JP2015224323A - リン含有難燃性フェノール樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、リン含有難燃性フェノール樹脂に関する。
エポキシ樹脂は、硬化剤と反応させることにより、分子が連結されて3次元の架橋構造を形成し、機械的強度が高く、耐薬品性を有する硬化物となる。エポキシ樹脂の硬化物は、硬化剤の種類によって、強靱性、耐熱性、耐水性、耐薬品性、耐候性等の特性を幅広く調節できる。そこで、エポキシ樹脂はこのような優れた特性を生かして、半導体封止材、各種積層板、プリント配線板等の、電気機器部品及び電子機器部品等の分野で幅広く利用されている。しかし、エポキシ樹脂は可燃性であることから、その利用に際しては、燃焼、火災に対する安全性を確保するために、難燃剤が併用される場合が多い。
前記難燃剤としては、分子中にハロゲン原子を有するハロゲン化合物(ハロゲン系難燃剤)がこれまで使用されてきたが、ハロゲン化合物は燃焼時にダイオキシンを発生させる等の問題点があった。そこで、環境対応の観点から、近年は難燃剤として、分子中にハロゲン原子を有さず、リン原子を有するリン化合物への転換が進んでいる。
難燃剤であるリン化合物としては、エポキシ樹脂と反応しない添加型のものと、エポキシ樹脂と反応する反応型のものが知られている。
添加型リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が知られている。しかし、添加型リン化合物は、エポキシ樹脂に添加されてもエポキシ樹脂と反応しないために、エポキシ樹脂を硬化して得られた成形物は、吸湿後のはんだ耐熱性やガラス転移温度(Tg)が低下するなどの問題点があった(特許文献1参照)。
添加型リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート等が知られている。しかし、添加型リン化合物は、エポキシ樹脂に添加されてもエポキシ樹脂と反応しないために、エポキシ樹脂を硬化して得られた成形物は、吸湿後のはんだ耐熱性やガラス転移温度(Tg)が低下するなどの問題点があった(特許文献1参照)。
一方、反応型リン化合物としては、例えば、下記式で表される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドが「DOPO」の略称で知られており、「HCA」の商品名で市販もされている(以下、DOPOを「HCA」と略記することがある)(特許文献2参照)。HCAを用いれば、添加型リン化合物の問題点であるTgの低下が改善され、且つ、高い難燃性を得られることが実証されている。
しかし、HCAはエポキシ樹脂と反応する際に、HCA1モルとエポキシ基1モルとが反応するため、エポキシ樹脂としては、1分子内に3個以上のエポキシ基を有するものを使用しなければ、硬化物は架橋密度が低下してしまうという問題点があった。そこで、1分子内に水酸基を2個以上有するレゾール型フェノール樹脂と、HCAと、を反応させて得られたリン含有難燃性フェノール樹脂を難燃剤とし、この難燃剤をHCA等の反応型の難燃剤に代えて、エポキシ樹脂等と併用することが報告されている(特許文献3参照)。このような難燃剤は、エポキシ基と反応する水酸基を1分子内に2個以上有するレゾール型フェノール樹脂を用いているため、前記レゾール型フェノール樹脂に由来する水酸基を2個以上有しており、1分子内に2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を用いても、硬化物は架橋密度が低下しない。
しかし、レゾール型フェノール樹脂及びHCAを反応させて得られたリン含有難燃性フェノール樹脂は、水分の吸収性(吸水性)が高いという問題点があった。これは、レゾール型フェノール樹脂と結合しているHCAが、その構造中にリン原子を有することに起因して、水(水分)を取り込み易い(吸水性が高い)ことが原因であると推測される。
近年、電気機器部品及び電子機器部品等は、その高細密化により、さらなる高耐熱性及び低吸水性を有することが求められている。特に、上述のリン含有難燃性フェノール樹脂を使用したプリント配線板等では、吸水性の高さが、高温に曝されるはんだ付け加工段階で、基板の膨れ、はんだ付け不良等に直結してしまう。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、低吸水性及び高耐熱性を有する電気機器部品又は電子機器部品を構成できる、リン含有難燃性フェノール樹脂を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、レゾール型フェノール樹脂と、下記一般式(I)で表される有機リン化合物と、を反応させて得られるリン含有難燃性フェノール樹脂を提供する。
本発明のリン含有難燃性フェノール樹脂においては、前記一般式(I)で表される有機リン化合物が、下記式(I)−101又は(I)−201で表される有機リン化合物であることが好ましい。
本発明のリン含有難燃性フェノール樹脂は、前記レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、前記一般式(I)で表される有機リン化合物を1〜200質量部配合し、反応させて得られるものが好ましい。
本発明によれば、低吸水性及び高耐熱性を有する電気機器部品又は電子機器部品を構成できる、リン含有難燃性フェノール樹脂が提供される。
<リン含有難燃性フェノール樹脂>
本発明に係るリン含有難燃性フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂と、下記一般式(I)で表される有機リン化合物(以下、「化合物(I)」と略記することがある)と、を反応させて得られるものである。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂は、化合物(I)に由来する構造を有することにより、低吸水性及び高難燃性という優れた特性を併せ持つ。
本発明に係るリン含有難燃性フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂と、下記一般式(I)で表される有機リン化合物(以下、「化合物(I)」と略記することがある)と、を反応させて得られるものである。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂は、化合物(I)に由来する構造を有することにより、低吸水性及び高難燃性という優れた特性を併せ持つ。
(レゾール型フェノール樹脂)
前記レゾール型フェノール樹脂は、1分子内に2個以上の水酸基(−OH)を有するものであり、原料として、フェノール又はその誘導体と、ホルムアルデヒドとを、塩基性触媒を用いて反応させて得られる。ここで、「フェノールの誘導体」とは、フェノール(C6H5OH)のベンゼン環骨格を構成している炭素原子に直接結合している5個の水素原子のうちの一部又はすべてが、水素原子以外の基(置換基)で置換されてなる化合物を意味し、置換基の数は特に限定されず、1〜5個のいずれでもよい。
前記レゾール型フェノール樹脂は、1分子内に2個以上の水酸基(−OH)を有するものであり、原料として、フェノール又はその誘導体と、ホルムアルデヒドとを、塩基性触媒を用いて反応させて得られる。ここで、「フェノールの誘導体」とは、フェノール(C6H5OH)のベンゼン環骨格を構成している炭素原子に直接結合している5個の水素原子のうちの一部又はすべてが、水素原子以外の基(置換基)で置換されてなる化合物を意味し、置換基の数は特に限定されず、1〜5個のいずれでもよい。
レゾール型フェノール樹脂で好ましいものとしては、原料としてフェノール、クレゾール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS又はビスフェノールZ等を用いて得られたものが例示できる。
そして、レゾール型フェノール樹脂は、入手が容易で低コストである点から、原料としてビスフェノールAを用いて得られたものがより好ましい。
そして、レゾール型フェノール樹脂は、入手が容易で低コストである点から、原料としてビスフェノールAを用いて得られたものがより好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、分子中のメチロール基(−CH2OH)の一部又はすべてがエーテル化されたものが好ましい。レゾール型フェノール樹脂は、化合物(I)と反応させる際に、通常加熱するが、このとき、レゾール型フェノール樹脂が化合物(I)と反応する前に、メチロール基が関与してレゾール型フェノール樹脂同士が縮合重合(重縮合)してしまうことがある。これに対し、レゾール型フェノール樹脂のメチロール基がエーテル化されていれば、このような縮合重合の進行が抑制される。メチロール基は、例えば、アルコールと反応させることで、エーテル化できる。
上記のエーテル化に用いるアルコールは、目的とする効果を発現するものであれば特に限定されないが、飽和炭化水素基に水酸基が結合してなるアルコール(飽和アルコール)であることが好ましく、炭素数が1〜12のアルコールであることがより好ましく、より具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等が例示できる。
これらの中でも、前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、ペンタノール等の炭素数が1〜5のアルコールであることが特に好ましい。
これらの中でも、前記アルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(イソブチルアルコール)、2−メチル−2−プロパノール(tert−ブチルアルコール)、ペンタノール等の炭素数が1〜5のアルコールであることが特に好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は任意に調節できる。
化合物(I)とレゾール型フェノール樹脂との反応時には、典型的には、化合物(I)1モルと、レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基1モルとが反応し、化合物(I)はレゾール型フェノール樹脂骨格に安定して組み込まれる。得られた反応物であるリン含有難燃性フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として使用でき、このリン含有難燃性フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを反応(硬化反応)させて得られたリン含有難燃性エポキシ樹脂は、ハロゲン化合物を用いずに高難燃性を達成でき、且つ、高耐熱性及び低吸水性を有するものとなる。
ただし、本発明においてリン含有難燃性フェノール樹脂は、1分子のレゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基のすべてに、化合物(I)が反応したものに限定されず、1分子の前記レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基の一部のみに、化合物(I)が反応したものを含んでいてもよく、その反応部位の数は特に限定されない。
(化合物(I))
化合物(I)は、前記一般式(I)で表される有機リン化合物であり、前記レゾール型フェノール樹脂と反応する有機リン化合物である。
化合物(I)は低吸水性を有し、レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基との反応によって、フェノール樹脂骨格に容易に組み込める。
化合物(I)は、前記一般式(I)で表される有機リン化合物であり、前記レゾール型フェノール樹脂と反応する有機リン化合物である。
化合物(I)は低吸水性を有し、レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基との反応によって、フェノール樹脂骨格に容易に組み込める。
式中、Y1はアラルキル基又はアリール基である。
Y1における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記アリール基は、炭素数が6〜12であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、さらに、これらアリール基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、あるいはアリール基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、後述するアルキレン基の説明において挙げたものが例示でき、アリール基としては、上記で例示したものが挙げられる。
前記アリール基は、フェニル基であることが好ましい。
Y1における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。
前記アリール基は、炭素数が6〜12であることが好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示でき、さらに、これらアリール基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、あるいはアリール基で置換されたものが例示できる。ここで、水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、後述するアルキレン基の説明において挙げたものが例示でき、アリール基としては、上記で例示したものが挙げられる。
前記アリール基は、フェニル基であることが好ましい。
Y1における前記アラルキル基を、アリール基がアルキレン基に結合してなる1価の基と考えた場合に、前記アリール基は単環状及び多環状のいずれでもよく、Y1のアリール基と同様のものが例示できる。また、前記アルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよく、鎖状構造及び環状構造が混在していてもよいが、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
前記アルキレン基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数が1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基等の炭素数が3〜10の環状のアルキル基;前記環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基で置換されたアルキル基(水素原子を置換する直鎖状、分岐鎖状及び環状のアルキル基としては、上記で例示したものが挙げられる)から、1個の水素原子が除かれてなる2価の基が例示できる。
前記アラルキル基は、炭素数が7〜20であることが好ましく、ベンジル基(フェニルメチル基)、о−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、p−メチルベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)等が例示でき、ベンジル基であることがより好ましい。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂が低吸水性であるのは、化合物(I)に由来する構造を有し、その中でもアラルキル基又はアリール基が水(水分)を寄せ付けず、化合物(I)に由来する構造に水(水分)が取り込まれるのを抑制しているからではないかと推測される。
また、前記リン含有難燃性フェノール樹脂が高難燃性であるのは、化合物(I)に由来する構造を有することによる。
Y1がアラルキル基である場合、アラルキル基が燃焼時に開裂してラジカル種を発生させ、これが燃焼反応時におけるラジカル連鎖反応で生じる別のラジカル種を捕捉して、燃焼反応を抑制することで、高難燃性を発現すると推測される。例えば、文献「特開2001−19835号公報」には、ポリエステル樹脂と共に加熱することにより、ラジカル種を発生させ、架橋によって耐熱性を向上させる化合物が開示されている。
一方、Y1がアリール基である場合、ベンゼン環骨格が単結合で隣接する基(HCA骨格)に結合しているため、HCAの場合よりも燃焼時の残渣生成量が増加し、燃焼時に必要な酸素を遮断することで、高難燃性を発現すると推測される。
Y1がアラルキル基である場合、アラルキル基が燃焼時に開裂してラジカル種を発生させ、これが燃焼反応時におけるラジカル連鎖反応で生じる別のラジカル種を捕捉して、燃焼反応を抑制することで、高難燃性を発現すると推測される。例えば、文献「特開2001−19835号公報」には、ポリエステル樹脂と共に加熱することにより、ラジカル種を発生させ、架橋によって耐熱性を向上させる化合物が開示されている。
一方、Y1がアリール基である場合、ベンゼン環骨格が単結合で隣接する基(HCA骨格)に結合しているため、HCAの場合よりも燃焼時の残渣生成量が増加し、燃焼時に必要な酸素を遮断することで、高難燃性を発現すると推測される。
化合物(I)は、より低吸水性及び高難燃性であることから、下記式(I)−101で表される有機リン化合物(8−ベンジル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、以下、「化合物(I)−101」と略記することがある)、又は下記式(I)−201で表される有機リン化合物(8−フェニル−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、以下、「化合物(I)−201」と略記することがある)であることが好ましい。化合物(I)−101がより難燃性に優れる理由は、燃焼時に生成する成分がリン(P)と共に酸素を遮断して、難燃性をより向上させるからであると推測される。
化合物(I)−101は、例えば、三光社製「Bz−HCA」等が、化合物(I)−201は、例えば、三光社製「Ph−HCA」等が、それぞれ市販品として容易に入手可能である。
化合物(I)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は任意に調節できる。
化合物(I)は、公知の方法で製造できる。例えば、使用する原料のY1の種類が異なる点以外は、市販品である化合物(I)−101又は化合物(I)−201と同様の方法で、化合物(I)−101及び化合物(I)−201以外の化合物(I)も製造できる。
本発明においては、有機リン化合物として化合物(I)を用いるが、化合物(I)においてY1が水素原子であり、ベンゼン環骨格中の7個の水素原子のいずれか1個以上がアラルキル基又はアリール基で置換された構造の有機リン化合物も、化合物(I)と同様の効果を奏すると推測される。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂は、前記レゾール型フェノール樹脂及び化合物(I)を反応させて得られるものである。
反応時の原料化合物の配合量は特に限定されないが、化合物(I)の配合量はレゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、2〜190質量部であることがより好ましく、3〜185質量部であることが特に好ましい。
また、レゾール型フェノール樹脂1分子中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基1モルに対して、化合物(I)は1モル反応させることが好ましい。
化合物(I)の配合量が少な過ぎる場合には、未反応で残存した、レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基が、縮合重合反応することで、低沸点物の生成や分子量の増大が起こり、例えば、リン含有難燃性フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として使用する場合に、取り扱い性が悪化して、さらに、得られる硬化物の物性にも影響を与える。一方、化合物(I)の配合量が多過ぎる場合には、未反応の化合物(I)が多く残留してしまうため、例えば、リン含有難燃性フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として使用する場合に、上記で説明したような反応性の有機リン化合物である化合物(I)とエポキシ樹脂とが反応することで、硬化物の架橋密度が低下してしまうことがある。
反応時の原料化合物の配合量は特に限定されないが、化合物(I)の配合量はレゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、2〜190質量部であることがより好ましく、3〜185質量部であることが特に好ましい。
また、レゾール型フェノール樹脂1分子中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基1モルに対して、化合物(I)は1モル反応させることが好ましい。
化合物(I)の配合量が少な過ぎる場合には、未反応で残存した、レゾール型フェノール樹脂中のメチロール基又はメチロール基がエーテル化された基が、縮合重合反応することで、低沸点物の生成や分子量の増大が起こり、例えば、リン含有難燃性フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として使用する場合に、取り扱い性が悪化して、さらに、得られる硬化物の物性にも影響を与える。一方、化合物(I)の配合量が多過ぎる場合には、未反応の化合物(I)が多く残留してしまうため、例えば、リン含有難燃性フェノール樹脂をエポキシ樹脂の硬化剤として使用する場合に、上記で説明したような反応性の有機リン化合物である化合物(I)とエポキシ樹脂とが反応することで、硬化物の架橋密度が低下してしまうことがある。
レゾール型フェノール樹脂及び化合物(I)の反応時の条件は、特に限定されないが、反応温度は130〜230℃であることが好ましく、150〜200℃であることがより好ましい。反応時間は、反応温度を考慮して適宜調節すればよいが、3〜20時間であることが好ましく、5〜12時間であることがより好ましい。
レゾール型フェノール樹脂及び化合物(I)の反応後は、得られた反応物をそのまま前記リン含有難燃性フェノール樹脂として用いてもよいし、得られた反応物に対して公知の後処理を行って、得られたものを前記リン含有難燃性フェノール樹脂として用いてもよい。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂のリン含有率は、1〜10質量%であることが好ましく、2〜9質量%であることがより好ましい。リン含有難燃性フェノール樹脂のリン含有率がこのような範囲であることで、難燃性と経済性に優れたリン含有難燃性フェノール樹脂をより容易に製造できる。
なお、本明細書において「リン含有難燃性フェノール樹脂のリン含有率」とは、リン含有難燃性フェノール樹脂の全質量に対する、リン含有難燃性フェノール樹脂中のリン(P)の質量の割合を意味し、例えば、後述する実施例で記載の方法により算出できる。
なお、本明細書において「リン含有難燃性フェノール樹脂のリン含有率」とは、リン含有難燃性フェノール樹脂の全質量に対する、リン含有難燃性フェノール樹脂中のリン(P)の質量の割合を意味し、例えば、後述する実施例で記載の方法により算出できる。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂は、後述するように、低吸水性及び高耐熱性を有する電気機器部品又は電子機器部品の製造に利用できる。また、前記リン含有難燃性フェノール樹脂は、その構造中に複数個の水酸基を有するため、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の種々の高分子化合物の中間体としても好適である。
<リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物>
本発明におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有するものであり、例えば、コンパウンド又はワニスとして使用される。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂を用いていることで低吸水性及び高難燃性を有する。
本発明におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂を含有するものであり、例えば、コンパウンド又はワニスとして使用される。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂を用いていることで低吸水性及び高難燃性を有する。
前記エポキシ樹脂は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂と共に、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の主たる構成成分となるものであり、硬化物、フィルム、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板等を形成するのに必要な成分である。
前記エポキシ樹脂としては、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル、オルトフェニルフェノールグリシジルエーテル等が例示できるが、これらに限定されない。
前記エポキシ樹脂としては、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル、オルトフェニルフェノールグリシジルエーテル等が例示できるが、これらに限定されない。
前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂は、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は任意に調節できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂以外の成分(以下、「その他の成分」と略記することがある)を含有していてもよい。
前記その他の成分で好ましいものとしては、硬化剤、硬化促進剤、フィラー、添加剤、溶媒が例示できる。
前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は任意に調節できる。
前記その他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は任意に調節できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、固形分の総含有量に対する前記リン含有難燃性フェノール樹脂の含有量の割合は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、固形分の総含有量に対する前記リン含有難燃性フェノール樹脂の含有量の割合の上限値は、100質量%でなければ特に限定されず、目的に応じて適宜調節すればよいが、80質量%であることが好ましく、60質量%であることがより好ましい。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の前記エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されない。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂の総含有量に対するエポキシ樹脂の含有量の割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。また、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂の総含有量に対するエポキシ樹脂の含有量の割合の上限値は、100質量%でなければ特に限定されないが、85質量%であることが好ましく、75質量%であることがより好ましい。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂の総含有量に対するエポキシ樹脂の含有量の割合は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。また、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、前記リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂の総含有量に対するエポキシ樹脂の含有量の割合の上限値は、100質量%でなければ特に限定されないが、85質量%であることが好ましく、75質量%であることがより好ましい。
前記その他の成分における硬化剤(エポキシ樹脂用硬化剤)は、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂と前記リン含有難燃性フェノール樹脂とを反応(硬化反応)させる際に、リン含有難燃性フェノール樹脂の使用割合が少ない場合には硬化反応が不十分になるため、このようなときに硬化反応の進度を調節するのに必要な成分である。
前記硬化剤はエポキシ樹脂を硬化することができるものであれば特に限定されず、アミン、酸無水物、ルイス酸型アミン錯体、オニウム塩、イミダゾール誘導体、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール類等が例示できる。
前記硬化剤はエポキシ樹脂を硬化することができるものであれば特に限定されず、アミン、酸無水物、ルイス酸型アミン錯体、オニウム塩、イミダゾール誘導体、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール類等が例示できる。
前記アミンとしては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン;脂肪族アミン;ジシアンジアミド;1,1,3,3−テトラメチルグアニジン;チオ尿素付加アミン;これら化合物(芳香族アミン〜チオ尿素付加アミン)の異性体及び変性体等が例示できる。
前記酸無水物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等が例示できる。
前記ルイス酸型アミン錯体としては、三フッ化ホウ素(BF3)−アミン錯体、塩化亜鉛(ZnCl2)−アミン錯体、塩化スズ(IV)(SuCl4)−アミン錯体、塩化鉄(III)(FeCl3)−アミン錯体、塩化アルミニウム(AlCl3)−アミン錯体等が例示できる。
前記オニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等が例示できる。
前記イミダゾール誘導体とは、イミダゾールの1個以上の水素原子がアルキル基等、水素原子以外の基で置換されたものを意味する。前記イミダゾール誘導体としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が例示できる。
前記ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等が例示できる。
前記フェノール類とは、フェノールの1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたものを意味する。前記フェノール類としては、クレゾール、ビスフェノールA等が例示できる。
例えば、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いてプリプレグを形成する場合には、前記リン含有難燃性フェノール樹脂と反応性が同等であるという点から、前記硬化剤は、ノボラック型フェノール樹脂又はフェノール類であることが好ましい。
前記硬化剤の含有量は、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物における、前記エポキシ樹脂のエポキシ当量に対する、前記硬化剤及びリン含有難燃性フェノール樹脂の活性水素当量の比が、0.3〜1.2となる量であることが好ましく、0.6〜1.0となる量であることがより好ましい。前記比が前記下限値以上であることで、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の硬化がより進行し、前記比が前記上限値以下であることで、硬化剤の過剰使用が抑制される。
前記その他の成分における硬化促進剤は、前記硬化剤とは別途に用いて、硬化反応を促進する成分である。
前記硬化促進剤としては、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤等が例示できる。
アミン系硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が例示できる。
リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が例示できる。
前記硬化促進剤としては、アミン系硬化促進剤、リン系硬化促進剤等が例示できる。
アミン系硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が例示できる。
リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が例示できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、固形分の総含有量に対する前記硬化促進剤の含有量の割合は、0.003〜3質量%であることが好ましく、0.005〜1質量%であることがより好ましい。
前記その他の成分におけるフィラーは、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のTg、難燃性、又は剛性等を向上させる成分である。
前記フィラーは無機フィラーであることが好ましく、無機フィラーとしては、シリカ粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物の粉末;タルク、クレー等の粘土鉱物の粉末等が例示できる。
前記フィラーは無機フィラーであることが好ましく、無機フィラーとしては、シリカ粉末;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水和物の粉末;タルク、クレー等の粘土鉱物の粉末等が例示できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物において、フィラーの含有量は、フィラー以外の成分の総含有量に対して0〜800質量%であることが好ましい。
前記その他の成分における添加剤としては、反応助剤、難燃剤、難燃助剤、レベリング剤、着色剤等が例示できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の前記添加剤の含有量は、添加剤の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の前記添加剤の含有量は、添加剤の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記その他の成分における溶媒は、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物をワニスとするのに必要な成分である。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;メタノール、エタノール等のアルコール;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル等が例示できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の前記溶媒の含有量は、目的とする粘度等を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;メタノール、エタノール等のアルコール;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル等が例示できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の前記溶媒の含有量は、目的とする粘度等を考慮して適宜調節すればよく、特に限定されない。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.3〜3質量%であることがより好ましい。リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、そのリン含有率が前記下限値以上であることで、難燃性がより向上する。また、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、そのリン含有率が前記上限値以下であることで、難燃性を損なうことなく、化合物(I)や前記リン含有難燃性フェノール樹脂の過剰使用が抑制され、経済性がより向上する。なお、本明細書において「リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率」とは、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の全質量に対する、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物中のリン(P)の質量の割合を意味し、例えば、後述する実施例で記載の方法により算出できる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、前記リン含有難燃性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及び必要に応じてその他の成分を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのままリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の後処理を行って得られたものをリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物としてもよい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、ボールミル、ビーズミル、ミキサー又はブレンダーを用いる方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。混合時には、各成分を均一に溶解又は分散させることが好ましい。
各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。
混合方法は特に限定されず、ボールミル、ビーズミル、ミキサー又はブレンダーを用いる方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。混合時には、各成分を均一に溶解又は分散させることが好ましい。
配合時の温度及び時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、温度は15〜30℃であることが好ましく、時間は0.5〜24時間であることが好ましい。
<硬化物>
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、これを硬化させて難燃性の硬化物として用いることができ、前記硬化物は、例えば、電気機器及び電子機器等の部材として有用であり、特に封止材等として好適である。
前記硬化物は、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を加熱することで得られる。より具体的には、例えば、カップ、キャビティ、パッケージ凹部等に、ディスペンサーを用いる方法やその他の方法によって液状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を注入し、加熱して硬化させてもよいし、固体状又は高粘度の液状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を加熱等によって流動させ、これを上記と同様にカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に注入して、さらに加熱して硬化させてもよい。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、これを硬化させて難燃性の硬化物として用いることができ、前記硬化物は、例えば、電気機器及び電子機器等の部材として有用であり、特に封止材等として好適である。
前記硬化物は、前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を加熱することで得られる。より具体的には、例えば、カップ、キャビティ、パッケージ凹部等に、ディスペンサーを用いる方法やその他の方法によって液状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を注入し、加熱して硬化させてもよいし、固体状又は高粘度の液状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を加熱等によって流動させ、これを上記と同様にカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に注入して、さらに加熱して硬化させてもよい。
<フィルム>
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、これを成形して難燃性のフィルムとして用いることができる。
前記フィルムは、例えば、上述のワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を支持体上に塗工し、乾燥させることにより得られる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の塗工は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で行うことができる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の乾燥は、例えば、加熱によって溶媒を除去することで行うことができ、加熱時には送風してもよく、熱風の吹き付け等によって乾燥させてもよい。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、これを成形して難燃性のフィルムとして用いることができる。
前記フィルムは、例えば、上述のワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を支持体上に塗工し、乾燥させることにより得られる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の塗工は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で行うことができる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の乾燥は、例えば、加熱によって溶媒を除去することで行うことができ、加熱時には送風してもよく、熱風の吹き付け等によって乾燥させてもよい。
前記支持体の材質は、特に限定されないが、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;紙;銅、アルミニウム等の金属等が例示できる。
前記支持体の塗工面は、マッド処理、コロナ処理、離型処理等の表面処理が施されていてもよい。
前記支持体の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmであることが好ましく、前記支持体はフィルム状であることが好ましい。このような支持体としては、例えば、金属からなるものであれば、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。
前記支持体の塗工面は、マッド処理、コロナ処理、離型処理等の表面処理が施されていてもよい。
前記支持体の厚さは、特に限定されないが、10〜150μmであることが好ましく、前記支持体はフィルム状であることが好ましい。このような支持体としては、例えば、金属からなるものであれば、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔が挙げられる。
<プリプレグ>
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、難燃性のプリプレグの製造に好適なものである。
プリプレグは、例えば、上述のワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を繊維質基材に含浸し、加熱することにより得られる。
前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、難燃性のプリプレグの製造に好適なものである。
プリプレグは、例えば、上述のワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を繊維質基材に含浸し、加熱することにより得られる。
前記繊維質基材は、特に限定されないが、ガラス等の無機質繊維の織布及び不織布、アラミドクロス、ポリエステルクロス、カーボンファイバー、並びに紙等が例示できる。
前記繊維質基材の厚さは、特に限定されないが、20〜200μmであることが好ましく、前記繊維質基材はシート状であることが好ましい。
前記繊維質基材の厚さは、特に限定されないが、20〜200μmであることが好ましく、前記繊維質基材はシート状であることが好ましい。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含浸は、例えば、浸漬法、塗布法等の公知の方法で行うことができる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含浸は、1回行うだけでもよいし、2回以上行ってもよく、2回以上行う場合、用いるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は回数ごとにすべて同じ種類でもよいし、すべて異なる種類でもよく、一部のみ異なる種類であってもよい。ここで、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の種類が異なるとは、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含有成分の種類及び濃度の少なくとも一方が互いに異なることを意味する。例えば、異なる種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて、含浸を複数回行うことで、得られるプリプレグの樹脂の組成及び量を調整することもできる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含浸は、1回行うだけでもよいし、2回以上行ってもよく、2回以上行う場合、用いるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は回数ごとにすべて同じ種類でもよいし、すべて異なる種類でもよく、一部のみ異なる種類であってもよい。ここで、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の種類が異なるとは、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含有成分の種類及び濃度の少なくとも一方が互いに異なることを意味する。例えば、異なる種類のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて、含浸を複数回行うことで、得られるプリプレグの樹脂の組成及び量を調整することもできる。
リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の含浸後の加熱では、溶媒を除去して乾燥させるとともに、樹脂成分を半硬化(Bステージ化)させる。このときの加熱は、例えば、100〜180℃で3〜15分間行うことが好ましい。
プリプレグは、樹脂の含有量が20〜90質量%であることが好ましい。ここで、「樹脂」とは、リン含有難燃性フェノール樹脂及びエポキシ樹脂、並びこれらの硬化物を含む、すべての樹脂成分を意味する。
<金属張積層板>
前記プリプレグは、金属張積層板の製造に好適なものである。
金属張積層板は、例えば、1枚のプリプレグ、若しくは複数枚のプリプレグをその主面同志を重ね合せて積層した積層体を用いて、以下の方法で得られる。すなわち、1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の上面及び下面のいずれか一方又は両方に、銅箔等の金属箔を重ね合せ、この重ね合せたものを加熱及び加圧して成形し、一体化させる。これにより、1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の一方の面(上面又は下面)に金属箔を備えた片面金属箔張積層板、又は1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の両方の面(上面及び下面)に金属箔を備えた両面金属箔張積層板が得られる。
前記プリプレグは、金属張積層板の製造に好適なものである。
金属張積層板は、例えば、1枚のプリプレグ、若しくは複数枚のプリプレグをその主面同志を重ね合せて積層した積層体を用いて、以下の方法で得られる。すなわち、1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の上面及び下面のいずれか一方又は両方に、銅箔等の金属箔を重ね合せ、この重ね合せたものを加熱及び加圧して成形し、一体化させる。これにより、1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の一方の面(上面又は下面)に金属箔を備えた片面金属箔張積層板、又は1枚のプリプレグ若しくは前記積層体の両方の面(上面及び下面)に金属箔を備えた両面金属箔張積層板が得られる。
成形条件は特に限定されず、目的とする金属張積層板の厚さやプリプレグ中の樹脂の種類等に応じて適宜設定すればよいが、加熱時の温度は50〜190℃であることが好ましく、加圧時の圧力は1〜5000kPaであることが好ましく、加熱及び加圧時間は5〜180分間であることが好ましい。
<プリント配線板>
前記金属張積層板は、プリント配線板の製造に好適なものである。
プリント配線板は、例えば、金属張積層板の表面の前記金属箔をエッチングして、回路パターンを形成することで得られる。また、プリント配線板は、前記金属張積層板から金属箔を除去したものの表面に、メッキ等によって導電体で直接回路パターンを形成することでも得られる。
前記金属張積層板は、プリント配線板の製造に好適なものである。
プリント配線板は、例えば、金属張積層板の表面の前記金属箔をエッチングして、回路パターンを形成することで得られる。また、プリント配線板は、前記金属張積層板から金属箔を除去したものの表面に、メッキ等によって導電体で直接回路パターンを形成することでも得られる。
前記硬化物、フィルム、プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板(以下、「硬化物等」と略記することがある)は、いずれも前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いていることで、ハロゲン系難燃剤を用いていなくても、高難燃性を有する。また、前記硬化物及びフィルム、並びに前記プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板の前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて形成した部位は、低吸水性及び高耐熱性を有し、ガラス転移温度(Tg)が高く、これら硬化物等は、高温に曝されるはんだ付け加工段階で、基板の膨れ、はんだ付け不良等の品質劣化が抑制されるものであり、良好な品質の電気機器部品又は電子機器部品を構成できる。
例えば、前記硬化物及びフィルム、並びに前記プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板の前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて形成した部位は、Tgを好ましくは140℃以上とすることが可能である。
例えば、前記硬化物及びフィルム、並びに前記プリプレグ、金属張積層板及びプリント配線板の前記リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いて形成した部位は、Tgを好ましくは140℃以上とすることが可能である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、化合物(I)−101(459.5g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)(491.5g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約143℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は7.7質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、化合物(I)−101(459.5g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)(491.5g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約143℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は7.7質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
リン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)は、下記構造のオリゴマーを含む、オリゴマーの混合物であると推測される。
<リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の製造>
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(176.6質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(88.4質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.05質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。なお、表2中、配合成分(質量部)の欄の「−」は、その成分が未配合であることを意味する。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(222.5質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(55.6質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように1.9%であった。リン含有率は、リン含有難燃性フェノール樹脂の場合と同じ方法により測定した。
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(C−1)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(176.6質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(88.4質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.05質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。なお、表2中、配合成分(質量部)の欄の「−」は、その成分が未配合であることを意味する。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(222.5質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(55.6質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように1.9%であった。リン含有率は、リン含有難燃性フェノール樹脂の場合と同じ方法により測定した。
<プリント配線板の製造>
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物中にガラスクロス(巨石集団社製 「7628布」)を浸漬して、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物をその含浸量がガラスクロスの全量に対して20〜90質量%となるように含浸させた後、160℃で6分間加熱し、溶媒を除去するとともに樹脂成分を半硬化させて、プリプレグを作製した。得られたプリプレグは、樹脂の含有量が64質量%であった。
次いで、得られたプリプレグを5枚重ね合わせ、この積層体の両面(上面及び下面)に、厚さ35μmの銅箔(江銅耶茲銅箔社製「電解銅箔」)を配置して被圧体とした。この被圧体を、温度170℃、圧力1961〜2941kPaの範囲内で条件を変化させながら、合計で30分間加熱及び加圧処理して、プリプレグに銅箔を接着させ、さらに、常圧、185℃の条件下で4時間加熱処理して、完全に硬化させることで、厚さ1.0mmの銅張積層板を得た。
次いで、この銅張積層板の銅箔をエッチングすることで回路パターンを形成し、プリント配線板を得た。
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物中にガラスクロス(巨石集団社製 「7628布」)を浸漬して、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物をその含浸量がガラスクロスの全量に対して20〜90質量%となるように含浸させた後、160℃で6分間加熱し、溶媒を除去するとともに樹脂成分を半硬化させて、プリプレグを作製した。得られたプリプレグは、樹脂の含有量が64質量%であった。
次いで、得られたプリプレグを5枚重ね合わせ、この積層体の両面(上面及び下面)に、厚さ35μmの銅箔(江銅耶茲銅箔社製「電解銅箔」)を配置して被圧体とした。この被圧体を、温度170℃、圧力1961〜2941kPaの範囲内で条件を変化させながら、合計で30分間加熱及び加圧処理して、プリプレグに銅箔を接着させ、さらに、常圧、185℃の条件下で4時間加熱処理して、完全に硬化させることで、厚さ1.0mmの銅張積層板を得た。
次いで、この銅張積層板の銅箔をエッチングすることで回路パターンを形成し、プリント配線板を得た。
<プリント配線板の評価>
上記で得られたプリント配線板について、ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、吸水性及び難燃性を下記方法で評価した。結果を表2に示す。
上記で得られたプリント配線板について、ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、吸水性及び難燃性を下記方法で評価した。結果を表2に示す。
(ガラス転移温度(Tg))
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、リガク社製「TMA 8310」を用いて、得られた積層板のTgを測定した。より具体的には、昇温速度5℃/分の条件で室温から300℃まで積層板を昇温した際の、変曲点を示す温度をTgとした。
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、リガク社製「TMA 8310」を用いて、得られた積層板のTgを測定した。より具体的には、昇温速度5℃/分の条件で室温から300℃まで積層板を昇温した際の、変曲点を示す温度をTgとした。
(はんだ耐熱性)
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ25mm、幅25mmの試験片(以下、「試験片(1)」と略記する)を切り出した。この試験片(1)に対して煮沸2時間の吸湿処理を行い、この吸湿処理後の試験片(1)を260℃のはんだ槽に20秒間浸漬して、このときの試験片(1)の外観の変化を観察し、はんだ耐熱性を評価した。
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ25mm、幅25mmの試験片(以下、「試験片(1)」と略記する)を切り出した。この試験片(1)に対して煮沸2時間の吸湿処理を行い、この吸湿処理後の試験片(1)を260℃のはんだ槽に20秒間浸漬して、このときの試験片(1)の外観の変化を観察し、はんだ耐熱性を評価した。
(吸水性(吸水率))
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ30mm、幅30mmの試験片(以下、「試験片(2)」と略記する)を切り出した。この試験片(2)をオートクレーブ中で、121℃、203kPaの条件下で2時間吸水処理した後、試験片(2)表面に付着した水分を拭き取り、吸水処理後の試験片(2)の質量を測定した。そして、吸水処理による試験片(2)の質量増加分の百分率({[吸水処理後の試験片(2)の質量]−[吸水処理前の試験片(2)の質量]}/[吸水処理前の試験片(2)の質量]×100)を算出し、これを吸水率として、吸水性を評価した。
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ30mm、幅30mmの試験片(以下、「試験片(2)」と略記する)を切り出した。この試験片(2)をオートクレーブ中で、121℃、203kPaの条件下で2時間吸水処理した後、試験片(2)表面に付着した水分を拭き取り、吸水処理後の試験片(2)の質量を測定した。そして、吸水処理による試験片(2)の質量増加分の百分率({[吸水処理後の試験片(2)の質量]−[吸水処理前の試験片(2)の質量]}/[吸水処理前の試験片(2)の質量]×100)を算出し、これを吸水率として、吸水性を評価した。
(難燃性)
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ127mm、幅12.7mmの試験片(以下、「試験片(3)」と略記する)を切り出した。この試験片(3)について、Underwriters Laboratoriesの「Test for Flammability of PlasticMaterials UL 94」の燃焼試験法に従って燃焼試験を行い、難燃性を判定した。
銅張積層板の表面の銅箔を除去した後、長さ127mm、幅12.7mmの試験片(以下、「試験片(3)」と略記する)を切り出した。この試験片(3)について、Underwriters Laboratoriesの「Test for Flammability of PlasticMaterials UL 94」の燃焼試験法に従って燃焼試験を行い、難燃性を判定した。
[実施例2]
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、化合物(I)−201(438.5g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)(470.5g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約147℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は8.0質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、化合物(I)−201(438.5g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)(470.5g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約147℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は8.0質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
リン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)は、下記構造のオリゴマーを含む、オリゴマーの混合物であると推測される。
<リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の製造>
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(178.3質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(86.7質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.11質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(227.2質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(56.8質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。実施例1の場合と同じ方法で測定したワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように2.0%であった。
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(C−2)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(178.3質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(86.7質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.11質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(227.2質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(56.8質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。実施例1の場合と同じ方法で測定したワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように2.0%であった。
<プリント配線板の製造及び評価>
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、プリント配線板を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、得られたプリプレグは、樹脂の含有量が65質量%であった。
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、プリント配線板を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、得られたプリプレグは、樹脂の含有量が65質量%であった。
[比較例1]
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、HCA(324.3g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)(356.3g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約130℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は9.9質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
<リン含有難燃性フェノール樹脂の製造>
1000mLの4口フラスコに、HCA(324.3g、1.50モル)、レゾール型ビスフェノールA樹脂(Allnex社製「PR411/75B」、ブチルエーテル化ビスフェノールA及びホルムアルデヒドの縮合物、75%ブタノール溶液)(339.0g)を加えて撹拌しながら加熱し、これらを溶解させた。温度を上昇させながらブタノールを回収していき、160℃で7時間保持し、反応混合物から揮発分が留出されなくなるまで反応を行った。反応終了後、金属製のバットに反応物を排出して冷却し、ガラス状のリン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)(356.3g)を得た。
得られたリン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)は、表1に示すように、DSCによって測定されたTgは約130℃であり、熱重量測定によって求められた固形分濃度は89質量%であり、リン含有率は9.9質量%(固形分換算)であった。リン含有率はJIS K 0102 46.3.1及びJIS K 0102 46.1.1に準拠して測定した。
リン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)は、下記構造のオリゴマーを含む、オリゴマーの混合物であると推測される。
<リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の製造>
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(179.6質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(85.4質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.27質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(239.6質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(59.9質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。実施例1の場合と同じ方法で測定したワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように2.5%であった。
表2に示すように、リン含有難燃性フェノール樹脂(CR−1)(100質量部)に、フェノールノボラックエポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「YDPN−638」、エポキシ当量177g/eq)(179.6質量部)、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂(DIC社製「PHENOLITE TD−2090」、水酸基当量105g/eq、Tg117〜123℃)(85.4質量部)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(和光純薬工業社製)(0.27質量部)、並びにフィラーとして酸化ケイ素(広東中山市駿展光電材料社製)(90.6質量部)及び水酸化アルミニウム(済南金盈泰化工社製)(113.1質量部)を加えて、25℃で60分間均一に混合することで、樹脂組成物(リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物)を得た。
さらに、この樹脂組成物の全量に、メチルエチルケトン(239.6質量部)及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(59.9質量部)を加えて、25℃で60分間、ミキサーで混合することにより、ワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を得た。実施例1の場合と同じ方法で測定したワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、表2に示すように2.5%であった。
<プリント配線板の製造及び評価>
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、プリント配線板を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、得られたプリプレグは、樹脂の含有量が64質量%であった。
上記で得られたワニス状のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物を用いた点以外は、実施例1と同じ方法で、プリント配線板を製造及び評価した。結果を表2に示す。なお、得られたプリプレグは、樹脂の含有量が64質量%であった。
上記結果から明らかなように、実施例1〜2のプリント配線板は、いずれもTgが高く(155℃以上)、高耐熱性であり(はんだ耐熱性20秒間変化なし)、ハロゲン系難燃剤を用いなくても難燃性が高く、さらに低吸水性(吸水率1.5%以下)であった。このように、実施例1〜2のプリント配線板は、例えば、高温に曝されるはんだ付け加工段階での不良発生の抑制効果に優れるものであった。
これに対して、比較例1のプリント配線板は、低耐熱性、高吸水性であった。
これに対して、比較例1のプリント配線板は、低耐熱性、高吸水性であった。
通常、リン含有難燃性フェノール樹脂のリン含有率、換言するとリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、リン含有難燃性エポキシ樹脂組成物の難燃性に大きな影響を与える。実施例1におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物では、比較例1におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物と、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合量が同等となるように調節しており、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合後のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、実施例1では比較例1よりも少なくなっているが、実施例1のプリント配線板は、比較例1のプリント配線板と同様に、UL 94試験においてV−0の規定を満たしていた。このように、化合物(I)−101は、難燃性の付与効果に優れていた。これは、燃焼時において、化合物(I)−101中のベンジル基(アラルキル基)から生成するラジカル種が、燃焼反応の抑制効果を有するからであると推測される。
同様に、実施例2におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物では、比較例1におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物と、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合量が同等となるように調節しており、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合後のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、実施例2では比較例1よりも少なくなっているが、実施例2のプリント配線板は、比較例1のプリント配線板と同様に、UL 94試験においてV−0の規定を満たしていた。このように、化合物(I)−201は、化合物(I)−101と同様に、難燃性の付与効果に優れていた。これは、燃焼時において、化合物(I)−201中のフェニル基(アリール基)に由来する残渣生成物が、燃焼時に必要な酸素を遮断することで、燃焼反応の抑制効果を有するからであると推測される。
同様に、実施例2におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物では、比較例1におけるリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物と、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合量が同等となるように調節しており、リン含有難燃性フェノール樹脂の配合後のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物のリン含有率は、実施例2では比較例1よりも少なくなっているが、実施例2のプリント配線板は、比較例1のプリント配線板と同様に、UL 94試験においてV−0の規定を満たしていた。このように、化合物(I)−201は、化合物(I)−101と同様に、難燃性の付与効果に優れていた。これは、燃焼時において、化合物(I)−201中のフェニル基(アリール基)に由来する残渣生成物が、燃焼時に必要な酸素を遮断することで、燃焼反応の抑制効果を有するからであると推測される。
このように、本発明に係るリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物は、リン含有率が低くても難燃性に優れるため、低吸水性、高耐熱性及び難燃性に加え、経済性の点でも、従来のリン含有難燃性エポキシ樹脂組成物よりも優れるものである。
本発明は、電気機器部品又は電子機器部品の製造に利用可能である。
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WO2021068304A1 (zh) * | 2019-10-10 | 2021-04-15 | 苏州巨峰电气绝缘系统股份有限公司 | 一种含磷活性酯化合物及其制备方法 |
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JP2002080565A (ja) * | 2000-09-08 | 2002-03-19 | Mitsui Chemicals Inc | 高耐熱難燃性樹脂組成物及びその加工部品 |
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