JP2015228347A - 歯科用ヘッドライト装置 - Google Patents

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靖志 吉川
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靖志 吉川
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Abstract

【課題】携帯性に優れると共に、照明時に歯や歯肉の自然な色を再現できる歯科用ヘッドライト装置を提供する。【解決手段】携帯型の歯科用ヘッドライト装置1であって、使用者の頭部に装着されるヘッドバンド部2と、ヘッドバンド部2に取り付けられるランプ本体部3と、ランプ本体部3に電源を供給するバッテリー部4とを備える。ランプ本体部3は、色温度が2700〜5000Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるLED素子と、LED素子の発光を制御する制御回路を有する駆動基板と、LED素子から出射された光を集光するレンズと、光を拡散させる微細なレンズアレイを有し、レンズから出射された光をレンズアレイによって拡散整形するレンズ拡散板とを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、携帯型の歯科用ヘッドライト装置に関する。
歯科治療時に患者の口腔内を照らすための照明装置として、歯科医の頭部に装着されるヘッドライト装置がある。
特許文献1には、外科手術等の医療行為の際にオペレータの頭部に装着される医療用ヘッドライト装置であって、ヘッドバンドに設けられたヘッドランプ部に対して、光ファイバを介して光源から出射された光を導く構成が記載されている。
また、特許文献2には、頭部に光源を固定した口腔内照明装置において、光源として白色ダイオードを使用した構成が記載されている。
特開2005−304806号公報 登録実用新案公報第3082269号公報
一般に、歯科医院での治療時には、口腔内を照らすためのメイン照明として自立型または懸垂型の大光量の無影灯が用いられるため、上述したヘッドライト装置は補助照明として用いられることが多い。
一方、歯科医師による往診時や集団検診等の歯科医院外で行う診断・治療時には、歯科医院で用いられるような大光量の照明装置を使用することができないため、懐中電灯やペンライト等の手持ち型の照明装置や汎用型のヘッドライト装置がメイン照明として使用されている。
しかしながら、手持ち型の照明装置を使用した場合、口腔内を照射するために手持ち型の照明装置を一定角度で長時間保持する必要があり、歯科医師や補助者の手が塞がれてしまうため、診断や治療に差し支えるという問題がある。また、歯科診断や歯科治療時用いられる照明装置においては、歯や歯肉の色が自然な色に再現できることが重要な要素であるが、手持ち型の照明装置や汎用型のヘッドライト装置では、歯科用途に適した発色性(色の再現性)を得ることができない。
また、上述した従来のヘッドライト装置にも次のような問題がある。特許文献1に記載のヘッドライト装置では、光ファイバを介してヘッドランプ部に光を導くため、装置全体の構成が大掛かりとなり、携帯性に優れているとは言い難い。特許文献2に記載の口腔内照明装置では、光源に白色ダイオードを用いているものの、歯科治療に適した色の再現性については何ら考慮されていない。
それ故に、本発明は、携帯性に優れると共に、照明時に歯や歯肉の自然な色を再現できる歯科用ヘッドライト装置を提供することを目的とする。
本発明に係る携帯型の歯科用ヘッドライト装置は、使用者の頭部に装着されるヘッドバンド部と、ヘッドバンド部に取り付けられるランプ本体部と、ランプ本体部に電源を供給するバッテリー部とを備える。ランプ本体部は、色温度が2700〜5000Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるLED素子と、LED素子の発光を制御する駆動基板と、LED素子から出射された光を集光するレンズと、光を拡散させる微細なレンズアレイを有し、レンズから出射された光をレンズアレイによって拡散整形するレンズ拡散板とを含む。
本発明によれば、携帯性に優れると共に、照明時に歯や歯肉の自然な色を再現できる歯科用ヘッドライト装置を提供できる。
実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置の斜視図 図1に示すランプ本体部の上面図 図2のIII−IIIラインに沿う断面図 図1に示すランプ本体部の左側面図 図1に示すランプ本体部とヘッドバンド部との係合構造を示す断面図 図1に示す歯科用ヘッドライト装置の機能ブロック図 図6に示すマイクロコントローラの状態遷移図
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置の斜視図である。
歯科用ヘッドライト装置1は、使用者の頭部に装着されるヘッドバンド部2と、ヘッドバンド部2に取り付けられるランプ本体部3及びバッテリー部4を備える。
ヘッドバンド部2は、第1ベース部材5と、第2ベース部材6と、バンド7a〜7cbとを備える。
第1ベース部材5及び第2ベース部材6は、例えば樹脂の成形品よりなる。第1ベース部材5は、ランプ本体部3をヘッドバンド部2に取り付けるための部材であり、第2ベース部材6は、バッテリー部4をヘッドバンド部2に取り付けるための部材である。
バンド7a及び7bは、第1ベース部材5及び第2ベース部材6を接続し、第1ベース部材5及び第2ベース部材6と共にループを構成する。歯科用ヘッドライト装置1の使用時には、このループが使用者の頭部を取り囲むようにヘッドバンド部2が装着される。また、バンド7cは、第1ベース部材5の上部と第2ベース部材6の上部とを架け渡すように、第1ベース部材5及び第2ベース部材6に接続されている。バンド7cは、歯科用ヘッドライト装置1の使用時に、ランプ本体部3及びバッテリー部4の重みでループがずり下がることを防止するためのものである。バンド7a〜7cは、使用者の頭部にフィットするように、柔らかい伸縮可能な材料で形成することが好ましく、例えば、クロロプレンゴムで構成される。
尚、図示を省略しているが、歯科用ヘッドライト装置1の使用時に、第1ベース部材5及び第2ベース部材6と頭部とが直接接触しないように、第1ベース部材5の内面及び第2ベース部材6の内面には、クッション性のあるパッドが設けられる。
図2は、図1に示すランプ本体部の上面図であり、図3は、図2のIII−IIIラインに沿う断面図であり、図4は、図1に示すランプ本体部の左側面図である。
ランプ本体部3は、LED基板9と、駆動基板11と、レンズ12と、レンズ拡散板13と、透明板14と、フロントケース15と、リアケース16と、USBコネクタ19と、レバー20と、第1ボタン21と、第2ボタン22とを備える。
フロントケース15には、LED基板9、レンズ12、レンズ拡散板13及び透明板14がこの順に収容されている。
LED基板9上には、LED素子10が設けられている。歯科用途に適した照明光を出射できるように、LED素子10として、色温度が2700〜4500Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるものが使用される。色温度及び平均演色評価数がこの範囲外である場合、歯科治療時に口腔内を照らした場合に、歯や歯肉の自然な発色を得ることができなくなる。LED基板9は、背面がフロントケース15の底板部24に接するようにフロントケース15に取り付けられており、LED素子10の発光時に生じた熱は、フロントケース15を通じて外部に放出される。
レンズ12は、LED基板9の前面側に配置され、LED素子10から出射される発散光を所定の集光範囲に集光する。レンズ12としては、樹脂レンズ及びガラスレンズのいずれも使用可能であるが、軽量である点で樹脂レンズを用いることがより好ましい。
レンズ拡散板13は、レンズ12の出射面の前面側に配置され、レンズ12から出射された光の輝度ムラを緩和する光学素子である。レンズ拡散板13には、微細なレンズアレイ(図示せず)が設けられており、このレンズアレイがレンズ12から出射された光を拡散整形することによって、レンズ12から出射された光の輝度を面方向に均一化する。尚、レンズ拡散板13は、LSD(Light Shaping Diffuser)とも呼ばれる。
透明板14は、レンズ拡散板13を保護及び固定するための部材であり、レンズ拡散板13の前面を覆うように設けられている。
リアケース16には、フロントケース15の底板部24側の一部が嵌め込まれて、図4に示すように、フロントケース15とリアケース16とがネジ止めされている。フロントケース15とリアケース16とをネジ止めした状態において、フロントケース15の底板部24とリアケース16の底板部25とは、所定間隔を空けて対向するように配置されており、フロントケース15の底板部24の外面と、リアケース16の底板部25の内面との間に空間が形成される。この空間が設けられることによって、LED基板9からフロントケース15に伝達された熱が、リアケース16の底板部25に伝達しにくくなる。したがって、歯科用ヘッドライト装置1の使用時に、LED基板9から生じた熱がリアケース16の底板部25から使用者の頭部へと放射されることを抑制できる。
フロントケース15の底板部24と、リアケース16の底板部25とで挟まれた空間には、駆動基板11とUSBコネクタ19とが収容されている。
駆動基板11は、LED素子10の発光を制御するための制御回路が設けられた基板である。駆動基板11は、フロントケース15の底板部24の外面との間に所定の間隔を空けて配置されている。このように配置することによって、LED基板9から生じた熱が駆動基板11へと伝達することが抑制されている。本実施の形態では、駆動基板11には、制御回路を構成する要素として、マイクロコントローラと、LED駆動回路とが少なくとも設けられている。マイクロコントローラは、CPU、RAM、ROM、入出力が1チップ化された制御用ICである。マイクロコントローラとしては、例えばPIC(Peripheral Interface Controller)を利用できる。LED駆動回路は、マイクロコントローラの制御に従って、LED素子10への供給電流を制御するための回路である。尚、駆動基板11の機能の詳細については後述する。
USBコネクタ19は、駆動基板11上に実装されており、図示しない接続コードを介してバッテリー部4に接続される。
リアケース16の左側面部には、図4に示すように、レバー20及び第1ボタン21が設けられ、リアケース16の右側面部には、図2に示すように、第2ボタン22が設けられている。
レバー20は、軸23を中心として、図4の実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間で回動自在となるようにリアケース16に取り付けられ、図示しないバネ等の付勢部材によって、図4における反時計回り方向に付勢されている。したがって、使用者が手でレバー20を図4の実線で示す位置から二点鎖線の位置まで時計回り方向に押し下げた後、レバー20から手を離すと、バネ等の付勢部材による付勢力によって、レバー20は、図4の実線で示す位置まで復帰する。レバー20は、LED素子10の発光強度を調節するための入力装置として設けられており、本実施の形態では、レバー20が1回押下されるたびに、LED素子10の発光強度が段階的に変化する。具体的には、本実施の形態では、LED素子10の発光強度を、「強」・「中」・「弱」の三段階に調整可能であり、レバー20が押下されるたびに、「強」・「中」・「弱」の順にLED素子10の発光強度が変化する。また、LED素子10の発光強度が「弱」の時にレバー20が押下されると、LED素子10の発光強度は再度「強」に変化する。尚、電源オン時には、LED素子10の初期発光強度として「強」が選択される。
本実施形態では、レバー20としては、所定の回転軸を中心に回動自在な構成を用いているが、回動式以外のレバーを用いたり、レバー20に代えて、発光強度調整用のスイッチを用いたりしても良い。
第1ボタン21及び第2ボタン22は、主電源をオン及びオフするため、並びに、LED素子10の発光の一時停止及び再発光させるための入力装置として設けられている。具体的には、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1では、第1ボタン21及び第2ボタン22を同時に所定時間(例えば1秒間)押下することによって、主電源をオンまたはオフすることができる。また、主電源がオンの状態で、第1ボタン21及び第2ボタン22のいずれか一方を押下することによって、LED素子10の発光を一時消灯することができ、一時消灯の状態で、第1ボタン21及び第2ボタン22のいずれか一方を押下することによって、一時消灯を解除して、一時消灯前の発光強度でLED素子10を点灯させることができる。尚、レバー20を用いたLED素子10の発光強度の制御の詳細は後述する。
リアケース16の外面には、図3に示すように、係合部17が設けられている。係合部17は、図1に示すように、軸18を中心に回動自在となるようにヘッドバンド部2の第1ベース部材5の取付部26に取り付けられている。以下、この係合部17と第1ベース部材5との係合構造を説明する。
図5は、図1に示すランプ本体部とヘッドバンド部との係合構造を示す断面図である。
リアケース16の係合部17には、凸条27及び溝28が交互に形成されたクリックギア31が設けられている。一方、第1ベース部材5には、樹脂や金属等の反発力を有する材料よりなる係合片29が設けられている。係合片29には、係合部17の溝28に嵌合可能な突起部30が形成されており、突起部30が係合部17の溝28に嵌合することによって、係合部17の軸18を中心とする回転が阻止されている。
図5(a)に示す状態から、軸18を中心として係合部17を反時計回りに回転させると、図5(b)に示すように、クリックギア31の凸条27が係合片29の反発力に抗して係合片29を弾性変形させる。図5(b)に示す状態から、係合部17を更に反時計回りに回転させると、係合片29の突起部30が凸条27を乗り越えて、図5(c)に示すように、係合片29の反発力によって突起部30が再びクリックギア31の溝28に嵌合する。この結果、再度、軸18を中心とする係合部17の回転が阻止された状態となる。係合部17を更に反時計回りに回転させる場合、及び、係合部17を時計回りに回転させる場合も同様に、突起部30がクリックギア31の凸条27を1つ乗り越えるたびに溝28に嵌合する。これらのクリックギア31及び係合片29の係合によって、クリックギア31の1ピッチ分ずつランプ本体部3の仰俯角(仰角または俯角)を所定角度ずつ変化させることができる。
歯科診断や治療時においては、照明対象となる患者の口腔位置は、歯科医の頭部よりも下方に位置している。したがって、ランプ本体部3の光軸がヘッドバンド部2の第1ベース部材5の前面とほぼ直交する位置を基準とした場合に、ランプ本体部3の仰角の調整可能範囲と比べて、ランプ本体部3の俯角の調整可能範囲を大きくすることが、歯科用途では特に有効である。具体的には、図5の例に示すように、ランプ本体部3の光軸がヘッドバンド部2の第1ベース部材5の前面とほぼ直交するように配置したときに係合片29の突起部30が嵌合する溝28を基準の溝(図5(a)で突起部30が係合している溝)とすると、当該基準の溝の上方側(図5の片時計回り方向)に設ける溝28の数より、当該基準の溝の下方側(図5の時計回り方向)に設ける溝28の数を多くすれば良い。
再度図1を参照して、バッテリー部4は、ヘッドバンド部2の第2ベース部材6に取り付けられている。バッテリー部4は、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の二次電池(図示せず)と、給電用のUSBコネクタ32と、充電用のUSBコネクタ(図示せず)とを備える。歯科用ヘッドライト装置1の使用時には、バッテリー部4のUSBコネクタ32は、図示しないUSBケーブルを介して、ランプ本体部3のUSBコネクタ19に接続され、バッテリー部4が内蔵する二次電池からランプ本体部3の駆動基板11へと電流が供給される。また、バッテリー部4が内蔵する二次電池の充電時には、バッテリー部4の充電用のUSBコネクタを、図示しないUSBケーブルを介して、商用電源や、パーソナルコンピュータや外部バッテリーが備える給電能力のあるUSB端子に接続可能である。本実施形態に係る歯科用ヘッドライト装置1に用いるUSBケーブルとしては、例えば、一方の端部にAタイプのUSBコネクタを、他方の端部にミニBタイプのUSBコネクタを有するものを使用する。歯科用ヘッドライト装置1の使用時においては、USBケーブルのAタイプコネクタをバッテリー部4のUSBコネクタ32に接続し、USBケーブルのミニBタイプコネクタをランプ本体部3のUSBコネクタ19に接続する。バッテリー部4の充電時には、USBケーブルのミニBタイプコネクタをバッテリー部の充電用のUSBコネクタ(ミニBタイプコネクタ)に接続し、USBケーブルのAタイプコネクタを外部の電源に接続する。
更に、歯科用ヘッドライト装置1のランプ本体部3の下方には、歯科医の目の前方に配置可能なルーペ33が着脱自在に取り付けられる。ルーペ33の取り付け構造は特に限定されないが、例えば、ランプ本体部3にアームを取り付けるためのバーを設け、このバーに取り付けたアームを介してルーペ33を歯科用ヘッドライト装置1に取り付けることができる。アームとしては、例えば、エッシェンバッハ社のアーム(型番1646−4)を利用できる。このように、歯科用ヘッドライト装置1にルーペ33を取り付け可能とすることにより、歯科医は、手を塞ぐことなく患者の口腔内を拡大して視認することができるため、歯科診断や治療がしやすくなる。尚、ルーペ33は、着脱自在でなくても良く、ランプ本体部3またはヘッドバンド部2に一体化されていても良い。
ここで、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1の集光特性について説明する。
歯科用ヘッドライト装置1は、ランプ本体部3の最前面と被照明体(例えば、患者の口腔)との距離が30〜50cmのときに、ランプ本体部3の集光範囲が直径5〜15cmの円内に収まるように、LED素子10の指向性(指向半値角)と、レンズ12の集光角度と、レンズ拡散板13の拡散角度とが設定される。この集光範囲に収まるようにランプ本体部3の集光特性を設定することによって、歯科用途での使用時に、患者の口腔部分のみに集光することができ、ランプ本体部3からの光が患者の目に入ることを防止できる。尚、レンズ拡散板13から出射される光の拡散角度Degoutは、次式によって近似することができる。
Degout≒{(Degin+(DegLSD1/2
ここで、
Degin:レンズ拡散板の入射光の発散角度
DegLSD:レンズ拡散板の拡散角度
である。
以下、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1が備える駆動基板11の機能について説明する。
図6は、図1に示す歯科用ヘッドライト装置の機能ブロック図である。
上述したように、駆動基板11には、マイクロコントローラ35と、LED素子10を駆動するためのLED駆動回路36とが少なくとも設けられ、バッテリー部4から電流が供給される。マイクロコントローラ35には、レバー20、第1ボタン21及び第2ボタン22が接続され、マイクロコントローラ35は、レバー20、第1ボタン21及び第2ボタン22からの入力信号に基づいて、自身の動作状態とLED駆動回路36とを制御することによって、LED歯科用ヘッドライト装置1の動作状態全体を制御する。
具体的に、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1は、オン状態、オフ状態及びサスペンド状態の3つの動作状態を遷移可能である。オン状態とは、マイクロコントローラ35が動作して、LED素子10を点灯させている状態をいう。オフ状態とは、マイクロコントローラ35が動作を停止して、LED素子10を消灯させている状態をいう。サスペンド状態とは、LED素子10が消灯しているが、マイクロコントローラ35が消灯前のLED素子10の駆動状態(発光強度)を保持したまま待機しており、消灯前に設定されていたLED素子10の発光強度で再発光させることが可能な状態をいう。
図7は、実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置の状態遷移図である。
図7に示すように、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1の動作状態は次の通りに変化する。
(1)オフ状態からオン状態への遷移
歯科用ヘッドライト装置1がオフ状態にあるときに、第1ボタン21及び第2ボタン22が同時に第1所定時間(例えば、1秒間)押下された場合、オン状態へと動作状態が遷移する。具体的には、マイクロコントローラ35が、第1ボタン21及び第2ボタン22の同時押しに従って動作を開始し、LED駆動回路36を制御してLED素子10を初期発光強度の「強」で発光させる。
(2)オン状態からオフ状態への遷移
歯科用ヘッドライト装置1がオン状態にあるときに、第1ボタン21及び第2ボタン22が同時に第2所定時間(例えば、1秒間)押下された場合、オフ状態へと動作状態が遷移する。具体的には、マイクロコントローラ35が、第1ボタン21及び第2ボタン22の同時押しに従って、LED駆動回路36を制御してLED素子10を消灯した後、マイクロコントローラ35の動作を停止する。尚、第2所定時間は、第1所定時間と同じであっても良いし、第1所定時間と異なっていても良い。
(3)オン状態からサスペンド状態への遷移
歯科用ヘッドライト装置1がオン状態にあるときに、第1ボタン21及び第2ボタン22のいずれか一方が押下された場合、サスペンド状態へと動作状態が遷移する。具体的には、マイクロコントローラ35が、第1ボタン21及び第2ボタン22のいずれか一方の押下に従って、押下直前のLED駆動回路36の制御状態(LED素子10の発光強度を制御させるための信号値)をRAMに格納した後、LED駆動回路36を制御してLED素子10を消灯させ、マイクロコントローラ35の動作を待機状態とする。マイクロコントローラ35の待機状態とは、必要最小限の機能ブロックのみを起動して、低消費電力で動作を待機している状態をいい、例えば、スリープ状態が該当する。
(4)サスペンド状態からオン状態への遷移
歯科用ヘッドライト装置1がサスペンド状態にあるときに、第1ボタン21及び第2ボタンのいずれか一方が押下された場合、サスペンド状態となった直前のオン状態(オン状態(強)、オン状態(中)、オン状態(弱)のいずれか)へと動作状態が遷移する。具体的には、待機状態にあるマイクロコントローラ35が、第1ボタン21及び第2ボタン22のいずれか一方の押下に従って、動作を再開し、サスペンド状態となる直前のLED駆動回路36の制御状態(LED素子10の発光状態)をRAMから読み出し、読み出したLED駆動回路36の制御状態となるようにLED駆動回路36を制御してLED素子10を再発光させる。これにより、LED素子10は、サスペンド状態となった直前の発光強度で発光する。
(5)サスペンド状態からオフ状態への遷移
歯科用ヘッドライト装置1がサスペンド状態にあるときに、第1ボタン21及び第2ボタンが同時に第2所定時間(例えば、1秒間)押下された場合、オフ状態へと動作状態が遷移する。具体的には、マイクロコントローラ35が、第1ボタン21及び第2ボタン22の同時押しに従って、LED駆動回路36を制御してLED素子10を消灯した後、マイクロコントローラ35の動作を停止する。尚、第2所定時間は、第1所定時間と同じであっても良いし、第1所定時間と異なっていても良い。
(6)オン状態(強)、オン状態(中)、オン状態(弱)間の遷移
歯科用ヘッドライト装置1がオン状態にあるときに、レバー20が押下されるたびに、オン状態(強)、オン状態(中)、オン状態(弱)の順に動作状態が遷移する。オン状態(弱)のときに、レバー20が押下されるとオン状態(強)へと動作状態が遷移する。具体的には、マイクロコントローラ35が、レバー20の押下に従って、LED駆動回路36を制御して、LED素子10の発光強度を所定値に変化させる。
図7に示したように歯科用ヘッドライト装置1の動作状態を制御することにより、レバー20を用いた発光強度の調整機能、第1ボタン21及び第2ボタン22の両方を用いた電源オン・オフ機能、第1ボタン21及び第2ボタンのいずれか一方を用いたサスペンド/レジューム機能を実現できる。尚、本実施形態では、主電源のオン・オフの切り替えを、第1ボタン21及び第2ボタン22の同時長押し(つまり、所定時間以上の押下)によって行っているが、第1ボタン21の長押し、及び/または、第2ボタン22の長押しによって主電源のオン・オフの切り替えを行っても良い。
以上説明したように、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1は、ヘッドバンド部2にLED素子10を有するランプ本体部3とバッテリー部4とを設けた構成であるので、光ファイバを介して光源からの光を導く構成のヘッドライト装置や、商用電源からの電力供給を必要とするヘッドライト装置と比べて、軽量で携帯性に優れている。また、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1は、色温度が2700〜5000Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるLED素子10と、レンズ12と、レンズ拡散板13とを備えるため、歯科診断や歯科治療での使用時に、患者の口腔部分を均一な輝度で照らすことができ、かつ、歯や歯肉を自然な色で発色させることができる。汎用的なヘッドライト装置(例えば、アウトドア用ヘッドライト装置や工事用ヘッドライト装置)では、被照明体を明るく照明できること、すなわち、輝度が最も重要なファクターであり、被照明体の発色性や輝度の均一性については特に考慮されていないのが実情である。したがって、本実施の形態で使用している、色温度が2700〜5000Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるLED素子10は、汎用的なヘッドライト装置ではこれまで使用されていなかった。これに対して、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1は、上述の構成を採用することによって、歯科用途で必要な発色性、輝度の均一性、患者の口腔位置のみを照射対象とできる集光特性を実現することができる。
また、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1では、ランプ本体部3の最前面と被照明体との距離が30〜50cmのときに、ランプ本体部3の集光範囲が直径5〜15cmの円内に収まるように、ランプ本体部3の集光特性が設定されている。したがって、歯科診断や歯科治療時の照明範囲を、患者の口腔部分に限定することができるので、歯科用ヘッドライト装置1の光が患者の目に入ることを防止できる。
また、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1では、レバー20のクリックにより発光強度を変化させることができる。歯科診断や歯科治療時においては、歯科医は手袋を装着していたり、手に治療器具を持っていたりするが、手袋を装着した手や治療器具を持った手でもレバー20のクリックは容易に行えるので、発光強度の調整がしやすいという利点がある。
また、本実施の形態に係る歯科用ヘッドライト装置1では、第1ボタン21及び第2ボタン22の操作方法に応じて、オン状態、オフ状態及びサスペンド状態に制御可能である。この機能によって、例えば、診療の開始時に第1ボタン21及び第2ボタン22を同時に押してオン状態とした後、診療時間中は第1ボタン21または第2ボタン22を用いてLED素子10の点灯および消灯を行い、診療終了時に第1ボタン21及び第2ボタン22を同時に押してオフ状態とするといった歯科用ヘッドライト装置1の使用方法が可能となる。第1ボタン21または第2ボタン22のいずれかを用いて、サスペンド状態としたときは、サスペンド状態の直前に設定していた発光強度が記憶されるので、LED素子10の点灯・消灯を頻繁に行う場合などでも、LED素子10の発光強度の再設定が不要となるので、使い勝手が向上する。
また、歯科用ヘッドライト装置1の使用時には、軸18を中心としてランプ本体部3を手で回転させるだけで、所望のピッチ数だけクリックギア31の係合位置を変化させてランプ本体部3を固定することができる。したがって、手袋をした手や治療器具を持った手でも簡単にランプ本体部3を所望の角度に設定して固定することができる。したがって、本実施の形態に寄れば、光の照射位置を容易に変更可能な歯科診療に適した歯科用ヘッドライト1を実現できる。
(その他の変形例)
尚、上記の実施の形態において、ランプ本体部3の外装部分(フロントケース15、リアケース16、透明板14等)は、消毒液等の薬品に対して耐性のある材質や、抗菌性のある材質で形成しても良い。また、ランプ本体部3を洗浄することができるように、パッキンやシールリング等を用いて、ランプ本体部3に防水性を付与することが好ましい。
また、上記の実施の形態において、ランプ本体部3とバッテリー部4とをUSBケーブルで接続する例を説明したが、必ずしもUSBケーブルを用いる必要はなく、バッテリー部4からランプ本体部3へと電力を供給可能となるように電気的に接続されていれば良い。
本発明は、被照明体を照らすためのヘッドライト装置として利用でき、特に、歯科用途に用いる携帯型のヘッドライト装置として有用である。
1 歯科用ヘッドライト装置
2 ヘッドバンド部
3 ランプ本体部
4 バッテリー部
5 第1ベース部材
6 第2ベース部材
7a〜7c バンド
9 LED基板
10 LED素子
11 駆動基板
12 レンズ
13 レンズ拡散板
20 レバー
21 第1ボタン
22 第2ボタン
33 ルーペ
35 マイクロコントローラ
36 LED駆動回路

Claims (6)

  1. 携帯型の歯科用ヘッドライト装置であって、
    使用者の頭部に装着されるヘッドバンド部と、
    前記ヘッドバンド部に取り付けられるランプ本体部と、
    前記ランプ本体部に電源を供給するバッテリー部とを備え、
    前記ランプ本体部は、
    色温度が2700〜5000Kで、かつ、平均演色評価数Raが95以上であるLED素子と、
    前記LED素子の発光を制御する制御回路を有する駆動基板と、
    前記LED素子から出射された光を集光するレンズと、
    光を拡散させる微細なレンズアレイを有し、前記レンズから出射された光を前記レンズアレイによって拡散整形するレンズ拡散板とを含む、歯科用ヘッドライト装置。
  2. 前記ランプ本体部の最前面と被照明体との距離が30〜50cmのときに、前記ランプ本体部の集光範囲が直径5〜15cmの円内に収まることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用ヘッドライト装置。
  3. 前記ランプ本体部は、レバーを含み、
    前記制御回路は、前記レバーの操作に応じて、前記LED素子の発光強度を変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の歯科用ヘッドライト装置。
  4. 前記ランプ本体部は、第1ボタン及び第2ボタンを含み、
    前記制御回路は、前記LED素子が点灯しているオン状態と、前記LED素子が消灯し、かつ、前記制御回路が動作を停止しているオフ状態と、前記LED素子が消灯し、かつ、前記制御回路が動作しているサスペンド状態との間で、前記歯科用ヘッドライト装置の動作状態を遷移可能であり、
    前記制御回路は、
    前記歯科用ヘッドライト装置がオフ状態にあり、かつ、前記第1ボタン及び前記第2ボタンが同時に第1所定時間押下された場合に、前記LED素子を所定の初期発光強度で発光させることにより、前記歯科用ヘッドライト装置をオン状態とし、
    前記歯科用ヘッドライト装置がオフ状態にあり、かつ、前記第1ボタン及び前記第2ボタンが同時に第2所定時間押下された場合に、前記LED素子を消灯させると共に前記制御回路の動作を停止させることにより、前記歯科用ヘッドライト装置をオフ状態とし、
    前記歯科用ヘッドライト装置がオン状態にあり、かつ、前記第1ボタン及び前記第2ボタンのいずれか一方が押下された場合に、点灯中の前記LED素子の発光状態を保持して、前記LED素子を消灯させることにより、前記歯科用ヘッドライト装置をサスペンド状態とし、
    前記歯科用ヘッドライト装置が前記サスペンド状態にあり、かつ、前記第1ボタン及び前記第2ボタンのいずれか一方が押下された場合に、保持しているLED素子の発光状態でLED素子を発光させることにより、前記歯科用ヘッドライト装置をオン状態とすることを特徴とする、請求項3に記載の歯科用ヘッドライト装置。
  5. 前記ヘッドバンド部は、
    前記ランプ本体部が取り付けられる第1ベース部材と、
    前記バッテリー部が取り付けられる第2ベース部材と、
    前記第1ベース部及び前記第2ベース部とを接続するバンドとを含み、
    前記ランプ本体部は、仰俯角を変更可能となるように前記第1ベース部に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用ヘッドライト装置。
  6. 前記ランプ本体部の下方に着脱自在に取り付けられるルーペを更に備える、請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用ヘッドライト装置。
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