JP2015229989A - 可変ノズルターボチャージャー - Google Patents

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Abstract

【課題】ノズルベーンのクリアランスからの排気のリークによる過給効率の低下を好適に抑えることのできる可変ノズルターボチャージャーを提供する。
【解決手段】タービンホイール11の回転軸Aに直交する方向から見たときに、同タービンホイール11に吹き付けられる排気の流線Sが描く弧の外周側におけるノズルベーン17の端部に、連結通路16を通る排気の流れに応じて、上記弧の内周側に向う揚力を発生する翼型の断面を有する板状の外周側鍔部19を設けるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、可変ノズルターボチャージャーに関する。
従来、特許文献1に見られるように、タービンホイールに吹き付けられる排気が流れる排気通路に、同排気通路の流路面積を可変とするノズルベーンが、同排気通路の壁面をそれぞれ構成する2枚のプレートに挟まれて設置された可変ノズルターボチャージャーが知られている。
特開2011−43119号公報
こうした可変ノズルターボチャージャーでは、熱膨張によるノズルベーンの高さ(回動軸方向の長さ)や両プレートの間隔の変化に生じても、ノズルベーンを円滑に駆動できるように、両プレートの間隔は、ノズルベーンの高さよりも若干大きくされている。そのため、ノズルベーンと両プレートの間にはクリアランスが存在しており、タービンホイールに吹き付けられる排気の一部がそのクリアランスを通ってリークしてしまう。そして、そのリークした排気の流れ(リーク流)が、ノズルベーンの間を通る排気の流れ(主流)に干渉して、その流れを乱したり、抵抗を生じさせたりすることがあり、その結果、過給効率の低下を招いている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、ノズルベーンのクリアランスからの排気のリークによる過給効率の低下を好適に抑えることのできる可変ノズルターボチャージャーを提供することにある。
上記課題を解決する可変ノズルターボチャージャーには、タービンホイールに吹き付けられる排気が流れる排気通路に、同排気通路の流路面積を可変とするためのノズルベーンが、上記排気通路の壁面をそれぞれ構成する部材に挟まれて設置されている。そして、タービンホイールの回転軸に直交する方向から見たときに、同タービンホイールに吹き付けられる排気の流線が描く弧の外周側におけるノズルベーンの端部に、排気通路を通る排気の流れにより、上記弧の内周側に向う揚力を発生する翼型の断面を有する板状の鍔部を設けるようにしている。
上記弧の内周側における排気通路の壁面とノズルベーンとのクリアランスを通ってリークした排気の流れ(リーク流)は、タービンホイール周りの壁面から剥離して主流に干渉し易いのに対して、上記弧の外周側における排気通路の壁面とノズルベーンとのクリアランスからのリーク流は、主流にあまり干渉しない。そのため、問題となるのは、上記弧の内周側における排気通路の壁面とノズルベーンとのクリアランスからのリーク流となる。
その点、上記構成では、鍔部により発生される揚力によって上記弧の内周側の排気通路の壁面にノズルベーンが押し付けられる。そのため、リーク流が問題となる、上記弧の内周側の排気通路の壁面とノズルベーンの間のクリアランスが縮小されて、そのクリアランスからのリーク流が低減されるようになる。したがって、上記のように構成された可変ノズルターボチャージャーでは、ノズルベーンと排気通路の壁面とのクリアランスからの排気のリークによる過給効率の低下が好適に抑えられる。
可変ノズルターボチャージャーの一実施形態についてそのタービンホイール周辺の部分断面構造を示す断面図。 (a)は、図1の可変ノズルターボチャージャーに設置されるノズルベーンの軸部の側面図であり、(b)は、同ノズルベーンの外周側鍔部の平面図である。 図1の可変ノズルターボチャージャーにおけるタービンホイールに吹き付けられる排気の流れを示す断面図。 図1の可変ノズルターボチャージャーにおけるノズルベーンの、排気の流れに応じた揚力の発生状態を示す断面図。
以下、可変ノズルターボチャージャーの一実施形態を、図1〜図4を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、可変ノズルターボチャージャーのタービン部分の外殻を構成するタービンハウジング10の内部には、タービンホイール11を収容するタービン室12が設けられている。また、タービンハウジング10における、タービンホイール11の径方向外側の部分には、タービンホイール11の周りを周回するようにスクロール通路13が設けられている。
タービンハウジング10の内部における、スクロール通路13とタービン室12の間の部分には、それぞれ円環形状に形成された、外周プレート14と内周プレート15との2枚のプレートが間隔を置いて設置されている。そして、外周プレート14および内周プレート15の間の部分に、スクロール通路13とタービン室12とを連通する排気通路である連結通路16が形成されている。本実施形態の可変ノズルターボチャージャーでは、互いに向き合った外周プレート14および内周プレート15のそれぞれの面により、そうした排気通路(連結通路16)の壁面が構成されている。
また、外周プレート14および内周プレート15の間の部分には、複数のノズルベーン17(同図にはそのうちの一つのみが表示されている)が、タービンホイール11の周方向に一定間隔を置いて設置されている。ノズルベーン17は、外周プレート14および内周プレート15に回動可能に軸支されている。
こうした可変ノズルターボチャージャーでは、内燃機関の排気は、まずスクロール通路13に導入される。そして、その排気は、スクロール通路13から連結通路16に流入しその連結通路16に設置された各ノズルベーン17の間の部分を通ってタービン室12内のタービンホイール11に吹き付けられる。
ここで、同図に矢印で示すように、タービンホイール11の回転軸Aに直交する方向から見たときに、連結通路16からタービンホイール11に吹き付けられる排気の流線Sは、タービン室12に入った後、タービンホイール11の回転中心側に向うにつれて同タービンホイール11の先端側(図中右側)に湾曲する弧を描く。以下では、この流線Sの弧の径方向内側を流線内周側と、その径方向外側を流線外周側とそれぞれ記載する。ちなみに、上記外周プレート14および内周プレート15は、連結通路16における流線外周側、流線内周側の壁面をそれぞれ構成する。
さらに、こうした可変ノズルターボチャージャーでは、連結通路16に設置された各ノズルベーン17を回動することで、連結通路16における排気吹出口部分の流路面積を変化させられる。この可変ノズルターボチャージャーでは、内燃機関の運転状況に応じて各ノズルベーン17を駆動して上記流路面積を変化させることで、過給効果を高めるように、タービンホイール11に吹き付けられる排気の流速を制御している。
図2(a)に、こうしたノズルベーン17の軸部分の側面構造を示す。同図に示すように、ノズルベーン17には、同ノズルベーン17をその回動軸方向に貫通する軸部18が一体に固定されている。軸部18の両端はそれぞれ、外周プレート14および内周プレート15に回動可能に軸支される。軸部18における、ノズルベーン17の外周プレート14側の端部にあたる位置には、外周側鍔部19が一体回動可能に設けられている。また、軸部18における、ノズルベーン17の内周プレート15側の端部にあたる位置には、内周側鍔部20が一体回動可能に設けられている。これらの鍔部(18,19)は、外周プレート14および内周プレート15における軸部18を軸支するための穴からの排気のリークを低減する役割を担っている。
内周側鍔部20が円板形状であるのに対し、外周側鍔部19は、翼型の断面を有する板状に形成されている。具体的には、外周側鍔部19における外周プレート14側の面は、平面に形成され、その反対側の面は流線型に形成されている。こうした外周側鍔部19の形状は、連結通路16を通る排気の流れに応じて、内周プレート15側、すなわち流線内周側に向う揚力を発生する形状となっている。なお、図2(b)は、こうした外周側鍔部19の平面構造を示している。
続いて、以上のように構成された本実施形態の可変ノズルターボチャージャーの作用を説明する。
排気の熱による熱膨張により、ノズルベーン17の高さ(回動軸方向の長さ)Hや、外周プレート14と内周プレート15との間隔Wに変化が生じても、ノズルベーン17を円滑に駆動できるように、外周プレート14と内周プレート15との間隔Wは、ノズルベーン17の高さHよりも若干大きくされている。そのため、ノズルベーン17と外周プレート14および内周プレート15の間にはクリアランスが存在し、タービンホイール11に吹き付けられる排気の一部がそのクリアランスを通ってリークしてしまう。
図3は、そうしたリークが発生したときの、タービンホイール11に吹き付けられる排気の流れを示している。同図に示すように、ノズルベーン17の流線外周側、流線内周側の双方にクリアランスが存在する場合、隣り合ったノズルベーン17の間の部分を通る主流Fmに加え、外周プレート14とノズルベーン17の間のクリアランスからのリーク流Foと、内周プレート15とノズルベーン17の間のクリアランスからのリーク流Fiとが発生する。
流線外周側のクリアランスからのリーク流Foは、主流Fmに干渉することはあまりない。これに対して、流線内周側のクリアランスからのリーク流Fiは、タービン室12の壁面から剥離して主流Fmに干渉してしまい易い。よって、より問題となるのは、流線内周側のクリアランスからのリーク流Fiとなる。
図4に示すように、本実施形態の可変ノズルターボチャージャーでは、ノズルベーン17の軸部18に設けられた外周側鍔部19が翼型の断面に形成されており、同図に点線で示される、その周りの排気の流れにより流線内周側に向う揚力Lを発生する。ノズルベーン17は、この揚力Lにより、内周プレート15側に推され、その結果、ノズルベーン17と内周プレート15との間のクリアランスが縮小される。そして、その縮小したクリアランスからのリーク流Fiが低減される。
以上説明した本実施形態の可変ノズルターボチャージャーによれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態の可変ノズルターボチャージャーには、流線外周側のノズルベーン17の端部に、連結通路16を通る排気の流れに応じて、流線内周側に向う揚力Lを発生する翼型の断面を有する板状の外周側鍔部19が設けられている。こうした本実施形態では、外周側鍔部19により発生される揚力Lにより、ノズルベーン17の流線内周側のクリアランスが縮小され、主流Fmへの干渉が問題となる、同クリアランスからのリーク流Fiが低減される。そのため、ノズルベーン17のクリアランスからの排気のリークによる過給効率の低下を好適に抑えることができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・排気の流れに応じて、流線内周側に向う揚力Lを発生可能な翼型の断面を有していれば、外周側鍔部19の形状は、適宜に変更してもよい。
・内周側鍔部20は、割愛してもよい。
・上記実施形態では、タービンホイール11に吹き付けられる排気が流れる排気通路(連結通路16)の、上記流線内周側および流線外周側の各壁面が、外周プレート14および内周プレート15の2枚のプレートによりそれぞれ構成されていた。それらの壁面の一方または双方をタービンハウジング10や、タービンホイール11の軸部を軸支する軸受ハウジングなどに一体に形成するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ノズルベーン17は、その軸部18の両端がそれぞれ軸支されたかたちで設置されていたが、いずれか一方の端部のみが片持ち支持された態様でノズルベーン17を設置するようにしてもよい。
10…タービンハウジング、11…タービンホイール、12…タービン室、13…スクロール通路、14…外周プレート、15…内周プレート、16…連結通路、17…ノズルベーン、18…軸部、19…外周側鍔部、20…内周側鍔部。

Claims (1)

  1. タービンホイールに吹き付けられる排気が流れる排気通路に、同排気通路の流路面積を可変とするためのノズルベーンが、前記排気通路の壁面をそれぞれ構成する部材に挟まれて設置された可変ノズルターボチャージャーにおいて、
    前記タービンホイールの回転軸に直交する方向から見たときに、同タービンホイールに吹き付けられる排気の流線が描く弧の外周側における前記ノズルベーンの端部に、前記排気通路を通る排気の流れに応じて、前記弧の内周側に向う揚力を発生する翼型の断面を有する板状の鍔部が設けられた、
    ことを特徴とする可変ノズルターボチャージャー。
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