JP2012002758A - 光加熱法を用いた熱定数の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱移動が拡散伝熱と輻射伝熱により生じる材料の熱拡散率及び透熱係数を測定する光加熱法を用いた熱定数の測定方法であって、材料から作製した測定試料11の表裏面に、不透明材料からなる第1、第2の板材12、13をそれぞれ密着して3層材14を形成し、3層材14の表面を加熱光で照射し裏面温度測定データを求める第1工程と、材料の熱拡散率と透熱係数、及び3層材14のビオ数をパラメータとして含み、3層材14の表面を加熱光で照射した際の裏面温度の時間変化を示す裏面温度式から理論裏面温度データを求める第2工程と、理論裏面温度データを裏面温度測定データに当てはめて、熱拡散率、透熱係数、及びビオ数を決定する第3工程とを有する。
【選択図】図1
Description
ここで、熱移動が拡散伝熱と輻射伝熱により生じる材料としては、例えば、セラミック繊維で形成された断熱材料、多孔質のセラミック材料、表面に照射した加熱光の熱エネルギーの一部が瞬時に裏面に到達する透熱性材料で形成された多孔質材料等がある。
前記材料から作製した測定試料の表裏面に、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料からなる第1、第2の板材をそれぞれ密着して3層材を形成し、該3層材の表面を加熱光で照射し該3層材の裏面温度を測定し裏面温度の温度変化を示す裏面温度測定データを求める第1工程と、
前記材料の前記熱拡散率と前記透熱係数、及び前記3層材のビオ数をパラメータとして含み、前記3層材の表面を加熱光で照射した際の該3層材の裏面温度の理論的な時間変化を示す裏面温度式から理論裏面温度データを求める第2工程と、
前記理論裏面温度データから得られる裏面温度の変化挙動を、前記裏面温度測定データから得られる裏面温度の変化挙動に当てはめて、前記材料の熱拡散率及び透熱係数を決定すると共に、前記3層材のビオ数を決定する第3工程とを有する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る光加熱法(例えば、レーザフラッシュ法)を用いた熱定数の測定方法が適用される測定装置10は、表面から裏面への熱移動が拡散伝熱と輻射伝熱により生じる材料から作製した測定試料11の表裏面に、第1、第2の板材12、13をそれぞれ密着して3層材14を形成し、3層材14の表面(第1の板材12の表面)を加熱光(例えば、レーザ光)で照射し、3層材14の裏面(第2の板材13の裏面)の温度変化を測定して得られた裏面温度測定データを基に、測定試料11(即ち、材料)の熱拡散率及び透熱係数と3層材14のビオ数をそれぞれ求める装置である。
測定しようとする材料から測定試料11を作製する。そして、測定試料11の表裏面に、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料からなる第1、第2の板材12、13をそれぞれ密着して3層材14を形成する。
ここで、ラプラス変数をpとして、r1=(p/α1)1/2、r2=(p/α2)1/2、r3=(p/α3)1/2である。また、第1の板材12の厚さをds1、第2の板材13の厚さをds3、測定試料11の厚さをds2として、L1=ds1、L2=ds1+ds2、L3=ds1+ds2+ds3である(以上、第2工程)。
なお、透熱係数ηは、特許文献1における透熱係数をη’で表すとη=hη’の関係となる。
また、3層材14の表面を加熱光で照射した場合、3層材14の表裏面からは、加熱光の照射に伴う温度上昇に比例した放射損失があり、その比例定数がビオ数hである。具体的には、加熱光を照射する3層材14の表面及び温度を測定する3層材14の裏面よりそれぞれ(15)式、(16)式に示す放射損失δQh(0,t)、δQh(L3,t)が生じる。
この手順は、図2に示すように、熱拡散率α2、ビオ数h、及び透熱係数ηの独立変数に対して、2つの計算ループと、1つの計算処理により構成され、外側より、判定2で2乗偏差R(α2、h、η)の減少が収束したと判定されるまで2乗偏差R(α2、h、η)を減少させる透熱係数ηの繰返し探索を行う透熱係数ηループと、判定1で2乗偏差R(α2、h、η)の減少が収束したと判定されるまで2乗偏差R(α2、h、η)を減少させるビオ数hの繰返し探索を行うビオ数hループと、一番内側にあって、透熱係数η、ビオ数hを固定した条件で2乗偏差R(α2、h、η)が減少する方向に徐々に測定試料11の熱拡散率α2の値の更新を行う熱拡散率α2更新処理より構成される。
一方、時定数法が適用される場合、事前に時間空間における裏面温度測定データの温度減衰領域から求まる実測減衰時定数τMを測定しておく。初期設定したビオ数h0の下に熱拡散率α2を遂次設定変更し、得られた熱拡散率α2を時定数式((18)式)に代入してビオ数hを更新する。そして、更新されたビオ数hを基に、熱拡散率α2を更新する。この手順を繰返し最終的に2乗偏差R(α2、h、η)を最小とする熱拡散率α2及びビオ数hを求める。
3層材14を構成する第1の板材12の密度ρ1を1000kg/m3、比熱c1を1J/gK、熱拡散率α1を1×10−4m2/s、厚みds1を0.001、0.01、0.1、0.3、0.6、1.0mm、ビオ数hを0.01とし、第2の板材13の密度ρ3を1200kg/m3、比熱c3を1.2J/gK、熱拡散率α3を1.2×10−4m2/s、厚みds3を0.001、0.01、0.1、0.3、0.6、1.0mm、ビオ数hを0.01とし、測定試料11の密度ρ2を1100kg/m3、比熱c2を1.1J/gK、熱拡散率α2を1.1×10−4m2/s、厚みds2を2.433mm、透熱係数ηを0、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3として、3層材14の表面を加熱幅1msの右下がり三角波形レーザ光で加熱したときの理論裏面温度データを裏面温度式から算出し、このデータを3層材14の裏面温度測定データとした。
また、図7より測定試料11の透熱係数ηが変化しても、図10より第1、第2の板材12、13の厚さds1、ds3が変化しても、測定試料11の透熱係数ηが、直接法又は時定数法のいずれの方法でも問題ない精度で求められることがわかる。
例えば、加熱波形を右下がり三角波形としたが、加熱波形は任意波形とすることができる。そして、加熱波形の検出を測定と同時に行ったが、加熱波形の測定を事前に行って記録しておき、測定後に記録しておいた加熱波形を用いて解析することができる。更に、加熱光強度が一定の場合、加熱の開始時刻及び終了時刻のみを用いて加熱波形を求め、解析することもできる。
また、熱拡散率α2、ビオ数h、及び透熱係数ηを決定する手順(解析フロー)として、外側から順に透熱係数ηループ、ビオ数hループを設け、ビオ数hループ内に(一番内側に)熱拡散率α2更新処理を設ける構成としたが、2乗偏差R(α2、h、η)に含まれる熱拡散率α2、ビオ数h、及び透熱係数ηは独立変数なので、解析フローにおける透熱係数ηループ、ビオ数hループ、及び熱拡散率α2更新処理の配置は、任意に変更することができる。
更に、セラミック繊維で形成された断熱材料、多孔質のセラミック材料、透熱性材料で形成された多孔質材料を対象としたが、ガラス等の緻密な透熱性材料に対しても、本発明は適用できる。
また、3層材の表面を加熱する方法として、レーザ光の照射を想定したが、可視光や赤外光等の電磁波の照射も可能であり、加熱板を3層材の表面に接触させる方法も適用可能である。
Claims (5)
- 表面から裏面への熱移動が拡散伝熱と輻射伝熱により生じる材料の熱拡散率及び透熱係数を測定する光加熱法を用いた熱定数の測定方法であって、
前記材料から作製した測定試料の表裏面に、熱移動が拡散伝熱により生じる不透明材料からなる第1、第2の板材をそれぞれ密着して3層材を形成し、該3層材の表面を加熱光で照射し該3層材の裏面温度を測定し裏面温度の温度変化を示す裏面温度測定データを求める第1工程と、
前記材料の熱拡散率と透熱係数、及び前記3層材のビオ数をパラメータとして含み、前記3層材の表面を加熱光で照射した際の該3層材の裏面温度の理論的な時間変化を示す裏面温度式から理論裏面温度データを求める第2工程と、
前記理論裏面温度データから得られる裏面温度の変化挙動を、前記裏面温度測定データから得られる裏面温度の変化挙動に当てはめて、前記材料の熱拡散率及び透熱係数を決定すると共に、前記3層材のビオ数を決定する第3工程とを有することを特徴とする光加熱法を用いた熱定数の測定方法。 - 請求項1記載の光加熱法を用いた熱定数の測定方法において、前記裏面温度式は、前記3層材に対して適用した一次元熱伝導方程式のラプラス空間解であり、前記裏面温度測定データは、測定した前記3層材の裏面の温度変化をラプラス変換したものであることを特徴とする光加熱法を用いた熱定数の測定方法。
- 請求項2記載の光加熱法を用いた熱定数の測定方法において、前記第3工程における前記熱拡散率、前記透熱係数、及び前記ビオ数の決定は、前記第1の板材の比熱、熱拡散率、密度、及び厚みからなる第1の板材データと、前記測定試料の比熱、密度、及び厚みからなる試料データと、前記第2の板材の比熱、熱拡散率、密度、及び厚みからなる第2の板材データを用いて、前記理論裏面温度データと前記裏面温度測定データとの2乗偏差を最小とする条件から行うことを特徴とする光加熱法を用いた熱定数の測定方法。
- 請求項3記載の光加熱法を用いた熱定数の測定方法において、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記熱拡散率、前記透熱係数、及び前記ビオ数をすべて独立変数として求めることを特徴とする光加熱法を用いた熱定数の測定方法。
- 請求項3記載の光加熱法を用いた熱定数の測定方法において、前記2乗偏差を最小とする条件は、前記裏面温度測定データの温度減衰領域から求まる実測減衰時定数と、前記裏面温度式から求まる時定数とを同値とする付加条件を用いて求めることを特徴とする光加熱法を用いた熱定数の測定方法。
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JP2015225034A (ja) * | 2014-05-29 | 2015-12-14 | 株式会社超高温材料研究センター | 半透明材料の熱拡散率の測定方法 |
JP2017090454A (ja) * | 2015-11-04 | 2017-05-25 | ネッチ ゲレーテバウ ゲーエムベーハー | 試料を光熱分析するための方法及び装置 |
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