JP2015230060A - 流量調整弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】弁体の摺動抵抗の増加を抑制すると共に、シール部材の耐久性を向上させた流量調整弁を提供する。【解決手段】弁ハウジングの内部に、モータによって進退する弁軸3に取り付けられた弁体と、弁ハウジングの内部に固定され弁軸が貫通し弁軸を進退可能に案内する案内部材4とが設けられ、弁体は、弁軸の後端側へ突出し、潤滑油を塗布したシール部材38を介して内周面51が案内部材の外周面に摺動可能に嵌められた筒状部50を備え、弁ハウジングの内部に弁口が設けられ、筒状部の内周面がシール部材を介して案内部材の外周面を摺動しながら弁体が弁口に対して進退することにより、弁口を通過する流体の流量を調整する流量調整弁であって、筒状部の内周面又は案内部材の外周面に、シール部材を押圧し、弁口を開放させた状態でのシール部材のつぶし代よりも弁口を閉鎖した状態でのつぶし代Aを大きく設定するシール部材圧縮部60を形成した。【選択図】図2

Description

この発明は、弁ハウジングの内部に、モータによって進退する弁軸の先端に取り付けられた弁体と、前記内部に固定され前記弁軸が貫通して該弁軸を進退可能に案内する略筒状の案内部材と、が設けられ、前記弁ハウジングの内部に弁口が設けられて、前記弁体が前記弁口に対して進退することにより、前記弁口を通過する流体の流量を調整する流量調整弁に関する。
例えば、特許文献1には、弁体の摺動抵抗を減少させると共に、シール部材の耐久性を損なわないようにした流量調整弁が開示されている。特許文献1の流量調整弁は、モータによって進退する弁軸の先端に弁体を取り付け、この弁体を弁口に対して進退させることにより、該弁口を通過する流体の流量を調整するものである。さらに、この流量調整弁では、弁体の後端側外周にシール部材を装着すると共に、前記弁体の後端側を覆うシリンダ状の固定ハウジングが設けられており、この固定ハウジングの内周面の後方部分を前方部分より拡径させている。そして、弁体の後方には、前記内周面と弁体の後端面とで囲まれる背圧室が設けられており、弁体を前進させて弁口の開度を最小に絞ったときは、シール部材が前記内周面の前方部分に密着し、背圧室と弁口の一次側との間をシールした状態で、前記背圧室を弁口の二次側に連通させている。これにより、背圧室の圧力が前記二次側の圧力とほぼ等しくなる結果、弁体の背面と前面とには、ほぼ同じ圧力が作用することになるため、これらの圧力によって弁体を押す力は相殺される。よって、モータによって弁体を弁口から後退させる際に、モータは大きなトルクを必要としない。一方、この流量調整弁によれば、弁体を後退させて弁口の開度が所定の開度以上になると、この弁体に装着されたシール部材が、固定ハウジングの内周面の前方部分よりも拡径された後方部分に移動し、シール部材が前記内周面に密着しなくなる。したがって、シール部材が前記内周面に密着することによって生じる弁体の摺動抵抗を減少させることができる。これと共に、シール部材が前記内周面に擦れることが繰り返されて摩耗することを抑制できるため、シール部材の耐久性が損なわれない。なお、弁体を後退させて弁口の開度が所定の開度以上になると、弁口を通じて連通する弁口の一次側の圧力と二次側の圧力とがほぼ等しくなるため、シール部材が前記内周面に密着していなくても、モータで弁体を弁口に対して進退させる際に、モータは大きなトルクを必要としない。
特開2014−1780号公報
ところで、一般に、弁体に装着されたシール部材と固定ハウジングの内周面との摩擦を低減するために、このシール部材の表面にはグリス等の潤滑油が塗布されている。上記の流量調整弁のように、シール部材が固定ハウジングの内周面と密着せず、このシール部材と前記内周面との間に隙間が生じた場合には、この隙間を通過する流体によって、シール部材の表面から潤滑油が流れ出すことが考えられる。このような場合には、弁体が弁口に対して進退する際に、潤滑油が介在しない状態でシール部材が固定ハウジングの内周面と密着すると、弁体の摺動抵抗が増加するという不都合がある。これに加えて、潤滑油が介在しない状態でシール部材が固定ハウジングの内周面と密着しながら前記弁体が進退すると、シール部材が前記内周面に擦れて摩耗する度合いが高くなるため、シール部材の耐久性が低下することも考えられる。
この発明は、このような状況に鑑み提案されたものであって、弁体の摺動抵抗が増加することを抑制すると共に、シール部材の耐久性を向上させた流量調整弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、弁ハウジングの内部に、モータによって進退する弁軸の先端に取り付けられた弁体と、内部に固定され弁軸が貫通して弁軸を進退可能に案内する略筒状の案内部材と、が設けられて、弁体は、弁軸の後端側へ突出し、潤滑油を塗布したシール部材を介して内周面が案内部材の外周面に摺動可能に嵌められた筒状部を備え、弁ハウジングの内部に、弁口が開口する弁座が設けられると共に、筒状部の内周面がシール部材を介して案内部材の外周面を摺動しながら弁体が弁口に対して進退することにより、弁口を通過する流体の流量を調整する流量調整弁であって、シール部材を、筒状部の内周面と案内部材の外周面との何れか一方に設け、他方に、シール部材を押圧し、弁体が弁口から後退して弁口を開放させた状態でのシール部材のつぶし代よりも弁体が弁口に向けて前進して弁口を閉鎖した状態でのつぶし代を大きく設定するシール部材圧縮部を形成したことを特徴とするものである。なお、筒状部の内周面がシール部材を介して案内部材の外周面を摺動しながら弁体が弁口に対して進退するには、前記内周面が、シール部材を押圧して圧縮変形させ該シール部材に密着した状態で、前記外周面に沿って進退しながら、弁体が弁口に対して進退することを含む。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、シール部材圧縮部は、弁軸の後端側に向かうに従って、内周面をシール部材への接近側へ連続して傾斜又は弁軸の先端側に向かうに従って、外周面をシール部材への接近側へ連続して傾斜させたテーパ面であることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、弁体が弁口を開放させた状態よりも該弁口を閉鎖した状態での筒状部の内周面と案内部材の外周面との間のシール性能を向上させながら、弁体が弁口を開放及び閉鎖した状態において、シール部材が筒状部の内周面に密着した状態が保たれるため、シール部材と前記内周面との間に流体が流通することがない。これにより、シール部材に塗布された潤滑油が、前記流体によって流れ出すことがない。その結果、弁体が弁口に対して進退する際には、潤滑油を塗布したシール部材を介し、弁体が備える筒状部の内周面が、案内部材の外周面を摺動するため、該外周面に沿って前記内周面(弁体)を円滑に摺動させることができる。よって、弁体の摺動抵抗が増加することを抑制できる。
さらに、潤滑油を塗布したシール部材を介し、弁体が備える筒状部の内周面が、案内部材の外周面に沿って円滑に摺動すれば、シール部材が前記内周面に擦れて摩耗する度合いを低くできる。これにより、シール部材の耐久性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、筒状部が弁口に向けて前進して、弁体が該弁口を閉鎖するときには、筒状部が弁口から後退して、弁体が該弁口を開放するときと比較して、筒状部のテーパ面をシール部材により接近させることができる。これにより、弁体が弁口を開放するときよりも閉鎖するときの方が、テーパ面でシール部材を押圧する力を強めることができる。よって、弁体が弁口を開放するときよりも閉鎖するときの方が、シール部材のつぶし代を大きく設定できる。
また、弁体が弁口に対して進退する際には、連続するテーパ面は、潤滑油を塗布したシール部材と当接しながら円滑に移動することが可能になる。その結果、シール部材がテーパ面に擦れて摩耗することを抑制できる。
本発明の実施形態で弁体の閉鎖部材が弁口を閉鎖したときの流量調整弁の要部縦断面図である。 同閉鎖部材が弁口を閉鎖したときに弁体の筒状部のテーパ面によってOリングが押圧された状態を示す図である。 弁体が弁口を開放させたときに同テーパ面によってOリングが押圧された状態を示す図である。 弁体が弁口を開放させたときの流量調整弁の部分拡大断面図である。
本発明の実施形態を図1ないし図4を参照しつつ説明する。図1に示す流量調整弁1は、給湯装置内に組み込まれて、熱交換器に流れる水(本発明の流体の一例)の流量を調整するために用いられる。この流量調整弁1は、弁ハウジング2と、弁軸3と、案内部材4と、弁体5とを備えている。
弁ハウジング2は、内部に弁室10を備えており、弁ハウジング2の下部(図1の下側)に水の流入口11が開口し、弁ハウジング2の正面部(図1の左側)に水の流出口12が開口する。流入口11には、例えば水道管(図示せず。)から水が供給され、流出口12には、熱交換器に繋がる入水管(図示せず。)が接続されている。さらに、弁ハウジング2の内部には、一端が流入口11に通じ他端が弁室10の下方(図1の下側)から該弁室10に連通する流入路14と、一端が流出口12に通じ他端が弁室10の前方(図1の左側)から該弁室10に連通する流出路15とが形成されている。加えて、弁室10の内面には、流出路15を臨んで弁室10内へ環状に突出し、弁口16(図4参照。)が開口する弁座17が形成されている。また、流出路15の内面には、流出口12を臨んで環状に突出し、流出口12と弁口16と連通させる連通孔18を有する突出部19が形成されている。なお符号20は羽根車であり、流入路14内を流れる水の流量の検出に用いられる。
弁軸3は、弁ハウジング2の背面部(図1の右側)に開口し弁室10に通じる開口部22から弁室10内に挿入される。この弁軸3の後端(図1の右側)は、駆動モータMの回転軸に連結されている。ここでは、駆動モータMとしてステッピングモータを用いた。図1に示すように、弁軸3の後端側(図1の右側)の外周面には雄ネジ部24が形成されている。この雄ネジ部24は、後述する案内部材4の雌ネジ部28(図1参照。)と螺合する。
案内部材4は、弁軸3の軸線方向(図1の左右方向)に延びて後端側(図1の右側)に拡径部26が形成された円筒状に形成されている。この案内部材4は、軸心を貫通する貫通孔27を有する。図1に示すように、拡径部26の内部で貫通孔27の内周面には、雌ネジ部28が形成されている。案内部材4(拡径部26)は、前記開口部22の中心と貫通孔27の軸心とを一致させた状態で、弁ハウジング2の背面部の内側に当たる弁室10の背面側内壁面30に支持されている。この背面側内壁面30には、該背面側内壁面30に支持される拡径部26の後部(図1の右側)が嵌まる貫通孔31が設けられた環状の保持部材32が固定されている。さらに、拡径部26の前部(図1の左側)の外周には、環状の突出部33が拡径部26の外側に向けて突設されている。図1に示すように、拡径部26の外面にはOリング34が装着されている。拡径部26を背面側内壁面30に支持したときに、Oリング34は、突出部33と保持部材32との間に位置し弁室10の内周面35に密着する。これにより、拡径部26と内周面35との間がシールされる。さらに、案内部材4の前端側(図1の左側)の外周面には、凹状のシール部材支持溝37が形成されている。そして、Oリング38が、シール部材支持溝37に嵌合されて該シール部材支持溝37から張り出している。このOリング38の外周面には、潤滑油であるグリスが塗布されている。図1に示すように案内部材4の貫通孔27には、弁軸3が、その雄ネジ部24を案内部材4の雌ネジ部28に螺合した状態で挿通される。同図に示すように、弁軸3には、その軸線方向の略中央部の外面にOリング39,40が装着されている。このOリング39,40により、弁軸3は、貫通孔27に対し貫通孔27の内周面とのシール状態を保ちなから挿通される。
弁体5は、弁軸3の軸線方向に延びる円筒状とされている。この弁体5は、軸心を貫通する貫通孔41を有する。そして、弁体5の外周面には、弁座17に着座して弁口16を閉鎖する環状の閉鎖部材42が装着されている。また、貫通孔41の前側(図1の左側)には、略筒状をした連結部材43が嵌合している。この連結部材43の後端面(図1の右側)に弁軸3の先端面が連結されることにより、弁体5は弁軸3に取り付けられる。連結部材43の前端面(図1の左側)には、連結部材43の軸心と同軸で該連結部材43より小径の筒部44が突設されている。この筒部44は、連通孔18の内周面との間に隙間が形成された状態で、該連通孔18に挿通されて流出路15に突出する。図1に示すように、連結部材43の後端側には、該連結部材43の前端側よりも小径で弁軸3と同径とされた部位を備え、この部位には、上下方向で連結部材43の後端側(前記部位)を貫通する貫通孔45が形成されている。さらに、この貫通孔45には、筒部44の前端面に開口して筒部44の軸心及び連結部材43の軸心に沿って形成される水の流通路46が連通する。
さらに弁体5には、弁軸3の軸線方向で該弁軸3の後端側へ突出する筒状部50が連設されている。この筒状部50は、弁体5よりも大径とされており、筒状部50の内周面51の内径寸法は、弁体5の貫通孔41の内径寸法よりも大きく設定されている。図1に示すように、前記内周面51は、Oリング38を介して案内部材4の前端側の外周面に嵌められている。加えて、筒状部50の前部(図1の左側)の外周には、環状の延設部52が延設されている。本実施形態では、コイルばね53が、弁軸3の軸線方向で案内部材4と弁体5との間に挟止されている。具体的にはコイルばね53は、筒状部50の外周面と案内部材4の外周面とに装着されて、前記軸線方向で延設部52と拡径部26の突出部33との間に挟止されている。さらには、図1に示すように、弁体5の背面側(図1の右側)に背圧室55が形成されている。具体的には、前記内周面51が案内部材4の前端側の外周面に嵌められると、案内部材4の前端面と、前記内周面51及び筒状部50の前側内壁面(図1の左側)と、貫通孔41の内周面と、連結部材43の後端面とで囲まれる背圧室55が形成されている。この背圧室55は、連結部材43の貫通孔45及び流通路46を通じて流出路15と連通している。
また、本実施形態の特徴的な構成として、図1及び図2に示すような、弁体5の閉鎖部材42が弁口16を閉鎖した状態でのOリング38のつぶし代Aを、前記閉鎖部材42が弁座17に着座せず弁口16を開口させた状態(図3及び図4参照。)でのOリング38のつぶし代Bよりも大きく設定するため、筒状部50の内周面51を、弁軸3の軸線方向(図2及び図3の左右方向)で該弁軸3の後端側(図2及び図3の右側)に向かうに従ってOリング38への接近側へ傾斜させたテーパ面60とした。さらに、このテーパ面60を、前記軸線方向で弁軸3の先端側(図2及び図3の左側)から後端側へ単一の傾斜角で連続して傾斜するように形成した。図2及び図3では、弁軸3のOリング39,40(図1参照。)、雄ネジ部24及び雌ネジ部28(図1参照。)の図示を省略した。図2及び図3に示すつぶし代A,Bとは、テーパ面60がOリング38の外周面を押圧することによる該Oリング38の径方向内側への圧縮変形量を意味する。なお、Oリング38は本発明のシール部材の一例である。
次に、本実施形態の流量調整弁1の動作を説明する。熱交換器に繋がる入水管に流れる水の流量を調整するために、例えば図示しないコントローラによって、図1に示す駆動モータMを正回転させる。すると、駆動モータMの回転軸に連結された弁軸3の雄ネジ部24が、案内部材4の雌ネジ部28に螺合しながら、弁軸3は、回転しつつネジ送り移動されて該弁軸3の軸線方向で前進する。これに伴って、弁軸3に取り付けられた弁体5の筒状部50のテーパ面60は、Oリング38を介して案内部材4の外周面に沿って前記軸線方向で弁口16に向けて前進する。その結果、弁体5は、前記軸線方向で弁口16に向けて前進すると共にコイルばね53で弁口16に向けて押される。一方、前記コントローラによって、駆動モータMを逆回転させると、前記雄ネジ部24が前記雌ネジ部28に螺合しながら、弁軸3は、回転しつつネジ送り移動されて前記軸線方向で後退する。これに伴って、前記テーパ面60は、Oリング38を介して案内部材4の外周面に沿って前記軸線方向で弁口16から後退する。その結果、弁体5は、コイルばね53の付勢力に抗し前記軸線方向で弁口16から後退する。このように、駆動モータMの正逆回転によって、前記軸線方向における弁口16に対する弁体5の位置を調整すると、弁体5と弁口16との間の隙間量が調整可能となる。これにより、流入口11から弁口16及び連通孔18の内周面と筒部44との間の隙間を通過して流出口12に流れる水の流量が調整可能となる。
図1及び図2に示すように、弁体5が弁軸3の軸線方向で弁口16に向けて前進し、コイルばね53で弁口16に向けて押された閉鎖部材42(図1参照。)が、弁座17に着座し弁口16を閉鎖した状態では、Oリング38の外周面は、テーパ面60によって押圧され、つぶし代Aが与えられて圧縮変形する。これにより、Oリング38の外周面とテーパ面60との間に隙間はなく、該外周面がテーパ面60に密着した状態が保たれる。このため、Oリング38の外周面とテーパ面60との間に、弁室10内の水や背圧室55内の水が流れ込んで流通することはない。したがって、Oリング38の外周面に塗布されたグリスが水によって流れ出すことを防止できる。
また、図2に示すようにOリング38の外周面がテーパ面60に密着すると、背圧室55と弁室10との間はシールされることになる。そして、図1に示すように背圧室55は、弁体5の貫通孔41ならびに連結部材43の貫通孔45及び流通路46を通じて流出路15と連通している。これにより、背圧室55内の圧力は流通路15内の圧力とほぼ等しくなる。その結果、弁体5の背面側(図1の右側)と正面側(図1の左側)とには、ほぼ同じ圧力が作用することになるため、これらの圧力によって弁体5を押す力が相殺される。これにより、駆動モータMの駆動により弁軸3及び弁体5を弁口16から後退させる際に、駆動モータMが大きなトルクを必要としないという利点がある。
さらに本実施形態では、弁体5が弁軸3の軸線方向で弁口16から後退し、コイルばね53の付勢力に抗し弁体5が弁口16を開放した状態でも、図3に示すように、Oリング38の外周面は、テーパ面60によって押圧され、つぶし代Bが与えられて圧縮変形する。これにより、弁口16を閉鎖した場合と同様に、弁口16を開放した状態でも、Oリング38の外周面がテーパ面60に密着した状態が保たれるため、弁室10内の水や背圧室55内の水が、Oリング38の外周面とテーパ面60との間に流れ込んで流通することはない。したがって、Oリング38の外周面に塗布されたグリスが水によって流れ出すことを防止できる。ただし、つぶし代Aはつぶし代Bよりも大きく設定されている。これは、図1及び図2に示すような閉鎖部材42で弁口16を閉鎖した状態では、図3及び図4に示すような弁体5が弁口16を開放した状態と比較して、テーパ面60がOリング38の外周面により接近するからである。これにより、弁口16を開放した状態よりも閉鎖した状態の方が、テーパ面60でシール部材38の外周面を押圧する力が強まるからである。なお、つぶし代Aをつぶし代Bよりも大きく設定した理由は、弁口16を開放させた状態よりも閉鎖した状態での背圧室55と弁室10との間のシール性能を向上させ、上述したように、背圧室55内の圧力と流通路15内の圧力とをほぼ等しくするためである。
加えて本実施形態では、図1及び図2に示すように閉鎖部材42で弁口16を閉鎖した状態から、駆動モータMを逆回転させて弁体5を弁口16から後退させ、図3及び図4に示すような弁体5が弁口16を開放した状態に移行させる最中や、弁体5(閉鎖部材42)が弁口16を開放した状態から、駆動モータMを正回転させ弁体5を弁口16に向けて前進させる最中は、テーパ面60が、Oリング38の外周面と密着した状態を保ちながら、弁軸3の軸線方向で案内部材4の外周面に沿って摺動する。このとき、Oリング38の外周面にグリスが塗布された状態が保たれるため、テーパ面60を、該Oリング38を介し案内部材4の外周面に沿って円滑に摺動させることができる。よってテーパ面60(弁体5)の摺動抵抗が増加することを抑制できる。これに加えて、テーパ面60が、グリスが塗布されたOリング38を介して案内部材4の外周面に沿って円滑に摺動すれば、Oリング38の外周面がテーパ面60に擦れて摩耗する度合いを低くできる。
さらには、弁体5が弁口16に向けて前進したり弁口16から後退するときは、単一の傾斜角で連続して傾斜するテーパ面60は、グリスが塗布されたOリング38の外周面と当接しながら円滑に移動することが可能になる。その結果、Oリング38の外周面がテーパ面60に擦れて摩耗することを抑制できる。
<本実施形態の効果>
本実施形態の流量調整弁1では、弁体5が弁口16を開放させた状態よりも、弁体5の閉鎖部材42が弁口16を閉鎖した状態での筒状部50のテーパ面60と案内部材4の外周面との間のシール性能を向上させながら、弁体5が弁口16を開放及び閉鎖した状態において、Oリング38の外周面が前記テーパ面60に密着した状態が保たれる。このため、該テーパ面60とOリング38の外周面との間に水が流通することがない。これにより、Oリング38の外周面に塗布されたグリスが、水によって流れ出すことがない。その結果、弁体5が弁口16に対して進退する際には、グリスが塗布されたOリング38を介し、弁体5に連設された筒状部50のテーパ面60が、案内部材4の外周面を摺動するため、該外周面に沿って前記テーパ面60(弁体5)を円滑に摺動させることができる。よって、弁体5の摺動抵抗が増加することを抑制できる。
さらに、グリスが塗布されたOリング38を介し、筒状部50のテーパ面60が、案内部材4の外周面に沿って円滑に摺動すれば、Oリング38が前記テーパ面60に擦れて摩耗する度合いを低くできる。これにより、Oリング38の耐久性を向上させることができる。
また、筒状部50が弁口16に向けて前進して、弁体5の閉鎖部材42が弁口16を閉鎖するときには、筒状部50が弁口16から後退して、弁体5が弁口16を開放するときと比較して、筒状部50のテーパ面60をOリング38の外周面により接近させることができる。これにより、弁体5が弁口16を開放するときよりも閉鎖するときの方が、テーパ面60でOリング38の外周面を押圧する力を強めることができる。よって、弁体5が弁口16を開放するときよりも閉鎖するときの方が、Oリング38のつぶし代を大きく設定できる。
加えて、弁体5が弁口16に対して進退する際には、連続するテーパ面60は、グリスが塗布されたOリング38の外周面と当接しながら円滑に移動することが可能になる。その結果、Oリング38の外周面がテーパ面60に擦れて摩耗することを抑制できる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨を逸脱しない範囲内において構成の一部を適宜変更して実施できる。上述した実施形態では、筒状部50の内周面51を、弁軸3の軸線方向で該弁軸3の後端側に向かうに従ってOリング38への接近側へ傾斜させたテーパ面60とした例を示したが、これに限らない。例えば、上述した実施形態とは異なり、筒状部50の内周面の内径寸法を、案内部材4の前端側の外径寸法よりも大きくし、かつ該前端側の外周面に形成されたシール部材支持溝37に嵌合され該シール部材支持溝37から張り出すOリング38の外周を結ぶ円の直径よりも小さく設定したうえで、弁軸3の軸線方向における弁軸3の後端側で当該内周面から筒状部50の内側へ環状に突出し、Oリング38の外周面をOリング38の径方向内側へ向けて押圧する押圧部材を設けてもよい。このような場合にも、弁体5の閉鎖部材42が弁口16を閉鎖するときには、弁体5が弁口16を開放するときと比較して、押圧部材によって、Oリング38の外周面を押圧する力を強めることができる。よって、弁体5が弁口16を開放するときよりも閉鎖するときの方が、Oリング38のつぶし代を大きく設定できる。なお、当該押圧部材は本発明のシール部材圧縮部の一例である。
また、上述した実施形態では、筒状部50の内周面51をテーパ面61とした例を示したが、これに代えて、弁軸3の軸線方向で前記内周面51の内径寸法を同径とし、該内周面51に凹設したシール部材支持溝に、Oリングを該シール部材支持溝から張り出すように嵌合させたうえで、案内部材4の前端側の外周面を、前記軸線方向で弁軸3の先端側に向かうに従って、当該Oリングへの接近側へ傾斜させたテーパ面としてもよい。このような場合にも、上述した実施形態と同様に、弁体5が弁口16を開放するときよりも閉鎖するときのOリングのつぶし代(Oリングの径方向外側への圧縮変形量)を大きく設定できる。さらに、弁軸3の軸線方向で前記内周面51の内径寸法を同径とし、該内周面51に凹設したシール部材支持溝に、Oリングを該シール部材支持溝から張り出すように嵌合させたうえで、案内部材4の先端側の外径寸法を、弁軸3の軸線方向で同径とし、該軸線方向における弁軸3の先端側で案内部材4の外面から外側へ環状に突出し、Oリングの内周面を該Oリングの径方向外側へ向けて押圧する押圧部材を設けてもよい。このような場合にも、弁体5が弁口16を開放するときよりも閉鎖するときのOリングのつぶし代(Oリングの径方向外側への圧縮変形量)を大きく設定できる。
加えて、上述した実施形態では、筒状部50が弁体5に延設された例を示したが、これとは異なり、筒状部50は、弁体5とは別体として形成した後に、弁体5に接合させたものであってもよい。
1・・流量調整弁、2・・弁ハウジング、3・・弁軸、4・・案内部材、5・・弁体、16・・弁口、17・・弁座、38・・Oリング、42・・閉鎖部材、50・・筒状部、51・・筒状部の内周面、60・・テーパ面、A・・閉鎖部材が弁口を閉鎖した状態でのOリングのつぶし代、B・・弁体が弁口を開放した状態でのOリングのつぶし代、M・・駆動モータ。

Claims (2)

  1. 弁ハウジングの内部に、モータによって進退する弁軸の先端に取り付けられた弁体と、前記内部に固定され前記弁軸が貫通して該弁軸を進退可能に案内する略筒状の案内部材と、が設けられて、前記弁体は、前記弁軸の後端側へ突出し、潤滑油を塗布したシール部材を介して内周面が前記案内部材の外周面に摺動可能に嵌められた筒状部を備え、前記弁ハウジングの内部に、弁口が開口する弁座が設けられると共に、前記筒状部の前記内周面が前記シール部材を介して前記案内部材の外周面を摺動しながら前記弁体が前記弁口に対して進退することにより、前記弁口を通過する流体の流量を調整する流量調整弁であって、
    前記シール部材を、前記筒状部の前記内周面と前記案内部材の前記外周面との何れか一方に設け、他方に、前記シール部材を押圧し、前記弁体が前記弁口から後退して該弁口を開放させた状態での前記シール部材のつぶし代よりも前記弁体が前記弁口に向けて前進して該弁口を閉鎖した状態での前記つぶし代を大きく設定するシール部材圧縮部を形成したことを特徴とする流量調整弁。
  2. 前記シール部材圧縮部は、前記弁軸の後端側に向かうに従って、前記内周面を前記シール部材への接近側へ連続して傾斜又は前記弁軸の先端側に向かうに従って、前記外周面を前記シール部材への接近側へ連続して傾斜させたテーパ面であることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
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