JP2015230207A - 移動式出入管理システム - Google Patents
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Abstract
Description
一方、原子炉等の事故の発生により発電所の構内外へ放射性物質が飛散した場合等には、飛散箇所等への自由な出入を禁止するため屋外等に一時的な管理区域が設定され、この管理区域への立入を許可された放射線業務従事者によって放射性物質の除染をはじめとして事故被害の後処理、復旧作業等が行われる。
しかし、このような場合に、事故現場へ速やかに移動することの可能な、出入管理設備や、放射性物質の除染これによる放射性廃棄物の保管・搬出を安全に行うことのできる除染・廃棄設備が十分に開発されていなかったことから、出入管理等を機動的かつ確実に実施することが不可能である結果、迅速かつ効率的な除染作業や復旧作業が困難であるという課題があった。このことは放射線業務従事者の被曝管理にも大きく影響し、健康管理及び法令順守の観点からも重大な課題となっていた。
そこで、このような課題を解決する目的で、近年、移動式の除染・廃棄設備等に関する技術が開発されており、それに関して既に発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された車載式汚染空気および汚染水浄化装置に関する発明は、放射性物質を含む汚染空気の吸気口と、放射性物質を除去した浄化空気の排気口とが離間して形成され、かつ自動車に着脱自在に搭載される箱状容器と、箱状容器に設けられ、吸気口から箱状容器の内部空間に汚染空気を吸い込んで排気口から排気する送風機と、箱状容器の内部空間のうち、吸気口の形成領域と排気口の形成領域との間に設けられて、箱状容器の内部空間を吸気口側と排気口側とに仕切り、かつ放射性物質を吸着する放射性物質吸着剤が付着した不織布を主材料とするフィルタユニットと、箱状容器に設けられ、放射性物質を含む汚染水をフィルタユニットに供給する給水ノズルと、箱状容器に設けられ、放射性物質を含む汚染水を給水ノズルに送水する送水手段とを備えたことを特徴とする。
このような特徴を備えた車載式汚染空気および汚染水浄化装置においては、汚染空気および汚染水浄化装置が道路を利用して保管基地から原子炉の事故現場まで迅速に輸送される。現場到着後、放射性物質を含む汚染水の浄化時には、汚染水中の放射性物質がフィルタユニットにより捕獲される。一方、放射性物質を含む汚染空気の浄化時には、汚染空気中の放射性物質が、フィルタユニットの放射性物質吸着剤により捕獲される。
したがって、原子炉建屋の非常用ガス処理施設や廃液処理装置が稼働停止の緊急事態が発生した場合に、早急に原子炉建屋の屋内外の汚染空気中または原子力発電プラント内で発生した汚染水(廃液)中から放射性物質を除去することができる。
特許文献2に開示された放射性廃棄物処理システムに関する発明は、放射性固体廃棄物を受入れ,放射性固体廃棄物発生現場からの情報の読取りおよび廃棄物移送容器からの取出し,移し替えをする受入れユニットと、この受入れユニットで受け入れた放射性固体廃棄物に対し放射能レベルおよび放射能種類を測定し放射性廃棄物と一般廃棄物を判別する受入れ測定ユニットと、この受入れ測定ユニットで判別された除染可能廃棄物について所定の放射能レベルまで放射能を低減する除染処理を行う除染ユニットと、この除染ユニットで除染後に再び放射能レベルを測定し所定の放射能レベルまで除染できた廃棄物と除染できなかった廃棄物とに測定,弁別する除染後測定ユニットからなり、各々のユニットは移動可能で廃棄物の出入口を有する処理ユニット車に収納され、相互に関連する各々のユニットが接続モジュールで連結されていることを特徴とする。
このような特徴を有する放射性廃棄物処理システムにおいては、放射性廃棄物の発生現場に速やかに移動し、処理ユニットを接続モジュールを介して接続することにより放射性廃棄物の処理システムが構成される。また、放射性廃棄物の処理は各ユニット毎に行われることから、それぞれのユニットの数を適宜調整することで処理能力を向上することができる。
特許文献3に開示された移動式の医療施設に関する発明は、床領域を画成し、少なくとも第1及び第2の形態を有しているトレーラーであって、第2の形態において、トレーラーの床領域は、患者を治療するための複数の治療区画を設けるのに十分な大きさを有し、第1の形態において、トレーラーの床領域は、トレーラーの運搬を可能にするために縮小されるようなトレーラーを備えていることを特徴とする。
このような特徴を有する移動式の医療施設においては、災害後に大規模な運搬手段を必要とすることなく容易に道路上を運搬される。また、最小の人手で短時間の内に災害地域に運搬されてその近くで組み立てられる。したがって、救命診療に必要な手術等を災害現場で行うことが可能であり、またこれに必要な大量の器材を同時に運搬することができる。さらに、移動式の医療施設は、完全な自給自足が可能であり、発電機、飲料水の引込み、生体有害廃棄物処理、照明、暖房、空調等の設備を含むことができることから、永続的な医療システムを実現することが可能である。
さらに、元々放射線業務従事者に対する被曝管理を目的とするものではなく、被曝量の測定や除染等を可能とする意図はなく、そのような作用、効果を発揮することができないという課題があった。
また、本発明においては放射線廃棄物を合理的かつ効率的に処理する目的でなされたものであり、特許文献1に開示された発明と同様に、放射線業務従事者に対する被曝管理を目的とするものではなく、被曝量の測定、除染、作業によって生じる放射性廃棄物の安全な処理や保管を可能とするものではない。
従って、例えば一般治療と外科診療とを提供するためにそれぞれの治療エリアを分けるための間仕切りを備える構成があるものの、その間仕切りは単にエリアの分割を目的とするものであり、それぞれのエリアは放射線管理レベルのような共通の物理的な意義に基いて形成されるものではない。また、トレーラーについては、それぞれ機能を備えた複数台のトレーラーが連結されるケースも開示されているが、エリアと同様にそれらのトレーラーに共通する物理的な意義で構成されているものではない。
したがって、特許文献3に開示された発明では、放射線管理という共通の意義に基きながらエリアを形成しつつ、しかも、放射性廃棄物の処理や放射線業務従事者の被曝管理を行うために必要な機能を適切なエリア内で発揮できる発明に適用することは困難であった。
また、第1の箱状体は、外部と区画された構造であって、放射線を遮蔽可能な遮蔽壁で形成される。
なお、原子炉事故等の緊急作業の際に管理区域内で行われる作業としては、放射性物質の除染作業や、破損した設備の修復作業等が考えられる。
このように、入域処理モジュールが従事者の管理区域への立入の管理、洗浄等・保管モジュールが従事者の洗浄及び放射性廃棄物の保管、退域処理モジュールが管理区域からの退出の管理を行うことから、移動式出入管理システムにおいては、洗浄等・保管モジュール、退域処理モジュール、入域処理モジュールとなるにつれ、放射線の線量や放射性物質の空気中濃度あるいは放射能による汚染の可能性等がより低下する傾向となる。
このような構成の移動式出入管理システムにおいては、請求項1記載の発明の作用に加えて、移動式出入管理システムの使用中において、従事者が管理区域へ立ち入る際は、入域処理モジュールの入口、入域処理モジュールの立入口という順の経路をたどる。また、従事者が管理区域から退出する際は、洗浄等・保管モジュールの受入口、第2の連絡口、第1の連絡口、入域処理モジュールの出口という順の経路をたどる。また、放射性廃棄物を搬出する搬出口は、上記従事者がたどる2つの経路(動線)と交差することのない独立したものとして設置される。
また、前述したように、洗浄等・保管モジュール、退域処理モジュール、入域処理モジュールとなるにつれ、放射線の線量あるいは放射能による汚染の可能性等がより低下する傾向となるように配置されている。この配置の一部として、第1の箱状体及び第1乃至第4の扉が備えられる。
このような構成の移動式出入管理システムにおいて、立入用更衣設備とは、未使用の作業衣、手袋、帽子、靴下、下着等が常備される棚等である。また、携帯型の放射線被曝線量測定器とは、従事者の被曝線量を測定するための測定器であって、従事者の身体に装着することで管理区域に立ち入っている間の積算線量等が測定される。さらに、物品汚染検査装置とは、管理区域内で使用した工具等の表面に付着した放射性物質の残存の有無を検査するための放射線測定器である。なお、この工具等は、作業衣等と異なり、使い捨てにされないものが想定される。
このような構成の移動式出入管理システムにおいては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、各モジュールがすべて搭載された1台の移動手段が事故現場へ移動することで、速やかに除染作業等が開始される。
なお、「移動手段に搭載される」とは、すべてのモジュールを搭載して移動及びそのまま使用される場合と、移動時のみ搭載され事故現場では搭載されずに使用される場合の2通りの概念を含むものである。請求項5においても同様である。
このような構成の移動式出入管理システムにおいては、従事者が入域処理モジュール、退域処理モジュール、洗浄等・保管モジュールの順で移動可能に、各モジュールが配列される。
上記構成の移動式出入管理システムにおいては、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、除染作業等の規模に応じて各モジュールの台数が適宜調整される。
このような構成の移動式出入管理システムにおいて、所持品収容庫とは、従事者の管理区域に持ち込まない衣服や所持品を収容するものである。また、第2及び第3の箱状体は第1の箱状体と同様な構造である。
そして、第3の連絡口には移動中を考慮して扉体が設けられる。なお、装備提供モジュール及び入域管理モジュールには、作業前の従事者及び退域処理が完了した従事者が立ち入るため、この扉体は必ずしも第1乃至第4の扉のような気密性及び水密性を有する必要はないものの、風雨等を考慮すればこれらの特性を有していることが望ましい。
なお、本願特許請求の範囲及び明細書では、便宜上、入域管理モジュールと入域処理モジュールを区別して使用している。入域管理モジュールは、装備提供モジュールと共に入域処理モジュールに含まれる概念である。
このような構成の移動式出入管理システムにおいては、請求項6記載の発明の作用に加えて、装備提供モジュール、入域管理モジュール及び退域処理モジュールは、それぞれ設置される装置や設備が対称的に設置され、又はそれぞれの箱状体の中央部分に直列して設置されることから、各モジュールにおいて装置や設備の荷重が均等に分散される。したがって、移動中において、例えばカーブでの転倒の危険性が軽減される。なお、各モジュールにおける装置や設備の配置は、荷重が均等に分散される限り、特に限定されない。
このような構成の移動式出入管理システムにおいて、入域処理モジュールの入域処理装置と一体的に、又は入域処理装置に近接して設置される。したがって、本請求項に係る移動式出入管理システムにおいては、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、退域処理装置の設置スペースが削減されるとともに、入域処理装置の通信手段と退域処理装置の通信手段が共通化される。
また、上記各モジュールは、事故処理や復旧作業及び除染作業等の開始から終了までの流れに沿うように従事者の移動経路を設置可能であることから、除染作業等を滞らせることなく実施可能である。
加えて、使用後の洗浄水や作業衣等が回収されたタンク及び保管設備は速やかに交換可能であることから、洗浄等で発生した放射性廃棄物の処理が滞ることがなく、除染作業等の円滑な実施が可能であるとともに、交換時の被曝を最低限に留めることができる。
図1に示すように、本実施例に係る移動式出入管理システム1は、入域処理モジュール2と、洗浄等・保管モジュール3と、退域処理モジュール4と、から成り、1台のトラック51の運転席51aの後部に搭載される。
入域処理モジュール2には、入域処理通路2bの側方に設置される入域処理装置2aと、立入用更衣設備2cと、携帯型の放射線被曝線量測定器の備品庫2dと、所持品収容庫2eと、が備えられる。入域処理装置2aは、従事者毎の管理区域50への立入時における識別情報を管理するために設置される。なお、識別情報とは、従事者の氏名、識別番号、性別、年齢、過去の立入日時等である。そして、立入用更衣設備2cは、未使用の作業衣(防護服)、手袋、帽子、靴下、下着等が常備されるキャビネットである。また、携帯型の放射線被曝線量測定器としては従事者の被曝積算線量を測定するものや現場の線量率を測定しながら直読可能なアラーム付きメーター等がある。そして、所持品収容庫2eは、従事者の管理区域に持ち込まない衣服や所持品を収容するものである。
退域処理モジュール4には、放射線モニター4aと、退域処理装置4bと、物品汚染検査装置4cと、が備えられる。放射線モニター4aは、洗浄等の完了後において従事者の体表面に残存する放射性物質を検出するために設置され、退域処理装置4bは、従事者毎の管理区域からの退出時における識別情報を管理するために設置される。物品汚染検査装置4cは、管理区域50内で使用した物品の放射性物質による汚染を検査するための放射線測定器である。なお、この物品とは、管理区域内に持ち込まれる洗浄機、掃除機、運搬具、照明具、通信機、放射線測定器及び分解工具等である。
また、入域処理装置2a及び退域処理装置4bは、それぞれ無線通信手段15a,15bを介し、トラック51の外部に設置される入域処理制御部15に対して無線通信可能に構成される。もちろん、無線通信手段15a,15bに代えてケーブル等による有線通信手段を用いてもよい。
箱状体5は、外部と区画された構造であって、鉛や鉄等の金属材からなる放射線を遮蔽可能な遮蔽壁で形成される。また、箱状体5内部の壁や床の表面は、平滑であり、気体又は液体が浸透しにくく、かつ、腐食しにくく張り替えが容易な合成樹脂材料、例えばリノリウムで仕上げられる。
退域処理モジュール4は、連絡口7cと、洗浄等・保管モジュール3と連絡する連絡口8a,8bを備える。連絡口8aは従事者が直接退域処理モジュール4へ移動するために設けられ、連絡口8bは従事者が物品汚染検査装置4cを使用するために設けられる。
洗浄等・保管モジュール3は、連絡口8a,8bと、管理区域50から退出する従事者を受け入れる受入口9aと、保管庫3cに密封保管された放射性廃棄物を搬出する搬出口9bと、を備える。
さらに、入域処理モジュール2の入口7a及び出口7dと、立入口7bは、それぞれ扉10dと同様な構成の扉10f〜10hが1枚ずつ設けられる。
入域処理モジュール2、退域処理モジュール4及び洗浄等・保管モジュール3は、この順に、放射線の線量や放射性物質の空気中濃度あるいは放射能による汚染の可能性等がより増加する傾向にあり、これらは放射線管理という共通した観点、尺度からモジュール化されており、それぞれのモジュールに想定される放射線管理の基準に沿って機能を発揮する装置や設備が設置されている。
また、このように放射線の管理レベルが異なるモジュールが連絡口7c,8a,8bを介して連絡されることから、これらの連絡口はそれぞれ2つのモジュールで共用しながら、これらに設けられる扉10a〜10cを2枚の金属板で構成することで、これら2枚の金属板の中間で境界を形成している。
より詳細には、従事者は、入域処理モジュール2の入口7aから立ち入り、立入用更衣設備2cから必要な作業衣等を取り出し、さらに備品庫2dからアラーム付きメーターを取り出す。そして、作業衣に更衣してアラーム付きメーターを装着するとともに所持品収容庫2eに所持品等を保管した後、入域処理通路2bから入域処理装置2aの側方を通過して立入口7bに進入し管理区域50へ立ち入る。なお、従事者は、自身の識別情報が記憶される識別情報記憶媒体(図示せず)を所持しており、入域処理装置2aを通過することにより、その識別情報が入域処理装置2aによって読み取られる。読み取られた識別情報は、入域処理制御部15(図2参照)に対して無線送信され、その従事者が管理区域50へ立ち入ったことが入域処理制御部15によって認識・記録される。
さらに、従事者は、連絡口8aを通過して退域処理モジュール4に移動し、自身の体表面に放射性物質が残存しているか否かを放射線モニター4aによって検査する。残存が検出された場合は、再び手洗いユニット3a又はシャワーユニット3bによる洗浄が行われる。残存が検出されない場合は、識別情報記憶媒体を所持して退域処理装置4bの側方を通過することにより、入域処理モジュール2に戻る。このとき、退域処理装置4bによってその識別情報が読み取られ、その従事者が管理区域50から退出したことが入域処理制御部15によって認識・記録される。
入域処理モジュール2に戻った従事者は、所持品収容庫2eで所持品を取り出し、備品庫2dにアラーム付きメーターを戻した後、出口7dより入域処理モジュール2から退出する。
また、従事者が、入域処理モジュール2、洗浄等・保管モジュール3、退域処理モジュール4に沿って移動することによって、除染作業等を滞らせることなく実施可能である。しかも、従事者が管理区域へ立ち入る際及び管理区域から退出する際の2つの経路、及び搬出口は、それぞれ独立したものであると同時に管理区域から退出する際には、放射線管理が最も厳しい洗浄等・保管モジュール3から退域処理モジュール4を経て放射線管理が最も厳しくない入域処理モジュール2へ移動する際に、厳しい側への逆行もできない経路となっていることから、除染作業前の従事者と、作業後の従事者と、放射性廃棄物とが接触することを防止可能であり、従事者の被曝の軽減や管理を効率的かつ高い安全性の下に行うことができる。
なお、上記の移動経路は、放射線業務を行うために必須かつ最も機能的なものである。したがって、移動式出入管理システム1は、原子炉事故の緊急時において最低限必要な設備でありながらも過剰でなく、適切な規模の設備であると言える。加えて、一般的なトラック51に移動式出入管理システム1が搭載され、比較的コンパクトに構成されることによっても、容易に移動式出入管理システム1を導入することができる。
加えて、使用後の洗浄水や作業衣等が回収されたタンク及び保管庫3cは速やかに交換可能であることから、洗浄等で発生した放射性廃棄物の処理が滞ることがなく、交換時の被曝を最低限に留めることができる。
図2に示すように、実施例2に係る移動式出入管理システム11は、装備提供モジュール12と、入域管理モジュール13と、洗浄等・保管モジュール3と、退域処理モジュール4と、から構成される。これらのモジュール12,13,3,4は、それぞれトラック52a〜52dに分離されて搭載される。なお、装備提供モジュール12と、入域管理モジュール13とは、実施例1に係る入域処理モジュール2が、より細かく区画された場合に相当する。また、モジュール12,13,3,4は、それぞれ2台以上であっても良く、作業等の規模に応じて適宜それぞれの台数が調整される。
図3に示すように、装備提供モジュール12は、箱状体18で外側を覆われるとともに、ツイストロック6と同様のツイストロック(図示せず)によってトラック52aに対し連結可能かつ分離可能に構成される。そして、入域管理モジュール13は、箱状体19で外側を覆われるとともに、ツイストロック6と同様のツイストロック(図示せず)によってトラック52bに対し連結可能かつ分離可能に構成される。箱状体18,19は、それぞれ箱状体5と同一の構成をなす。
なお、これら各モジュールがトラック等の移動手段に搭載されている場合には、ツイストロック6等の固定手段を介して連結及び分離可能に構成される場合の他、廃棄物が増える等の不具合が生じるものの分離不可能に固定されているような場合でもよい。また、無線通信手段15cに代えて有線通信手段を用いてもよい。
そして、連絡口16a,16bには、それぞれ扉17a,17bが設置される。扉17aは、2枚の同等な放射線を遮蔽可能な金属板によって構成され、一方の扉17aは装備提供モジュール12の箱状体18に対し、他方の扉17aは入域管理モジュール13の箱状体19に対して設けられる。扉17bも、それぞれ2枚の放射線遮蔽性、気密性及び水密性を有した金属板から構成され、箱状体18,19に対して設けられる。
入域管理モジュール13は、立入口7bと、入域処理装置2aと、入域処理通路2bと、備品庫2dと、を備える。このうち、入域処理装置2aと備品庫2dとは、箱状体19の中央部分に設けられる入域管理通路19aを挟んで互いに対称的に設置される。
洗浄等・保管モジュール3は、手洗いユニット3a及びシャワーユニット3bと、保管庫3cと、更衣室3dが箱状体5のほぼ全体に亘って設置される。
さらに、退域処理モジュール4では、放射線モニター4aと、退域処理装置4bと、物品汚染検査装置4cとが、箱状体5の中央部分に直列して設置される。なお、放射線モニター4aと物品汚染検査装置4cの間には、従事者が通過するための退域処理通路4dが設けられる。
この他の構成は、実施例1に係る移動式出入管理システム1と同様である。例えば、扉10a,10bは2枚の同等な放射線を遮蔽可能な金属板によって構成されている。
より詳細には、従事者は、装備提供モジュール12の入口7aから立ち入って所持品収容庫2eに所持品等を保管した後、立入用更衣設備2cから必要な作業衣等を取り出して更衣する。次に、連絡口16aを通過して入域管理モジュール13に移動し、備品庫2dからアラーム付きメーターを取り出して身体に装着した後、入域処理通路2bを通過して立入口7bに進入し管理区域50へ立ち入る。
このように、移動式出入管理システム11においても、従事者が管理区域へ立ち入る際及び管理区域から退出する際の2つの経路は、それぞれ独立したものとなると同時に逆行が許されない。
なお、本実施例においては、実施例1における入域処理モジュール2に代えて装備提供モジュール12と入域管理モジュール13が用いられたが、これらのモジュール12,13の放射線管理の厳しさは入域処理モジュール2と同等と考えてよいが、それらの中では装備提供モジュール12の方が入域管理モジュール13よりも厳しさが低いと考えてもよい。
いずれにしても、管理区域から退出する際には、放射線管理が最も厳しい洗浄等・保管モジュール3から退域処理モジュール4を経て放射線管理が最も厳しくない入域管理モジュール13及び装備提供モジュール12へ移動する際に、独立しつつ、厳しい側への逆行もできない経路となっている。
また、これらのモジュールを区画する扉17a,17b,10a,10bもそれらの中間で管理区域の境界を形成している。
さらに、モジュール12,13,3,4においても、それぞれ備えられる入域処理装置2a、退域処理装置4b、シャワーユニット3b等は、荷重が均等に分散されるように配置される。この他の作用は、実施例1に係る移動式出入管理システム1と同様である。
さらに、移動手段であるトラック52a〜52dを各モジュール毎に分割して配置したため、モジュールの交換時には交換用のモジュールを傍に準備した後に、それまで使用していたモジュールを停止させ、移動させた後にすぐに運用可能であるため、モジュール毎の交換も迅速に可能である。
この他の効果は、実施例1に係る移動式出入管理システム1と同様である。
図4に示すように、実施例2の変形例に係る移動式出入管理システム20は、実施例2に係る移動式出入管理システム11と同様に、装備提供モジュール12と、入域管理モジュール13と、洗浄等・保管モジュール3と、退域処理モジュール4と、から構成される。ただし、移動式出入管理システム20と移動式出入管理システム11との相違点は、モジュール12,13,4に設置される立入用更衣設備2c、退域処理装置4b等の配置であり、洗浄等・保管モジュール3においては移動式出入管理システム11と同様である。以下、この相違点について詳細に説明する。
入域管理モジュール13において、入域処理装置2aと、備品庫2dは、箱状体19の中央部分に直列して設置される。そして、退域処理装置4bが入域処理通路2bを挟んで入域処理装置2aと対向して設けられる。
さらに、退域処理モジュール4においては、放射線モニター4aと、物品汚染検査装置4cとが、箱状体5の中央部分に設けられる退域管理通路4eを挟んで互いに対称的に設置される。
このように、退域処理装置4bは、退域処理モジュール4の代わりに、入域管理モジュール13に設置される。
したがって、移動式出入管理システム20によれば、従事者の移動経路と、入域処理制御部15との無線通信手段15a,15bをより簡略化することができる。この他の作用及び効果は、実施例2に係る移動式出入管理システム11と同様である。
Claims (8)
- 移動手段を備えて又は移動手段によって、原子炉事故等の緊急作業の際に現場へ移動可能な、放射線業務従事者(以下、従事者という)の管理区域への出入を管理する移動式出入管理システムであって、
前記従事者毎の前記管理区域への立入時における識別情報を管理する入域処理装置を備える入域処理モジュールと、
前記従事者の前記管理区域からの退出時において前記従事者の洗浄及び退出時の更衣(以下、洗浄と更衣を併せて洗浄等という)を行う洗浄等設備と、この洗浄等によって発生した放射性廃棄物を回収して密封保管する保管設備と、を備える洗浄等・保管モジュールと、
前記洗浄等の完了後において前記従事者に残存する放射性物質を検出する放射線モニターと、前記従事者毎の前記管理区域からの退出時における識別情報を管理する退域処理装置と、を備える退域処理モジュールと、から成り、
前記入域処理モジュールと、前記洗浄等・保管モジュールと、前記退域処理モジュールと、は、それぞれ第1の箱状体で外側を覆われるように構成され、
前記入域処理装置及び前記退域処理装置は、それぞれ通信手段を介し、前記移動手段の外部に設置される入退域処理制御部に対して有線又は無線通信可能に構成されることを特徴とする移動式出入管理システム。 - 前記入域処理モジュールは、前記退域処理モジュールと連絡する第1の連絡口と、前記従事者がこの入域処理モジュールへ出入りするための入口及び出口と、この入域処理モジュールへ立ち入った前記従事者が前記管理区域へ立ち入るための立入口と、を備え、
前記退域処理モジュールは、前記第1の連絡口と、前記洗浄等・保管モジュールと連絡する第2の連絡口を備え、
前記洗浄等・保管モジュールは、前記第2の連絡口と、前記管理区域から退出する前記従事者を受け入れる受入口と、前記保管設備に密封保管された前記放射性廃棄物を搬出する搬出口と、を備え、
前記第1の連絡口と、前記第2の連絡口と、前記受入口と、前記搬出口と、は、それぞれ気密性及び水密性を有する第1乃至第4の扉が設けられることを特徴とする請求項1記載の移動式出入管理システム。 - 前記入域処理モジュールは、前記従事者の立入用更衣設備及び携帯型の放射線被曝線量測定器の備品庫が設けられ、
前記洗浄等・保管モジュールは、前記従事者が前記管理区域からの退出時の更衣を行うための更衣室が設けられ、
前記退域処理モジュールは、前記管理区域内で使用した物品の放射性物質による汚染を検査するための物品汚染検査装置が設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動式出入管理システム。 - 前記入域処理モジュールと、前記洗浄等・保管モジュールと、前記退域処理モジュールと、は、すべて1台の前記移動手段に搭載されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の移動式出入管理システム。
- 前記入域処理モジュールと、前記洗浄等・保管モジュールと、前記退域処理モジュールは、それぞれ異なる前記移動手段に搭載されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の移動式出入管理システム。
- 前記入域処理モジュールは、前記入口及び出口と、前記立入用更衣設備と、所持品収容庫と、を備える装備提供モジュールと、
前記立入口と、前記第1の連絡口と、前記入域処理装置と、前記備品庫と、を備える入域管理モジュールと、から成り、
前記装備提供モジュールは、第2の箱状体で外側を覆われるように構成され、
前記入域管理モジュールは、第3の箱状体で外側を覆われるように構成され、
前記装備提供モジュールと前記入域管理モジュールは、相互に連絡する第3の連絡口を備えることを特徴とする請求項5記載の移動式出入管理システム。 - 前記装備提供モジュールは、前記立入用更衣設備と、前記所持品収容庫と、が、前記第2の箱状体の中央部分に設けられる装備提供通路を挟んで互いに対称的に設置され、又は前記第2の箱状体の中央部分に直列して設置され、
前記入域管理モジュールは、前記入域処理装置と、前記備品庫と、が、前記第3の箱状体の中央部分に設けられる入域管理通路を挟んで互いに対称的に設置され、又は前記第3の箱状体の中央部分に直列して設置され、
前記退域処理モジュールは、前記退域処理装置と、前記放射線モニターと、前記物品汚染検査装置と、が、前記第1の箱状体の中央部分に設けられる退域管理通路を挟んで互いに対称的に設置され、又は前記第1の箱状体の中央部分に直列して設置されることを特徴とする請求項6記載の移動式出入管理システム。 - 前記退域処理装置は、前記退域処理モジュールの代わりに、前記入域処理モジュールに設置されることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の移動式出入管理システム。
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