JP2015215987A - 非水二次電池 - Google Patents

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裕史 中嶋
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孝之 大脇
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Abstract

【課題】電池性能を確保しつつ、安全性に優れた非水二次電池を提供する。
【解決手段】正極、負極、セパレータおよび非水電解質を構成要素とする非水二次電池であって、前記正極と前記負極の間に多孔層を有し、前記多孔層は粒子状樹脂とバインダ樹脂とを有し、前記粒子状樹脂は70〜150℃で軟化し、且つ151〜200℃で固化する材料であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、安全性に優れた非水二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池をはじめとする非水二次電池は、エネルギー密度が高いといった特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。そして、携帯機器の高性能化に伴って非水二次電池の高容量化が更に進む傾向にあり、それと共に、使用寿命の延長、安全性や信頼性の向上といった各種研究開発に対して継続的な努力が要求される。
従来から、非水二次電池のセパレータとしては、厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の多孔質フィルム(微多孔膜)が使用されており、そのポリオレフィンには、特に、電池の熱暴走温度以下で空孔が閉塞することによって電池の内部抵抗を上昇させ、短絡の際などに電池の安全性を向上させるシャットダウン機能を確保するために、ポリエチレンが使用されている。
しかしながら、ポリオレフィン系の多孔質フィルムでは多孔質化や強度向上などを目的として、一軸延伸や二軸延伸を施したものが用いられている。そのため、こうした多孔質フィルム製のセパレータには延伸による歪が生じていることから、高温時に残留応力によって収縮するといった問題がある。
ポリエチレン製の多孔質フィルムセパレータの場合、その収縮温度は、ポリエチレンの融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリエチレン製の多孔質フィルムセパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達したときに、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。セパレータの空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
こうした事情を受けて、耐内部短絡性能の向上を図り、これを用いた非水二次電池などの電気化学素子の信頼性や安全性を高める検討もなされている。
特許文献1には、セパレータの熱収縮に伴う電池の安全性や、各種原因による内部短絡に対する信頼性を高めるべく、150℃における熱収縮率が10%以上の樹脂多孔質膜の表面に耐熱性粒子を特定の量含む耐熱多孔質層を設ける技術について、既に特許出願を済ませている。
しかし、その一方で、従来から使用されているポリオレフィンなどの耐熱性の比較的低い熱可塑性樹脂で構成された多孔質フィルム製のセパレータを使用しつつ、前記の熱収縮による問題を解消する技術の開発に対する要望もある。
特許文献2には、電池が異常発熱する環境下および過充電時での安全性を確保する目的で、セパレータ複合膜中にPE粒子を混合してシャットダウン機能をもたせることが提案されている。そして具体的には、PE微粒子が付着した不織布にフッ化ビニリデン樹脂含有塗布液を含浸塗布した後、溶媒水溶液中に浸漬して凝固させ、溶媒を除去することによって製造することが記載されている。しかしながら、特許文献2に用いているPE粒子は融点を上回る高温環境下では不織布の中に保持できず、十分なシャットダウン効果の発現は期待できない。
特許文献3には、電極材料表面に熱作動保護膜が設けられ、電池温度が80℃〜280℃の熱作動温度まで上昇すると、保護膜が架橋反応を行って熱暴走を阻止することが提案されている。しかしながら、特許文献3に用いている窒素含有ポリマー材料で改質した電極材料は、電池性能を低下させないように導電性を保つにはポリマー被覆が不十分となり、十分な安全性効果の発現は期待できず、またポリマー材料で電極改質を十分に行うと電池性能の低下を引き起こしてしまう。
特許文献4には、電極多孔保護層として、水不溶性または水難溶性のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含む保護層が形成された電池について提案されている。しかしながら、特許文献4に用いている無機粒子による電極多孔保護層は、内部短絡による電池が異常発熱する環境下においてシャットダウン機能は無く、十分な安全効果の発現は期待できない。
特開2008―123996号公報 特開2003―317693号公報 特開2010―157512号公報 特願平9―504314号公報
電池性能を確保しつつ、安全性に優れた非水二次電池を提供することにある。
正極、負極、セパレータおよび非水電解質を構成要素とする非水二次電池であって、前記正極と前記負極の間に多孔層を有し、前記多孔層は粒子状樹脂とバインダ樹脂とを有し、前記粒子状樹脂は70〜150℃で軟化し、且つ151〜200℃で固化する材料であることを特徴とするものである。
本発明によれば、安全性に優れた非水二次電池を提供することができる。
正極、負極、セパレータおよび非水電解質を構成要素とする非水二次電池であって 、70〜150℃で軟化し、かつ151〜200℃で固化する粒子状熱硬化樹脂材料とバインダ樹脂材料を含む多孔層を電極間に有していることを特徴とする非水二次電池。
本発明の非水二次電池は、加熱によって軟化し、かつ架橋が進んで固化する粒子状熱硬化樹脂材料を含む多孔層を正負間に有しており、通常時は、粒子間の孔によってイオン透過性を保っているが、電池の内部温度が異常に上昇した際には、その熱の作用によって粒子状樹脂材料が軟化し、多孔層の空孔が塞がれ、絶縁層となる。それにより、セパレータの構成樹脂の溶融によって生じる通常のシャットダウンと同様に、正極−負極間の、電気抵抗が上昇するために電気化学反応の進行が抑えられる(本発明の非水二次電池における電気抵抗上昇現象も「シャットダウン」と記載する)。また過剰充電やそれによる熱暴走により、より電池の内部温度が高温になっても、架橋ネットワークの形成によって絶縁層が(多孔層の空孔が塞がれた後の状態で)固化し、層形状を維持する為に、絶縁性は保たれ続ける。本発明の非水二次電池では、層における前記の作用によって、優れた安全性を確保できる。
多孔層において、軟化開始温度は70〜150℃である。このような温度で軟化できる場合には、例えば、PE製の微多孔膜で構成されたセパレータを有する非水二次電池でシャットダウンが開始する温度同等、もしくは少し低い温度でシャットダウンを開始させ得る為、異常によりセル内部温度が上昇した際でも、より早く絶縁層を形成でき、安全性に優れた非水二次電池となる。
また、固化開始温度(架橋構造の形成が開始する温度)は、151〜200℃である。このような温度で架橋構造を形成して固化できる場合には、例えば、PE製の微多孔膜で構成されたセパレータを有する非水二次電池で、セパレータが形状保持できず収縮、破膜する温度もしくは少し低い温度で絶縁層が硬化開始し、層形状を維持することで絶縁性は保たれ、より安全性に優れた非水二次電池とすることができる。
前記の軟化開始温度は、熱機械分析装置(TMA)を使用した昇温試験を行った際の、針状の圧子による、試料への針入から求められる変位点温度を意味している。また、固化開始温度は、示差走査熱量計(DSC)を使用して昇温試験を行うことで架橋挙動を観察した際の、発熱反応の立ち上がり時点での温度を意味している。
尚、多孔層の形成には、後述するように、層の形成用組成物を使用することが通常であるが、架橋開始温度の測定に用いる試料には、この層形成用組成物と、同組成でバルク状に成形したものを使用してもよい。本明細書でいう軟化開始温度の測定は以下の方法により求められる値である。JIS K7206記載の方法により測定する。熱硬化樹脂材料を含む多孔層をTMA装置ホルダー等の支持体上に、縦10mm×横20mm×厚み2mmの平面長方形状のシート状試験片として作製し、TMAを用い、針入り試験モード(針の先端面積1mm)、荷重50gとし、シート状試験片に針を当てて、昇温速度5℃/分で25〜200℃まで温度を上げていき、シート状試験片の歪みが発生したときの温度をこの多孔層の軟化開始温度とする。
固化開始温度の測定に用いる試料には、この層形成用組成物を使用してもよい。尚、本明細書でいう架橋開始温度の測定は以下の方法により求められる値である。Ar雰囲気内でDSC測定用のステンレス鋼(SUS)製密閉容器に、試料3.5mgを入れて密閉をして測定サンプルを作製する。基準サンプルには、前記DSC測定用のSUS製密閉容器にArガスを封入したものを使用する。これらを、DSCを用いて昇温開始温度を30℃として、昇温速度5℃/minで300℃まで加熱を行い、基準サンプルとの温度差から測定サンプルの発熱反応の立ち上がり時点での温度を検出した。
多孔層は、粒子状樹脂材料とバインダ樹脂材料を含む構成であればよく、例えば、粒子状樹脂材料、バインダ樹脂材料及びN−ビニルアセトアミド系ポリマーなどを、水や有機溶媒といった媒体に分散させてスラリー状やペースト状の多孔質層形成用組成物を調製し、これを塗布し、粒子状樹脂材料の軟化点以下の温度で乾燥する方法により製造することができる。また、不織布などの繊維状物に粒子状樹脂材料を含浸させた後、粒子の軟化点以下の温度で乾燥して多孔層を形成させてもよい。
バインダ樹脂材料は、後で述べる電極合剤を形成する時に用いる結着剤を用いることが出来る。粒子状樹脂とバインダ樹脂材料の比率は両者の総質量に対して、粒子状樹脂が好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。また、好ましくは96質量%以下、より好ましくは92質量%以下である。粒子状樹脂の含有量がこの範囲であると、通常状態で適度なイオン透過性を保ちつつ、層形状を維持することが出来る。
多孔層は、正極と負極との間に配されていればよく、例えば、正極もしくは負極の表面に多孔層が形成されていてもよい。また粒子状樹脂材料を不織布等の繊維状物に含有させ形成させた多孔層を電極間に配置してもよい。多孔層の厚みは、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上である。また、好ましくは40μm以下、より好ましくは30μm以下である。多孔層の厚みが範囲であれば、通常使用状態で適度に正極と負極の絶縁を保つことが出来る。
不織布を基材とし、基材上、もしくは基材内に粒子状熱硬化樹脂材料とバインダ樹脂材料を含む多孔層を設ける場合、不織布材質としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタンなど、電解液に安定でかつ、電気化学的に安定な材質であればいずれでもよい。
多孔層に用いられる熱硬化樹脂材料はペレットの粉砕物またはパウダー等の粒子状であり、層を形成した際、粒子間の孔によってイオン透過性を高めることができる。
粒子径としては、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上である。また、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
その空孔率としては、30%以上であることが好ましい。一方、多孔層の強度の確保から、多孔層の空孔率は、70%以下であることが好ましい。尚、多孔層の空孔率:P(%)は、多孔層の厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm)、m:多孔層の単位面積あたりの質量(g/cm)、t:多孔層の厚み(cm)である。また、平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
粒子状樹脂材料は、ビスマレイミド樹脂(軟化温度70℃〜150℃、固化温度151℃〜180℃)、エポキシ樹脂(軟化温度70℃〜140℃、固化温度151℃〜200℃)、アリル樹脂(軟化温度70℃〜130℃、固化温度151℃〜170℃)、フェノール樹脂(軟化温度70℃〜150℃、固化温度151℃〜190℃)からなる材料を用いることができ、特にビスマレイミド樹脂が好ましい。また粒子状に形成するのに一般的な熱硬化性樹脂用の充填剤や硬化剤や硬化触媒を用いてもよい。熱硬化樹脂材料を、生成条件の制御や粉砕等の方法により、上述した粒子径の粒子状樹脂を得る。
尚、本明細書でいう微粒子の平均粒径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、微粒子を溶解したり、微粒子が膨潤したりしない媒体に、微粒子を分散させて測定した数平均粒子径として規定することができる。
本発明の電池で使用するセパレータに係る樹脂多孔質膜を構成するポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、PP上にPEを介してPPを積層させた三層で構成されたポリオレフィン製の樹脂膜が挙げられる。これらのポリオレフィンは、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が80〜150℃の熱可塑性樹脂であり、セパレータが、このようなポリオレフィンで構成された樹脂膜を有していることで、80〜150℃でポリオレフィンが軟化してセパレータの空孔が閉塞される、いわゆるシャットダウン特性を確保することができる。
ポリオレフィン製の樹脂膜としては、例えば、従来から知られている溶剤抽出法や、乾式または湿式延伸法などにより形成された孔を多数有するイオン透過性の多孔質膜(電池のセパレータとして汎用されている微多孔膜)を用いることができる。
本発明の非水電解質電池に用いられる正極としては、少なくともLiMMn2-x4(但し、MはLi、B,Mg,Ca,Sr,Ba,Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Al,Sn,Sb,In,Nb,Mo,W,Y,Ru,Rhから選ばれる少なくとも1種、Xは0.01≦Z≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、 LiMn(1−y−z)NiZ(2−k)l(式中、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、Sr及びWから選ばれる少なくとも1種を表し、x、y、z、k及びlは、0.8≦x≦1.2、0<y<0.5、0≦z≦0.5、k+l<1、−0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1の範囲内の値)で表される層状化合物から選択される1種を含むことが必要である。また、前記スピネル型リチウムマンガン複合酸化物および層状化合物以外に、LiCo1−x(Mは、Al、Mg、Ti、Zr,Fe,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Nb,Mo,Sn,Sb,Baから選ばれる少なくとも1種を表し、xは、0≦x≦0.5の範囲内の値)を特徴とするものである)といったリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1−x(Mは、Al、Mg、Ti、Zr,Fe,Co,Cu,Zn,Ga,Ge,Nb,Mo,Sn,Sb,Baから選ばれる少なくとも1種を表し、xは、0≦x≦0.5の範囲内の値)を特徴とするものである)といったリチウムコバルト複合酸化物、LiM1−xPO(Mは、Fe、Mn、Coから選ばれる少なくとも1種。NはAl、Mg、Ti、Zr,Fe,Ni,Cu,Zn,Ga,Ge,Nb,Mo,Sn,Sb,Baから選ばれる少なくとも1種であり、0≦x≦0.5の範囲の値)といったオリビン型複合酸化物などを混合して用いることもできる。
本発明の非水電解質電池の正極は、上記したような無機酸化物を活物質として、導電助剤、バインダを含む多孔質層を金属箔製の集電箔上に形成した、従来公知の電極構成とすることが望ましい。
導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料が用いられ、バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などフッ素樹脂が用いられ、これらの材料と活物質とが混合された正極合剤により正極活物質含有層が、例えば集電体上に形成される。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極活物質含有層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
負極としては、従来公知の非水電解質電池に用いられている負極、すなわち、Liイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素を含む単体,化合物およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金,さらにはLiTi12で表されるようなTi酸化物も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどのバインダなどを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極活物質含有層)に仕上げたもの、あるいは、上記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、もしくは集電体上に積層したものなどが用いられる。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、下限は5μmであることが望ましい。また、負極側のリード部は、正極側のリード部と同様にして形成すればよい。
電極は、上記の正極と上記の負極とセパレータを介して積層した積層体や、更にこれを巻回した電極巻回体の形態で用いることができる。
また、本発明の非水電解質電池は、非水溶媒にLi塩を溶解した非水電解液を使用する。非水電解液としては、上述したように、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiB(C42、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(ROSO〔ここでRはフルオロアルキル基〕などのリチウム塩などを用いることができる。
電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類、エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキサン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
また上述の通り、本発明の電池内構造としては、電極との間に存在するなら、粒子状樹脂材料とバインダ樹脂材料を含む多孔層は正極もしくは負極の表面上に構成したり、不織布に含有させたり、不織布や多孔性樹脂フィルムの表面上に形成させる等して、多孔層を電極間に配置することが出来る。
本発明のリチウムイオン二次電池は、自動車用途や電動工具の電源用途などの用途に好適である他、各種電子機器の電源用途など、従来から知られているリチウムイオン二次電池が用いられている各種用途と同じ用途にも適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
<層形成用組成物の調製>
〔層形成用組成物(1)〕
水:1000g中に、粒子状樹脂材料であるフェノール樹脂粒子(D50:5μm)100gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体)を粒子状樹脂材料100質量部に対して6質量部とを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌させて分散させ、均一な多孔質層形成用液状組成物(1)を調製した。尚、上記フェノール樹脂粒子はリグナイト社製の球状フェノール樹脂 を用いた。
〔層形成用組成物(2)〕
水:1000g中に、粒子状樹脂材料であるビスマレイミド樹脂粒子(D50:5μm)100gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体)を粒子状樹脂材料100質量部に対して6質量部とを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌させて分散させ、均一な多孔質層形成用液状組成物(2)を調製した。尚、上記ビスマレイミド樹脂は粒子、エア・ブラウン社製の粉状ビスマレイミド樹脂を用いた。
〔層形成用組成物(3)〕
水:1000g中に、粒子状樹脂材料であるジアリルフタレート樹脂粒子、(D50:5μm)100gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体)粒子状樹脂材料100質量部に対して6質量部とを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌させて分散させ、均一な多孔質層形成用液状組成物(3)を調製した。尚、上記、ジアリルフタレート樹脂はダイソー社製、白色粉状ジアリルフタレート樹脂成形材料を用いた。
〔層形成用組成物(4)〕
水:1000g中に、粒子状樹脂材料であるエポキシ樹脂粒子、(D50:5μm)100gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体)粒子状樹脂材料100質量部に対して6質量部とを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌させて分散させ、均一な多孔質層形成用液状組成物(4)を調製した。尚、上記、ジアリルフタレート樹脂はペルノックス社製、粉状エポキシ樹脂成形材料を用いた。
実施例1
<負極の作製>
負極活物質である天然黒鉛:90質量%と、導電助剤であるアセチレンブラック:4.7質量%とを混合し、ここに、負極活物質、導電助剤および結着剤からなる負極合剤中において5.3質量%となる量のPVDF(バインダ)を含むNMP溶液を加え、よく混練して負極合剤含有スラリーを調製した。負極集電体となる厚み20μmの圧延銅箔の両面に、乾燥後の負極合剤層の質量が、負極集電体の片面あたり5.0mg/cmとなる量で前記のスラリーを均一に塗布し、その後80℃で乾燥し、更にロールプレス機で圧縮して負極を得た。負極合剤含有スラリーを圧延銅箔に塗布する際には、圧延銅箔の一部が露出するようにした。前記負極の負極合剤層の厚みは、集電体(圧延銅箔)の片面あたり、21μmであった。
前記の負極を、負極合剤層の大きさが850mm×52mmで、かつ圧延銅箔の露出部を含むように切断し、更に、電流を取り出すためのニッケル製リード片を、圧延銅箔の露出部に溶接した。更に、得られた負極の負極合剤層上に、層形成用組成物(1)を、バーコーターを用いて、乾燥後の層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に多孔層を形成した。
<正極の作製>
正極活物質であるLiNi0.6Mn0.2Co0.2:86.2質量%と、導電助剤である黒鉛:9.0質量%およびアセチレンブラック:1.8質量%とを混合し、ここに、正極活物質、導電助剤および結着剤からなる正極合剤中において3質量%となる量のPVDF(バインダ)を含むNMP溶液を加え、よく混練して正極合剤含有スラリーを調製した。正極集電体となる厚みが20μmのアルミニウム箔の両面に、乾燥後の正極合剤層の質量量が、正極集電体の片面あたり11.6mg/cmとなる量で前記のスラリーを均一に塗布し、その後80℃で乾燥し、更にロールプレス機で圧縮して正極を得た。なお、正極合剤含有スラリーをアルミニウム箔に塗布する際には、アルミニウム箔の一部が露出するようにした。前記正極の正極合剤層の厚みは、集電体(アルミニウム箔)の片面あたり、26μmであった。
前記の正極を、正極合剤層の大きさが800mm×48mmで、かつアルミニウム箔の露出部を含むように裁断し、更に、電流を取り出すためのアルミニウム製リード片を、アルミニウム箔の露出部に溶接した。
<セパレータ>
厚みが16μm、空孔率が45%で、PE製微多孔膜を、セパレータとして用意した。
<電池の組み立て>
前記の正極と前記の負極とを、間に前記のセパレータを介在させつつ重ね合わせ、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を、アルミニウム外装体に挿入し、非水電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとメチルエチルカーボネートとを2:4:4の体積比で混合した溶媒に、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させた溶液)を外装体内に注入した後に、外装体の開口部を封止して、長さ65mm、直径18mmの円筒形の巻回電極体を内部に有し、非水二次電池(リチウムイオン二次電池)を作製した。
得られた非水二次電池は、設計容量をもとに、0.05C(57.5mAh)の電流値で4.1Vまで定電流充電を行い、引き続いて4.1Vで定電流充電の開始から3.0時間になるまで定電圧充電を行う予備充電を実施した。そして、予備充電後の電池について、0.2C(230mAh)の電流値で4.2Vまで定電流充電を行い、引き続いて4.2Vで定電流充電の開始から7.5時間になるまで定電圧充電を行い、更に0.2Cの電流値で3.0Vまで定電流放電を行う一連の操作を1サイクルとし、これを2サイクル繰り返して、定格容量を設定した。この定格容量は1150mAhであった(後記の全ての実施例および比較例の非水二次電池も、実施例1の電池と同じ条件で定格容量の設定を行った)。
実施例2
実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕上に、層形成用組成物(2)を、ディップコーターを用いて、乾燥後の層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して、負極上に多孔層を形成した。前記負極と、実施例1で作製したものと同じ正極とを、実施例1で使用したものと同じセパレータを介して重ね合わせ、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。そして、この積層電極体を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例3
実施例1で作製したものと同じ正極の正極合剤層上に、層形成用組成物(2)を、バーコーターを用いて、乾燥後の層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して、正極の正極合剤層上に多孔層を形成した。前記正極と、実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕とを、実施例1で使用したものと同じセパレータを介して重ね合わせ渦巻状に巻回して巻回電極体とした。そして、この巻回電極体を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例4
層形成用組成物(2)を、厚さ15μmのPP製不織布を通し、引き上げ塗布によりスラリーを塗布した後、乾燥して、厚さ20μmの多孔層を得た。なお、この多孔層の断面を走査型電池顕微鏡で観察したところ、不織布の空隙内にビスマレイミド樹脂粒子が存在していることが確認できた。実施例1で作製したものと同じ正極と、実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕とを、実施例1で使用したものと同じセパレータと上記不織布を介して重ね合わせて渦巻状に巻回して巻回電極体とした。そして、この巻回電極体を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例5
層形成用組成物(1)に代えて層形成用組成物(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして負極の負極合剤層上に多孔層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
実施例6
層形成用組成物(1)に代えて層形成用組成物(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして負極の負極合剤層上に多孔層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例1
水:1000g中に、無機微粒子であるアルミナ(D50:1μm)200gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体。無機微粒子100質量部に対して3質量部を、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させ、均一な多孔質層形成用組成物(C1)を調製した。尚、上記アルミナ粒子は、大明化学工業製、高純度アルミナ粉を用いた。
実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕の負極合剤層上に、前記の多孔質層形成用組成物(C1)を、バーコーターを用いて、乾燥後の多孔質層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に多孔質層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例2
水:1000g中に、ポリエチレン粒子(D50:1μm)200gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体。無機微粒子)100質量部に対して3質量部を、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させ、均一な多孔質層形成用組成物(C2)を調製した。尚、上記ポリエチレン粒子は、三井化学製、超高分子量ポリエチレンパウダーを用いた。
実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕の負極合剤層上に、前記の多孔質層形成用組成物(C2)を、バーコーターを用いて、乾燥後の多孔質層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に多孔質層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例3
水:1000g中に、ポリプロピレン粒子(D50:1μm)200gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体。無機微粒子)100質量部に対して3質量部を、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させ、均一な多孔質層形成用組成物(C3)を調製した。セイシン企業製、ポリプロピレンパウダーを用いた。
実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕の負極合剤層上に、前記の多孔質層形成用組成物(C3)を、バーコーターを用いて、乾燥後の多孔質層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に多孔質層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例4
NMP:1000g中に、液状ビスマレイミド樹脂を50gと、バインダであるアクリレート共重合体(モノマー成分としてブチルアクリレートを主成分とする市販のアクリレート共重合体。液状ビスマレイミド樹脂)100質量部に対して1質量部を、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌して分散させ、樹脂層形成用組成物(C4)を調製した。尚、液状ビスマレイミド樹脂はエア・ブラウン製の液状ビスマレイミド樹脂を用いた。
実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕の負極合剤層上に、前記の樹脂層形成用組成物(C4)を、バーコーターを用いて、乾燥後の多孔質層の厚みが0.1μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に樹脂層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例5
水:1000g中に、粒子状樹脂材料であるビスマレイミド樹脂粒子(D50:5μm)100gを、スリーワンモーターを用いて1時間攪拌させて分散させ、均一な多孔質層形成用液状組成物C
を調製した。尚、上記ビスマレイミド樹脂は粒子、エア・ブラウン製の粉状ビスマレイミド樹脂を用いた。実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕の負極合剤層上に、前記の多孔質層形成用組成物(C5)を、バーコーターを用いて、乾燥後の多孔質層の厚みが5.0μmになるように均一に塗布し、乾燥して負極の負極合剤層上に多孔質層を形成した。そして、この負極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
比較例6
実施例1で作製したものと同じ正極と、実施例1で作製したものと同じ負極〔多孔層を形成していない負極〕とを、実施例1で使用したものと同じセパレータを介して重ね合わせて渦巻状に巻回して巻回電極体とした。そして、この巻回電極体を用いた以外は、実施例1と同様にして非水二次電池を作製した。
これらの非水二次電池について、以下の各評価を行った。
<電池性能試験>
設計容量をもとに、0.05C(57.5mAh)の電流値で4.1Vまで定電流充電を行い、引き続いて4.1Vで定電流充電の開始から3.0時間になるまで定電圧充電を行う予備充電を実施した。そして、予備充電後の電池について、0.2C(230mAh)の電流値で4.2Vまで定電流充電を行い、引き続いて4.2Vで定電流充電の開始から7.5時間になるまで定電圧充電を行い、更に1.0C(1150mAh)の電流値で3.0Vまで定電流放電を行う一連の操作を1サイクルとし、これを2サイクル繰り返して、定格容量を求めた。試験における評価基準としては、設計容量と、実際に充放電を行って求められた定格容量が同等であることが要求される。この時、求められた定格容量と設計容量の比率 (2)式
定格容量/設計容量 ×100 (2)
において、100の場合を2点とし、99~97の場合を1点、97以下の場合を0点と点数付けした。
<釘刺し試験>
定格容量まで充電した各電池の、中央側面の近傍に熱電対をテープで止め、更に厚み6mmのグラスウールを巻きつけ、直径30mmの円筒形のラミネートで外装して、電池を断熱状態にした。そして、電池の電圧および表面温度をモニタリングしつつ、20℃の環境下で、充電状態の電池の中央に、直径3mmのステンレス製の釘を1mm/secの速度で突き刺した。ここで、短絡によって電圧降下が観測された時点で釘の降下を停止して保持した。
試験における評価基準としては、電池の温度上昇がないことが要求される。電池電圧が50mV以上の電圧降下が観測された時点から、電池表面が5秒以内に200℃以上まで上昇した場合を0点とし、10秒以内に200℃以上まで上昇した場合を1点、これ該当しない場合を2点と点数付けした。
更に電池電圧が50mV以上の電圧降下が観測された時点から1分の間の電池表面最高温度を到達温度とし、到達温度「0点:300℃以上」、「1点:100℃以上300℃未満」、これ該当しない場合を「2点:100℃未満」とし、この点数の合計から安全性について総合判断をした。
<昇温抵抗試験>
充電前の各電池を室温25℃から5℃/minで昇温し、シャットダウン性を観測した。初期抵抗に対して、電池表面温度が130℃、150℃および210℃での抵抗変化が「0点:2倍以下」、「1点:2倍以上5倍未満」、「2点:5倍以上」とし、この点数の合計からシャットダウン維持による安全性について総合判断をした。
<軟化開始温度>
実施例および比較例1、2、3の電池の作製に用いた多孔質層形成用組成物を、熱機械分析装置(TMA)を用いて分析を行い、針状の圧子による、試料への針入から求められる変位点温度を「軟化開始温度」とした。
<架橋開始温度>
実施例および比較例1、2、3の電池の作製に用いた多孔質層形成用組成物を、示差走査熱量計(DSC)を用いて分析を行い、発熱反応の立ち上がり時点での温度を「架橋開始温度」とした。
Figure 2015215987
表1に示す通り、70〜150℃で軟化し、かつ151〜200℃で固化する粒子状樹脂材料とバインダ樹脂材料を含む多孔層を電極間に有する実施例1〜6の非水二次電池は、釘刺し試験時の温度上昇が抑制できており、またシャットダウン性も高温で維持されており、安全性に優れ、かつ電池性能を確保できている。
これに対し、多孔層に代えて、熱反応をしない多孔質層を正極と負極との間に有する比較例1の電池、軟化のみで硬化しない多孔質層を用いた比較例2および3の電池では、釘刺し試験時の温度上昇を、比較例3の電池に比べると抑制できているものの、実施例の電池よりは温度上昇抑制効果が小さく、安全性が劣っている。また、そのシャットダウン性も130℃ではセパレータによるシャットダウンが認められるが、より高温では絶縁性が維持できず、実施例の電池よりは安全性が劣っている。
また、多孔層を有していない比較例6の電池では、釘刺し試験時に温度上昇が認められており、安全性が劣っている。
液状の熱硬化樹脂材料を用いた比較例4の電池では、設計された容量まで充放電できず、電池性能において劣り、また十分な安全性効果の発現は確認できない。
また熱硬化樹脂材料は粒子状であるが、粒子同士がバインダ樹脂で接着されていない比較例5の電池は、層構造が保てない為、比較例4同様に設計された容量まで充放電できず、電池性能において劣り、また十分な安全性効果の発現は確認できない。

Claims (2)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解質を構成要素とする非水二次電池であって、
    前記正極と前記負極の間に多孔層を有し、
    前記多孔層は粒子状樹脂とバインダ樹脂とを有し、
    前記粒子状樹脂は70〜150℃で軟化し、且つ151〜200℃で固化する材料であることを特徴とする非水二次電池。
  2. 前記粒子状樹脂材料は、ビスマレイミド樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂であることを特徴とする 請求項1記載の非水二次電池 。
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JPWO2016052667A1 (ja) * 2014-09-30 2017-05-18 三井化学株式会社 リチウム電池用電極、リチウム電池、及び電気化学セル用ペースト
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