JP2015218359A - 表面硬化処理部品、表面硬化処理部品用鋼及び表面硬化処理部品の製造方法 - Google Patents
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[2]表面の残留オーステナイト量は、体積分率で10〜50%である、[1]に記載の表面硬化処理部品。
[3]表面の旧オーステナイト粒径は、平均30μm以下である、[1]又は[2]に記載の表面硬化処理部品。
[4]前記母材部は、質量%で、P:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.015%以下に制限する、[1]〜[3]の何れか1つに記載の表面硬化処理部品。
[5][1]〜[3]の何れか1つに記載の表面硬化処理部品の素材として用いられる鋼材であって、質量%で、C:0.05〜0.30%、Si:0.01〜0.70%、Mn:0.10〜1.50%、Cr:0.50〜1.50%、Al:0.01〜0.20%を含有し、残部が、鉄及び不純物からなる、表面硬化処理部品用鋼。
[6]質量%で、P:0.03%以下、S:0.03%以下、N:0.015%以下に制限した、[5]に記載の表面硬化処理部品用鋼。
[7][1]〜[4]の何れか1つに記載の表面硬化処理部品の製造方法であって、[5]又は[6]に記載の表面硬化処理部品用鋼を成形し、900℃以上の温度で浸炭処理を施し、400〜600℃の温度域で窒化処理を行い、最高到達温度での保持時間を5秒以下とする高周波焼入れ処理を行う、表面硬化処理部品の製造方法。
以下では、まず、本発明の実施形態に係る表面硬化処理部品用鋼及び表面硬化処理部品について説明する。
まず、本発明の実施形態に係る表面硬化処理部品用鋼の化学成分について説明する。なお、表面硬化処理部品の表層以外の母材部の化学成分も同様である。
Cは、焼入れ性を確保し、必要な強度を得るために有用な元素であり、高周波焼入れ時の硬化能を向上させるために必要な元素である。本実施形態では、表面硬化処理部品の疲労強度向上に求められる表層の炭素量を、浸炭処理によって増加させることを前提としているが、表面硬化処理部品の表層以外の母材部(表面硬化処理の影響を受けない部分)に要求される強度を確保するため、C量を0.05%以上とする。C量は、好ましくは0.10%以上である。一方、C量が0.30%を超えると、部品形状に成形加工する際の鍛造性や切削性が低下し、高周波焼入れによる焼割れが発生する可能性が高くなるため、C量の上限を0.30%とする。C量は、好ましくは0.25%以下であり、より好ましくは0.20%以下である。
Siは、脱酸元素であり、また、表面硬化処理部品の表層の軟化抵抗を増大させ、面疲労強度の向上に寄与するため、Si量を0.01%以上とする。Si量は、好ましくは0.05%以上である。一方、Si量が過剰であると、窒化処理によって形成されたSiの窒化物が高周波焼入れ後にも残存し、表面硬化処理部品の表面の固溶窒素濃度が低下し、耐食性を損なうため、上限を0.7%とする。Si量の上限は、0.7%未満が好ましく、より好ましくは0.5%以下であり、更に好ましくは0.25%以下である。
Mnは、焼入れ性を高める元素であり、本実施形態では、表面硬化処理部品の表層の組織をマルテンサイトにして面疲労強度を高めるため、Mn量を0.10%以上とする。Mn量は、好ましくは0.50%以上である。一方、Mn量が1.50%超過となると、鋼材や表面硬化処理部品の硬さが高くなり、成形加工性や切削加工性が劣化するため、上限を1.50%とする。Mn量は、好ましくは1.20%以下であり、より好ましくは1.00%以下である。
Crは、Nと親和性があり、焼入れ性を高める元素でもある。Crの添加により、窒化処理によって部品の表層に侵入する窒素濃度を高め、また、軟化抵抗を向上させ、面疲労強度を向上させることができる。特に、表面硬化処理部品の表面の固溶窒素濃度を高めて耐食性を向上させるために、本実施形態では、Cr量の下限を0.50%とする。Cr量は、好ましくは0.60%以上であり、より好ましくは0.70%以上である。一方、Cr量が1.5%超過となると、鋼材や表面硬化処理部品の硬さが高くなり、成形加工性や切削加工性が劣化するため、上限を1.50%とする。Cr量は、好ましくは1.20%以下であり、より好ましくは1.00%以下である。
Alは、脱酸元素であり、被削性の向上にも寄与する。かかる効果を得るには、Al量を0.01%以上とする必要がある。Al量は、好ましくは0.02%以上である。一方、Al量が0.20%超過となると、窒化処理によって形成されたAlの窒化物が高周波焼入れ後にも残存し、表面硬化処理部品の表面の固溶窒素濃度が低下し、耐食性を損なうため、上限を0.20%とする。Al量は、好ましくは0.10%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。
Pは、不純物であり、表面硬化処理部品の衝撃値を低下させるため、P量を0.03%以下に制限することが好ましい。なお、製造コストの観点から、P量の下限を、0.001%とすることが好ましい。
Sは、過剰に含有すると、鍛造性が劣化するため、S量を0.03%以下に制限することが好ましい。なお、Sは、被削性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。
Nは、過剰に含有すると、熱間加工性を損ない、熱間圧延や熱間鍛造時に割れを発生させることがあるため、N量を0.015%以下に制限することが好ましい。なお、鋼材に含まれるNは、表面硬化処理部品の表層以外の母材部の組織の微細化に有効であり、0.003%以上を含有させてもよい。
次に、表面硬化処理部品の各種濃度、すなわち、表面の窒素濃度、炭素濃度、表層の炭素濃度(表面硬化処理の表面から0.3mmの位置での炭素濃度)について説明する。なお、表面の窒素濃度、炭素濃度、表層の炭素濃度の単位は、質量%である。
本実施形態に係る表面硬化処理部品の表面は、体積率50%以上のマルテンサイトと残留オーステナイトとを含む組織となる。焼入層よりも深い部位、即ち、表面硬化処理の影響を受けない母材部は、フェライト−パーライト組織のままである。即ち、本実施形態に係る表面硬化処理部品では、マルテンサイト変態するのは焼入層のみであるため、表層に圧縮残留応力が付与され、面疲労強度を向上させることができる。
次に、本発明の表面硬化処理用鋼及び表面硬化処理部品の製造方法について説明する。
本実施形態に係る表面硬化処理用鋼は、上記のような成分を有する鋼を溶製後、鋳造、必要に応じて分塊工程を施して製造される鋼片、更に鋼片に熱間圧延を施して製造される棒鋼、線材や鋼板などの鋼材である。鋼片に熱間鍛造を施して製造される鋼材も含まれる。鋼の溶製は、転炉、電気炉等の通常の方法によって行えばよい。分塊圧延工程の前に均熱拡散処理を施してもよい。熱間圧延、熱間鍛造については、特に、条件は限定されない。熱間圧延、熱間鍛造の後、焼準処理を施してもよい。
2 基準材のアノード分極曲線
Claims (7)
- 質量%で、
C :0.05〜0.30%、
Si:0.01〜0.70%、
Mn:0.10〜1.50%、
Cr:0.50〜1.50%、
Al:0.01〜0.20%
を含有し、残部が、鉄及び不純物からなる母材部と、
前記母材部上に位置する表面硬化処理層と、
を有し、
前記表面硬化処理層は、
表面の窒素濃度が、0.4〜2.0%であり、
表面の炭素濃度と窒素濃度との合計が、1.0〜2.5%であり、
表面から深さ方向で0.3mmの位置の炭素濃度が、0.5〜1.1%である、表面硬化処理部品。 - 表面の残留オーステナイト量は、体積分率で10〜50%である、請求項1に記載の表面硬化処理部品。
- 表面の旧オーステナイト粒径は、平均30μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の表面硬化処理部品。
- 前記母材部は、質量%で、
P:0.03%以下、
S:0.03%以下、
N:0.015%以下
に制限する、請求項1〜3の何れか1項に記載の表面硬化処理部品。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の表面硬化処理部品の素材として用いられる鋼材であって、
質量%で、
C :0.05〜0.30%、
Si:0.01〜0.70%、
Mn:0.10〜1.50%、
Cr:0.50〜1.50%、
Al:0.01〜0.20%
を含有し、残部が、鉄及び不純物からなる、表面硬化処理部品用鋼。 - 質量%で、
P:0.03%以下、
S:0.03%以下、
N:0.015%以下
に制限した、請求項5に記載の表面硬化処理部品用鋼。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載の表面硬化処理部品の製造方法であって、
請求項5又は6に記載の表面硬化処理部品用鋼を成形し、
900℃以上の温度で浸炭処理を施し、
400〜600℃の温度域で窒化処理を行い、
最高到達温度での保持時間を5秒以下とする高周波焼入れ処理を行う、表面硬化処理部品の製造方法。
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