JP2015227784A - 干渉計 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波を用いた干渉計において、強度差が強い干渉パターンを生成する。【解決手段】被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、を有し、前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、前記第二の格子から前記検出器までの距離が1.0m以上である。【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波の干渉を計測する装置に関する。
物体を精密に測定する装置のひとつに、電磁波の干渉によって発生する位相のずれを検出するシアリング干渉計がある。
シアリング干渉計とは、光源から照射されたコヒーレントな光を分割し、両者に被検体による波面の歪曲を生成し、互いにわずかにずらすことで干渉縞を形成し、当該干渉縞のずれから被検体による光の位相変化を検出する装置である。シアリング干渉計では、光、X線のような電磁波や、中性子線等を用いて測定を行うことができる。
シアリング干渉計のひとつに、トールボット干渉法を利用したものが知られている。また、特にX線を用いたトールボット干渉法(X線トールボット干渉法)が近年注目を集めている。
シアリング干渉計とは、光源から照射されたコヒーレントな光を分割し、両者に被検体による波面の歪曲を生成し、互いにわずかにずらすことで干渉縞を形成し、当該干渉縞のずれから被検体による光の位相変化を検出する装置である。シアリング干渉計では、光、X線のような電磁波や、中性子線等を用いて測定を行うことができる。
シアリング干渉計のひとつに、トールボット干渉法を利用したものが知られている。また、特にX線を用いたトールボット干渉法(X線トールボット干渉法)が近年注目を集めている。
X線トールボット干渉計について簡単に説明する。X線源から照射されたX線が被検体を透過すると、当該X線の位相が変化する。被検体を透過したX線は、回折格子によって回折され、回折格子から所定の距離だけ離れた位置に、自己像と呼ばれる第一の干渉パターンを形成する。この、第一の干渉パターンの変化から、被検体によるX線の位相変化を算出することができる。
しかし、用いる検出器の分解能によっては、この第一の干渉パターンを直接検出することが難しい。そのため、第一の干渉パターンが形成される位置に、第一の干渉パターンとほぼ同周期の遮蔽型格子を配置し、周期が数百μm程度である第二の干渉パターン、すなわちモアレを形成するという方法がある。当該モアレを検出器で検出することによって、第一の干渉パターンの変化を間接的に測定することができる。最終的に、第二の干渉パターンを解析し、被検体を透過したX線の位相情報(一次的には微分位相情報)を回復することで、被検体についての情報を取得することができる。
しかし、用いる検出器の分解能によっては、この第一の干渉パターンを直接検出することが難しい。そのため、第一の干渉パターンが形成される位置に、第一の干渉パターンとほぼ同周期の遮蔽型格子を配置し、周期が数百μm程度である第二の干渉パターン、すなわちモアレを形成するという方法がある。当該モアレを検出器で検出することによって、第一の干渉パターンの変化を間接的に測定することができる。最終的に、第二の干渉パターンを解析し、被検体を透過したX線の位相情報(一次的には微分位相情報)を回復することで、被検体についての情報を取得することができる。
これに関連する技術として、非特許文献1には、二次元の回折格子を用いた二次元トールボット干渉計が記載されている。回折格子のパターンを二次元とすることで、被検体によるX線の位相変化を、XY軸それぞれについて得ることができる。また、各軸の微分位相情報を積分することで位相像を求めることができ、定量的な情報を得ることができる。
しかし、第二の干渉パターンを生成する際に、完全な遮蔽型格子を利用すると、一般的な一次元のトールボットでは、入射光のうちおよそ50%(二次元の場合は75%)が遮蔽格子によって遮蔽されてしまう。そのため、残りの50%ないし25%の光量で、干渉パターンを形成しなくてはならないため、信号のS/N比が悪化するという問題がある。
これを解決するための発明として、特許文献1に記載のX線撮像装置がある。当該X線撮像装置では、回折格子によって形成された第一の干渉パターンを、遮蔽格子の代わりにプリズム形状の格子で屈折させ、干渉パターンを形成している。この方法を用いると、光の減衰を少なくできるため、強度差が大きい(すなわちコントラストが高い)干渉パターンを形成することができる。
Itoh,H.et al. Two-dimensional grating-based X-ray phase-contrast imaging using Fourier transform phase retrieval, Optics Express 19, 3339(2011).
しかし、特許文献1に記載された手法では、スプリッタないしプリズム形状の格子と、X線検出器との相対的な位置関係を厳密に設定する必要がある。また、入射光をすべて用いて干渉像を形成するためには、プリズム形状の格子に、ずらし部を正確に形成する必要がある。また、当該ずらし部とX線検出器の位置関係も厳密に設定しなければならない。
なお、特許文献1には、一次元のトールボット干渉計に関する技術が開示されているが、二次元のトールボット干渉計に関しては開示がされていない。当該手法を、二次元のトールボット干渉計に適用することも可能ではあるが、X方向とY方向の二つの軸に対して、前述したような厳密な位置合わせが必要となる。すなわち、高い精度が求められるため、装置のコストが上昇するという課題がある。
なお、特許文献1には、一次元のトールボット干渉計に関する技術が開示されているが、二次元のトールボット干渉計に関しては開示がされていない。当該手法を、二次元のトールボット干渉計に適用することも可能ではあるが、X方向とY方向の二つの軸に対して、前述したような厳密な位置合わせが必要となる。すなわち、高い精度が求められるため、装置のコストが上昇するという課題がある。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、電磁波を用いた干渉計において、強度差が強い干渉パターンを生成することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第一の様態に係る干渉計は、
被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、を有し、前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、前記第二の格子から前記検出器までの距離が1.0m以上であることを特徴とする。
被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、を有し、前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、前記第二の格子から前記検出器までの距離が1.0m以上であることを特徴とする。
また、本発明の第二の様態に係る干渉計は、
被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、を有し、前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、前記第二の格子から前記検出器までの距離が、前記電磁波の波長をλ、自己像の周期をpself、前記第二の格子の周期をpG2、前記第一および第二の格子間の距離をL1とした場合において、
によって表された、上限値および下限値の範囲内にある(ただし、m1は任意の整数で
あり、PおよびTは以下の条件を満たす値)
ことを特徴とする。
被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、を有し、前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、前記第二の格子から前記検出器までの距離が、前記電磁波の波長をλ、自己像の周期をpself、前記第二の格子の周期をpG2、前記第一および第二の格子間の距離をL1とした場合において、
によって表された、上限値および下限値の範囲内にある(ただし、m1は任意の整数で
あり、PおよびTは以下の条件を満たす値)
ことを特徴とする。
本発明によれば、電磁波を用いた干渉計において、強度差が強い干渉パターンを生成することができる。
(システム構成)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成を示した図である。撮像装置1は、トールボットX線位相イメージング装置であり、X線源110、第一の格子120、第二の格子130、X線検出器140、演算部150、画像表示装置160を備えている。
なお、測定対象である被検体210は、本実施形態ではX線源110と第一の格子120との間に配置されるが、第一の格子120と第二の格子130の間に配置してもよい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成を示した図である。撮像装置1は、トールボットX線位相イメージング装置であり、X線源110、第一の格子120、第二の格子130、X線検出器140、演算部150、画像表示装置160を備えている。
なお、測定対象である被検体210は、本実施形態ではX線源110と第一の格子120との間に配置されるが、第一の格子120と第二の格子130の間に配置してもよい。
X線源110は、被検体210に照射するX線を発生させるための線源である。X線源110から照射されるX線は、第一の格子120により回折されることで、自己像と呼ばれる干渉パターンを形成できる程度の空間的可干渉性を有するものであればよい。照射されたX線は、被検体を透過したのちに第一の格子120に入射する。
第一の格子120は、X線源110から照射されたX線を回折させるための手段であり、所定の周期で格子パターンが配置された回折格子である。第一の格子120によって回折したX線は、トールボット距離と呼ばれる所定の距離において、明部と暗部が配列方向に並んだパターン像(自己像310)を形成する。なお、実施形態の説明では、X線の強度が強い箇所を明部、弱い箇所を暗部と称する。
以降、第一の格子120によって生じた干渉像(自己像)を第一の干渉パターンと称する。
なお、第一の格子120には、周期的に位相を変調する位相変調型の回折格子(位相変調型格子)を用いても良いし、周期的に振幅を変調する振幅型の回折格子(遮蔽型格子)を用いても良いが、位相格子を用いる方が、X線量の損失が少ない分有利である。
また、第一の格子120には、一方向に周期性を有する回折格子(一次元回折格子)を用いても良いし、二方向に周期性を有する回折格子(二次元回折格子)を用いても良い。
第一の格子120は、X線源110から照射されたX線を回折させるための手段であり、所定の周期で格子パターンが配置された回折格子である。第一の格子120によって回折したX線は、トールボット距離と呼ばれる所定の距離において、明部と暗部が配列方向に並んだパターン像(自己像310)を形成する。なお、実施形態の説明では、X線の強度が強い箇所を明部、弱い箇所を暗部と称する。
以降、第一の格子120によって生じた干渉像(自己像)を第一の干渉パターンと称する。
なお、第一の格子120には、周期的に位相を変調する位相変調型の回折格子(位相変調型格子)を用いても良いし、周期的に振幅を変調する振幅型の回折格子(遮蔽型格子)を用いても良いが、位相格子を用いる方が、X線量の損失が少ない分有利である。
また、第一の格子120には、一方向に周期性を有する回折格子(一次元回折格子)を用いても良いし、二方向に周期性を有する回折格子(二次元回折格子)を用いても良い。
X線が干渉することによって発生する第一の干渉パターンの周期は、通常、数μmから十数μm程度であり、そのままでは検出器で検出することができない。そこで、格子の周期を第一の干渉パターンと同じか、僅かに変えた第二の格子130を配置し、第二の干渉パターンを生成する。このようにすることで、モアレを発生させ、第一の干渉パターンの周期を数十μm以上(あるいは無限)に拡大することができる。通常のX線トールボット干渉計においては、第二の格子130として、透明部と不透明部を交互に配列することでX線の一部を遮光する遮光格子が利用される(本実施形態に固有な構成については後述する)。
生成された第二の干渉パターンは、X線検出器140によって検出される。X線検出器140は、平面(検出面)におけるX線の強度分布を取得する手段である。X線検出器の分解能は、通常であれば数十μm平方程度であるが、モアレを生成することで、第一の干渉パターンを間接的に測定することができる。
X線検出器140は通常、第二の格子130に近接して配置される。
なお、X線検出器140は、二次元のX線強度分布を情報取得する代わりに、ラインセンサを用いて、一次元のX線強度分布を取得するものであってもよい。
生成された第二の干渉パターンは、X線検出器140によって検出される。X線検出器140は、平面(検出面)におけるX線の強度分布を取得する手段である。X線検出器の分解能は、通常であれば数十μm平方程度であるが、モアレを生成することで、第一の干渉パターンを間接的に測定することができる。
X線検出器140は通常、第二の格子130に近接して配置される。
なお、X線検出器140は、二次元のX線強度分布を情報取得する代わりに、ラインセンサを用いて、一次元のX線強度分布を取得するものであってもよい。
次に、干渉パターンと被検体の内部情報との関係について説明する。
本実施形態では、被検体210を、X線源110と第一の格子120の中間に配置する。X線は一般的に透過性が高いため、生体をはじめとする被検体に照射すると、その大部分が透過するが、その際に、透過した物質の元素組成と密度に応じた位相の変化が生じる。
この位相の変化は、第一の干渉パターンの配置に影響を与える。そのため、第二の格子130によって発生する第二の干渉パターンにも歪みが生じる。
本実施形態では、被検体210を、X線源110と第一の格子120の中間に配置する。X線は一般的に透過性が高いため、生体をはじめとする被検体に照射すると、その大部分が透過するが、その際に、透過した物質の元素組成と密度に応じた位相の変化が生じる。
この位相の変化は、第一の干渉パターンの配置に影響を与える。そのため、第二の格子130によって発生する第二の干渉パターンにも歪みが生じる。
撮像装置1は、このようにして発生した歪みを、演算部150が、第二の干渉パターンから位相の微分情報を復元することで取得する。そして、被検体が存在しない場合と比較することで、被検体の内部情報を取得する。取得された内部情報は、画像情報として画像表示装置160に出力される。
なお、演算部150は、本実施形態ではコンピュータであるが、演算を行う機能は、FPGAやASICなどによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
なお、演算部150は、本実施形態ではコンピュータであるが、演算を行う機能は、FPGAやASICなどによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
(従来例)
実施形態の説明を続ける前に、従来のトールボット干渉計の構成について説明する。ここでは、従来例として、第二の格子として遮蔽型格子を設けたX線トールボット干渉計の例を挙げる。
なお、実施形態の説明においては、非特許文献1に開示されているような、二次元の格子を用いた干渉計について説明するが、一次元回折格子を用いた場合においても同様の構成を適用できる。また、本明細書では、強度差、ビジビリティ、信号対雑音比(S/N比)という語を用いる。強度差とは、平均入射光1に対して、X線検出器の各画素で検出される検出強度のうち最も高いものと、低いものの差を指す。また、ビジビリティは、当該強度差を二素子間の強度の合計で割った値を示す。また、信号対雑音比(S/N比)は、ビジビリティに平均光量の平方を乗じたものであり、ポワソンノイズを想定している。
実施形態の説明を続ける前に、従来のトールボット干渉計の構成について説明する。ここでは、従来例として、第二の格子として遮蔽型格子を設けたX線トールボット干渉計の例を挙げる。
なお、実施形態の説明においては、非特許文献1に開示されているような、二次元の格子を用いた干渉計について説明するが、一次元回折格子を用いた場合においても同様の構成を適用できる。また、本明細書では、強度差、ビジビリティ、信号対雑音比(S/N比)という語を用いる。強度差とは、平均入射光1に対して、X線検出器の各画素で検出される検出強度のうち最も高いものと、低いものの差を指す。また、ビジビリティは、当該強度差を二素子間の強度の合計で割った値を示す。また、信号対雑音比(S/N比)は、ビジビリティに平均光量の平方を乗じたものであり、ポワソンノイズを想定している。
図2は、従来のトールボット干渉計における、各格子と、各格子によって生成される像を例示した図である。
以下に説明する従来例は、実測値を基にして、コンピュータによるX線シミュレーションを行った結果である。本例で想定する共通条件として、入射光は24keV(波長51.7pm)の単色光であり、平行光(すなわち装置による像の拡大率は1)であるものとする。また、第一の回折格子の周期pG1は、X方向、Y方向ともに8μmとした。すなわ
ち、トールボット距離Tは124cmである。また、X線検出器の画素サイズは、32μmとした。
以下に説明する従来例は、実測値を基にして、コンピュータによるX線シミュレーションを行った結果である。本例で想定する共通条件として、入射光は24keV(波長51.7pm)の単色光であり、平行光(すなわち装置による像の拡大率は1)であるものとする。また、第一の回折格子の周期pG1は、X方向、Y方向ともに8μmとした。すなわ
ち、トールボット距離Tは124cmである。また、X線検出器の画素サイズは、32μmとした。
図2(A)は、従来のトールボット干渉計における、第一の格子を正面から見た図である。ここでは、第一の格子として、π型かつ市松模様型の位相変調型格子を用いる。当該格子では、光の吸収率は変わらないが、位相のみが相対的に半波長(π[rad])だけずれるように設定された部分(符号212)が、市松格子状に配置されている。このような部分は、シリコン素材などを用いて作成することができる。符号211は、位相が変化しない部分である。
また、図2(B)は、第一の格子によって形成される自己像を表した図である。自己像は、第一の格子が引き起こす干渉によって形成されるパターンであり、自己像が現れる位置(第一の格子からの距離)は、本例の場合、(pG1)2/(8λ)×(2m−1)で決定される(ただし、mは1以上の整数)。
この距離は、干渉パターンのコントラストが最も強くなる距離であることが知られている。例えば、上記のmが1である場合、第一の格子からの距離は、トールボット距離Tの1/8となり、15.5cmとなる。
図2(B)は、上記のmが1である場合、すなわち、第一の格子から、トールボット距離Tの1/8だけ離れた位置に形成される干渉パターンを示したものである。
しかし、第一の格子によって生成された干渉パターンは、周期が小さい(第一の格子の周期が8μmである場合、4μm)ため、通常の、画素の大きさが数十μm程度である検出器で検出することは極めて難しい。
この距離は、干渉パターンのコントラストが最も強くなる距離であることが知られている。例えば、上記のmが1である場合、第一の格子からの距離は、トールボット距離Tの1/8となり、15.5cmとなる。
図2(B)は、上記のmが1である場合、すなわち、第一の格子から、トールボット距離Tの1/8だけ離れた位置に形成される干渉パターンを示したものである。
しかし、第一の格子によって生成された干渉パターンは、周期が小さい(第一の格子の周期が8μmである場合、4μm)ため、通常の、画素の大きさが数十μm程度である検出器で検出することは極めて難しい。
そこで、第二の格子を利用し、モアレを生成することで干渉パターンを拡大する。
本例では、第二の格子として、メッシュ形状の遮蔽型格子を用いる。図2(C)は、第二の格子の遮蔽パターンである。当該格子では、遮蔽部が格子メッシュ状に配置されており、遮蔽部と開口部におけるX線の透過率に差がある。例えば、遮蔽部の透過率が、開口部に比べて少なくとも50%以上少ない。
第二の格子の周期は、モアレを生成するために、第一の格子の自己像とはわずかに異なる周期となる。具体的には、次のような関係式で決定される。
ここで、pselfは自己像の周期、pG2は第二の格子の基本周期、Dは検出器のピクセルのサイズである。また、nは所望するモアレの画素周期(モアレの周期を、検出面における画素数で表したもの)であり、任意の値であるが、通常3以上であることが望ましい(ここでは4とする)。
本例では、第二の格子として、メッシュ形状の遮蔽型格子を用いる。図2(C)は、第二の格子の遮蔽パターンである。当該格子では、遮蔽部が格子メッシュ状に配置されており、遮蔽部と開口部におけるX線の透過率に差がある。例えば、遮蔽部の透過率が、開口部に比べて少なくとも50%以上少ない。
第二の格子の周期は、モアレを生成するために、第一の格子の自己像とはわずかに異なる周期となる。具体的には、次のような関係式で決定される。
ここで、pselfは自己像の周期、pG2は第二の格子の基本周期、Dは検出器のピクセルのサイズである。また、nは所望するモアレの画素周期(モアレの周期を、検出面における画素数で表したもの)であり、任意の値であるが、通常3以上であることが望ましい(ここでは4とする)。
なお、特許文献1には、自己像の周期と第二の格子の周期を一致させ、互いの角度を変えることでモアレ(回転モアレ)を生成する方法が開示されているが、このような方法を用いることも可能である。
なお、基本周期pG2は、第二の格子の周期と同じ値であってもよいが、その整数分の一の値であってもよい。この値は、装置の拡大率で補正される。
なお、基本周期pG2は、第二の格子の周期と同じ値であってもよいが、その整数分の一の値であってもよい。この値は、装置の拡大率で補正される。
このような条件下において、検出器で得られた干渉パターンは、図2(D)に示す通りになる。本例では、16×16ピクセル分(拡大率1.0の場合、512μm×512μm)のパターンを示している。このように、モアレを生成することにより、従来周期が小さすぎて検出できなかったパターンが検出できるようになる。
本例では、入射光の透過率は0.26、最低光度のピクセルと最高光度のピクセルの強度差は0.74(ビジビリティは0.93)となる。この場合、ショットノイズを含んだ、期待される信号対雑音比(S/N比)は0.47程度となる。
式1の条件下においては、特許文献1に記載された装置で行われているような精密な位置決めは必要ではない。しかし、第二の格子が遮蔽格子であるため、前述したように、モアレの生成に寄与する光の割合が少なくなってしまう。すなわち、良好なS/N比を得ることができない。
式1の条件下においては、特許文献1に記載された装置で行われているような精密な位置決めは必要ではない。しかし、第二の格子が遮蔽格子であるため、前述したように、モアレの生成に寄与する光の割合が少なくなってしまう。すなわち、良好なS/N比を得ることができない。
(第一の実施形態)
次に、本発明の第一の実施形態について説明する。
図3(A)は、第一の実施形態における、第二の格子を正面から見た図である。第一の実施形態では、第二の格子として遮蔽型格子ではなく、π型かつプリズム格子型の位相変調型格子を用いる。
位相変調型格子とは、面内において、格子内構造の吸収率差ではなく、屈折率差によって、入射光の位相を周期的に変調させることを目的とした格子である。
遮蔽型格子との違いとして、位相変調格子の面内における、最高透過率と最低透過率との比が小さいことが挙げられる。例えば、当該格子の最低透過率は、少なくとも最高透過率の50%以上である。
X線の波長および第一の回折格子の周期pG1は、従来例と同一とする。
また、周期pselfとpG2の関係も、式1と同一である。なお、第一の格子と第二の格子の面水平方向の位置関係は、厳密なものでなくてもよい。従来例と同様に、式1の関係を満たし、第一の格子と第二の格子の位置が決まれば、水平方向の位置調整とは関係なくモアレが出現するためである。また、ビームスプリッタやプリズムずらし部も必要ない。
次に、本発明の第一の実施形態について説明する。
図3(A)は、第一の実施形態における、第二の格子を正面から見た図である。第一の実施形態では、第二の格子として遮蔽型格子ではなく、π型かつプリズム格子型の位相変調型格子を用いる。
位相変調型格子とは、面内において、格子内構造の吸収率差ではなく、屈折率差によって、入射光の位相を周期的に変調させることを目的とした格子である。
遮蔽型格子との違いとして、位相変調格子の面内における、最高透過率と最低透過率との比が小さいことが挙げられる。例えば、当該格子の最低透過率は、少なくとも最高透過率の50%以上である。
X線の波長および第一の回折格子の周期pG1は、従来例と同一とする。
また、周期pselfとpG2の関係も、式1と同一である。なお、第一の格子と第二の格子の面水平方向の位置関係は、厳密なものでなくてもよい。従来例と同様に、式1の関係を満たし、第一の格子と第二の格子の位置が決まれば、水平方向の位置調整とは関係なくモアレが出現するためである。また、ビームスプリッタやプリズムずらし部も必要ない。
従来例では、第二の格子に近接してX線検出器を配置したが、第一の実施形態では、所定の距離だけ離してX線検出器を配置する。また、第一の格子と第二の格子の間の距離も、従来例で用いられていた距離ではなく、パターンの強度差が好適になるような距離に設定する。
具体的な距離について説明する。
図3(B)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2(すなわち、トールボット距離Tの1/16=7.75cm)とし、第二の格子と検出器の距離を2.48mとした場合の、検出器によって検出されるパターンを示したものである。ここで、当該パターン中、最も暗い光の強度と最も明るい光の強度の差は、入射光1に対して、1.84となった。これは、従来例では遮蔽型格子によって遮蔽されていた入射光が透過し、モアレの形成に寄与しているためである。
さらにこの場合、平均透過率は0.98、ビジビリティは0.79となった。また、ショットノイズを考慮に入れ、モアレパターンの信号対雑音比(S/N比)に換算すると、0.78となり、遮蔽格子の場合(0.47)と比較して、およそ1.6倍S/N比が改善することがわかった。
図3(B)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2(すなわち、トールボット距離Tの1/16=7.75cm)とし、第二の格子と検出器の距離を2.48mとした場合の、検出器によって検出されるパターンを示したものである。ここで、当該パターン中、最も暗い光の強度と最も明るい光の強度の差は、入射光1に対して、1.84となった。これは、従来例では遮蔽型格子によって遮蔽されていた入射光が透過し、モアレの形成に寄与しているためである。
さらにこの場合、平均透過率は0.98、ビジビリティは0.79となった。また、ショットノイズを考慮に入れ、モアレパターンの信号対雑音比(S/N比)に換算すると、0.78となり、遮蔽格子の場合(0.47)と比較して、およそ1.6倍S/N比が改善することがわかった。
図3(C)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2(すなわち、トールボット距離Tの1/16=7.75cm)とし、第二の格子と検出器の距離を1.40mとした場合の、検出器によって検出されるパターンを示したものである。この例では、強度差は0.83(ビジビリティは0.49)となった。また、S/N比も1.03倍と、従来例と比較して改善を示すものとなった。
図4Aは、第一の実施形態において、第一の格子と第二の格子、第二の格子と検出器の距離を変えた場合に、従来例に比べてS/N比がどれだけ改善しているかを示した図であ
る。ここで、1より大きな範囲は、従来例よりもS/N比が高いことを示し、本実施形態に特有の効果が出ていることを示す。
従来例では、第一の格子と第二の格子間の距離は、トールボット距離Tの1/8(図4中、「T/8」で示した点線に対応)にするのが好適とされている。しかし、図4Aからは、第一の格子と第二の格子の距離は、トールボット距離の1/16(図4中、「T/16」で示した点線に対応)に設定した場合のほうが、より効果が出る場合があることがわかる。
つまり、第二の格子の設置位置は、第一の格子によって自己像が発生する位置に限定されず、むしろ、当該位置の手前または外側である場合に、より大きな強度差を得られる場合があることがわかる。
る。ここで、1より大きな範囲は、従来例よりもS/N比が高いことを示し、本実施形態に特有の効果が出ていることを示す。
従来例では、第一の格子と第二の格子間の距離は、トールボット距離Tの1/8(図4中、「T/8」で示した点線に対応)にするのが好適とされている。しかし、図4Aからは、第一の格子と第二の格子の距離は、トールボット距離の1/16(図4中、「T/16」で示した点線に対応)に設定した場合のほうが、より効果が出る場合があることがわかる。
つまり、第二の格子の設置位置は、第一の格子によって自己像が発生する位置に限定されず、むしろ、当該位置の手前または外側である場合に、より大きな強度差を得られる場合があることがわかる。
また、図4Bは、第一の実施形態において、同じプリズム型でも、位相変調の程度が2倍、すなわち2π[rad]であった場合について、同様の計算をしたものである。
また、図4Cは、自己像と第二の格子との角度を調整し、検出器上に形成されるパターンの周期が、図4Aの2倍になった場合について、同様の計算をしたものである。
また、図4Dは、自己像と第二の格子との角度を調整し、検出器上に形成されるパターンの周期が、図4Aの4倍になった場合について、同様の計算をしたものである。
また、図4Cは、自己像と第二の格子との角度を調整し、検出器上に形成されるパターンの周期が、図4Aの2倍になった場合について、同様の計算をしたものである。
また、図4Dは、自己像と第二の格子との角度を調整し、検出器上に形成されるパターンの周期が、図4Aの4倍になった場合について、同様の計算をしたものである。
このように、本実施形態では、位相変調型の格子である、第一の格子と第二の格子を組み合わせ、かつ、第二の格子と検出器の距離を調節することにより、遮蔽型格子を用いなくとも、良好なモアレを出現させることができる。加えて、特許文献1に記載の装置のような、格子面の水平方向に対する微妙な位置決めも必要としない。
なお、図4Aによれば、最も効果的な配置の場合、第二の格子と検出器の間はおよそ3m必要であるが、従来例との比較でいえば、1.4m以上の距離があれば十分である。
このように、従来例と比較して効果が認められる最低の距離(第二の格子と検出器との最低距離)は、強度差とそれに伴うS/N比を、従来例と比較することで決定できる。例えば、図4Bの例では、およそ80cm以上あれば、従来例よりS/N比が向上する。
このように、従来例と比較して効果が認められる最低の距離(第二の格子と検出器との最低距離)は、強度差とそれに伴うS/N比を、従来例と比較することで決定できる。例えば、図4Bの例では、およそ80cm以上あれば、従来例よりS/N比が向上する。
このような好適なモアレが出現する、第二の格子と検出器との距離は、下記の3つの条件によって変化する。
第一の条件は、モアレの周期である(式1における左辺)。所望するモアレの画素周期を多く取るなどして、周期が長くなると、適切な強度差を持つモアレが出現する距離も長くなる。一方で、検出器の画素サイズを小さくする、あるいはより短い画素周期のモアレを出現させるなどで、実効的なモアレ周期を拡大させると、モアレの出現位置が近くなる。つまり、第二の格子と検出器の距離は、モアレの周期に比例する。
第一の条件は、モアレの周期である(式1における左辺)。所望するモアレの画素周期を多く取るなどして、周期が長くなると、適切な強度差を持つモアレが出現する距離も長くなる。一方で、検出器の画素サイズを小さくする、あるいはより短い画素周期のモアレを出現させるなどで、実効的なモアレ周期を拡大させると、モアレの出現位置が近くなる。つまり、第二の格子と検出器の距離は、モアレの周期に比例する。
第二の条件は、X線の実効波長を長くすることである。X線の実効波長を長くすることにより、適切な強度差を持つモアレが出現するための距離は短くなる。つまり、第二の格子と検出器の距離は、X線の実効波長に反比例する。
第三の条件は、自己像の周期pselfである。自己像の周期pselfが短くなると、式1に従って第二の格子の周期も短くなる。そのため、第二の格子の縦横比が大きくなるため、プリズムによる屈折効果が増し、第二の格子と検出器の間に必要な距離も短くなる。つまり、第二の格子と検出器の距離は、自己像の周期に比例する。
図4(A)〜(D)に基づいて、以上の特徴を数式化する。
本実施形態のように、π型プリズム形状の格子を用いる場合、従来例よりもS/N比の高いモアレを取得するための第二の格子から検出器までの距離L3の上限値と下限値は、下記の式2によって表される。ここでは、X線の波長をλ、自己像の周期をpself、第二
の格子の周期をpG2、モアレの周期を自己像の周期pselfで割った値をP、第一および第二の格子間の距離をL1、m1を任意の整数とする。
ただし、L1≧0、L3≧0であり、モアレの周期を自己像の周期pselfで割った値Pは式3で表される。また、Tはトールボット距離を表しており、式4で表される値である。
式3と式4を式2に代入することで、式2が前述の3つの条件を満たしていることが確認できる。
本実施形態のように、π型プリズム形状の格子を用いる場合、従来例よりもS/N比の高いモアレを取得するための第二の格子から検出器までの距離L3の上限値と下限値は、下記の式2によって表される。ここでは、X線の波長をλ、自己像の周期をpself、第二
の格子の周期をpG2、モアレの周期を自己像の周期pselfで割った値をP、第一および第二の格子間の距離をL1、m1を任意の整数とする。
ただし、L1≧0、L3≧0であり、モアレの周期を自己像の周期pselfで割った値Pは式3で表される。また、Tはトールボット距離を表しており、式4で表される値である。
式3と式4を式2に代入することで、式2が前述の3つの条件を満たしていることが確認できる。
なお、距離L3のうち、式5で表される上限値および下限値の範囲内に関しては、従来例と比較してS/N比が改善されないため、当該範囲内は除くことが好ましい。なお、m2は、m1とは別の任意の整数とする。
以上の結果より、例えば、実効X線波長を2倍(エネルギーを1/2)にした場合は、L3を0.7mより大きく取れば、従来比でS/N比が改善されることがわかる。また、同時に第一の格子の周期を1/2とし、自己像の周期を1/2にした場合、L3を0.35mより大きく取ればよいことがわかる。
(第二の実施形態)
次に、第二の実施形態について説明する。
図5(A)は、第二の実施形態において使用される位相変調型格子である、第二の格子を正面から見た図である。第二の実施形態では、従来例の遮蔽型格子の代わりに、位相差が(1/3)π[rad]である、縞状の一次元格子をギンガム形状に交差させて重ねたものである、重ね格子型の二次元格子を用いる。すなわち、発生する位相差は最大(2/3)π[rad]となる。
次に、第二の実施形態について説明する。
図5(A)は、第二の実施形態において使用される位相変調型格子である、第二の格子を正面から見た図である。第二の実施形態では、従来例の遮蔽型格子の代わりに、位相差が(1/3)π[rad]である、縞状の一次元格子をギンガム形状に交差させて重ねたものである、重ね格子型の二次元格子を用いる。すなわち、発生する位相差は最大(2/3)π[rad]となる。
第二の実施形態においても、周期pselfとpG2の関係は、式1と同一である。なお、第一の格子と第二の格子の面水平方向の位置関係は、第一の実施形態と同様に、厳密なものでなくてもよい。式1の関係を満たし、第一の格子と第二の格子の位置が決まれば、水平方向の位置調整とは関係なくモアレが出現するためである。
図5(B)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2の値である7.75cm(トールボット距離Tの1/16)とし、第二の格子と検出器の距離を2.48mとした場合の、検出器によって検出されるパターンである。本例では、S/N比は従来の例の1.6倍となった。
同様に、図5(C)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2とし、第二の格子と検出器の距離を1.54mとした場合の、検出器によって検出されるパターンである。同様に、S/N比は1.17倍となった。
同様に、図5(C)は、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例の1/2とし、第二の格子と検出器の距離を1.54mとした場合の、検出器によって検出されるパターンである。同様に、S/N比は1.17倍となった。
図6は、第二の実施形態において、第一の格子と第二の格子、第二の格子と検出器の距離を変えた場合のS/N比を、従来例のS/N比で規格化して表した図である。1より大きな範囲は、従来例よりもS/N比で有利になり、本実施形態特有の効果が出ている領域を表す。
第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様、第二の格子の設置位置は、第一の格子によって自己像が発生する位置に限定されず、むしろ、当該位置の手前または外側である場合に、より大きな強度差を得られる場合があることがわかる。
第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様、第二の格子の設置位置は、第一の格子によって自己像が発生する位置に限定されず、むしろ、当該位置の手前または外側である場合に、より大きな強度差を得られる場合があることがわかる。
図6の結果は、第一の実施形態で示した、式2に関する議論と一致している。つまり、本実施形態においても、従来例よりもS/N比の高いモアレを取得するための、第二の格子から検出器までの距離L3は、式2により決定される。
(第三の実施形態)
次に、第三の実施形態について説明する。
図7は、第三の実施形態において使用される位相変調型格子である、第二の格子を正面から見た図である。第三の実施形態では、従来例の遮蔽型格子の代わりに、第一の格子と同じπ型の市松格子型の格子を用いる。ただし、本実施形態では、第二の格子の市松格子の周期の二分の一をpG2として、式1による計算を行う。換言すると、拡大率による補正を除外すると、第一の格子と第二の格子は同じ周期をもつ。
次に、第三の実施形態について説明する。
図7は、第三の実施形態において使用される位相変調型格子である、第二の格子を正面から見た図である。第三の実施形態では、従来例の遮蔽型格子の代わりに、第一の格子と同じπ型の市松格子型の格子を用いる。ただし、本実施形態では、第二の格子の市松格子の周期の二分の一をpG2として、式1による計算を行う。換言すると、拡大率による補正を除外すると、第一の格子と第二の格子は同じ周期をもつ。
第三の実施形態では、第一の格子と第二の格子の距離を、従来例とは異なる31.0cm(トールボット距離Tの1/4)に設定する。ここで、第二の格子と検出器の距離を4.96mにした場合の、検出器によって検出されるパターンを算出すると、最低強度と最高強度の差は、入射光が1に対して、3.91となった。
すなわち、同じ入射光量に対する強度差が、従来例の約4倍になっている。これは、S/N比で比較すると、従来例の約2倍となることを示している。
すなわち、同じ入射光量に対する強度差が、従来例の約4倍になっている。これは、S/N比で比較すると、従来例の約2倍となることを示している。
図8は、第三の実施形態において、第二の格子と検出器の距離を変えた場合のS/N比を、従来例のS/N比で規格化して表した図である。1より大きな範囲は、従来例よりもS/N比が高いことを示し、本実施形態特有の効果が出ている領域を表す。
第三の実施形態においても、第二の格子の設置位置は、第一の格子によって自己像が発生する位置に限定されず、むしろ、当該位置をずらして配置、あるいは第一の格子に密着させて配置した方が、より大きな強度差を得られる場合があることがわかる。
なお、本実施形態では、第一の格子と第二の格子の距離を31.0cmとしたが、第一の格子と第二の格子を密着させた場合も同様のパターンが得られることが知られており、第一の格子と第二の格子を密着させてもよい。
図8の結果は、第一の実施形態で示した、式2に関する議論と一致している。つまり、本実施形態においても、従来例よりもS/N比の高いモアレを取得するための、第二の格子から検出器までの距離L3は、式2により決定される。
図8の結果は、第一の実施形態で示した、式2に関する議論と一致している。つまり、本実施形態においても、従来例よりもS/N比の高いモアレを取得するための、第二の格子から検出器までの距離L3は、式2により決定される。
以上の実施形態によると、第二の格子を従来の遮蔽型格子から位相変調型格子に変えることにより、従来の遮蔽格子によって遮蔽され、パターンの強度差に寄与しなかったX線を寄与させることができ、S/N比の高い検出信号を得ることができる。
また、従来技術のように、プリズム格子の厳密な位置合わせを行う必要がないため、装置コストを抑制することができる。
また、従来技術のように、プリズム格子の厳密な位置合わせを行う必要がないため、装置コストを抑制することができる。
また、第二の格子と検出器間の距離は様々な要因によって大きく変わることを第一の実施形態で示したが、各実施形態によると、X線トールボットに用いられる標準的条件下では、L3は1.0m以上であることが好ましいことが分かる。
(変形例)
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。例えば、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む装置として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
なお、実施形態の説明は本発明を説明する上での例示であり、本発明は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更または組み合わせて実施することができる。例えば、本発明は、上記処理の少なくとも一部を含む装置として実施することもできる。上記処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
また、各実施形態では効果的な3つの事例を挙げたが、第二の格子の形状は、前述した形状に限られない。その他の形状の位相変調型格子を用いた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
また、各実施形態に係る撮像装置は、特に二次元のX線トールボットイメージングにおいて効果が見られるが、本発明の効果は、ストライプ状の格子形状を持つ一次元のX線トールボットイメージングにおいても得ることができる。
また、各実施形態に係る撮像装置は、特に二次元のX線トールボットイメージングにおいて効果が見られるが、本発明の効果は、ストライプ状の格子形状を持つ一次元のX線トールボットイメージングにおいても得ることができる。
また、各実施形態の説明では、トールボット型のX線撮像装置を例として挙げているが、本発明に係る撮像装置は、干渉に起因する位相変化を生じせしめ、当該位相の変化を取得する装置であれば、他のいかなる形態の撮像装置に適用してもよい。また測定に用いる光はX線に限らず、いかなる波長の電磁波であってもよい。また、中性子線などであってもよい。
また、各実施形態の説明では、被検体の情報を画像化する撮像装置を例に挙げたが、X線源または電磁波源と別体に構成され、X線源または電磁波源と組み合わせることで撮像が可能になる装置として実施してもよい。また、本発明は、電磁波を干渉させることで干渉像を生成し、当該干渉像を検出する装置(干渉計)として実施してもよい。すなわち、積分位相像を生成する手段や、被検体内の情報を表示する手段は必ずしも有していなくてもよい。
110・・・X線源、120・・・回折格子、130・・・遮光格子、140・・・X線検出器、150・・・演算部、160・・・画像表示装置
Claims (8)
- 被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、
前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、
前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、
を有し、
前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、
前記第二の格子から前記検出器までの距離が1.0m以上である
ことを特徴とする、干渉計。 - 被検体に照射された電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第一の格子と、
前記第一の格子を透過した電磁波の位相を変調するための、周期的なパターンを有する第二の格子と、
前記第二の格子を透過した電磁波の強度分布を検出する検出器と、
を有し、
前記第二の格子は、前記第一の格子による自己像が発生する位置の手前もしくは外側に設置され、
前記第二の格子から前記検出器までの距離が、
前記電磁波の波長をλ、自己像の周期をpself、前記第二の格子の周期をpG2、前記第一および第二の格子間の距離をL1とした場合において、
によって表された、上限値および下限値の範囲内にある(ただし、m1は任意の整数で
あり、PおよびTは以下の条件を満たす値)
ことを特徴とする、干渉計。 - 前記第二の格子から前記検出器までの距離が、
ことを特徴とする、請求項2に記載の干渉計。 - 前記第二の格子は、位相差が(1/3)π[rad]である縞状の一次元格子を交差して重ねた、ギンガム形状の二次元格子であり、その位相差は最大で(2/3)π[rad]である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の干渉計。 - 前記第二の格子は、プリズム格子であり、その位相差は最大でπ[rad]である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の干渉計。 - 前記第二の格子は、市松格子型の二次元格子であり、その位相差は最大でπ[rad]である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の干渉計。 - 前記第二の格子は、面内における電磁波の最低透過率が、最高透過率の50%以上である
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の干渉計。 - 請求項1から7のいずれか1項に記載の干渉計と、
検出された電磁波の強度分布に基づいて、前記電磁波の位相に関する情報を取得する演算装置と、
を有することを特徴とする、撮像装置。
Priority Applications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018020999A1 (ja) * | 2016-07-28 | 2018-02-01 | 株式会社島津製作所 | X線位相差撮像装置 |
-
2014
- 2014-05-30 JP JP2014112781A patent/JP2015227784A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018020999A1 (ja) * | 2016-07-28 | 2018-02-01 | 株式会社島津製作所 | X線位相差撮像装置 |
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