JP2015218045A - 物品供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給するとともに、分散供給できる物品供給装置を提供すること。
【解決手段】 物品供給装置100であって、第1ベルトコンベヤ10の下流側に、第2ベルトコンベヤ20が直列配置され、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度は、第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速とされ、第1ベルトコンベヤ10の表面が物品に対する摩擦係数は、第2ベルトコンベヤ20の表面が物品に対する摩擦係数より小とし、第2ベルトコンベヤ20上の物品を更にその下流側に送り出す送り出し手段50を有してなるもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は物品供給装置に関する。
生産ラインでは、特許文献1、2に記載の如く、下工程にある包装機、充填機、加工機、組立機等の生産装置に付帯させたピックアンドプレイス装置等へ物品を供給する物品供給装置が用いられている。
特許文献1に記載の物品供給装置は、紙類で形成されたシート状物品としての段ボールの折り畳み箱を搬送する搬送装置で、下流側の低速ベルトコンベヤの搬送面の摩擦係数を、上流側の高速ベルトコンベヤの搬送面の摩擦係数よりも低くしている。これにより、高速ベルトコンベヤから低速ベルトコンベヤへ折り畳み箱に受け渡すときに、折り畳み箱の前部側が低速ベルトコンベヤの搬送面に突っ掛かることなく、先行する折り畳み箱に追い付かせ、低速ベルトコンベヤより下流側への折り畳み箱の供給量を一定化しようとするものである。
特許文献2に記載の物品供給装置は、搬送用コンベヤを構成する各送り用コンベヤの送り速度を送り方向に向けて順次高速に設定し、それらの各送り用コンベヤにより多数個の柿を送り方向に加速搬送して前後方向に分離するものである。同時に、各送り用コンベヤに載置された各柿を送り用コンベヤの送り方向に直交する幅方向に押圧する幅寄せ板の作用によって逆送り用コンベヤに圧接し、各送り用コンベヤの送り方向に対して相反する方向に逆送り用コンベヤの搬送力を付与する。逆送り用コンベヤに圧接された柿のみを後方に移動し、各送り用コンベヤに載置した各柿を送り方向に対して相反する方向に変位させながら搬送することで、各柿の間に大きな空間を形成し、各柿に停滞及びブリッジが起きるのを防止するとともに、多数個の柿を互いに離間させた状態で整列搬送しようとするものである。
特開2011-184136号公報 特開平9-150940号公報
一般に、下工程のピックアンドプレイス装置等への物品供給装置による物品の供給は、ピックアンドプレイス装置のピックアンドプレイス能力の低下を防ぐために、物品を不足することなく適切な量でピックアンドプレイス装置へ向けて供給する必要がある。また、ピックアンドプレイス装置によりピックされる物品の位置、姿勢を画像処理装置で正しく認識したり、画像処理後の物品間のぶつかり合い等による不測の位置ずれを防ぐために、物品間の接触を最小とし、また、物品を絡み合うことなく分散させて供給する必要がある。
従って、例えば下流側の1台のピックアンドプレイス装置が設定したピック設定範囲(ピックすることを決定した範囲)R1への物品供給装置による物品1(例えばディップチューブ付トリガーキャップ)の連続的な供給は、例えば図18(A)に示す如くになされるものとすることにより、物品供給装置への物品の投入量に経時的な変動があっても、常に連続して一定量を供給し、また分散供給し、下工程にある包装機、充填機、加工機、組立機等の生産装置がトラブルなく最大の生産能力を発揮できるようにする必要がある。ここで、一定量を供給するとは、物品供給装置の長い搬送区間(長区間)での供給量を適正にし(長区間適正量供給)、かつ短い搬送区間(短区間)での供給量も一定にする(短区間一定供給)ことを意味する。
長区間適正量供給と短区間一定供給と分散供給について説明しておけば、下記(1)〜(3)の通りである。
(1)物品供給装置による長区間適正量供給とは、物品の量がピックアンドブレイス装置にて過不足しないように適切な平均量で連続供給することである。即ち、物品供給装置の長い搬送区間(長い供給時間)における供給量の変動が小さい状態である。
一例として、物品供給装置のベルトコンベヤが1秒間に距離x移動するとする。図18(A)に示す如く、物品供給装置において、ピックアンドプレイス装置が設定したピック設定範囲R1の長さをx、ピック設定範囲R1の区間aとその上流側に位置する各区間b、c、dの長さをxとする。また、ピックアンドプレイス装置は1秒間に1個の処理が可能とする。各区間a、b、c、dを合計した全区間を1つの長区間とすると、ベルトコンベヤにより搬送される物品が全区間a、b、c、dを通過する時間は4秒であるから、全区間a、b、c、dの範囲に4個以上の物品があれば、この4秒間におけるピックアンドプレイス装置の処理能力に対する物品の供給不足はなく、この長区間における物品供給量は適正と言える。通常、1つの長期間についての長区間適正供給量は、ピックアンドプレイス装置の処理量に不足が生じないように、物品が当該長区間を通過するに要する時間内におけるピックアンドプレイス装置の物品処理可能個数の100%以上とすることが好ましい。
また、物品供給装置による供給量が多すぎたことにより、物品が互いに接触して画像認識精度が低下することが起きる。特に、ディップチューブ付トリガーキャップのように互いに絡み易い物品については、ピックアンドプレイス装置によるピックの際にピック対象物品がその周辺の物品を動かしてしまうことで、当該ピック対象物品の位置が画像処理装置による位置情報と異なってしまい、動かしたピック対象物品のピックが失敗したり、ピックの際に飛ばされた周辺の隣接しあるいは重なった物品が思いもかけないところで詰まり等のトラブルを引き起こし、更には、ピックできなかった物品が何度も物品供給装置の搬送経路を循環して物品が痛む等が起きる。これらの問題を防止するため、物品が当該長区間を通過するに要する時間内におけるピックアンドプレイス装置の物品処理可能個数の220%以内とすることが好ましい。但し、ピック設定範囲R1の区間xの大きさに対して物品の大きさが非常に小さい際(例えば物品の大きさが区間長さxの1/3以下)は、220%を超えていても上記の問題は生じにくい。図18(A)においては、長区間の供給量はピックアンドプレイス装置の物品処理可能個数の200%となり、長区間適正量供給の状態にある。
(2)物品供給装置による短期間一定供給が良好であるとは、ピックアンドプレイス装置のピック設定範囲R1において瞬間的に物品の量が不足し、ピックアンドプレイス装置が、物品をピックすることができずに待ち状態になることが起きないことである。即ち、物品供給装置の短い搬送区間(短い供給時間)の相互間における供給量の変動が小さい状態である。
短期間一定供給が良好な例は、例えば図18(A)に示す如く、短区間をなす各区間a、b、c、dに各2個の物品がある場合である(各短区間a、b、c、dの各密度は2個/短区間、長区間a〜b〜c〜dの合計密度は8個/長区間)。ピックアンドプレイス装置が区間aにある2個の物品から1個の物品を処理した後、ピックアンドプレイス装置は、物品供給装置のベルトコンベヤの移動によって次に区間bにある2個の物品から1個の物品を処理する。これが繰り返され、各区間がピックアンドブレイス装置を通過するとき、ピックアンドプレイス装置に物品の待ちがなく、ピックアンドブレイス装置は最大の処理能力を発揮できる。
一方、短期間一定供給が不良の例は以下の通りである。図18(B)の如く、区間aに2個、区間bに2個、区間cに0個、区間dに4個の各物品があったとする(長区間a〜b〜c〜dの合計密度は8個/長区間)。これは、長区間a〜b〜c〜dの物品供給量がピックアンドプレイス装置の物品処理可能個数の200%となり、長区間では適正量供給の状態にある。このとき、ピックアンドプレイス装置が区間a、bからそれぞれ1個の物品をピックした後、区間cは0個であるため、ピックアンドプレイス装置は区間cが通過するまで物品の待ちとなり、処理能力が低下する。区間dでは物品が多すぎて、即ちピックアンドプレイス装置にとってこの区間dの物品密度は高すぎてピックに失敗する可能性がある。長区間適正量供給の状態であっても、短期間一定供給が不良であると、ピックアンドブレイス装置は最大の処理能力を発揮できない。
(3)分散供給とは、物品間が接触していない、又は接触している物品個数が少数である状態をいう。例として、図18(B)の区間dの如く、4個の物品があってもそれらの物品間が接触していない状態は分散供給状態にある。物品供給装置が物品を分散供給することによって、物品の接触による画像認識精度の低下を防止でき、ディップチューブ付トリガーキャップのように互いに絡み易い物品については、ピックアンドプレイス装置によるピックの際にピック対象物品がその周辺の物品を動かしてしまうことで、当該ピック対象物品の位置が画像処理装置による位置情報と異なってしまい、動かしたピック対象物品のピックが失敗したり、ピックの際に飛ばされた周辺の隣接したり重なったりした物品が思いもかけないところで詰まり等のトラブルを引き起こすことも防止できる。図18(C)の区間a、b、c、dは図18(A)に対する比較例、図18(D)の区間dは図18(B)に対する比較例であり、各区間で物品が十分に分散されず、物品間が接触しているため、上述の画像認識精度の低下、物品が動くことによるピックの失敗、詰まりトラブル等の問題を生じ易い。
しかるに、特許文献1に記載の物品供給装置では、物品の投入量が少ないときには、高速ベルトコンベヤにより搬送されてくる物品を低速ベルトコンベヤ上の先行する物品に追い付かせ、低速ベルトコンベヤより下流側への物品供給量を一定化できる。
しかしながら、特許文献1に記載の物品供給装置においては、物品の投入量が多いとき、低速ベルトコンベヤ上での先後の物品間隔が近接し過ぎたり、重なりを生じてしまう。従って、低速ベルトコンベヤより下流側へ供給される物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給できないし、分散供給することもできない。
また、特許文献2に記載の物品供給装置では、物品(柿)を送り用コンベヤの送り方向に直交する幅方向に押圧する幅寄せ板の作用によって逆送り用コンベヤに圧接し、送り用コンベヤの送り方向に対して相反する方向に逆送り用コンベヤの搬送力を付与し、逆送り用コンベヤに圧接された物品のみを後方に移動することにより、各物品は停滞及びブリッジが起きるのを防止しながら、各物品を離間させた状態で供給しようとしている。
しかしながら、特許文献2に記載の物品供給装置においては、送り用コンベヤ上の各物品が相反する方向に変位する結果、物品がディップチューブ付トリガーキャップのような絡み易いものにあっては、物品の詰まりを生ずるおそれがある。従って、送り用コンベヤから下流側へ供給される物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給できないし、分散供給することもできない。
尚、特許文献1、2に記載の如くの物品供給装置では、物品サイズが大きく、ベルトコンベヤ上での占有面積が大きい物品の供給時に、隣接する物品の重なり、絡み合いを生じ易く、分散供給が一層困難になる。
本発明の課題は、物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給するとともに、分散供給できる物品供給装置を提供することにある。
請求項1に係る発明は、直列配置された複数のベルトコンベヤによって物品を搬送する物品供給装置であって、第1ベルトコンベヤの下流側に、第2ベルトコンベヤが直列配置され、第1ベルトコンベヤの搬送速度は、第2ベルトコンベヤの搬送速度より高速とされ、第1ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数は、第2ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数より小とし、第2ベルトコンベヤ上の物品を更にその下流側に送り出す送り出し手段を有してなるようにしたものである。
本発明の物品供給装置によれば、物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給するとともに、分散供給できる。
図1は実施例1の物品供給装置を示す平面図である。 図2は図1のII−II線に沿う矢視図である。 図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。 図4は物品投入量が多いときの物品供給状態を示す平面図である。 図5は物品投入量が少ないときの物品供給状態を示す平面図である。 図6は物品供給装置が備える桟と物品の関係を示す平面図である。 図7は図6のVI−VI線に沿う矢視図である。 図8は複数本の桟を用いた物品供給装置を示す平面図である。 図9は物品供給装置が備える桟の形状を示す平面図である。 図10は図9のX−X線に沿う矢視図である。 図11は実施例2の物品供給装置を示す平面図である。 図12は図11のXII−XII線に沿う矢視図である。 図13は実施例3の物品供給装置を示す平面図である。 図14は図13のXIV−XIV線に沿う矢視図である。 図15は物品供給装置の供給物品例を示す模式図である。 図16は物品供給装置の供給物品例を示す模式図である。 図17は物品供給装置の供給物品例を示す模式図である。 図18は物品供給装置による物品の供給状態を示す平面図である。
(実施例1)(図1〜図10)
図1〜図3に示す実施例1の物品供給装置100は、直列配置された複数のベルトコンベヤ(本実施例では、第1〜第3の3つのベルトコンベヤ10、20、30によって多数の物品1を搬送するものである。物品1は物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10に投入される。尚、本願におけるベルトコンベヤとは、搬送部がベルトによるものだけではなく、複数の樹脂モジュールのつなぎ合わせによるコンベヤ、トップチェーンコンベヤ(チェーン上に複数の樹脂等の部材を取付けたもの)といった、搬送面がベルトコンベヤのように概ね連続平面形状で無限軌道状である搬送装置も含むとする。
物品供給装置100は、第1ベルトコンベヤ10の下流側に第2ベルトコンベヤ20を直列配置している。第1ベルトコンベヤ10の搬送速度は第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速とされ、第1ベルトコンベヤ10の表面が物品1に対する摩擦係数は第2ベルトコンベヤ20の表面が物品1に対する摩擦係数より小とされる。
物品供給装置100は、第2ベルトコンベヤ20上の物品1を更にその下流側に送り出す送り出し手段50を有するものであり、本実施例では、送り出し手段50として第3ベルトコンベヤ30を用いた。第3ベルトコンベヤ30は第2ベルトコンベヤ20の下流側に直列配置され、第3ベルトコンベヤ30の搬送速度は第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速とされる。
第2ベルトコンベヤ20上の物品を更にその下流側に送り出す送り出し手段50としては、第2コンベヤ20の物品搬送速度よりも高速で物品1を搬送できるものであれば良く、第2コンベヤ20の下流端に到達した物品1を第2ベルトコンベヤ20の物品搬送速度よりも高速で下流に向けて搬送することで、物品1を切り出す、即ち、物品前後の距離を空けることができる。具体的には、送り出し手段として、ベルトコンベヤ、ローラーコンベヤ、振動コンベヤ、傾斜シュート等が挙げられる。
物品供給装置100は、少なくとも第1ベルトコンベヤ10と第2ベルトコンベヤ20の接続部の左右両側(各ベルトコンベヤ10、20の搬送方向に直交する幅方向の両側をいう)に左右の側面カバー60を設置している。本実施例では、第1〜第3のベルトコンベヤ10〜30の全長に沿う両側に側面カバー60を設置している。側面カバー60は第1〜第3のベルトコンベヤ10〜30により搬送される物品1がそれらの搬送面から幅方向の左右外側に溢れ出て脱落するのを防止する。尚、物品投入装置40の両側にも側面カバー70を設置している。
物品供給装置100は、第1ベルトコンベヤ10の搬送面に沿う上部に、第1ベルトコンベヤ10の搬送進み方向と概ね平行をなす長尺形状の桟80を設置している。桟80は、例えば、第1ベルトコンベヤ10の幅方向の中央部に設置され、該桟80の両側面と左右の側面カバー60との間に搬送区画を形成する。これにより、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10に投入される物品1は、桟80の両側の搬送区画に分配され、物品1を第1ベルトコンベヤ10の幅方向に分散投入可能にする。
従って、物品供給装置100にあっては、第1〜第3のベルトコンベヤ10〜30の作用により、物品投入装置40から投入される物品1を以下の如くにして下流工程へと供給する。
第1ベルトコンベヤ10から第2ベルトコンベヤ20上に搬送された物品1は、第2ベルトコンベヤ20が搬送速度を第1ベルトコンベヤ10より低速とされ、かつ摩擦係数を第1ベルトコンベヤ10より大きくされているために、第1ベルトコンベヤ10上にある後続の物品1にあたかも栓をしてその流れを妨げる如くに作用する。従って、第1ベルトコンベヤ10に投入された物品1は、第1ベルトコンベヤ10の表面を滑りながら、その下流部(第1ベルトコンベヤ10の出口と出口より上流方向に向かった一定範囲)において第2ベルトコンベヤ20上の先行物品1により流れを妨げられ、高密度な状態となる滑り集積エリアKを形成しながら搬送される。即ち、物品1は、第1ベルトコンベヤ10の上流部では低密度な状態であり、第1ベルトコンベヤ10の下流部では、第2ベルトコンベヤ20の直前の滑り集積エリアKで高密度状態になる。第1ベルトコンベヤ10への物品1の投入量が変動しても、第1ベルトコンベヤ10の下流部に形成される滑り集積エリアKは、搬送方向の長さが変化しながら存在し続ける。
図4、図5は、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10への物品1の投入量の変動に応じて、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部長さJに占める滑り集積エリアKの搬送方向の長さが変化しながら存在し続ける状態を示すものである。
即ち、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10への物品1の投入量が変動し、その投入量が増加したときには、図4に示す如く、第1ベルトコンベヤ10の下流側端から上流方向への滑り集積エリアKの搬送方向の長さが長くなる。ここで、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJを十分に長く設定しておくことで、滑り集積エリアKの長大化に対応できる。第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJは、第2ベルトコンベヤ20の物品搬送部の長さより長いことが好ましく、好ましくは1.2〜5倍、特に好ましくは1.5〜4倍程度とされる。また、物品1の最大長さに対する第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJは、その4倍以上が好ましく、特に好ましくは6倍以上である。
また、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10への物品1の投入量が変動し、その投入量が減少したときには、図5に示す如く、第1ベルトコンベヤ10の下流側端から上流方向への滑り集積エリアKの搬送方向の長さが短くなる。但し、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度を速くし過ぎないことで、滑り集積エリアKがなくなってしまうことを防止できる。即ち、第1ベルトコンベヤ10の最下流部に物品1がなくなることはない。また、物品投入装置40からの投入量の減少が続いた後にその供給量が増えたときには、第1ベルトコンベヤ10上の滑り集積エリアKに物品1を速やかに溜めねばならず、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度を高速化する必要がある。この2つの条件を満たすため、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度は、第2ベルトコンベヤ20の搬送速度の2〜10倍が好ましく、更に好ましくは3〜6倍の範囲で調整される。
第2ベルトコンベヤ20は、第1ベルトコンベヤ10の下流部の滑り集積エリアKで高密度となっている物品1がそのまま供給され、しかも該第2ベルトコンベヤ20の搬送速度を第1ベルトコンベヤ10より低速にし、かつ摩擦係数を第1ベルトコンベヤ10より大きくしているから、物品1を高密度で滞留させる物品滞留部Lを形成する。物品1は、第2ベルトコンベヤ20の表面を殆ど滑ることなく、低速で第3ベルトコンベヤ30へ向けて搬送される。従って、第2ベルトコンベヤ20から第3ベルトコンベヤ30への物品1の供給量と供給状態は、第1ベルトコンベヤ10への物品投入量が変動しても、殆ど変動しない。
第3ベルトコンベヤ30は、第2ベルトコンベヤ20上の物品1を更にその下流側に送り出す送り出し手段50を構成する。第3ベルトコンベヤ30の搬送速度を第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より適度に高速とすることで、第3ベルトコンベヤ30上の物品1は第2ベルトコンベヤ20上の高密度状態から所望の低密度状態(目標密度状態)に調整されて搬送され、更に下流へと一定量供給されるとともに、一定間隔に分散される。
即ち、物品供給装置100にあっては、第2ベルトコンベヤ20が形成する滑り集積エリアKがあたかも水を貯めるダムの働きをする。ダムへ流れ込む水量が変化しても、ダムからの放水量は一定とする働きである。第1ベルトコンベヤ10への物品投入量が変動しても、第2ベルトコンベヤ20から第3ベルトコンベヤ30への供給量と供給状態は殆ど変動することがない。従って、第3ベルトコンベヤ30の搬送速度(送り出し速度)により下流工程へと送り出される物品1は、長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給するとともに、分散供給できる。
物品供給装置100が供給対象とする物品1は特に限定されないが、例えば、ディップチューブ付ポンプキャップ、ディップチューブ付トリガーキャップ、ねじ込み式又は打ち込み式のキャップ、ボトル等が挙げられる。特に、第1ベルトコンベヤ10や第2ベルトコンベヤ20等の搬送面の幅に対して占める割合が高い大きなサイズの物品、軽量な物品、鋭利な部分を有さない物品の供給に適している。大きいサイズの物品1は各ベルトコンベヤ10、20、30上での占有面積が大きいため、物品同士で隣接したり重なり易く、分散困難なため、本発明による分散作用の効果が顕著になる。また、物品1は第1ベルトコンベヤ10の表面を滑るため、軽量な物品1や鋭利な部分を有さない物品1は、ベルトコンベヤのベルト面を傷付けにくく、ベルト寿命が短くなることを回避できる。
以下、物品供給装置100の第1ベルトコンベヤ10、第2ベルトコンベヤ20、第3ベルトコンベヤ30、物品投入装置40、側面カバー60、桟80のそれぞれについて詳述する。
(第1ベルトコンベヤ10)(図1、図2)
第1ベルトコンベヤ10の表面と物品1との間の摩擦係数は、前述の通り、第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数より小さい。摩擦係数が小さい材質として、シリコン含浸帆布、ポリウレタン、樹脂等が選択される。第1ベルトコンベヤ10の駆動装置11は、インバータモータやサーボモータ等の速度調整が容易な駆動装置とされ、制御装置90により駆動制御されることで、滑り集積エリアKの長さを適度な長さに調整できる。第1ベルトコンベヤ10の最上流部に物品1が搬入されるとき、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJは、図1に示す如く、第1ベルトコンベヤ10の搬送方向に沿う全長になる。
(第2ベルトコンベヤ20)(図1、図2)
第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数は大きいほうが好ましい。摩擦係数が大きい材質として、ポリウレタン、シリコーンゴム、高分子ゲル等が選択される。また、その表面に凹凸加工を施したり、植毛する等の方法によって摩擦係数を大きくしたものを用いても良い。第2ベルトコンベヤ20の駆動装置21は、インバータモータやサーボモータ等の速度調整が容易な駆動装置とされ、制御装置90により駆動制御されることで、滑り集積エリアKの長さを適度な長さに調整できる。第2ベルトコンベヤ20の物品搬送部の長さJは、第2ベルトコンベヤ20の搬送方向に沿う全長になる。
(第3ベルトコンベヤ30)(図1、図2)
第3ベルトコンベヤ30の表面と物品1との間の摩擦係数は特に限定されない。第3ベルトコンベヤ30により第2ベルトコンベヤ20から送り出された物品1同士が第3ベルトコンベヤ30上でなす間隔を、第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速な第3ベルトコンベヤ30上で確実に開くためには、第3ベルトコンベヤ30の表面と物品1との間の摩擦係数は大きいほうが良い。後述する、第3ベルトコンベヤ30上に物品加速手段110を有してなるときには、物品1を第3ベルトコンベヤ30の搬送面上で滑らせるため、第3ベルトコンベヤ30の表面と物品1との間の摩擦係数は小さいほうが良い。第3ベルトコンベヤ30の駆動装置31は、インバータモータやサーボモータ等の速度調整が容易な駆動装置とされ、制御装置90により駆動制御されることで、物品1同士の間隔を自在に調整することができる。第3ベルトコンベヤ30の搬送速度は、第2ベルトコンベヤ20の搬送速度の1.2〜10倍程度が好ましく、更に好ましくは1.5〜5倍程度である。
(物品投入装置40)(図1、図2)
物品投入装置40は特に限定されない。例えば、ベルトコンベヤ、ローラーコンベヤ、振動コンベヤ、傾斜シュート等の物品投入装置40が適宜選択される。ベルトコンベヤからなる物品投入装置40は、第1ベルトコンベヤ10への物品投入量の調整が一定にできて好ましい。このベルトコンベヤの駆動装置41は、インバータモータやサーボモータ等の速度調整が容易な駆動装置とされ、制御装置90により駆動制御される。物品投入装置40がベルトコンベヤであるとき、物品投入量が不足しないように、その搬送速度を第1ベルトコンベヤ10の搬送速度と同等もしくはそれ以上とすることが好ましい。また、物品投入装置40のベルトコンベヤの表面性状については限定されない。
以下、第1ベルトコンベヤ10、第2ベルトコンベヤ20、第3ベルトコンベヤ30、物品投入装置40の搬送速度、物品1との摩擦係数の好適範囲について説明する。
第1ベルトコンベヤ10の搬送速度は、第2ベルトコンベヤ20の速度の2倍以上とすることで、物品投入装置40からの物品投入量が低下しても滑り集積エリアKが存在できて好ましい。また、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度を、第2ベルトコンベヤ20の速度の8倍以下とすることで、物品投入装置40からの物品投入量が増加しても滑り集積エリアKが長くなり過ぎることがなく、第1ベルトコンベヤ10における詰まりのトラブルを防止できて好ましい。
第3ベルトコンベヤ30の搬送速度は、第2ベルトコンベヤ20の速度の1.5倍以上とすることで、第3ベルトコンベヤ30により第2ベルトコンベヤ20から送り出された物品1同士の第3ベルトコンベヤ30上における間隔を一定間隔以上に広げることができ、下工程の生産装置が物品1を扱い易くできて好ましい。また、第3ベルトコンベヤ30の搬送速度を、第2ベルトコンベヤ20の速度の5倍以下とすることで、物品1の移動速度が速過ぎて下工程の生産装置が検査不能となる等を回避できるし、下工程の生産装置が物品1を扱い不能になることを防止できて好ましい。
第1ベルトコンベヤ10の表面と物品1との間の摩擦係数は、物品1が第1ベルトコンベヤ10の表面を滑るときに傷付くことを防止するため、好ましくは0.2以下になり、また、最低限度の搬送力を物品1に伝えるため、好ましくは0.05以上になるように、ベルトコンベヤの表面材質が選定される。第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数は、第1ベルトコンベヤ10の表面の物品1にあたかも栓をしてその流れを妨げる作用ができる程度に高くなるように、当該ベルトコンベヤの表面材質が選定される。第1ベルトコンベヤ10の表面と物品1との間の摩擦係数は、必ず、第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数より小となる組合せになるように、両ベルトコンベヤ10、20の表面材質が選定される。両ベルトコンベヤ10、20の摩擦係数の差は0.1以上あるほうが、後述するように第1ベルトコンベヤ10上に適切な長さの滑り集積エリアKが存在できて好ましい。また、第2ベルトコンベヤ20の表面材質は、第1ベルトコンベヤ上の物品1の流れを完全に妨げて第1ベルトコンベヤ10に物品1の詰まりが発生することを防止するため、上流の第1ベルトコンベヤ10上の物品から強い力で押された第2ベルトコンベヤ20上の物品が僅かに滑ることを許容するべく、第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数が0.7以下になるような値に選定することが好ましい。
物品投入装置40がベルトコンベヤであるとき、物品投入装置40のコンベヤ速度は、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度と同等もしくはそれ以上とすることで、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10への物品投入量が不足することを防止できて好ましく、特に好ましくは、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度の0.9〜2.0倍程度である。
各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送速度の例としては、第1ベルトコンベヤ10は30m/min、第2ベルトコンベヤ20は6m/min、第3ベルトコンベヤは15m/minに設定される。また、物品投入装置40がベルトコンベヤであるときのコンベヤ速度の例としては、40m/minに設定される。即ち、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度は第2ベルトコンベヤ20の搬送速度より高速であり、第3ベルトコンベヤ30の搬送速度は第2ベルトコンベヤ20の搬送速度よりも高速である。また、物品投入装置40のコンベヤ速度は、第1ベルトコンベヤ10の搬送速度以上に設定される。
各ベルトコンベヤ10、20、30の表面と物品1との間の摩擦係数の例としては、物品1の材料が例えばポリプロピレン樹脂であるとき、第1ベルトコンベヤ10は0.05程度、第2ベルトコンベヤ20は0.2程度になるようにベルト材質が選定される。第1ベルトコンベヤ10のベルト材質はシリコンオイル含浸の帆布、第2ベルトコンベヤ20のベルト材質はポリウレタン、表面形状は平滑なものとされる。即ち、第1ベルトコンベヤ10の表面と物品1との間の摩擦係数は、第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数より小とされる。
以上のように、各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送速度を好ましい速度に調整し、また各ベルトコンベヤ10、20、30の表面と物品1との間の摩擦係数が好ましい状態となるようにベルト材質を選定することで、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10への物品投入量が変動しても、第1ベルトコンベヤ10上に適切な長さの滑り集積エリアKを存在させることができる。ひいては、第3ベルトコンベヤ30上に、一定供給量で、一定間隔に分散された、物品1の供給状態を形成することができる。
このとき、第1ベルトコンベヤ10の滑り集積エリアKでは、物品1が第1ベルトコンベヤ10の表面を滑りながら搬送されるため、その搬送力が僅かな抵抗で失われ、詰まりのトラブルとなることがある。従って、特に滑り集積エリアKの周辺で、第1ベルトコンベヤ10の表面以外の物品1と接触する部材は、物品1が引っ掛かり易いものであってはならない。各ベルトコンベヤ10、20、30の左右に設けられる側面カバー60は容易に物品1が引っ掛かる原因となり得る。側面カバー60の物品1が接触する面は物品との接触抵抗を小さくすることが必要である。接触抵抗が小さいとは、側面カバー60は物品1との摩擦係数が小さいこと、物品1と接触する側の面に凹凸や突起等の物品1の流れを妨げるものがないこと、また、側面カバー60内に段差がないこと等である。更に、左右の側面カバー60がなす間隔を各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送方向の下流に向けて僅かに広げていく斜め設置とすることによっても物品との接触抵抗を小さくすることが可能である。
側面カバー60は、物品1の引っ掛かり防止のために、物品1との摩擦係数が小さいことが必要である。側面カバー60の物品1と接触する側の面は、物品1との摩擦係数が小さい表面としておくことが、詰まり防止の点から好ましい。側面カバー60の材質としては、例えば、ポリアセタールや超高分子ポリエチレン等の滑り性の良い樹脂が選択される。また、金属表面にフッ素コーティング等の表面処理を施したり、メッキを施したり、滑り性の良いテープを貼ることでも摩擦係数を小さくすることができる。
側面カバーは、物品1の引っ掛かり防止のために、物品1と接触する側の面に凹凸や突起等の物品1の流れを妨げるものがないことが好ましい。例えば、詰まり検知センサを設置するために側面カバー60に穿設される穴はできる限り小さくすると、物品1が引っ掛かり難くなって効果的である。検知センサ設置用の穴を透明樹脂で塞ぐと、更に物品1が引っ掛かり難くなり更に好ましい。図2、図3に示す如くの覗き窓61を側面カバー60に設けるときには、覗き窓61の最下位置は物品1が通過する位置よりも高い位置とすることで、覗き窓61に物品1が引っ掛かることを由来とする詰まりを防止できる。物品1がディップチューブ付トリガーキャップの場合には、物品1が重なったり立ち上がったりすると、ディップチューブ先端が覗き窓61の高さまで達することがある。このように物品1の一部が高い位置まで達するような形状のときには、側面カバー60から覗き窓61が飛び出していたり引っ込んでいないようにすると、物品1が覗き窓61と側面カバー60の境界で引っ掛かることを防止できる。更に、覗き窓61の形状については、その水平方向に交差して上下に延びる外郭線が、物品1の搬送進み方向に関してその上側がその下側より下流側に位置するように傾いていると、物品1が覗き窓61と側面カバー60の境界に生ずる凹部又は凸部に引っ掛かりを生じても、物品1は搬送の進行に伴って上方へ移動するため、詰まりを防止できる。
側面カバー60は、第1ベルトコンベヤ10の側と第2ベルトコンベヤ20の側で共通化されるように一体に連なっているほうが、当該側面カバー60内に段差を生ずることがなく、詰まり防止になって好ましい。但し、側面カバー60は、第1ベルトコンベヤ10の側と第2ベルトコンベヤ20の側で別体とされても良い。また、各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送方向に沿う途中で別体の側面カバー60が接続されても良い。詰まり防止のため、上流側の側面カバー60と下流側の側面カバー60のつなぎ目においては、下流側の左右の側面カバー60がなす間隔は、上流側の左右の側面カバー60がなす間隔よりも僅かに広くすると、そのつなぎ目に物品が引っ掛かるような段差を生じなくて好ましい。また、左右の側面カバー60がなす間隔を各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送方向の下流に向けて僅かに広げていく斜め設置とすることで、物品1は搬送の進行につれて側面カバー60から離れていくため、物品1が引っ掛かることを防止できて特に好ましい。この場合、各ベルトコンベヤ10、20、30の搬送進み方向に対する左右片側の側面カバー60の広げ角は、0.5〜3度程度と小さくしておくと、左右の側面カバー60の間隔が下流側で極度に広くなることを防止できるので、各ベルトコンベヤ10、20、30のコンベヤ幅が広くなって、物品供給装置100の設置スペースが広くなることを防止できて好ましい。
各ベルトコンベヤ10、20、30のベルト面に対してなす側面カバー60の高さは、ベルト面上にある物品1の高さより高くすることが、物品1の左右への溢れ出しを確実に防止できて好ましい。その高さはベルト面にある物品1の高さの2倍以上が好ましい。但し、側面カバー60の物品1と接触する側の面について物品1との摩擦係数を小さくしていても、物品1が詰まるときには、側面カバー60の高さをベルト面上にある物品1の高さに対して同等以下とし、物品1を左右に溢れさせることで詰まりの発生を防止できる。このとき、第1ベルトコンベヤ10と第2ベルトコンベヤ20付近の左右両側の下部にリターンコンベヤを設け、溢れ出た物品1を物品投入装置40まで戻すことができる。
(桟80)(図1、図2、図6〜図10)
桟80は、前述した如く、第1ベルトコンベヤ10の搬送面に沿う上部に設置され、第1ベルトコンベヤ10の搬送進み方向と概ね平行をなす長尺形状である。桟80は、第1ベルトコンベヤ10の幅方向に搬送区画を形成し、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10に投入される物品1をそれらの搬送区画に分散して投入可能にする。
桟80は、第1ベルトコンベヤ10の出口においては、その下方から立ち上がる支柱82によって支持され第1ベルトコンベヤ10の搬送面に現れないことが好ましい。第1ベルトコンベヤ10の上方から支持すると、その支持する支柱に物品が詰まるためである。第1ベルトコンベヤ10の入口においても同様に、その下方から立ち上がる支柱81によって支持されることが好ましい。但し、後述する桟80の上方から物品1を供給する場合には、第1ベルトコンベヤ10の入口において桟10を支持する支柱81に物品1が触れることはないから、桟80は第1ベルトコンベヤ10の上方を含むいずれの方向から設置される支柱によっても支持できる。
桟80は、物品1が詰まらないようにその表面と物品1との間の摩擦係数を小さくする必要があり、凹凸がなく、滑らかな表面であることが必要とされる。桟80の上部は角に丸みを帯びているほうが、物品1が傷付くことを防止できて好ましい。
桟80の材質は、物品1が詰まらないようにその表面と物品1との間の摩擦係数が小さいものが選定される。例えば、ポリアセタールや超高分子ポリエチレン等の滑り性の良い樹脂が選択される。また、金属表面にフッ素コーティング等の表面処理を施したり、メッキを施したり、滑り性の良いテープを貼ることでも摩擦係数を小さくすることができる。
桟80の設置本数は、特に限定されず、図6に示す1本、或は図8に示す2本等を採用できるが、第1ベルトコンベヤ10の搬送面の幅方向に対して物品1の間隔を確実に開きたいときには、第1ベルトコンベヤ10の幅寸法と物品1の大きさによって定めることができる。即ち、物品1が第1ベルトコンベヤ10上で搬送させたい方向に位置付けられたとき、桟80と側面カバー60の間隔W1(図6、図8)や、桟80と桟80の間隔W2(図8)が、その物品幅W(搬送面上における物品1の搬送進み方向と直角をなす方向の幅)より、やや大きい幅になるように本数が定められる。これにより、桟80と側面カバー60、又は桟80と桟80の間に2個以上の物品が併走することなく、概ね1個の物品1が位置するものになり、第1ベルトコンベヤ10の搬送面の幅方向に物品1を分散することができる。桟80と側面カバー60の間隔W1、桟80と桟80の間隔W2を、物品1を搬送させたい方向にて1列で通過できる寸法に設定すると、第1ベルトコンベヤ10上で桟80を挟んで位置する物品1の間隔が概ね一定となり、良好な物品供給状態になる。従って、桟80と側面カバー60の間隔W1、桟80と桟80の間隔W2は、物品1を搬送させたい方向に位置付けたときの上述の物品幅Wの110〜180%程度が好ましく、特に好ましくは、120〜160%程度である。
桟80の長さは、第1ベルトコンベヤ10の搬送方向に沿う物品搬送部の長さJの大部分を占め、好ましくはその長さJの80〜100%である。桟80は、必要に応じて、第2ベルトコンベヤ20まで、第3ベルトコンベヤ30まで、或は第3ベルトコンベヤ30よりも更に下流側まで延長しても良い。図8では、2本の桟80を第2ベルトコンベヤ20まで延長している。
桟80の高さh1(図7)は第1ベルトコンベヤ10のベルト面上にある物品の高さh(図7)と概ね同等にすることが詰まり防止の点から好ましい。特に、滑り集積エリアKでは、物品1が第1ベルトコンベヤ10の表面を滑りながら搬送されるため、物品1が桟80と側面カバー60の間の僅かな抵抗で搬送力を失われ、詰まりのトラブルとなり易い。これを防止するため、桟80はある程度以下の高さとされる。詰まりが生じそうなときに、物品1は桟80の上に乗り上がり、詰まることなく搬送される。また、物品1を第1ベルトコンベヤ10上で確実に2列に分配できるように、ある程度以上の高さも必要である。桟80の高さh1は、好ましくは、第1ベルトコンベヤ10のベルト面上にある物品1の高さhの60〜140%程度、特に好ましくは80〜120%程度である。例えば、ディップチューブ付トリガーキャップ等のように、物品1が互いに絡まりあって詰まりを発生し易い場合には、物品1が詰まりそうなときに桟80を乗り越えることで桟80と側面カバー60から受ける抵抗をなくし、詰まり回避できるように、その高さh1は更に低くすることが好ましく、物品1の高さhの60〜100%程度が好ましい。
桟80の幅は、物品1に窪み部がないときには、特に限定されない。桟80の幅は、物品1に窪み部があるときには、その窪み幅より大きくすることで、物品1の窪み部が桟80に引っ掛かることを防止できて好ましい。物品1の窪み部があまりに大きいときには、桟80の幅は、物品1の窪み幅より小さくても良いが、桟80の表面の角を丸めることでも、物品1の窪み部が桟80に引っ掛かることを防止できる。桟80は、第1ベルトコンベヤ10の搬送方向に沿う上流端の形状を斜面や曲面とすることで、物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10に投入される物品1が桟80の上流端に引っ掛かることを防止できて好ましい。
以下、桟80の高さと幅のベストモード(図9、図10)について説明する。
第1ベルトコンベヤ10の搬送面に沿って設けられる桟80は、第1ベルトコンベヤ10の搬送方向に向かって、徐々にその高さが高くなることが好ましい。その高さを徐々に高くすることで、物品1を詰まらせることなく、物品1を搬送することができる。桟80の上面が水平面に対する角度α(図10)は、0.5〜8度程度が好ましく、特に好ましくは1〜6度程度である。このときの好ましい桟80の高さh1は、滑り集積エリアK付近において、前述の如く、第1ベルトコンベヤ10のベルト面上にある物品1の高さhと概ね同等にすることが好ましい。
第1ベルトコンベヤ10の搬送面に沿って設けられる桟80は、第1ベルトコンベヤ10の搬送方向に向かって、徐々にその幅が狭くなることが好ましい。その幅を徐々に狭くすることで、物品1を詰まらせることなく、物品1を搬送することができる。物品1の搬送方向に向かって狭まっていく桟80の左右の各側面の角度β(図9)は、0.5〜5度程度が好ましく、特に好ましくは1〜3度程度である。
(実施例2)(図11、図12)
図11、図12に示した実施例2の物品供給装置100Aが実施例1の物品供給装置100と異なる点は、第1ベルトコンベヤ10の搬送面に沿う上部に設けた桟80の全長のうち、第1ベルトコンベヤ10の上流側に位置する一部の桟80の上方に、物品投入装置40を配置したことにある。物品投入装置40から第1ベルトコンベヤ10に物品1を落下して投入するものであり、物品1そのものの損傷や、第1ベルトコンベヤ10の損傷を防止するため、例えば、樹脂製品、中空形状品、キャップ、ボトル等の軽量な物品1の投入に適している。
物品供給装置100Aでは、物品投入装置40からの物品1の落下領域に桟80の始端部でなく長手方向中間部が存在するものになり、物品1に窪み部があっても、物品1は桟80の上流側の始端部に引っ掛かることがなくて好ましい。
また、互いに絡み易い物品1の投入時には、物品投入装置40の出口と第1ベルトコンベヤ10の搬送面との間に高さの差h2(落差)があるから、落差の勢い、又は落下途中に設けた不図示の絡み防止用障害物の存在により、この絡みをとることもできる。絡み易い物品1の例としては、ディップチューブ付ポンプキャップ(図16)、ディップチューブ付トリガーキャップ(図17)等が挙げられる。
物品投入装置40の出口と第1ベルトコンベヤ10の搬送面との落差h2は、第1ベルトコンベヤ10のベルト面上にある物品1の高さより大きくすることが、その落差のある部分に物品1が挟まり傷付くことを防止できて好ましい。また、この落差h2を一定以下の高さとすることで、落下の際に物品1が破損したり、傷付くことを防止できる。また、第1ベルトコンベヤ10の表面の損傷も防止できる。物品投入装置40の出口と第1ベルトコンベヤ10の搬送面との段差h2は、第1ベルトコンベヤ10のベルト面上にある物品1の高さの120〜1000%が好ましく、特に好ましくは200〜600%である。
実施例2において、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJは、図11に示す如く、第1ベルトコンベヤ10の全長ではなく、第1ベルトコンベヤ10の途中部で物品1が落下する位置から第1ベルトコンベヤ10の下流端までの長さとなる。
(実施例3)(図13、図14)
図13、図14に示した実施例3の物品供給装置100Bが実施例1の物品供給装置100と異なる点は、第3ベルトコンベヤ30の表面と物品1との間の摩擦係数を、第2ベルトコンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数より小とし、第3ベルトコンベヤ30の搬送面上で物品1を第3ベルトコンベヤ30の搬送進み方向に滑らせて加速する加速手段110を有したことにある。第2ベルトコンベヤ20の搬送速度と、より高速な第3ベルトコンベヤ30の搬送速度との速度差により、第3ベルトコンベヤ30によって第2ベルトコンベヤ20から更にその下流へ送り出された物品1同士の第3ベルトコンベヤ30上における間隔を開くことに加え、加速手段110によってそれらの物品間隔を更に開くことができる。
加速手段110としては、エアー圧を物品1に付与することにより物品1を加速する加速手段、BOXモーション式の四角運動機構により四角運動される押し板により物品1に押し出し力を付与することにより物品1を加速する加速手段、回転羽により物品1に押し出し力を付与することにより物品1を加速する加速手段等が挙げられる。この中でも特に、エアー圧を用いる加速手段が、加速手段110による物品詰まりの発生のおそれがなく、最も好ましい。
加速手段110による加速の方向は、第3ベルトコンベヤ30の搬送方向に沿う方向や、その搬送方向からやや左右外側に向けた方向に設定される。第3ベルトコンベヤ30の表面と物品1との間の摩擦係数が、第2コンベヤ20の表面と物品1との間の摩擦係数より小とされているから、物品1は加速手段110による加速作用を受けて第3ベルトコンベヤ30の表面を滑って互いの間隔を広げることができる。
加速手段110は、第3ベルトコンベヤ30の搬送速度を大きくすることが困難なときに特に有効になる。第3ベルトコンベヤ30の搬送速度を大きくすることが困難なときとは、例えば、第3ベルトコンベヤ30もしくはその下流側のベルトコンベヤ上の物品1について、画像処理装置によって物品1を検出したり、物品1の位置と方向を確認してピックアンドプレイスを行なう場合である。画像処理装置は、物品1を検出可能とする物品1の移動速度に限界があり、更に、搬送中の物品同士が接触していると個々の物品1を認識できないこともあるため、物品1の搬送速度を一定以下に制限しながら、物品1の間隔を広げることが求められる。
図13、図14は、加速手段110としてノズルブロック111に設けたエアーノズル112を用いた例である。ノズルブロック111は不図示の支持部によって上方から支持されている。ノズルブロック111は、第3ベルトコンベヤ30上の物品1が下方を通過可能な間隔を介して、第3ベルトコンベヤ30の上方に設置される。ノズルブロック111にはエアーノズル112が取付けられ、本実施例では2個のパイプ状エアーノズルが第3ベルトコンベヤ30の搬送方向に対してやや左右外側に向けた方向に取付けられている。また、エアーノズル112は第3ベルトコンベヤ30の搬送進み方向に対してやや下向きとすることで、エアーノズル112からのエアー圧が確実に物品1に作用する。エアーノズル112から噴出されるエアー圧によって物品1は進行方向に物品間隔を広げられる。更に、本実施例のエアーノズル112は、やや左右外側向きとされているから、ノズルブロック112の下を通過する物品1にエアー圧を作用させないものになり、物品1はノズルブロック111の直下を通過する1列と、その左右を通過する2列の全3列に分離されて搬送されるものになる。エアーノズル112から噴出されるエアー圧の風量、風速は、物品1が適切に第3ベルトコンベヤ30の表面を滑り、かつ、物品1が吹き飛ばされてその流れに乱れを生ずることがないように調整される。また、エアーノズル112から噴出されるエアー圧の使用量を節約するため、エアーノズル112へのエアー圧の供給は間欠供給としても良い。
図15は、本発明の物品供給装置(100、100A、100B)が供給対象とするキャップ、ボトルの例示である。図16は、本発明の物品供給装置(100、100A、100B)が供給対象とするディップチューブ付ポンプキャップの例示である。図17は、本発明の物品供給装置(100、100A、100B)が供給対象とするディップチューブ付トリガーキャップの例示である。物品供給装置において搬送中の物品は、下工程のピックアンドプレイス装置に供給されるものとなるため、その最大長さを有する部分がベルトコンベヤ上に接触するように寝転がったものが大部分となる。更に物品はベルトコンベヤとの接触面が最大となるような向きで安定した搬送姿勢となる。そのときの高さがベルトコンベヤ上における物品高さhとなる。
物品投入装置40の供給量を制御することで、第1ベルトコンベヤ10の下流側端から上流方向への滑り集積エリアKの搬送方向の長さを一定範囲内とすることが可能となる。まず、図4、5に示す如く、上限位置91、下限位置93を設定する。上限位置91は、第1ベルトコンベヤ10の下流側端を起点として、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJの0.4〜0.7倍が好ましい。この値を一定値以下とすることで、物品1は第1ベルトコンベヤ10の上流側で詰まりを生じることを防止できる。また、この値を一定値以上とすることで、上限位置91から下限位置93までの距離が十分に得られて、制御が容易になる。下限位置93は、第1ベルトコンベヤ10の下流側端を起点として、第1ベルトコンベヤ10の物品搬送部の長さJの0.05〜0.35倍が好ましい。この値を一定値以下とすることで、上限位置91から下限位置93までの距離が十分に得られて、制御が容易になる。また、この値を一定値以上とすることで、第2ベルトコンベヤ20への物品供給が途切れることを防止できる。
滑り集積エリアKの搬送方向の長さが上限位置91、下限位置93に対してどのような状態にあるかの認識方法は特に限定されず、例えば、画像処理装置やセンサなどの認識手段によって行われる。認識手段がセンサである場合の例として、図4、図5に示す如く、上限位置91の付近に上限位置確認センサ92、下限位置93付近に下限位置センサ94を設置する。センサは物品1の有無を確認できれば、特に種類は限定されず、例えば光学式のセンサが安価で好ましい。各センサ92、94のセンサビーム95、96にて、物品を認識している状態をON、認識していない状態をOFFとする。ON状態が一定時間以上続いていれば、滑り集積エリアKがその位置まで達しているということである。例えばON時間が2.0秒以上であれば、その位置まで達していると判断できる。このセンサがON/OFFを一定時間以内に繰り返している際は、滑り集積エリアKがその位置まで達していないということである。例えばON時間が1.0sec以内でOFFに切り替わるならば、その位置まで達していないと判断できる。これら設定時間などの制御条件は、物品の搬送速度と大きさによって適宜調整される。これによって、滑り集積エリアKの搬送方向の長さを認識することが可能である。
図4の如く上限位置91よりも滑り集積エリアKの搬送方向の長さが上流方向に長い際は、物品投入装置40の供給量を減少させる。図5の如く、下限位置93よりも滑り集積エリアKの搬送方向の長さが下流方向に短い際は、物品投入装置40の供給量を増加させる。物品投入装置40を制御する際の減少時や増加時の供給量は、適宜調整されて設定される。物品投入装置40がベルトコンベヤである際、前述した制御を行わない際の好適範囲(第1ベルトコンベヤ10の搬送速度の0.9〜2.0倍程度)の以上/以下の設定となっても良い。このような制御によって、集積エリアKの搬送方向の長さを一定範囲内とすることが可能となる。認識手段がセンサであるとき、上限位置確認センサ92のみを用いて、ONが続く際は物品投入装置40の供給量を減少させ、ON/OFFを繰り返す際は物品投入装置40の供給量を増加させる制御とすると、認識装置は低コストとなり、しかも簡易な制御とすることができるので好ましい。
本発明の物品供給装置によれば、物品を長区間的にも、短区間的にも常に安定的に一定供給するとともに、分散供給できる。
1 物品
10 第1ベルトコンベヤ
20 第2ベルトコンベヤ
30 第3ベルトコンベヤ(送り出し手段)
40 物品投入装置
50 送り出し手段
60 側面カバー
80 桟
91 上限位置
93 下限位置
100、100A、100B 物品供給装置
110 加速手段
J 物品搬送部の長さ
K 滑り集積エリア
L 物品滞留部

Claims (9)

  1. 直列配置された複数のベルトコンベヤによって物品を搬送する物品供給装置であって、
    第1ベルトコンベヤの下流側に、第2ベルトコンベヤが直列配置され、
    第1ベルトコンベヤの搬送速度は、第2ベルトコンベヤの搬送速度より高速とされ、
    第1ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数は、第2ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数より小とし、
    第2ベルトコンベヤ上の物品を更にその下流側に送り出す送り出し手段を有してなる物品供給装置。
  2. 前記送り出し手段が、第2ベルトコンベヤの下流側に直列配置された第3ベルトコンベヤからなり、第3ベルトコンベヤの搬送速度は、第2ベルトコンベヤの搬送速度より高速とされる請求項1に記載の物品供給装置。
  3. 前記第1ベルトコンベヤの搬送面に沿う上部に、第1ベルトコンベヤの搬送進み方向と概ね平行をなす長尺形状の桟が設置されてなる請求項1又は2に記載の物品供給装置。
  4. 前記桟の全長のうち、第1ベルトコンベヤの上流側に位置する一部の上方に、第1ベルトコンベヤへの物品投入装置が配置されてなる請求項3に記載の物品供給装置。
  5. 前記桟は、第1ベルトコンベヤの進行方向に向けて、徐々にその高さが高くなる請求項3又は4に記載の物品供給装置。
  6. 前記桟は、第1ベルトコンベヤの進行方向に向けて、徐々にその幅が狭くなる請求項3〜5のいずれかに記載の物品供給装置。
  7. 前記第1ベルトコンベヤと第2ベルトコンベヤにおける少なくともそれらの接続部の両側には側面カバーが設置され、側面カバーの物品が接触する面は物品との接触抵抗を小さくする性状を備える請求項1〜6のいずれかに記載の物品供給装置。
  8. 前記第1ベルトコンベヤの物品搬送部の長さは、第2ベルトコンベヤの物品搬送部の長さより長く設定されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の物品供給装置。
  9. 前記第3ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数は、第2ベルトコンベヤの表面が物品に対する摩擦係数より小とし、
    前記第3ベルトコンベヤの搬送面上で物品を第3ベルトコンベヤの進行方向に向けて滑らせて加速する手段を有してなる請求項1〜8のいずれかに記載の物品供給装置。
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