JP2017090414A - 二次元干渉パターン撮像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二次元干渉計を用いて被検体を一次元に走査して二次元の位相回復に必要なデータを簡易かつ効率的に取得する技術を提供する。【解決手段】被検体を透過した電磁波により二つの周期方向をもつ干渉パターンを形成する二次元干渉計と、前記干渉パターンを撮像する検出器と、前記被検体と前記二次元干渉計のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段と、を備える二次元干渉パターン撮像装置において、前記移動手段によって前記被検体と前記二次元干渉計の相対位置を前記二つの周期方向のいずれとも異なる一次元の走査方向に変化させながら、前記検出器によってN回(Nは2以上の整数)の撮像を行うことによって、前記被検体の位相回復処理に用いられるN枚の画像のデータを取得する。【選択図】図3

Description

本発明は、二次元干渉計を利用したイメージング技術に関する。
従来、精密に物体の形状を測定する手段として位相を用いた測定方法が用いられてきた。位相を用いた測定法は、波面のそろった(コヒーレントな)入射光を被検体に照射し、その干渉縞を計測することで波長の数分の一から数十分の一の位相差による入射光波面(位相)の変化を測定する。このような測定法を利用した干渉計は、例えばレンズの表面のわずかな凹凸を測定するのに好適な手段である。
さらに、干渉を用いた波面計測手法の中でも近年注目を集めているのが、数十ナノメール以下の波長の光(電磁波)、すなわちX線を利用したX線位相イメージングである。X線位相イメージングは、従来の被検体の吸収によるコントラストを画像化するX線吸収像とは異なり、被検体に対するX線の透過時に生じる入射光の位相変化を干渉によって検出する手法である。位相変化を検出することで従来の吸収像では検出が困難であった生体軟組織などの被検体内部における吸収係数の低い箇所を観察することができる。
X線位相イメージングの例として、X線を用いたトールボット干渉法について述べる(特許文献1)。典型的なX線トールボット干渉計の構成を図6Aに示す。X線トールボット干渉計では、光源110から照射された光(X線)が被検体120を透過し、それに伴って光の入射位相が変化する。被検体120を透過した光は、回折格子130で回折されることによって、回折格子130からトールボット距離と呼ばれる所定の距離だけ離れた位置に第一の干渉パターン180を形成する。この第一の干渉パターン180を、被検体120のない場合に観測される干渉パターンと比較解析することで、前述の入射光波面の変化を測定する。
回折格子130のパターン周期は、装置長や入射光の波長等の条件によって変化する。一般的なX線の場合、その周期は数μmのオーダーとなる。また、それによって生じる第一の干渉パターン180も同様に数μmのオーダーの周期となることが知られている。このような場合、一般的に用いられている検出器150では、分解能がせいぜい数十μmであるため、第一の干渉パターン180を検出することは不可能である。そのため、干渉パターン180が形成される位置に第一の干渉パターン180とほぼ同じ周期の遮蔽格子140を配置する。遮蔽格子140で第一の干渉パターン180の一部を遮ることにより周期が数百μm程度の第二の干渉パターン、すなわちモアレを形成し、このモアレを検出器150で検出することによって干渉パターンの変化を間接的に測定することができる。
検出器150で検出されたモアレはそのまま出力画像として用いられるか、あるいはコンピュータなどの演算部160によって解析処理(以下「位相回復処理」とする)される。位相回復処理には一枚から十数枚、場合によってはそれ以上のモアレ画像を用いる。これら複数枚のモアレ画像は、回折格子130と遮蔽格子140の位置関係を変えることによってモアレの位相(周期パターンの明暗の位置)が互いに異なるように形成される。複数枚のモアレ画像を用いた位相回復処理により、被検体120のX線吸収率、屈折率、検出器素子の大きさ以下の微小構造による散乱強度などの被検体120に関わる情報を取得できる。
トールボット干渉計には、格子130、140が一次元のパターンを持つ一次元トールボット干渉計と、格子130、140が二次元のパターンを持つ二次元トールボット干渉
計の二種類が存在する。一次元のパターンをもつ格子を以下「一次元格子」、二次元のパターンをもつ格子を以下「二次元格子」と呼ぶ。一次元格子により形成される干渉パターンには光軸に垂直な平面内の一つの方向に関する情報が含まれ、二次元格子により形成される干渉パターンには光軸に垂直な平面内の二つの方向に関する情報が含まれる。微分干渉計であるX線トールボット干渉計では被検体の屈折率の微分が干渉縞の位相として測定されるが、一次元トールボット干渉計では平面内の一方向しか測定できないため、その方向に対して垂直な方向に対する微分情報と散乱強度が取得できない。一方、二次元トールボット干渉計は、一回の撮像プロセスで二方向の情報が取得でき、定量性が高いデータが得られるという利点がある。しかし、二次元トールボット干渉計は、撮像プロセスが複雑、信号雑音比で一次元トールボット干渉計に劣るなどの点もある。よって両者はその目的や要求される仕様によって選択される。
トールボット干渉計の応用の一つとして挙げられるものに検査用途が挙げられる。検査用途ではスループットを向上させるために被検体をベルトコンベアなどの搬送装置に設置し、被検体を移動しながら、あるいはスピードコントロールによって被検体位置を調整しながら撮像を行う。この撮像は搬送装置上で被検体を一次元方向に搬送しながら行われる。このような搬送に対応した二次元の撮像法としては特許文献1に開示されたような例があげられる。
特許文献1の装置は、図6Bに示すように、一次元格子を用いた二系統の撮像系(コリメータ111、回折格子130、遮蔽格子140、検出器150の組と、コリメータ112、回折格子131、遮蔽格子141、検出器151の組)を有している。搬送装置121で被検体120を矢印方向に搬送しながら、二系統の撮像系でそれぞれ干渉パターンを撮像することで、二方向(二次元)の情報を取得することができる。しかし、このような構成は、二つの方向に対する撮像系が二系統に事実上独立しているため、実質的に二台の干渉計を用いることに等しく装置が煩雑で高価になる。
一方で、二次元トールボット干渉計においては、必要な枚数のモアレ画像を取得するために、モアレの位相を変化させながら複数回の撮像を行う必要がある。モアレがxとyの二つの周期方向をもつ場合、回折格子と遮蔽格子をx方向に相対的に移動させながらの撮像(x走査)と、回折格子と遮蔽格子をy方向に相対的に移動させながらの撮像(y走査)の二次元の走査を行うのが一般的である。走査を簡便にする方法として、特許文献2には、回折格子と遮蔽格子をモアレの周期方向に対し傾けた方向に相対移動させる方法が開示されている。相対移動の方向をモアレの周期方向に対し傾けることによって、モアレの位相をx、yの二方向に同時に変化させることができる。そのため、二次元の位相回復に必要なデータを一次元の走査で取得できる。しかしながら、いずれの方法でも、回折格子と遮蔽格子を相対移動させる構成が必須となるため、上述したベルトコンベア等の搬送装置と組み合わせると、装置の大型化・複雑化を招く。また、搬送装置で被検体を検査位置まで搬入・位置決めし、格子を相対移動させながら撮像(走査)を行い、撮像後に搬送装置で被検体を搬出する、という動作となるため、制御シーケンスが複雑になるとともに、スループットの向上に限界がある。
特表2015−503988号公報 特開2011−108696号公報
そこで本発明においては、二次元干渉計を用いて被検体を一次元に走査して二次元の位
相回復に必要なデータを簡易かつ効率的に取得する技術を提供することを目的とする。
本発明は、被検体を透過した電磁波により二つの周期方向をもつ干渉パターンを形成する二次元干渉計と、前記干渉パターンを撮像する検出器と、前記被検体と前記二次元干渉計のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段によって前記被検体と前記二次元干渉計の相対位置を前記二つの周期方向のいずれとも異なる一次元の走査方向に変化させながら、前記検出器によってN回(Nは2以上の整数)の撮像を行うことによって、前記被検体の位相回復処理に用いられるN枚の画像のデータを取得することを特徴とする二次元干渉パターン撮像装置を提供する。
本発明によれば、二次元干渉計を用いて被検体を一次元に走査して二次元の位相回復に必要なデータを簡易かつ効率的に取得することができる。
本発明の実施形態に係る撮像システムの構成を示す図。 トールボット干渉計に用いる格子と干渉パターンを表した図。 本発明の実施例1に関する説明の図。 本発明の実施例1に関する説明の図。 本発明の実施例2に関する説明の図。 従来のトールボット干渉計の構成を示す図。
本発明は、被検体を透過した電磁波により二次元干渉パターンを形成する二次元干渉計を用い、被検体の形状や内部構造に関する情報を取得する撮像システムに関する。特に、本発明の撮像システムは、被検体と二次元干渉計の相対位置を一次元の走査方向に変化させながら複数回の撮像を行い、位相の異なる複数枚の干渉パターン画像のデータを取得する動作を行う二次元干渉パターン撮像装置を備える点に特徴をもつ。得られた複数枚の画像のデータを基に位相回復処理を行うことにより、被検体の吸収像、微分位相像、散乱像(ビジビリティコントラスト像)などの情報を得ることができる。二次元干渉計の原理・種類は問わない。撮像に用いる電磁波としては、光、X線、ガンマ線などいかなる波長帯域のものでもよい。ただし、詳しくは後述するが、本実施形態の方法は、X線、ガンマ線、中性子線、電子線などの放射線を利用する撮像装置における低線量撮像に貢献する。なお本明細書においてX線とはエネルギーが2以上200keV以下の電磁波を指す。
以下、本発明の好ましい実施の形態として、二次元干渉計の一つである二次元トールボット干渉計を利用してX線の二次元干渉パターンを撮像する撮像システムを例に挙げて説明する。
(撮像システム)
図1は、本発明の実施形態に係る撮像システムの構成を模式的に示す図である。撮像システムは、概略、被検体20を透過した電磁波(X線)Lにより二次元干渉パターンを形成する二次元トールボット干渉計と、検出器50と、被検体20を搬送する搬送装置90と、画像処理装置とを有する。
二次元トールボット干渉計は、X線を発生させる光源(X線源)10と、X線を回折する回折格子30と、X線の一部を遮る遮蔽格子40を有する。光源10は、X線発生器単独の場合もあるし、X線発生器とトールボット・ロー効果を生じさせるための線源格子とがセットになっている場合もある。二次元トールボット干渉計と検出器50とからなるユ
ニットを二次元干渉パターン撮像装置または単に撮像装置と呼ぶ。搬送装置90は被検体20を白矢印の方向(図1の右方向)に搬送する移動手段である。搬送装置90はモータなどの駆動装置91によって駆動される。画像処理装置は、演算部(コンピュータ)60と、演算部60による演算結果に基づいた画像を表示する画像表示装置70とを有している。
演算部60は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、補助記憶装置などのハードウェア資源を備えた汎用のコンピュータにより構成できる。後述する画像処理、各種演算、および、光源10・検出器50・搬送装置90などの制御は、補助記憶装置に格納されたプログラムをCPUが読み込み実行することで実現されるものである。なお、演算部60の機能のうちの一部又は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような回路で構成することもできる。
光源10からのX線は回折格子30により回折され、トールボット距離と呼ばれる所定の距離をおいて明部と暗部が配列方向に並んだ干渉パターンを形成する。
通常、回折格子30による第一の干渉パターンの周期は数μmから十数μm程度である。そこで、第一の干渉パターンと同じかわずかに異なる周期をもつ遮蔽格子40を、第一の干渉パターンが形成される位置に配置する。そうすると、第一の干渉パターンと遮蔽格子40によりモアレが形成され、干渉パターンの周期を数十μm以上あるいは無限に拡大することができる。モアレの周期は、用いる位相回復方法と検出器の画素サイズを考慮して適宜決めることができる。このモアレ(空間的な周期性をもつパターン)を二次元イメージセンサである検出器50により画像化し、二次元画像を得る。このような仕組みにより、数十μm平方程度の分解能の検出器50で、数μmから十数μmの周期をもつ干渉パターンのイメージングを可能にしている。ただし、検出器50の空間分解能が十分に高く、拡大率が大きい場合には、第一の干渉パターンが検出器50の画素サイズよりも十分大きくなることも考えられる。この様な場合には遮蔽格子40を省略し、第一の干渉パターンを検出器50でそのまま撮像してもよい。
回折格子30には、周期的にX線の位相を変調する位相型の回折格子(位相格子)でも、周期的にX線の振幅を変調する振幅型の回折格子(遮蔽格子)でもよいが、X線の損失が少ないため位相格子が用いられることが多い。遮蔽格子40には、X線透過部とX線遮蔽部とが配列された格子が用いられることが多い。
被検体20は搬送装置90によって、光源10と回折格子30の間(X線Lの照射範囲Rのなか)に搬入される。X線は一般に透過性が高いために被検体20を透過するが、その際に透過した物質の分子構造と密度に応じた位相の変化が生じる。この位相の変化は第一の干渉パターンの配置に影響を与える。そのため遮蔽格子40によるモアレにも歪みを生じさせる。搬送装置90によって被検体20は白矢印で示す走査方向に移動する。その途中において複数回の撮像(検出器50による干渉パターンの画像化)が実行され、複数枚の画像データが演算部60に取り込まれる。演算部60はこれらの画像データを基に被検体20の形状や内部構造に関する情報を取得できる。なお、撮像システムは、被検体20を一定速度で連続的に搬送しながら複数回の撮像を行ってもよいし、被検体20の移動・停止と撮像とを交互に行ってもよい。
以上が装置の概略である。以下さらに具体的な構成例について説明する。本実施形態においては回折格子30として図2Aに示すようなπ型チェッカーパターンの格子を用いる。チェッカーパターンにはチェッカー状に二種類のエリア201と202が配置されている。一方のエリアを透過するX線は他方のエリアを透過するX線に対して位相がπラジアンずれるように、二種類のエリア201、202の部材と厚さが設定される。例えば、実
効エネルギーが17.5keVのX線に適用される回折格子30をシリコンで形成することを仮定する。この場合、エリア201の厚みをエリア202に比べて21μm厚くすることで、透過したX線の位相差がπラジアンになる。
回折格子30を透過したX線は格子からある距離離れた位置に二次元の干渉パターン80を形成する。この干渉パターン80の形状は距離によって異なるが、例えば回折格子30のパターン周期をp、入射X線の波長をλとした場合に、回折格子30からp /(8λ)の位置に形成される干渉像80は図2Bのようになる。この場合、明部211と暗部212の差(コントラスト)が最も大きくなることが知られている。
しかし、この干渉パターン80の周期pは通常μmのオーダーになるため(拡大率にもよるが)通常の検出器50の空間分解能では検出ができない。そのため、この干渉パターン80が形成される位置に遮蔽格子40を設置する。この遮蔽格子40は、透過部と遮蔽部から形成される二次元格子であり、その周期は干渉パターン80の周期と同じかわずかにずれている。干渉パターン80の明部に遮蔽格子40の透過部が、暗部に遮蔽部が、それぞれ合うように遮蔽格子40は配置される。遮蔽部は例えば数十μm程度の厚さを持った金で形成される。
検出器50で検出が可能な周期のパターンを形成するためには、干渉パターン80と遮蔽格子40を重ねることでモアレを形成する手法が用いられる。モアレの形成には遮蔽格子40の周期が干渉パターン80とは異なることを利用する手法(拡大モアレ)と遮蔽格子40の角度を干渉パターン80と変えて形成する方法(回転モアレ)と、その両方を用いる場合がある。ただし、本発明においてはモアレの形成手法は本質的ではないためここではこれ以上の説明は行わない。前述の通り干渉計の拡大率と検出器50の画素サイズ(空間分解能)によっては干渉パターン80が検出器50の画素サイズよりも十分大きくなることもあり、この様な場合は遮蔽格子40を省略する場合もある。ただしそれは本発明において本質的な問題ではない。したがって、以下の説明では、遮蔽格子40の有無にかかわらず、検出器50で検出(画像化)する干渉パターンを「モアレ」と呼ぶ。検出器50で検出されるモアレの例を図2Cに示す。図2Cは検出器50が128×128の画素数のエリアセンサーであり、モアレ周期が32画素の例である。
(実施例1)
次に、上述した撮像システムの具体的な実施例を説明する。実施例1においては、被検体20の走査方向とモアレの方向の関係を規定する。また、実施例1では、縞走査法による位相回復処理で用いる画像データを取得する方法を説明する。
最初にモアレの方向について定義する。モアレの方向とはモアレの周期方向として定義する。その場合、図2Cの例で図に示したとおり第一のモアレの方向と第二のモアレの方向が存在する。回折格子30や遮蔽格子40として直交パターンの二次元格子を用いた場合、第一のモアレの方向と第二のモアレの方向は直交する。
図3Aに示す様に、被検体の走査方向は、第一のモアレの方向と第二のモアレの方向のいずれとも異なるように(非平行となるように)設定される。そして、被検体を移動させつつ複数回の撮像を行う。こうすることで、被検体を一次元に走査するだけで、縞走査法による位相回復処理に必要な複数の二次元パターンの画像データを得ることが可能となる。このとき、通常の縞走査で行われるような、回折格子と遮蔽格子の間の相対移動は必要ない。つまり、二次元干渉計を構成する要素(光源、回折格子、遮蔽格子など)の相対位置は固定したまま、二次元干渉計と被検体を一次元方向に相対移動させるだけでよい。二つのモアレの方向のうちの一方(どちらを選んでもよい)と被検体の走査方向とがなす角度を、以下、傾き角度θと呼ぶ。
撮像の具体的なプロセスを示したものが図3Bである。図3Bにおいて、被検体は搬送装置90によって図の下方から上方に向かって搬送されると仮定する。符号311、312、313、314は被検体の移動履歴を示している。被検体が所定の移動量だけ移動するたび、撮像が行われる。一回の撮像ごとの移動量は任意に設定してよいが、好ましくは、撮像回数がN(Nは2以上の整数)、走査方向に関する検出器50の長さがDのとき、一回の撮像ごとの移動量をD/Nに設定するとよい。これによってN回目の撮像が終了した後、被検体はX線の照射範囲Rの外に自動的に送られるため、余計な被曝を防ぎ、最小の回数で効率よく被検体全体を撮像しつつ搬送することが可能である。ちなみにNは二次元トールボットイメージングにおいて5以上の整数であることが必要である。
N回の撮像によって得られるN枚の画像には、D/Nずつずれて被検体の像が写っている。そこで例えば、N枚の画像それぞれをN個のブロックに分割し、1枚目の画像からは1番目のブロック、2枚目の画像からは2番目のブロック、・・・N枚目の画像からはN番目のブロックを取り出すことで、被検体の同じ箇所についてのN枚の画像を抽出できる。しかし、被検体の移動は精度よりも高速性を求められる。そのため、被検体の同一箇所が正確にD/Nの間隔で移動せず、縦方向あるいは横方向のずれが生じる可能性もある。そのような場合には、N枚の画像から被検体の同一箇所の画素を特定する、あるいは補完によって求める手段があることが望ましい。
また、N回の撮像の中で被検体のある一点に注目した場合、取得されたN点のデータのモアレのシフトに起因するモアレの位相分布は位相回復のために相互排他的な位置関係にならねばならない。具体的にはそのN点におけるモアレのシフト量(位相)を二次元位相空間にプロットした場合に、その分布が位相空間内の一か所(あるいは特定の数か所)に偏ったり、一直線に並んだりしてはならない。位相回復時の定量性が著しく悪化するからである。ここで二次元位相空間とは、第一のモアレの方向の位相の軸と、第二のモアレの方向の位相の軸とで構成される空間である。各軸の値域は0π〜2πであり、その範囲から外れる位相の値は畳み込まれる。
このような条件を満たすために、傾き角度θ(第一のモアレの方向と走査方向のなす角度)は次のように設定されるのが良い。まず、mを走査方向に関する検出器50の画素の数とする。さらにpをモアレの一周期に相当する検出器50の画素の数、n、nを1以上の任意の実数とする。この時nとnは以下の条件を同時に満たすような数である(ただし、k、k、kは任意の整数である)。
Figure 2017090414
上記条件を満たすn、nの組より、傾き角度θは、
Figure 2017090414

を満たすように設定されるとよい。
式2から式4の条件を満たすn、nの組であっても、式2から式4のいずれかの条件式において左辺と右辺の値が近くなると、位相回復時にアーチファクトが増加する可能性がある。したがって、式2から式4において、左辺の値と右辺の値はある程度異なることが好ましい。具体的には式2から式4の左辺の値は右辺の±0.2以内に無い方が良い。すなわち、より好適には、
Figure 2017090414

のいずれかに該当するn、nの組は除かれる方が良い。
具体的な例で説明する。まずNを16とする。mを2048とし、pを32と設定する。このときのnとnの組み合わせを考える。この組み合わせは実際多岐にわたるが、nが決定すればnも式1で一意に決定されるので、その組み合わせから式2から式4の条件に合うものを選択する。
mが2048であるため、式1よりnおよびnは0以上、64以下に限定される。この中で、式2によって除外される値は(0、16、32、48、64)である。これにこの値を含む組み合わせは、
Figure 2017090414

によって求められる。式9および式10より、小数点第3位以下を四捨五入して求めた(n,n)の具体的な組み合わせは次のとおりである。(0,64)、(16,61.97)、(32,55.43)、(48,42.33)、(64,0)、(61.97,16)、(55.43,32)、(42.33,48)。
次に式3および式4によって除外される組み合わせを計算する。式9もしくは式10を式3もしくは式4に代入して二次方程式を解くことでこれらの組み合わせが判明する。具体的には、(18.83,61.16)、(61.16,18.83)、(45.25,
45.25)、(36.54,52.54)、(52.54,36.54)、(26.33,58.33)、(58.33,26.33)、(14.37,62.36)、(62.36,14.37)である。より好適にはこれらの組み合わせから±1を除くことが望ましい。
これらから、式5より、傾き角度θとして以下の角度が除外されることになる。0°、12.98°、14.48°17.11°、24.29°、30.00°、34.92°、41.41°、45°、48.59°、55.18°、60.00°、65.71°、72.89°、75.52°、77.02°、90.00°が除外される。
図4A、図4Bに、被検体を移動しながら16回の撮像を行い得られたモアレのシフト量(位相)の二次元位相空間分布を示す。図4Aと図4Bとでは傾き角度θの設定が異なっており、図4Aは式2から式4の条件を満たす場合、図4Bは式2から式4の条件を満たさない場合である。
図4Aは(n,n)=(36.0,59.21)で、傾き角度θが31.30°の条件の結果を示す。横軸が第一のモアレの方向の位相、縦軸が第二のモアレの方向の位相を示している。この例では、16点の位相が縦横一周期分(2πラジアン)の面内に分布し、各点の分布が排他的に面内に広がっている。このような分布をもつ16点のデータを用いれば、精度良く位相回復の計算を行うことができる。
図4Bは(n,n)=(45.25,45.25)の場合の分布である。16点の位相が一直線上に並んでいる。このような場合、位相回復の計算に用いるデータが偏ってしまうために、誤差要因になりやすく適切でない。このような偏った分布は式2〜式4だけではない。例えば、二次元位相空間の一部だけに点が集中するなどの条件は式2〜式4の他にもあるため、そのような条件も除外することが望ましい。
以上の具体例は一例であり、あらゆるN、m、pの条件下でも同様の議論によって条件を出すことが可能である。
また、実際の格子や検出器には構造上の不均一性が存在する場合もある。その不均一性を平均化するため、被検体に対して移動中にN回の撮像をK回(Kは自然数)行うような場合も考えられる。すなわち全部でN×K回の撮像を行い、そのうち、位相が同じであるK回の撮像を合算して不均一性を除去し、N個のデータとして位相回復する場合である。このような場合、角度の条件としては、式1の左辺はmではなくm/Kを用いるとよい。またこの場合は、一回の撮像ごとの移動量は、D/(KN)に設定される。位相回復処理の具体的な計算手法としては、特許文献1に記載の手法が好適であるが、縞走査法の位相回復の原理に従えばどのような手法でもよい。
このようにあるN、m、pの条件に基づき適切な傾き角度θを設定することで、被検体を一次元に走査しながらN回の撮像を行うという簡単なシーケンスで、縞走査法の位相回復処理に必要なデータを取得することができる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2では、位相回復処理にフーリエ変換法を利用する。これにより、実施例1では最低5回必要であった撮像を、2回に減らす。実施例2では、図5Bに示すように、被検体は符号411の位置と符号412の位置で撮像される。被検体の送り量(移動量)は、走査方向に関する検出器50の画素数をDとした場合、D/2に設定するとよい。
実施例2の場合は傾き角度θを図5Aに示すように45度に設定する。また、モアレの周期pは実施例1の場合に比べて小さい方が望ましく、4画素〜10画素程度がよい。また、モアレの周期pは、走査方向に関する検出器50の画素数をm、kを任意の0以上の整数とした際に、
Figure 2017090414

の関係が成り立つようにするとよい。これは斜め方向の検出器50の撮像範囲内にモアレの周期とは45度異なる方向のモアレが奇数周期分入ることを意味する。この条件を満たせば、二回の撮像で得られる画像を比べた際、同じ被検体の同一の点で見るとモアレの位相が丁度、半波長分に相当する(π,π)だけ移動する。
二回の撮像で得られる画像からの位相回復処理にはフーリエ変換法を用いる。二回の撮像で得られる画像を各々IとIとした際に、吸収像Aは各々の積算
Figure 2017090414

より、
Figure 2017090414

から求める。ここで、Fはフーリエ変換、F−1は逆フーリエ変換、k、kは波数空間上の座標であり、Gはフーリエ変換を用いた位相回復法におけるローパスフィルタ関数である。
被検体の微分位相像および散乱像は、二回の撮像で得られる画像IとIの差分
Figure 2017090414

から次のように求めることが可能である。第一のモアレの方向に関する微分位相Pおよび散乱Vに関しては
Figure 2017090414

から求めることができ、第二のモアレの方向に関する微分位相Pおよび散乱V
Figure 2017090414
から求めることが可能である。
実施例2の方法によれば、撮像回数が二回で済むため、実施例1よりもさらに撮像シーケンスが簡易化され、スループットを向上することができる。加えて、従来の一回撮像のフーリエ変換法より空間分解能が向上する。
以上、本発明の実施形態とその具体的な実施例について説明したが、これらはあくまで一例であり、本発明の範囲はこれらの具体例に限られない。例えば、本発明の方法は、トールボット干渉計以外の二次元干渉計にも適用できるし、X線以外の電磁波を用いた干渉計にも適用できる。干渉計はX線源(電磁波源)を備えず、撮像時にX線源と組み合わせる構成としてもよい。また、上記具体例では搬送装置によって被検体を移動させたが、被検体を固定し、二次元干渉計を移動させたり、被検体と二次元干渉計の両方を移動させてもよい。
10:光源(X線源)、20:被検体、30:回折格子、40:遮蔽格子、50:検出器、60:演算部、70:画像表示装置、80:干渉パターン

Claims (11)

  1. 被検体を透過した電磁波により二つの周期方向をもつ干渉パターンを形成する二次元干渉計と、
    前記干渉パターンを撮像する検出器と、
    前記被検体と前記二次元干渉計のうちの少なくとも一方を移動させる移動手段と、を備え、
    前記移動手段によって前記被検体と前記二次元干渉計の相対位置を前記二つの周期方向のいずれとも異なる一次元の走査方向に変化させながら、前記検出器によってN回(Nは2以上の整数)の撮像を行うことによって、前記被検体の位相回復処理に用いられるN枚の画像のデータを取得する
    ことを特徴とする二次元干渉パターン撮像装置。
  2. 前記位相回復処理は縞走査法による位相回復処理である
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  3. mを前記走査方向に関する前記検出器の画素の数、pを前記干渉パターンの一周期に相当する前記検出器の画素の数、n、nを1以上の任意の実数、k、k、kを整数としたとき、
    Figure 2017090414

    を満たすnとnの組より、前記周期方向と前記走査方向のなす角度θが
    Figure 2017090414

    を満たすように設定されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  4. Dを前記走査方向に関する前記検出器の長さとしたとき、
    前記移動手段による一回の撮像ごとの移動量は、D/(KN)(Kは自然数)に設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  5. 前記位相回復処理はフーリエ変換法による位相回復処理である
    ことを特徴とする請求項1に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  6. 前記周期方向と前記走査方向のなす角度が45度に設定されており、
    mを前記走査方向に対する前記検出器の画素の数、pを前記干渉パターンの一周期に相当する前記検出器の画素の数、kを0以上の整数としたとき、
    Figure 2017090414

    の関係が成り立つ
    ことを特徴とする請求項5に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  7. pは4から10の間の値に設定されている
    ことを特徴とする請求項6に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  8. 前記移動手段は、一回の撮像ごとに所定の移動量だけ移動を行うものであり、
    N回目の撮像後に前記所定の移動量だけ移動を行うと、前記被検体が前記電磁波の照射範囲から外れるように、前記所定の移動量が設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  9. 前記移動手段は、前記被検体を前記走査方向に搬送する搬送装置である
    ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  10. 前記二次元干渉計は、二次元トールボット干渉計である
    ことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
  11. 前記電磁波は、X線である
    ことを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の二次元干渉パターン撮像装置。
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