JP2015218271A - 改質石炭の製造方法及び改質石炭 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、低品位炭を原料とする改質石炭の製造方法であって、溶媒油と上記低品位炭との混合によりスラリーを得る工程、上記スラリーの加熱脱水により脱水スラリーを得る工程、上記脱水スラリーからの上記溶媒油の分離によりケーキを得る工程、上記ケーキの加熱により脱水石炭を得る工程、上記低品位炭を粉砕した粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合する工程、及び上記混合石炭を塊成する工程を備え、上記混合工程において、上記混合石炭の含有する水分の標準偏差値(質量%)を上記水分の平均値(質量%)で除した評価値Dによって混合状態を確認することを特徴とする。上記混合工程において、含水率が5質量%以上20質量%以下となるように上記粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合するとよい。
【選択図】図1
Description
D≦0.09 ・・・(1)
第一実施形態に係る改質石炭の製造方法は、低品位炭を原料とし、溶媒油と上記低品位炭との混合によりスラリーを得る工程(スラリー生成工程)、上記スラリーの加熱脱水により脱水スラリーを得る工程(スラリー脱水工程)、上記脱水スラリーからの上記溶媒油の分離によりケーキを得る工程(ケーキ生成工程)、上記ケーキの加熱により脱水石炭を得る工程(脱水工程)、上記低品位炭を粉砕した粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合する工程(混合工程)、及び上記混合石炭を塊成する工程(塊成工程)を主に備える。
まず原料石炭粉砕部1において、原料石炭(低品位炭)を粉砕し粉砕石炭を得る。上記原料石炭粉砕部1は、原料石炭を粉砕する粉砕機を備える。ここで、原料の低品位炭は、無水無灰炭基準の炭素含有量が75質量%以下で、20質量%以上の水分を含有するものをいう。この低品位炭としては、例えばビクトリア炭、ノースダコタ炭、ベルガ炭等の褐炭;西バンコ炭、ビヌンガン炭、サラマンガウ炭等の亜瀝青炭などが挙げられる。また、粉砕前の低品位炭の最大粒子径の上限は特に限定されないが、粉砕機への投入容易性の観点から例えば50mmである。
次にスラリー生成部2において、脱水のための熱媒体となる溶媒油と上記粉砕された低品位炭とを混合してスラリー(粉砕された低品位炭と溶媒油との流動性のある混合体)を得る。上記スラリー生成部2は低品位炭と溶媒油とを混合するための混合槽、この混合槽に取り付けられた攪拌機等を備える。溶媒油と低品位炭との混合比としては、乾燥無水炭基準の質量比で例えば1.7程度とすることができる。上記溶媒油としては、例えば灯油、軽油、重油等が挙げられ、これらの混合油を用いてもよい。
次にスラリー脱水部3において、上記スラリーを加熱脱水し、脱水スラリーを得る。上記スラリー脱水部3は上記スラリー生成部2で得られたスラリーを予熱するための予熱機、予熱されたスラリーを昇温させるための蒸発器等を備える。スラリー脱水部3による脱水方法としては、不活性雰囲気中で加熱処理する気流乾燥法等を用いることが可能であるが、水分除去率が高いという観点から油中脱水法が好適に用いられる。また、油中脱水法を用いることで、気流乾燥法に比べて脱水に必要なエネルギーを大幅に低減することができる。
次にケーキ生成部4において、上記脱水スラリーから溶媒油を分離して泥状のケーキを得る。上記ケーキ生成部4は固液分離機を備える。この固液分離機としては、例えば遠心分離法により脱水スラリーをケーキと溶媒油とに分離する遠心分離機を用いることができる。上記脱水スラリーから分離回収された溶媒油は、循環油としてスラリー生成部2に戻される。スラリー生成部2に戻された溶媒油は、スラリー生成部2でのスラリーの調整に再利用される。
次に脱水部5において、上記ケーキを加熱乾燥することで粉末状の改質石炭(脱水石炭)を得る。上記脱水部5は、乾燥機、ガス冷却器等を備える。上記乾燥機としては、例えばドラム内面に複数の加熱用スチームチューブが軸方向に配設されたスチームチューブ式ドライヤを挙げることができる。上記乾燥機内でケーキを加熱することにより、このケーキ中の溶媒油が蒸発する。蒸発した溶媒油は、キャリアガスにより上記乾燥機から上記ガス冷却器へ移送される。ガス冷却器へ移送された溶媒油は、ガス冷却器内で凝縮、回収され、循環油としてスラリー生成部2に戻される。このとき、低品位炭中の溶媒油の含有量の上限としては、3質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。上記低品位炭中の溶媒油の含有量が上記上限を超える場合、溶媒油の回収量が減少するため、製造コストが上がるおそれがある。
次に混合部6において、原料石炭粉砕部1で粉砕された未乾燥の原料石炭(粉砕石炭)の一部を上記脱水石炭に混合することにより石炭に水添加を行い、石炭の含水率を調整する。上記混合に用いる装置としては、特に限定されず、例えば水平軸回転型ミキサー等を採用することができる。この水添加により、後述する酸化工程における発火危険性の低減効果と酸化の促進効果とが得られる。具体的には、脱水石炭を空気酸化する場合、石炭が発火する危険性が高いが、水添加によりこの危険性を大きく低減できる。また、石炭の酸化効率は共存する水分によって大きく高まることが知られており、この水添加によって酸化工程での酸化効率を大きく高めることができる。この二つの効果は一見相反する現象のようであるが、水添加により石炭を発火させずに酸化促進できることが多くの実験によって確認されている。
D≦0.09・・・(1)
次に塊成部7において、後述するエイジングを容易にするため、上記混合石炭を塊成する。この塊成に用いる装置及びその塊成石炭の形状としては、特に限定されず、例えばダブルロール成形機等を用いた圧縮成形によるブリケット、パン型造粒機等を用いた転動造粒によるペレット、押出成形機を用いた押出成形によるスティック等を採用することができる。特に、取扱い性の観点から豆炭状のブリケットに塊成することが好ましい。
次にエイジング部8において、上記塊成石炭を空気中に保持し、酸素と反応させて緩慢に酸化することでエイジングを行う。この酸化工程の目的は、改質石炭の活性点を酸化し、不活性な二酸化炭素(CO2)に変化させるか、あるいは酸化され難い安定な有機酸化物に変えて、改質石炭の酸化活性点を減少させることである。
当該改質石炭の製造方法は、低品位炭を粉砕した粉砕石炭を脱水石炭へ混合する工程を備えるので改質石炭の含水率を調整でき、改質石炭の自然発火性が低減できる。また、この混合工程は、含水率の調整を粉砕石炭によって行っているので、乾燥が必要な処理石炭量が低減され、乾燥に必要なエネルギーが低減できる。さらに、当該改質石炭の製造方法は、混合工程において混合石炭の含有する水分の標準偏差値(質量%)を水分の平均値(質量%)で除した評価値Dによって混合状態を確認するので、混合石炭が搬送機器の排出部に詰まり難く、混合石炭の搬送機器からの排出速度を高められる。このため、当該改質石炭の製造方法は、製造効率に優れる。
当該改質石炭の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態において、酸化工程後に酸化石炭を粉砕する工程を行ってもよい。
含水率60%のインドネシア産褐炭を直径1mm以上の粒子が10%程度になるよう粉砕し、この粉砕褐炭と灯油との比が2.5:3となるように灯油を混合してスラリー化した。このスラリーを圧力0.3MPa、温度147℃で加熱し、脱水した。その後、脱水したスラリーを遠心分離によって、灯油と固形分(灯油を含んだ石炭)とに分離した。さらにこの固形分を窒素中200℃で加熱し灯油を蒸発させ、油中脱水石炭を得た。得た油中脱水石炭に、上記粉砕褐炭(未乾燥の粉砕石炭)を油中脱水石炭に対して15質量%混合し、含水率10質量%の混合石炭を得た。この混合石炭をミキサーA(リボン型ミキサー)を用いて、混合石炭の混合状態を示す評価値Dが上記式(1)を満たす0.085となるまで撹拌した。この撹拌時のかき回数を表1に示す。次に混合石炭をスクリューフィーダーに投入した。このスクリューフィーダーから混合石炭を排出した。
混合石炭を評価値Dが0.049となるまで撹拌した以外は実施例1と同様にしてスクリューフィーダーから混合石炭を排出した。
混合石炭を撹拌するミキサーB(パドル型ミキサー)とし、評価値Dが表1に示す値となるまで撹拌した以外は実施例1及び実施例2と同様にしてスクリューフィーダーから混合石炭を排出した。
混合石炭を撹拌しなかった以外は実施例1と同様にしてスクリューフィーダーから混合石炭を排出した。なお、比較例1において混合石炭の評価値Dは0.113であった。
上記実施例1〜4及び比較例1について、スクリューフィーダーからの混合石炭の排出速度を評価した。
スクリューフィーダーからの混合石炭の排出速度は、排出される混合石炭量を経時的に計量し、1秒間にスクリューフィーダーから排出される質量を算出した。この結果を表1に示す。
2 スラリー生成部
3 スラリー脱水部
4 ケーキ生成部
5 脱水部
6 混合部
7 塊成部
8 エイジング部
Claims (4)
- 低品位炭を原料とする改質石炭の製造方法であって、
溶媒油と上記低品位炭との混合によりスラリーを得る工程、
上記スラリーの加熱脱水により脱水スラリーを得る工程、
上記脱水スラリーからの上記溶媒油の分離によりケーキを得る工程、
上記ケーキの加熱により脱水石炭を得る工程、
上記低品位炭を粉砕した粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合する工程、及び
上記混合石炭を塊成する工程
を備え、
上記混合工程において、上記混合石炭の含有する水分の標準偏差値(質量%)を上記水分の平均値(質量%)で除した評価値Dによって混合状態を確認することを特徴とする改質石炭の製造方法。 - 上記混合工程において、下記式(1)を満たすように上記粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合する請求項1に記載の改質石炭の製造方法。
D≦0.09 ・・・(1) - 上記混合工程において、含水率が5質量%以上20質量%以下となるように上記粉砕石炭を上記脱水石炭へ混合する請求項1又は請求項2に記載の改質石炭の製造方法。
- 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の改質石炭の製造方法により製造された改質石炭。
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