にDCS110に適用された後に、電荷測定がA/D160によって直接行われるからである。
コントローラ120内のシーケンサ170は、フレームシーケンス(例えば4つの充電サイクルシーケンス)にわたって第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2に関して印加される逆極性の電圧の順序を循環させる。例えば、1つの充電サイクル期間では、C2が最初に正にパルス印加され、次いで、C2が同じ期間中に負にパルス印加される。別の充電サイクル期間では、C2が最初に正にパルス印加され、それに続いて、C1が負にパルス印加される。更に別の充電サイクル期間では、C1が最初に負にパルス印加され、それに続いて、C2が正にパルス印加される、等である。コントローラ120は、DC(Y)で示すデューティサイクル出力コマンドを切換え回路130に発行する。デューティサイクル出力コマンドは、C1及びC2に付与される電荷によるVQからのエラー信号に基づいており、50%デューティサイクルは、モーション(例えば、加速度)が現在のところ検出されないことを示す。
正又は負の電圧が所与の充電サイクル期間中に第1のキャパシタC1に印加される場合、逆極性の正又は負の電圧が同じ充電サイクル期間中に第2のキャパシタC2に印加される。C1及びC2に対する正又は負の電圧の印加は、充電サイクル期間中に取除かれて、測定回路140による第1及び第2のキャパシタの電荷Qの確定を可能にし、また、振り子Pの移動を制御するデューティサイクルDC(Y)の確定を可能にする。切換え回路130は、制御可能な電圧源V+SRC及びV−SRCを含む。電圧源からの出力は、切換えられて、C1及びC2に印加される正及び負の電圧を供給する。V+SRCからの切換えられた出力はV1として示され、V−SRCからの切換えられた出力はV2として示される。切換えられる電圧V1及びV2は、V0と呼ばれる絶対電圧値(例えば、両方の電圧源は極性によらず10ボルトの値に保持される)に厳密に保持されるべきである。
DCS110は、DCSのC1に関連する上部電極構造とC2に関連する下部電極構造との間に配設されるプルーフマス(例えば、振り子P)を含む。本明細書において、構造という用語は、2つのプレートの一方を指すことができ、振り子が、上部電極プレートと下部電極プレートとの間に配設されて、例えば、2つのキャパシタC1及びC2を形成する。別の例では、構造という用語は、1つのキャパシタに関連する複数の交互配置された上側櫛指状部及び別のキャパシタに関連する複数の下側櫛指状部を有する櫛型構成を含むことができ、キャパシタは、振り子の移動に応答してその容量を変化させる。
プルーフマスは、上部電極構造及び下部電極構造に密接するがわずかに離間して配置され、それにより、第1のキャパシタC1は上部電極構造とプルーフマスから形成され、第2のキャパシタC2は下部電極構造とプルーフマスから形成される。一例では、システム100は、切換え回路130として働くアナログの特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。システム100はまた、例えばコントローラ120として働くフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)含み得る。コントローラ120の第1の制御ループは、充電サイクル期間中にC1及びC2に付与される電荷(又は電圧)のデューティサイクルDC(Y)を調整することによって、振り子PをDCS110内で実質的に中心に保持するように確立される。DCS110を制御するため、C1の上部電極及びC2の下部電極は、切換え回路130の内部の切換え回路によって正又は負電圧V1又はV2に結合される。
動作中、コントローラ120は、充電サイクル期間にわたってV1及びV2(正及び負)極性の電圧のそれぞれの量子化パルス再平衡型(PRB)シーケンス又はパルスオンデマンド(POD)シーケンスを生成するように切換え回路130に指令する。コントローラ120は、C1及びC2のそれぞれの各構造に対して充電サイクル期間の過程にわたる異なる時間にそれぞれの正及び負の電圧V1及びV2を指令する。それぞれの各期間中に、積分器150は、充電サイクル期間の異なる時間中にC1及びC2上に蓄積される電荷(Q)に関連する電圧VQを生成する。電荷の間の差に応じて、コントローラ120は、この差を利用して、実質的にゼロのC1とC2との間の電荷差(したがって、振り子Pが静止状態にあることを示す)を達成するために必要とされる適切な充電サイクルデューティサイクルを、V1又はV2に充電されたいずれかのキャパシタについて生成する。したがって、適切な信号を生成し、正又は負の入力加速度の反対側の電極構造にその信号を印加することによって、1次制御ループは、振り子Pを調整することができ、それにより、振り子は、各充電サイクル期間中にそれぞれの各構造から実質的に同じ距離のままになる(中心配置される)。
図2に関して以下で示され述べられるように、シーケンサ170は、切換え回路130を制御するため代替の充電サイクルシーケンスを示す種々のフレームプロファイルを一フレームシーケンスにわたって生成し得る。V1が正の電圧を示し、V2が負の電圧を示す場合、V1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2を示す4つの充電サイクルシーケンス(例えば、1フレーム当たり1つの充電サイクルシーケンス)が可能である。しかし、任意の所与の充電サイクル期間内に、キャパシタC1及びC2のそれぞれは、逆極性の電圧によって充電される(例えば、パルス印加される)。代替の充電サイクルシーケンスを記述する4つのフレームシーケンスは、順番に実行され得るか、また、以下で述べるように、ランダムに繰返されるか又は実行され得る。充電シーケンスをランダムに実行する場合、4サイクルフレームシーケンスにおいてV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2を示す4つ全ての充電の組合せが、その組合せの中の任意の所与の1つの充電を繰返す前に実行され得る。
1つ又は複数の2次制御ループ180は、コントローラ120によって実行され得る。2次制御ループ180は、例えば4つの連続する充電及び放電サイクルにわたって電荷データを蓄積することによってDCS110の絶対測定範囲及びスケールファクタを調節し安定化することが可能である。データを蓄積した後、コントローラ120は、V+及びV−として示される電圧調整コマンドを切換え回路130に発行して、電圧源V+SRC及びV−SRCをそれぞれ増加又は減少させ得る。積分器150は、それぞれの連続する充電サイクル期間中にV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2の間のそれぞれの電荷を測定する。それぞれの連続する充電サイクルシーケンスのV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2の間のそれぞれの電荷値は、次に、A/D変換器160に送信され、A/D変換器160は、電荷のデジタル表現をコントローラ120に供給する。コントローラ120は、蓄積された電荷の和及び差の推定を実施して、2次制御ループ180用のエラー信号を生成し得る。
蓄積された推定は、コントローラ120によって利用されて、V1及びV2の発生を考慮する切換え回路130によってV+SRC及び/又はV−SRC基準電圧を調整し得る。V1又はV2はスケールファクタに依存するため、スケールファクタは、DCS110の絶対測定範囲を調節し、したがって、安定した設定点を設けることによってチップ容量、温度、公差、及び経年変化の変動を補償することができ、安定した設定点は、したがって、例えばチップ容量の任意の初期公差並びに温度及び経年変化に伴う任意の変化に無関係であることになる。V+基準振幅電圧とV−基準振幅電圧との間に対称性を設けるため、2次制御ループ180はまた、スケールファクタ対称性を制御することが可能である。すなわち、V+及びV−が、逆極性を有する実質的に同じ電圧(例えば、+5V及び−5V)であることを保証することが図3に関して以下で述べられる。
処理する前に、少数の機械的/電気的関係が、以下の式で提供される。振り子Pの変位xと、変位xからの結果として生じる振り子の力と、フォーシング関数のデューティサイクルyから生じるデルタ電荷Δqが確定され得る。そのため、例えばC1が電圧V1に充電され、C2が電圧V2に充電される場合(又は、その逆も同様である)、2つのキャパシタの共通の中心電極で観測可能な、結果として生じるデルタ電荷Δq(例えば、電荷差)は、以下に基づいて確定され得る。
C1=C0/(1+x/d) …式1
C2=C0/(1+x/d) …式2
ここで、dは、キャパシタ構造間の距離であり、C0は、xがゼロに等しいときのC1又はC2の容量である。C1が電圧V1に充電され、C2が電圧V2に充電される場合、振り子Pに接続される2つのキャパシタの共通の中心電極で観測可能な、結果として生じるデルタ電荷Δqは、
Δq=V1C1+V2C2=C0[V1/(1+x/d)+V2/(1+x/d)] …式3
として示される。
ここで、V1=V0及びV2=−V0と仮定すると、観測されるデルタ電荷は、
Δq=−V0C1×2×x/d/(1−(x/d)2)=−k1・x/d/(1−(x/d)2) …式4
に簡略化された表現となる。ここで、k1=2V0C0である。
システム100は、充電及び放電が実施されている間の振り子Pの変位によるC1及びC2の差に起因する出力電圧の的確な検出を可能にする。このエラー信号が処理され利用されて、入力加速度を相殺し、振り子をそのヌル位置に保持するための静電力の量子化パルス再平衡型(PRB)又はパルスオンデマンド(POD)制御を可能にするため切換え回路130内のスイッチを制御し、それにより、システム100について加速度を確定し得る。切換え回路130は、スイッチ、電力フィルタリング、並びに、調節用の制御可能な基準電圧源V+SRC及びV−SRCを含み、また同様に、別々に示す積分器150及びA/D変換器160並びに他の補助機能を含み得る。
充電サイクル期間にわたるC1及びC2を充電するシーケンス並びに信号サンプリングは、各充電サイクル期間中にC1及びC2上に置かれる絶対電荷の測定を可能にするように制御される。キャパシタ上に置かれるこれらの電荷は、その後、最初に接続された電圧源を取除くことによってフレーム期間のフォーシング期間中に不変に保たれる。電荷がどれくらいあるかを知ること及び電荷を一定に維持することは、力が今や振り子の変位に無関係になるため、振り子のパラメータの線形化についての必要性を軽減する。図2及び3は、絶対測定範囲並びにそれと共に機器スケールファクタ及びスケールファクタ対称性を設定し安定化させるための2次制御回路180がエレクトロニクス及びDCS110内の温度及び経年変化作用を補償するため、これがどのように達成され使用されるかについての説明を行う。
図2は、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するため、充電シーケンスのフレームプロファイルを生成するシーケンサ200の例を示す。シーケンサ200は、図1に関して上述したコントローラと共に使用されて、各充電サイクル期間中に容量センサに供給される逆極性の電圧を生成するように切換え回路に指令し得る。シーケンサ200は、フレームプロファイル210〜240に示すフレームプロファイルの反復パターン(例えば、1、2、3、4、1、2、3、4)又はランダムパターン(例えば、1、3、4、2、4、2、1、3)を実行する。各プロファイルは、センサのそれぞれのキャパシタに印加される逆極性の電圧の少なくとも1つのセットを含む充電サイクルシーケンス、及び、振り子(検知又は移動マス)を静止状態に維持するため振り子を平衡させるための、計算されたデューティサイクルDC(y)に基づく放電シーケンスを含む。例えば、こうした電圧は、(t=T/2)で規定されるフレームプロファイルの中心点に対して正及び負の時間方向に計算されたデューティサイクルに従って第1の電極構造及び第2の電極構造を放電させるように、コントローラが切換え回路の切換えを制御するときに生成され得る。
4つより多いか又は少ないフレームプロファイル210〜240が、シーケンサ200によって順番に配列され、コントローラによって実行され得るが、4つのフレームプロファイルが、キャパシタ構造及び電圧源の組合せの種々の充電サイクルシーケンスが周期的に実行されることを可能にし、それが、類似の/反復的なフォーシングパターンが使用される場合に、経時的に起こり得るパラメータエラーを克服する。フレームプロファイル210〜240によって特定される充電サイクルシーケンスは、1つのフレームプロファイルにおいてV1/C1とそれに続くV2/C2を含み、別のフレームプロファイルにおいてV2/C1とそれに続くV1/C2を含み、別のフレームプロファイルにおいてV1/C2とそれに続くV2/C1を含み、別のフレームプロファイルにおいてV2/C2とそれに続くV1/C1を含む。ここで、V1及びV2は実質的に同じ大きさであるが逆極性の電圧である。
以下、フレームシーケンスとして実行され得る4つの例示的なフレームプロファイルについて説明する。ここで、Comは、それぞれのフレームプロファイル内で充電サイクルシーケンスの1つの部分を実行するコマンドを指す。図3に関して以下で述べるように、幾つかのフレームプロファイルを実行した後、2次ループが実行されて、フォーシング電圧V1及びV2の調整を可能にし得る。簡潔にするため、以下の例示的なフレームプロファイルは、フレームプロファイルの開始時にキャパシタを充電することに関連するデータの取得を示すだけである。しかし、必要とされるデューティサイクルDC(y)を達成するための更なるユーティリティが、キャパシタがフレームプロファイル内で放電される時点又はフレームプロファイル内の他の所望の時間に関連するデータを同様に取得し処理することによって獲得される場合がある。
[フレームプロファイル1]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com11:t=0にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する
Com21:t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com31:t=t2にて、C1上の電荷q11=V1C1を示す出力電圧Vq11=V1C1/Cqを測定する
Com41:t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する
Com51:t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com61:t=t5にて、デルタ電荷Δq1を示す出力電圧VΔq1=Vq11+V2C2/Cqを測定する
Com71:上記測定Vq22=V2C2/Cq=Vq11+VΔq1を使用してC2上の電荷q22を計算する
Com81:VΔq1を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy1を計算し、必要なy1に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル1の第1のサイクルは、Δq1及び電荷V1C1の測定値及びV2C2の計算値を生成する。
[フレームプロファイル2]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com12:t=0にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する
Com22:t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com32:t=t2にて、C2上の電荷q12=V1C2を示す出力電圧Vq12=V1C2/Cqを測定する
Com42:t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する
Com52:t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com62:t=t5にて、デルタ電荷Δq2を示す出力電圧VΔq2=Vq12+V2C1/Cqを測定する
Com72:上記測定Vq21=V2C1/Cq=Vq12+VΔq2を使用してC1上の電荷q21を計算する
Com82:VΔq2を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy2を計算し、必要なy2に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル2の第2のサイクルは、Δq2及び電荷V1C2の測定値及びV2C1の計算値を生成する。
[フレームプロファイル3]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com13:t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する
Com23:t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com33:t=t2にて、C1上の電荷q21=V2C1を示す出力電圧Vq21=V2C1/Cqを測定する
Com43:t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する
Com53:t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com63:t=t5にて、デルタ電荷Δq3を示す出力電圧VΔq3=Vq21+V1C2/Cqを測定する
Com73:上記測定Vq12=V1C2/Cq=Vq21+VΔq3を使用してC2上の電荷q12を計算する
Com83:VΔq3を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy3を計算し、必要なy3に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル3の第3のサイクルは、Δq3及び電荷V2C1の測定値及びV1C2の計算値を生成する。
[フレームプロファイル4]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com14:t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する
Com24:t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com34:t=t2にて、C2上の電荷q22=V2C2を示す出力電圧Vq22=V2C2/Cqを測定する
Com44:t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する
Com54:t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com64:t=t5にて、デルタ電荷Δq4を示す出力電圧VΔq4=Vq22+V1C1/Cqを測定する
Com74:上記測定Vq11=V1C1/Cq=Vq22+VΔq4を使用してC1上の電荷q11を計算する
Com84:VΔq4を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy4を計算し、必要なy4に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル4の第4のサイクルは、Δq4及び電荷V2C2の測定値及びV1C1の計算値を生成する。
上述した構造的特徴及び機能的特徴を考慮して、本発明の種々の態様による方法が図3を参照してよりよく認識される。説明を簡略化するため、方法は順番に実行されるものとして示され述べられるが、幾つかの態様が、本発明に従って、本明細書で示され述べられる他の態様と異なる順序で及び/又は同時に起こる可能性があるため、示す順序によって制限されないことが理解され認識される。更に、示す全ての特徴が、本発明の或る態様による方法を実装するために必要とされない場合がある。本方法の種々の行為は、本明細書で述べる種々の行為又はコマンドを実行するための実行可能命令を持つように構成されるプロセッサ、コンピュータ、及び/又はコントローラ等によって自動的に実行され得る。
図3は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化する方法300の例を示す。310にて、方法300は、実行される次のフレームプロファイルを得ることを含む。図2に関して先に述べたように、フレームプロファイルは、充電サイクルシーケンス及び測定期間を記述し、各充電サイクル期間中に、等しい電圧及び逆の電圧が容量センサの各容量構造に印加される。324にて、方法300は、プロファイルにて特定される第1のセンサ構造に或る電圧を印加する。幾つかのプロファイルでは、キャパシタC1が最初に特定され、他のプロファイルでは、キャパシタC2が最初に特定される。方法300の330にて、印加電圧が(例えば、図1の切換え回路130によって)取除かれ、センサ構造上の電荷が(例えば、図1の測定回路140によって)測定される。通常、図2に関して上述したように、電圧が取除かれるときとセンサ上の電荷が測定されるときとの間の時間遅延が充電サイクル期間内に存在する。
方法300の334にて、324で印加された電圧と逆極性の電圧が第2のセンサ構造に印加される。そのため、C1が、324で印加される電圧を有する場合、C2は、334で印加される逆極性の電圧を有することになる。C2が、324で印加される電圧を有する場合、C1は、334で印加される逆極性の電圧を有することになる、等である。方法300の340にて、印加電圧が、(例えば、図1の切換え回路130によって)第2のセンサ構造から取除かれ、C1及びC2のセンサ構造上の結果として得られる電荷差が(例えば、図1の測定回路140によって)測定される。通常、図2に関して上述したように、電圧が取除かれるときとセンサ上の電荷差が測定されるときとの間の時間遅延が充電サイクル期間内に存在する。
344にて、方法300は、第1の測定電荷と第2の測定電荷との電荷差を測定すること、及び、電荷差をほぼゼロに減少させる(例えば、デルタQ=0)デューティサイクルを確定することを含む。350にて、方法300は、充電/放電サイクルが終了したかどうかを判定する。350におけるこの判定は、通常、充電シーケンスを記述する4つのフレームプロファイルが実行された後に変化する。そのため、例えば4つの(又は他の所定の数の)フレームシーケンスが実行されなかった場合、方法は、310に戻るように進み、図示する1次制御ループを実行し続ける。350にて充電シーケンスが終了した(例えば、4つのフレームプロファイルが実行された)場合、方法は、354に進み、2次制御ループの実行を開始する。
方法300の354にて、充電の組合せV1、V2、C1、及びC2にわたる電荷差の確定が行われる。ここで、V1及びV2は、同じ大きさであるが逆の電圧である。4つの連続するサイクルについてのV1及びV2に関連する電荷の差は、以下の例の場合と同様に計算され得る。平均して、Δq=0(例えば、電荷差がほぼゼロである)が1次制御ループによって確立されるという条件下で、以下の仮定が行われ得る。
Diff=(V1C1+V1C2)−(V2C1+V2C2)=V1(C1+C2)−V2(C1+C2) …式5
上記式1及び式2並びにx/d<<1によって、C1+C2=2C0になるよう近似が行われることで、
Diff=2C0(V1−V2) …式6
が得られる。そして、V2=−V1=V0によって、更に、
Diff=4C0V0=4Q0 …式7
が得られる。
平均して、これは、1次制御ループが、平均してx/d<<1(Δq=0)を可能にするのに十分な帯域幅で動作する場合の有効な条件として、Δq=0に関する有効な仮定にされ得る。
方法300の360にて、上記条件が、2次低帯域幅制御ループに関して施行されて、V1=V0(V0はV1及V2の大きさ)が実質的にいつでも満たされることを確保するようV+を調整し得る。これは、測定範囲及びスケールファクタが、チップ容量C0の変動を補償するように電圧V0を選択することによって設定されうることを確立する。C0が作製公差を有し、また同様に、温度及び経年変化によって変化するため、V+及びV+と共にV0を制御することによって、測定範囲及びスケールファクタは、チップ容量初期公差並びに温度及び経年変化による変化に無関係になるように選択され制御され得る。別の例では、V−が360にて調整されることができ、V+は、その後、以下で述べるその後の行為において調整されることになる。
方法300の364にて、充電の組合せV1、V2、C1、及びC2にわたる電荷差の確定が行われる。ここで、V1及びV2は、同じ大きさであるが逆の電圧である。この例示的な2次ループでは、例えば、4つの連続するフレームプロファイル中に配備される全ての電荷の和を計算する。
平均して、Δq=0が1次制御ループによって確立されるという条件下で、以下の仮定が行われ得る。
Sum=V1C1+V1C2+V2C1+V2C2=V1(C1+C2)+V2(C1+C2)=2C0(V1+V2) …式8
ここで、V1がV0に等しくなるようにV+が制御され、V2が−V0に等しくなるようにV−が制御される場合、以下の条件式、
Sum=2C0(V0−V0)=0 …式9
が得られる。
上記条件が、2次低帯域幅制御ループに関して施行されて、V2=−V1=−V0が実質的にいつでも施行されることを確立するよう、370にてV−を調整し得る。V−が360にて調整された場合、V+は、370で調整されて、式9に基づいてスケールファクタ対称性を提供し得る。370にて、2次制御ループが実行され終了した後、方法は、310に戻るように進んで、次のフレームプロファイルを取出す。図示しないが、方法300はまた、期間の中心を基準にする放電時点を、その期間の開始及び終了に向かう正及び負の方向にデューティサイクルDC(y)に従って調整することを含み得る。こうして、方法は、移動マスに対する加速作用を相殺して、移動マスを電極の間に中心配置された状態に維持するための、必要とされる正又は負の残差電荷力を生成し得る。
図4は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する例示的な切換え回路400を示す。回路400は、上部構造(TP)416及び下部構造(BP)418を有する差分容量センサ414からの電荷を積分する積分器回路410を含む。パドル420は、上述した慣性マス又は振り子を示す。センサ414の種々の平面は、上部電極(TE)、上部シールド(TS)、パドル電極(PE)、下部シールド(BS)、及び下部電極(BE)を含む。センサ414の種々の寄生容量は430で示される。切換えネットワーク440が設けられて、450の電圧源V−及び460の電圧源V+を上部及び下部電極416及び418にそれぞれ切換える。
図5〜16は、差分容量センサについて異なる入力加速度を有する例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。例は、ゼロ、正、及び負のセンサ入力加速度について4つの連続する充電サイクルシーケンスについての考えられる充電シーケンスを示す。これらのシーケンスは、上述したように、加速度、絶対スケールファクタ、及びスケールファクタ対称性について1次及び2次制御ループを制御する信号の取得を可能にする。
例えば約10kHz(100マイクロ秒)のフレームレート及び10ビット(1024ステップ/フレーム)の所望の分解能を仮定すると、約10MHz(100ナノ秒)のクロック周波数が供給され得る。他の時間フレーム及びレートも可能である。Ron=1kΩの抵抗及びCload=100pF(チップ容量C0と浮遊/寄生容量を組合せたもの)に関する全切換えを仮定することは、(Tq)=Ron*Cload=100ナノ秒の充電/放電時定数をもたらす。そのため、信号が、所与の充電サイクル期間内で約50ppmに安定化するのに約10(Tq)期間程度かかり得る。これは、フレームプロファイルによって特定される所与の充電サイクルシーケンスのt0とt1との間の時間並びにt3とt4との間の時間が約1マイクロ秒(10クロックサイクル)程度であるべきであることを示す。これは、充電サイクルシーケンスの開始時の充電について2%よりわずかに大きい不安定範囲、及び、シーケンスの終了時の放電の安定化について約2%の不安定範囲をもたらし、加速度測定のために95%よりわずかに大きい使用可能なフレームレートを残し得る。しかし、異なる設定条件下で、充電サイクルシーケンスの95%より大きい利用が達成され得る。
図5〜8は、差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。V1/C1、V2/C2、及びVQを示す信号は垂直軸上に示され、時間は水平軸に沿って示される。図5は、加速度がゼロであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示す。図5に示すように、t=t0=0にて、電源V+を接続して、キャパシタC1をV1に充電する。t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C1上の電荷q11=V1C1を示す出力電圧Vq11=V1C1/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する。t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq1を示す出力電圧VΔq1=Vq11+V2C2/Cqを測定する。VΔq1に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC1を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC2を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図6は、加速度がゼロであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。t=t0=0にて、電源V+を接続して、キャパシタC2をV1に充電する。t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C2上の電荷q12=V1C2を示す出力電圧Vq12=V1C2/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する。t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq2を示す出力電圧VΔq2=Vq12+V2C1/Cqを測定する。VΔq2に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC2を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC1を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図7は、加速度がゼロであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示す。t=t0=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する。t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C1上の電荷q21=V2C1を示す出力電圧Vq21=V2C1/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する。t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq3を示す出力電圧VΔq3=Vq21+V1C2/Cqを測定する。VΔq3に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC1を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC2を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図8は、加速度がゼロであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する。t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C2上の電荷q22=V2C2を示す出力電圧Vq22=V2C2/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する。t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq4を示す出力電圧VΔq4=Vq22+V1C1/Cqを測定する。VΔq4に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC2を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC1を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図9〜12は、差分容量センサについての入力加速度が、正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。簡潔にするため、充電、デューティサイクル計算、及び放電サイクルシーケンスは、図5〜8に関して上述したものと実質的に同じであり、したがって、電圧印加及び時間の説明は省略される。図9は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図10は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。図11は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図12は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。
図13〜16は、差分容量センサについての入力加速度が、負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。図13は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図14は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。図15は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図16は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。
上述した説明は例である。コンポーネント及び方法の考えられる全ての組合せを述べることが可能であるのではなく、多くの更なる組合せ及び置換が可能であることを当業者は認識し得る。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲に入る全てのこうした変更、修正、及び変形を包含することが意図される。
本開示は、モーションセンサに関し、詳しくは、制御電圧及び充電シーケンスを利用して差分容量型モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。
例えば加速度計等の力平衡型モーションセンサでは、機器出力信号が、検知される入力状態に比例することが一般に望ましい。したがって、多くのタイプの静電的及び電磁的力平衡型検知機器では、機器出力と機器入力との間の線形関係を得るために特別の手法が必要とされる。静電的及び電磁的機器では、機器フォーサによって印加される力は、フォーサに供給されるフィードバック電圧又は電流に線形に関連しない。更に、機器自体の最適動作のために、フィードバック制御ネットワークによって印加されるフィードバック力が、検知される入力と線形関係を有することが好ましい。そのため、特別な手法が、こうした線形性を得るために使用されてきた。
例えば、静電力平衡型加速度計では、閉ループシステム内において静電的フォーシングが使用されて振り子式慣性マス又はプルーフマスから出力を得る。静電的フォーシングシステムは、シリコン基板からエッチングされた振り子式部材のそれぞれの側に容量性ピックオフ電極を使用する。制御パルスが、各電極に一定量の電荷を順次付与するために使用される。電荷がそれぞれの構造上に残る時間量(例えば、デューティサイクル)を変えることによって可変の力が慣性マスに印加される。電荷がそれぞれの構造上に残る時間量は、ヌル位置を基準とする慣性マスの変位に基づく。このタイプのフォーシングシステムは、一般に、サンプル及びホールド回路と、それに続く、それぞれの構造に残る電荷を測定する比較器エラー増幅器を必要とする。同様に、制御パルスは、適切なサンプリングを可能にするため、かなりの期間、構造上に残されるべきであり、そのことが、次に、加速度計の有効性を徐々になくさせる可能性がある。
米国特許第6691572号明細書
米国特許第7614300号明細書
米国特許出願公開第2012/0265481号明細書
本開示は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。
一態様では、システムは、第1の電極構造と第2の電極構造との間に配設された慣性プルーフマスを有する容量センサを含む。切換えシステムは、第1の電極構造及び第2の電極構造のうちの一方に対して、正充電パルスの供給と負充電パルスの供給とを切換え可能である。コントローラは、切換え回路の切換えを制御して、充電サイクル期間のうちの第1の期間に正充電パルス又は負充電パルスを第1の電極構造に供給し、充電サイクル期間のうちの第2の期間に、第1の電極構造に供給される充電パルスとは逆極性の充電パルスを第2の電極構造に供給することにより、容量センサの慣性プルーフマスに関するエラー信号を生成する。
別の態様では、方法は、充電サイクル期間のうちの第1の期間に容量センサに対し第1の極性構成で充電パルスを印加することを含む。方法は、充電サイクル期間の第1の期間に容量センサからの第1の被測定電荷を測定することを含む。方法は、充電サイクル期間のうちの第2の期間に容量センサに対し逆の極性構成で充電パルスを印加することを含む。これは、充電サイクル期間の第2の期間に容量センサからの第2の被測定電荷をプロセッサによって測定することを含む。方法は、第1の被測定電荷と第2の被測定電荷との電荷差を測定して、その電荷差を略ゼロに減少させるデューティサイクルを確定することを含む。
更に別の態様では、加速度計は、第1の電極構造と第2の電極構造との間に配設された慣性プルーフマスを有する容量センサを含む。切換え回路は、容量センサに対して第1の電極構造に第1の極性構成で充電パルスを供給することと、容量センサに対する第2の電極構造に第1の極性構成とは逆の極性構成で充電パルスを供給することとを切換え可能である。シーケンサは、充電サイクル期間の間に容量センサの第1の電極構造及び第2の電極構造に供給すべき充電パルスの第1の極性構成及び逆の極性構成の順序を記述するフレームプロファイルを生成する。コントローラは、シーケンサから受信したフレームプロファイルに基づき切換え回路の切換えを制御して、容量センサの慣性プルーフマスに関する加速度計エラー信号を生成する。
制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステムの例を示す図である。
充電シーケンスのフレームプロファイルを生成して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化するシーケンサの例を示す図である。
制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する方法の例を示す図である。
制御電圧及び充電シーケンスを切換えて、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する例示的な切換え回路を示す図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
差分容量センサについての入力加速度が負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電フレームプロファイルを示す例示的なタイミング図である。
本開示は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム及び方法に関する。システムは、差分容量センサを利用して、移動物体の加速度を確定するコントローラを含む。線形化アプローチが、センサの導出される位置エラー信号に関してセンサの非線形静電的フォーシング関数のために提供される。大きさが等しいが極性が逆の2つの電圧源が、同じ充電サイクル期間において利用され、センサの非線形性を軽減し、また同様に、関連するセンサエレクトロニクスのパラメータエラーを軽減するように容量を充電するエラー信号を生成するデジタル制御式フォーシング関数が提供される。充電サイクル期間中に同じ極性の充電パルスを印加する従来のシステムと対照的に、同じ充電サイクル期間中に逆の充電パルスを印加することによって、1つのセンサ容量は、エラー信号を生成するため、対向する容量に電荷を付与する前に放電される必要がない。これは、従来のサンプル及びホールド回路無しでセンサエラー信号を測定することを可能にする。その理由は、エラー信号が、センサ電荷測定値を確定する前に直前の電荷を保持することなくセンサから直接測定され得るからである。
逆極性の電圧及び充電パルスの組合せがセンサに印加され、センサ切換えを実施するために使用される電子コンポーネントが、電荷漏洩及び電荷漏洩に伴うセンサフォーシング関数のエラーをもたらす作用に対して感度を低くさせられる。例示的な方法は、適切な時間におけるセンサの接続及び切断による信号サンプリングを利用し、センサは、1次制御ループがモーション信号をモニターすることを可能にすると共に、2次制御ループが絶対スケールファクタ及びスケールファクタ非対称性補正を可能にする。方法はまた、逆極性の対称パルスが複数のシーケンスにわたって印加される(例えば、1つのシーケンスではプラス及びマイナス、また、別のシーケンスではマイナス及びプラス)ことを可能にすることによって、フルスケールの力がセンサの移動要素に作用するのを軽減し、2つの逆極性の電圧及び2つのセンサ容量の種々の置換が用いられる。
図1は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するシステム100の例を示す。システム100は、差分容量センサ(DCS)110を含み、差分容量センサ(DCS)110は、振り子(P)(慣性プルーフマスとも呼ばれる)に関して形成される第1のキャパシタ(C1)及び振り子に関して形成される第2のキャパシタ(C2)を有する。コントローラ120が使用されて、正及び負の電圧が第1及び第2のキャパシタC1及びC2にそれぞれ印加されるよう指令することによって振り子Pの移動を制御し得る。図示するように、コントローラ120は、正及び負の電圧をDCS110に印加するコマンドを切換え回路130に発行し、正及び負の電圧は、それぞれの充電サイクル期間中に印加されて、DCS110から加速度を確定する。
本明細書において、充電サイクル期間は、充電電圧がセンサに印加され、センサからのエラー信号が確定される1つの期間を指す。充電サイクルシーケンスは、充電サイクル期間中にセンサに印加される充電パルスを指す。充電サイクルシーケンスは、一方のパルスが1つの極性であり他方のパルスが逆の極性である少なくとも2つの充電パルスがそのシーケンスで印加されることを常に記述する。充電サイクルシーケンスは、図2に関して以下でより詳細に述べるフレームプロファイルにおいて述べる。1つの充電サイクルシーケンスを記述する1つのフレームプロファイルは、充電サイクル期間ごとに実行される。複数の充電サイクル期間にわたる複数のフレームプロファイルの実行は、フレームシーケンスと呼ばれる。
測定回路140は、コントローラ120からの指令される正及び負の印加電圧コマンドに基づいて第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2に付与される電荷(Q)を確定する。測定回路140は、フィードバックキャパシタCQと、電荷Qの指示を行うためにアナログ・デジタル変換器(A/D)160を駆動する出力電圧VQを有する積分器150とを含み得る。従来システムの場合と同様にDCS110の充電状態を確定するため、サンプル及びホールド回路は測定回路140によって使用されない。同様に、サンプルとホールドとの間の出力の差を測定するための電圧比較器等の他の回路要素もまた、測定回路140によって使用されない。その理由は、逆極性の充電パルスの印加が単一の充電サイクル期間中にDCS110に適用された後に、電荷測定がA/D160によって直接行われるからである。
コントローラ120内のシーケンサ170は、フレームシーケンス(例えば4つの充電サイクルシーケンス)にわたって第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2に関して印加される逆極性の電圧の順序を循環させる。例えば、1つの充電サイクル期間では、C2が最初に正にパルス印加され、次いで、C2が同じ期間中に負にパルス印加される。別の充電サイクル期間では、C2が最初に正にパルス印加され、それに続いて、C1が負にパルス印加される。更に別の充電サイクル期間では、C1が最初に負にパルス印加され、それに続いて、C2が正にパルス印加される、等である。コントローラ120は、DC(Y)で示すデューティサイクル出力コマンドを切換え回路130に発行する。デューティサイクル出力コマンドは、C1及びC2に付与される電荷によるVQからのエラー信号に基づいており、50%デューティサイクルは、モーション(例えば、加速度)が現在のところ検出されないことを示す。
正又は負の電圧が所与の充電サイクル期間中に第1のキャパシタC1に印加される場合、逆極性の正又は負の電圧が同じ充電サイクル期間中に第2のキャパシタC2に印加される。C1及びC2に対する正又は負の電圧の印加は、充電サイクル期間中に取除かれて、測定回路140による第1及び第2のキャパシタの電荷Qの確定を可能にし、また、振り子Pの移動を制御するデューティサイクルDC(Y)の確定を可能にする。切換え回路130は、制御可能な電圧源V+SRC及びV−SRCを含む。電圧源からの出力は、切換えられて、C1及びC2に印加される正及び負の電圧を供給する。V+SRCからの切換えられた出力はV1として示され、V−SRCからの切換えられた出力はV2として示される。切換えられる電圧V1及びV2は、V0と呼ばれる絶対電圧値(例えば、両方の電圧源は極性によらず10ボルトの値に保持される)に厳密に保持されるべきである。
DCS110は、DCSのC1に関連する上部電極構造とC2に関連する下部電極構造との間に配設されるプルーフマス(例えば、振り子P)を含む。本明細書において、構造という用語は、2つのプレートの一方を指すことができ、振り子が、上部電極プレートと下部電極プレートとの間に配設されて、例えば、2つのキャパシタC1及びC2を形成する。別の例では、構造という用語は、1つのキャパシタに関連する複数の交互配置された上側櫛指状部及び別のキャパシタに関連する複数の下側櫛指状部を有する櫛型構成を含むことができ、キャパシタは、振り子の移動に応答してその容量を変化させる。
プルーフマスは、上部電極構造及び下部電極構造に密接するがわずかに離間して配置され、それにより、第1のキャパシタC1は上部電極構造とプルーフマスから形成され、第2のキャパシタC2は下部電極構造とプルーフマスから形成される。一例では、システム100は、切換え回路130として働くアナログの特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。システム100はまた、例えばコントローラ120として働くフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)含み得る。コントローラ120の第1の制御ループは、充電サイクル期間中にC1及びC2に付与される電荷(又は電圧)のデューティサイクルDC(Y)を調整することによって、振り子PをDCS110内で実質的に中心に保持するように確立される。DCS110を制御するため、C1の上部電極及びC2の下部電極は、切換え回路130の内部の切換え回路によって正又は負電圧V1又はV2に結合される。
動作中、コントローラ120は、充電サイクル期間にわたってV1及びV2(正及び負)極性の電圧のそれぞれの量子化パルス再平衡型(PRB)シーケンス又はパルスオンデマンド(POD)シーケンスを生成するように切換え回路130に指令する。コントローラ120は、C1及びC2のそれぞれの各構造に対して充電サイクル期間の過程にわたる異なる時間にそれぞれの正及び負の電圧V1及びV2を指令する。それぞれの各期間中に、積分器150は、充電サイクル期間の異なる時間中にC1及びC2上に蓄積される電荷(Q)に関連する電圧VQを生成する。電荷の間の差に応じて、コントローラ120は、この差を利用して、実質的にゼロのC1とC2との間の電荷差(したがって、振り子Pが静止状態にあることを示す)を達成するために必要とされる適切な充電サイクルデューティサイクルを、V1又はV2に充電されたいずれかのキャパシタについて生成する。したがって、適切な信号を生成し、正又は負の入力加速度の反対側の電極構造にその信号を印加することによって、1次制御ループは、振り子Pを調整することができ、それにより、振り子は、各充電サイクル期間中にそれぞれの各構造から実質的に同じ距離のままになる(中心配置される)。
図2に関して以下で示され述べられるように、シーケンサ170は、切換え回路130を制御するため代替の充電サイクルシーケンスを示す種々のフレームプロファイルを一フレームシーケンスにわたって生成し得る。V1が正の電圧を示し、V2が負の電圧を示す場合、V1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2を示す4つの充電サイクルシーケンス(例えば、1フレーム当たり1つの充電サイクルシーケンス)が可能である。しかし、任意の所与の充電サイクル期間内に、キャパシタC1及びC2のそれぞれは、逆極性の電圧によって充電される(例えば、パルス印加される)。代替の充電サイクルシーケンスを記述する4つのフレームシーケンスは、順番に実行され得るか、また、以下で述べるように、ランダムに繰返されるか又は実行され得る。充電シーケンスをランダムに実行する場合、4サイクルフレームシーケンスにおいてV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2を示す4つ全ての充電の組合せが、その組合せの中の任意の所与の1つの充電を繰返す前に実行され得る。
1つ又は複数の2次制御ループ180は、コントローラ120によって実行され得る。2次制御ループ180は、例えば4つの連続する充電及び放電サイクルにわたって電荷データを蓄積することによってDCS110の絶対測定範囲及びスケールファクタを調節し安定化することが可能である。データを蓄積した後、コントローラ120は、V+及びV−として示される電圧調整コマンドを切換え回路130に発行して、電圧源V+SRC及びV−SRCをそれぞれ増加又は減少させ得る。積分器150は、それぞれの連続する充電サイクル期間中にV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2の間のそれぞれの電荷を測定する。それぞれの連続する充電サイクルシーケンスのV1/C1、V1/C2、V2/C1、及びV2/C2の間のそれぞれの電荷値は、次に、A/D変換器160に送信され、A/D変換器160は、電荷のデジタル表現をコントローラ120に供給する。コントローラ120は、蓄積された電荷の和及び差の推定を実施して、2次制御ループ180用のエラー信号を生成し得る。
蓄積された推定は、コントローラ120によって利用されて、V1及びV2の発生を考慮する切換え回路130によってV+SRC及び/又はV−SRC基準電圧を調整し得る。V1又はV2はスケールファクタに依存するため、スケールファクタは、DCS110の絶対測定範囲を調節し、したがって、安定した設定点を設けることによってチップ容量、温度、公差、及び経年変化の変動を補償することができ、安定した設定点は、したがって、例えばチップ容量の任意の初期公差並びに温度及び経年変化に伴う任意の変化に無関係であることになる。V+基準振幅電圧とV−基準振幅電圧との間に対称性を設けるため、2次制御ループ180はまた、スケールファクタ対称性を制御することが可能である。すなわち、V+及びV−が、逆極性を有する実質的に同じ電圧(例えば、+5V及び−5V)であることを保証することが図3に関して以下で述べられる。
処理する前に、少数の機械的/電気的関係が、以下の式で提供される。振り子Pの変位xと、変位xからの結果として生じる振り子の力と、フォーシング関数のデューティサイクルyから生じるデルタ電荷Δqが確定され得る。そのため、例えばC1が電圧V1に充電され、C2が電圧V2に充電される場合(又は、その逆も同様である)、2つのキャパシタの共通の中心電極で観測可能な、結果として生じるデルタ電荷Δq(例えば、電荷差)は、以下に基づいて確定され得る。
C1=C0/(1+x/d) …式1
C2=C0/(1+x/d) …式2
ここで、dは、キャパシタ構造間の距離であり、C0は、xがゼロに等しいときのC1又はC2の容量である。C1が電圧V1に充電され、C2が電圧V2に充電される場合、振り子Pに接続される2つのキャパシタの共通の中心電極で観測可能な、結果として生じるデルタ電荷Δqは、
Δq=V1C1+V2C2=C0[V1/(1+x/d)+V2/(1+x/d)] …式3
として示される。
ここで、V1=V0及びV2=−V0と仮定すると、観測されるデルタ電荷は、
Δq=−V0C1×2×x/d/(1−(x/d)2)=−k1・x/d/(1−(x/d)2) …式4
に簡略化された表現となる。ここで、k1=2V0C0である。
システム100は、充電及び放電が実施されている間の振り子Pの変位によるC1及びC2の差に起因する出力電圧の的確な検出を可能にする。このエラー信号が処理され利用されて、入力加速度を相殺し、振り子をそのヌル位置に保持するための静電力の量子化パルス再平衡型(PRB)又はパルスオンデマンド(POD)制御を可能にするため切換え回路130内のスイッチを制御し、それにより、システム100について加速度を確定し得る。切換え回路130は、スイッチ、電力フィルタリング、並びに、調節用の制御可能な基準電圧源V+SRC及びV−SRCを含み、また同様に、別々に示す積分器150及びA/D変換器160並びに他の補助機能を含み得る。
充電サイクル期間にわたるC1及びC2を充電するシーケンス並びに信号サンプリングは、各充電サイクル期間中にC1及びC2上に置かれる絶対電荷の測定を可能にするように制御される。キャパシタ上に置かれるこれらの電荷は、その後、最初に接続された電圧源を取除くことによってフレーム期間のフォーシング期間中に不変に保たれる。電荷がどれくらいあるかを知ること及び電荷を一定に維持することは、力が今や振り子の変位に無関係になるため、振り子のパラメータの線形化についての必要性を軽減する。図2及び3は、絶対測定範囲並びにそれと共に機器スケールファクタ及びスケールファクタ対称性を設定し安定化させるための2次制御回路180がエレクトロニクス及びDCS110内の温度及び経年変化作用を補償するため、これがどのように達成され使用されるかについての説明を行う。
図2は、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化するため、充電シーケンスのフレームプロファイルを生成するシーケンサ200の例を示す。シーケンサ200は、図1に関して上述したコントローラと共に使用されて、各充電サイクル期間中に容量センサに供給される逆極性の電圧を生成するように切換え回路に指令し得る。シーケンサ200は、フレームプロファイル210〜240に示すフレームプロファイルの反復パターン(例えば、1、2、3、4、1、2、3、4)又はランダムパターン(例えば、1、3、4、2、4、2、1、3)を実行する。各プロファイルは、センサのそれぞれのキャパシタに印加される逆極性の電圧の少なくとも1つのセットを含む充電サイクルシーケンス、及び、振り子(検知又は移動マス)を静止状態に維持するため振り子を平衡させるための、計算されたデューティサイクルDC(y)に基づく放電シーケンスを含む。例えば、こうした電圧は、(t=T/2)で規定されるフレームプロファイルの中心点に対して正及び負の時間方向に計算されたデューティサイクルに従って第1の電極構造及び第2の電極構造を放電させるように、コントローラが切換え回路の切換えを制御するときに生成され得る。
4つより多いか又は少ないフレームプロファイル210〜240が、シーケンサ200によって順番に配列され、コントローラによって実行され得るが、4つのフレームプロファイルが、キャパシタ構造及び電圧源の組合せの種々の充電サイクルシーケンスが周期的に実行されることを可能にし、それが、類似の/反復的なフォーシングパターンが使用される場合に、経時的に起こり得るパラメータエラーを克服する。フレームプロファイル210〜240によって特定される充電サイクルシーケンスは、1つのフレームプロファイルにおいてV1/C1とそれに続くV2/C2を含み、別のフレームプロファイルにおいてV2/C1とそれに続くV1/C2を含み、別のフレームプロファイルにおいてV1/C2とそれに続くV2/C1を含み、別のフレームプロファイルにおいてV2/C2とそれに続くV1/C1を含む。ここで、V1及びV2は実質的に同じ大きさであるが逆極性の電圧である。
以下、フレームシーケンスとして実行され得る4つの例示的なフレームプロファイルについて説明する。ここで、Comは、それぞれのフレームプロファイル内で充電サイクルシーケンスの1つの部分を実行するコマンドを指す。図3に関して以下で述べるように、幾つかのフレームプロファイルを実行した後、2次ループが実行されて、フォーシング電圧V1及びV2の調整を可能にし得る。簡潔にするため、以下の例示的なフレームプロファイルは、フレームプロファイルの開始時にキャパシタを充電することに関連するデータの取得を示すだけである。しかし、必要とされるデューティサイクルDC(y)を達成するための更なるユーティリティが、キャパシタがフレームプロファイル内で放電される時点又はフレームプロファイル内の他の所望の時間に関連するデータを同様に取得し処理することによって獲得される場合がある。
[フレームプロファイル1]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com11:t=0にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する
Com21:t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com31:t=t2にて、C1上の電荷q11=V1C1を示す出力電圧Vq11=V1C1/Cqを測定する
Com41:t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する
Com51:t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com61:t=t5にて、デルタ電荷Δq1を示す出力電圧VΔq1=Vq11+V2C2/Cqを測定する
Com71:上記測定Vq22=V2C2/Cq=Vq11+VΔq1を使用してC2上の電荷q22を計算する
Com81:VΔq1を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy1を計算し、必要なy1に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル1の第1のサイクルは、Δq1及び電荷V1C1の測定値及びV2C2の計算値を生成する。
[フレームプロファイル2]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com12:t=0にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する
Com22:t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com32:t=t2にて、C2上の電荷q12=V1C2を示す出力電圧Vq12=V1C2/Cqを測定する
Com42:t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する
Com52:t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com62:t=t5にて、デルタ電荷Δq2を示す出力電圧VΔq2=Vq12+V2C1/Cqを測定する
Com72:上記測定Vq21=V2C1/Cq=Vq12+VΔq2を使用してC1上の電荷q21を計算する
Com82:VΔq2を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy2を計算し、必要なy2に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル2の第2のサイクルは、Δq2及び電荷V1C2の測定値及びV2C1の計算値を生成する。
[フレームプロファイル3]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com13:t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する
Com23:t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com33:t=t2にて、C1上の電荷q21=V2C1を示す出力電圧Vq21=V2C1/Cqを測定する
Com43:t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する
Com53:t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com63:t=t5にて、デルタ電荷Δq3を示す出力電圧VΔq3=Vq21+V1C2/Cqを測定する
Com73:上記測定Vq12=V1C2/Cq=Vq21+VΔq3を使用してC2上の電荷q12を計算する
Com83:VΔq3を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy3を計算し、必要なy3に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル3の第3のサイクルは、Δq3及び電荷V2C1の測定値及びV1C2の計算値を生成する。
[フレームプロファイル4]
初期条件:C1及びC2は、サイクル(フレームレート)の開始時に電荷を持たない
Com14:t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する
Com24:t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する
Com34:t=t2にて、C2上の電荷q22=V2C2を示す出力電圧Vq22=V2C2/Cqを測定する
Com44:t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する
Com54:t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する
Com64:t=t5にて、デルタ電荷Δq4を示す出力電圧VΔq4=Vq22+V1C1/Cqを測定する
Com74:上記測定Vq11=V1C1/Cq=Vq22+VΔq4を使用してC1上の電荷q11を計算する
Com84:VΔq4を使用して、主フィードバックループを閉じるのに必要なデューティサイクルy4を計算し、必要なy4に従ってC1及びC2を放電させることによりΔq=0を達成する
このフレームプロファイル4の第4のサイクルは、Δq4及び電荷V2C2の測定値及びV1C1の計算値を生成する。
上述した構造的特徴及び機能的特徴を考慮して、本発明の種々の態様による方法が図3を参照してよりよく認識される。説明を簡略化するため、方法は順番に実行されるものとして示され述べられるが、幾つかの態様が、本発明に従って、本明細書で示され述べられる他の態様と異なる順序で及び/又は同時に起こる可能性があるため、示す順序によって制限されないことが理解され認識される。更に、示す全ての特徴が、本発明の或る態様による方法を実装するために必要とされない場合がある。本方法の種々の行為は、本明細書で述べる種々の行為又はコマンドを実行するための実行可能命令を持つように構成されるプロセッサ、コンピュータ、及び/又はコントローラ等によって自動的に実行され得る。
図3は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量モーションセンサの種々のパラメータの性能を最適化する方法300の例を示す。310にて、方法300は、実行される次のフレームプロファイルを得ることを含む。図2に関して先に述べたように、フレームプロファイルは、充電サイクルシーケンス及び測定期間を記述し、各充電サイクル期間中に、等しい電圧及び逆の電圧が容量センサの各容量構造に印加される。324にて、方法300は、プロファイルにて特定される第1のセンサ構造に或る電圧を印加する。幾つかのプロファイルでは、キャパシタC1が最初に特定され、他のプロファイルでは、キャパシタC2が最初に特定される。方法300の330にて、印加電圧が(例えば、図1の切換え回路130によって)取除かれ、センサ構造上の電荷が(例えば、図1の測定回路140によって)測定される。通常、図2に関して上述したように、電圧が取除かれるときとセンサ上の電荷が測定されるときとの間の時間遅延が充電サイクル期間内に存在する。
方法300の334にて、324で印加された電圧と逆極性の電圧が第2のセンサ構造に印加される。そのため、C1が、324で印加される電圧を有する場合、C2は、334で印加される逆極性の電圧を有することになる。C2が、324で印加される電圧を有する場合、C1は、334で印加される逆極性の電圧を有することになる、等である。方法300の340にて、印加電圧が、(例えば、図1の切換え回路130によって)第2のセンサ構造から取除かれ、C1及びC2のセンサ構造上の結果として得られる電荷差が(例えば、図1の測定回路140によって)測定される。通常、図2に関して上述したように、電圧が取除かれるときとセンサ上の電荷差が測定されるときとの間の時間遅延が充電サイクル期間内に存在する。
344にて、方法300は、第1の測定電荷と第2の測定電荷との電荷差を測定すること、及び、電荷差をほぼゼロに減少させる(例えば、デルタQ=0)デューティサイクルを確定することを含む。350にて、方法300は、充電/放電サイクルが終了したかどうかを判定する。350におけるこの判定は、通常、充電シーケンスを記述する4つのフレームプロファイルが実行された後に変化する。そのため、例えば4つの(又は他の所定の数の)フレームシーケンスが実行されなかった場合、方法は、310に戻るように進み、図示する1次制御ループを実行し続ける。350にて充電シーケンスが終了した(例えば、4つのフレームプロファイルが実行された)場合、方法は、354に進み、2次制御ループの実行を開始する。
方法300の354にて、充電の組合せV1、V2、C1、及びC2にわたる電荷差の確定が行われる。ここで、V1及びV2は、同じ大きさであるが逆の電圧である。4つの連続するサイクルについてのV1及びV2に関連する電荷の差は、以下の例の場合と同様に計算され得る。平均して、Δq=0(例えば、電荷差がほぼゼロである)が1次制御ループによって確立されるという条件下で、以下の仮定が行われ得る。
Diff=(V1C1+V1C2)−(V2C1+V2C2)=V1(C1+C2)−V2(C1+C2) …式5
上記式1及び式2並びにx/d<<1によって、C1+C2=2C0になるよう近似が行われることで、
Diff=2C0(V1−V2) …式6
が得られる。そして、V2=−V1=V0によって、更に、
Diff=4C0V0=4Q0 …式7
が得られる。
平均して、これは、1次制御ループが、平均してx/d<<1(Δq=0)を可能にするのに十分な帯域幅で動作する場合の有効な条件として、Δq=0に関する有効な仮定にされ得る。
方法300の360にて、上記条件が、2次低帯域幅制御ループに関して施行されて、V1=V0(V0はV1及V2の大きさ)が実質的にいつでも満たされることを確保するようV+を調整し得る。これは、測定範囲及びスケールファクタが、チップ容量C0の変動を補償するように電圧V0を選択することによって設定されうることを確立する。C0が作製公差を有し、また同様に、温度及び経年変化によって変化するため、V+及びV+と共にV0を制御することによって、測定範囲及びスケールファクタは、チップ容量初期公差並びに温度及び経年変化による変化に無関係になるように選択され制御され得る。別の例では、V−が360にて調整されることができ、V+は、その後、以下で述べるその後の行為において調整されることになる。
方法300の364にて、充電の組合せV1、V2、C1、及びC2にわたる電荷差の確定が行われる。ここで、V1及びV2は、同じ大きさであるが逆の電圧である。この例示的な2次ループでは、例えば、4つの連続するフレームプロファイル中に配備される全ての電荷の和を計算する。
平均して、Δq=0が1次制御ループによって確立されるという条件下で、以下の仮定が行われ得る。
Sum=V1C1+V1C2+V2C1+V2C2=V1(C1+C2)+V2(C1+C2)=2C0(V1+V2) …式8
ここで、V1がV0に等しくなるようにV+が制御され、V2が−V0に等しくなるようにV−が制御される場合、以下の条件式、
Sum=2C0(V0−V0)=0 …式9
が得られる。
上記条件が、2次低帯域幅制御ループに関して施行されて、V2=−V1=−V0が実質的にいつでも施行されることを確立するよう、370にてV−を調整し得る。V−が360にて調整された場合、V+は、370で調整されて、式9に基づいてスケールファクタ対称性を提供し得る。370にて、2次制御ループが実行され終了した後、方法は、310に戻るように進んで、次のフレームプロファイルを取出す。図示しないが、方法300はまた、期間の中心を基準にする放電時点を、その期間の開始及び終了に向かう正及び負の方向にデューティサイクルDC(y)に従って調整することを含み得る。こうして、方法は、移動マスに対する加速作用を相殺して、移動マスを電極の間に中心配置された状態に維持するための、必要とされる正又は負の残差電荷力を生成し得る。
図4は、制御電圧及び充電シーケンスを利用して、差分容量加速度計の種々のパラメータの性能を最適化する例示的な切換え回路400を示す。回路400は、上部構造(TP)416及び下部構造(BP)418を有する差分容量センサ414からの電荷を積分する積分器回路410を含む。パドル420は、上述した慣性マス又は振り子を示す。センサ414の種々の平面は、上部電極(TE)、上部シールド(TS)、パドル電極(PE)、下部シールド(BS)、及び下部電極(BE)を含む。センサ414の種々の寄生容量は430で示される。切換えネットワーク440が設けられて、450の電圧源V−及び460の電圧源V+を上部及び下部電極416及び418にそれぞれ切換える。
図5〜16は、差分容量センサについて異なる入力加速度を有する例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。例は、ゼロ、正、及び負のセンサ入力加速度について4つの連続する充電サイクルシーケンスについての考えられる充電シーケンスを示す。これらのシーケンスは、上述したように、加速度、絶対スケールファクタ、及びスケールファクタ対称性について1次及び2次制御ループを制御する信号の取得を可能にする。
例えば約10kHz(100マイクロ秒)のフレームレート及び10ビット(1024ステップ/フレーム)の所望の分解能を仮定すると、約10MHz(100ナノ秒)のクロック周波数が供給され得る。他の時間フレーム及びレートも可能である。Ron=1kΩの抵抗及びCload=100pF(チップ容量C0と浮遊/寄生容量を組合せたもの)に関する全切換えを仮定することは、(Tq)=Ron*Cload=100ナノ秒の充電/放電時定数をもたらす。そのため、信号が、所与の充電サイクル期間内で約50ppmに安定化するのに約10(Tq)期間程度かかり得る。これは、フレームプロファイルによって特定される所与の充電サイクルシーケンスのt0とt1との間の時間並びにt3とt4との間の時間が約1マイクロ秒(10クロックサイクル)程度であるべきであることを示す。これは、充電サイクルシーケンスの開始時の充電について2%よりわずかに大きい不安定範囲、及び、シーケンスの終了時の放電の安定化について約2%の不安定範囲をもたらし、加速度測定のために95%よりわずかに大きい使用可能なフレームレートを残し得る。しかし、異なる設定条件下で、充電サイクルシーケンスの95%より大きい利用が達成され得る。
図5〜8は、差分容量センサについての入力加速度がゼロであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。V1/C1、V2/C2、及びVQを示す信号は垂直軸上に示され、時間は水平軸に沿って示される。図5は、加速度がゼロであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示す。図5に示すように、t=t0=0にて、電源V+を接続して、キャパシタC1をV1に充電する。t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C1上の電荷q11=V1C1を示す出力電圧Vq11=V1C1/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する。t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq1を示す出力電圧VΔq1=Vq11+V2C2/Cqを測定する。VΔq1に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC1を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC2を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図6は、加速度がゼロであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。t=t0=0にて、電源V+を接続して、キャパシタC2をV1に充電する。t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C2上の電荷q12=V1C2を示す出力電圧Vq12=V1C2/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する。t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq2を示す出力電圧VΔq2=Vq12+V2C1/Cqを測定する。VΔq2に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC2を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC1を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図7は、加速度がゼロであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示す。t=t0=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC1をV2に充電する。t=t1にて、キャパシタC1から電圧源V−を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C1上の電荷q21=V2C1を示す出力電圧Vq21=V2C1/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC2をV1に充電する。t=t4にて、キャパシタC2から電圧源V+を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq3を示す出力電圧VΔq3=Vq21+V1C2/Cqを測定する。VΔq3に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC1を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC2を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図8は、加速度がゼロであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。t=0にて、電圧源V−に接続して、キャパシタC2をV2に充電する。t=t1にて、キャパシタC2から電圧源V−を外し、C2をフローティング状態に維持する。t=t2にて、C2上の電荷q22=V2C2を示す出力電圧Vq22=V2C2/Cqを測定する。t=t3にて、電圧源V+に接続して、キャパシタC1をV1に充電する。t=t4にて、キャパシタC1から電圧源V+を外し、C1をフローティング状態に維持する。t=t5にて、デルタ電荷Δq4を示す出力電圧VΔq4=Vq22+V1C1/Cqを測定する。VΔq4に基づいてデューティサイクルDC(Y)を計算し、時間t6=(1+Y)T/2にてC2を放電させ、時間t7=t3+(1−Y)T/2にてC1を放電させる。ここで、Tは1フレーム期間についての持続時間に等しい。
図9〜12は、差分容量センサについての入力加速度が、正のほぼフルスケールであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。簡潔にするため、充電、デューティサイクル計算、及び放電サイクルシーケンスは、図5〜8に関して上述したものと実質的に同じであり、したがって、電圧印加及び時間の説明は省略される。図9は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図10は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。図11は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図12は、加速度が正のほぼフルスケールであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。
図13〜16は、差分容量センサについての入力加速度が、負のほぼフルスケールであるときの例示的な充電サイクルシーケンスを示す例示的なタイミング図を示す。図13は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV1/C1及びV2/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図14は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV1/C2及びV2/C1の充電サイクルシーケンスを示す。図15は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV2/C1及びV1/C2の充電サイクルシーケンスを示し、図16は、加速度が負のほぼフルスケールであるときのV2/C2及びV1/C1の充電サイクルシーケンスを示す。
上述した説明は例である。コンポーネント及び方法の考えられる全ての組合せを述べることが可能であるのではなく、多くの更なる組合せ及び置換が可能であることを当業者は認識し得る。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲に入る全てのこうした変更、修正、及び変形を包含することが意図される。