JP2015227759A - 化学蓄熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱媒体の加熱を効率的に行うことができる化学蓄熱装置を提供する。【解決手段】排気管3内を流れる排気ガスを加熱する化学蓄熱装置10において、排気管3の内部に設けられ、NH3と化学反応して熱を発生させる反応材13を有する反応器11と、排気管3の外部に設けられ、NH3を貯蔵する吸着器12と、反応器11と吸着器12とを接続し、反応器11と吸着器12との間をNH3が流れる供給流路と、を備え、反応器11の外周面17aは排気管3の内周面3bと離間しており、反応器11の外周面17aに熱交換フィン20が形成され、供給流路は、反応器11を排気管3に保持する少なくとも二つの供給管15を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、例えばエンジンから排出される排気ガス等の熱媒体を加熱する化学蓄熱装置に関する。
従来の化学蓄熱装置として、例えば特許文献1に記載されているように、化学反応媒体としてのアンモニア(NH3)を用いた化学蓄熱により酸化触媒を加熱し、エンジンからの排気ガスを浄化する排気浄化システムに適用された化学蓄熱装置が知られている。特許文献1に記載された化学蓄熱装置は、NH3を貯蔵する貯蔵器と、この貯蔵器と導入管を介して接続され、NH3と化学反応して熱を発生させる反応材が充填された反応器と、を備えている。
このような化学蓄熱装置において、排気ガスの温度が低い暖機運転時には、貯蔵器に貯蔵されたNH3が導入管を介して反応器に導入され、導入されたNH3と反応器内の反応材とが化学反応し、熱が発生する。この熱により、酸化触媒が加熱される。
ところで、上記従来技術のように排気管内に配置された加熱対象を排気管の外周面から加熱するように化学蓄熱装置の反応器が配置されている場合、反応器において発生した熱の一部は、反応器の加熱対象側と反対側の面より外側へ放熱されてしまう。すなわち、反応器において発生する熱の一部が加熱対象の加熱に用いられず無駄になっていた。
本発明は、反応器で発生する熱を効率的に加熱対象の加熱に利用することができる化学蓄熱装置を提供することを目的とする。
本発明に係る化学蓄熱装置は、配管内を流れる熱媒体を加熱する化学蓄熱装置において、配管の内部に設けられ、反応媒体と化学反応して熱を発生させる反応材を有する反応器と、配管の外部に設けられ、反応媒体を貯蔵する貯蔵器と、反応器と貯蔵器とを接続し、反応器と貯蔵器との間を反応媒体が流れる供給流路と、を備え、反応器の外周面は配管の内周面と離間しており、反応器の外周面に熱交換部が形成され、供給流路は、反応器を配管に保持する少なくとも二つの供給管を有することを特徴とする。
本発明に係る化学蓄熱装置では、貯蔵器から供給管を介して反応器に導入された反応媒体と反応器内の反応材との化学反応により、反応器において熱が発生する。この化学蓄熱装置では、熱の発生源である反応器が加熱対象である熱媒体が流れる配管の内部に設けられており、また、反応器はその外周面に形成された熱交換部を備えているので、反応器において発生する熱を効率的に加熱対象の加熱に利用することができる。また、通常、重量物である反応器を配管の内部に保持するための別部材が別途必要であったが、この化学蓄熱装置では、反応器に反応媒体を供給するための供給管を少なくとも二つ有しているため、反応器を配管内に保持するための保持部材を別途設けなくとも、それら複数の供給管を利用して反応器を配管の内部に保持することができる。つまり、配管に振動が加わるような場合でも、少ない構成で配管の内部に反応器を安定して保持することができる。
本発明に係る化学蓄熱装置において、熱交換部は、板材を折り曲げて形成されたフィン状を有していてもよい。この場合、熱交換部がフィン状を有していることにより、熱交換部が熱媒体と接触する表面積を増やすことができ、熱交換部と熱媒体との間における熱交換性をより高めることができる。
本発明に係る化学蓄熱装置において、熱交換部は、配管の内周面に接触しないように形成されていてもよい。この場合、反応器の外側へ放熱された熱が熱交換部を介して配管の内周面へと伝わって配管から放熱してしまうのを抑制することができ、当該熱を配管の内部に留めることができる。よって、反応器の外側へ放熱する熱をより効率的に熱媒体へ伝えることができる。
本発明に係る化学蓄熱装置において、供給管は、配管の軸方向に広がった拡張部を有し、拡張部は、反応器を配管に保持するように構成されていてもよい。この場合、配管の軸方向に広がった拡張部により、反応器を更に安定して配管に保持することができる。
本発明に係る化学蓄熱装置において、反応器の上流側の一端側部分は、配管の下流側から上流側に向かって尖った円錐状に形成されていてもよい。この場合、円錐状に形成された反応器の上流側の一端側部分に沿って、熱媒体が滑らかに流れるので、熱交換部と熱媒体との間における熱交換性をより高めることができる。
本発明に係る化学蓄熱装置において、反応器は、外筒及び内筒を有する筒状であり、熱交換部は、外筒の外周面及び内筒の内周面に形成されていてもよい。この場合、反応器における内筒の内周面にも熱交換部が形成されているので、熱媒体と接触する熱交換部の表面積を増やすことができ、熱交換部と熱媒体との間における熱交換性をより高めることができる。
本発明によれば、熱媒体の加熱を効率的に行うことができる化学蓄熱装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る化学蓄熱装置を備えた排気浄化システムを示す概略構成図である。同図において、排気浄化システム1は、車両のディーゼルエンジン2(以下、単にエンジン2という)の排気系に設けられ、エンジン2から排出される熱媒体である排気ガス中に含まれる有害物質(環境汚染物質)を浄化するシステムである。
図1は、本発明の第1実施形態に係る化学蓄熱装置を備えた排気浄化システムを示す概略構成図である。同図において、排気浄化システム1は、車両のディーゼルエンジン2(以下、単にエンジン2という)の排気系に設けられ、エンジン2から排出される熱媒体である排気ガス中に含まれる有害物質(環境汚染物質)を浄化するシステムである。
排気浄化システム1は、エンジン2と接続された排気通路である排気管(配管)3の途中に上流側から下流側に向けて順に配置された酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)5、ディーゼル排気微粒子除去フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)6、選択還元触媒(SCR:SelectiveCatalytic Reduction)7、及び酸化触媒(ASC:Ammonia Slip Catalyst)8を備えている。
酸化触媒5は、排気ガス中に含まれるHC及びCO等を酸化して浄化する触媒である。DPF6は、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集して取り除くフィルタである。SCR7は、尿素またはアンモニア(NH3)によって、排気ガス中に含まれるNOxを還元して浄化する触媒である。酸化触媒8は、SCR7をすり抜けてSCR7の下流側に流れたNH3を酸化する触媒である。
また、排気浄化システム1は、化学蓄熱装置10を備えている。化学蓄熱装置10は、通常は排気ガスの熱(排熱)を蓄えておき、必要なときに排熱を使用することにより、エネルギーレスで排気ガスを加熱し、暖められた排気ガスによって酸化触媒5を加熱する装置である。化学蓄熱装置10は、排気管3の内部に配置された反応器11と、排気管3の外部に配置された吸着器(貯蔵器)12と、を備えている。
反応器11は、例えば酸化触媒5よりも上流側の位置で排気管3の内部に設けられている。なお、ここでいう上流側とは、排気管3内を排気ガスが流れる方向の上流側のことである。以下、排気管3内を排気ガスが流れる方向の上流側のことを単に上流側という。また、排気管3内を排気ガスが流れる方向の下流側のことを単に下流側という。
反応器11は、気体の反応媒体であるNH3と化学反応して熱を発生すると共に排熱を受けてNH3を脱離させる反応材13(図2参照)を含んでいる。反応材13としては、ハロゲン化物のMXaという組成を持つ材料が用いられる。ここで、Mは、Mg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の遷移金属である。Xは、Cl、Br、I等である。aは、2〜3である。なお、反応器11は、ステンレス鋼、金属ビーズ、SiCビーズ、Siビーズ、カーボンビーズ、アルミナビーズ等の高熱伝導体を含んでいてもよい。
吸着器12は、NH3の物理吸着による保持及び脱離が可能な反応材14を含んでいる。反応材14としては、活性炭、カーボンブラック、メソポーラスカーボン、ナノカーボン及びゼオライト等が用いられる。吸着器12は、NH3を反応材14に物理吸着させることで、NH3を貯蔵する。
反応器11及び吸着器12は、二つの供給管15及び合流管15aを介して接続されている。各供給管15の一端には、反応器11が溶接等により固定されている。各供給管15の他端には、合流管15aを介して吸着器12が接続されている。各供給管15及び合流管15aは、反応器11と吸着器12との間をNH3が流れる供給流路を構成している。合流管15aには、反応器11と吸着器12との間の流路を開閉させる開閉弁である電磁弁16が設けられている。電磁弁16は、コントローラ(不図示)により制御される。なお、各供給管15及び合流管15aは、円筒管でも角型管でもよく、管の開口形状は特に限定されない。
このような化学蓄熱装置10において、エンジン2からの排気ガスの温度が低いときは、電磁弁16が開くことで、吸着器12から反応器11にNH3が合流管15a及び各供給管15を介して供給され、反応器11の反応材13(例えばMgBr2)とNH3とが化学反応して化学吸着(配位結合)し、反応材13から熱が発生する。つまり、下記の反応式(A)における左辺から右辺への反応(発熱反応)が起こる。そして、反応器11で発生した熱によって排気ガスが加熱される。そして、暖められた排気ガスにより酸化触媒5が加熱される。
MgBr2+xNH3 ⇔ Mg(NH3)xBr2+熱 …(A)
MgBr2+xNH3 ⇔ Mg(NH3)xBr2+熱 …(A)
一方、エンジン2からの排気ガスの温度が高くなると、排熱が反応器11の反応材13に与えられることで、反応材13とNH3とが分離する。つまり、上記の反応式(A)における右辺から左辺への反応(再生反応)が起こる。そして、反応材13から脱離したNH3は、各供給管15及び合流管15aを介して吸着器12に戻り、吸着器12の反応材14に物理吸着(回収)される。
続いて、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る化学蓄熱装置10の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示す化学蓄熱装置10の一部を正面側から見た断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿った側断面図である。
図2及び図3に示すように、反応器11は、円柱状(断面円形状)をなしている。二つの供給管15は、反応器11を排気管3に保持している。各供給管15は、例えば排気管3の外周面3aを等分するように対称的に配置されており、反応器11を介して反対側に位置にしている。各供給管15は、排気管3における外周面3a及び内周面3bを突き抜け、溶接等によって排気管3に固定されている。
反応器11は、二つの供給管15に溶接等によって固定されたケース17と、このケース17の内部に充填された上記の反応材13とを有している。ケース17は、円筒状を有している。反応器11は、各供給管15に固定されることにより、各供給管15を介して排気管3に固定されている。排気管3、供給管15、及びケース17は、例えばステンレス鋼によって形成されている。
反応器11の外周面であるケース17の外周面17aは、排気管3の内周面3bと離間している。この外周面17aには、熱交換フィン(熱交換部)20が形成されている。熱交換フィン20は、例えば、板材等が折り曲げられて形成されたフィン状を有している。なお、熱交換フィン20は、一枚の板材等で形成されていてもよく、複数の板材等を繋ぎ合わせて形成されていてもよい。
熱交換フィン20は、山折り及び谷折りが複数繰り返された蛇腹状をなし、外周面17aから突出した複数の山折り部21と、隣り合う二つの山折り部21の間を連結する複数の谷折り部22と、を有している。山折り部21は、排気管3側の表面21aと、反応器11側の裏面21bとを有している。同様に、谷折り部22は、排気管3側の表面22aと、反応器11側の裏面22bとを有している。谷折り部22の裏面22bは、溶接等によって反応器11の外周面17aと固定されている。熱交換フィン20は、ステンレス鋼、アルミ、銅、又はニッケル等によって形成されている。
熱交換フィン20の山折り部21は、排気管3の内周面3bに向かって突出し、内周面3bに接触しない程度に延びている。すなわち、熱交換フィン20は、内周面3bと接触しないように形成されている。排気管3内を流れる排気ガスは、熱交換フィン20の表面21a,22aと排気管3の内周面3bとの間の空間、及び、熱交換フィン20の裏面21bと反応器11の外周面17aとの間の空間を通過する。排気管3内を流れる排気ガスは、熱交換フィン20における表面21a,22a及び裏面21bと接触する。これにより、排気管3内を流れる排気ガスと熱交換フィン20との間で熱交換が行われる。
以上、本実施形態に係る化学蓄熱装置10によれば、吸着器12から供給管15を介して反応器11に導入されたNH3と反応器11内の反応材13との化学反応により、反応器11において熱が発生する。この化学蓄熱装置10では、熱の発生源である反応器11が加熱対象である排気ガスが流れる排気管3の内部に設けられており、また、反応器11はその外周面17aに形成された熱交換フィン20を備えているので、反応器11において発生する熱を効率的に排気ガスの加熱に利用することができる。また、通常、重量物である反応器を排気管3の内部に保持するための別部材が別途必要であったが、この化学蓄熱装置10では、反応器11にNH3を供給するための供給管15を少なくとも二つ有しているため、反応器11を排気管3内に保持するための保持部材を別途設けなくとも、それら複数の供給管15を利用して反応器11を排気管3の内部に保持することができる。つまり、排気管3に振動が加わるような場合でも、少ない構成で排気管3の内部に反応器11を安定して保持することができる。
化学蓄熱装置10によれば、熱交換フィン20は、板材を折り曲げて形成されたフィン状を有しているので、熱交換フィン20が排気ガスと接触する表面積を増やすことができ、熱交換フィン20と排気ガスとの間における熱交換性をより高めることができる。
化学蓄熱装置10によれば、熱交換フィン20は、排気管3の内周面3bに接触しないように形成されている。これにより、反応器11の外側へ放熱された熱が熱交換フィン20を介して排気管3の内周面3bへと伝わって排気管3から放熱してしまうのを抑制することができ、当該熱を排気管3の内部に留めることができる。よって、反応器11の外側へ放熱する熱をより効率的に排気ガスへ伝えることができる。
さらに、本実施形態において、各供給管15は、排気管3の外周面3aを等分するように対称的に配置されており、反応器11を介して反対側に位置している。このため、供給管15を介して吸着器12から導入されるNH3を反応器11内の反応材13に全体的に拡散するのに好適である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第2実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
次に、第2実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第2実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
図4は、第2実施形態に係る化学蓄熱装置の側断面図であり、図3に対応する図である。図4に示すように、第2実施形態に係る化学蓄熱装置10Bは、供給管15の一部が、排気管3の軸方向に広がっている点で、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10とは異なる。
本実施形態に係る供給管15は、吸着器12と接続される接続部30と、接続部30よりも排気管3の軸方向に広がった拡張部31と、接続部30と拡張部31との間を連結する連結部32と、を有している。接続部30には、連結部32と連結されていない側の一端において、上記の合流管15a(図1参照)を介して吸着器12が接続されている。
拡張部31は、排気管3における外周面3a及び内周面3bを突き抜け、溶接等によって排気管3に固定されている。拡張部31は、連結部32と連結されていない側の一端において、反応器11のケース17に溶接等により固定されている。これにより、反応器11は、拡張部31を介して排気管3に固定されている。つまり、二つの供給管15の拡張部31は、反応器11を排気管3に保持している。
接続部30、連結部32、及び拡張部31は、略一定の肉厚の壁を有し、吸着器12からのNH3を導くための内部空間を形成している。吸着器12からのNH3は、接続部30、連結部32、及び拡張部31の順でこれらの内部空間を流れて反応器11に供給される。排気管3の軸方向において、拡張部31の内部空間は、接続部30の内部空間よりも広い。これにより、拡張部31の内部空間において、吸着器12からのNH3が排気管3の軸方向に拡散される。
以上、第2実施形態に係る化学蓄熱装置10Bにおいても、熱の発生源である反応器11が加熱対象である排気ガスが流れる排気管3の内部に設けられており、また、反応器11はその外周面17aに形成された熱交換フィン20を備えているので、反応器11において発生する熱を効率的に排気ガスの加熱に利用することができる。また、この化学蓄熱装置10Bにおいても、反応器11にNH3を供給するための供給管15を少なくとも二つ有しているため、反応器11を排気管3内に保持するための保持部材を別途設けなくとも、それら複数の供給管15を利用して反応器11を排気管3の内部に保持することができる。つまり、排気管3に振動が加わるような場合でも、少ない構成で排気管3の内部に反応器11を安定して保持することができる。
更に、化学蓄熱装置10Bによれば、排気管3の軸方向に広がった拡張部31により、反応器11を更に安定して排気管3に固定することができる。また、排気管3の軸方向において、拡張部31の内部空間は、接続部30の内部空間よりも広いので、拡張部31において、吸着器12からのNH3が排気管3の軸方向に拡散される。よって、吸着器12から反応器11内の反応材13に供給されるNH3の拡散性を高めることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第3実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
次に、第3実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第3実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
図5は、第3実施形態に係る化学蓄熱装置の側断面図であり、図3に対応する図である。図5に示すように、第3実施形態に係る化学蓄熱装置10Cは、反応器11の上流側の一端側部分が円錐状に形成されている点で、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10とは異なる。
反応器11の上流側の一端側部分は、排気管3の下流側から上流側に向かって尖った円錐状に形成された円錐状部18となっている。円錐状部18は、例えば、排気管3の内径中心を頂点とするように突出している。排気管3内の排気ガスは、反応器11の円錐状部18の外表面18aに沿って流れる。なお、円錐状部18の頂角は、排気ガスが円錐状部18に沿ってより滑らかに流れるように適宜変化させてもよい。
本実施形態において、熱交換フィン20は、円錐状部18を除いた反応器11の外周面17aに形成されている。なお、熱交換フィン20は、円錐状部18の外表面18a上に形成されていてもよい。
以上、第3実施形態に係る化学蓄熱装置10Cにおいても、熱の発生源である反応器11が加熱対象である排気ガスが流れる排気管3の内部に設けられており、また、反応器11はその外周面17aに形成された熱交換フィン20を備えているので、反応器11において発生する熱を効率的に排気ガスの加熱に利用することができる。また、この化学蓄熱装置10Cにおいても、反応器11にNH3を供給するための供給管15を少なくとも二つ有しているため、反応器11を排気管3内に保持するための保持部材を別途設けなくとも、それら複数の供給管15を利用して反応器11を排気管3の内部に保持することができる。つまり、排気管3に振動が加わるような場合でも、少ない構成で排気管3の内部に反応器11を安定して保持することができる。
更に、化学蓄熱装置10Cによれば、反応器11の上流側の一端側部分には、排気管3の下流側から上流側に向かって尖った円錐状部18が形成されているので、この円錐状部18に沿って、排気ガスが滑らかに流れる。従って、熱交換フィン20と排気ガスとの間における熱交換性をより高めることができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第4実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
次に、第4実施形態に係る化学蓄熱装置の構成について説明する。第4実施形態に係る化学蓄熱装置は、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10と同様、反応器11と、吸着器12と、供給管15と、熱交換フィン20と、を備える。
図6は、第4実施形態に係る化学蓄熱装置の一部を正面側から見た断面図であり、図2に対応する図である。図6に示すように、第4実施形態に係る化学蓄熱装置10Dは、反応器11の形状が、外筒40及び内筒41を有する円筒状であり、熱交換フィン20に加え、内筒41の内周面41bにも熱交換フィン26が形成されている点で、第1実施形態に係る化学蓄熱装置10とは異なる。
反応器11のケース17は、外筒40及び内筒41によって構成されている。上記の反応材13は、外筒40の内周面40bと内筒41の外周面41aとの間に充填されている。本実施形態において、反応器11の内部とは、外筒40と内筒41との間の空間であり、反応器11の外部とは、外筒40の外周面40aよりも外側(排気管3の内周面3b側)の空間、及び、内筒41の内周面41bよりも内側(排気管3の内径中心P側)の空間である。反応器11の外周面である外筒40の外周面40aには、第1実施形態同様の熱交換フィン20が形成されている。
内筒41の内周面41bに設けられた熱交換フィン26は、上記の熱交換フィン20同様、ステンレス鋼、アルミ、銅、又はニッケル等によって形成され、山折り及び谷折りが複数繰り返された蛇腹状をなしている。熱交換フィン26は、内筒41の内周面41bから突出した複数の山折り部27と、隣り合う二つの山折り部27の間を連結する複数の谷折り部28と、を有している。山折り部27は、排気管3の内径中心P側の表面27aと、反応器11側の裏面27bとを有している。同様に、谷折り部28は、排気管3の内径中心P側の表面28aと、反応器11側の裏面28bとを有している。谷折り部28の裏面28bは、溶接等によって内筒41の内周面41bと固定されている。
熱交換フィン26の山折り部27は、排気管3の内径中心Pに向かって突出し、互いに接触しない程度に延びている。排気管3内を流れる排気ガスは、熱交換フィン26の表面27a,28aによって囲まれる空間、及び、熱交換フィン26の裏面27bと内筒41の内周面41bとの間の空間を通過する。排気管3内を流れる排気ガスは、熱交換フィン26の表面27a,28a及び裏面27bと接触する。これにより、排気管3内を流れる排気ガスと熱交換フィン26との間で熱交換が行われる。
以上、第4実施形態に係る化学蓄熱装置10Dにおいても、熱の発生源である反応器11が排気管3の内部に設けられており、また、反応器11はその外周面17aに形成された熱交換フィン20を備えているので、反応器11において発生する熱を効率的に排気ガスの加熱に利用することができる。また、この化学蓄熱装置10Dにおいても、反応器11にNH3を供給するための供給管15を少なくとも二つ有しているため、反応器11を排気管3内に保持するための保持部材を別途設けなくとも、それら複数の供給管15を利用して反応器11を排気管3の内部に保持することができる。つまり、排気管3に振動が加わるような場合でも、少ない構成で排気管3の内部に反応器11を安定して保持することができる。
更に、化学蓄熱装置10Dによれば、熱交換フィン20に加え、反応器11における内筒41の内周面41bにも熱交換フィン26が形成されているので、熱交換フィン20だけでなく熱交換フィン26も排気ガスと接触することができる。すなわち、排気ガスと接触する熱交換フィンの表面積を増やすことができ、熱交換フィンと排気ガスとの間における熱交換性をより高めることができる。
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
例えば、熱交換フィン20,26の形状及び大きさは上記実施形態に限定されない。熱交換フィン20,26は、排気ガスとの熱交換性を考え、排気ガスとの接触面積がより大きくなるように形成されていてもよい。また、熱交換フィン20,26に排気ガスの流れに乱流を発生させるような切欠き部を設けてもよい。この場合、排気ガスの流れに乱流が起こることにより熱交換性を高めることができる。
上記実施形態において、熱交換フィン20は、排気管3の内周面3bに接触しないように形成されているとしたが、これに限られず、内周面3bに接触するように形成されていてもよい。この場合には、熱交換フィン20が排気管3の内周面3bに接触することにより、反応器11と排気管3とをより安定して固定することができる。
上記実施形態において、二つの供給管15は、排気管3の外周面3aを等分するように対称的に配置されており、反応器11を介して反対側に位置にしているとしたが、これに限られず、排気管3の外周面3aのどの位置に配置されていてもよい。また、供給管15の数は二つに限られず、三つ以上でもよい。この場合、反応器11と排気管3との固定をさらに安定化することができる。なお、吸着器12からのNH3の拡散性を高めるためには、三つ以上の供給管は、例えば排気管3の外周面を等分するように対称的に配置されることが好ましい。
上記実施形態において、反応器11は円柱状(断面円形状)又は円筒状を有しているとしたが、これに限られない。例えば、反応器11としては、断面三角形又は断面四角形等の断面多角形状を有していてもよい。この場合、反応器11と熱交換部との接合面を平面とすることができるので、加工性が向上する。また、反応器11としては、第4実施形態のように、内側領域を任意の形状(断面円形又は断面多角形等)にくり貫いた筒状構造としてもよい。
上記実施形態において、排気管3の内部には一つの反応器11が配置されているとしたが、これに限られず、排気管3の内部に複数の反応器11を配置してもよい。この場合、各反応器11が二つ以上の供給管15を介して排気管3に保持される。
反応器11に導入される反応媒体は、NH3に限られず、例えばH2Оとしても良い。この場合には、H2Оと化学反応させる反応材としては、CaO、MnO、CuO、Al2O3等を使用する。
上記実施形態において、反応器11は、酸化触媒5よりも上流側の位置で排気管3の内部に設けられているとしたが、これに限られない。例えば、酸化触媒5よりも下流側で且つ酸化触媒8よりも上流側の位置で排気管3の内部に設けられていてもよい。すなわち、反応器11は、暖められた排気ガスにより酸化触媒5を加熱するものに限られず、エンジン2の排気系に設けられた他の部分を加熱するのにも適用可能である。また、熱媒体は、排気ガスに限られず、例えば配管内を流れる排オイル等でもよい。
10,10B,10C,10D…化学蓄熱装置、3…排気管(配管)、3b…内周面、11…反応器、12…吸着器(貯蔵器)、15…供給管(供給流路)、15a…合流管(供給流路)、17a…外周面、18…円錐状部、20,26…熱交換フィン(熱交換部)、31…拡張部、40…外筒、40a…外周面、41…内筒、41b…内周面。
Claims (6)
- 配管内を流れる熱媒体を加熱する化学蓄熱装置において、
前記配管の内部に設けられ、反応媒体と化学反応して熱を発生させる反応材を有する反応器と、
前記配管の外部に設けられ、前記反応媒体を貯蔵する貯蔵器と、
前記反応器と前記貯蔵器とを接続し、前記反応器と前記貯蔵器との間を前記反応媒体が流れる供給流路と、
を備え、
前記反応器の外周面は前記配管の内周面と離間しており、
前記反応器の外周面に熱交換部が形成され、
前記供給流路は、前記反応器を前記配管に保持する少なくとも二つの供給管を有する化学蓄熱装置。 - 前記熱交換部は、板材を折り曲げて形成されたフィン状を有している、
請求項1に記載の化学蓄熱装置。 - 前記熱交換部は、前記配管の内周面に接触しないように形成されている、
請求項1又は2に記載の化学蓄熱装置。 - 前記供給管は、前記配管の軸方向に広がった拡張部を有し、
前記拡張部は、前記反応器を前記配管に保持するように構成されている、請求項1〜3の何れか一項に記載の化学蓄熱装置。 - 前記反応器の上流側の一端側部分は、前記配管の下流側から上流側に向かって尖った円錐状に形成されている、
請求項1〜4の何れか一項に記載の化学蓄熱装置。 - 前記反応器は、外筒及び内筒を有する筒状であり、
前記熱交換部は、前記外筒の外周面及び前記内筒の内周面に形成されている、
請求項1〜5の何れか一項に記載の化学蓄熱装置。
Priority Applications (1)
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JP2014114062A JP2015227759A (ja) | 2014-06-02 | 2014-06-02 | 化学蓄熱装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2014114062A JP2015227759A (ja) | 2014-06-02 | 2014-06-02 | 化学蓄熱装置 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015227759A (ja) |
-
2014
- 2014-06-02 JP JP2014114062A patent/JP2015227759A/ja active Pending
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