JP2015214987A - 機関及び機関の制御方法 - Google Patents
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Landscapes
- Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
- Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
Abstract
【解決手段】機関の始動時には、機関の着火後、定格回転数に達するまで、機関の慣性モーメントと機関の定格回転角速度と立ち上がり許容時間から算出される必要トルクに対応して定まる所定量の燃料を始動制御弁の働きでシリンダ内へ供給する(始動制御弁の電磁弁信号ONを示すグラフA)。また所定量の燃料が良好に燃焼するように始動弁を開にして空気をシリンダへ継続して供給する(状態[2])。機関の回転数は円滑に上昇し、所定制限時間内で定格まで立ち上がる。黒煙の発生も少ない(オパシティ値を示すグラフP)。
【選択図】図9
Description
始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関の制御方法において、
機関の始動時における前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続することを特徴としている。
前記機関が定格回転数に達するまで前記始動空気の供給を継続することを特徴としている。
前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給することを特徴としている。
始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関において、
始動時には前記始動空気を前記シリンダに供給して前記クランキングを行なわせる始動弁と、
機関の始動時における前記始動弁による前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続するように前記始動弁を制御する制御手段と、
を具備することを特徴としている。
前記制御手段は、前記機関が定格回転数に達するまで前記始動弁に前記始動空気の供給を継続させることを特徴としている。
前記制御手段は、前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、前記始動弁に、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給させることを特徴としている。
本発明は、シリンダ内に燃料を供給して燃焼させることにより、ピストンを作動させて動力を発生させるレシプロ式内燃機関とその制御方法に関するものである。本発明が適用される内燃機関としては、ディーゼル機関、デュアルフューエル機関、ガス機関等があり、その用途は問わないが、これらの機関は、例えば外部機関としての発電装置や推進装置に連結して駆動源として使用することができる。
以下、本実施形態の具体的な構成とその実際の制御方法について説明する。
図1及び図2は、本実施形態のディーゼル機関における燃料噴射ポンプの燃料供給系統及び始動弁の始動空気系統を示す図であって、上下に接続すれば全体として1葉の図面を構成するものであり、以下の説明では両図をまとめて図1及び図2として参照するものとする。また、図3は、前記始動弁の断面図である。図1及び図2に示す機関は、対向して2列に配置された複数のシリンダを有しているが、同図では説明に必要な一部のシリンダの一部の構成と、シリンダに空気を供給する始動弁及びこれに対する空気供給系統、さらにシリンダに供給する燃料の制御のための構成を中心として図示している。
排ガス駆動の過給機付き機関であっても、機関始動時の燃焼空気吸込みは大気圧力状態である。このような状態でも良好な燃焼が可能な燃料量としては、機関の大きさや回転数にはあまり影響を受けることはなく、一般に正味平均有効圧力(Pme) で約0.5 〜0.55MPa 程度である。従って機関始動時、その機関に要求される許容時間内に定格回転数まで立上げるのに必要な正味平均有効圧力が0.5 〜0.55MPa 以上である場合には、空気に対して燃料が過剰であり、良好な燃焼ができず、不完全燃焼を起こしてしまい、黒煙が発生してしまう。
この状態について、図4及び図5を参照して説明する。図中、30は排気弁、31は吸気弁である。
図4(d)はクランク角度が約180°の状態であり、排気弁30が開いて空気が排気される。以後、このような始動空気によるクランキングを数回繰り返し、回転数が定格回転数の例えば30%程度まで上昇した時点で始動弁のパイロット空気がカットされ、始動弁の作動が停止するが、この時点では既に燃焼が確立しており自力で回転上昇し機関の始動に至ることになる。
図5(a)に示すように、クランク角度が上死点前約5°では燃料噴射弁5から燃料噴射が開始されており燃焼が始まる。図5(b)に示すように、クランク角度が約45°付近でも後燃えが継続しているが、燃料が空気量に対して過剰に供給された場合には図5(c)に示すように空気不足によりクランク角度45°以降も燃料は完全燃焼しきれずに、図5(d)に示されるように、下死点近傍で排気弁30が開き燃えきらない燃料が排出されて黒煙となってしまう。
本発明者等は、前項で説明した空気不足による燃料の不完全燃焼を解消して黒煙の発生を防止するために、燃料の供給量に一定の制限を加えるとともに、クランキング用の始動空気を燃焼用の空気として使用すべく、始動弁16を従来とは異なる態様で使用することを発案した。
機関立上げに必要なトルク(T)、機関装置系全体の慣性モーメントI(kg・m2 )、定格回転角速度(ω)、立上げ許容時間Δt の関係は下式(1)で示される。このため、機関を許容時間Δt で定格回転数まで立上げるのに必要なトルク(T)は、下式(2)のように算出される。なお、慣性モーメントIは、機関装置系全体としての数値であり、機関とこれに連結された外部装置(例えば発電装置等)の全体の慣性モーメントを意味する。
T=( I ×ω) ÷Δt …(2)
このような本発明による機関始動方式を採用することにより、燃料の燃焼状態が改善され、黒煙の発生は改善され、機関始動時の回転数はほぼ直線的に上昇する。
外部装置を含めた機関の全体としての慣性モーメント(Ikg・m2 )より、機関を許容時間内に立ち上げるのに必要なトルク(T)を計算する。例えば、ディーゼル発電装置、デュアルフューエル発電装置、ディーゼル推進装置等であれば、機関だけでなく、発電装置や推進装置も含めた全体の慣性モーメント(Ikg・m2 )からトルク(T)を計算する。
本実施形態の機関で発電機を駆動する場合、無負荷で機関を始動した後、機関が定格回転数に達して安定すると、発電機から出力される電圧が確立する。その後に、操作者が負荷のスイッチをONにする等して機関に負荷を投入する場合には、負荷が実際に投入される前にシリンダ内に空気が供給されるようにする。実際には、スイッチのON信号等の負荷投入信号をトリガとし、負荷投入信号の入力と同時に機関の始動弁16を一定期間開き、シリンダに圧縮空気を供給する。このようにすれば、シリンダに実際に空気が供給された後で負荷が加わることになるので、負荷投入による黒煙の発生および機関の速度変動を改善することができる。
以上説明した実施形態では圧縮空気によるクランキングで始動する圧縮空気始動用機関(本例ではディーゼル機関)について説明したが、セルモータ、エアモータ始動の機関に対しても本発明は適用できる。その場合には、圧縮空気始動用機関の始動弁16と同様な構造の空気供給手段として、所定の空気圧の圧縮空気を供給できる空気槽と、シリンダごとに設けられて当該空気槽から送られた空気を各シリンダに供給する空気供給弁と、各空気供給弁に制御用空気を送るパイロット空気弁(前記始動空気分配弁27と同)を機関に設ければよい。なお、パイロット空気弁の開閉駆動方法は、以下に説明するように油圧、空圧、プッシュロッド等、あらゆる手段から選択して採用することができる。
機関のカム軸29とクランク軸2に設けた回転検出センサにより各シリンダの燃焼タイミングを検出し、圧縮空気圧力(アシスト空気圧力)とシリンダ内圧力とのバランスを考慮し、そのタイミングに合わせてパイロット空気弁を駆動し、各シリンダに必要なタイミングで制御用空気を供給する。各空気供給弁は制御用空気により所定のタイミングで操作され、各シリンダに必要なタイミングで圧縮空気(アシストエア)を供給する。パイロット空気弁を開くタイミングは、上述したように、始動時および負荷投入時とする。シリンダに対する圧縮空気の供給は、各シリンダに設けた空気供給弁と空気槽とを接続する空気配管に設けた弁を開閉して行う。パイロット空気弁の駆動は空気圧に替えて油圧駆動でもよい。
カム軸29に始動弁を駆動するカムを設け、機関の回転に対して所定のタイミングで始動弁を駆動し、各シリンダに必要なタイミングで圧縮空気を供給する。シリンダに対する圧縮空気の供給は、各シリンダに設けられた始動弁と空気槽とを接続する空気配管に設けた弁を開閉して行う。
機関系全体の慣性モーメントが小さい機関の場合(主に小型機関)は、立ち上げに必要とされるトルクが小さくなるので燃料噴射量も小さくなる。各シリンダの燃料噴射ポンプ6は低噴射領域でのバラツキの影響が大きいため、このような場合には燃料噴射量を適切に制御することが困難になる。また厳冬期の場合には、潤滑油粘度の上昇等による要因などでクランキングトルクが増大することがあるので、それらの影響を考慮し、燃料噴射量は上述した量に余裕をつけて設定することが好ましい。
機関系全体の慣性モーメントが大きい機関の場合(主に大型機関)は、必要トルクを得るための燃料噴射量が増大するため、従来多くのディーゼル機関に付設されていた空気槽の3.0MPaの始動空気圧では、燃焼空気圧が不足となる場合がある。そのような場合には、前述した通り、必要に応じて始動空気槽15内に図示しない圧縮機で空気を供給し、空気槽の圧力を必要な圧力まで高め、前述した必要なトルクから噴射量を算出した燃料を燃焼させるだけの空気量を確保するものとする。
図7から図10は、始動から定格回転数に至るまでの機関回転数、燃料供給量を示す燃料ラック目盛り、排気中の黒煙の濃度を示すオパシティ値等の時間的変化を示すとともに、空気供給状態に対応する状態1乃至3の表示([1]〜[3]で示す)により機関の運転状態を表わした実測図である。これらは、いずれも前述した本実施形態の機関における運転実験結果を示すものである。この中で、図7は従来の運転方法による状態を示し、図8乃至図9は本発明に至る過程で本願発明者が従来の制御方法を改善した方法による状態を示しており、図10はその結果到達した本発明の実施形態の方法による状態を示している。
機関形式 4 サイクル
シリンダ数 6 シリンダ
シリンダ径 260mm
ストローク 275mm
定格回転速度 900min-1
発電機出力 1000kW
発電機効率 0.963
正味平均有効圧力 1.55MPa
発電機系の慣性モーメント I = 1801.8 (kg ・cm・sec2)
機関定格回転速度でのω2 ω2 = 2 ×π×(900/60) = 94.2 rad/sec
図10の立上げ時間 Δt = 5 sec
であるから、必要加速トルクT は、
T = I ×ω2 /Δt = 1801.8× 94.2 /5 =339.5kg ・m
となる。
なお、前述した式(1)及び(2)の説明では、慣性モーメントIはSI単位でkg・m2としたが、上記説明では、単位をkgf ・cm・sec2としている。この関係は、
Kg・m2 =10.2× kgf・cm・sec2
で表される。この式における10.2は、kgf をkgに変換するため、9.8m/sec2 においてm をcmに変換するため、100 を9.8 で除した値、すなわち100/9.8=10.2である。
機関定格出力kW 1000kW
機関定格回転数n 900min-1
であるから、
機関定格出力時のトルクTr= 716.2× 1.36 × 1000 / 900 = 1082.3 kg・m
となる。
トルク比TR = ( T/ Tr ) = ( 339.5 / 1082.3 ) × 100 = 31.4 %
となる。
無噴射ラック目盛 6
であるとすると、
必要ラック目盛Rmは、
Rm =6+ ( 21.8 − 6) × 31.4 / 100 = 11
となる。
となる。
従って、正味平均有効圧力が約1.0MPaから1.2MPaの場合であれば、始動空気圧力を4.0MPa程度とすることが好ましい。
11…ガバナ
14…シリンダ
15…空気供給手段としての始動空気槽
16…空気供給手段としての始動弁
20…燃料調整手段としての燃料制御弁
20A…燃料制御弁である始動制御弁
20K…燃料制御弁である緩始動弁
始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関の制御方法において、
機関の始動時における前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続することを特徴としている。
前記機関が定格回転数に達するまで前記始動空気の供給を継続することを特徴としている。
前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給することを特徴としている。
始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関において、
始動時には前記始動空気を前記シリンダに供給して前記クランキングを行なわせる始動弁と、
機関の始動時における前記始動弁による前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続するように前記始動弁を制御する制御手段と、
を具備することを特徴としている。
前記制御手段は、前記機関が定格回転数に達するまで前記始動弁に前記始動空気の供給を継続させることを特徴としている。
前記制御手段は、前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、前記始動弁に、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給させることを特徴としている。
本発明は、シリンダ内に燃料を供給して燃焼させることにより、ピストンを作動させて動力を発生させるレシプロ式内燃機関とその制御方法に関するものである。本発明が適用される内燃機関としては、ディーゼル機関、デュアルフューエル機関、ガス機関等があり、その用途は問わないが、これらの機関は、例えば外部機関としての発電装置や推進装置に連結して駆動源として使用することができる。
以下、本実施形態の具体的な構成とその実際の制御方法について説明する。
図1及び図2は、本実施形態のディーゼル機関における燃料噴射ポンプの燃料供給系統及び始動弁の始動空気系統を示す図であって、上下に接続すれば全体として1葉の図面を構成するものであり、以下の説明では両図をまとめて図1及び図2として参照するものとする。また、図3は、前記始動弁の断面図である。図1及び図2に示す機関は、対向して2列に配置された複数のシリンダを有しているが、同図では説明に必要な一部のシリンダの一部の構成と、シリンダに空気を供給する始動弁及びこれに対する空気供給系統、さらにシリンダに供給する燃料の制御のための構成を中心として図示している。
排ガス駆動の過給機付き機関であっても、機関始動時の燃焼空気吸込みは大気圧力状態である。このような状態でも良好な燃焼が可能な燃料量としては、機関の大きさや回転数にはあまり影響を受けることはなく、一般に正味平均有効圧力(Pme) で約0.5 〜0.55MPa 程度である。従って機関始動時、その機関に要求される許容時間内に定格回転数まで立上げるのに必要な正味平均有効圧力が0.5 〜0.55MPa 以上である場合には、空気に対して燃料が過剰であり、良好な燃焼ができず、不完全燃焼を起こしてしまい、黒煙が発生してしまう。
この状態について、図4及び図5を参照して説明する。図中、30は排気弁、31は吸気弁である。
図4(d)はクランク角度が約180°の状態であり、排気弁30が開いて空気が排気される。以後、このような始動空気によるクランキングを数回繰り返し、回転数が定格回転数の例えば30%程度まで上昇した時点で始動弁のパイロット空気がカットされ、始動弁の作動が停止するが、この時点では既に燃焼が確立しており自力で回転上昇し機関の始動に至ることになる。
図5(a)に示すように、クランク角度が上死点前約5°では燃料噴射弁5から燃料噴射が開始されており燃焼が始まる。図5(b)に示すように、クランク角度が約45°付近でも後燃えが継続しているが、燃料が空気量に対して過剰に供給された場合には図5(c)に示すように空気不足によりクランク角度45°以降も燃料は完全燃焼しきれずに、図5(d)に示されるように、下死点近傍で排気弁30が開き燃えきらない燃料が排出されて黒煙となってしまう。
本発明者等は、前項で説明した空気不足による燃料の不完全燃焼を解消して黒煙の発生を防止するために、燃料の供給量に一定の制限を加えるとともに、クランキング用の始動空気を燃焼用の空気として使用すべく、始動弁16を従来とは異なる態様で使用することを発案した。
機関立上げに必要なトルク(T)、機関装置系全体の慣性モーメントI(kg・m2 )、定格回転角速度(ω)、立上げ許容時間Δt の関係は下式(1)で示される。このため、機関を許容時間Δt で定格回転数まで立上げるのに必要なトルク(T)は、下式(2)のように算出される。なお、慣性モーメントIは、機関装置系全体としての数値であり、機関とこれに連結された外部装置(例えば発電装置等)の全体の慣性モーメントを意味する。
T=( I ×ω) ÷Δt …(2)
このような本発明による機関始動方式を採用することにより、燃料の燃焼状態が改善され、黒煙の発生は改善され、機関始動時の回転数はほぼ直線的に上昇する。
これにより、前記始動空気供給手段において、必要に応じて作動する圧縮機から始動空気槽15に空気が供給されて空気圧が調節されるので、許容時間で定格回転数に立ち上がるために必要なトルクから算出した所定量の燃料が良好に燃焼するのに必要な始動空気の圧力を維持することができ、このため要求される立ち上がりの許容時間が短縮化されたような場合であっても、黒煙発生が抑制され安定した燃焼による定格回転数までの立ち上がりを確実に達成することができる。
外部装置を含めた機関の全体としての慣性モーメント(Ikg・m2 )より、機関を許容時間内に立ち上げるのに必要なトルク(T)を計算する。例えば、ディーゼル発電装置、デュアルフューエル発電装置、ディーゼル推進装置等であれば、機関だけでなく、発電装置や推進装置も含めた全体の慣性モーメント(Ikg・m2 )からトルク(T)を計算する。
本実施形態の機関で発電機を駆動する場合、無負荷で機関を始動した後、機関が定格回転数に達して安定すると、発電機から出力される電圧が確立する。その後に、操作者が負荷のスイッチをONにする等して機関に負荷を投入する場合には、負荷が実際に投入される前にシリンダ内に空気が供給されるようにする。実際には、スイッチのON信号等の負荷投入信号をトリガとし、負荷投入信号の入力と同時に機関の始動弁16を一定期間開き、シリンダに圧縮空気を供給する。このようにすれば、シリンダに実際に空気が供給された後で負荷が加わることになるので、負荷投入による黒煙の発生および機関の速度変動を改善することができる。
機関系全体の慣性モーメントが小さい機関の場合(主に小型機関)は、立ち上げに必要とされるトルクが小さくなるので燃料噴射量も小さくなる。各シリンダの燃料噴射ポンプ6は低噴射領域でのバラツキの影響が大きいため、このような場合には燃料噴射量を適切に制御することが困難になる。また厳冬期の場合には、潤滑油粘度の上昇等による要因などでクランキングトルクが増大することがあるので、それらの影響を考慮し、燃料噴射量は上述した量に余裕をつけて設定することが好ましい。
機関系全体の慣性モーメントが大きい機関の場合(主に大型機関)は、必要トルクを得るための燃料噴射量が増大するため、従来多くのディーゼル機関に付設されていた空気槽の3.0MPaの始動空気圧では、燃焼空気圧が不足となる場合がある。そのような場合には、前述した通り、必要に応じて始動空気槽15内に図示しない圧縮機で空気を供給し、空気槽の圧力を必要な圧力まで高め、前述した必要なトルクから噴射量を算出した燃料を燃焼させるだけの空気量を確保するものとする。
図7から図10は、始動から定格回転数に至るまでの機関回転数、燃料供給量を示す燃料ラック目盛り、排気中の黒煙の濃度を示すオパシティ値等の時間的変化を示すとともに、空気供給状態に対応する状態1乃至3の表示([1]〜[3]で示す)により機関の運転状態を表わした実測図である。これらは、いずれも前述した本実施形態の機関における運転実験結果を示すものである。この中で、図7は従来の運転方法による状態を示し、図8乃至図9は本発明に至る過程で本願発明者が従来の制御方法を改善した方法による状態を示しており、図10はその結果到達した本発明の実施形態の方法による状態を示している。
機関形式 4 サイクル
シリンダ数 6 シリンダ
シリンダ径 260mm
ストローク 275mm
定格回転速度 900min-1
発電機出力 1000kW
発電機効率 0.963
正味平均有効圧力 1.55MPa
発電機系の慣性モーメント I = 1801.8 (kg ・cm・sec2)
機関定格回転速度でのω2 ω2 = 2 ×π×(900/60) = 94.2 rad/sec
図10の立上げ時間 Δt = 5 sec
であるから、必要加速トルクT は、
T = I ×ω2 /Δt = 1801.8× 94.2 /5 =339.5kg ・m
となる。
なお、前述した式(1)及び(2)の説明では、慣性モーメントIはSI単位でkg・m2としたが、上記説明では、単位をkgf ・cm・sec2としている。この関係は、
Kg・m2 =10.2× kgf・cm・sec2
で表される。この式における10.2は、kgf をkgに変換するため、9.8m/sec2 においてm をcmに変換するため、100 を9.8 で除した値、すなわち100/9.8=10.2である。
機関定格出力kW 1000kW
機関定格回転数n 900min-1
であるから、
機関定格出力時のトルクTr= 716.2× 1.36 × 1000 / 900 = 1082.3 kg・m
となる。
トルク比TR = ( T/ Tr ) = ( 339.5 / 1082.3 ) × 100 = 31.4 %
となる。
無噴射ラック目盛 6
であるとすると、
必要ラック目盛Rmは、
Rm =6+ ( 21.8 − 6) × 31.4 / 100 = 11
となる。
となる。
従って、正味平均有効圧力が約1.0MPaから1.2MPaの場合であれば、始動空気圧力を4.0MPa程度とすることが好ましい。
11…ガバナ
14…シリンダ
15…始動空気供給手段としての始動空気槽
16…始動空気供給手段としての始動弁
20…燃料調整手段としての燃料制御弁
20A…燃料制御弁である始動制御弁
20K…燃料制御弁である緩始動弁
Claims (6)
- 始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関の制御方法において、
機関の始動時における前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続することを特徴とする機関の制御方法。 - 前記機関が定格回転数に達するまで前記始動空気の供給を継続することを特徴とする請求項1記載の機関の制御方法。
- 前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給することを特徴とする請求項2に記載の機関の制御方法。
- 始動空気をシリンダ内に送り込むことによってピストンを始動させるクランキングを行ない、前記シリンダ内に供給された燃料を燃焼させることにより前記ピストンを作動させて動力を発生させる機関において、
始動時には前記始動空気を前記シリンダに供給して前記クランキングを行なわせる始動弁と、
機関の始動時における前記始動弁による前記始動空気の供給をクランキング終了後も継続するように前記始動弁を制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする機関。 - 前記制御手段は、前記機関が定格回転数に達するまで前記始動弁に前記始動空気の供給を継続させることを特徴とする請求項4記載の機関。
- 前記制御手段は、前記機関が始動して前記定格回転数に達した後、前記機関の負荷投入時には、前記始動弁に、負荷の投入前に前記シリンダに前記始動空気を供給させることを特徴とする請求項5に記載の機関。
Priority Applications (1)
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