JP2015218199A - 電着塗料組成物、電着塗装方法およびフッ素含有塗膜 - Google Patents

電着塗料組成物、電着塗装方法およびフッ素含有塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 密着性と強度の両特性に優れた塗膜を形成することができる電着塗料組成物、電着塗装方法およびフッ素含有塗膜を提供する。【解決手段】 本発明は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合して得られる第1樹脂成分、光重合性を有する第1モノマー成分および第1水性溶媒を含み、第1樹脂成分および第1モノマー成分が、第1水性媒体に分散された第1塗料組成物と、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合して得られる第2樹脂成分、光重合性を有する第2モノマー成分および第2水性溶媒を含み、第2樹脂成分および第2モノマー成分が、第2水性媒体に分散された第2塗料組成物と、を混合してなる。【選択図】 図1

Description

本発明は、被塗物の表面に傾斜塗膜を形成することができる電着塗料組成物、電着塗装方法およびフッ素含有塗膜に関する。
家電機器、音響機器、電子機器、通信機器、精密機器、光学機器、輸送機器、レジャー・スポーツ用品、装飾品、家具、建材などの広範な工業製品において、部品の保護、装飾などを目的として部品表面に保護用塗膜が形成される。被塗物が金属材料などの導電性を有する材料である場合には、電着塗装により保護用塗膜を形成することが好ましい。
電着塗装によれば、電荷を付与した塗膜形成成分を含む浴中に、保護用塗膜を形成しようとする被塗物を浸漬させ、浴内において通電し、被塗物の表面に塗膜成形成分を析出さ、焼付け処理を施して保護用塗膜を形成する。このとき、塗膜形成成分に顔料などの着色剤を含有させておけば、被塗物の多色化も容易である。
電着塗装で保護用塗膜を形成することによって、被塗物の耐久性、表面平滑性、質感などが向上し、被塗物の商品価値を大幅に増加させる。また、被塗物の表面形状に左右されず均一な膜厚で塗装でき、通電電圧や通電時間を調整することにより定量的に膜厚を管理でき、塗料損失が少なく、限外ろ過により塗料を容易に回収ができる。したがって、電着塗装は、保護膜の形成において重要な塗装技術の1つに数えられる。
電着塗装の塗膜形成成分には、表面硬度、機械的強度などを考慮して熱硬化性樹脂が用いられるけれども、熱硬化性樹脂は100℃以上の非常に高い温度で硬化させるのが一般的である。このような高温での硬化は、工程管理を複雑化し、作業者の安全性の面からも対策を講じる必要がある。このため、電荷を付与した光硬化性塗膜形成成分を用い、加熱ではなくて紫外線などの光照射によって塗膜を硬化させる光硬化電着塗装法が開発されている。
特許文献1記載の電着塗料組成物は、(メタ)アクリロイル基を含有しかつ重量平均分子量2000〜30000である紫外線硬化性(メタ)アクリル樹脂30〜90重量%と、1分子中に2またはそれ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する2官能または多官能(メタ)アクリレート10〜70重量%とを塗膜形成成分として含有することを特徴としている。このような電着塗料組成物を用いれば、紫外線による塗膜硬化を利用する電着塗装によって、金属めっき面との密着性を損なうことなく、脆さが増加することなく、耐摩耗性に優れ、硬度が高くかつ表面の艶が良好であり、しかも多彩な色の電着塗装塗膜を形成できる。
特開2010−47692号公報
光硬化電着塗装法において種々の改良が要求され、電着塗装によって形成される保護用塗膜に対して、被塗物との密着性、耐傷性、耐侯性および耐食性のさらなる向上が望まれている。
本発明の目的は、密着性と強度の両特性に優れた塗膜を形成することができる電着塗料組成物、電着塗装方法およびフッ素含有塗膜を提供することである。
本発明は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合して得られる第1樹脂成分、光重合性を有する第1モノマー成分および第1水性溶媒を含み、前記第1樹脂成分および前記第1モノマー成分が、前記第1水性媒体に分散された第1塗料組成物と、
(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合して得られる第2樹脂成分、光重合性を有する第2モノマー成分および第2水性溶媒を含み、前記第2樹脂成分および前記第2モノマー成分が、前記第2水性媒体に分散された第2塗料組成物と、を混合してなることを特徴とする電着塗料組成物である。
また本発明は、前記第1樹脂成分の、前記第1塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であり、前記第2樹脂成分の、前記第2塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であることを特徴とする。
また本発明は、前記第1塗料組成物の含有量をW1とし、前記第2塗料組成物の含有量をW2としたとき、前記第1塗料組成物と前記第2塗料組成物との混合比であるW1/W2は、0.25〜4であることを特徴とする。
また本発明は、前記フッ素を含有するビニルエステル化合物は、2−(パーフロロオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロオクチル)エチルメタクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルメタクリレート、トリフロロメチルアクリレートおよびトリフロロメチルメタクリレートを含む群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分は、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびジペンタエリスリトールアクリレートのヘキサメチレンジイソシアネート付加物を含む群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
また本発明は、前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分の重合開始を促進する重合開始剤または紫外線を吸収する紫外線吸収剤の少なくともいずれかをさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、上記の電着塗料組成物を用いて電着塗装を行い、被塗物の表面に塗膜を形成する電着塗装工程と、
被塗物の表面に形成された塗膜に光を照射して塗膜を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする電着塗装方法である。
また本発明は、前記被塗物は、金属材料、半導体材料、導電性セラミックス材料および表面に金属めっきが施された樹脂材料のいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、上記の電着塗料組成物を用いた電着塗装によって形成されるフッ素含有塗膜であって、
被塗物表面から塗膜表面に向かってフッ素濃度が高くなる濃度傾斜性を有することを特徴とするフッ素含有塗膜である。
本発明によれば、第1塗料組成物と第2塗料組成物とを混合してなる電着塗料組成物であり、第1塗料組成物は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合して得られる第1樹脂成分、光重合性を有する第1モノマー成分および第1水性溶媒を含み、前記第1樹脂成分および前記第1モノマー成分が、前記第1水性媒体に分散され、第2塗料組成物は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合して得られる第2樹脂成分、光重合性を有する第2モノマー成分および第2水性溶媒を含み、前記第2樹脂成分および前記第2モノマー成分が、前記第2水性媒体に分散されたものである。
このような組成とすることにより、電着塗装後に得られる塗膜において、フッ素の濃度が膜厚方向に変化する、いわゆる傾斜性を有する。塗膜が、傾斜性を有することにより1層で密着性と強度の両特性に優れた塗膜を実現できる。
また本発明によれば、前記第1樹脂成分の、前記第1塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であり、前記第2樹脂成分の、前記第2塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%である。
また本発明によれば、前記第1塗料組成物の含有量をW1とし、前記第2塗料組成物の含有量をW2としたとき、前記第1塗料組成物と前記第2塗料組成物との混合比であるW1/W2は、0.25〜4である。
また本発明によれば、前記フッ素を含有するビニルエステル化合物として、2−(パーフロロオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロオクチル)エチルメタクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルメタクリレート、トリフロロメチルアクリレートおよびトリフロロメチルメタクリレートを含む群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
また本発明によれば、前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分は、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびジペンタエリスリトールアクリレートのヘキサメチレンジイソシアネート付加物を含む群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
また本発明によれば、前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分の重合開始を促進する重合開始剤または紫外線を吸収する紫外線吸収剤の少なくともいずれかをさらに含むことができる。
また本発明によれば、電着塗装工程で、上記の電着塗料組成物を用いて電着塗装を行い、被塗物の表面に塗膜を形成し、硬化工程で、被塗物の表面に形成された塗膜に光を照射して塗膜を硬化させる。これにより、被塗物の表面に傾斜性を有する塗膜を形成することができる。
また本発明によれば、前記被塗物として、金属材料、半導体材料、導電性セラミックス材料および表面に金属めっきが施された樹脂材料を用いることができる。
また本発明によれば、上記の電着塗料組成物を用いた電着塗装によって形成されるフッ素含有塗膜であって、被塗物表面から塗膜表面に向かってフッ素濃度が高くなる濃度傾斜性を有することで、密着性と強度の両特性に優れたフッ素含有塗膜を実現できる。
実施例1,2の傾斜性を示すグラフである。
本発明の電着塗料組成物は、第1塗料組成物と第2塗料組成物とを混合してなり、第1塗料組成物は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合して得られる第1樹脂成分、光重合性を有する第1モノマー成分および第1水性溶媒を含み、前記第1樹脂成分および前記第1モノマー成分が、前記第1水性媒体に分散され、第2塗料組成物は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合して得られる第2樹脂成分、光重合性を有する第2モノマー成分および第2水性溶媒を含み、前記第2樹脂成分および前記第2モノマー成分が、前記第2水性媒体に分散されたものである。なお、本願発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれかであることを意味する。
[第1樹脂成分]
第1樹脂成分は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とをモノマーとして、これらを重合して得られるアクリル樹脂である。
(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体としては、公知のものを使用でき、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ誘導体を用いることができる。(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
(メタ)アクリル酸のアミン誘導体としては、公知のものを使用でき、たとえば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートエチルトリメチルアンモニウムクロライドアクリレートなどのアミノ誘導体を用いることができる。(メタ)アクリル酸のアミン誘導体は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
フッ素を含有しないビニルエステル化合物としては、公知のものを使用でき、たとえば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボニルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、スチレン、N−フェニルマレイミド、N―シクロヘキシルマレイミド、ポリアルコキシシランアクリレート、ポリアルコキシシランメタクリレートなどを用いることができる。フッ素を含有しないビニルエステル化合物は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
第1樹脂成分は、これらを重合することで得られるが、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合してもよく、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合してもよく、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体および(メタ)アクリル酸のアミン誘導体とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合してもよい。
アクリル酸のヒドロキシ誘導体、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体およびフッ素を含有しないビニルエステル化合物以外に、さらに、アルキル(メタ)アクリレート化合物をモノマーとして第1樹脂成分の合成に用いることができる。アルキル(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明では、さらにエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(但しアクリル酸のヒドロキシ誘導体、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体およびフッ素を含有しないビニルエステル化合物を除く)であれば、特に制限なく使用できる。このような化合物としては、たとえば、スチレン、メチルスチレン、ビニルカルバゾールなどが挙げられる。(メタ)アクリレート化合物およびそれ以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、それぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
第1樹脂成分は、公知の方法に従って重合できる。たとえば、溶剤中にて重合開始剤の存在下および加熱下に、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合させることによって、本発明で使用する第1樹脂成分が得られる。ここで溶剤としては、たとえば、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルなどを好ましく使用できる。溶剤の使用量は特に制限されず、重合させる化合物の種類、使用量などに応じて、重合反応が円滑に進行しかつ生成する(メタ)アクリル樹脂の反応系からの単離・精製操作が容易な量を適宜選択すればよい。
重合開始剤としては公知のものを使用でき、たとえば、アゾ化合物、ジスルフィド化合物、スルフィド化合物、スルフィン化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド化合物などが挙げられる。重合開始剤の具体例としては、たとえば、ベンゾインパーオキサイドなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は特に制限されず、重合させる化合物の種類、使用量などに応じて、重合反応が円滑に進行しかつ目的の重合度または重量平均分子量の(メタ)アクリル樹脂を得ることが出来る量を適宜選択すればよいけれども、好ましくはモノマー化合物100重量部に対して0.01〜3重量部である。重合開始剤は、重合反応の進行状況に応じ、時間の間隔を空けて数回程度に分割して重合反応系に添加してもよい。重合反応は、好ましくは溶剤の還流温度下に行われ、5〜20時間程度で終了する。重合反応により得られた樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2000〜300000、好ましくは15000〜150000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値を、標準物質である単分散分子量ポリスチレン(分子量1300、3000および10000)の検量線によって換算した値である。
[第2樹脂成分]
第2樹脂成分は、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とをモノマーとして、これらを重合して得られるアクリル樹脂である。
(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体としては、第1樹脂成分と同様に公知のものを使用でき、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシ誘導体を用いることができる。(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
(メタ)アクリル酸のアミン誘導体としては、第1樹脂成分と同様に公知のものを使用でき、たとえば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジ−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートエチルトリメチルアンモニウムクロライドアクリレートなどのアミノ誘導体を用いることができる。(メタ)アクリル酸のアミン誘導体は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
フッ素を含有するビニルエステル化合物としては、公知のものを使用でき、たとえば、
2−(パーフロロオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロオクチル)エチルメタクリレート、2−パーフロロブチルエチルアクリレート、2−パーフロロブチルエチルメタクリレート、トリフロロメチルアクリレート、トリフロロメチルメタクリレートなどアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体、4フッ化エチレン、3フッ化エチレン、2フッ化エチレン、モノフッ化エチレンおよびその誘導体などを用いることができる。フッ素を含有するビニルエステル化合物は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
第2樹脂成分は、これらを重合することで得られるが、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合してもよく、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合してもよく、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体および(メタ)アクリル酸のアミン誘導体とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合してもよい。
アクリル酸のヒドロキシ誘導体、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体およびフッ素を含有するビニルエステル化合物以外に、さらに、アルキル(メタ)アクリレート化合物をモノマーとして第2樹脂成分の合成に用いることができる。アルキル(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。本発明では、さらにエチレン性不飽和二重結合を有する化合物(但しアクリル酸のヒドロキシ誘導体、(メタ)アクリル酸のアミン誘導体およびフッ素を含有するビニルエステル化合物を除く)であれば、特に制限なく使用できる。このような化合物としては、たとえば、スチレン、メチルスチレン、ビニルカルバゾールなどが挙げられる。(メタ)アクリレート化合物およびそれ以外のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物は、それぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
第2樹脂成分は、第1樹脂成分と同様に公知の方法に従って重合できる。たとえば、溶剤中にて重合開始剤の存在下および加熱下に、(メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合させることによって、本発明で使用する第2樹脂成分が得られる。ここで溶剤としては、たとえば、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテルなどを好ましく使用できる。溶剤の使用量は特に制限されず、重合させる化合物の種類、使用量などに応じて、重合反応が円滑に進行しかつ生成する(メタ)アクリル樹脂の反応系からの単離・精製操作が容易な量を適宜選択すればよい。
重合開始剤としては公知のものを使用でき、たとえば、アゾ化合物、ジスルフィド化合物、スルフィド化合物、スルフィン化合物、ニトロソ化合物、パーオキサイド化合物などが挙げられる。重合開始剤の具体例としては、たとえば、ベンゾインパーオキサイドなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は特に制限されず、重合させる化合物の種類、使用量などに応じて、重合反応が円滑に進行しかつ目的の重合度または重量平均分子量の(メタ)アクリル樹脂を得ることが出来る量を適宜選択すればよいけれども、好ましくはモノマー化合物100重量部に対して0.01〜3重量部である。重合開始剤は、重合反応の進行状況に応じ、時間の間隔を空けて数回程度に分割して重合反応系に添加してもよい。重合反応は、好ましくは溶剤の還流温度下に行われ、5〜20時間程度で終了する。重合反応により得られた樹脂は、重量平均分子量(Mw)が2000〜300000、好ましくは15000〜150000である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値を、標準物質である単分散分子量ポリスチレン(分子量1300、3000および10000)の検量線によって換算した値である。
[光重合性を有するモノマー成分]
光重合性を有するモノマー成分は、特定波長域の光が照射されることにより重合可能なモノマー成分である。光重合性を有するモノマー成分には、第1塗料組成物に用いられる第1モノマー成分と第2塗料組成物に用いられる第2モノマー成分とがあるが、使用できるモノマー成分の種類は、第1モノマー成分と第2モノマー成分とで共通である。以下では、第1モノマー成分と第2モノマー成分とで区別する必要がない場合は、単にモノマー成分という。電着塗料組成物中では、モノマーの状態で可溶化または分散しており、被塗物表面に電着塗装で塗膜が形成されたのち、塗膜に光が照射されることでこのモノマー成分が重合し、塗膜が硬化する。
光重合性を有するモノマー成分としては、たとえば、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート化合物、リジンイソシアネートトリアクリレート、トリレンジイソシアネート三量体トリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体トリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシドトリアクリレート、トリメチロールプロパンエポキシ変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリントリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートグリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレートのヘキサメチレンジイソシアネート付加物、ジペンタエリスリトールアクリレートのイソホロンジイソシアネート付加物などの3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、多官能モノマーだけではなく、エチレン性不飽和二重結合を持つフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートもその他モノマー成分として併用することも可能である。光重合性を有するモノマー成分は、上記のもののなかからそれぞれ、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
[中和剤]
第1樹脂成分および第2樹脂成分を水性溶媒に分散させるために、第1樹脂成分および第2樹脂成分の電荷を中和する中和剤を用いる。第1樹脂成分および第2樹脂成分がカチオン性である場合は、酸中和剤として、乳酸、酢酸、蟻酸、コハク酸、酪酸などの有機酸または硫酸、リン酸などの無機酸を用いることができる。第1樹脂成分および第2樹脂成分がアニオン性である場合は、アミンおよびアルカリ中和剤として、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モルフォリン、ピリジン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアミンまたはアルカリ化合物を用いることができる。
本発明の電着塗料組成物に含有される中和剤の含有量は、電着塗料組成物に含有される第1樹脂成分および第2樹脂成分の量に基づいて、電荷を中和できる程度の量を適宜添加すればよい。
[その他の成分]
本発明の電着塗料組成物は、上記の各成分以外に、必要に応じて以下のような成分を用いることができる。
本発明の電着塗料組成物は、光重合開始剤を含んでいてもよく、光重合開始剤として、たとえば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などを用いることができ、これらの1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。さらにイソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントンなどの増感剤を組み合わせてもよい。
光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の使用量は特に制限されず、モノマー成分の種類、使用量などに応じて、重合反応が円滑に進行しかつ目的の重合度または重量平均分子量の(メタ)アクリル樹脂を得ることが出来る量を適宜選択すればよいけれども、好ましくはモノマー成分100重量部に対して0.01〜3重量部である。光重合開始剤は、重合反応の進行状況に応じ、時間の間隔を空けて数回程度に分割して重合反応系に添加してもよい。
本発明の電着塗料組成物は、紫外線吸収剤を含んでいてもよく、紫外線吸収剤として、たとえば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2-メトキシ−1−メチルエチルアセテート3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジンなどを用いることができ、これらの1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明の電着塗料組成物は、光安定剤を含んでいてもよく、光安定剤として、たとえば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートなどを用いることができ、これらの1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
本発明の電着塗料組成物は、着色剤を含んでいてもよく、着色剤としては、たとえば、無機顔料、有機顔料などがある。無機顔料の具体例としては、たとえば、チタンホワイト(酸化チタン)、カーボンブラック、ベンガラなどの着色顔料、カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、シリカなどの体質顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛などの防錆顔料などが挙げられる。これら以外にも、特開2000−290542号公報、特開2000−230151号公報、特開平11−106687号公報などに記載のビスマス化合物、特開平6−220371号公報などに記載の酸化タングステン、特開平9−241546号公報などの亜リン酸化合物なども使用できる。有機顔料の具体例としては、たとえば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンエロー、キナクリドンレッド、モノアゾレッド、ボリアゾレッド、またはベリレンレッドなどが挙げられる。
着色剤である顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。たとえば、酸化チタンを用いると、沈降安定性に優れる電着塗料組成物が得られ、白色性が高く隠蔽力の高い電着塗膜を形成できる。また、シリカまたはカオリンを用いると、電着塗膜のハジキ防止性、耐チッピング性、塗膜硬度、耐候性、付着性、防錆性などを向上させ得る。また、リン酸アルミニウムまたはモリブデン酸カルシウムを用いると、電着塗料組成物の沈降安定性が向上するとともに、電着塗膜の防錆性が向上する。
着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、好ましくは電着塗料組成物の全固形分の1〜60重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。
さらに本発明の電着塗料組成物は、たとえば、顔料分散剤、界面活性剤、酸化防止剤などの一般的な電着塗料組成物用添加剤を含んでいてもよい。
[水性溶媒]
各成分を可溶化または分散させる水性溶媒としては、水(純水、超純水、イオン交換水などを含む)を用いることが好ましく、水に有機溶媒を可溶化したものであってもよい。水性溶媒には、第1塗料組成物に用いられる第1水性溶媒と第2塗料組成物に用いられる第2水性溶媒とがあるが、使用できる水性溶媒は、第1水性溶媒と第2水性溶媒とで共通である。以下では、第1水性溶媒と第2水性溶媒とで区別する必要がない場合は、単に水性溶媒という。
[第1塗料組成物および第2塗料組成物]
第1塗料組成物は、第1樹脂成分および光重合性を有する第1モノマー成分を必須とし、必要に応じて、その他の成分を加え、中和剤を含む第1水性溶媒中に各成分を分散させることによって得られる。第2塗料組成物は、第2樹脂成分および光重合性を有する第2モノマー成分を必須とし、必要に応じて、その他の成分を加え、中和剤を含む第2水性溶媒中に各成分を分散させることによって得られる。
本発明において、第1樹脂成分の、第1塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であり、第2樹脂成分の、第2塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%である。また、電着塗料組成物のうちの第1塗料組成物の含有量をW1とし、電着塗料組成物のうちの第2塗料組成物の含有量をW2としたとき、第1塗料組成物と第2塗料組成物との混合比であるW1/W2は、0.25〜4である。
[電着塗料組成物]
本発明の電着塗料組成物は、予め第1塗料組成物および第2塗料組成物を調製し、調製した第1塗料組成物および第2塗料組成物を混合して得られる。電着塗料組成物中のフッ素含有量は、フッ素原子換算で1〜30重量%であり、好ましくは3〜15重量%である。
電着塗料組成物の固形分濃度は、5〜30重量%である。固形分濃度がこの範囲を外れると、塗料中での各成分の分散状態が不安定になり、たとえば、成分の凝集や沈殿が発生し、塗膜の外観不良などが発生する可能性が高い。
本発明の電着塗料組成物を用いる電着塗装方法は、本発明の水性電着塗料組成物を用いる以外は、従来の電着塗装方法と同様にして実施できる。本発明の電着塗装方法は、たとえば、被塗物に、必要に応じて脱脂処理、酸洗処理などを施した後、本発明の電着塗料組成物に被塗物を浸漬し、通電を行うことによって、被塗物の表面に未硬化の電着塗膜を形成する電着塗装工程と、この未硬化の電着塗膜が形成された被塗物に、紫外線など塗膜に含有する光重合性モノマーに応じた特定波長の光を照射することによって、被塗物表面の電着塗膜を硬化させる硬化工程とを含む。
脱脂処理は、たとえば、被塗物の表面にアルカリ水溶液を接触させることにより行われる。アルカリ水溶液の接触は、たとえば、被塗物にアルカリ水溶液を噴霧するかまたは被塗物をアルカリ水溶液に浸漬させることにより行われる。アルカリとしては金属の脱脂に常用されるものを使用でき、たとえば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどのアルカリ金属のリン酸塩などが挙げられる。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度は、たとえば、処理する金属の種類、被処理金属の汚れの度合いなどに応じて適宜決定される。さらにアルカリ水溶液には、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などの界面活性剤の適量が含まれていてもよい。
脱脂処理は、20〜50℃程度の温度下(アルカリ水溶液の液温)に行われ、1〜5分間程度で終了する。脱脂後、被塗物は水洗され、次の酸洗工程に供される。その他、酸性浴に浸漬する脱脂、気泡性浸漬脱脂、電解脱脂などを適宜組み合わせて実施することもできる。酸洗処理は、たとえば、被塗物の表面に酸水溶液を接触させることにより行われる。酸水溶液の接触は、脱脂処理におけるアルカリ水溶液の接触と同様に、被塗物への酸水溶液の噴霧、被塗物の酸水溶液への浸漬などにより行われる。酸としては金属の酸洗に常用されるものを使用でき、たとえば、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。酸水溶液中の酸濃度は、たとえば、被処理金属の種類などに応じて適宜決定される。
酸洗処理は、20〜30℃程度の温度下(酸水溶液の液温)に行われ、15〜60秒間程度で終了する。脱脂処理および酸洗処理のほかに、スケール除去処理、下地処理、防錆処理などを施してもよい。これらの処理の後、被塗物を70〜120℃程度の温度下で乾燥させて次の電着塗装に供する。
電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、本発明の電着塗料組成物を満たした通電槽中に被塗物の全体をまたは特定の部分を浸漬して陽極または陰極とし、通電することにより実施される。電着塗装条件も特に制限されず、被塗物である金属の種類、電着塗装の組成、通電槽の大きさおよび形状、得られる被塗物の用途など各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は、浴温度(電着塗料組成物温度)10〜50℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜5分間程度とすればよい。
電着塗装が施された被塗物は、通電槽から取り出され、モノマー成分を硬化させるために光(たとえば、紫外線)を照射させる。紫外線照射の前に、被塗物の表面に形成された未硬化の塗膜を水洗および乾燥してもよい。紫外線の照射量は特に制限されず、塗膜成分の種類に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは200〜5000mJ/cmである。照射量は、照射強度(mJ/cm・s)と照射時間(s)との積であるから、照射強度と照射時間とを適宜選択することによって、所望の照射量を選択できる。紫外線源としては、たとえば、高圧水銀灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプなどの一般的な紫外線源を使用できる。このようにして、被塗物の表面に硬化した電着塗膜が形成される。
表面に電着塗膜を形成する被塗物は、電着塗装が可能な導電性材料であればよく、各種金属材料、シリコン、チタン酸インジウムなどの半導体材料、導電性セラミックス材料および表面に金属めっきが施された樹脂材料などを用いることができる。
本発明の電着塗料組成物を用いた電着塗装による塗膜は、フッ素を含有しない第1樹脂成分およびフッ素を含有する第2樹脂成分の濃度が膜厚方向に変化する、いわゆる傾斜性を有するフッ素含有塗膜として得られる。電着塗装後の未硬化の状態では、各樹脂成分の表面張力差、粘度差、ガラス転移温度差などの物性の違いにより膜厚方向に樹脂成分の存在量の偏りを生じさせる。
表面張力においては小さいものが塗膜表面に偏り、大きいものが被塗物表面側に濃化し、粘度においては小さいものが塗膜表面に偏り、大きいものが被塗物表面側に濃化し、ガラス転移温度においては高いものが塗膜表面に偏り、低いものが被塗物表面側に濃化する。
第1樹脂成分と第2樹脂成分とは、互いに親和性を有し、塗膜中で第1樹脂成分と第2樹脂成分とが2層に分離することはなく、膜厚方向に濃度分布が生じる。これにより、塗膜の外表面側と被塗物表面側とでは、膜の特性を異ならせることができる。一般に、耐傷性など強度に優れる表面は、密着性に劣り、密着性に優れる表面は強度に劣るため、1層の塗膜でこれらの特性を満足することは難しい。被塗物表面側に密着性に優れた塗膜を形成し、その上に強度に優れた塗膜を形成する2層型の塗膜により被塗物との密着性と強度の両特性を満足しようとするものもあるが、この場合、塗膜間の界面で剥離が生じてしまう。
本発明の電着塗料組成物により形成された塗膜は、傾斜性により1層で密着性と強度の両特性に優れた塗膜を実現できる。
塗膜の硬化は、光照射によって行われる。光重合性モノマーは傾斜せず、塗膜中に均一に存在し、光が照射されると、第1樹脂成分と第2樹脂成分の濃度が傾斜した状態で光重合性モノマーが重合し、第1樹脂成分と第2樹脂成分の濃度が傾斜したまま硬化する。
光照射で硬化するために塗膜の焼き付けを行う必要がなく、被塗物を高温条件下に曝すことがないので、熱に弱い電子部品やはんだ接合した電子機器、金属めっきが施された樹脂などに保護膜としての電着塗膜を形成することができる。
本発明の実用例について以下に示す。
・プラスチック材料に金属めっきを施した携帯電話などのデジタル家電部品ならびに自動車内装部品および外装部品のコーティング
従来の熱硬化塗料では不可能であったプラスチック材料に金属めっきを施した部品においても電着塗装が可能となり、耐侯性、耐食性、耐傷性および密着強度に優れた塗膜の形成を実現することができる。
・太陽電池素子における保護膜
本発明の電着塗料組成物では均一な塗装が可能であり、家庭用発電における瓦型の太陽電池素子などの複雑な形状で、実装した状態で加熱することが不可能な部品に対しても均一に塗膜を形成することができ、耐侯性、耐食性、密着強度に優れ、光透過率の高い太陽電池素子の実現が可能となる。
(実施例)
(1)第1樹脂成分の合成
(1−1)樹脂A1の製造例
ジムロート還流管を備えた4ツ口フラスコにジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル60gを入れ、加熱還流を行う。次いで、メタクリル酸(エチレン性不飽和二重結合を有する化合物)5g、メチルメタクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)20g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(メタクリル酸のヒドロキシ誘導体)30g、イソブチルメタクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)20g、スチレン(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)25gおよび重合開始剤であるベンゾインパーオキサイドを1g添加して混合した後、滴下ロートに移す。前述の4ツ口フラスコに滴下ロートを取り付け、撹拌しながら、8分割した上記モノマーの混合物を、10分間隔で滴下する。反応温度70〜80℃で5〜6時間反応させる。その後、ベンゾインパーオキサイドを0.1g添加し、さらに約1時間モノマー臭がなくなるまで還流させ、固形分濃度70%、粘度50,000cps(25℃)、酸価35の淡黄色透明な樹脂A1溶液を得た。
(1−2)樹脂A2の製造例
モノマー成分を、ジメチルアミノエチルメタクリレート(メタクリル酸のアミン誘導体)10g、メチルメタクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)20g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(メタクリル酸のヒドロキシ誘導体)25g、イソブチルメタクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)20g、スチレン(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)25gとしたこと以外は樹脂A1と同様にした。固形分濃度70%、粘度20,000cps(25℃)、水酸基価63の黄色透明な樹脂A2溶液を得た。
(2)第2樹脂成分の合成
(2−1)樹脂B1の製造例
モノマー成分を、アクリル酸(エチレン性不飽和二重結合を有する化合物)5g、トリメトキシシランアクリレート(エチレン性不飽和二重結合を有する化合物)20g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(アクリル酸のヒドロキシ誘導体)30g、2−エチルヘキシルアクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)20g、パーフルオロエチルメタクリレート(フッ素を含有するビニルエステル化合物)25gとしたこと以外は樹脂A1と同様にした。固形分濃度70%、粘度20,000cps(25℃)、酸価40の淡黄色透明な樹脂B1溶液を得た。
(2−2)樹脂B2の製造例
モノマー成分を、n-ブチルアクリレート(フッ素を含有しないビニルエステル化合物)15g、パーフルオロエチルメタクリレート(フッ素を含有するビニルエステル化合物)25g、2−ヒドロキシエチルアクリレート(アクリル酸のヒドロキシ誘導体)25g、ジメチルアミノエチルメタクリレート(メタクリル酸のアミン誘導体)10g、スチレン(エチレン性不飽和二重結合を有する化合物)25gとしたこと以外は樹脂A1と同様にした。固形分濃度70%、粘度32,000cps(25℃)、水酸基価63の黄色透明な樹脂溶液を得た。
(3)電着塗料組成物の製造
下記の条件で各電着塗料組成物を製造した。
(塗料組成物A)
・第1樹脂組成物
樹脂成分:樹脂A1 35.71g
第1モノマー成分:1.6HD 15g
その他モノマー成分:PEA 15g
光重合開始剤:イルガキュア907 2.5g
中和剤:トリエチルアミン 1g
水転条件:合計500mlになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入
・第2樹脂組成物
樹脂成分:樹脂B1 35.71g
第2モノマー成分:DPHA 15g
:TMPTA 15g
光重合開始剤:イルガキュア907 2.5g
中和剤:トリエチルアミン 1g
水転条件:合計500mlになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入
・塗料組成物
第1樹脂組成物と第2樹脂組成物とを混合して塗料組成物Aを得た。塗料組成物AのpHは7.7であり、電導度は、290μS/cmであった。
(塗料組成物B)
・第1樹脂組成物
樹脂成分:樹脂A2 42.85g
第1モノマー成分:TPGDA 12.5g
その他モノマー成分:PEA 12.5g
光重合開始剤:イルガキュア907 2.5g
紫外線吸収剤:チヌビン900 1g
中和剤:乳酸 2g
水転条件:合計500mlになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入
・第2樹脂組成物
樹脂成分:樹脂B2 42.85g
第2モノマー成分:TMPTA 12.5g
:DPHA−H 12.5g
光重合開始剤:イルガキュア907 2.5g
紫外線吸収剤:チヌビン900 1g
中和剤:乳酸 2g
水転条件:合計500mlになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入
・塗料組成物
第1樹脂組成物と第2樹脂組成物とを混合して塗料組成物Bを得た。塗料組成物BのpHは4.0であり、電導度は、450μS/cmであった。
(塗料組成物C)
樹脂成分:樹脂A2 85.71g
光重合性モノマー成分:TPGDA 25g
その他モノマー成分:PEA 25g
光重合開始剤:イルガキュア907 5g
紫外線吸収剤:チヌビン900 2g
中和剤:乳酸 3g
合計1Lになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入し塗料組成物Cを得た。塗料組成物CのpHは4.5であり、電導度は、350μS/cmであった。
(塗料組成物D)
樹脂成分:樹脂B2 85.71g
光重合性モノマー成分:TMPTA 25g
:DPHA−H 25g
光重合開始剤:イルガキュア907 5g
紫外線吸収剤:チヌビン900 2g
中和剤:乳酸 3g
合計1Lになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入し塗料組成物Dを得た。塗料組成物DのpHは4.2であり、電導度は、380μS/cmであった。
(塗料組成物E)
樹脂成分:樹脂A2 42.85g
:樹脂B2 42.85g
光重合性モノマー成分:TPGDA 12.5g
:TMPTA 12.5g
:DPHA−H 12.5g
その他モノマー成分:PEA 12.5g
光重合開始剤:イルガキュア907 5g
紫外線吸収剤:チヌビン900 2g
中和剤:乳酸 6g
合計1Lになるように残部を純水で2時間掛けて10分割して投入し塗料組成物Eを得た。塗料組成物EのpHは4.0であり、電導度は、450μS/cmであった。
なお、上記の説明で用いた各成分の略称については、以下のとおりである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
DPHA−H:ジペンタエリスリトールアクリレートのヘキサメチレンジイソシアネート付加物
1.6HD:1,6ヘキサンジオールジアクリレート
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
PEA:フェノキシエチルアクリレート
イルガキュア907:2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF社製)
チヌビン900:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製)
(4)実施例
(4−1)実施例1
SUS304板を準備し、溶剤脱脂、アルカリ脱脂、水洗、酸中和、水洗、純水洗の順に行った。電着塗装工程では、塗料組成物Aを用いて膜厚が30μmとなるように電圧を設定し、1分間の電着塗装を行った。電着塗装後水洗し、エアーブローで水分を除去した。
硬化工程では、塗膜を70℃で15分間乾燥させた後、波長365nm、露光量4000mJ/cmで紫外線を照射し塗膜を硬化させた。
(4−2)実施例2
塗料組成物Bを用いたこと以外は実施例1と同様にした。
(4−3)比較例1
塗料組成物Cを用いたこと以外は実施例1と同様にした。
(4−4)比較例2
塗料組成物Cを用いて膜厚15μmの塗膜を形成し、この塗膜上にさらに塗料組成物Dを用いて膜厚15μmの塗膜を形成すること以外は実施例1と同様にした。
(4−5)比較例3
塗料組成物Eを用いたこと以外は実施例1と同様にした。
(5)評価
(5−1)評価項目
塗装膜の評価項目は、鉛筆硬度(JIS K5600)、碁盤目剥離試験(JIS K5600)、耐侯性及び耐食性試験、サンドブラストによる傷深さ評価とした。耐侯性及び耐食性試験は、サンシャインウェザーメータ(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−HC−B型)耐候試験機を用いて、ブラックパネル温度63±3℃、降雨12分間、照射48分間のサイクルで試験した。試験時間1000時間後にCASS試験(JIS Z2371)の評価及びサンドブラストによる傷深さ評価(ASTM C−418、珪砂、圧力2kg/cm、5分間)を行った。塗膜中の樹脂成分の傾斜性は、走査式電子顕微鏡によって断面写真を撮影し、被塗物近傍部分、中間部分、塗膜表面近傍部分についてそれぞれEDAX(エネルギー分散型X線分析装置)によって組成分析を行った。
(5−2)評価結果
各評価項目の評価結果を表1に示す。
Figure 2015218199
図1は、実施例1,2の傾斜性を示すグラフである。横軸は、SUS304板表面からの厚み方向の距離(μm)を示し、縦軸は、組成濃度(%)を示す。折れ線1は、実施例1を示し、折れ線2は、実施例2を示している。塗膜の膜厚が30μmであるので、SUS304板表面からの距離が10μmでの組成濃度は、被塗物表面近傍での組成濃度であり、距離が20μmでの組成濃度は、塗膜の中間部分での組成濃度であり、距離が30μmでの組成濃度は、塗膜の表面近傍での組成濃度である。
図1からわかるように、実施例1,2は、塗膜の厚み方向にフッ素の濃度が変化しており、傾斜性を有することがわかる。
このように実施1,2は、傾斜性を有することにより、被塗物との密着性、耐傷性、耐侯性および耐食性の全てで優れた評価結果が得られた。
比較例1は、1種の樹脂成分のみからなる塗膜であり傾斜性を有しないので、密着性は優れた結果が得られたが、耐傷性、耐侯性および耐食性では、実用性に乏しい結果であった。
比較例2は、2層型の塗膜であるので、耐傷性、耐侯性および耐食性は優れた結果が得られたが、密着性では、実用性に乏しい結果であった。
比較例3は、2種の樹脂組成物を予め調製することなく2種の樹脂成分を用いて樹脂組成物を調製したので、傾斜性は得られず、密着性、耐侯性および耐食性では、実用性に乏しい結果であった。

Claims (9)

  1. (メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有しないビニルエステル化合物とを重合して得られる第1樹脂成分、光重合性を有する第1モノマー成分および第1水性溶媒を含み、前記第1樹脂成分および前記第1モノマー成分が、前記第1水性媒体に分散された第1塗料組成物と、
    (メタ)アクリル酸のヒドロキシ誘導体または(メタ)アクリル酸のアミン誘導体の少なくともいずれか一方とフッ素を含有するビニルエステル化合物とを重合して得られる第2樹脂成分、光重合性を有する第2モノマー成分および第2水性溶媒を含み、前記第2樹脂成分および前記第2モノマー成分が、前記第2水性媒体に分散された第2塗料組成物と、を混合してなることを特徴とする電着塗料組成物。
  2. 前記第1樹脂成分の、前記第1塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であり、前記第2樹脂成分の、前記第2塗料組成物全体に対する含有量は、20〜80重量%であることを特徴とする請求項1記載の電着塗料組成物。
  3. 前記第1塗料組成物の含有量をW1とし、前記第2塗料組成物の含有量をW2としたとき、前記第1塗料組成物と前記第2塗料組成物との混合比であるW1/W2は、0.25〜4であることを特徴とする請求項1または2記載の電着塗料組成物。
  4. 前記フッ素を含有するビニルエステル化合物は、2−(パーフロロオクチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロオクチル)エチルメタクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフロロブチル)エチルメタクリレート、トリフロロメチルアクリレートおよびトリフロロメチルメタクリレートを含む群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電着塗料組成物。
  5. 前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分は、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびジペンタエリスリトールアクリレートのヘキサメチレンジイソシアネート付加物を含む群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電着塗料組成物。
  6. 前記第1モノマー成分および前記第2モノマー成分の重合開始を促進する重合開始剤または紫外線を吸収する紫外線吸収剤の少なくともいずれかをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の電着塗料組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の電着塗料組成物を用いて電着塗装を行い、被塗物の表面に塗膜を形成する電着塗装工程と、
    被塗物の表面に形成された塗膜に光を照射して塗膜を硬化させる硬化工程と、を含むことを特徴とする電着塗装方法。
  8. 前記被塗物は、金属材料、半導体材料、導電性セラミックス材料および表面に金属めっきが施された樹脂材料のいずれかであることを特徴とする請求項5記載の電着塗装方法。
  9. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の電着塗料組成物を用いた電着塗装によって形成されるフッ素含有塗膜であって、
    被塗物表面から塗膜表面に向かってフッ素濃度が高くなる濃度傾斜性を有することを特徴とするフッ素含有塗膜。
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