JP2015225034A - 半透明材料の熱拡散率の測定方法 - Google Patents

半透明材料の熱拡散率の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射伝達現象が生じる場合にも、拡散伝熱の熱拡散率を精度よく測定可能な半透明材料の熱拡散率の測定方法を提供する。
【解決手段】表面から裏面への熱移動が、拡散伝熱と放射伝熱により生じる半透明材料の熱拡散率の測定方法であり、半透明材料から作製した測定試料11の表裏面にそれぞれ、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料16、17を密着配置し、一方の不透明材料16の表面を加熱光で照射し、他方の不透明材料17の裏面の温度を測定して、その温度変化を示す裏面温度測定データを求める第1工程と、半透明材料の熱拡散率を変数として含み、不透明材料16の表面を加熱光で照射した際の不透明材料17の裏面の温度の理論的な時間変化を示す、拡散伝熱と放射伝熱を用いた裏面温度理論式と、裏面温度測定データとを比較して、半透明材料の熱拡散率を決定する第2工程とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、拡散伝熱と放射伝熱の両伝熱現象により、表面に照射した加熱光のエネルギーが裏面に到達する半透明材料の熱拡散率の測定方法に関する。ここで、半透明材料としては、例えば、断熱材やセラミックス、また、通常の熱伝導現象以外に放射伝熱現象が生じるポーラス(多孔質の)材料等がある。
材料の熱拡散率を測定する方法として、例えば、特許文献1に記載されたレーザフラッシュ法が近年多用されている。この方法は、熱拡散率を求めたい材料から、例えば、直径10mm、厚さ数ミリ程度の試料(以下、測定試料ともいう)を作製し、この試料の表面をレーザ光(加熱光)で短時間照射した際の試料裏面の温度を測定して得られた裏面温度測定データと、レーザ光で試料表面を照射した際の裏面温度の理論的な時間変化を示す裏面温度理論式とを、比較し解析することにより、試料の熱拡散率を求めるものである。
このとき、試料が満足すべき必要条件は、裏面温度理論式が導出される際の試料の条件となる。
従来のレーザフラッシュ法で使用する試料の裏面温度理論式は、(1)式に示す非定常の一次元熱伝導方程式を、(2)式に示す初期条件、(3)式及び(4)式に示す境界条件のもとで解くことにより得られる。ここで、裏面温度理論式が導出される際の試料が満足すべき条件を、以下に示す。
(i)試料の表面から裏面へ(5)式のフーリエの式に基づき、(1)式を変形した(6)式の一次元熱伝導方程式が成立する。
(ii)試料の表面に照射するレーザ光のエネルギーが試料の表面で吸収される。
Figure 2015225034
従って、レーザフラッシュ法による測定で試料が満たすべき条件としては、上記(i)の条件から、均質、緻密、及び、不透明な材料であること、また、上記(ii)の条件から、表面が不透明な材料であること、が挙げられる。
また、測定して得られた裏面温度測定データと比較する裏面温度理論式としては、(7)式〜(9)式に示す時間空間解や、(10)式及び(11)式に示すラプラス空間解が用いられる。なお、(7)式中のaは(8)式で、βは(9)式で、それぞれ定義する。
Figure 2015225034
ここで、qは熱流束、kは熱伝導率、Tは温度、xは座標(試料表面から内部に進入した距離)、tは時間、ρは密度、cは比熱、αは熱拡散率、Lは試料厚さ、hは試料表裏面からの放射損失を表すビオ数、pはラプラス変数である。また、Qはレーザ光照射により試料表面の単位面積当たりに供給される入熱量で、f(t)は全時間領域における積分値を1として規格化した関数であり、Qf(t)はレーザ光照射により試料表面に吸収される単位時間単位面積当たりのエネルギーとなる。
上記したレーザフラッシュ法を用いた熱拡散率の測定は、測定の簡便性や短時間測定が可能であること等の多くの利点を有している。このため、レーザフラッシュ法による測定で、測定試料が満たすべき条件が厳密には成立しない材料に対しても、広く適用されているのが現状である。
例えば、透光性材料や断熱材等の半透明材料の熱拡散率を測定する場合、作製した測定試料の表裏面に黒化膜や金属膜を形成し不透光化して測定する。なお、断熱材のような半透明材料の多くは不均質材であるため、この熱拡散率を測定する場合は、更に、近似的に均質で緻密とみなされる程度にまで、測定試料を厚くして測定する。
特開平8−261967号公報
上記したように、半透明材料で作製した試料の表裏面に、黒化膜等の不透光膜を施し、レーザフラッシュ法等の光照射法により熱拡散率(熱伝導率)を測定すると、温度が低い場合には、放射伝熱は抑制されて拡散伝熱主体の熱伝導となるため、正しい熱拡散率(熱伝導率)が得られる。ここで、拡散伝熱とは、温度勾配に比例した熱流束(フーリエ式)による熱伝導であり、また、放射伝熱とは、試料内の材料が電磁波の放射と吸収を行う熱伝導である。
上記した測定が成立するためには、試料の熱伝導が、上記した一次元熱伝導方程式、初期条件、及び、境界条件を満足する必要があるが、温度上昇と共に放射伝熱による裏面への熱流束が増加し、拡散伝熱による熱流束に比較して無視できない状況となる。このため、半透明材料の熱拡散率を、従来のレーザフラッシュ法で測定し解析すると、放射伝熱現象の影響を受けて、測定される熱拡散率が本来の熱拡散率(熱伝導率)より大きな値を示し、測定誤差が大きくなっていた。
本発明は係る事情に鑑みてなされたもので、放射伝達現象が生じる場合にも、拡散伝熱の熱拡散率を精度よく測定可能な半透明材料の熱拡散率を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法は、表面から裏面への熱移動が、拡散伝熱と放射伝熱により生じる半透明材料の熱拡散率の測定方法であって、
前記半透明材料から作製した測定試料の表裏面にそれぞれ、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料を密着配置し、一方の前記不透明材料の表面を加熱光で照射し、他方の前記不透明材料の裏面の温度を測定して、該裏面の温度変化を示す裏面温度測定データを求める第1工程と、
前記半透明材料の熱拡散率を変数として含み、前記不透明材料の表面を加熱光で照射した際の前記不透明材料の裏面の温度の理論的な時間変化を示す、前記拡散伝熱と前記放射伝熱を用いた裏面温度理論式と、前記裏面温度測定データとを比較して、前記半透明材料の熱拡散率を決定する第2工程とを有する。
本発明に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記裏面温度理論式は更に、1)前記半透明材料の吸収係数と屈折率、及び/又は、2)前記不透明材料のビオ数を、変数として含み、該変数を前記第2工程で決定することが好ましい。
本発明に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記裏面温度理論式は、一次元熱伝導方程式のラプラス空間式であり、前記裏面温度測定データは、測定した前記不透明材料の裏面の温度変化をラプラス変換したものであることが好ましい。
本発明に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記変数を、前記裏面温度理論式と前記裏面温度測定データとの2乗偏差を最小とする条件から決定することができる。
ここで、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記変数をすべて独立変数として求めることができる。
また、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記裏面温度測定データの温度減衰領域から求まる実測減衰時定数と、前記裏面温度理論式から求まる時定数とを同値とする付加条件を用いて求めることができる。
本発明に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法は、拡散伝熱と放射伝熱を用いた裏面温度理論式を使用するので、例えば、高温域のように放射伝熱の現象が生じる場合でも、半透明材料の熱拡散率を精度よく求めることができる。
特に、裏面温度理論式が更に、半透明材料の吸収係数と屈折率を変数として含む場合、これらの放射伝熱に影響を与える因子も考慮するため、半透明材料の熱拡散率を、更に精度よく求めることができる。
また、裏面温度理論式が更に、不透明材料のビオ数を変数として含む場合、特に、高温時における半透明材料の熱拡散率を精度よく求めることができる。これは、高温時に、試料の表裏面より放射されるエネルギーを無視できず、この現象を表すビオ数(各不透明材料の放射率と定常温度T 3の積に比例)が無視できないことによる。なお、高温時とは、放射伝熱現象が無視できなくなる温度域であり、例えば、800K以上であり、上限は特に限定されるものではない。
(a)は本発明の一実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法を適用する測定装置の説明図、(b)は測定試料の伝熱モデルの説明図である。 拡散伝熱的熱伝導と放射伝熱的熱伝導の境界を示すグラフである。 (a)、(b)はそれぞれ300Kと2000Kの各温度における裏面温度理論式の放射伝熱的温度式の定数Aと拡散伝熱的温度式の定数Bに対する吸収係数の依存性を示すグラフである。 本発明の一実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率及びビオ数を決定する際の手順を示す解析フロー図である。 同半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率と、吸収係数又は屈折率とを決定する際の手順を示す解析フロー図である。 同半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率と、吸収係数又は屈折率と、ビオ数を決定する際の手順を示す解析フロー図である。 同半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率、吸収係数、及び、屈折率を決定する際の手順を示す解析フロー図である。 本発明の他の実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率及びビオ数を決定する際の手順を示す解析フロー図である。 同半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率及びビオ数と、吸収係数又は屈折率とを決定する際の手順を示す解析フロー図である。 同半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いて、熱拡散率、吸収係数、屈折率、及び、ビオ数を決定する際の手順を示す解析フロー図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の一実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法を適用する測定装置10について、図1(a)、(b)を参照しながら説明する。
測定装置10は、熱移動が拡散伝熱と放射伝熱により生じる半透明材料から作製した測定試料(以下、単に試料ともいう)11の表面側にレーザ光(加熱光の一例)を照射して半透明材料の熱拡散率を求める装置であり、レーザ光を発生させるレーザ光発生部12と、発生したレーザ光がレーザ光検出部13及び測定試料11にそれぞれ向かうように分配するハーフミラー14と、測定試料11の裏面の温度変化を測定する温度測定部15とを有している。
ここで、半透明材料は、前記したように、例えば、断熱材やセラミックス、また、通常の熱伝導現象以外に放射伝熱現象が生じるポーラス材料等である。なお、放射伝熱現象が生じる材料とは、作製した測定試料で、以下の現象が生じる材料を意味する。
・試料内で電磁波の放射と吸収の現象を行う材料であり、吸収係数μ、屈折率の2乗n、及び、温度Tの積に比例した電磁波の放射がある材料である(電磁波の放射と吸収の現象は、透明材料では生じず、半透明材料で生じる)。ここに、温度Tは、定常温度Tから加熱光(レーザ光)照射により上昇する温度増分である。
・試料の両端面間で多重反射の現象がある材料である。
この半透明材料を用いて作製する測定試料11は、例えば、直径10mm、厚さ数ミリ程度のものであるが、測定条件に応じて形状や寸法を種々変更できる。
測定試料11の表裏面(厚み方向の両端面)には、熱移動が拡散伝熱のみにより生じる不透明材料からなる板材16、17が密着配置され、3層材18を形成している。この板材16、17には、黒化膜(例えば、炭素等のセラミックス材の薄板)や金属膜(例えば、白金等の金属材の薄板)を使用できる。
上記したように、測定試料11の表面に板材16を密着させることで、板材16の表面に照射したレーザ光のエネルギーを、表面で100%吸収させることができる。更に、吸収させた熱を拡散伝熱にしたがって測定試料11に供給することができる。
一方、測定試料11の裏面に板材17を密着させることで、測定試料11を通過した熱を受取って、拡散伝熱にしたがって移動させることができ、裏面温度を表す裏面温度理論式を、一次元熱伝導方程式の解として求めることができる。
前記したレーザ光発生部12には、上記した2枚の板材16、17で挟み込んだ測定試料11、即ち、3層材18を高温雰囲気に保持した場合でも、雰囲気の熱変動を超える熱エネルギーを3層材18の表面に注入することが可能な、例えば、ルビーレーザ発振器を使用することができる。この3層材18の大きさは、例えば、一次元熱伝導が近似可能な寸法である。
レーザ光検出部13は、レーザ光発生部12から発生したレーザ光の加熱波形(レーザ光波形)の検出を行うものである。
ハーフミラー14は、レーザ光の吸収率が極めて小さく、かつ、透過性が極めて高い材質を有する基材で形成されている。例えば、入射したレーザ光から、予め設定した光量のレーザ光を反射させ、残部を通過させるコーティング層を、基材の表面に設けた構成とすることができる。
従って、上記したレーザ光発生部12から発生したレーザ光が、ハーフミラー14により反射しレーザ光検出部13の受光部(図示せず)に到達するように、受光部の光軸調整を行うことで、レーザ光発生部12から発射されたレーザ光の一部を、レーザ光検出部13に入射させて、レーザ光の加熱波形を測定することができる。
また、ハーフミラー14の光軸と3層材18の中心軸(厚み方向に沿った)とを一致させることにより、3層材18の表面を、通過したレーザ光で照射して加熱することができる。これにより、3層材18の表面をレーザ光で照射した場合、3層材18の裏面の温度変化を非定常の一次元熱伝導方程式により表すことができる。
温度測定部15は、レーザ光が照射された3層材18の裏面の温度変化を、高速で精度よく測定できる機能を有する必要があり、例えば、熱電対や放射型温度計等の温度検知センサを備えた温度測定器を使用できる。
更に、測定装置10は、3層材18の裏面温度の理論的な時間変化を示す裏面温度理論式と、温度測定部15より出力される信号から裏面温度測定データを、それぞれ求め、レーザ光検出部13から出力される信号と裏面温度理論式から得られる裏面温度の変化挙動(理論裏面温度データ)を、裏面温度測定データから得られる裏面温度の変化挙動に当てはめて、裏面温度理論式に変数として含まれている測定試料11の熱拡散率や、吸収係数と屈折率、また、板材16、17のビオ数をそれぞれ決定する演算処理部19と、この演算処理部19で求めた裏面温度理論式、裏面温度測定データ、熱拡散率、吸収係数、屈折率、及び、ビオ数を、それぞれ表示する出力器20とを有している。
この演算処理部19は、3層材18の裏面温度の理論的な時間変化を示す裏面温度理論式を求める機能、温度測定部15から出力される信号(裏面温度信号)をラプラス変換して裏面温度測定データを求める機能、裏面温度理論式(理論裏面温度データ)と裏面温度測定データの2乗偏差を求め、2乗偏差を最小とする条件から3層材18中の測定試料11の熱拡散率や、吸熱係数と屈折率、また、板材16、17のビオ数をそれぞれ決定する機能を備えている(例えば、特開2012−2758号公報参照)。
なお、演算処理部19は、前記の各機能を発現するプログラムをコンピュータに搭載することにより形成できる。
また、出力器20には、例えば、コンピュータ用の表示機器、印字機器が使用できる。
続いて、本発明の一実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法について、図1(a)を参照しながら説明する。
まず、測定しようとする半透明材料から測定試料11を作製する。そして、測定試料11の表裏面に、熱移動が拡散伝熱のみの不透明材料からなる板材16、17をそれぞれ密着配置して、3層材18を形成する。
ここで、上記した測定試料11の表面側に密着配置される板材16と、裏面側に密着配置される板材17を構成する不透明材料には、例えば、カーボン等のセラミックス材又は白金等の金属材を用いることができる。
また、板材16、17は、測定試料11の表裏面にセラミックス材又は金属材を蒸着することにより、あるいは、測定試料11の表裏面にセラミックス材又は金属材の微粉末を塗布して焼付けることにより、更には、カーボンスプレーにより形成することもできる。これにより、板材の形成と、板材の測定試料11の表裏面への密着を同時に行うことができる。
次に、3層材18を、測定装置10の試料室(図示しない)に設けられた試料ホルダにセットし、試料室内の雰囲気を調整する(例えば、真空状態にする)。
また、一方の板材16について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、及び、放射率εを変数とし、測定試料11について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、屈折率の2乗n、及び、吸収係数μを変数とし、他方の板材17について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、及び、放射率εを変数とし、更に、レーザ光照射前の試料温度Tを変数として(既知のデータはその数値を)、演算処理部19に入力する。
続いて、試料室内の温度を予め設定した測定温度となるように制御し、3層材18の温度が測定温度に到達し安定した段階で、レーザ光発生部12からレーザ光を、ハーフミラー14に向けて発射する。
ここで、発射されたレーザ光はハーフミラー14に到達し、ハーフミラー14によってレーザ光の光量の一部が反射され、レーザ光検出部13に入射して、レーザ光の波形が求められ、そのデータが演算処理部19に入力される。また、ハーフミラー14を透過した残部のレーザ光は、3層材18の表面に到達し、表面を加熱する。
レーザ光により3層材18の表面が加熱されると、一方の板材16の表面に注入された熱エネルギーは、3層材18の裏面に向かって伝導するので、3層材18の裏面の温度は徐々に上昇する。しかし、3層材18の表面、側面、及び裏面からの熱の散逸も同時に生じているので、3層材18の裏面の温度は最高温度を経てから徐々に低下する。
このときの温度変化を、例えば、放射型温度計を備えた温度測定部15により測定し、得られた測定値は演算処理部19に入力される。なお、演算処理部19では、入力された測定値を記録すると共に、測定値のラプラス変換を行って裏面温度測定データT(p)を作成し記録する(以上、第1工程)。
演算処理部19では、図1(b)に示すモデルに基づいて、ラプラス空間における裏面温度理論式を求める。以下、このモデルについて説明する。
3層材18を温度(定常温度)Tに設定した後、第1層である板材16(以下、単に第1層ともいう)の表面をレーザ光で照射して、第3層である板材17(以下、単に第3層ともいう)の裏面温度を測定するものとする。
ここで、温度Tからの温度変化をTとする。また、第1層の表面座標をx=0とし、第3層の裏面座標をx=Lとし、第1層と第2層の測定試料11(以下、単に第2層ともいう)との界面座標をx=L、また、第2層と第3層の界面座標をx=Lとする。
上記した第1層の表面からは、外部に向けてλ(0,t)のエネルギー放射があり、第3層の裏面からはλ(L,t)のエネルギー放射が外部に向けてあるものとする。また、界面x=Lにおいて、第1層から第2層内にλ(L,t)のエネルギー放射があり、界面x=Lにおいて第3層から第2層内にλ(L,t)のエネルギーが放射される。
ここで、第1層の表面からの外部への放射エネルギーと、第1層の裏面から第2層への放射エネルギーを区別するため、表面から外部への放射エネルギーにはuを付ける。同様に、第3層についても裏面(x=L)から外部への放射エネルギーにuを付ける。また、3層材18の表裏面よりエネルギー放射がある場合、uとuは1とする。
使用する変数は、前記したように、第1層について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、及び、放射率ε、第2層について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、屈折率の2乗n、及び、吸収係数μ、第3層について、密度ρ、比熱c、熱拡散率α、熱伝導率k、厚みdl、及び、放射率ε、更に、レーザ光照射前の試料温度(定常温度)T、である。
従って、以下の関係が成り立つ。
dl+dl=L
dl+dl+dl=L
また、表面からの放射に関する定数λ、λは、以下のように示される。
λ=4εσT
λ=4εσT
そして、第2層内部からの放射に関する定数λは、以下のように示される。
λ=eσT
なお、上記したeは定数(例えば、e=8πがあるが、放射や吸収のモデルのたて方により多少異なるものと考えられ、e=32/3等もある。)であり、σはステファンボルツマン定数である。また、3層材の裏面温度の減衰を時定数τとして定義する。
以上のことから、第2層である測定試料11内部の単位体積、かつ、単位時間当たりに放射されるエネルギーqνは、(12)式で与えられる。
Figure 2015225034
続いて、ラプラス空間における裏面温度理論式T(L,p)について、説明する。
ラプラス空間における裏面温度理論式T(L,p)は、上記した3層材18の表面をレーザ光で照射した場合の裏面温度の理論的な時間変化を示す(13)式で示される。
ここで、測定試料11は、熱移動が拡散伝熱と放射伝熱により生じる材料で構成されていることから、裏面温度理論式T(L,p)は、(14)式の放射伝熱的温度式Trad(L,p)と、(15)式の拡散伝熱的温度式Tdif(L,p)の和として表される。この(14)式中のAと(15)式中のBは、定数である。
また、(14)式と(15)式の右辺のT(L,β)は、(16)式で表される。なお、(16)式中の右辺分子のkβkの係数は、レーザ光の照射により、3層材18の表面に吸収される単位面積当たりのエネルギーQf(t)を、ラプラス変換したものである。ここで、Qは単位面積当たりの入熱量を、tは時間を表す。
Figure 2015225034
Figure 2015225034
なお、上記した(14)式と(15)式に用いるβとβはそれぞれ、(17)式と(18)式で表され、また、(16)式に用いるrとrはそれぞれ、(19)式と(20)式で表される。
Figure 2015225034
更に、(14)式と(15)式で用いた定数A、Bはそれぞれ、(21)式と(22)式で表される。
Figure 2015225034
上記した(21)式と(22)式に用いるμは、放射伝熱的熱伝導と拡散伝熱的熱伝導の境界となる吸収係数である。
従って、吸収係数μがこの値μより小さい場合は、放射伝熱的熱伝導が主体となり、一方、吸収係数μがこの値μより大きい場合は、拡散伝熱的熱伝導が主体となる。この両熱伝導の境界を定義する吸収係数μは、図2に示す(23)式の光学厚さ式で与えられる。なお、図2において、(23)式の線より左側が放射伝熱的熱伝導であり、右側が拡散伝熱的熱伝導である。また、光学厚さは、吸収係数μと厚さL(=dl)の積で表される。
この(23)式において、eは定数である。また、この境界の吸収係数μを用いて、(21)式と(22)式に用いるラプラス変数pを、(24)式に示す。
Figure 2015225034
上記した定数eは、一次元熱伝導と一次元放射が成立する場合には、(25)式で与えられる。
なお、第1層と第2層の界面における第2層内への放射が、3次元的に放射されるランバート面特性のような場合には、定数eは(25)式とは異なる定数となると考えられるが、それは個々の面の特性に合わせて設定するものとする。このランバート面とは、界面垂直方向からの角度をθとすると、面からの放射強度はIcos(θ)となるような面である。また、Iは、垂直方向の放射強度である。
これは、第2層と第3層の界面についても同様である。
Figure 2015225034
続いて、上記した(14)式で用いた定数A(即ち、(21)式)と、(15)式で用いた定数B(即ち、(22)式)について説明する。
定数Aは、放射伝熱的温度式Trad(L,p)に用いるものであり、定数Bは、拡散伝熱的温度式Tdif(L,p)に用いるものである。
ここで、図3(a)、(b)に、温度T=300KとT=2000Kのそれぞれにおける両定数A、Bの吸収係数依存性を示す。
図3(a)、(b)に示すように、吸収係数μが大きくなるに伴い、μ=μにおいて、定数(係数)Aは1から0に、また、定数(係数)Bは0から1に、それぞれ変化することがわかる。なお、この変化は温度により多少異なる。
次に、解析法について説明する。
解析法としては、直接法と時定数法があるが、まず、解析法の概略について説明する。
上記したように、演算処理部19で裏面温度理論式が求まると、演算処理部19では、裏面温度理論式Tth(理論裏面温度データ)と裏面温度測定データTを用いて、(26)式で表される2乗偏差式Rを作成する。
この2乗偏差の総和は、ラプラス変数pを複数設定して作成するものであり、裏面温度理論式T(L,p)と裏面温度測定データT(p)の2乗偏差の和で示される。なお、(26)式中のiは、i=1、2、3であり、1は第1層(板材16)、2は第2層(測定試料11)、3は第3層(板材17)を、それぞれ示している。
次に、第1層と第3層の物性値及び厚さを既知として、第2層の物性値を解析する。
この解析に際しては、第2層の比熱c、密度ρ、及び、厚さdlを既知とし、第2層の熱拡散率α、吸収係数μ、屈折率の2乗n、及び、試料表裏面(第1層と第3層)からの熱損失を表すビオ数hを、それぞれ解析するものとする。
なお、ビオ数hは、第1層と第3層の物性値及び放射率を同一として、第1層と第3層の熱伝導率k、k、及び、放射率ε、εを用いて、(27)式で表される。これより、ビオ数hを解析することは、第1層と第3層の放射率ε、εを解析することと同じである。
Figure 2015225034
まず、直接法について説明する。
ここで、解析する変数(独立変数)として、(28)式〜(33)式の組み合わせを検討する。
Figure 2015225034
上記した各解析変数の組み合わせに対する直接法の解析フローを、図4〜図7にそれぞれ示す。詳細には、(28)式に対する解析フローを図4に、(29)式と(30)式に対する解析フローを図5に、(31)式と(32)式に対する解析フローを図6に、(33)式に対する解析フローを図7に、それぞれ示している。
まず、熱拡散率αとビオ数hの解析フローの手順について、図4を参照しながら説明する。
(a1)第2層の熱拡散率以外の変数を固定し、熱拡散率のみを変数として、2乗偏差が最小値を与える熱拡散率を計算する。
(a2)熱拡散率とビオ数以外の変数を固定してビオ数を複数設定し、各ビオ数に対して上記(a1)の計算を行い、次に、2乗偏差が小さくなる方向にビオ数を再設定して、上記(a1)の計算を行う。この手順を繰り返すことにより、2乗偏差を最小とする熱拡散率とビオ数を求める。
これにより、熱拡散率αとビオ数hが求まる。
次に、熱拡散率αと吸収係数μ又は屈折率の2乗nの解析フローの手順について、図5を参照しながら説明する。
ここでは、まず、上記(a1)の計算を行った後、上記(a2)におけるビオ数を、吸収係数又は屈折率の2乗に変更して、上記(a2)の計算を行う。
これにより、熱拡散率αと吸収係数μ又は屈折率の2乗nが求まる。
続いて、熱拡散率α及びビオ数hと、吸収係数μ又は屈折率の2乗nの解析フローの手順について、図6を参照しながら説明する。
ここでは、上記(a1)と上記(a2)の計算を順次行った後、第2層の吸収係数又は屈折率の2乗を第3の変数とし、この変数を複数設定する。そして、各第3の変数に対して上記(a2)の計算を行い、次に、2乗偏差が小さくなる方向にこの第3の変数を再設定して、上記(a2)の計算を行い、この手順を繰り返す(以上、(a3))。
これにより、2乗偏差を最小とする熱拡散率α、ビオ数h、及び、第3の変数(即ち、吸収係数μ又は屈折率の2乗n)が求まる。
最後に、熱拡散率αと吸収係数μと屈折率の2乗nの解析フローの手順について、図7を参照しながら説明する。
ここでは、まず、上記(a1)の計算を行った後、第2層の吸収係数を第2の変数とし、屈折率の2乗を第3の変数として、上記(a2)と上記(a3)と同様の計算を行うことにより、熱拡散率α、吸収係数μ、及び、屈折率の2乗nが求まる。
なお、図7では、熱拡散率α、吸収係数μ、及び、屈折率の2乗nの順に、解析する方法を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、熱拡散率α、屈折率の2乗n、及び、吸収係数μの順に解析することもできる。
続いて、時定数法について説明する。
ここで、解析する変数として、前記した(28)式、(31)式、及び、(32)式と、(34)式の組み合わせを検討する。
Figure 2015225034
レーザ光照射後しばらくすると、試料温度は測定試料内で略同一となり、第2層内での放射伝熱が抑制された状態となり、試料表裏面からのビオ数に応じた放射損失で、レーザ光照射により吸収したエネルギーが失われる。この放射損失により試料温度が次第に減衰していく過程における減衰時定数は、上記考察より、試料内における輻射吸収と放射現象が無い拡散伝熱のみの場合の減衰時定数と略同一と考えられる。
この推察に基づく時定数法の解析フローの一例を、図8〜図10にそれぞれ示す。詳細には、(28)式に対する解析フローを図8に、(31)式と(32)式に対する解析フローを図9に、(34)式に対する解析フローを図10に、それぞれ示している。
まず、熱拡散率αとビオ数hの解析フローの手順について、図8を参照しながら説明する。
(b1)第2層の熱拡散率の初期値と裏面温度測定データの温度減衰領域から求まる時定数(実測減衰時定数)と時定数理論式をもとに、ビオ数の初期値を計算する。
(b2)第2層の屈折率の2乗と吸収係数を固定した状態で、ビオ数の初期値をもとに、2乗偏差を最小とする第2層の熱拡散率を計算する。
(b3)計算により求めた熱拡散率を、後述する時定数式に代入して、ビオ数を更新する。そして、このビオ数を、前記した(27)式に代入し、第1層と第3層の放射率ε、εを更新する。
(b4)更新したビオ数をもとに、上記(b2)にて熱拡散率の計算を行い、上記(b3)でビオ数を更新する繰り返し計算を行うことにより、熱拡散率とビオ数を求める。
これにより、熱拡散率αとビオ数hが求まる。
次に、熱拡散率α及びビオ数hと、吸収係数μ又は屈折率の2乗nの解析フローの手順について、図9を参照しながら説明する。
上記(b1)〜(b4)の計算を順次行う。
(b5)第2層の屈折率の2乗(又は吸収係数)を第3の変数として複数設定し、各第3の変数に対し上記(b2)〜(b4)の計算を実施して、各第3の変数に対して2乗偏差を最小とする熱拡散率とビオ数を求める。そして、2乗偏差が小さくなる方向に第3の変数を新たに設定して、上記(b2)〜(b4)を繰り返す計算を行い、2乗偏差が最小となる第3の変数、熱拡散率、及び、ビオ数を求める。
これにより、熱拡散率α、ビオ数h、及び、第3の変数が求まる。
最後に、熱拡散率α、吸収係数μ、屈折率の2乗n、及び、ビオ数hの解析フローの手順について、図10を参照しながら説明する。
上記(b1)〜(b5)の計算を順次行う。
(b6)上記(b1)〜(b5)の計算で取り上げていない変数である第2層の吸収係数(又は屈折率の2乗)を第4の変数とし、この第4の変数を複数設定し、各第4の変数に対し上記(b2)〜(b5)の計算を実施して、各第4の変数に対して2乗偏差を最小とする熱拡散率、ビオ数、及び、第3の変数を求める。そして、2乗偏差が小さくなる方向に第4の変数を新たに設定して、上記(b2)〜(b5)を繰り返す計算を行い、2乗偏差が最小となる第4の変数、熱拡散率α、ビオ数h、及び第3の変数を求める。
なお、図10では、第3の変数を屈折率の2乗とし、第4の変数を吸収係数として、解析する方法を示したが、この変数を逆、即ち、第3の変数を吸収係数とし、第4の変数を屈折率の2乗として、解析することも可能である。
ここで、時定数式について説明する。
以下に、1)吸収係数が小さく(35)式が成立する場合、2)吸収係数が大きく(36)式が成立する場合、3)試料内部への放射伝熱が無視でき3層の不透明体の時定数が成立する場合のそれぞれの時定数式を記載する。なお、上記1)及び2)は、それぞれの条件が成立するときに用いるべき時定数式であり、3)は、吸収係数とは無関係に使用する時定数式である。
Figure 2015225034
先に、次の変数を、(37)式と(38)式で定義しておく。
Figure 2015225034
1)吸収係数が小さく(35)式が成立する場合
時定数τは、以下に示すf、s、s1cosh、s1sinhを用いて、(39)式〜(43)式で表される。
Figure 2015225034
Figure 2015225034
ここで、外部への放射損失が小さいとき、時定数式として(44)式の近似式を得る。
Figure 2015225034
2)吸収係数が大きく(36)式が成立する場合
時定数τは、以下に示すf、s、sを用いて、(45)式〜(48)式で表される。
Figure 2015225034
3)内部への放射伝熱が無視できる場合
内部への放射伝熱が無視できる場合、以下に示す各層が不透明体の3層材の時定数式を用いることができる。なお、本式は試料加熱後に、試料全体の温度が平衡に到達した後は、半透明体においても近似的に成立する。
Figure 2015225034
ここで、測定温度が低く、試料表裏面からの放射損失が小さい場合は、上記(49)式を(50)式に近似できる。
Figure 2015225034
以上の方法により、拡散伝熱と放射伝熱の両伝熱現象により、表面に照射したレーザ光のエネルギーが裏面に到達する半透明材料の熱拡散率を求めることができる(以上、第2工程)。
続いて、本発明の一実施の形態に係る半透明材料の熱拡散率の測定方法の有効性を説明する。
以下に、吸収係数が小さく前記した(35)式が成立する場合と、吸収係数が大きく前記した(36)式が成立する場合の解析結果を示す。ここで、吸収係数が前記した(23)式に示す光学厚さの境界付近(即ち(51)式)の値を持つ場合には、この近似は成立せず、前記した(13)式の温度式を用いて、同様の解析を実施することになる。なお、この場合の解析結果については記載していないが、同様の手順で、第2層の熱拡散率や他の解析を行うことができる。
Figure 2015225034
1)吸収係数が小さく、(35)式又は(52)式が成立する場合
Figure 2015225034
吸収係数が小さく、光学厚さが条件μdl≪eを満足する場合、測定試料の裏面温度理論式は、(35)式あるいは(52)式に近似できる。ここで、吸収係数が小さい場合、前記した図3(a)、(b)に示すように、係数Aは1に近似できる(即ち(53)式)。
Figure 2015225034
まず、解析に用いた理論データを、表1に示す。
Figure 2015225034
また、直接法を用いた解析結果を表2と表3に、また、時定数法を用いた解析結果を表4に、それぞれ示す。なお、表2は、変数の組み合わせが、(α、h)、(α、h、n)、(α、h、μ)の場合の解析結果であり、表3は、(α、μ)、(α、μ、n)の場合の解析結果である。また、表4は、変数の組み合わせが、(α、h)、(α、h、μ)の場合の解析結果である。
ここで、解析を行うに際しては、ε=n=ε=0.8とした。
Figure 2015225034
Figure 2015225034
Figure 2015225034
2)吸収係数が大きく、(36)式又は(54)式が成立する場合
Figure 2015225034
吸収係数が大きく、光学厚さが条件μdl≫eを満足する場合、測定試料の裏面温度理論式は、(36)式あるいは(54)式に近似できる。ここで、吸収係数が大きい場合、前記した図3(a)、(b)に示すように、係数Bは1に近似できる(即ち(55)式)。
Figure 2015225034
まず、解析に用いた理論データを、表5に示す。
Figure 2015225034
また、直接法を用いた解析結果を表6に、また、時定数法を用いた解析結果を表7に、それぞれ示す。なお、表6と表7はそれぞれ、変数の組み合わせが、(α、h)、(α、h、n)、(α、h、μ)の場合の解析結果である。
ここで、解析を行うに際しては、ε=n=ε=0.8とした。
Figure 2015225034
Figure 2015225034
上記した表2〜表4、及び、表6、表7の解析結果は、熱拡散率α、ビオ数h、吸収係数μ、屈折率の2乗nの真値に対する誤差を示しているが、精度が十分でないように思える。しかし、これは、データ量が約400点と非常に少ないデータを用いた場合の解析結果であり、通常の測定では約9000点のデータ量を用いた測定と解析を行うため、実際の測定では、より精度が高い解析が可能になると考えられる。
従って、本発明の半透明材料の熱拡散率の測定方法を用いることで、放射伝達現象が生じる場合にも、拡散伝熱の熱拡散率を精度よく測定できることがわかる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の半透明材料の熱拡散率の測定方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。例えば、熱伝導現象が拡散伝熱のみの不透明容器(不透明材料)に半透明液体を入れて、この半透明液体に接するように容器同様の不透明な材料の蓋をする形態も対象とする。
また、前記実施の形態においては、加熱光として、レーザ光を使用した場合について説明したが、例えば、可視光や赤外光等の電磁波を使用することもでき、また、加熱板を3層材の表面に接触させる方法を適用することも可能である。
そして、前記実施の形態においては、熱拡散率の解析において、2乗偏差の最小値を与える変数を求める際に、2乗偏差が小さくなる方向に該当変数を複数設定して2乗偏差を計算し、その2乗偏差の値が小さくなる方向に新たに該当変数を設定する方法について説明したが、本方法に限定されるものではなく、例えば、ニュートン法等を用いても良い。
更に、使用する物性値には、電磁波の波長依存性を示すもの(放射率、吸収係数、屈折率2乗)があるため、これらは必要に応じて、波長による平均化処理を行うことが好ましい。
なお、前記した裏面温度理論式は、吸収係数が0の場合にも適用可能な式であり、透明材料にも適用可能である。また、吸収係数が大きく、熱移動が拡散伝熱のみの場合にも適用可能である。更に、裏面温度理論式において、第1層と第3層の厚さを0とすることにより、単層の半透明体の物性解析にも適用可能である。
10:測定装置、11:測定試料、12:レーザ光発生部、13:レーザ光検出部、14:ハーフミラー、15:温度測定部、16、17:板材(不透明材料)、18:3層材、19:演算処理部、20:出力器

Claims (6)

  1. 表面から裏面への熱移動が、拡散伝熱と放射伝熱により生じる半透明材料の熱拡散率の測定方法であって、
    前記半透明材料から作製した測定試料の表裏面にそれぞれ、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料を密着配置し、一方の前記不透明材料の表面を加熱光で照射し、他方の前記不透明材料の裏面の温度を測定して、該裏面の温度変化を示す裏面温度測定データを求める第1工程と、
    前記半透明材料の熱拡散率を変数として含み、前記不透明材料の表面を加熱光で照射した際の前記不透明材料の裏面の温度の理論的な時間変化を示す、前記拡散伝熱と前記放射伝熱を用いた裏面温度理論式と、前記裏面温度測定データとを比較して、前記半透明材料の熱拡散率を決定する第2工程とを有することを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
  2. 請求項1記載の半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記裏面温度理論式は更に、1)前記半透明材料の吸収係数と屈折率、及び/又は、2)前記不透明材料のビオ数を、変数として含み、該変数を前記第2工程で決定することを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
  3. 請求項1又は2記載の半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記裏面温度理論式は、一次元熱伝導方程式のラプラス空間式であり、前記裏面温度測定データは、測定した前記不透明材料の裏面の温度変化をラプラス変換したものであることを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
  4. 請求項3記載の半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記変数を、前記裏面温度理論式と前記裏面温度測定データとの2乗偏差を最小とする条件から決定することを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
  5. 請求項4記載の半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記変数をすべて独立変数として求めることを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
  6. 請求項4記載の半透明材料の熱拡散率の測定方法において、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記裏面温度測定データの温度減衰領域から求まる実測減衰時定数と、前記裏面温度理論式から求まる時定数とを同値とする付加条件を用いて求めることを特徴とする半透明材料の熱拡散率の測定方法。
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