JP2015227811A - 機器消費電力推定装置及びコンピュータプログラム - Google Patents

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卓久 和田
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和人 久保田
俊昭 枝広
Toshiaki Edahiro
俊昭 枝広
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Abstract

【課題】消費電力の推定精度を向上することができる機器消費電力推定装置及びコンピュータプログラムを提供することである。【解決手段】実施形態の機器消費電力推定装置は、動作状態推定部と、消費電力推定部と、スムージング処理部とを備える。動作状態推定部は、給電経路において測定された電圧と電流の時系列データに基づいて得られる電流または電力の高調波から導出された高調波の特徴と、機器の動作状態毎の高調波に関する予め求められている高調波の特徴とに基づいて前記機器の動作状態を推定する。消費電力推定部は、推定された動作状態に基づいて前記機器の消費電力を推定する。スムージング処理部は、第1の期間の間に推定された前記機器の消費電力の推定結果に基づいて、前記第1の期間内のある対象時刻における消費電力の推定結果を補正する。【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、機器消費電力推定装置及びコンピュータプログラムに関する。
インバータ機器を含む電気機器の動作状態を個別に測定する技術として、電気機器毎に測定器を設置するのではなく、電柱から家庭への引込線における測定に基づいて、非侵入的に各電気機器の動作状態を推定する技術が提案されている。
各電気機器の動作状態を推定する場合、高調波のS/N比が大きい電気機器では消費電力の推定精度が高くなるが、高調波のS/N比が小さい電気機器では消費電力の推定精度が低くなってしまう可能性があった。
特開2000−292465号公報 特開2002−152971号公報 特開2012−189526号公報
本発明が解決しようとする課題は、消費電力の推定精度を向上することができる機器消費電力推定装置及びコンピュータプログラムを提供することである。
実施形態の機器消費電力推定装置は、動作状態推定部と、消費電力推定部と、スムージング処理部とを備える。動作状態推定部は、給電経路において測定された電圧と電流の時系列データに基づいて得られる電流または電力の高調波から導出された高調波の特徴と、機器の動作状態毎の高調波に関する予め求められている高調波の特徴とに基づいて前記機器の動作状態を推定する。消費電力推定部は、推定された動作状態に基づいて前記機器の消費電力を推定する。スムージング処理部は、第1の期間の間に推定された前記機器の消費電力の推定結果に基づいて、前記第1の期間内のある対象時刻における消費電力の推定結果を補正する。
機器消費電力推定装置100の機能構成を表す概略ブロック図。 スムージング処理部60の構成を表す概略ブロック図。 判定条件テーブルの具体例を示す図。 家電の消費電力の推定結果を表す図。 対象時刻前後所定期間内の消費電力の推定結果を表す図。 スムージング処理部60による処理前後の差異を説明するための図。 実施形態におけるスムージング処理部60の処理の流れを示すフローチャート。
以下、実施形態の機器消費電力推定装置100を、図面を参照して説明する。
図1は、機器消費電力推定装置100の機能構成を表す概略ブロック図である。
機器消費電力推定装置100は、家庭用電気機器製品(以下、単に「家電」という。)の電圧、電流の測定データに基づいて各家電の動作状態を推定し、各家電の消費電力の推定結果を出力する装置である。
機器消費電力推定装置100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、消費電力出力プログラムを実行する。消費電力出力プログラムの実行によって、機器消費電力推定装置100は、電圧・電流測定部10、高調波算出部20、機器特徴DB30、動作状態推定部40、消費電力推定部50、スムージング処理部60、対象時刻前後情報記憶部70を備える装置として機能する。なお、機器消費電力推定装置100の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、消費電力出力プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、消費電力出力プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
電圧・電流測定部10は、一定周期で給電経路において測定された電圧と電流の時系列データを記録する。給電経路とは、家電に電力が給電される際に通過する経路であり、例えば、給電線や分電盤である。
高調波算出部20は、時系列データに基づいて電流、電力の高調波を算出する。具体的には、まず高調波算出部20は、時系列データを入力とし、時系列データから動作状態の変化時刻を検出する。動作状態の変化時刻とは、家電がON(オン)からOFF(オフ)、もしくはOFFからONになった等の変化や、例えば洗濯機の「洗い」から「すすぎ」に運転モードが変更になった等の動作状態が変化したときの時刻を表す。動作状態の変化時刻は、1つではなく複数あってもよい。次に、高調波算出部20は、検出した変化時刻および電圧、電流の測定データから、変化時刻前後の特徴波形を抽出する。高調波算出部20は、抽出した特徴波形に対してFFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)を行うことによって高調波のFFT係数を算出する。
機器特徴DB30は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。機器特徴DB30は、予め各家電の各動作状態の高調波の特徴を記憶している。例えば、機器特徴DB30は、予め各家電の各動作状態の高調波のFFT係数を記憶している。
動作状態推定部40は、高調波算出部20によって算出された高調波と、機器特徴DB30に記憶されている各家電の各動作状態の高調波の特徴とに基づいて各家電の動作状態を推定する。例えば、動作状態推定部40は、高調波算出部20によって算出された高調波のFFT係数と、機器特徴DB30に記憶されている各家電の各動作状態の高調波のFFT係数とに基づいて各家電の動作状態を推定する。
消費電力推定部50は、予め各家電の各動作状態の高調波の特徴と消費電力との関係から作成した回帰モデルを記憶している。消費電力推定部50は、動作状態推定部40が推定した動作状態と、回帰モデルとに基づいて各家電の消費電力をそれぞれ推定する。
スムージング処理部60は、一定期間(第1の期間)の間に推定された各家電の消費電力の推定結果に基づいて一定期間内のある対象時刻における消費電力の推定結果の誤りを判定し、判定された誤りを補正する。スムージング処理部60は、例えば一定期間の間に推定された各家電の消費電力の推定結果を参照し、一定期間内の対象時刻毎(例えば、0.5秒毎)に、消費電力の推定結果を補正するか否か判定して消費電力の推定結果の誤りを補正する。対象時刻とは、消費電力が推定された一定期間内の時刻のうち、消費電力の推定結果を補正するか否かの判定対象となる時刻である。
対象時刻前後情報記憶部70は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。対象時刻前後情報記憶部70は、スムージング処理部60が消費電力の推定結果を補正するか否か判定する際に参照する、対象時刻の前の時刻を含む所定期間(以下、「対象時刻前所定期間」という。)の情報と、対象時刻の後の時刻を含む所定期間(以下、「対象時刻後所定期間」という。)の情報とを記憶している。例えば、対象時刻前所定期間(第2の期間)は対象時刻の前の時刻を含む30秒間であり、対象時刻後所定期間(第3の期間)は対象時刻の後の時刻を含む30秒間である。より具体的には、対象時刻前所定期間は、対象時刻を基準として対象時刻から対象時刻の前の時刻までの所定の期間を表す。対象時刻後所定期間は、対象時刻を基準として対象時刻から対象時刻の後の時刻までの所定の期間を表す。なお、対象時刻前所定期間および対象時刻後所定期間は、それぞれ異なる時間であってもよいし、家電毎に異なっていてもよい。
図2は、スムージング処理部60の構成を表す概略ブロック図である。
図2に示すように、スムージング処理部60は、消費電力推定結果記憶部61、判定条件テーブル記憶部62、対象時刻前判定部63、対象時刻後判定部64、一致判定部65、対象時刻前消費電力算出部66、対象時刻後消費電力算出部67、消費電力補正値決定部68、出力決定部69を備える。
消費電力推定結果記憶部61は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。消費電力推定結果記憶部61は、消費電力推定部50によって一定期間の間に推定された各家電の消費電力の推定結果を記憶している。
判定条件テーブル記憶部62は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。判定条件テーブル記憶部62は、判定条件テーブルを記憶している。判定条件テーブルは、対象時刻前所定期間及び対象時刻後所定期間に関する条件と、条件が満たされた場合に判定される家電の対象時刻前所定期間及び対象時刻後所定期間における動作状態とが対応付けられたテーブルである。
対象時刻前判定部63は、対象時刻前所定期間の情報と、消費電力の推定結果と、判定条件テーブルとに基づいて、対象時刻前所定期間における家電の動作状態を判定する。
対象時刻後判定部64は、対象時刻前所定期間の情報と、消費電力の推定結果と、判定条件テーブルとに基づいて、対象時刻後所定期間における家電の動作状態を判定する。
一致判定部65は、対象時刻前判定部63の判定結果と、対象時刻後判定部64の判定結果とが一致するか否か判定する。また、一致判定部65は、判定結果が一致した場合についてはさらに判定結果で示される家電の動作状態と、対象時刻における家電の動作状態とが一致するか否か判定する。判定結果が一致しない場合、又は、判定結果で示される家電の動作状態と対象時刻における家電の動作状態とが一致する場合、一致判定部65は対象時刻における消費電力の推定結果を補正対象ではないと判定する。
例えば、対象時刻前所定期間における家電の動作状態がOFFであると判定され、対象時刻後所定期間における家電の動作状態がONであると判定された場合、一致判定部65は対象時刻における家電の消費電力の推定結果を補正対象ではないと判定する。また、例えば、判定結果で示される家電の動作状態がOFFであると判定され、対象時刻における家電の動作状態がOFFであると判定された場合、一致判定部65は対象時刻における家電の消費電力の推定結果を補正対象ではないと判定する。
上述したように、一致判定部65は、対象時刻前所定期間における家電の動作状態と対象時刻後所定期間における家電の動作状態とが異なる場合、又は、判定結果で示される家電の動作状態と対象時刻における家電の動作状態とが一致する場合には対象時刻における消費電力の推定結果を補正対象ではないと判定する。
また、判定結果が一致した場合、かつ、判定結果で示される家電の動作状態と対象時刻における家電の動作状態とが一致しない場合、一致判定部65は対象時刻における家電の消費電力の推定結果を補正対象であると判定する。
例えば、判定結果で示される家電の動作状態がOFFであると判定され、対象時刻における家電の動作状態がONであると判定された場合、一致判定部65は対象時刻における消費電力の推定結果を補正対象であると判定する。
上述したように、一致判定部65は、判定結果で示される家電の動作状態と対象時刻における動作状態とが異なる場合には対象時刻における消費電力の推定結果を補正対象であると判定する。
対象時刻前消費電力算出部66は、対象時刻前所定期間の情報と、消費電力の推定結果とに基づいて、対象時刻前所定期間におけるON状態での消費電力の平均値(以下、「対象時刻前平均消費電力」という。)を算出する。例えば、対象時刻前消費電力算出部66は、対象時刻前所定期間内の消費電力が0W以外の消費電力の平均値を対象時刻前平均消費電力として算出する。より具体的には、対象時刻前所定期間に100個の推定結果があり、そのうち30個が0W、つまりOFF状態であり、残りの70個が0より大きい値、つまりON状態であった場合、対象時刻前消費電力算出部66は対象時刻前所定期間における70個の消費電力の平均値を対象時刻前平均消費電力として算出する。
対象時刻後消費電力算出部67は、対象時刻後所定期間の情報と、消費電力の推定結果とに基づいて、対象時刻後所定期間におけるON状態での消費電力の平均値(以下、「対象時刻後平均消費電力」という。)を算出する。例えば、対象時刻後消費電力算出部67は、対象時刻後所定期間内の消費電力が0W以外の消費電力の平均値を対象時刻後平均消費電力として算出する。より具体的には、対象時刻後所定期間に100個の推定結果があり、そのうち30個が0W、つまりOFF状態であり、残りの70個が0より大きい値、つまりON状態であった場合、対象時刻後消費電力算出部67は対象時刻後所定期間における70個の消費電力の平均値を対象時刻後平均消費電力として算出する。
消費電力補正値決定部68は、消費電力の推定結果を補正するための補正値を決定する。例えば、消費電力補正値決定部68は、対象時刻前平均消費電力を補正値に決定してもよいし、対象時刻後消費電力を補正値に決定してもよいし、対象時刻前平均消費電力と対象時刻後消費電力との平均値を補正値に決定してもよい。
出力決定部69は、対象時刻における消費電力の推定結果を出力する。具体的には、出力決定部69は、一致判定部65で補正対象と判定され、かつ、消費電力の推定結果の補正対象となる家電の高調波が他の家電の高調波よりも小さい場合に、補正対象であると判定された対象時刻における消費電力の推定結果を補正する。この場合、出力決定部69は、消費電力補正値決定部68によって決定された補正値を対象時刻における消費電力の推定結果として出力する。この高調波の大小の判定には、各次数の高調波の電力値が用いられる。
ただし、高調波の強度は、高調波を算出する際に用いるデータ数に依存するため、高調波の電力値をデータ数で正規化して比較する方がよい。より具体的には、高調波を算出する際にFFTを用いた場合には、FFT係数の大きさがデータ数に依存する可能性があるため、高調波の電力値をデータ数で正規化して比較する方がよい。出力決定部69は、一致判定部65で補正対象と判定された場合であっても高調波の強度が大きい家電について補正前の推定結果が正しい可能性があるので補正しない。この場合、出力決定部69は、対象時刻における消費電力の推定結果を出力する。
高調波の強度が小さい家電では、消費電力を推定する際にS/N比が悪いために他の家電のノイズやモデル化誤差の影響を受けやすくなるため、消費電力の推定結果が誤っている可能性が高い。そこで、上述した処理により、対象時刻の前後のある一定期間でのON/OFF状態をマクロでみて、対象時刻の前後所定期間におけるON/OFF状態を判定し、対象時刻における消費電力の推定結果を補正することにより消費電力の推定結果の誤りを削減することができる。
図3は、判定条件テーブルの具体例を示す図である。
判定条件テーブルは、家電の動作状態の判定条件に関する情報を表すレコード300を複数有する。レコード300は、ON割合条件及び動作状態判定結果の各値を有する。ON割合条件の値は、所定期間に占めるON状態の割合に関する条件を表す。所定期間とは、対象時刻前所定期間及び対象時刻後所定期間である。動作状態判定結果の値は、同じレコード300のON割合の条件が満たされた場合に判定される家電の動作状態を表す。
図3に示される例では、判定条件テーブルには複数のON割合条件が登録されている。これらのON割合条件は、“α以上”、“β〜α未満”、“β未満”である。図3において、ON状態の割合がα以上のときは所定の期間における家電の動作状態がON状態であると判定され、β以上α未満のときは家電の動作状態が不定であると判定され、β未満のときは家電の動作状態がOFF状態であると判定されることが表されている。なお、α及びβの値は、予め設定されていてもよいし、状況に応じて動的に変更されてもよいし、家電毎に異なる値が設定されてもよい。以下の説明では、αが0.7、βが0.3である場合を例に説明する。
図4は、消費電力推定結果記憶部61に記憶されている家電の消費電力の推定結果を表す図である。
図4には、一定期間の間に推定されたある対象家電の消費電力の推定結果の推移が示されている。図4において、縦軸は消費電力の推定結果を表し、横軸は時間tを表す。図4では、0秒から800秒まで一定周期で消費電力推定部50によって推定された対象家電の消費電力の推移が示されている。点線200は、対象家電がON状態である場合に消費される電力の上限値を表す。対象家電がON状態である場合には、消費電力の推定結果が点線200で示される値(例えば、65W)となっていることが消費電力を正しく推定できていることを表す。しかし、図4に示されるように、0秒から800秒までの間に消費電力が0Wであると推定された時刻が散発している。対象家電の動作状態がOFF状態である場合には、OFF状態である期間の消費電力の推定結果が0Wとなるが、このように消費電力が0Wであると推定された時刻が散発している場合には消費電力の推定結果が誤っている可能性がある。そこで、スムージング処理部60は、一定期間の間に推定された各家電の消費電力の推定結果に基づいて、所定の間隔(例えば、0.5秒間隔)で対象時刻を決定し、一定期間の間に推定された各家電の消費電力の推定結果の誤りを補正する。
図5は、対象時刻前後所定期間内の消費電力の推定結果を表す図である。
図5に示される図は、スムージング処理部60が一定期間の間に推定された消費電力の推定結果のうち、ある対象時刻における消費電力の推定結果を抽出した図である。図5において、縦軸は消費電力の推定結果を表し、横軸は時間tを表す。図5では、t2が対象時刻を表し、t1からt2までの間の期間Pが対象時刻前所定期間を表し、t2からt3までの間の期間Qが対象時刻後所定期間を表す。
以下、図5を用いて対象時刻前判定部63及び対象時刻後判定部64の処理について具体的に説明する。
対象時刻前判定部63は、図5に示される期間P秒間に占めるON状態の割合を算出することによって対象時刻前所定期間における家電の動作状態を判定する。例えば、P秒間に100個の推定結果があり、そのうち30個が0W、つまり家電の動作状態がOFF状態であり、残りの70個が0より大きい値、つまり家電の動作状態がON状態であるとすると、P秒間に占めるON状態の割合は70/100=0.7となる。対象時刻前判定部63は、このように算出した割合と判定条件テーブル記憶部62が記憶する判定条件テーブルとに基づいて、対象時刻前所定期間における家電の動作状態を判定する。本実施例の場合には、対象時刻前判定部63は、対象時刻前所定期間における家電の動作状態がON状態であると判定する(判定条件テーブルのON割合条件のαの値が0.7であるため)。
次に、対象時刻後判定部64の処理について説明する。
対象時刻後判定部64は、図5に示される期間Q秒間に占めるON状態の割合を算出することによって対象時刻後所定期間における家電の動作状態を判定する。対象時刻後判定部64は、対象時刻前判定部63と同様の処理を行うことによってQ秒間における家電の動作状態を判定する。
以上で、対象時刻前判定部63及び対象時刻後判定部64の処理についての説明を終了する。
図6は、スムージング処理部60による処理前後の差異を説明するための図である。
図6(A)は、スムージング処理部60による処理前の消費電力の推定結果を示す図である。
例えば、図6(A)に示される消費電力の推定結果において、対象時刻前所定期間Pに占めるON状態の割合によって判定される家電の動作状態(図6(A)では、ON状態)と、対象時刻後所定期間Qに占めるON状態の割合によって判定される家電の動作状態(図6(A)では、ON状態)とが一致すると判定され、かつ、一致した判定結果で示される家電の動作状態と対象時刻t2での家電の動作状態(図6(A)では、OFF状態)とが異なると判定された場合には対象時刻における消費電力の推定結果が補正対象となる。この場合、スムージング処理部60は、図6(A)の誤り推定結果と示されている範囲を補正対象とする。
図6(B)は、スムージング処理部60による処理後の消費電力の推定結果を示す図である。
スムージング処理部60による処理後には、図6(B)に示されるように補正対象となった範囲の消費電力の推定結果が補正される。この際に使用される補正値は、消費電力補正値決定部68によって決定される。例えば、対象時刻前平均消費電力や対象時刻後平均消費電力や対象時刻前平均消費電力と対象時刻後平均消費電力との平均値のいずれかが補正値となる。このような補正がなされることにより、消費電力の推定精度を向上させることができる。
図7は、実施形態におけるスムージング処理部60の処理の流れを示すフローチャートである。スムージング処理部60の処理は、各家電の消費電力の推定結果毎に行われる。
対象時刻前判定部63は、消費電力推定結果記憶部61に記憶されている消費電力の推定結果から対象時刻前所定期間(図4に示す例では、対象時刻前P秒間)における対象家電の動作状態を判定する(ステップS101)。具体的には、まず対象時刻前判定部63は、消費電力推定結果記憶部61から対象家電の消費電力の推定結果のうち、対象時刻、対象時刻前所定期間及び対象時刻後所定期間に対応する消費電力の推定結果を取得する。次に、対象時刻前判定部63は、取得した消費電力の推定結果を参照し、対象時刻前所定期間に占めるON状態の割合を算出する。そして、対象時刻前判定部63は、算出したON状態の割合と、判定条件テーブル記憶部62に記憶されている判定条件テーブルとに基づいて対象時刻前所定期間における対象家電の動作状態を判定する。
対象時刻後判定部64は、消費電力推定結果記憶部61に記憶されている消費電力の推定結果から対象時刻後所定期間(図4に示す例では、対象時刻後Q秒間)における対象家電の動作状態を判定する(ステップS102)。具体的には、まず対象時刻後判定部64は、消費電力推定結果記憶部61から対象家電の消費電力の推定結果のうち、対象時刻、対象時刻前所定期間及び対象時刻後所定期間に対応する消費電力の推定結果を取得する。次に、対象時刻後判定部64は、取得した消費電力の推定結果を参照し、対象時刻後所定期間に占めるON状態の割合を算出する。そして、対象時刻前判定部63は、算出したON状態の割合と、判定条件テーブル記憶部62に記憶されている判定条件テーブルとに基づいて対象時刻後所定期間における対象家電の動作状態を判定する。
対象時刻前消費電力算出部66は、消費電力推定結果記憶部61に記憶されている消費電力の推定結果から対象時刻前所定期間における対象時刻前平均消費電力を算出する(ステップS103)。対象時刻前消費電力算出部66は、算出した対象時刻前平均消費電力を消費電力補正値決定部68に出力する。
対象時刻後消費電力算出部67は、消費電力推定結果記憶部61に記憶されている消費電力の推定結果から対象時刻後所定期間における対象時刻後平均消費電力を算出する(ステップS104)。対象時刻後消費電力算出部67は、算出した対象時刻後平均消費電力を消費電力補正値決定部68に出力する。
消費電力補正値決定部68は、対象時刻前平均消費電力と対象時刻後平均消費電力とに基づいて補正値を決定する(ステップS105)。消費電力補正値決定部68は、決定した補正値を出力決定部69に出力する。
一致判定部65は、対象時刻前後所定期間における判定結果が一致するか否か判定する(ステップS106)。具体的には、一致判定部65は、対象時刻前判定部63が判定した対象時刻前の所定期間における動作状態と、対象時刻後判定部64が判定した対象時刻後の所定期間における動作状態とが一致するか否か判定する。
対象時刻前所定期間における動作状態と、対象時刻後所定期間における動作状態とが一致しない場合(ステップS106−NO)、出力決定部69は消費電力推定結果記憶部61に記憶されている対象家電の消費電力の推定結果を参照し、対象時刻における消費電力の推定結果を出力する(ステップS107)。
一方、対象時刻前の所定期間における動作状態と、対象時刻後の所定期間における動作状態とが一致する場合(ステップS106−YES)、一致判定部65はステップS106の処理で一致したと判定された動作状態と、対象時刻における動作状態とが一致するか否か判定する(ステップS108)。
ステップS106の処理で一致したと判定された動作状態と、対象時刻における動作状態とがしない場合(ステップS107−NO)、出力決定部69は消費電力推定結果記憶部61に記憶されている対象家電の消費電力の推定結果を参照し、対象時刻における消費電力の推定結果を出力する(ステップS107)。
一方、ステップS106の処理で一致したと判定された動作状態と、対象時刻における動作状態とが一致する場合(ステップS107−YES)、出力決定部69は対象家電の高調波が他の家電の高調波よりも小さいか否か判定する(ステップS109)。
対象家電の高調波が他の家電の高調波よりも小さくない場合(ステップS109−NO)、出力決定部69は消費電力推定結果記憶部61に記憶されている対象家電の消費電力の推定結果を参照し、対象時刻における消費電力の推定結果を出力する(ステップS107)。
一方、対象家電の高調波が他の家電の高調波よりも小さい場合(ステップS109−YES)、出力決定部69は消費電力補正値決定部68によって決定された補正値を、対象時刻における消費電力の推定結果として出力する(ステップS110)。
対象時刻における消費電力の推定結果を出力後、スムージング処理部60は消費電力の推定結果において、所定の間隔(例えば、0.5秒)毎に上述したステップS101〜ステップ110までの処理を繰り返し実行する。
以上のように構成された機器消費電力推定装置100によれば、対象時刻前後所定期間において判定された家電の動作状態と、対象時刻において判定された家電の動作状態とに基づいて、対象時刻における消費電力の推定結果が補正対象であるか否か判定される。そして、補正対象であると判定され、かつ、対象時刻における消費電力の推定結果の推定対象である対象家電の高調波の強度が他の装置の高調波の強度よりも小さい場合に対象時刻における消費電力の推定結果の補正が行われる。したがって、推定結果として出力される消費電力の推定結果の誤りを削減することができる。そのため、消費電力の推定精度を向上することが可能になる。
また、補正対象であると判定された対象時刻における消費電力の推定結果であっても、対象時刻における消費電力の推定結果の推定対象である家電の高調波の強度が他の装置の高調波の強度よりも大きい場合には消費電力の推定結果の補正がなされない。したがって、不必要な処理が行なわれない。そのため、処理の効率化を図ることができる。
以下、変形例について説明する。
高調波の算出方法は、上述の方法に限定される必要はない。高調波の算出方法は、高調波が算出できる方法であればどのような方法であってもよい。
本実施形態では、出力決定部69が対象家電の高調波が他の家電の高調波よりも小さい場合に消費電力補正値決定部68が決定した補正値を対象時刻における推定結果として出力する構成を示したが、出力決定部69は対象家電の高調波が所定の閾値未満である場合に消費電力補正値決定部68が決定した補正値を対象時刻における推定結果として出力するように構成されてもよい。
本実施形態では、スムージング処理部60の処理が各家電の消費電力の推定結果毎に行われる構成を示したが、これに限定される必要はない。例えば、スムージング処理部60の処理は、ON動作状態にある家電の消費電力の推定結果毎に行われてもよい。ON動作状態とは、家電に電流が流れ、電力が消費されている状態(通電状態)を表す。このように構成される場合、以下のような処理が行なわれる。
まず、動作状態推定部40が高調波算出部20によって算出された高調波と機器特徴DB30に記憶されている各家電の各動作状態の高調波の特徴とに基づいてON動作状態にある家電を特定する。そして、動作状態推定部40は、ON動作状態にある家電の情報をスムージング処理部60に出力する。スムージング処理部60は、動作状態推定部40からの情報に基づいて、ON動作状態にある家電の消費電力の推定結果に対して処理を行う。
このように構成されることによって、全ての家電に対して処理が行なわれない。したがって、スムージング処理部60が行う処理量を削減することができる。そのため、消費電力検出装置100に生じる負荷を軽減することが可能になる。
また、スムージング処理部60は、高調波の強度が低い家電機器(例えば、LED照明、テレビなど)の消費電力の推定結果に対しては常に処理を実行してもよい。
また、スムージング処理部60は、高調波の強度が高い家電機器(例えば、電子レンジ、炊飯器、IH)が起動した場合に、高調波の強度が低い家電機器(例えば、LED照明、テレビなど)の消費電力の推定結果に対して処理を実行してもよい。
機器特徴DB30に記憶されている各家電の各動作状態の高調波の特徴は適宜更新されてもよい。このように構成される場合、消費電力検出装置100は機器特徴学習部を備える。機器特徴学習部は、高調波算出部20によって算出された高調波を記録し、記録した高調波に基づいて各家電の各動作状態に対応した高調波の特徴を自動生成する。そして、機器特徴学習部は、生成した高調波の特徴を機器特徴DB30に記録することによって高調波の特徴を更新する。機器特徴学習部は、上述した処理を各家電に対して行う。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、対象時刻前後所定期間における家電の動作状態と、対象時刻における家電の動作状態とによって消費電力の推定結果の誤りを判定し、消費電力の推定結果の誤りを補正するスムージング処理部60を持つことにより、消費電力の推定精度を向上することができる。
実施形態の機器消費電力推定装置100は、プログラムによって実現されてもよい。機器消費電力推定装置100の上記機能を実現するプログラムは、例えば、家庭内等における機器による消費電力を管理するシステムであるHEMS(Home Energy Management System)に用いられるサーバ、スマートメータ、スマートタップ、クラウドコンピュータ、その他、消費電力を管理するためのサーバ上で動作してもよい。また、上記のプログラムを非一時的コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
また、機器消費電力推定装置100は、コンピュータプロセッサにロードされて実行された場合に、コンピュータ読み取り可能なインストラクションを含むコンピュータプログラム製品であってよい。この場合、機器消費電力推定装置100は、インターネット等の外部のネットワークを介してダウンロードされたプログラムをインストールすることによりソフトウェア的に実現されてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…電圧・電流測定部,20…高調波算出部,30…機器特徴DB,40…動作状態推定部,50…消費電力推定部,60…スムージング処理部,70…対象時刻前後情報記憶部,100…機器消費電力推定装置,61…消費電力推定結果記憶部,62…判定条件テーブル記憶部,63…対象時刻前判定部,64…対象時刻後判定部,65…一致判定部,66…対象時刻前消費電力算出部,67…対象時刻後消費電力算出部,68…消費電力補正値決定部,69…出力決定部

Claims (7)

  1. 給電経路において測定された電圧と電流の時系列データに基づいて得られる電流または電力の高調波から導出された高調波の特徴と、機器の動作状態毎の高調波に関する予め求められている高調波の特徴とに基づいて前記機器の動作状態を推定する動作状態推定部と、
    推定された動作状態に基づいて前記機器の消費電力を推定する消費電力推定部と、
    第1の期間の間に推定された前記機器の消費電力の推定結果に基づいて、前記第1の期間内のある対象時刻における消費電力の推定結果を補正するスムージング処理部と、
    を備える機器消費電力推定装置。
  2. 前記スムージング処理部は、
    前記対象時刻の前の時刻を含む第2の期間における消費電力の推定結果と、前記対象時刻の後の時刻を含む第3の期間における消費電力の推定結果とに基づいて、前記対象時刻における消費電力の推定結果が補正対象であるか否か判定する一致判定部と、
    前記対象時刻における消費電力の推定結果が補正対象であると判定された場合に、補正対象である消費電力の推定結果を補正するか否か所定の条件に基づいて決定する出力決定部と、
    を備える、請求項1に記載の機器消費電力推定装置。
  3. 前記スムージング処理部は、
    前記第2の期間における消費電力の推定結果に基づいて前記第2の期間における前記機器の動作状態を判定する対象時刻前判定部と、
    前記第3の期間における消費電力の推定結果に基づいて前記第3の期間における前記機器の動作状態を判定する対象時刻後判定部と、
    をさらに備え、
    前記一致判定部は、前記対象時刻前判定部の判定結果と、前記対象時刻後判定部の判定結果とが一致し、かつ、一致した前記判定結果で示される前記機器の動作状態と前記対象時刻における前記機器の動作状態とが異なる場合に前記対象時刻における消費電力の推定結果が補正対象であると判定する、請求項2に記載の機器消費電力推定装置。
  4. 前記出力決定部は、補正対象であると判定された消費電力の推定結果の推定対象である前記機器の高調波の強度が所定の高調波の強度より小さい場合に、前記補正対象である消費電力を補正すると決定する、請求項2又は3に記載の機器消費電力推定装置。
  5. 前記出力決定部は、前記機器の高調波の強度を、高調波を算出する際のデータ点数で正規化して比較し、高調波の強度が所定の閾値以下である場合に高調波の強度が小さいと判定する、請求項4に記載の機器消費電力推定装置。
  6. 前記スムージング処理部は、
    前記第2の期間におけるON状態での消費電力の平均値である対象時刻前平均消費電力を算出する対象時刻前消費電力算出部と、
    前記第3の期間におけるON状態での消費電力の平均値である対象時刻後平均消費電力を算出する対象時刻後消費電力算出部と、
    前記対象時刻前平均消費電力と前記対象時刻後平均消費電力とに基づいて、補正対象であると判定された消費電力の推定結果を補正するための補正値を決定する消費電力補正値決定部と、
    をさらに備え、
    前記出力決定部は、補正対象であると判定された消費電力の推定結果を補正すると決定した場合に前記補正値を前記対象時刻における消費電力の推定結果として出力し、補正対象であると判定された消費電力の推定結果を補正しないと決定した場合に前記対象時刻における消費電力を前記消費電力の推定結果として出力する、請求項2〜5のいずれか1項に記載の機器消費電力推定装置。
  7. 給電経路において測定された電圧と電流の時系列データに基づいて得られる電流または電力の高調波から導出された高調波の特徴と、機器の動作状態毎の高調波に関する予め求められている高調波の特徴とに基づいて前記機器の動作状態を推定する機器状態推定ステップと、
    推定された動作状態に基づいて前記機器の消費電力を推定する消費電力推定ステップと、
    一定時間の間に推定された前記機器の消費電力の推定結果に基づいて、前記一定期間内のある対象時刻における消費電力の推定結果の誤りを補正するスムージング処理ステップと、
    をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
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