JP2015224597A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】可動コアの摩耗を抑制可能な燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】 燃料噴射弁1は、ニードル弁20の径外側に伝達部材30を備える。ニードル弁20が有する第1孔25と伝達部材30が有する第2孔33に挿通する嵌合ピン40は、第1孔25の内壁に対しニードル弁20の軸方向に往復移動可能に設けられる。伝達部材30は、可動コア80の反噴孔側の端面に当接可能な下当接面35、及び、第1スプリング71の付勢力を受けるスプリング座36を有する。これにより、コイル50に通電されると、可動コア80と伝達部材40とが当接した状態で共に開弁方向へ移動し、伝達部材40に固定された嵌合ピン40がニードル弁20の第1孔25の反噴孔側の端面に衝突する。ニードル弁20は、その時の衝突力により、開弁方向へ移動し、噴孔18を開放する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、内燃機関に燃料を噴射する燃料噴射弁に関する。
従来、内燃機関に燃料を噴射供給する電磁式の燃料噴射弁が知られている。
特許文献1に記載の燃料噴射弁は、ハウジングに形成された噴孔を開閉するニードル弁に対し、そのニードル弁を駆動する可動コアが往復移動可能に設けられている。この燃料噴射弁は、コイルに通電されていないとき、ニードル弁に固定された摺動部材の噴孔側の端面と、可動コアとの間に、所定の隙間が形成される。
この構成により、燃料噴射弁は、コイルに通電されると、可動コアが固定コアに磁気吸引され、加速した状態で摺動部材に衝突する。その衝突力により、摺動部材とニードル弁は、反噴孔側(以下「開弁方向」という)へ移動し、噴孔を開放する。これにより、燃料噴射弁は、開弁動作の応答性を高めている。
特開2013−104340号公報
ところで、一般に、可動コアは磁性体から形成され、ニードル弁は非磁性体から形成される。そのため、可動コアはニードル弁よりも硬度が低い。したがって、特許文献1に記載の燃料噴射弁は、コイルに通電したとき、可動コアと摺動部材とが衝突することにより、可動コアに異常摩耗が生じることが懸念される。可動コアの摩耗が大きくなると、ニードル弁のリフト量が小さくなるので、燃料噴射量を正確に制御することが困難になるおそれがある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、可動コアの摩耗を抑制可能な燃料噴射弁を提供することを目的とする。
本発明の燃料噴射弁は、ニードル弁の径外側又は径内側に設けられた伝達部材、及び、ニードル弁が有する第1孔と伝達部材が有する第2孔に挿通する嵌合ピンを備える。伝達部材は、可動コアの反噴孔側の端面に当接可能な下当接面、及び、スプリングの付勢力を受けるスプリング座を有する。嵌合ピンは、第1孔の内壁又は第2孔の内壁に対し、ニードル弁の軸方向に往復移動可能に設けられる。
この構成により、コイルに通電されていないとき、スプリングの付勢力により伝達部材の下当接面と可動コアとが当接する。コイルに通電され、固定コアと可動コアとの間に磁気吸引力が発生すると、可動コアと伝達部材とが当接した状態で共に開弁方向へ移動する。このとき、嵌合ピンが伝達部材の第2孔に固定されたものである場合、嵌合ピンとニードル弁の第1孔の反噴孔側の内壁とが衝突する。その衝突力により、ニードル弁は開弁方向へ移動し、噴孔を開放する。
また、嵌合ピンがニードル弁の第1孔に固定されたものである場合、固定コアと可動コアとの間に磁気吸引力が発生すると、伝達部材の第2孔の噴孔側の内壁と嵌合ピンとが衝突する。その衝突力により、嵌合ピンとニードル弁が開弁方向へ移動し、ニードル弁は噴孔を開放する。
そのため、コイルへの通電時に可動コアと伝達部材とが当接した状態を保ち、且つ、可動コアがニードル弁等と衝突することがないので、可動コアの摩耗が抑制される。したがって、燃料噴射弁は、経年変化によるニードル弁のリフト量の変化を防ぎ、燃料噴射量を正確に制御することができる。
また、燃料噴射弁は、可動コアと伝達部材とが共に開弁方向へ移動する際、嵌合ピンとニードル弁の第1孔の内壁との衝突力、又は、伝達部材の第2孔の内壁と嵌合ピンとの衝突力により、ニードル弁を開弁方向へ移動する。そのため、燃料噴射弁に供給される燃料が比較的高圧であってもニードル弁を移動することが可能である。したがって、この燃料噴射弁は、比較的高圧の燃料の噴射に好適である。
本発明の第1実施形態による燃料噴射弁の断面図である。 第1実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 図2のIII−III線の断面図である。 燃料噴射弁の開弁時の動作を示す説明図である。 燃料噴射弁の閉弁時の動作を示す説明図である。 本発明の第2実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 図6のVII−VII線の断面図である。 本発明の第3実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第4実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第5実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第6実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第7実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第8実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第9実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 本発明の第10実施形態による燃料噴射弁の要部断面図である。 図15のXVI−XVI線の断面図である。
以下、本発明による複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1から図5に示す。第1実施形態の燃料噴射弁1は、図示していない燃料タンクから汲み上げられて高圧ポンプ等により加圧された燃料を、内燃機関の気筒へ直接噴射する直噴式の内燃機関に適用される。
図1及び図2に示すように、燃料噴射弁1は、ハウジング10、ニードル弁20、伝達部材30、嵌合ピン40、コイル50、固定コア60、第1スプリング71および可動コア80等を備えている。なお、第1スプリング71は、特許請求の範囲に記載の「スプリング」の一例に相当する。
ハウジング10は、第1磁性部11、非磁性部12、第2磁性部13及びノズルボディ14から構成される。
第1磁性部11、非磁性部12及び第2磁性部13は、略円筒状に形成され、燃料入口15側からこの順に接続している。ハウジング10の内側には燃料通路16が形成される。
第1磁性部11と第2磁性部13は磁性体である。非磁性部12は非磁性体であり、第1磁性部11と第2磁性部13との間の磁気的な短絡を防止する。
第1磁性部11の反非磁性部12側の端部に、燃料入口15を形成する筒状の入口部材17が接合している。入口部材17の径内側には、フィルタ171が設けられている。燃料入口15から燃料通路16に流入する燃料は、フィルタ171によって燃料の中の異物が捕獲される。
ノズルボディ14は、第2磁性部13の反非磁性部12側の端部に設けられる。このノズルボディ14は、底部141および筒部142を有し、有底筒状に形成されている。筒部142は、第2磁性部13の内側に接合している。底部141には、噴孔18が形成されている。また、底部141の内壁には、凹テーパ状の弁座19が形成されている。
ニードル弁20は、円柱状に形成され、ハウジング10の内側に軸方向へ往復移動可能に収容されている。
ニードル弁20の噴孔側の端部には、シート部21が形成されている。シート部21は、弁座19に当接可能である。ニードル弁20は、シート部21が弁座19に着座することで噴孔18を閉塞し、シート部21が弁座19から離座することで噴孔18を開放する。
なお、ニードル弁20が弁座19から離座する方向を開弁方向といい、ニードル弁20が弁座19に着座する方向を閉弁方向という。
ニードル弁20は、シート部21よりも反噴孔側でノズルボディ14の筒部142の内壁に摺接する摺接部22、その摺接部22から軸方向に延びるニードル本体部23、及びそのニードル本体部23の反噴孔側に設けられた小径部24を有する。小径部24の外径は、ニードル本体部23の外径よりも小さい。この小径部24は、径方向に延びる第1孔25を有する。
伝達部材30は、ニードル弁20の小径部24の径外側に設けられる筒部31、及びその筒部31の反噴孔側の端部から径外方向に延びる外環状部32を有する。
筒部31は、可動コア80の中央の孔81に挿通している。伝達部材30は、可動コア80に対し、軸方向に往復移動可能である。筒部31は、径方向に延びる第2孔33を有する。この第2孔33は、ニードル弁20の有する第1孔25と連通する位置に設けられる。
また、筒部31は、ニードル弁20よりも反噴孔側の位置に燃料孔34を有する。この燃料孔34を通じて筒部31の内側と外側を通じて燃料が流れる。
外環状部32は、固定コア60の有する中央孔61の内側に設けられている。外環状部32は、噴孔側に形成された下当接面35を有する。下当接面35は、可動コア80の反噴孔側の端面に当接可能である。一方、外環状部32は、反噴孔側に形成されたスプリング座36を有する。スプリング座36には、第1スプリング71が当接する。そのため、伝達部材30は、第1スプリング71の付勢力を受ける。
嵌合ピン40は、ニードル弁20が有する第1孔25と伝達部材30が有する第2孔33に挿通している。嵌合ピン40の直径Aは、第2孔33の直径と同じか又はそれより僅かに大きい。そのため、嵌合ピン40は、第2孔33に圧入又は溶接等により固定される。また、嵌合ピン40の直径Aは、第1孔25の直径Bより小さい。そのため、嵌合ピン40は、第1孔25の内壁に対し、ニードル弁20の軸方向に往復移動可能である。
上述したニードル弁20、伝達部材30及び嵌合ピン40は、可動コア80よりも硬質の金属材料から形成されている。
図1から図3は、コイル50への通電が停止された状態を示している。この状態で、嵌合ピン40は、ニードル弁20の第1孔25の噴孔側の内壁に当接する。これにより、第1スプリング71の付勢力は、伝達部材30から嵌合ピン40を経由して、ニードル弁20に伝わる。そのため、ニードル弁20はシート部21が弁座19に着座する。
このとき、可動コア80は、第2スプリング72の付勢力により、伝達部材30の下当接面35に当接している。そのため、可動コア80と固定コア60との間には、磁気ギャップDが形成される。
上述した嵌合ピン40の直径Aと第2孔33の直径Bとの差をギャップCとする。このギャップCは、固定コア60と可動コア80との磁気ギャップDよりも小さい。
図1及び図2に示すように、燃料噴射弁1は、コイル50、固定コア60及び可動コア80等から構成された電磁駆動部を有している。電磁駆動部は、ニードル弁20を駆動する。
コイル50は、ハウジング10を構成する第1磁性部11及び非磁性部12の径外側に設けられたスプール51に巻かれている。コイル50の外側を、磁性体からなる筒状のヨーク52が覆っている。コイル50は、コネクタ53の端子54と電気的に接続している。コネクタ53の端子54を通じてコイル50に通電されると、コイル50は磁界を生じる。
固定コア60は、磁性体により略円筒状に形成され、ハウジング10を構成する第1磁性部11と非磁性部12の径内側に固定されている。即ち、固定コア60は、コイル50の磁界内に設けられている。
固定コア60は、軸方向に通じる中央孔61を有する。固定コア60が有する中央孔61に、第1スプリング71が挿入されている。第1スプリング71は、一端が固定コア60の内側に圧入固定されたアジャスティングパイプ73に当接し、他端が伝達部材30のスプリング座36に当接している。アジャスティングパイプ73の圧入量により、第1スプリング71の荷重が設定される。第1スプリング71は、伝達部材30と嵌合ピン40を通じて、ニードル弁20を閉弁方向へ付勢している。
可動コア80は、磁性体から略円筒状に形成され、固定コア60の噴孔側に、軸方向に往復移動可能に設けられている。
可動コア80は、中央に孔81を有している。この孔81に伝達部材30の筒部31が挿通している。可動コア80は、ハウジング10及びニードル弁20に対し、軸方向に往復移動可能である。
可動コア80は、固定コア60側の端面から僅かに突出した突起82を有する。そのため、可動コア80が固定コア60に磁気吸引されると、可動コア80の突起82と固定コア60とが当接し、可動コア80の固定コア60側の端面と固定コア60との間に僅かな隙間が形成される。そのため、可動コア80の固定コア60側の端面と固定コア60と間にリンキング力が作用することを防ぐことができる。
第2スプリング72は、一端が可動コア80に当接し、他端がハウジング10の段差131に当接している。第2スプリング72は、可動コア80を開弁方向に付勢している。第2スプリング72の付勢力は、第1スプリング71の付勢力よも小さい。そのため、コイル50に通電されていないとき、可動コア80は、第1スプリング71によって付勢された伝達部材30の下当接面35に当接し、開弁方向への移動が規制される。したがって、固定コア60と可動コア80との間に磁気ギャップが形成される。
次に、燃料噴射弁1の開弁動作について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、コイル50に通電されていない状態を示している。第1スプリング71の付勢力が伝達部材30と嵌合ピン40を通じてニードル弁20に伝わり、ニードル弁20のシート部21は弁座19に着座している。可動コア80は、第2スプリング72の付勢力により、伝達部材30の下当接面35に当接している。
燃料噴射弁1のコネクタ53の端子54からコイル50に通電されると、コイル50の発生する磁界により、固定コア60、可動コア80、第2磁性部13および第1磁性部11等から形成される磁気回路に磁束が流れる。これにより、固定コア60と可動コア80との間に磁気吸引力が作用する。そのため、図4(B)に示すように、可動コア80と伝達部材30は当接した状態で固定コア60側へ磁気吸引され、伝達部材30の第2孔33に固定された嵌合ピン40とニードル弁20の第1孔25の反噴孔側の内壁とが衝突する。
図4(A)から(B)の状態に移行するとき、可動コア80、伝達部材30及び嵌合ピン40は加速されるので、ニードル弁20の第1孔25の内壁と嵌合ピン40との衝突力は、ニードル弁20の閉弁力よりも大きいものとなる。なお、ニードル弁20の閉弁力とは、燃料通路16の燃料圧力がニードル弁20に対して閉弁方向へ作用する力と、第1スプリング71の付勢力との和である。
図4(C)に示すように、ニードル弁20は、ニードル弁20の第1孔25の内壁と嵌合ピン40との衝突力により、開弁方向へ跳ね上がる。この跳ね上がり量は、嵌合ピン40と第2孔33の内壁とのギャップCの範囲内である。
また、可動コア80は、固定コア60に当接する。これにより、シート部21が弁座19から離座し、噴孔18が開放され、噴孔18から燃料が噴射される。
その後、図4(D)に示すように、燃料入口側から流れる燃料の動圧により、ニードル弁20は閉弁方向に押圧され、第1孔25の反噴孔側の内壁が嵌合ピン40に当接する。このとき、ニードル弁20は、所定のリフト量を維持する。
次に、燃料噴射弁1の閉弁動作について、図5を参照して説明する。
図5(A)は、上述した図4(D)と同様に、コイル50に通電されている状態を示している。可動コア80は固定コア60に当接し、ニードル弁20の第1孔25の反噴孔側の内壁が嵌合ピン40に当接している。
コイル50への通電が停止されると、可動コア80と固定コア60との間の磁気吸引力が消滅する。そのため、図5(B)に示すように、第1スプリング71の付勢力により、伝達部材30と可動コア80が閉弁方向に移動し、伝達部材30の第2孔33に固定された嵌合ピン40とニードル弁20の第1孔25の噴孔側の内壁とが当接する。そのため、第1スプリング71は、伝達部材30と嵌合ピン40を通じてニードル弁20を押圧する。また、第1スプリング71は、伝達部材30の下当接面35を通じて可動コア80を押圧する。
図5(C)に示すように、ニードル弁20のシート部21が弁座19に着座すると、噴孔18からの燃料噴射が遮断される。一方、可動コア80は慣性により、第2スプリング72の付勢力に抗して閉弁方向へ僅かに移動する。このとき、ニードル弁20は、可動コア80と別体で形成され、その質量が小さいことからバウンスが抑制される。
また、可動コア80の閉弁方向にストッパなどが設けられていないので、可動コア80のバウンスが抑制される。したがって、可動コア80のバウンスによってニードル弁20が再開弁することが防がれる。
図5(D)に示すように、第2スプリング72の付勢力により、可動コア80が開弁方向に移動すると、可動コア80の反噴孔側の端面と伝達部材30の下当接面35とが当接する。なお、第2スプリング72の付勢力は第1スプリング71の付勢力よりも小さいので、このときもニードル弁20が再開弁することは防がれる。
第1実施形態の燃料噴射弁1は、以下の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態では、ニードル弁20が有する第1孔25と、ニードル弁20の径外側に設けられた伝達部材30が有する第2孔33とに嵌合ピン40が挿通する。伝達部材30は、可動コア80の反噴孔側の端面に当接可能な下当接面35、及び、第1スプリング71の付勢力を受けるスプリング座36を有する。嵌合ピン40は、ニードル弁20が有する第1孔25の内壁に対し、ニードル弁20の軸方向に往復移動可能に設けられる。
これにより、コイル50に通電されていないとき、第1スプリング71と第2スプリング72の付勢力により、伝達部材30の下当接面35と可動コア80とが当接する。コイル50に通電され、固定コア60と可動コア80との間に磁気吸引力が発生すると、可動コア80と伝達部材30が当接した状態で共に開弁方向へ移動する。このとき、伝達部材30の第2孔33に固定された嵌合ピン40は、ニードル弁20の第1孔25の反噴孔側の内壁に衝突する。その衝突力により、ニードル弁20は開弁方向へ移動し、噴孔18を開放する。そのため、コイル50への通電時に可動コア80と伝達部材30とが当接した状態を保ち、且つ、可動コア80がニードル弁20等と衝突することがないので、可動コア80の摩耗が抑制される。したがって、燃料噴射弁1は、経年変化によるニードル弁20のリフト量の変化を防ぎ、燃料噴射量を正確に制御することができる。
(2)第1実施形態では、嵌合ピン40は、伝達部材30が有する第2孔33に固定されるものである。嵌合ピン40は、コイル50に通電されたとき、ニードル弁20が有する第1孔25の反噴孔側の内壁に当接する。また、嵌合ピン40は、コイル50への通電が停止されたとき、ニードル弁20が有する第1孔25の噴孔側の内壁に当接する。
これにより、コイル50に通電されたとき、嵌合ピン40は、加速した可動コア80の衝突力をニードル弁20に伝えることが可能である。一方、コイル50への通電が停止されたとき、嵌合ピン40は、第1スプリング71の付勢力をニードル弁20に伝えることが可能である。
また、嵌合ピン40の両端を第2孔33に固定することにより、嵌合ピン40と第2孔33の内壁との衝突力によって嵌合ピン40が変形することを抑制可能である。
(3)第1実施形態では、伝達部材30、嵌合ピン40及びニードル弁20は、可動コア80よりも硬質である。
これにより、コイル50への通電時又はコイル50への通電を停止した際、嵌合ピン40がニードル弁20の第1孔25の内壁に衝突するとき、その衝突力により伝達部材30の第2孔33の内壁、嵌合ピン40及びニードル弁20の第1孔25の内壁が摩耗することを抑制可能である。したがって、燃料噴射弁1は、経年変化によるニードル弁20のリフト量の変化を抑制することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図6及び図7に示す。第2実施形態の燃料噴射弁1が備える嵌合ピン40は、第2孔33から伝達部材30の径外側へ突出したストッパ部41を有する。
ニードル弁20の第1孔25の噴孔側の内壁と嵌合ピン40とが当接し、且つ、ニードル弁20のシート部21が弁座19に着座し、且つ、伝達部材30の下当接面35と可動コア80とが当接した状態を示している。この状態で、可動コア80とストッパ部41との間には所定距離Eが設けられている。この所定距離Eは、上述した第1実施形態の図5(C)で示したように、燃料噴射弁1の閉弁動作において、ニードル弁20が弁座19に当接した後、可動コア80が慣性により伝達部材30の下当接面35から離れて閉弁方向へ所定距離Eだけ移動することを許容するものである。この所定距離Eは、仮に可動コア80がストッパ部41に衝突後、バウンスしたときにも、ニードル弁20の再開弁を防ぐことが可能な距離である。即ち、この所定距離Eは、可動コア80が閉弁動作時のエネルギ消費に必要な距離であり、実験などにより設定される。
これにより、燃料噴射弁1が閉弁動作を行う際、可動コア80とストッパ部41との衝突により可動コア80がバウンスすることが抑制される。そのため、可動コア80のバウンスによりニードル弁20が再開弁することが防がれる。したがって、燃料噴射弁1は、燃料噴射量を正確に制御することができる。
また、ストッパ部41は、上述した第1実施形態の図5(C)の状態で、可動コア80が上述の所定距離Eよりも閉弁方向へ大きく移動することを防ぐものである。これにより、燃料噴射弁1は、閉弁動作終了後から開弁動作へ短時間で動作を切り替えることが可能である。したがって、燃料噴射弁1は、例えば分割噴射制御など、複数回の燃料噴射を短時間で行う際、その噴射のインターバルを短くすることができる。
さらに、嵌合ピン40の端部をストッパ部41とすることにより、燃料噴射弁1は、部品点数を低減することが可能である。
また、第2実施形態では、ニードル弁20は、伝達部材30と径方向に重なる小径部24の外壁に、軸方向に延びる切欠面26を有する。この切欠面26は、嵌合ピン40と平行に形成することが好ましい。ニードル弁20の切欠面26と伝達部材30の内壁との間に燃料が流れる流路が形成される。
これにより、伝達部材30とニードル弁20との間を、簡素な構成で燃料を流すことができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。第3実施形態では、燃料噴射弁1は、ニードル弁20と伝達部材30とが径方向に重なる位置よりも噴孔側の位置に、ニードルガイド部材90を備える。ニードルガイド部材90は、筒状に形成され、ハウジング10の内壁に固定されている。ニードルガイド部材90は、ニードル弁20を軸方向に案内する。
第3実施形態では、ニードル弁20は、ノズルボディ14の筒部142の内壁に摺接する摺接部22(図1参照)と、ニードルガイド部材90と、伝達部材30の筒部31に案内され、軸の傾きが抑制されている。したがって、燃料噴射弁1は、ニードル弁20と伝達部材30との摺動個所の異常摩耗、又はニードル弁20とハウジング10との摺動個所の異常摩耗を抑制することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図9に示す。第4実施形態の燃料噴射弁1が備える固定コア60は、固定コア本体62と、その固定コア本体62の径内側に筒状のスリーブ63を有する。このスリーブ63は、固定コア60よりも硬質の金属材料から形成される。スリーブ63の内壁と、伝達部材30の外環状部32の径方向の外壁とは摺接可能である。これにより、伝達部材30の軸の傾きを抑制すると共に、ニードル弁20の軸の傾きを抑制することが可能である。また、スリーブ63と伝達部材30は共に硬質の金属材料から形成されているので、互いの異常摩耗が抑制される。
スリーブ63は、固定コア本体62よりも噴孔側へ僅かに突出している。そのため、可動コア80が固定コア60に磁気吸引されると、可動コア80とスリーブ63とが当接し、可動コア80と固定コア本体62との間に僅かな隙間が形成される。そのため、固定コア本体62と可動コア80と間にリンキング力が作用することを防ぐことができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図10に示す。第5実施形態の燃料噴射弁1が備える嵌合ピン40は、可動コア80の径内側の位置に設けられている。これにより、ニードル弁20の小径部24と伝達部材30とが径方向に重なる範囲が軸方向に長くなる。そのため、伝達部材30は、噴孔18から遠く離れた位置でニードル弁20の傾きを抑制することが可能である。したがって、ニードル弁20と伝達部材30との異常摩耗、又はニードル弁20とハウジング10との異常摩耗を抑制することができる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図11に示す。第6実施形態では、燃料噴射弁1は、ニードル弁20と伝達部材30とが径方向に重なる位置の径外側に、伝達部材用ガイド部材91を備える。伝達部材用ガイド部材91は、筒状に形成され、ハウジング10の内壁に固定されている。伝達部材用ガイド部材91は、伝達部材30を軸方向に案内する。
第6実施形態では、伝達部材30は、一端が固定コア60のスリーブ63に案内され、他端が伝達部材用ガイド部材91に案内されている。そのため、この燃料噴射弁1は、伝達部材30の軸の傾きを抑制すると共に、その内側に設けられたニードル弁20の軸の傾きを抑制することが可能である。したがって、燃料噴射弁1は、ニードル弁20と伝達部材30との摺動個所の異常摩耗、又はニードル弁20とハウジング10との摺動個所の異常摩耗を抑制することができる。
なお、第6実施形態では、燃料噴射弁1は、ニードルガイド部材90を廃止しているが、他の実施形態として、燃料噴射弁1は、伝達部材用ガイド部材91と共に、ニードルガイド部材90も備えてもよい。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を図12に示す。第7実施形態では、嵌合ピン40が、伝達部材用ガイド部材91の径内側の位置に設けられている。コイル50への通電時、及びコイル50への通電を停止した時、ニードル弁20の第1孔25の内壁と嵌合ピン40とが衝突すると、その衝突個所を中心として振動が生じることが考えられる。そのため、伝達部材用ガイド部材91の径内側に嵌合ピン40を設けることにより、伝達部材30及びニードル弁20の振動を、伝達部材用ガイド部材91によって抑制することができる。
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態を図13に示す。第8実施形態では、ニードル弁20は、その反噴孔側の端部27が、伝達部材30よりも反噴孔側に突出している。これにより、伝達部材30とニードル弁20とが径方向に重なる領域を軸方向に長くすることが可能である。したがって、燃料噴射弁1は、ニードル弁20の軸の傾きを抑制することができる。
また、伝達部材30から突出したニードル弁20により、第1スプリング71の径方向の位置ずれを防ぐことができる。
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態を図14に示す。第9実施形態では、嵌合ピン40が、スリーブ63の径内側に設けられている。伝達部材30は、可動コア80よりも反噴孔側に設けられており、可動コア80の中央の穴に挿通していない。
第9実施形態では、コイル50への通電時、及びコイル50への通電を停止した時、ニードル弁20の第1孔25の内壁と嵌合ピン40とが衝突した際、その衝突力による伝達部材30及びニードル弁20の振動を、スリーブ63によって抑制することができる。
また、スリーブ63と伝達部材30により、噴孔18から遠く離れた位置でニードル弁20の傾きを抑制することが可能である。したがって、ニードル弁20と伝達部材30との異常摩耗、又はニードル弁20とハウジング10との異常摩耗を抑制することができる。
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態を図15及び図16に示す。第10実施形態の燃料噴射弁1が備えるニードル弁20は、ニードル本体部23から反噴孔側に筒状に延びる外筒部28を有する。伝達部材30は、ニードル弁20の外筒部28の径内側に設けられている。
ニードル弁20は、外筒部28に第1孔25を有する。伝達部材30は、ニードル弁20の第1孔25に連通する位置に第2孔33を有する。嵌合ピン40は、ニードル弁20が有する第1孔25に圧入又は溶接等により固定されている。また、嵌合ピン40は、伝達部材30が有する第2孔33の内壁に対し、ニードル弁20の軸方向に往復移動可能である。
図15及び図16は、コイル50への通電が停止された状態を示している。この状態で、伝達部材30の第2孔33の反噴孔側の内壁が、嵌合ピン40に当接する。これにより、第1スプリング71の付勢力は、伝達部材30から嵌合ピン40を経由して、ニードル弁20に伝わる。そのため、ニードル弁20はシート部21が弁座19に着座する。
嵌合ピン40の直径Aと第2孔33の直径Bとの差をギャップCとする。このギャップCは、固定コア60と可動コア80との磁気ギャップDよりも小さい。
なお、ニードル弁20と伝達部材30はそれぞれ、径方向に連通する燃料孔29、34を有する。この燃料孔29、34を通じて筒部31の内側と外側を通じて燃料が流れる。
第10実施形態では、コイル50に通電されたとき、嵌合ピン40は、伝達部材30が有する第2孔33の噴孔側の内壁に当接する。また、コイル50への通電が停止されたとき、嵌合ピン40は、伝達部材30が有する第2孔33の反噴孔側の内壁に当接する。
これにより、燃料噴射弁1は、コイル50に通電されたとき、加速した可動コア80の衝突力を、伝達部材30から嵌合ピン40を経由し、ニードル弁20に伝えることが可能である。
また、燃料噴射弁1は、コイル50への通電が停止されたとき、第1スプリング71の付勢力を、伝達部材30から嵌合ピン40を経由し、ニードル弁20に伝えることが可能である。
したがって、第10実施形態の燃料噴射弁1は、上述した第1実施形態の燃料噴射弁1と同様の作用効果を奏することができる。
(他の実施形態)
上述した実施形態では、直噴式の内燃機関に適用される燃料噴射弁1について説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料噴射弁は、内燃機関の吸気ポート等に燃料を噴射するものとしてもよい。
上述した実施形態では、比較的高圧の燃料を噴射する燃料噴射弁1について説明した。これに対し、他の実施形態では、燃料噴射弁は、通常の圧力の燃料を噴射するものとして使用してもよい。
上述した第1−第9実施形態では、ニードル弁20の有する第1孔25の断面を円形にした。これに対する他の実施形態では、ニードル弁20の有する第1孔25の断面はニードル弁の軸方向が長軸となる楕円形状等としてもよい。
上述した第10実施形態では、伝達部材30の有する第2孔33の断面を円形にした。これに対する他の実施形態では、伝達部材30の有する第2孔33の断面はニードル弁の軸方向が長軸となる楕円形状等としてもよい。
本発明は、上述した複数の実施形態に限定されるものではなく、その複数の実施形態の構成を組み合わせることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・燃料噴射弁
20・・・ニードル弁
25・・・第1孔
30・・・伝達部材
33・・・第2孔
35・・・下当接面
36・・・スプリング座
40・・・嵌合ピン
71・・・第1スプリング(スプリング)
80・・・可動コア

Claims (13)

  1. 軸方向の一方に形成される噴孔(18)、その噴孔に通じる燃料通路(16)、及び、その燃料通路の内壁に形成される弁座(19)を有する筒状のハウジング(10)と、
    前記ハウジングの内側に軸方向に往復移動可能に収容され、前記弁座に着座及び離座することで前記噴孔を開閉するニードル弁(20)と、
    通電により磁界を発生するコイル(50)と、
    前記コイルが発生する磁界内で前記ハウジングに固定される固定コア(60)と、
    前記ハウジングの内側で軸方向に往復移動可能に設けられ、前記コイルに通電されると前記固定コア側へ磁気吸引される可動コア(80)と、
    前記固定コアの軸方向に延びる孔(61)の内側に設けられるスプリング(71)と、
    前記ニードル弁の径外側又は径内側に設けられ、前記可動コアの反噴孔側の端面に当接可能な下当接面(35)、及び前記スプリングの付勢力を受けるスプリング座(36)を有する伝達部材(30)と、
    前記ニードル弁の径方向に延びる第1孔(25)、及び前記伝達部材の径方向に延びる第2孔(33)に挿通し、前記第1孔の内壁又は前記第2孔の内壁に対して前記ニードル弁の軸方向に往復移動可能に設けられた嵌合ピン(40)と、を備えることを特徴とする燃料噴射弁(1)。
  2. 前記嵌合ピンは、
    前記伝達部材が有する前記第2孔に固定され、
    前記コイルに通電されたとき、前記ニードル弁が有する前記第1孔の反噴孔側の内壁に当接し、
    前記コイルへの通電が停止されたとき、前記ニードル弁が有する前記第1孔の噴孔側の内壁に当接することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記嵌合ピンは、
    前記ニードル弁が有する前記第1孔に固定され、
    前記コイルに通電されたとき、前記伝達部材が有する前記第2孔の噴孔側の内壁に当接し、
    前記コイルへの通電が停止されたとき、前記伝達部材が有する前記第2孔の反噴孔側の内壁に当接することを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記伝達部材、前記嵌合ピン及び前記ニードル弁は、前記可動コアよりも硬質であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  5. 前記伝達部材は前記ニードル弁の径外側に設けられ、
    前記ニードル弁は、前記伝達部材と径方向に重なる位置の外壁に、軸方向に延びる切欠面(26)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記ニードル弁と前記伝達部材とが径方向に重なる位置よりも前記噴孔側に設けられ、前記ニードル弁を軸方向に案内するニードルガイド部材(90)を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  7. 前記固定コアは径内側に、前記伝達部材の外壁と摺接可能な筒状のスリーブ(63)を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  8. 前記伝達部材が前記ニードル弁と径方向に重なる位置の径外側に設けられ、前記伝達部材を軸方向に案内する伝達部材用ガイド部材(91)を備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  9. 前記嵌合ピンは、前記第1孔又は前記第2孔から前記伝達部材及び前記ニードル弁の径外側へ突出したストッパ部(41)を有し、
    前記ストッパ部は、前記コイルへの通電がオンからオフに切り替わり、前記ニードル弁が前記弁座に当接した後、前記可動コアが前記伝達部材の前記下当接面から離れて前記噴孔側に所定距離(E)だけ移動することを許容する位置に設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  10. 前記嵌合ピンは、前記可動コアの径内側の位置に設けられることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
  11. 前記嵌合ピンは、前記スリーブの径内側に設けられることを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  12. 前記嵌合ピンは、前記伝達部材用ガイド部材の径内側の位置に設けられることを特徴とする請求項8に記載の燃料噴射弁。
  13. 前記ニードル弁の反噴孔側の端面は、前記伝達部材よりも反噴孔側に位置することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の燃料噴射弁。
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