JP2015215261A - 非破壊検査方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 検査対象物である配管の残肉厚等、検査対象物の状態を、γ線の透過を利用することに伴う問題を生起することなく検出し得る非破壊検査方法およびその装置を提供する。【解決手段】γ線を検査対象物3に照射するとともに、前記照射により検査対象物3においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出し、さらに前記散乱γ線の時間軸上の信号強度を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物3の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出して前記検査対象物3の厚さに関するデータを検出する。【選択図】 図2

Description

本発明は非破壊検査方法およびその装置に関し、特にコンプトン後方散乱を利用した検査対象物の非破壊検査に適用して有用なものである。
原子力設備の配管の検査等にはX線またはγ線(以下、本明細書において両者をまとめてγ線という)を利用した非破壊検査が汎用されている。これは検査対象物である配管等にγ線を照射し、これによる検査対象物の透過画像を検査することにより減肉の程度等を検出するものである(例えば特許文献1参照)。
図10は従来技術に係る非破壊検査の態様を概念的に示す説明図である。当該非破壊検査では、同図(a)〜(c)に示すように、検査対象物である配管03の一方側(図中左側)に配設したγ線源01からγ線を照射し、配管03を透過したγ線を配管03の反対側(図中右側)に配設した検出器02で検出している。この結果、横軸に検出器回転位置(検出器02の配管03に対する相対位置)を採り、縦軸に透過信号強度(検出器02で検出した透過γ線の強度)を採った図10(d)に示すように、配管03に減肉部04が存在した場合、減肉部04に対応する部分の透過信号強度が、平坦な正常部05に較べて上に凸の強度特性を有する。この場合の凸状の大きさは,減肉の程度に比例しており、したがって凸の程度、換言すれば透過信号の強度により減肉の程度を知ることができる。
特開2006―177841号公報
ところで、図10に示す従来技術において、図10(a)に示すような減肉量Iの減肉部が存在した場合、減肉量Iに比例する透過信号強度が得られ、同様に図10(b)に示すような減肉量Iの減肉部が存在した場合、減肉量Iに比例する透過信号強度が得られ、図10(c)に示すような減肉量Ic1、Ic2の減肉部が存在した場合、減肉量(Ic1+Ic2)に比例する透過信号強度が得られる。したがって、I=I=(Ic1+Ic2)の場合、検出器02で検出する透過信号強度ではこれらの各場合を区別することができない。
一方、配管03の交換は残肉厚を基準に評価しているので、図10(a)および同図(b)に示す減肉量I、Iの場合は交換の必要がある場合でも、図10(c)に示す減肉量Ic1またはIc2の場合には交換する必要がない場合もある。
このように、従来の非破壊検査では、相対向する部位に交換にはまだ余裕がある少量の減肉が発生していても、両者の和が減肉量として検出されてしまうので、交換時期を正確に把握することができない等の問題を有していた。
さらに、上記従来技術では、一方側に配設したγ線源01からγ線を照射し、配管03を透過したγ線を配管03の反対側に配設した検出器02で検出している。配管03の反対側に障害物が存在する等の理由により検出器02等を配設するスペースを確保し難い狭隘部となっている場合には、設置場所の制限により所定の検査が不可能になる。すなわち、γ線の透過を利用する非破壊検査においては検出器の配設位置の制限により所定の検出が制限されてしまう。
本発明は、上述の従来技術に鑑み、検査対象物である配管の残肉厚等、検査対象物の状態を、γ線の透過を利用することに伴う、上述の如き問題を生起することなく検出し得る非破壊検査方法およびその装置を提供することを目的とする。
本発明者等は上記目的を達成すべく新規な原理による非破壊検査方法の開発を開始し、コンプトン後方散乱に基づく散乱γ線を利用することに思い至った。コンプトン後方散乱とは、図1(a)に示すように、γ線をターゲットTに照射したとき、γ線に対して角度Φの方向に飛び出す反跳電子Eとともに、エネルギが変化した散乱γ線として元のγ線が散乱される現象をいう。ここで、散乱γ線の散乱角θはターゲットTに照射されるγ線のエネルギEと散乱される散乱γ線のエネルギEとで一意に定まり、散乱角θ>90°の領域に散乱する場合を、特に後方散乱という。
したがって、図1(b)に示すように、γ線源01と検出器02とを散乱角θ>90°に合致するように配設すれば、図10に示すようなγ線源01と検出器02とを同じ側に配設することができ、これらの配設条件を緩和することができる。ここで、検出器02では、図1(c)に示すように、散乱角θ(γ線源01の配設位置と検出器02の配設位置とがなす角度)で一意に特定される散乱γ線のエネルギEで信号強度がピークとなる散乱γ線のエネルギ分布が得られる。なお、γ線源01および検出器02の前には、通常コリメータが配設される。
この結果、γ線源01から照射するγ線を検査対象物(ターゲットT)に衝突させて得る散乱γ線を、γ線源01と所定の角度を保持して配設された検出器02で検出し、散乱γ線の時間軸上の強度を表わす散乱γ線信号に基づき、そのパルスの幅を検出することにより、パルスの幅で表わされる検査対象物の肉厚を含む前記検査対象物の状態を知ることができると考えられる。
かかる原理に基づく本発明の第1の態様は、γ線を検査対象物に照射するとともに、前記照射により検査対象物においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出し、さらに前記散乱γ線の時間軸上の信号強度を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出して前記検査対象物の厚さに関するデータを検出することを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、散乱γ線の時間軸上の強度を表す散乱γ線信号、すなわち散乱γ線の時間変化に基づく信号を利用しているので、高精度のコリメート手段を用意することなく、前記散乱γ線のエネルギ(散乱角度)が多少異なっていてもある程度広い範囲の散乱γ線に基づく散乱γ線信号を生成することができる。この結果、所望の強度の散乱γ線信号を容易に得ることができ、散乱γ線信号に基づくパルスの幅の検出を通して検査対象物の所望の厚さ情報を容易かつ適切に得ることができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する非破壊検査方法において、前記検査対象物の標準試料に基づく前記散乱γ線信号における前記パルスの幅と、前記検査対象物における前記標準試料の対応部分の前記散乱γ線信号に基づく前記パルスの幅とを比較することにより、前記検査対象物の状態を検出するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、検査対象物で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅と標準試料で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅とを比較することにより容易に検査対象物の特定部位の減肉等の状態を検出し得る。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様に記載する非破壊検査方法において、前記散乱γ線信号は、前記検査対象物における前記γ線の照射側の面とその反対側の面との間の厚さである第1の厚さに対応する第1のパルス、および前記γ線の照射方向の延長線上で前記γ線の照射側の他の面とその反対側の他の面との間の厚さである第2の厚さに対応する第2のパルスとを含むことを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、検査対象物が配管である場合等、検査対象物における内部の空間を挟んだ、γ線の照射方向の延長線上における2箇所で、それぞれの部分の厚さを検出することができる。
本発明の第4の態様は、第1〜第3の態様のいずれか一つに記載する非破壊検査方法において、前記γ線は、超短パルスレーザ光に基づき発生させることを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、比較的容易に発生し得る超短パルスレーザ光を利用しているので、発生するγ線も超短パルスのγ線となり、検査対象物の状態を容易かつ高精度に検査し得る。
本発明の第5の態様は、第4の態様に記載する非破壊検査方法において、前記γ線は、超短パルスレーザ光と電子線との衝突により発生するレーザ・コンプトン散乱γ線であることを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、単色でエネルギ分布の広がりを可及的に抑制して時間軸に関する幅を可及的に縮小した超短パルスのγ線を得ることができる。
本発明の第6の態様は、第4または第5の態様に記載する非破壊検査方法において、前記パルスの幅は、前記散乱γを薄膜コンバータで電子線に変換するとともに、前記電子線の移動により発生するチェレンコフ光を光カー効果媒質に入射させる一方、前記超短パルスレーザ光の一部を前記光カー効果媒質に入射させるとともに、入射させる迄の時間を遅延させて時間軸方向のスキャンを行ないつつ前記光カー効果媒質の屈折率を変化させることによりマスクの所定位置に透孔を介して入射する前記チェレンコフ光を光検出器で検出し、前記光検出器が検出する前記チェレンコフ光に基づき検出することを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得る。さらに、本態様によれば、超短パルスレーザ光の一部で光カー効果媒質の屈折率を変化させているので、光カー効果媒質に入射される超短パルスレーザ光と前記チェレンコフ光との間での入射タイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
本発明の第7の態様は、第4または第5の態様に記載する非破壊検査方法において、前記パルスの幅は、前記散乱γ線を薄膜コンバータで電子線に変換するとともに、前記電子線に前記超短パルスレーザ光の一部を照射することにより発生するトムソン散乱光に基づく光信号により検出することを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得る。さらに、本態様によれば、超短パルスレーザ光の一部でトムソン散乱光を発生させているので、トムソン散乱光を発生させる超短パルスレーザ光と電子線との相互作用のタイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
本発明の第8の態様は、第6または第7の態様に記載する非破壊検査方法において、前記電子線は、前記薄膜コンバータで変換されたコンプトン散乱電子線を使用するとともに、前記コンプトン散乱電子線を、絞りを通過させることにより特定のエネルギのコンプトン散乱電子線を選択したものであることを特徴とする非破壊検査方法にある。
本態様によれば、電子線を特定の方向に反射されるコンプトン散乱電子線を絞りで絞っているので、チェレンコフ光やトムソン散乱光を生成するための電子線のエネルギ分布の広がりを抑制して本来の尖鋭な散乱γ線信号を求めることができる。
本発明の第9の態様は、検査対象物に向けてγ線を照射するγ線源と、前記照射により検査対象物においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出し、さらに前記散乱γ線の時間軸上の信号強度を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出して前記検査対象物の厚さに関するデータを検出する検出手段とを有することを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、散乱γ線の時間軸上の強度を表す散乱γ線信号、すなわち散乱γ線の時間変化に基づく信号を利用しているので、高精度のコリメート手段を用意することなく、前記散乱γ線のエネルギ(散乱角度)が多少異なっていてもある程度広い範囲の散乱γ線に基づく散乱γ線信号を生成することができる。この結果、所望の強度の散乱γ線信号を容易に得ることができ、散乱γ線信号に基づくパルスの幅の検出を通して検査対象物の所望の厚さ情報を容易かつ適切に得ることができる。
本発明の第10の態様は、第9の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記検査対象物の標準試料に基づく前記散乱γ線信号における前記パルスの幅に関する標準データを記憶している標準データ記憶部と、前記検査対象物における前記標準試料の対応部分の前記散乱γ線信号に基づき検出した前記パルスの幅である実測データを記憶している実測データ記憶部と、前記標準データと実測データとを比較して所定の演算を行なうことにより、前記検査対象物の状態を検出する比較演算部とを有することを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、検査対象物で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅と標準試料で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅とを比較することにより容易に検査対象物の特定部位の減肉等の状態を検出し得る。
本発明の第11の態様は、第9または第10の態様に記載する非破壊検査装置において、前記散乱γ線信号は、前記検査対象物における前記γ線の照射側の面とその反対側の面との間の厚さである第1の厚さに対応する第1のパルス、および前記γ線の照射方向の延長線上で前記γ線の照射側の他の面とその反対側の他の面との間の厚さである第2の厚さに対応する第2のパルスとを含むことを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、検査対象物が配管である場合等、検査対象物における内部の空間を挟んだ、γ線の照射方向の延長線上における2箇所で、それぞれの部分の厚さを検出することができる。
本発明の第12の態様は、第9〜第11の態様いずれか一つに記載する非破壊検査装置において、前記γ線源は、超短パルスレーザ光に基づき前記γ線を発生させるものであることを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、比較的容易に発生し得る超短パルスレーザ光を利用しているので、発生するγ線も超短パルスのγ線となり、検査対象物の状態を容易かつ高精度に検査し得る。
本発明の第13の態様は、第12の態様に記載する非破壊検査装置において、前記γ線源は、超短パルスレーザ光と電子線との衝突により発生するレーザ・コンプトン散乱γ線を発生するものであることを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、単色でエネルギ分布の広がりを可及的に抑制して時間軸に関する幅を可及的に縮小した超短パルスのγ線を得ることができる。
本発明の第14の態様は、第12または第13の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記散乱γ線を電子線に変換する薄膜コンバータと、前記電子線の移動により発生するチェレンコフ光が入射される光カー効果媒質と、前記超短パルスレーザ光の一部を分岐する分岐手段と、前記分岐手段で分岐された前記超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御して前記光カー効果媒質に入射させる遅延手段と、前記超短パルスレーザ光により屈折率が変化する光カー効果媒質で屈折された前記チェレンコフ光をマスクの透孔を介して入射させる光検出部とを備えていることを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得る。さらに、本態様によれば、超短パルスレーザ光の一部で光カー効果媒質の屈折率を変化させているので、光カー効果媒質に入射される超短パルスレーザ光と前記チェレンコフ光との間での入射タイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
本発明の第15の態様は、第12または第13の態様に記載する非破壊検査装置において、前記検出手段は、前記散乱γ線を電子線に変換する薄膜コンバータと、前記超短パルスレーザ光の一部を分岐する分岐手段と、前記分岐手段で分岐された前記超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御する遅延手段と、前記伝搬時間が制御された前記超短パルスレーザ光と前記電子線との相互作用により形成されるトムソン散乱光に基づく光信号を検出する光検出部とを備えていることを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得る。さらに、本態様によれば、超短パルスレーザ光の一部でトムソン散乱光を発生させているので、トムソン散乱光を発生させる超短パルスレーザ光と電子線との相互作用のタイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
本発明の第16の態様は、第14または第15の態様に記載する非破壊検査装置において、前記薄膜コンバータで変換した特定のエネルギのコンプトン散乱電子線を通過させる絞り手段を、さらに有することを特徴とする非破壊検査装置にある。
本態様によれば、コンプトン散乱電子線に変換した電子線を絞り手段で絞っているので、チェレンコフ光やトムソン散乱光を生成するための電子線のエネルギ分布の広がりを抑制して本来の尖鋭な散乱γ線信号を求めることができる。
本発明によれば、検査対象物に衝突して散乱する散乱γ線、特に後方散乱γ線の強度の時間変化を利用して検査対象物の状態で変化するパルス信号の幅を検出しているので、γ線源と検出器とを検査対象物に対して同じ側に配設することができる。この結果、γ線源と検出器との配設条件の緩和を図ることができ、簡便かつ適正な所定の非破壊検査を行うことができる。
本発明の原理を説明するための説明図である。 本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。 本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。 検出手段で得られる散乱γ線信号の波形を概念的に示す特性図である。 図3に示す第2の実施の形態における検出手段の具体例を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。 図6に示す第3の実施の形態における検出手段の第1の実施例を示すブロック図である。 散乱ガンマ線信号が、遅延機能を利用したスキャニングにより形成される際の態様を模式的に示す説明図である。 図6に示す第3の実施の形態における検出手段の第2の実施例を示すブロック図である。 従来技術に係る非破壊検査の態様を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、各図において、同一部分には、同一番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1の実施の形態>
図2は本発明の第1の実施の形態に係る図で、同図(a)はその非破壊検査装置を示すブロック図、同図(b)はその検出手段で検出される散乱γ線信号を示す波形図である。
図2(a)に示すように、本形態に係るγ線源1は、検査対象物3に向けてγ線を照射する。一方、検出手段2は、前記照射により検査対象物3においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出する。さらに、検出手段2では、前記散乱γ線の時間軸上の信号強度(検出手段2に入射した光子の数に比例する)を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分である領域I,IIのパルスの幅を検出して検査対象物3の肉厚に関するデータを検出する。ここで、パルス幅の特定方法に関しては、特別な制限はない。例えば散乱γ信号のピーク値に対し信号強度が所定の割合(例えば50%)となる2点間の時間軸方向の距離(L)を光速(c)で除した値である時間幅をパルス幅とすることが考えられる(以下、各実施の形態等において同じ。)。
図2(a)に示す検査対象物3は、配管である。したがって、このとき得られる散乱γ線信号は、図2(b)に示すように、検査対象物3におけるγ線の照射側(γ線源1側)の面とその反対側の面との間の厚さである第1の厚さに対応する領域Iの第1のパルス、および前記γ線の照射方向の延長線上で前記γ線の照射側の他の面とその反対側の他の面との間の厚さである第2の厚さに対応する領域IIの第2のパルスとを含む。本形態の如く2種類のパルスを含む場合は、配管や、コンクリート構造物中の空隙等、検査対象物3における内部の空間を挟んだ、γ線の照射方向の延長線上における2箇所で、それぞれの部分の厚さを検出することができるので、かかる検査対象物3の非破壊検査に適用して有用なものとなる。
本形態における検出手段2は、検査対象物3の標準試料に基づく散乱γ線信号におけるパルスの幅に関する標準データを記憶している標準データ記憶部と、検査対象物3における標準試料の対応部分の散乱γ線信号に基づき検出したパルスの幅である実測データを記憶している実測データ記憶部と、前記標準データと実測データとを比較して所定の演算を行なうことにより、検査対象物3の状態を検出する比較演算部とを有している。
この結果、検査対象物3で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅と標準試料で得られる散乱γ線信号におけるパルスの幅とを比較することにより容易に検査対象物3の特定部位の減肉等(図2(b)参照)の状態を検出し得る。
本形態によれば、図2(a)に示すように、γ線源1からは、本形態における検査対象物3に向けてγ線が照射される。かかるγ線の照射により検査対象物3においてコンプトン後方散乱が発生する。γ線源1と同じ側に配設された検出手段2にはコンプトン後方散乱により散乱された散乱γ線が入射される。散乱γ線は、検出手段2で時間軸上の強度を表す散乱γ線信号に変換される。ここで、γ線源1および検出手段2の位置をz=0としてγ線の照射方向に沿う各位置迄の距離をz=L1、L2,L3,L4とするとき、L1は検査対象物3のγ線源1側の外周面、L2は検査対象物3のγ線源1側の内周面、L3は検査対象物3のγ線源1と反対側の内周面、L4は検査対象物3のγ線源1と反対側の外周面であり、L1とL2との間がγ線源1側の検査対象物3の壁の厚さ(領域I)、L3とL4との間がγ線源1と反対側の検査対象物3の壁の厚さ(領域II)となる。
上述の如くコンプトン後方散乱により得られる散乱γ線信号を、横軸に時間を採り、縦軸に信号強度を採って示す図2(b)を参照すれば、散乱γ線信号は、L1とL2との間(γ線の往復時間が((2×L1)/c)と((2×L2)/c)との間)で信号強度が大きくなり、またL3とL4との間(γ線の往復時間が((2×L3)/c)と((2×L4)/c)との間)で信号強度が大きくなるという2個のパルスを含む信号となることが分かる。そして、かかるパルスの時間幅が、検査対象物3のγ線源1側の壁の厚さに対応するとともに、検査対象物3のγ線源1と反対側の壁の厚さに対応している。したがって、散乱γ線信号の2個の各パルスの幅を検出手段2で検出することにより領域I,IIの厚さを検出することができる。
ここで、検査対象物3の内周面に減肉が発生している場合には、領域I,IIのパルスの幅が小さくなるので、かかるパルスの幅に基づき減肉の程度を検出することができる。
<第2の実施の形態>
検査対象物3である配管の内径を、例えば15cmとすると、γ線の往復経路が約30cmとなる。したがって、これを光速cで割れば、30cm÷(3×10(m/s))=1nsとなる。そこで、例えば1.5mmの減肉を検出するためには、往復経路が3mmであるので、3mm÷(3×10(m/s))=10psとなり、この場合には、psオーダーの時間分解能を有する必要がある。すなわち、γ線源としては、超短パルスのγ線を発生する必要がある。また、検出手段もγ線源に合わせて十分な時間分解能を有するものとする必要がある。
そこで、図3にブロック図を示す本形態に係る非破壊検査装置では、γ線源11を、超短パルスレーザ光と電子線との衝突によりレーザ・コンプトン散乱γ線を発生するものとした。一方、γ線源11から照射するレーザ・コンプトン散乱γ線がpsオーダーの超短パルスであったとしても検出手段12の減衰時間が長い場合には、psオーダーの時間分解は厳しくなる。
この点を図4に基づきさらに詳細に説明する。図4(a)は理想的な散乱γ線信号を示す波形図であり、図2(b)と同一の波形である。一方、図4(b)に示す波形は、検出手段12における減衰時間が長い場合に得られる波形であるが、この場合(本形態においてpsオーダーの時間分解能を有していない場合)には、減衰時定数が充分小さくならず、検査対象物3の領域Iに対応するパルスが尾を引く結果、領域IIに対応するパルスを峻別することができなくなる。
そこで、本形態において入射した散乱γ線に基づき所定の散乱γ線信号を生成する検出手段12は、ストリークカメラを有するものとした。すなわち、本形態における検出手段12は、図5に示すように、コンプトン散乱γ線を、例えば厚さが0.5mmのタングステン板14に照射して発生する電子や陽電子を、さらに例えば厚さが1mmのアクリル板15に照射することにより発生するチェレンコフ光をストリークカメラ16に入射させている。ストリークカメラ16は、光が受光部を幅方向に横切る時間差をもとに、光の点滅の時間的な側面を受光部上の空間的な表示に変換することで、動作する。すなわち、まず、光のパルスが細いスリットを通過する。そして、最初に受光部に到着した光子があたった位置と後から到着した光子の位置とのスリット垂直方向の偏差を得、結果として生じるイメージを表す光のストリーク(線条)から光パルスの持続時間やその他の時間的特性を観測する。
かかるストリークカメラ16により、前記チェレンコフ光を取込んでパルスの幅を検出する。このときのストリークカメラ16は、サブピコ秒の時間分解能を有する。
かかる本形態によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物3のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得る。
なお、本実施の形態においては、線源11を、超短パルスレーザ光と電子線との衝突によりレーザ・コンプトン散乱γ線を発生するものとしたが、これに限るものではない。既存の技術として確立されており、比較的容易に超短パルスを得ることができる超短パルスレーザ光を利用するものであれば、原則的に適用し得る。この場合の他の線源の例としては、超短パルスレーザ光をターゲットに照射して超短パルス電子線ないし制動輻射γ線であるレーザプラズマγ線を得るものであっても構わない。ただ、レーザコンプトン散乱γ線を適用した場合には、単色でエネルギ分布の広がりを可及的に抑制して時間軸に関する幅を可及的に縮小した超短パルスのγ線を得ることができるという利点はある。
<第3の実施の形態>
第2の実施の形態の如くpsオーダーの時間分解能を有する検出手段を使用した場合には、超短パルスレーザ光を照射するタイミングと検出手段が前記超短パルスレーザ光に起因するコンプトン散乱γ線を取込むタイミングとのズレ、すなわち両者間のジッタが問題となる場合がある。この場合のジッタは、ps以下に抑制する必要がある。
かかるジッタ対策を施した本形態に係る非破壊検査装置のブロック図を図6に示す。同図に示すように、本形態における検出手段22は、図3に示す第2の実施の形態と同様に、レーザ・コンプトン散乱γ線を発生するγ線源11を用いたが、そのレーザ光の光路の途中に、ミラーで形成したレーザ光の分岐手段23を介在させた。このようにして分岐したレーザ光の一部を、検出手段22において散乱γ線に基づき散乱γ線信号を形成する光検出部(図6には図示せず)を動作させるトリガとして利用している。
本形態によれば、レーザ・コンプトン散乱γ線を発生するためのレーザ光の一部で検出手段22の光検出部を動作させるようにしたので、超短パルスレーザ光の照射タイミングと光検出部による散乱γ線信号の取り込みタイミングとの間に発生するジッタを除去することができる。
なお、実施の形態においても、第2の実施の形態と同様に、線源11は、超短パルスレーザ光と電子線との衝突によりレーザ・コンプトン散乱γ線を発生するものとしたが、これに限定されない。
一方、検出手段22は、分岐手段23で分岐された超短パルスレーザ光を所定間隔でずらしながら時間軸上をスキャンすることにより検査対象物3の各部から散乱される散乱γ線に基づく散乱γ線信号を再現する。かかる検出手段22の具体的な構成は、種々考えられるが、例えば次の2例を好適な実施例として挙げることができる。
<第1の実施例>
図7は、本実施例に係る検出手段を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例における検出手段22は、薄膜コンバータ25、光カー効果媒質26、光検出部28および遅延手段29を備えている。ここで、薄膜コンバータ25は、レーザ・コンプトン散乱γ線を電子線に変換するもので、例えばW,Pb等で好適に形成することができる。光カー効果媒質26は、前記電子線の移動により発生するチェレンコフ光が入射されるとともに、前記超短パルスレーザ光の入射により屈折率が変化する。この光カー効果媒質26としては、例えばCSを使用することができる。
光検出部28は、光カー効果媒質26で屈折されたチェレンコフ光をマスク27を介して入射させることにより、散乱γ線に基づく散乱γ線信号を生成する。ここで、チェレンコフ光の放射角度は屈折率に依存する。また、光カー効果媒質26の屈折率変化は約2ps持続される。具体的に一例を挙げれば、1/(nβ)=cos(θ)(ただし、n;屈折率CS=1.63、β=0.95 for 200keV)となる。例えば、光カー効果媒質26の屈折率が超短波レーザ光の照射で1%変化すると、放射角度θは約1°(δθ)変化する。したがって、θ+(δθ)の位置にマスク27の透孔27A,27Bを形成しておけば、超短パルスレーザ光が光カー効果媒質26に作用している間のみ(〜2ps)のγ線(電子線)を計測することができる。
遅延手段29は、分岐手段23(図6参照)で分岐された一部の超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御して光カー効果媒質26に入射させる。さらに詳言すると、遅延手段29は、反射手段である4枚のミラー29A,29B,29C,29Dからなり、分岐手段23(図6参照、以下同じ)で分岐された超短パルスレーザ光の一部をミラー29A,29B,29C,29Dの順で順次反射させ、ミラー24を介して光カー効果媒質26に入射させている。ここで、相対向して配設されたミラー29A,29Bおよびミラー29C,29D間の距離はμm単位で調整可能に形成してあり、分岐手段23で分岐された超短パルスレーザ光が光カー効果媒質26に入射される迄の光路長を調整し得るように構成してある。かかる調整により、分岐手段23で分岐された超短パルスレーザ光が光カー効果媒質26に入射される迄の時間を任意に遅延させることができる。このように超短パルスレーザ光に遅延をかけることにより時間軸方向のスキャンを行なうことが可能になる。すなわち、光カー効果媒質26に入射されるタイミングを時間軸に沿い順次ずらして時間軸上で順次移動する各計測時点の散乱γ線信号を形成することができる。
図8は散乱ガンマ線信号が、遅延機能を利用したスキャニングにより形成される際の態様を模式的に示す図であり、図2(b)に示す領域Iの部分を拡大して示す説明図である。同図に示すように、遅延手段29により超短パルスレーザ光の光路長を決定すればその光路長に対して時間軸の特定の一点で光カー効果媒質26に超短パルスレーザ光が入射される。この超短パルスレーザ光の入射により光カー効果媒質の屈折率の変化に伴い放射角度が(θ+(δθ))となる。したがって、このとき散乱γ線に基づき薄膜コンバータ25で変換された電子線が光カー効果媒質26から放射角度(θ+(δθ))で放射される。この結果、電子線の強度で表わされる散乱ガンマ線信号の強度が光検出部28で検出される。すなわち、時間軸上の特定の一点で超短パルスレーザ光が光カー効果媒質26に作用している間開く時間軸上のゲートGが形成され、当該ゲートGが開いている間に光カー効果媒質26に入射された電子線の強度(散乱γ線信号の強度)を検出するように構成してある。ここで、遅延手段29を介して光カー効果媒質26に入射された超短パルスレーザ光は散乱γ線を生成する超短パルスレーザ光の一部を分岐したものであるので、両者間にジッタを生じることはなく、時間軸上の特定の点における散乱γ線信号の強度を高精度に検出し得る。したがって、遅延手段29により光路長を適宜調整することで時間軸上をスキャンしつつ各点での散乱γ線信号の強度を検出し得る。散乱γ線信号の強度は、図8に示すように、各ゲートGにおけるヒストグラムの大きさとして表わされる。したがって、この信号強度を記憶手段に一旦記憶し、その後読み出すことにより散乱γ線信号を生成し、所定の信号処理を行うことによりパルス幅を検出することができる。
かくして本実施例によれば、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得るばかりでなく、超短パルスレーザ光の一部で光カー効果媒質26の屈折率を変化させているので、光カー効果媒質26に入射される超短パルスレーザ光とチェレンコフ光との間での入射タイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
<第2の実施例>
図9は、本実施例に係る検出手段を示すブロック図である。同図に示すように、本実施例の検出手段22は、レーザ・コンプトン散乱γ線をコンプトン散乱電子線に変換する薄膜コンバータ30と、分岐手段23で分岐された超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御する光学的な遅延手段29と、伝搬時間が制御された前記超短パルスレーザ光とコンプトン散乱電子線との相互作用により形成されるトムソン散乱光に基づく光信号を検出する光検出部31とを備えている。ここで、遅延手段29を通過した超短パルスレーザ光はミラー33で反射され、さらに集光手段32で集光させた超短パルスレーザ光をコンプトン散乱電子線に照射している。このように散乱γ線信号を生成させるトリガとなる超短パルスレーザ光を、集光手段32を介してコンプトン散乱電子線に作用させるように構成することは必須ではないが、かかる構成により散乱γ線信号におけるパルスを尖鋭化することができる。
さらに、本実施例においては、薄膜コンバータ30と光検出部31との間に絞り34が配設してあり、薄膜コンバータ30で反射された特定エネルギのコンプトン散乱電子線に絞り込んでトムソン散乱光を得るための超短パルスレーザ光を作用させるように構成してある。本実施例において絞り34を設けることは必須ではないが、絞り34を設けることにより、コンプトン散乱電子線のエネルギ分布の広がりを抑制して本来の尖鋭なコンプトン散乱γ線信号を光検出部31で生成させることができる。
一方、絞り34は、図7に示す薄膜コンバータ25と光カー効果媒質26との間に配設しても良く、配設した場合には同様の効果を得る。ただ、一般的には、図9に示す薄膜コンバータ30から光検出部31に至る光路が、図7に示す薄膜コンバータ25から光カー効果媒質26に至る光路に較べて長いので、図9に示す本実施例の場合に適用してより大きな効果を奏する。光路長が長くなる程、電子線のエネルギ分布が広がってしまうので、かかる広がりを効果的に抑制する必要があるからである。
また、図7に示す第1の実施例において薄膜コンバータ25を傾けることによりコンプトン散乱電子線を生成させ、かつ薄膜コンバータ25と光カー効果媒質26との間に絞り34を配設しても良い。この場合には、本実施例(第2の実施例)と同様の作用・効果を得る。
本実施例によれば、超短パルスレーザ光と上記コンプトン散乱電子線との相互作用によるトムソン散乱により散乱ガンマ線信号を得ているので、検出する散乱γ線信号のパルスの幅がps(ピコ秒)オーダーの時間分解能を要する場合でも適切に対処し得、検査対象物3のわずかな減肉等も確実かつ高精度に検出し得るばかりでなく、超短パルスレーザ光の一部でコンプトン散乱電子線との相互作用によるトムソン散乱光を得ているので、トムソン散乱光を発生させる超短パルスレーザ光とコンプトン散乱電子線との相互作用のタイミングのズレに基づくジッタの発生を未然に防止し得る。
また、本実施例においても図8に示す場合と同様の原理で時間軸上のゲートを形成することができる。したがって、光検出部31では、当該ゲートが開いているタイミングでのコンプトン散乱電子線に基づく散乱ガンマ線信号の強度を検出することができる。かくして、図7に示す遅延手段29と同様の光路長の調整により検出タイミング(ゲートの開口タイミング)を時間軸上で適宜ずらしつつスキャンして各点での散乱γ線信号の強度を検出することができる。この結果、本実施例でも第1の実施例と同様に、所定の散乱ガンマ線信号を再現し、これに基づき所定のパルス幅を検出することができる。
なお、本発明における検査対象物は、上記実施の形態で示した検査対象物3に限定するものではない。例えばコンクリート構造物等であっても構わない。すなわち、コンクリート構造物の内部に形成されている空隙を非破壊検査により検出する場合に適用しても有用なものである。また、上記実施の形態等では、配管の手前側と奧側の2箇所における管厚を検出するようにしたので、散乱γ線の強度を表す散乱γ線信号の前記管厚に対応する2箇所におけるパルスの幅を検出して、減肉の状態を検出するようにしたが、1箇所だけの管厚を選択的に検出するようにしても、勿論構わない。
上記実施の形態では、標準試料の散乱γ線と比較により検査対象物3の減肉を検出する場合に関して説明したが、必ずしも標準試料と比較する必要はない。検査対象物の厚さを検出するだけであれば、肉厚部分の少なくとも1個のパルスが検出できれば良い。
さらに、上記実施の形態では、散乱γ線信号が2個のパルスを含む場合について説明した。この場合には、検査対象物3における内部の空間を挟んだ、γ線の照射方向の延長線上における2箇所で、それぞれの部分の厚さを検出することができるが、本願発明は、パルスが1個の場合、すなわち検査対象物の厚さを検出する場合を除外するものではない。
なお、図2(a)におけるγ線源11と検出手段2とは、図中においてγ線源11から照射されるγ線と検出手段2に入射されるコンプトン散乱γ線とが平行になるような位置に配設しているが、これに限るものではない。γ線源11から照射されるγ線と検出手段2に入射されるコンプトン散乱γ線とは平行でなくても構わない。γ線源11から照射されるγ線と検出手段2に入射されるコンプトン散乱γ線とが平行でない場合は、γ線源11から照射されるγ線と検出手段2に入射されるコンプトン散乱γ線とがなす角度に応じて決まる位置にγ線源11に対して検出手段2を傾斜させた位置に配設すれば良い。
かかる関係は、図3におけるγ線源11と検出手段12、図6におけるγ線源11と検出手段22および図9におけるγ線源11と検出手段22(薄膜コンバータ30)の位置関係に関しても同様である。
以上、要するに検査対象物に照射したγ線によるコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出して散乱γ線信号を得、この散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出してその厚さに関するデータを検出する場合は、全て本発明の技術思想に含まれる。
本発明は配管等の検査対象物が錯綜して配設されている発電所等の保守、点検等の産業分野で有効に利用することができる。
I、II 領域
1、11 γ線源
2、12、22 検出手段
3 検査対象物
16 ストリークカメラ
25、30 薄膜コンバータ
26 光カー効果媒質
27 マスク
28,31 光検出部
34 絞り

Claims (16)

  1. X線またはγ線(以下、両者をまとめてγ線という)を検査対象物に照射するとともに、前記照射により検査対象物においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出し、さらに前記散乱γ線の時間軸上の信号強度を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出して前記検査対象物の厚さに関するデータを検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  2. 請求項1に記載する非破壊検査方法において、
    前記検査対象物の標準試料に基づく前記散乱γ線信号における前記パルスの幅と、前記検査対象物における前記標準試料の対応部分の前記散乱γ線信号に基づく前記パルスの幅とを比較することにより、前記検査対象物の状態を検出するようにしたことを特徴とする非破壊検査方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載する非破壊検査方法において、
    前記散乱γ線信号は、前記検査対象物における前記γ線の照射側の面とその反対側の面との間の厚さである第1の厚さに対応する第1のパルス、および前記γ線の照射方向の延長線上で前記γ線の照射側の他の面とその反対側の他の面との間の厚さである第2の厚さに対応する第2のパルスとを含むことを特徴とする非破壊検査方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載する非破壊検査方法において、
    前記γ線は、超短パルスレーザ光に基づき発生させることを特徴とする非破壊検査方法。
  5. 請求項4に記載する非破壊検査方法において、
    前記γ線は、超短パルスレーザ光と電子線との衝突により発生するレーザ・コンプトン散乱γ線であることを特徴とする非破壊検査方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載する非破壊検査方法において、
    前記パルスの幅は、前記散乱γを薄膜コンバータで電子線に変換するとともに、前記電子線の移動により発生するチェレンコフ光を光カー効果媒質に入射させる一方、前記超短パルスレーザ光の一部を前記光カー効果媒質に入射させるとともに、入射させる迄の時間を遅延させて時間軸方向のスキャンを行ないつつ前記光カー効果媒質の屈折率を変化させることによりマスクの所定位置に透孔を介して入射する前記チェレンコフ光を光検出器で検出し、前記光検出器が検出する前記チェレンコフ光に基づき検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  7. 請求項4または請求項5に記載する非破壊検査方法において、
    前記パルスの幅は、前記散乱γ線を薄膜コンバータで電子線に変換するとともに、前記電子線に前記超短パルスレーザ光の一部を照射することにより発生するトムソン散乱光に基づく光信号により検出することを特徴とする非破壊検査方法。
  8. 請求項6または請求項7に記載する非破壊検査方法において、
    前記電子線は、前記薄膜コンバータで変換されたコンプトン散乱電子線を使用するとともに、前記コンプトン散乱電子線を、絞りを通過させることにより特定のエネルギのコンプトン散乱電子線を選択したものであることを特徴とする非破壊検査方法。
  9. 検査対象物に向けてγ線を照射するγ線源と、
    前記照射により検査対象物においてコンプトン後方散乱に起因して散乱された散乱γ線を検出し、さらに前記散乱γ線の時間軸上の信号強度を表す散乱γ線信号に基づき前記検査対象物の厚さに対応する部分のパルスの幅を検出して前記検査対象物の厚さに関するデータを検出する検出手段とを有することを特徴とする非破壊検査装置。
  10. 請求項9に記載する非破壊検査装置において、
    前記検出手段は、
    前記検査対象物の標準試料に基づく前記散乱γ線信号における前記パルスの幅に関する標準データを記憶している標準データ記憶部と、
    前記検査対象物における前記標準試料の対応部分の前記散乱γ線信号に基づき検出した前記パルスの幅である実測データを記憶している実測データ記憶部と、
    前記標準データと実測データとを比較して所定の演算を行なうことにより、前記検査対象物の状態を検出する比較演算部とを有することを特徴とする非破壊検査装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載する非破壊検査装置において、
    前記散乱γ線信号は、前記検査対象物における前記γ線の照射側の面とその反対側の面との間の厚さである第1の厚さに対応する第1のパルス、および前記γ線の照射方向の延長線上で前記γ線の照射側の他の面とその反対側の他の面との間の厚さである第2の厚さに対応する第2のパルスとを含むことを特徴とする非破壊検査装置。
  12. 請求項9〜請求項11のいずれか一項に記載する非破壊検査装置において、
    前記γ線源は、超短パルスレーザ光に基づき前記γ線を発生させるものであることを特徴とする非破壊検査装置。
  13. 請求項12に記載する非破壊検査装置において、
    前記γ線源は、超短パルスレーザ光と電子線との衝突により発生するレーザ・コンプトン散乱γ線を発生するものであることを特徴とする非破壊検査装置。
  14. 請求項12または請求項13に記載する非破壊検査装置において、
    前記検出手段は、前記散乱γ線を電子線に変換する薄膜コンバータと、前記電子線の移動により発生するチェレンコフ光が入射される光カー効果媒質と、前記超短パルスレーザ光の一部を分岐する分岐手段と、前記分岐手段で分岐された前記超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御して前記光カー効果媒質に入射させる遅延手段と、前記超短パルスレーザ光により屈折率が変化する光カー効果媒質で屈折された前記チェレンコフ光をマスクの透孔を介して入射させる光検出部とを備えていることを特徴とする非破壊検査装置。
  15. 請求項12または請求項13に記載する非破壊検査装置において、
    前記検出手段は、前記散乱γ線を電子線に変換する薄膜コンバータと、前記超短パルスレーザ光の一部を分岐する分岐手段と、前記分岐手段で分岐された前記超短パルスレーザ光の伝搬時間を制御する遅延手段と、前記伝搬時間が制御された前記超短パルスレーザ光と前記電子線との相互作用により形成されるトムソン散乱光に基づく光信号を検出する光検出部とを備えていることを特徴とする非破壊検査装置。
  16. 請求項14または請求項15に記載する非破壊検査装置において、
    前記薄膜コンバータで変換した特定のエネルギのコンプトン散乱電子線を通過させる絞り手段を、さらに有することを特徴とする非破壊検査装置。
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