JP2015229553A - 乗客コンベアの安全装置 - Google Patents

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祐介 櫻井
Yusuke Sakurai
祐介 櫻井
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Abstract

【課題】ハンドレール表面からの僅かなスチールコード素線の飛び出しを検知できるようにする。
【解決手段】内部に抗張体としてスチールコード2aけたエスカレーター1のハンドレール2の表面に接触させる検出部10と、ハンドレール2の内部より当該ハンドレール2の表面に突出したスチールコード2aの素線2cと検出部10との電気的接続を検知する発振回路100と、を備え、検出部10をハンドレール2の表面に押し付けた状態、または接触させた状態でハンドレール2を走行させ、発振回路100の発信周波数の変化を検出し、その変化に基づいてハンドレール2の素線2cの突出の有無を検知する。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗客コンベアの安全装置に係り、さらに詳しくは、エスカレーターや動く歩道等のハンドレールを有する乗客コンベアの安全装置に関する。
エスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアにおいては、乗客が掴まり、安定して移動できるように踏段と同期して移動するハンドレールが欄干部の上端に設けられている。このハンドレールはローラー等の駆動手段で循環駆動されている。そのため、ハンドレールは駆動手段によって圧縮及びせん断応力を繰り返して受けている。このような状況において、ハンドレールを構成する部材が経年疲労し、ハンドレールの内部に抗張体として設けられているスチールコードがぱらけることにより、ハンドレールの表面からスチールコードを構成する素線(0.2mm程度の鋼線)がハンドレールの表面に飛び出す事象が発生することがあった。
このような事象の発生を検出する技術としては、例えば実開平7−24865号公報(特許文献1)あるいは実開平7−35470号公報(特許文献2)に記載された技術が公知である。
特許文献1には、摺擦体をハンドレールの表面に摺擦させ、摺擦体の移動を検知することで、八ンドレールの表面から飛び出したスチールコード素線を検知する技術が記載されている。また、特許文献2には、ハンドレールの裏面より所定の距離離れた位置に検出片を配置し、検出片の移動を検出してハンドレール裏面が剥離した状態、あるいはスチールコードがハンドレールの裏面より剥離した状態を検出する技術が記載されている。
実開平7−24865号公報 実開平7−35470号公報
ところで、特許文献1記載の技術では、ハンドレールの表面が極度に汚れている状態、あるいはシールやガムが付着している状態である場合には、摺擦体が汚れや付着体と干渉し、飛び出したスチールコード素線を誤検出してしまう可能性があった。また、特許文献2記載の技術では、検出装置がハンドレールと非接触のため、スチールコード素線の表面への飛び出しが僅かであった場合は検出が困難であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ハンドレール表面からの僅かなスチールコード素線の飛び出しを検知できるようにすることにある。
前記課題を解決するため、本発明は、内部に抗張体としてスチールコードを設けた乗客コンベアのハンドレールの表面に接触させる導電体と、前記ハンドレールの内部より当該ハンドレールの表面に突出した前記スチールコードの素線と前記導電体との電気的接続を検知する検知手段と、を備え、前記検知手段の検知結果に基づいて前記ハンドレールの素線の突出の有無を検出する乗客コンベアの安全装置を特徴とする。なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
本発明によれば、僅かなスチールコードの素線の突出も的確に検出することができる。
本発明の実施形態に係るエスカレーターの安全装置の構成を示す図である。 図1に示した安全装置が適用される一般的なエスカレーターの側面図である。 図2に示したエスカレーターのハンドレールの横断面図である。 図3においてスチールコードの素線が飛び出した状態を示すハンドレールの横断面図である。 図1に示した安全装置の導電体の設置状態を示す側面図である。 図1に示した安全装置の発振回路を示す回路図である。 図6に示した発振回路のハンドレールスチールコードの素線の飛び出し検知時の検出部と欄干との間の静電容量の変化と発振回路の発振周波数との関係を示すグラフである。
本発明は、ハンドレール表面へのスチールコードの素線の突出を電気的接触にて検出することを特徴とするものである。以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る乗客コンベアの安全装置の構成を示す図、図2は本実施形態に係る乗客コンベアの安全装置が適用されるエスカレーターの側面図である。図2において、乗客コンベアとしてのエスカレーター1は、乗客を乗せる図示しない踏段と、踏段と同期して同一方向に走行するハンドレール2とを備えている。ハンドレール2は、乗客が踏段に乗って移動する際、転倒しないように乗客が把持するものである。
図3は、ハンドレール2の横断面図である。図3に示すように、ハンドレール2は主体部であるゴム部2dと、ゴム部2dの内部に埋め込まれた複数本のスチールコード2aから構成されている。スチールコード2aは、主体部であるゴム部2dが伸びて踏段との同期がずれないように埋め込こまれている。スチールコード2aは、スチールコードを構成する複数本の素線(0.2mm程度の鋼線)にて構成されている。
このハンドレール2は、図2に示すように。エスカレーター1の上面では欄干4の上端に設けられた図示しないハンドレールガイドに沿って移動しており、エスカレーター1の下面においては、駆動手段5によって駆動され、フレーム3の内部を移動している。
このようなエスカレーター1は駅などの都市交通現場、あるいはデパートなどの流通現場に設置され、長時間運転される。その際、ハンドレール2はローラー等の駆動手段5によって欄干4に沿って循環駆動されているため、ハンドレール2は駆動手段5から圧縮力やせん断応力を繰り返して受けている。このような状況において、ハンドレール2を構成する部材が経年疲労し、ハンドレール2の内部に抗張体として設けられているスチールコード2aがばらけてしまう場合がある。また、ハンドレール2内に埋め込まれているスチールコード2aが繰り返し屈曲させられ、金属疲労することによって断線することがある。断線した場合、結果として、図4に示すように断線したスチールコード2bの素線2cがハンドレール2の表面に突出する場合もある。
このようにハンドレール2の表面から素線2cが突出すると、乗客を傷つけるおそれがあり、また、スチールコード2bとしての機能も低下することになる。そのため、このような素線2cの突出を的確に検知し、ハンドレール2を修理し、あるいはハンドレール2を交換する必要がある。
そこで、本実施形態では、図1に示すように、エスカレーターの上部のハンドレールインレット部6a、下部のハンドレールインレット部6b、またはその両方の部位に、安全装置を設置する。図1に示す安全装置Sは、ハンドレール2の表面に金属板の検出部10を接触させた状態で設けており、ハンドレール2は検出部10と接触しながら走行する。検出部10には、図6に示す後述の発振回路100の直列に接続された2つのコンデンサC1,C2との中点が接続されており、また、欄干4あるいはフレーム3の金属部分に図6に示す発振回路100のアース部が接続されている。
図3に示すように、ハンドレール2は、正常な状態においては複数本のスチールコード2aがハンドレール2の内部に確実に埋め込まれており、導電体の検出部10とスチールコード2aとは電気的に接触しない。一方、図4に示すように、ハンドレール2の表面から劣化したスチールコード2bの素線2cが突出している場合は、突出した素線2cとハンドレール2に接触している検出部10とが接触し、少なくとも、スチールコード2b全体と検出部10とが電気的に接続された状態となる。
図6は図1に示した発振回路100の回路図である。図6の回路は、トランジスタTrを使用したコルピッツ発振回路であり、RLは負荷抵抗、Rb1とRb2はバイアス抵抗、Ccは結合コンデンサである。また、コルピッツ発振回路の発振周波数は、コイルLとコンデンサC1、C2とで決定される。
ここで、この発振回路100のコンデンサC2の一端に、検出部10を接続し、他の一端に、エスカレーター1のフレーム3や欄干4の金属部に接続する。このように接続すると、正常時においてハンドレール2の表面から素線2cが突出していない場合には、検出部10の刃先とスチールコード2aとは電気的に接続されておらず、コンデンサC2に対して影響が無いため、発振回路100の発振周波数はコイルLとコンデンサC1、C2とで決定される一定の周波数である。
スチールコード2aは通常ハンドレール2を構成するゴム2dや保護材等によりフレーム3や欄干4の上端部に設けられている図示しないハンドレールガイドとは電気的に接触していない。しかし、ハンドレール2はフレーム3、欄干4、ハンドレールガイドと平行に配置されている場合が多いため、スチールコード2aと、フレーム3、欄干4、ハンドレールガイドとの間に浮遊容量Csfが存在する。そこで、コンデンサC2を浮遊容量Csfより充分小さな値とすると、スチールコード2bの素線2cがハンドレール2の表面に突出してスチールコード2bと検出部10とが電気的に接続された場合には、コンデンサC2に浮遊容量Csfが並列に接続されることになる。
図7は、検出部10と欄干4との間の静電容量の変化と発振回路の発振周波数との関係を示すグラフである。図7に示すように、時刻T1においてスチールコード2bと検出部10とが電気的に接続された場合、コルピッツ発振回路の共振回路を構成するコンデンサC2の静電容量が(C2+Csf)へと増加するため、コルピッツ発振回路の発振周波数fは同時に低下する。この発振周波数fの変化を、例えば図示しない周波数と電圧とを変換する回路にて電圧に変換し、変換した電圧と所定の電圧とを比較することにより、発振周波数の変化を検知することができる。このようにコルピッツ発振回路を使用することにより、スチールコード2bの素線2cがハンドレール2の表面に突出したことを検知することができる。
なお、本実施形態においては導電体である検出部10は図1においては金属板を使用しているが、これに限定するものではなく、検出部10の材質は導電体であればよい。導電体としては、例えば金屑または導電性樹脂(プラスチック、ゴム)が使用可能であり、刃、板、直方体、ローラー、ブラシ等の形状であれば検出装置をどのような形状の構成としても良い。
図5は、図1の安全装置Sの検出部を拡大して示す側面図である。この例では、検出部10を刃状の形状とし、突出したスチールコード2bの素線2cを切断できるように設けている。このような形状と配置にすることにより、突出したスチールコード2bの素線2cを検出すると共に素線2cのハンドレール2の表面の突出部分を除去して一時的に対処することが可能となる。
また、突出したスチールコード2bの素線2cを検出した場合には、これを切断すると同時に、素線2cの突出を検知した旨をエスカレーター本体や管理拠点、遠隔の保守拠点などに報知してもよく、このことによりハンドレール2の異常発生を把握し、修理や交換などの的確な対応を行なうことが可能となる。その際、図7に示した検知タイミングと検出部10の位置、及びハンドレール2の移動速度により、前記検出位置を的確に把握できるように構成することも容易である。
上述したように、本発明による乗客コンベアの安全装置は、ハンドレールの表面に突出したスチールコードの素線と導電体である検出部との電気的接触を検知することにより、 以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、前記実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
(1)内部に抗張体としてスチールコード2aけたエスカレーター(乗客コンベア)1のハンドレール2の表面に接触させる検出部(導電体)10と、前記ハンドレール2の内部より当該ハンドレール2の表面に突出した前記スチールコード2aの素線2cと前記検出部10との電気的接続を検知する発振回路(検知手段)100と、を備えた安全装置Sとしたので、前記発振回路100の発信周波数の変化(検知結果)に基づいて前記ハンドレール2の素線2cの突出の有無を検知するので、ハンドレール2の表面に僅かに飛び出したスチールコード2aの素線2cでも検出することができる。これにより、エスカレーター1の利用者の手に素線2cが接触することに起因する傷害の発生を防ぐことが可能となる。その結果、エスカレーター1を含む乗客コンベアの安全性の向上を図ることができる。
(2)検出部(導電体)10の材質が、金属または導電性樹脂のいずれかであるので、特殊な材質のものと使用することなく、安全装置を構築することができる。
(3)検出部(導電体)10の形状が、刃状、板状、直方体状、ローラー状、ブラシ状のいずれかであるので、特殊な形状に加工することなく、安全装置を構築することができる。
(4)発振回路(検知手段)100は、前記スチールコード2の素線2cと、エスカレーター1の欄干4またはフレーム3との問に生ずる静電容量の変動を検知するので、確実に素線2cのハンドレール2の表面からの突出を検知することができる。また、突出位置を特定できるので、ハンドレールの経年劣化状態を的確かつ容易に判定または把握することができる。
(5)スチールコード2aの素線2cの突出を検知したとき、前記スチールコード2aの素線2cを切断すると共に報知を行うので、素線2cの突出に対して一時的に対処することが可能となるとともに、ハンドレール2の異常発生を把握し、修理や交換などの的確な対応を行なうことができる。
(6)スチールコード2aの素線2cの切断が、刃状の検出部10によって行われるので、スチールコード2aの表面からの突出と、切断を同時に行うことができる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
1 エスカレーター(乗客コンベア)
2 ハンドレール
2a スチールコード
2c 素線
3 フレーム
4 欄干
10 検出部(導電体)
100 発振回路(検知手段)
S 安全装置

Claims (6)

  1. 内部に抗張体としてスチールコードを設けた乗客コンベアのハンドレールの表面に接触させる導電体と、
    前記ハンドレールの内部より当該ハンドレールの表面に突出した前記スチールコードの素線と前記導電体との電気的接続を検知する検知手段と、
    を備え、前記検知手段の検知結果に基づいて前記ハンドレールの素線の突出の有無を検出する乗客コンベアの安全装置。
  2. 請求項1に記載の乗客コンベアの安全装置において、
    前記導電体の材質が、金属または導電性樹脂のいずれかであることを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
  3. 請求項1または2に記載の乗客コンベアの安全装置において、
    前記導電体の形状が、刃状、板状、直方体状、ローラー状、ブラシ状のいずれかであることを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の乗客コンベアの安全装置において、
    前記検知手段は、前記スチールコードの素線と、乗客コンベアの欄干またはフレームとの問に生ずる静電容量の変動を検知することを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の乗客コンベアの安全装置において、
    前記スチールコードの素線の突出を検知したとき、前記スチールコードの素線を切断すると共に報知を行うことを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
  6. 請求項5に記載の乗客コンベアの安全装置において、
    前記切断が、刃状の導電体によって行われることを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US9994429B1 (en) 2017-05-15 2018-06-12 Otis Elevator Company Handrail with a built-in RBI

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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