JP2015218072A - ランスパイプ用流し込み耐火物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、水素ガス発生量が小さく、亀裂の発生が遅く、且つ剥離が発生し難く、更に、得られる施工体の熱間強度や耐スポーリング性を向上させることができ、ランスパイプ用流し込み耐火物として良好な特性を発揮することができる流し込み耐火物を提供することにある。
【解決手段】本発明の流し込み耐火物は、粘土を1〜8質量%と、アルミナ含有量が70質量%以上のアルミナセメントを1〜8質量%と、残部が耐火性骨材を含む材料からなる流し込み耐火物に、金属シリコン含量が8〜18質量%のAl−Si合金を外掛けで0.2〜1.5質量%配合することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、流し込み用耐火物に関し、更に詳細には、鉄鋼業にて使用される溶銑や溶鋼の処理を行うランスパイプの被覆用耐火物として用いられる流し込み耐火物に関する。
近年、高級鋼の溶製ニーズは益々高まる傾向にあり、溶銑中の珪素、硫黄、燐を転炉に装入する前に取り除く溶銑予備処理や、転炉から出鋼した溶鋼の清浄度をさらに向上させるための溶鋼脱硫や微量の合金成分の調整などが行われている。その調整のために、溶鉄中に窒素やアルゴンガスを吹き込んで溶鉄を攪拌し、また、それらのガスに石灰や酸化鉄、蛍石などの粉体を乗せて吹き込むなどの操作が行われる。このようなガス吹き込み操作にはランスパイプが使用されている。ランスパイプは、鉄製芯金パイプを介して溶鉄に上記ガスを吹き込むものであり、当該鉄製芯金パイプを溶鉄や溶融スラグから保護するため、鉄製芯金パイプの周囲を流し込み施工用不定形耐火物で被覆している。
ガス吹き込み操作において、ランスパイプは、常温で保持された後、1300℃を超す温度の溶銑や溶鋼中に浸漬され、所定時間ガス吹き込み操作が行われる。その後、ランスパイプは、溶銑、溶鋼中から取り出され、常温で次の処理のために待機する。このように、ランスパイプは急熱と急冷が繰り返されるため、被覆用不定形耐火物には、耐熱性や耐食性のみならず、耐スポーリング性が要求される。また、ランスパイプは、構造的に鉄製芯金パイプと耐火物との複合体であり、熱膨張が芯金パイプと被覆用不定形耐火物とでは異なるため、被覆用不定形耐火物としては、通常の耐火物に要求される耐熱スポーリング性以上の優れた耐スポール性が必要とされる。このような被覆用不定形耐火物としては、ムライトを使用した低膨張タイプの不定形耐火物に、シリカ超微粉を添加することにより、耐熱衝撃抵抗性を付与させた材質や、アンダリューサイト、珪石を添加することにより、耐火物組織内に微少のクラックを発生させ、これにより耐スポーリング性を向上させた材質や、低膨張であるジルコン原料を使用した流し込み耐火物などが使用されてきた。
しかしながら、これらの不定形耐火物は、いずれも、亀裂や剥離の発生により、満足できる寿命は得られておらず、また、ランスパイプの交換頻度の増加により、操業上の問題を生じているのが現状であった。
これに対し、特許文献1には、粘土を2〜10質量%と、アルミナ含有量が70質量%以上のアルミナセメント1〜8質量%と、残部が耐火性骨材を含む材料からなる不定形耐火物に、外掛けで、粒径が100μm以下で純度が99質量%以上の金属アルミニウムを0.3〜1.5質量%を配合してなり、さらに混練用の水を配合してなることを特徴とするランスパイプ用不定形耐火組成物が開示されている。特許文献1では、水と金属アルミニウムとが反応して生成した水酸化アルミニウムが粘土と高温で化合することにより、1000℃までの熱間領域まで強度低下が少なく、かつ1500℃などの高温度域では焼結が抑制されることで、亀裂の発生が遅く、かつ剥離が発生し難い高耐用のランスパイプ用不定形耐火組成物を提供できるとしている。
また、特許文献2には、水と混練し流し込みによって所望箇所に施工された後、急速に乾燥し炉壁を形成することが可能な不定形の耐火物用組成物であって、耐火性骨材、耐火性粉末、アルミニウム−シリコン合金粉末及び分散剤を含むことを特徴とする流し込み耐火物用組成物が開示されている。特許文献2によれば、当該流し込み耐火物用組成物は精錬用ランスなどに適用できることも記載されている。
特許第3823132号明細書 特開平9−71478号公報
しかしながら、特許文献1のランスパイプ用不定形耐火組成物では、水と金属アルミニウムとが反応して水酸化アルミニウムを生成する際に、多量の水素ガスが発生してガス抜けの孔が形成されたり、組織破壊を起こすことがしばしば発生するという問題点があった。また、近年、鋼品質の要求も厳しくなり、ランスパイプの使用条件が処理時間、処理温度ともに厳しくなっており、特許文献1のランスパイプ用不定形耐火組成物をもってしても、亀裂発生や剥離発生の点で満足できる寿命を得られない状況となっている。
また、特許文献2では、流し込み耐火物にアルミニウム−シリコン合金粉末を使用することが開示されているが、特許文献2では、耐火性骨材としてボーキサイトを使用した例のみしか開示されておらず、耐火性骨材の材料系が異なると、アルミニウム−シリコン合金粉末の添加によって物性変化が生じて別の弊害が発生することもあり、アルミニウム−シリコン合金粉末を他の材料系の流し込み耐火物にそのまま利用することはできない。
従って、本発明の目的は、水素ガス発生量が小さく、亀裂の発生が遅く、且つ剥離が発生し難く、更に、得られる施工体の熱間強度や耐スポーリング性を向上させることができ、ランスパイプ用流し込み耐火物として良好な特性を発揮することができる流し込み耐火物を提供することにある。
上述の課題に鑑み、本発明者らは、流し込み耐火物に、金属アルミニウムの代わりにAl−Si合金を使用し、水素ガスの発生量抑制について検討した結果、Al−Si合金を配合した流し込み耐火物は水素ガスの発生が遅くなり、ガス抜け穴の形成や組織破壊を抑制できることが判明した。しかし、耐火物骨材の材料系によってはAl−Si合金の添加によって物性変化が起こり別の弊害が発生する可能性があるため、Si含量の異なるAl−Si合金の詳細な検討を行った結果、Al−Si共晶組織を多く含有する特定の組成のAl−Si合金において、ガス抜け穴の形成や組織破壊を抑制できると共に、流し込み耐火物の熱間強度や耐スポーリング性を向上できることを見出した。
更に、熱間強度、耐スポーリング性向上機構について調査したところ、特許文献1の強度発現、耐スポーリング性向上機構とは異なり、焼成後サンプル中にAl−Si合金が多く残留しており、焼成途中で、Si成分がマトリックスに拡散してSiOを形成して、結合が強化されることを見出した。
本発明は、かかる発見に基づいてなされたものである。
即ち、本発明の流し込み耐火物は、粘土を1〜8質量%と、アルミナ含有量が70質量%以上のアルミナセメントを1〜8質量%と、残部が耐火性骨材を含む材料からなる流し込み耐火物に、金属シリコン含量が8〜18質量%のAl−Si合金を外掛けで0.2〜1.5質量%配合することを特徴とする。
また、本発明の流し込み耐火物は、Al−Si合金の金属シリコン含量が、10.5〜14質量%であることを特徴とする。
更に、本発明の流し込み耐火物は、耐火性骨材として、ジルコニア・ムライト合成原料を35質量%以下(ゼロを含まず)の量で配合することを特徴とする。
本発明の流し込み耐火物によれば、水素ガス発生量が小さく、また,亀裂の発生が遅く、かつ剥離が発生し難く、また、得られる施工体の熱間強度や耐スポーリング性を向上させることができ、ランスパイプ用流し込み耐火物として良好な特性を発揮することができる。
本発明の流し込み耐火物は、粘土を1〜8質量%と、アルミナ含有量が70質量%以上のアルミナセメントを1〜8質量%と、残部が耐火性骨材を含む材料からなる流し込み耐火物に、金属シリコン含量が8〜18質量%のAl−Si合金を外掛けで0.2〜1.5質量%配合することを特徴とする。即ち、本発明の特徴は、流し込み耐火物に、金属シリコン含量が8〜18質量%のAl−Si合金を配合するところにある。
ここで、Al−Si合金中の金属シリコン含量が8質量%未満では、水素ガス発生量が増加して組織の亀裂が発生する原因となり、強度低下が発生するという問題点があり好ましくない。また、金属シリコン含量が18質量%を超えると、熱間での強度が下がり、耐スポーリング性が低下するという問題点があり好ましくない。なお、Al−Si合金中の金属シリコン含有量は、10.5〜14%質量の範囲内であることがより好ましい。なお、Al−Si合金には、Fe、Cu、Mg、Ni、Cr、Znなどの微量添加物をそれぞれ1質量%以下程度の量で含有するものであってもかまわない。
Al−Si合金の配合量は、後述する粘土、アルミナセメント及び耐火物骨材を含む材料からなる流し込み耐火物に対して外掛けで0.2〜1.5質量%、好ましくは0.3〜1.0質量%の範囲内である。ここで、Al−Si合金の配合量が、0.2質量%未満では、熱間強度の向上、耐スポーリング性向上について満足な効果を発揮できないために好ましくない。また、Al−Si合金の配合量が1.5質量%を超えると、ガス発生量が増加し組織劣化の原因となるために好ましくない。
なお、Al−Si合金の粒度は、特に限定されるものではないが、0.3mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。Al−Si合金の粒度が0.3mmを超えると、熱間強度が若干低下するという問題点が生ずることもある。
Al−Si合金は、金属シリコン含量12.6質量%で共晶点を持つことは良く知られる。本発明では、共晶組織を多く含有するAl−Si合金を配合することで、熱間強度と耐スポーリング性の向上を図ることができる。例えば、金属シリコン含量が14質量%のAl−Si合金を外掛けで0.3質量%程度配合した流し込み耐火物の施工体を1000℃で加熱した後の組織を観察すると、配合されているAl−Si合金の一部が残留して、シリコン成分がマトリックス中にSiOとして拡散していることが確認された。
即ち、熱間強度の上昇には、2つの要因があり、その1つは、流し込み耐火物の混練養生の過程で、配合されているAl−Si合金が全て反応してHガスを発生するのではなく、Al−Si合金の一部が反応せずに残存することである。もう1つは、Al−Si合金が残存することで、効率的にシリコン成分がマトリックス内に拡散し、大気中の酸素と反応してSiOを生成し、適度な強度発現をもたらすのである。
Al−Si合金が共晶組織を多く含むことによって、効率的に熱間強度が向上する機構は必ずしも明らかではないが,以下のように推定することができる:
即ち、金属アルミニウムは、強アルカリ性の条件で水と反応して水酸化アルミニウムを生成してHガスを発生させる。金属シリコンも同様にHガスを発生するが、反応性は金属シリコンの方が劣る。このため、Al−Si合金を用いることにより金属アルミニウムに比べて、反応速度が遅くなり、Hガス発生速度が小さくなると同時に、一定の量のAl−Si合金が残存することになる。
また、シリコン成分はSiO(ガス)として移動するものと考えられる。残存しているAl−Si合金は、大気中での加熱により酸化され、次第にAl、SiOへと変化する。しかし、流し込み耐火物の内部に存在するAl−Si合金は、直ぐに酸化されることなく、一定期間合金として残存する。実験では、1000℃で3時間、大気中で加熱しても一部は合金として残存することが認められた。一方、シリコン成分は,酸素分圧が低いとSiO(ガス)の蒸気圧が大きくなることが知られている。また、金属と酸素との反応によって決定される酸素分圧は、Alで低く、Siで高い。Al−Si合金では、Alが残存することで酸素分圧が低くなって、SiO(ガス)の蒸気圧が高くなり、Al−Si合金が存在した部分から周囲のマトリックス部へ拡散し、その先で酸素と反応してSiOとして析出しているものと考えられる。
このため、Al−Si合金の共晶組成よりもアルミニウム成分が多いとHガスの発生が多くなるという問題が発生し、共晶組成よりもシリコン成分が多すぎると、金属アルミニウムの減少によって酸素分圧が上昇し、シリコン成分の拡散が十分には起こらないものと考えられる。このため、共晶組織を多く有するAl−Si合金を配合することによって、熱間強度の上昇と耐スポーリング性の向上を図ることができる。
なお、金属アルミニウムと、金属シリコンとを併用して、流し込み耐火物材中のアルミニウム含量とシリコン含量を同一としても、Al−Si合金添加による熱間強度や耐スポーリング性を向上させることはできない。
本発明の流し込み耐火物は、粘土、アルミナセメント及び耐火物骨材を含む材料から構成される。
粘土としては、例えばカオリナイトを主鉱物組成とする蛙目粘土、木節粘土、ボールクレー、カオリン、ベントナイト等から選択される1種あるいは2種以上を使用することができる。また、国産の水ひ粘土を併用しても問題ない。なお、粘土の配合量は、1〜8質量%、好ましくは2〜6質量%の範囲内である。粘土の配合量が1質量%未満であると、マトリックスを結合するボンドが少ないために強度が低くなり剥離等の原因となるために好ましくない。一方、粘土の配合量が8質量%を超えると、水で混練する際に粘性が強くなり、施工水分量が急増するため、ボンドのネットワークを壊すことがあるために好ましくない。
次に、本発明に使用するアルミナセメントは、アルミナ含有量が70質量%以上、好ましくは72〜80質量%の範囲内のものである。アルミナセメントのアルミナ含有量が70質量%未満では、溶損や過度な焼結により、加熱・冷却時に剥離や亀裂を引き起こすことがあるために好ましくない。なお、アルミナセメントの配合量は、1〜8質量%、好ましくは1.5〜5質量%の範囲内である。アルミナセメントの配合量が1質量%未満では、養生強度が低く、水とAl−Si合金が反応して水素ガスを生成する際に、そのガス圧力で組織が崩壊するため低強度となり剥離が発生することがあるために好ましくない。一方、アルミナセメントの配合量が8質量%を超えると、CaO−Al−SiO系の液相がランスパイプの使用温度域で多量に生成するため、溶損や過度の焼結により、加熱・冷却時に剥離や亀裂を誘発することがあるために好ましくない。
また、本発明に使用する耐火性骨材としては、例えば、粒度調整された電融アルミナ、焼結アルミナ、電融ムライト、焼結ムライトや仮焼アルミナなどの合成原料、ボーキサイトやバン土頁岩などの天然原料焼成品、アンダリューサイトやカイヤナイトなどの天然原料、シャモット、マグネシア原料等を使用できる。
更に、耐火性骨材として、ジルコニア・ムライト合成原料を使用することが好ましい。ジルコニア・ムライト合成原料は、低膨張原料として広く知られているムライト原料よりも、ジルコニアの相転移により更に低膨張にした合成原料である。ジルコニア・ムライト合成原料の配合量は、35質量%以下(ゼロを含まず)、好ましくは10〜25質量%の範囲内である。ジルコニア・ムライト合成原料の配合量が35質量%を超えると、耐食性が低下することがあるために好ましくない。また、上記粒径を有するジルコニア・ムライト合成原料を配合することで、耐熱スポーリング性を一層向上させることができる。なお、ジルコニア・ムライト合成原料の粒径が1mm未満であると、マトリックス中のシリカ含有量が増加して低融点化して、溶損や過度の焼結による亀裂や剥離の発生原因となることもあるので、粒径が1mm以上のジルコニア・ムライト合成原料を使用することが特に好ましい。
なお、本発明の流し込み耐火物において、カーボン含有量は1質量%以下が好ましく、より好ましくは不含である。カーボンを含有すると高温でAl−Si合金と反応して、AlやSiCを生成する。その結果、SiO(ガス)によるシリコン成分のマトリックス内への拡散を阻害し,熱間強度向上をさまたげる。また,カーボンは大気中で長時間使用によって酸化、消失するため組織劣化を引き起こし、溶損速度が増大するため好ましくない。
また、その他の原料として、シリカフラワーや、施工時の流動性を得るために、縮合リン酸塩や、ポリアクリル酸ナトリウム、 ポリカルボン酸カルシウム等の分散剤を使用することができる。また、ランスパイプの構造的補強をより高めるために、スチールあるいはステンレスファイバーを併用することもできる。
本発明の流し込み耐火物のランスパイプへの流し込み施工は、特に限定されるものではなく、型枠を垂直に立てた状態もしくは型枠を横に寝かせた状態で行うことができる。いずれの場合でも、型枠上部から流し込み耐火物を投入し、型枠に取り付けた振動機による枠振動を併用しながら施工を行うことができる。
以下の実施例及び比較例により、本発明の流し込み耐火物について更に具体的に説明する。
実施例1
以下の表1に、本発明品の流し込み耐火物の配合例を示し、表2に比較品の流し込み耐火物の配合例を示す。
Figure 2015218072
Figure 2015218072
なお、上記表中、
電融アルミナのAl含有量は99.0質量%である;
焼結アルミナのAl含有量は96.5質量%である;
アルミナセメントAのAl含有量は73.9質量%である;
アルミナセメントBのAl含有量は52.3質量%である;
金属アルミニウムのアルミニウム含有量は99.6質量%である;
Al−Si合金AのSi含有量は5質量%である;
Al−Si合金BのSi含有量は8質量%である;
Al−Si合金CのSi含有量は10.5質量%である;
Al−Si合金DのSi含有量は14質量%である;
Al−Si合金EのSi含有量は18質量%である;
Al−Si合金FのSi含有量は30質量%である。
また、本発明品及び比較品の流し込み耐火物の特性を、下記の方法にて、ガス発生量、養生後曲げ強さ、熱間曲げ強さ、侵食深さ及び耐スポーリング性によって評価した。得られた結果を表1及び2に併記する:
ガス発生量は、水上置換法により測定した。表1及び2に従って所定量の水を加え、万能ミキサーで3分間混練した。なお、混練水分量は、タップフローが120mm前後になるように調整を行った水量である。この混練物100gから発生するHガス量を水上置換法によって測定した。評価結果は、+++が最も多く、++、+、-の順にHガス発生量が少なくなる表記としたが、+++については使用不可と判断した;
養生後曲げ強さ試験は、以下のように測定した。前項同様、混練物を作成し、40mm×40mm×160mmの金枠に混練物を流し込み、24時間養生したのち試験片を得た。試験片は、JIS-R2553に準じ、強度を測定し、得られた結果を養生後曲げ強さとした。養生後曲げ強さは、1.0MPa以上のものを良好と判断した;
熱間曲げ強さ試験は、以下のように測定した。前項同様、40mm×40mm×160mmの金枠に混練物を流し込み、24時間養生したのち、110℃で24時間乾燥することにより試験片を得た。この試験片について、JIS-R2656に準じ、1000℃での熱間曲げ強さを測定した。熱間曲げ強さは、10.0MPa以上のものを良好と判断した;
侵食試験は、以下のように行った。60mm×80mm×30mmの金枠に混練物を流し込み、24時間養生したのち、110℃で24時間乾燥することにより試験片を得た。この試験片を用いて、溶銑脱燐処理後スラグを侵食剤とし、1600℃で4時間の回転侵食試験を実施し、溶損寸法(侵食深さ)を測定した。侵食深さは、4.0mm以下のものを良好と判断した;
スポーリング試験は以下のように行った。230mm×114mm×65mmの金枠に混練物を流し込み、24時間養生したのち110℃で12時間、200℃で12時間乾燥することにより試験片を得た。この試験片について、電気炉にて1500℃で20分間加熱、10分間炉外で放冷を15回繰り返した。試験後の試験片を縦方向中央で切断し、亀裂の発生本数を数えた。亀裂本数4本以下のものを良好と判断した。
また、表中の評価の欄は、本発明品及び比較品の流し込み耐火物の特性を、ガス発生量、養生後曲げ強さ、熱間曲げ強さ、侵食深さ及び耐スポーリング性による評価を総合し,その良否を定性的に評価し、◎:非常に良好、○:良好、 ×:不良として表示したものである。
表1から明らかなように、本発明品1〜24によれば、熱間曲げ強度は、10MPa以上、養生後曲げ強度は、1.0MPa以上、スポーリングも亀裂の発生がないか、或いは、亀裂発生が認められたとしても4本程度であり、「非常に良好」ないし「良好」な流し込み耐火物であることが理解できる。
これに対して、比較品1は、特許文献1に相当するものであり、金属アルミニウムの使用によりガス発生量が多く、養生後曲げ強さが低い結果となった。また、比較品2は、Al−Si合金中の金属シリコン含有量が少ないために、ガス発生量が多い結果となった。一方、比較品3は、Al−Si合金中の金属シリコン含有量が多いために、熱間曲げ強さの低下が見られた。また、比較品4は、Al−Si合金の配合量が少ないために、熱間曲げ強さ向上等が観察されなかった。比較品5は、Al−Si合金の配合量が多すぎるために、ガス発生量が増大して養生後曲げ強さが低下する結果となった。比較品6は、金属アルミニウムに別途金属シリコンを添加しているがガス発生抑制効果は見られず、養生後曲げ強さが低い結果となった。比較品7は、アルミナセメントの配合量が少なく、養生後曲げ強さが低い結果となった。比較品8は、アルミナセメントの配合量が多く、侵食深さが大きい結果となった。比較品9は、アルミナセメントのアルミナ含有量が低く、侵食深さが大きい結果となった。比較品10は、粘土の配合量が少なく、熱間曲げ強さ並びに養生後曲げ強さが低い結果となった。比較品11は、粘土の配合量が多いために、混練水分量が増大して熱間曲げ強さ並びに養生後曲げ強さが低い結果となった。
以上のように、比較品1〜11では、熱間曲げ強度10MPa以下,養生後曲げ強度1.0MPa以下、耐スポーリング性もしくは侵食性のいずれかが劣る結果となっており、「不良」な流し込み耐火物と判断された。
実施例2
以下の表3に配合割合を示すアルミナ含有量の高い流し込み耐火物について実施例1と同様の比較を行った。ただし、侵食試験は以下のように行った。60mm×80mm×30mmの金枠に混練物を流し込み、24時間養生したのち、110℃で24時間乾燥することにより試験片を得た。この試験片を用いて、溶鋼脱硫処理後スラグを侵食剤とし、1650℃で3時間の回転侵食試験を実施し、溶損寸法(侵食深さ)を測定した。侵食深さは、14mm以下のものを良好と判断した。侵食試験以外の評価方法は、実施例1と同様である。得られた結果を表3に併記する。
Figure 2015218072
なお、表3中の使用原料等は全て表1及び2と同様である。
表3から明らかなように、本発明品25及び26では、熱間曲げ強さは、10MPa以上、養生後曲げ強さは、1.0MPa以上、スポーリングも亀裂の発生がないか、或いは、亀裂発生が4本以下であり、「非常に良好」な流し込み耐火物であることが理解できる。
これに対して,比較品12及び13では、養生後、熱間曲げ強さ共が低く、浸食深さも大きい結果となった。
実施例3
本発明品2の流し込み耐火物を溶銑予備処理用ランスパイプの被覆用耐火物として使用したところ、比較品1(金属アルミニウムを配合した流し込み耐火物)を被覆用耐火物として用いたランスパイプの平均耐用数14ch(平均処理時間:30分/ch)であったのに対し,18ch(平均処理時間:31分/ch)まで耐用が伸びる結果となり、本発明の流し込み耐火物の優位性は明らかであった。
本発明の流し込み耐火物は、ランスパイプ用流し込み耐火物として好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 粘土を1〜8質量%と、アルミナ含有量が70質量%以上のアルミナセメントを1〜8質量%と、残部が耐火性骨材を含む材料からなる流し込み耐火物に、金属シリコン含量が8〜18質量%のAl−Si合金を外掛けで0.2〜1.5質量%配合することを特徴とする流し込み耐火物。
  2. Al−Si合金の金属シリコン含量が、10.5〜14質量%である、請求項1記載の流し込み耐火物。
  3. 耐火性骨材として、ジルコニア・ムライト合成原料を35質量%以下(ゼロを含まず)の量で配合する、請求項1または2記載の流し込み耐火物。
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