JP2015212345A - 脂環式エポキシ基を有するポリマー - Google Patents

脂環式エポキシ基を有するポリマー Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明の目的は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れる上に、柔軟性にも優れる、脂環式エポキシ基を有するブロックを有するブロック共重合体を提供することにある。【解決手段】本願発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、原子移動ラジカル重合法により得られる、脂環式エポキシ基を有することを特徴とする。また、本発明のブロック共重合体は、上記(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロックを含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、脂環式エポキシ基を有するポリマーに関する。具体的には、原子移動ラジカル重合法により得られる、脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーに関する。また、この(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロックを含むブロック共重合体に関する。
脂環式エポキシ樹脂は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れる樹脂として知られている。
特開昭57−47365号公報
Macromolecular Chemistry and Physics, 2004, 205, 2221−2228
しかしながら、脂環式エポキシ樹脂は、硬くて脆いため、クラックが生じやすいという問題点があった。
脂環式エポキシ樹脂の柔軟性を向上させる方法として、脂環式エポキシ基を有するモノマーと共に、他のモノマーを用いた共重合体により、柔軟性を向上させる試みがなされている(特許文献1)。しかしながら、機械的強度、耐熱性、透明性等の特性のさらなる向上が求められていた。
本発明者らは、脂環式エポキシ樹脂の特性をさらに向上させつつ、柔軟性も有する共重合体の検討を進めたところ、脂環式エポキシ基を有する繰り返し単位からなるブロックと、他の繰り返し単位からなるブロックとを有するブロック共重合体が有用であることを見出した。さらに検討を進めたところ、脂環式エポキシ基を有する繰り返し単位からなるブロックの分子量分布、及びブロック共重合体全体の分子量分布を狭くすることが有用であることを見出した。
このようなブロック共重合体を製造する方法として、脂環式エポキシ基と、ラジカル重合性基とを有するモノマーを用いた原子移動ラジカル重合法が挙げられる。
例えば、グリシジル基を有するメタクリル系ポリマーを開始剤に用いて原子移動ラジカル重合法により製造された、グリシジルメタクリレートに対応する繰り返し単位(メタクリロイル基で重合し、グリシジル基を側鎖に有する繰り返し単位)からなるブロックを有するブロック共重合体が知られている(非特許文献1)。しかしながら、硬化物の柔軟性が十分でない場合や、透明性、耐熱性、体積収縮性に劣る場合があった。
また、この文献では、脂環式エポキシ基を側鎖に有する繰り返し単位からなるブロックを有するブロック共重合体や、その重合方法について何ら検討がされていない。
即ち、機械的強度、耐熱性、透明性等の物性に優れる上に、柔軟性にも優れる、脂環式エポキシ基を有する繰り返し単位からなるブロックを有するブロック共重合体、及び該ブロック共重合体の製造方法は知られていない。
従って、本発明の目的は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れる上に、柔軟性にも優れる、脂環式エポキシ基を有する繰り返し単位からなるブロックを有するブロック共重合体を提供することにある。
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、上記問題を解決するには、特定のラジカル重合法で得られる脂環式エポキシ基を有するアクリル系ポリマーを用いることで、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、原子移動ラジカル重合法により得られる、脂環式エポキシ基を有することを特徴とする(メタ)アクリルポリマーを提供する。
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、分子量分布が1.8以下であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマーの繰り返し単位が、下記式(1)であることが好ましい。
また、一分子中に(メタ)アクリロイル基及び脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと、重合開始剤と、触媒とを用いて原子移動ラジカル重合を行うことを特徴とする上記(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法を提供する。
また、上記(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロックを含むブロック共重合体を提供する。
上記ブロック共重合体は、原子移動ラジカル重合法により得られることが好ましい。
また、上記ブロック共重合体、及びポリシラザンを含むコーティング組成物を提供する。
また、上記コーティング組成物を硬化させて得られるシリカ複合材料を提供する。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを用いることにより、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れる上に、柔軟性にも優れるブロック共重合体が得られる。
図1は、実施例15の試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した画像である。
[(メタ)アクリル系ポリマー]
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、重合可能な官能基として、側鎖に脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル系ポリマーである。即ち、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、側鎖に脂環式エポキシ基を有し、(メタ)アクリロイル基で重合した(メタ)アクリル系重合体である。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち一方又は両方)を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」(「アクリロイル」及び「メタクリロイル」のうち一方又は両方)を意味する。また、脂環式エポキシ基とは、脂環を構成する隣接する2つの炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基をいう。
本明細書において、2種以上のブロックを有するポリマー(例えば、A−B型ブロック共重合体など)をブロック共重合体と称する。1種のブロックを有するポリマー(例えば、ホモポリマーなど)は、単にポリマー((メタ)アクリル系ポリマーなど)と称する。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、一分子中にラジカル重合性基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有し、カチオン重合性基として少なくとも脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマー(本明細書において、「(メタ)アクリル系モノマーA」と称する場合がある)に対応する繰り返し単位(構成単位、モノマー単位)を含む。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、上記(メタ)アクリル系モノマーAに対応する繰り返し単位からなるブロックを有する(メタ)アクリル系ポリマーが好ましく、上記(メタ)アクリル系モノマーAに対応する繰り返し単位のみからなる(メタ)アクリル系ポリマー((メタ)アクリル系モノマーAのホモポリマー)がより好ましい。
上記(メタ)アクリル系モノマーAは、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性基として、(メタ)アクリロイル基以外に、ビニル基などを有していてもよい。上記(メタ)アクリル系モノマーAが2個以上のラジカル重合性基を有する場合、これらのラジカル重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記(メタ)アクリル系モノマーAは、特に限定されないが、例えば、カチオン重合性基として、脂環式エポキシ基以外に、オキセタニル基、ビニルエーテル基などを有していてもよい。上記(メタ)アクリル系モノマーAが、2個以上のカチオン重合性基を有する場合、これらのカチオン重合性基はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記脂環式エポキシ基としては、特に限定されないが、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル基、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−(又は9−)イル基(エポキシ化ジシクロペンタジエニル基)などが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系モノマーAとしては、例えば、下記式で表される化合物が挙げられる。
上記式中、R3は水素原子またはメチル基を示し、R4は炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を示す。
中でも、上記(メタ)アクリル系モノマーAは、分子量分布が狭いポリマーが得られやすい、及び分岐を阻止するという観点から、ラジカル重合性基として(メタ)アクリロイル基のみを有し、カチオン重合性基として脂環式エポキシ基のみを有することが好ましく、特に好ましくは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、N−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)(メタ)アクリルアミドである。また、上記(メタ)アクリル系モノマーAとしては、例えば、商品名「サイクロマーM100」((株)ダイセル製)などの市販品を使用することもできる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマーの繰り返し単位が下記式(1)であること(モノマーの繰り返し単位として下記式(1)のモノマーの繰り返し単位を有すること)が好ましく、下記式(1)の繰り返し単位のみからなることが特に好ましい。
上記(メタ)アクリル系モノマーAのラジカル重合性基の官能基当量は、特に限定されないが、例えば、50〜500が好ましく、より好ましくは100〜400、さらに好ましくは150〜300である。官能基当量が上記範囲であることにより、分子量分布がより狭いポリマーが得られやすい。なお、(メタ)アクリル系モノマーAのラジカル重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[ラジカル重合性基の官能基当量]=[(メタ)アクリル系モノマーAの分子量]/[(メタ)アクリル系モノマーAが有するラジカル重合性基の数]
上記(メタ)アクリル系モノマーAのカチオン重合性基の官能基当量は、特に限定されないが、50〜500が好ましく、より好ましくは100〜400、さらに好ましくは150〜300である。官能基当量が上記範囲であることにより、重合反応の条件を幅広く選択することができる。なお、(メタ)アクリル系モノマーAのカチオン重合性基の官能基当量は、下記式により算出することができる。
[カチオン重合性基の官能基当量]=[(メタ)アクリル系モノマーAの分子量]/[(メタ)アクリル系モノマーAが有するカチオン重合性基の数]
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5×103以上(例えば、5×103〜1×106)が好ましく、より好ましくは2.3×104以上、さらに好ましくは3.2×104以上である。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの分子量分布(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、2.0以下(例えば、1.0〜2.0など)が好ましく、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。
本明細書において、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。より具体的には、後述の評価「(重量平均分子量、及び分子量分布)」に記載の方法で測定することができる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの用途としては、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロックを含むブロック共重合体を合成する際の原料(例えば、開始剤)が挙げられる。
[(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法]
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により製造することができる。原子移動ラジカル重合により、ラジカル重合性基(特に(メタ)アクリロイル基)が先行して重合し、脂環式エポキシ基が開環しないポリマーを効率よく得ることができる。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応は、上記(メタ)アクリル系モノマーA、重合開始剤、触媒を少なくとも用いることが好ましい。さらに、溶媒、還元剤、退化性連鎖移動剤などを用いてもよい。
((メタ)アクリル系モノマーA)
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応に用いられる(メタ)アクリル系モノマーAとしては、上述のものが挙げられる。中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、N−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)(メタ)アクリルアミドが好ましく、より好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートである。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応に用いる、上記(メタ)アクリル系モノマーAは、原子移動ラジカル重合が効率よく進むという観点から、遷移金属(特に、遷移金属化合物中に含まれる遷移金属(例えば、遷移金属化合物として塩化銅(I)を用いる場合には、銅))が実質的に含まれていないことが好ましい。具体的には、上記(メタ)アクリル系モノマーA中の遷移金属の割合は、(メタ)アクリル系モノマーA100重量%に対して、0.1重量%以下が好ましく、0.001重量%以下がより好ましく、0.0001重量%以下がさらに好ましく、含まれていないことが特に好ましい。
(メタ)アクリル系モノマーA中の遷移金属は、脂環式エポキシ基が開環しない条件で精製して除去することが好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応における、反応溶液中の上記(メタ)アクリル系モノマーAの濃度は、特に限定されないが、反応速度を適度にして反応を制御できるという観点や分子量分布が狭いポリマーが得られるという観点から、例えば、0.50〜5.45mol/Lが好ましい。特に、高分子量且つ分子量分布が狭いポリマーが得られやすいという観点から、例えば、1.00〜2.50mol/Lが好ましく、より好ましくは1.30〜1.90mol/Lである。
上記(メタ)アクリル系モノマーAの使用量は、特に限定されないが、例えば、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応の反応溶液全量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%である。
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては、重合開始点となる、塩素原子、臭素原子、あるいはヨウ素原子を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。中でも、開始点となる塩素原子または臭素原子を1つまたは2つ有する化合物が好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、有機ハロゲン化化合物が挙げられる。具体的には、α,α´−ジブロモキシレン、α,α´−ジクロロキシレン、炭素原子数1〜6の2−ハロゲン化カルボン酸(例えば2−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−クロロイソ酪酸、2−ブロモイソ酪酸など)の炭素原子数1〜18のアルキルエステル(例えば、2−クロロプロピオン酸メチル、2−クロロプロピオン酸エチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ブロモイソ酪酸オクタデシルなど)などが挙げられる。中でも、α,α´−ジブロモキシレン、2−ブロモプロピオン酸メチルが好ましく、分子量分布の制御(特にトリブロック共重合体合成の場合の分子量分布の制御)の観点から、α,α´−ジブロモキシレンが特に好ましい。
上記重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、収率、分子量分布の観点から、例えば、上記(メタ)アクリル系モノマーA100モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜5モル、さらに好ましくは0.3〜2モルである。
(触媒)
上記触媒としては、特に限定されないが、例えば、遷移金属化合物と配位子からなる金属錯体が好ましい。
上記遷移金属化合物は、Mn+nで表される化合物である。
上記遷移金属化合物における遷移金属であるMn+としては、例えば、Cu+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Ru2+、Ru3+、Cr2+、Cr3+、Mo0、Mo+、Mo2+、Mo3+、W2+、W3+、Rh3+、Rh4+、Co+、Co2+、Re2+、Re3+、Ni0、Ni+、Mn3+、Mn4+、V2+、V3+、Zn+、Zn2+、Au+、Au2+、Ag+、Ag2+などが挙げられ、中でも、コストの観点から、Cu+が好ましい。
上記遷移金属化合物におけるXとしては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルコキシル基、(SO41/2、(PO41/3、(HPO41/2、(H2PO4)、トリフラート、ヘキサフルオロホスフェート、メタンスルホネート、アリールスルホネート(例えば、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネートなど)などが挙げられ、中でもハロゲン原子(特に、塩素原子、臭素原子)が好ましい。nは、金属上の形式電荷を表し、0〜7の整数である。
上記遷移金属化合物としては、例えば、臭化銅(I)、塩化銅(I)、ヨウ化銅(I)、シアン化銅(I)などの1価の銅金属を有する銅化合物などが好ましく、より好ましくは、臭化銅(I)、塩化銅(I)である。特に、高分子量のポリマーが得られやすいという観点から、塩化銅(I)が好ましい。
上記遷移金属化合物における遷移金属と配位結合可能な配位子としては、例えば、2,2´−ビピリジルおよびその誘導体、1,10−フェナントロリンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(Me6TREN)、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどが挙げられる。中でも、三座配位子(例えば、ペンタメチルジエチレントリアミンなど)、四座配位子(例えば、トリス(ジメチルアミノエチル)アミンなど)が好ましく、特に、反応速度が速くなりすぎず反応を制御できるという観点、及び分子量分布がより狭いポリマーが得られるという観点から、三座配位子(特に、ペンタメチルジエチレントリアミン)が好ましい。
上記遷移金属化合物の使用量は、特に限定されないが、失活によるオリゴマー残存を阻止し、分子量分布が狭くなり、収率が向上するという観点から、例えば、上記(メタ)アクリル系モノマーA100モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜5モル、さらに好ましくは0.3〜2モルである。
上記遷移金属化合物の使用量は、特に限定されないが、失活によるオリゴマー残存を阻止し、分子量分布が狭くなるという観点から、例えば、上記重合開始剤1モルに対して、0.5〜5モルが好ましく、より好ましくは0.8〜3モルである。
上記配位子の使用量は、特に限定されないが、例えば、遷移金属化合物1モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モル、遷移金属化合物と等モル用いることが特に好ましい。
上記溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのエステル化合物またはカーボネート化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、イソアミルアルコールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオライドなどハロゲン化炭化水素類が挙げられる。中でも、分子量分布を狭くする観点から、トルエン、キシレンが好ましい。
上記溶媒の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記(メタ)アクリル系モノマーA100重量部に対して、0.1〜5000重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜2000重量部である。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合反応の重合温度は、特に限定されないが、例えば、−50〜200℃が好ましく、より好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜130℃である。中でも、ポリマーのゲル化を抑制できるという観点から、75℃未満(例えば、65℃以上75℃未満)が好ましく、特に、分子量分布が一層狭いポリマーが得られるという観点から、70℃より高いこと(例えば、70℃より高く75℃未満)が好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの原子移動ラジカル重合法の好ましい一態様として、以下の反応が挙げられる。なお、m、nは1以上の整数である。
原子移動ラジカル重合法で製造された(メタ)アクリル系ポリマーとしては、例えば、下記式(2)又は(3)で表される(メタ)アクリル系ポリマーが挙げられる。
なお、本明細書において、1種の繰り返し単位のみを有する(メタ)アクリル系重合体とは、開始剤を除いた部分が1種の繰り返し単位で構成されている(メタ)アクリル系重合体を含む。例えば、以下の式(2)及び式(3)で表される構造を有する(メタ)アクリル系重合体は、開始剤の両端、又は片端に1種の繰り返し単位を有する(メタ)アクリル系重合体((メタ)アクリル系ポリマー)である。
なお、下記式(2)及び式(3)において、m、nは1以上の整数である。
上記製造方法により得られた(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、さらに精製(例えば遷移金属の除去など)を行ってもよい。精製の方法は、特に限定されず、公知慣用の方法が用いられる。
[ブロック共重合体]
本発明のブロック共重合体は、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロック(本明細書において、「ブロックA」と称する場合がある)を少なくとも含む。本発明のブロック共重合体は、ブロックAと共に、ブロックA以外のブロック(本明細書において、「他のブロック」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
本発明のブロック共重合体に含まれるブロックAは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。本発明のブロック共重合体に含まれる他のブロックは、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記他のブロックとしては、特に限定されないが、例えば、ビニル基を有する単量体に対応する繰り返し単位からなるブロック(ビニル系ブロック)、ラクトンに対応する繰り返し単位からなるブロック(ラクトン系ブロック)、アルキルオキシドに対応する繰り返し単位からなるブロック(アルキルオキシド系ブロック)などが挙げられる。
上記ビニル系ブロックにおけるビニル基を有する単量体としては、例えば、芳香族ビニル単量体、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、α,β−不飽和ニトリル、カルボン酸ビニルエステル、複素環式ビニル単量体(N−ビニルピロリドン等)、共役ジエン系単量体、オレフィン系単量体、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデンなどを挙げることができる。
上記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、アルキルスチレン(o−、m−及びp−メチルスチレン等のビニルトルエン類、2,4−ジメチルスチレン等のビニルキシレン類、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等)、α−アルキルスチレン(α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等)、アルコキシスチレン(o−、m−及びp−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等)、ハロスチレン(o−、m−及びp−クロロスチレン、p−ブロモスチレン等)、スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩等を挙げることができる。
上記α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸、α,β−不飽和カルボン酸エステル、α,β−不飽和カルボン酸アミド、α,β−不飽和カルボン酸イミド等を挙げることができる。上記α,β−不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の多価カルボン酸又はそれらの酸無水物(無水マレイン酸等)等を挙げることができる。
上記α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、上記α,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル(特にC1〜C20アルキルエステル等)等が使用でき、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸C1〜C14アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸C4〜C10シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、又はこれらの(メタ)アクリル酸エステルに対応するマレイン酸モノ又はジアルキルエステル、フマル酸モノ又はジアルキルエステル、イタコン酸モノ又はジアルキルエステル等を挙げることができる。また、上記アルキルエステル類は、ヒドロキシル基、アミノ基又はN−アルキルアミノ基等の置換基を有していてもよく、置換基含有エステルとしては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート〔ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシC2〜C10アルキル(メタ)アクリレート等〕、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記α,β−不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド又はそれらの誘導体〔N−メチル(メタ)アクリルアミド等、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等〕、あるいはこれらに対応するフマル酸アミド(フマルアミド、フマルアミド酸又はそれらの誘導体等)等を挙げることができる。
上記α,β−不飽和カルボン酸イミドとしては、例えば、マレイミド又はその誘導体(例えば、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等)等を挙げることができる。
上記α,β−不飽和ニトリルとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等を挙げることができる。
上記カルボン酸ビニルエステルとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のC1〜C10カルボン酸ビニルエステル等を挙げることができる。
上記共役ジエン系単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ネオプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジエン等のC4〜C16ジエン等を挙げることができる。
上記オレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン(イソブテン等)等のC2〜C10アルケン等を挙げることができる。
上記ハロゲン化ビニルとしては、例えば、フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル等を挙げることができ、ハロゲン化ビニリデンとしては、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等を挙げることができる。
上記ラクトン系ブロックにおけるラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−ヒドロキシ−ヘプタン酸ラクトン、8−ヒドロキシ−オクタン酸ラクトン、12−ヒドロキシ−ドデカン酸ラクトン等のラクトン類、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等の置換基を有する上記ラクトン類、3−エチル−2−ケト−1,4−ジオキサン、1,4−ジオキサン−2−オン等のジオキサン類等が挙げられる。
中でも、上記他のブロックとしては、収率、コスト、反応の容易さの観点から、メタクリル酸ベンジルに対応する繰り返し単位からなるブロック、メタクリル酸メチルに対応する繰り返し単位からなるブロック、スチレンに対応する繰り返し単位からなるブロックが好ましい。
本発明のブロック共重合体における、ブロックA及び他のブロックの結合形態は、特に限定されないが、例えば、A−B型ジブロック共重合体(例えば、1種のブロックAと1種の他のブロックとからなるジブロック共重合体)、A−B−A型トリブロック共重合体(例えば、1種のブロックAと1種の他のブロックとからなるトリブロック共重合体)、3種以上のブロックからなるブロック共重合体が挙げられる。
本発明のブロック共重合体におけるブロックAの割合は、特に限定されないが、得られる硬化物が脂環式エポキシ樹脂に由来する特性を発現でき、柔軟性にも優れるという観点から、例えば、ブロック共重合体(100重量%)に対して、50〜99重量%が好ましく、より好ましくは70〜95重量%、さらに好ましくは80〜90重量%である。
本発明のブロック共重合体は、特に限定されないが、例えば、海島状の相分離構造をとってもよい。相分離構造をとる場合、ブロックAが海に相当してもよいし、島に相当してもよい。また、相分離構造をとる場合、ブロックAと他のブロックとの体積分率は、特に限定されない。
本発明のブロック共重合体の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5×103以上(例えば、5×103〜1×106)が好ましく、より好ましくは1×104以上、さらに好ましくは1.5×104以上、特に好ましくは2.0×104以上である。
本発明のブロック共重合体の分子量分布(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は、特に限定されないが、例えば、2.5以下(例えば、1.0〜2.5など)が好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下である。分子量分布が上記範囲であることにより、光学物性、耐熱性、機械強度に優れる。
本発明のブロック共重合体は、高分子量でありながら、分子量分布が狭いことが好ましい。例えば、本発明のブロック共重合体は、重量平均分子量が1×104以上(好ましくは1.5×104以上、より好ましくは2.0×104以上)、且つ分子量分布が2.5以下(好ましくは1.8以下、より好ましくは1.6以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.4以下)であることが好ましい。高分子量、且つ分子量分布が低いことにより、光学物性、耐熱性、機械強度に一層優れる。
本発明のブロック共重合体の用途としては、例えば、コーティング材料の原料(例えば、ポリシラザンと混合して用いるコーティング組成物の原料)、表皮材、接着剤(粘着剤)、封止材などが挙げられる。
[ブロック共重合体の製造方法]
本発明のブロック共重合体は、特に限定されないが、原料の選択幅が広い、重量平均分子量、分子量分布の観点から、例えば、原子移動ラジカル重合法(ATRP法)により製造されることが好ましい。
本発明のブロック共重合体の原子移動ラジカル重合反応としては、例えば、本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを重合開始剤として他のモノマーを重合付加する反応(以下、「原子移動ラジカル重合反応(I)」と称する場合がある)、本発明の(メタ)アクリル系ポリマー以外の重合開始剤を用いて上記(メタ)アクリル系モノマーAを重合付加する反応(以下、「原子移動ラジカル重合反応(II)」と称する場合がある)などが挙げられる。中でも、分子量分布が狭いブロック共重合体が得られやすいという観点から、原子移動ラジカル重合反応(II)が好ましい。
本発明のブロック共重合体は、原子移動ラジカル反応において、モノマーの重合付加の終了後、さらに他のモノマーの重合付加を行い、3種以上のブロックを含むブロック共重合体を製造してもよい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)は、例えば、重合に用いるモノマー、本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(重合開始剤、マクロイニシエーター)、触媒を用いることが好ましい。また、上記原子移動ラジカル重合反応(II)は、例えば、上記(メタ)アクリル系モノマーA、重合開始剤、触媒を用いることが好ましい。上記原子移動ラジカル重合反応(I)又は(II)には、さらに、溶媒、還元剤、退化性連鎖移動剤などを用いてもよい。
以下に原子移動ラジカル重合反応(I)、原子移動ラジカル重合反応(II)についてさらに説明をする。
(原子移動ラジカル重合反応(I))
上記原子移動ラジカル重合反応(I)の重合に用いるモノマーとしては、特に限定されないが、上記(メタ)アクリル系モノマーA(重合開始剤に用いる本発明の(メタ)アクリル系ポリマーを製造する際に用いた(メタ)アクリル系モノマーA以外の(メタ)アクリル系モノマーA)であってもよいし、上記(メタ)アクリル系モノマーA以外のモノマーであってもよい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における上記(メタ)アクリル系モノマーA以外のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、上記他のブロックで例示したビニル基を有する単量体、ラクトンが挙げられる。中でも、コスト、重合反応の容易さの観点から、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における本発明の(メタ)アクリル系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、上記式(1)で表される繰り返し単位のみを有する(メタ)アクリル系ポリマー(例えば、上記式(2)又は(3)で表される(メタ)アクリル系ポリマーなど)が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における本発明の(メタ)アクリル系ポリマーの使用量は、特に限定されないが、収率、分子量分布の観点から、例えば、原子移動ラジカル重合反応(I)に用いるモノマー100モルに対して、0.001〜30モルが好ましく、より好ましくは0.01〜10モルである。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)に用いる本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(重合開始剤、マクロイニシエーター)は、原子移動ラジカル重合が効率よく進むという観点から、遷移金属(特に、上記触媒の遷移金属化合物中に含まれる遷移金属(例えば、遷移金属化合物として塩化銅(I)を用いる場合には、銅))が実質的に含まれていないことが好ましい。具体的には、上記マクロイニシエーター中の遷移金属の割合は、マクロイニシエーター100重量%に対して、0.1重量%以下が好ましく、0.001重量%以下がより好ましく、0.0001重量%以下がさらに好ましく、含まれていないことが特に好ましい。
マクロイニシエーター中の遷移金属は、脂環式エポキシ基が開環しない条件で精製して除去することが好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における触媒としては、上述のものが挙げられる。中でも、得られるブロック共重合体の分子量の制御が容易となり、かつ分子量分布が狭いブロック共重合体が得られやすいという観点から、遷移金属化合物として臭化銅(I)又は塩化銅(I)(特に、塩化銅(I))、配位子としてペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)又はトリス(ジメチルアミノエチル)アミン(Me6TREN)(特に、PMDETA)からなる金属錯体が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における上記遷移金属化合物の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(I)の重合に用いる上記モノマー100モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜5モル、さらに好ましくは0.2〜2モルである。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)における上記配位子の使用量は、特に限定されないが、例えば、遷移金属化合物1モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モル、遷移金属化合物と等モル用いることが特に好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)に用いる溶媒としては上述のものが挙げられる。中でも、トルエン、キシレンが好ましい。溶媒の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(I)の重合に用いる上記モノマー100重量部に対して、0.1〜5000重量部が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)の重合温度は、特に限定されないが、例えば、−50〜200℃が好ましく、より好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜130℃である。中でも、ゲル化を抑制できるという観点から、75℃未満(例えば、65℃以上75℃未満)が好ましく、特に、分子量分布が一層狭い共重合体が得られるという観点から、70℃より高いこと(例えば、70℃より高く75℃未満)が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)の好ましい一態様として、以下の反応が挙げられる。なお、m、n、l、pは、1以上の整数である。
上記原子移動ラジカル重合反応(I)で製造されるブロック共重合体としては、例えば、メタクリル酸ベンジルに対応する繰り返し単位からなるブロック−式(2)で表される重合体に対応するブロック−メタクリル酸ベンジルに対応する繰り返し単位からなるブロックの構成を有するブロック共重合体(PBMA−PCYM−PBMA)が挙げられる。
(原子移動ラジカル重合反応(II))
上記原子移動ラジカル重合反応(II)に用いられる(メタ)アクリル系モノマーAとしては上述のものが挙げられる。中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、N−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)(メタ)アクリルアミドなどが好ましく、より好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートである。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)における、反応溶液中の上記(メタ)アクリル系モノマーAの濃度は、特に限定されないが、反応速度を適度にして反応を制御できるという観点から、例えば、0.5〜5.0mol/Lが好ましい。特に、溶液量が増えて高分子鎖が広がりやすくなり、ラジカルへの攻撃が容易となってマクロイニシエーターの反応率が向上するという観点から、例えば、1.0〜1.8mol/Lが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7mol/Lである。
上記(メタ)アクリル系モノマーAの使用量は、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(II)の反応溶液全量(100重量%)に対して、10〜90重量%が好ましく、より好ましくは20〜80重量%である。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)における重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、原子移動ラジカル重合反応で調製した上記他のブロックを有する重合体(マクロイニシエーター)が好ましい。中でも、原子移動ラジカル重合反応で調製したメタクリル酸ベンジルに対応する繰り返し単位からなるブロック、原子移動ラジカル重合反応で調製したメタクリル酸メチルに対応する繰り返し単位からなるブロック、又は原子移動ラジカル重合反応で調製したスチレンに対応する繰り返し単位からなるブロックを有する重合体が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)に用いる重合開始剤(マクロイニシエーター)は、上記(メタ)アクリル系モノマーAとの原子移動ラジカル重合が効率よく進むという観点から、遷移金属(特に、上記触媒の遷移金属化合物中に含まれる遷移金属(例えば、遷移金属化合物として塩化銅(I)を用いる場合には、銅))が実質的に含まれていないことが好ましい。具体的には、上記マクロイニシエーター中の遷移金属の割合は、マクロイニシエーター100重量%に対して、0.1重量%以下が好ましく、0.001重量%以下がより好ましく、0.0001重量%以下がさらに好ましく、含まれていないことが特に好ましい。
マクロイニシエーター中の遷移金属は、再沈殿、水洗、有機酸処理などにより除去することができる。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)における触媒としては、上述のものが挙げられる。中でも、分子量を制御しやすく、かつ分子量分布が狭いブロック共重合体が得られやすいという観点から、遷移金属化合物として臭化銅(I)又は塩化銅(I)、配位子としてペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)又はトリス(ジメチルアミノエチル)アミン(Me6TREN)からなる金属錯体が好ましい。中でも、遷移金属化合物としては、停止反応を抑制でき、分子量を制御しやすいという観点から、塩化銅(I)が好ましい。また、配位子としては、開始剤の開始速度とポリマーの成長速度の差を小さく抑えられ、反応を制御しやすいという観点から、PMDETAが好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)における上記遷移金属化合物の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(II)の重合に用いる上記(メタ)アクリル系モノマーA100モルに対して、0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜2モル、さらに好ましくは0.2〜0.5モルである。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)における上記配位子の使用量は、特に限定されないが、例えば、遷移金属化合物1モルに対して、0.05〜10モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モル、遷移金属化合物と等モル用いることが特に好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)に用いる溶媒としては上述のものが挙げられる。中でも、トルエン、キシレンが好ましい。溶媒の使用量は、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(II)の重合に用いる上記(メタ)アクリル系モノマーA100重量部に対して、0.1〜5000重量部が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)の重合温度は、特に限定されないが、例えば、−50〜200℃が好ましく、より好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜130℃である。中でも、ゲル化を抑制できるという観点から、75℃未満(例えば、65℃以上75℃未満)が好ましく、特に、分子量分布が一層狭い共重合体が得られるという観点から、70℃より高いこと(例えば、70℃より高く75℃未満)が好ましい。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)の好ましい一態様として、以下の反応が挙げられる。なお、m、nは1以上の整数である。
上記原子移動ラジカル重合反応(II)で製造されるブロック共重合体としては、例えば、メタクリル酸メチルに対応する繰り返し単位からなるブロック−式(1)で表される繰り返し単位からなるブロックの構成を有するブロック共重合体(PMMA−PCYM)、スチレンに対応する繰り返し単位からなるブロック−式(1)で表される繰り返し単位からなるブロックの構成を有するブロック共重合体(PS−PCYM)などが挙げられる。
[コーティング組成物]
本発明のコーティング組成物は、少なくとも本発明のブロック共重合体、及びポリシラザンを含む。さらに、乾燥溶媒、酸無水物、脂環式エポキシ基を有する本発明のブロック共重合体以外のエポキシ化合物(以下、単に「エポキシ化合物」と称する場合がある)を含んでいてもよい。
本発明のコーティング組成物に本発明のブロック共重合体が含まれることにより、シラン化合物が、本発明のブロック共重合体の脂環式エポキシ基の密度が比較的高い領域で転化して、シリカ相によるモルホロジーをより安定的に形成する。
(ブロック共重合体)
本発明のコーティング組成物における本発明のブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えば、上記原子移動ラジカル重合反応(I)で製造されたPBMA−PCYM−PBMA、上記原子移動ラジカル重合反応(II)で製造されたPMMA−PCYM、PS−PCYMなどが好ましい。
本発明のコーティング組成物における本発明のブロック共重合体の割合は、特に限定されないが、ミクロ相分離構造が形成されやすいという観点から、本発明のブロック共重合体とポリシラザンの総量(100重量部)に対して、10〜95重量部が好ましく、より好ましくは20〜90重量部、さらに好ましくは30〜88重量部である。
(ポリシラザン)
上記ポリシラザンとしては、例えば、Si−N結合を持つ化合物(例えば、−(SiRR´−NR´´)n−で表される構造を有する化合物など)などが挙げられる(式中、R、R´、R´´は、それぞれ、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルキルアミノ基、アリール基またはアルキルシリル基であり、それぞれ同一または相異なっていてもよい。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ブチニル、オクテル、デセニル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル等が挙げられる。nは2以上の整数である。)。
上記ポリシラザンは、水及び酸素の存在下で分解して窒素原子と酸素原子とが置換する転化反応により硬化し、シリカとなる。本明細書において、シリカとはケイ素の酸化物を意味し、ケイ素原子に対する酸素の結合比率は2に限定されない。
上記ポリシラザンは、通常、シリカの被膜の形成に用いられているポリシラザンであれば、特に限定されないが、上記式でR、R´、R´´が全て水素である無機オリゴマーが好ましい。中でも、硬化温度が低いという観点から、−(SiH2NH)n−で表される構造を有するパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。また、部分メチル化パーヒドロポリシラザンを用いてもよい。なお、2種以上のポリシラザンを混合して用いてもよい。PHPSの構造を以下に示す。
PHPSは、空気中で焼結することによりアンモニア及び水素を発生しながらシリカ(SiO2)へと転化する。この転化は通常450℃以上の温度が必要であるが、水蒸気を添加することによって100℃以下でも転化が完了し、緻密なシリカ膜を得ることができる。また、クラックが発生しにくく厚膜化が可能となるという利点もある。さらに、PHPSは、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、エーテル、エステル等の様々な有機溶媒に可溶であり、PHPSの持つSi−H基と有機高分子のOH基とが溶媒中で反応し、共有結合を生成するため、PHPSと有機高分子の反応は溶液中で行う事ができる。したがって、溶液をキャストする事によってコンポジットの膜を作製する事ができ、基板にポリマーとPHPSの混合溶液をキャストすれば有機−シリカ複合コート膜を作製する事も可能である。以下に、PHPSの転化の模式図を示す。
上記ポリシラザンとしては、例えば、商品名「NN−120」(Azエレクトロニックマテリアルズ社製)などの市販品を用いてもよい。
上記ポリシラザンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、100〜10000が好ましく、より好ましくは500〜1000である。
上記ポリシラザンの密度は、特に限定されないが、例えば、0.7〜1.2g/cm3が好ましく、より好ましくは0.8〜1.0g/cm3である。
上記ポリシラザンの数平均分子量は、特に限定されないが、乾燥溶媒への溶解し易さ、成膜性、及び透明性保護膜の透明性の観点から、例えば、50〜10000が好ましく、より好ましくは500〜2000である。
上記ポリシラザンの割合は、特に限定されないが、例えば、本発明のブロック共重合体100重量部に対して、10〜250重量部が好ましく、より好ましくは10〜90重量部である。
コーティング組成物におけるポリシラザンの含量(シラン分率)は、下記の第1のモルホロジーを安定的に形成するという観点からは、例えば、5〜40重量%が好ましく、より好ましくは10〜35重量%、さらに好ましくは20〜35重量%である。下記の第2のモルホロジーを安定的に形成するという観点からは、例えば、35〜55重量%が好ましく、より好ましくは40〜55重量%、さらに好ましくは40〜52重量%である。下記の第3のモルホロジーを安定的に形成するという観点からは、例えば、55〜95重量%が好ましく、より好ましくは58〜90重量%であり、さらに好ましくは60〜85重量%である。コーティング組成物を用いてシリカ複合膜を得て、さらにシリカ複合膜の加熱により高い表面硬度を得るという観点からは、例えば、50〜90重量%が好ましく、より好ましくは55〜90重量%、さらに好ましくは70〜90重量%である。
上記ポリシラザン由来のシリカの割合は、特に限定されないが、ポリシラザン由来のシリカと本発明のブロック共重合体との複合体が連続ラメラ相(連続ラメラ構造)を形成しやすく、透明度が向上するという観点から、例えば、本発明のブロック共重合体100重量部に対して、5〜300重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。
また、本発明のコーティング組成物を硬化して得られるシリカ複合材料は、表面の硬度が高く耐擦傷性に優れているため、有機ガラス用のコーティング剤をはじめ、表面保護膜として利用できる。
(乾燥溶媒)
上記乾燥溶媒とは、ポリシラザンが加水分解されない程度まで脱水された溶媒を意味する。溶媒が水を含むと、水との反応によりコーティング組成物のゲル化が進み好ましくないため、乾燥剤を用いる等の方法により溶媒から水分を除去する。また、ポリシラザンは、水酸基と反応し易いため、水酸基を含まない溶媒を用いるほうがよい。
乾燥溶媒としては、特に限定されないが、上記ポリシラザンと酸無水物とを含む原料高分子を溶解し、ポリシラザンが加水分解してゲル化しない程度まで脱水された乾燥溶媒であることが好ましい。
上記乾燥溶媒としては、具体的には、キシレン、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;シクロヘキサン;ペンタン;ヘキサン;ヘプタン;デカリン;灯油;石油;クロロホルム等が挙げられる。上記溶媒は、1種または2種以上を混合して用いることができる。また、これらを主溶媒とし、さらにシクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、炭化水素類を第二乾燥溶媒として添加してもよい。
上記乾燥溶媒の割合は、特に限定されないが、例えば、ポリシラザン100重量部に対して、600〜50000重量部が好ましく、より好ましくは1000〜40000重量部、さらに好ましくは2000〜30000重量部である。
基材が樹脂からなる樹脂基材である場合には、乾燥溶媒は、ポリシラザンに対して良溶媒である主溶媒と、樹脂基材に対して貧溶媒である第二乾燥溶媒からなる混合乾燥溶媒を用いることもできる。第二乾燥溶媒に関しては、樹脂基材の種類等に応じて適宜なものを選択すればよい。
乾燥溶媒としてジブチルエーテルを用いる場合は、乾燥時に溶媒が蒸発しやすく、コート膜が平滑になりやすいという観点から、トルエン、エチルベンゼン(特にエチルベンゼン)を併用してもよい。また、同様の理由で、乾燥溶媒としてシクロヘキサンを用いる場合は、トルエンを併用してもよい。
(酸無水物)
上記酸無水物としては、特に限定されないが、PHPS等と反応し、アミド結合及びカルボン酸アミン塩を形成し、ミクロ相分離を安定に形成させる観点から、例えば、カルボン酸の酸無水物が挙げられる。中でも、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、シス−1,2−シクロヘキサンカルボン酸無水物、脂環式炭化水素基を有する有機酸の酸無水物が挙げられる。中でも、炭素数3〜20の1価の脂環式炭化水素基を有する有機酸の酸無水物が好ましく、より好ましくは、シス−1,2−シクロヘキサンカルボン酸無水物(HHPA)である。HHPA等を添加し予備硬化を行うことで、低いシリカ分率の複合体も均一に作製できる。
上記酸無水物の割合は、特に限定されないが、例えば、ポリシラザン100重量部に対して、10〜1000重量部が好ましく、より好ましくは50〜500重量部、より好ましくは80〜300重量部である。
(エポキシ化合物)
上記エポキシ化合物は、1分子中に少なくとも1個の脂環式エポキシ基を有する。中でも、架橋構造を形成できるという観点から、1分子中に少なくとも2個の脂環式エポキシ基を有することが好ましい。
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアルコール、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、下記式(3)〜(6)で表される化合物等が挙げられる。なお、式(3)中のmは0〜30の整数を示す。脂環式エポキシ基としては、シクロヘキセンオキシド基が好ましい。
上記エポキシ化合物としては、CEL−2021[商品名「セロキサイド2021P」、ダイセル社製;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート]、CEL−2081[商品名「セロキサイド2081」」、ダイセル社製;イプシロン−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3´,4´−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート]、3,4,3´,4´−ジエポキシビシクロヘキシル、2:8,9−diepoxylimonen(商品名「セロキサイド3000」、ダイセル社製)、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(商品名「セロキサイド2000」、ダイセル社製)などの市販品を用いてもよい。
上記エポキシ化合物としては、上記式(3)〜(6)で表される化合物からなる群より選択される1種以上であることがさらに好ましく、より好ましくは、上記式(3)でm=0の化合物が好ましい。
本発明のコーティング組成物は、塗膜形成の容易さの観点から、ポリシラザン(A)、酸無水物(B)、乾燥溶媒(C)、及び本発明の共重合体(D)の重量は、[(A)+(B)+(D)]/[(A)+(B)+(C)+(D)]が0.01〜100重量%であることが好ましく、0.5〜95重量%であることがさらに好ましい。
本発明のコーティング組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ポリシラザン、酸無水物、乾燥溶媒等を含む第一の溶液を調製する第一の調製工程、本発明のブロック共重合体を含む第二の溶液を得る第二の調製工程、得られた第一の溶液と第二の溶液とを混合する混合工程を含む方法が挙げられる。
ポリシラザンは、水蒸気や酸素が存在する空気中で、ゲル化や転化が進行するため、ポリシラザンの反応性が低い不活性雰囲気下で、コーティング組成物を調製することが好ましい。不活性雰囲気としては、例えば、水を含まない窒素ガスや希ガス等の不活性ガス雰囲気中であることが望ましい。
第一の調製工程後に、得られた第一の溶液を放置して熟成させてもよい(熟成工程)。放置の時間は、特に制限されないが、ポリシラザンの安定性の観点から、例えば、1〜360時間が好ましく、より好ましくは20〜100時間である。
[シリカ複合材料]
本発明のシリカ複合材料は、本発明のコーティング組成物を硬化させて製造することができる。
本発明のシリカ複合材料の膜厚は、特に制限されないが、例えば、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは0.3〜50μmである。
本発明のシリカ複合材料は、ポリシラザン由来のシリカと、本発明のブロック共重合体由来のエポキシ樹脂とが連続ラメラ構造を有していてもよい。すなわち、本発明のシリカ複合材料は、シリカの粒子による光の散乱が低減されるという観点から、主としてエポキシ樹脂を含む有機部と主としてシリカを含む無機部とが、それぞれ、ナノオーダー(例えば1〜100nm幅)の帯状の形状を有する領域を形成し、これらの領域が交互に形成された連続ラメラ構造を有し、有機部と無機部とが微視的に相分離して存在していてもよい。
本発明のシリカ複合材料における、主としてシリカを含む無機部の幅は、特に限定されないが、例えば、1〜100nmが好ましく、より好ましくは5〜90nmである。また、主としてエポキシ樹脂を含む有機部の幅は、特に限定されないが、例えば、1〜100nmであり、好ましくは5〜90nmである。
上記無機部の幅及び有機部の幅は、透過型顕微鏡(TEM)で撮影した、本発明のシリカ複合材料の表面又は断面の写真から測定することができる。
本発明のシリカ複合材料の構造としては、特に制限されないが、例えば、以下の3種類の構造(第1〜第3のモルホロジー)であってもよい。
第1のモルホロジーとしては、ミクロ相分離構造の鋳型中に、シリカ相が、シリカと親和性のあるブロック(脂環式エポキシ基を有するブロックなど)とともに、概略並行且つ概略等間隔な複数の曲面構造を形成しているモルホロジーが挙げられる。第1のモルホロジーにおいて、複数の直線又は曲線構造を有するシリカ相の間隔(シリカ相間の厚み)は、相分離界面厚みと機能の観点から、例えば、0.5〜300nmが好ましく、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは5〜100nmである。
第2のモルホロジーとしては、シリカ相が、シリカと親和性のあるセグメントとともに、マトリックスを形成し、その中に他セグメントによる孤立ドメインとして、概略同一形状の概略円柱状の構造が概略並行且つ概略等間隔で複数形成されているモルホロジーが挙げられる。概略円柱状の構造の間隔(隣接する円柱間の他ドメインの厚み)は、相分離界面厚みと機能の観点から、例えば、0.5〜300nmが好ましく、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは5〜100nmである。
第3のモルホロジーとしては、シリカ相が、シリカと親和性のあるセグメントとともに、マトリックスを形成し、その中に他セグメントによる孤立ドメインとして、概略球面状の構造が概略等間隔で複数形成されているモルホロジーが挙げられる。第3のモルホロジーにおいて、概略球面状の構造の間隔(隣接する球面間の他ドメインの厚み)は、相分離界面厚みと機能の観点から、例えば、0.5〜300nmが好ましく、より好ましくは2〜200nm、さらに好ましくは5〜100nmである。
本発明のシリカ複合材料における、主としてシリカを含む無機部の面積は、特に限定されないが、例えば、60%以上が好ましく、より好ましくは70%以上である。
上記シリカの面積は、透過型顕微鏡(TEM)で撮影した、本発明のシリカ複合材料の表面又は断面の写真において、全表面積に対する無機部の表面積を測定することにより求めることができる。
本発明のシリカ複合材料において、本発明のブロック共重合体の割合は、特に限定されないが、複合材料の透明性の観点から、例えば、シリカ複合材料全量(100重量%)に対して、10〜96重量%が好ましく、より好ましくは35〜70重量%である。
本発明のシリカ複合材料は、本発明のブロック共重合体に由来するエポキシ樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。シリカ複合材料中の全樹脂成分の割合は、特に限定されないが、例えば、シリカ複合材料全量(100重量%)に対して、10〜96重量%が好ましく、より好ましくは35〜70重量%である。また、本発明のシリカ複合材料中の全樹脂成分(100重量%)に対するエポキシ樹脂の割合は、特に限定されないが、複合材料の透明性の観点から、例えば、5〜100重量%が好ましく、より好ましくは30〜100重量%である。
本発明のシリカ複合材料において、上記ポリシラザン由来のシリカの割合は、特に限定されないが、例えば、本発明のブロック共重合体由来のエポキシ樹脂100重量部に対して、5〜300重量部が好ましく、より好ましくは10〜50重量部である。シリカの割合が上記範囲であることにより、ポリシラザン由来のシリカとエポキシ樹脂との複合体が連続ラメラ相(連続ラメラ構造)を形成しやすく、透明度を向上させることができる。また、シリカからなる無機部により表面の硬度が高く耐擦傷性に優れ、有機ガラス用のコーティング剤をはじめ、表面保護膜として広範に利用できる。
本発明のコーティング組成物を、基材に塗布し、シリカ転化させることでシリカ複合膜を形成することができる。
シリカ複合膜の空気を基準とした600nmの透過率としては、特に限定されないが、透明性の観点から、例えば、85%以上が好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。600nmの透過率は、UV−vis測定により測定することができる。
加熱処理をしていないシリカ複合膜の、JISK5600−5−4に基づき、室温(25℃)で測定した表面硬度は、特に限定されないが、例えば、0.5GPa以上が好ましく、より好ましくは0.6GPa以上、さらに好ましくは0.65GPa以上である。加熱処理をしたシリカ複合膜のJISK5600−5−4に基づき、室温(25℃)で測定した表面硬度は、例えば、0.7GPa以上が好ましく、より好ましくは0.8GPa以上、さらに好ましくは1.0GPa以上である。これらの表面硬度の上限は、特に制限されないが、例えば2.5GPaである。
シリカ複合膜は、膜厚48.0μmのポリビニルアルコール基板に膜厚10.0μmでコートした場合に、カップ法により、膜面積9.075×10-42、相対湿度58%、水蒸気圧13.46mmHgの条件で測定した水蒸気透過度が、ガスバリア性の観点から、例えば、500gμm/m2mmHgday以下が好ましく、より好ましくは400gμm/m2mmHgday以下、さらに好ましくは250gμm/m2mmHgday以下である。水蒸気透過度の下限は、特に限定されないが、例えば、0.05gμm/m2mmHgdayである。なお、水蒸気圧13.30〜13.62mmHgの範囲内の条件で測定した場合であっても、上記のように水蒸気圧13.46mmHgの条件で測定して得られた数値との誤差は1.5%以内となる。
[シリカ複合材料の製造方法]
本発明のシリカ複合材料の製造方法としては、例えば、本発明のコーティング組成物を硬化する硬化工程、及び/又はシリカ転化工程を含む方法が挙げられる。また、シリカ複合膜の製造方法としては、塗膜工程、シリカ転化工程を含むことが好ましい。
上記塗膜工程において、コーティング組成物を塗膜する方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、フローコート法が挙げられる。中でも、基材の表面がコーティング組成物に長時間さらされないので、コーティング組成物による基材の劣化が低減され、外観品質が向上するという観点から、ディップコート法またはフローコート法が好ましい。
上記基材としては、特に限定されないが、例えば、金属製基材、樹脂製基材などが挙げられる。中でも、透明性を有する樹脂性基材が好ましく、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、シクロオレフィン樹脂等のエンジニアリングプラスチック等である。
上記シリカ転化工程は、上記塗膜工程後に、加湿条件下でポリシラザンをシリカに転化する工程である。加湿条件下で、乾燥溶媒及び芳香族溶媒が蒸発すると共にポリシラザンがシリカへと転化することにより、透明性保護膜(シリカ複合膜)が得られる。
さらに、コーティング組成物中の透明性高分子や基材を劣化させない程度の温度であれば、硬化させて焼結することによりポリシラザンの転化を促進させてもよい。なお、ポリシラザンのガラス転移温度以下での焼結であれば、塗料組成物がもつ微視的な構造が失われることはない。焼結温度としては、例えば、15〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃である。
硬化の条件は、特に制限されないが、ミクロ相分離形成の観点から、例えば、温度20〜110℃(より好ましくは90〜100℃)、時間1分〜48時間(より好ましくは30分〜6時間)が好ましい。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
(実施例1)
50mLのナノフラスコに、重合開始剤としてα,α´−ジブロモ−p−キシレン(DBX、シグマアルドリッチ製)51.8mg(0.196mmol)、キシレン(関東化学社製)5mLを加え、溶解した。次に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(CYM、商品名「サイクロマーM100」、(株)ダイセル製)5.0mL(27.5mmol、[CYM]=2.75mol/L)、配位子としてN,N,N´,N´´,N´´−ペンタメチルジエチレントリアミン (PMDETA、和光純薬社製)82μL(0.392mmol)を順に加え、撹拌した。撹拌後、遷移金属化合物として臭化銅(I)(CuBr、和光純薬社製)56mg(0.392mmol)を加え、直ちに脱気して温度72℃で、0.9時間加熱した。
反応溶液中のCYM、重合開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比は、CYM:DBX:CuBr:PMDETA=140:1:2:2であった。
反応後、反応溶液をキシレン約5mLで希釈し、ヘキサン(関東化学社製)約75mLを加えて、ポリマーを沈殿させた。これをヘキサン約50mLで洗浄し、CYM、キシレンを除去した。さらに、ポリマーをキシレン約15mLに再溶解し、ヘキサン約75mLで再沈殿させ、ヘキサン約50mLで洗浄する工程を2度繰り返し、CYM、キシレンを除去した。得られたポリマーを真空乾燥機で室温乾燥させ、メタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−33)を得た。
(実施例2)
遷移金属化合物(CuBr)、配位子(PMDETA)の使用量を0.196mmolとして、溶媒をトルエン(関東化学社製)とし、反応溶液中のCYM、重合開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:DBX:CuBr:PMDETA=140:1:1:1とし、反応温度を72℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−18)を得た。
(実施例3)
反応溶液中のCYM、開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:DBX:CuBr:PMDETA=100:1:1:1とし、反応温度を72℃、反応時間を1時間とした以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−24)を得た。
(実施例4)
反応時間を4時間とした以外は、実施例3と同様にしてメタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−19)を得た。
NMR測定により、Br−PCYM−Br−19の脂環式エポキシ基の開環の有無を解析したところ、脂環式エポキシ基が開環することで生じるヒドロキシ基、エーテル基のピークは検出されなかった。
(実施例5)
配位子としてトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン(Me6TREN)を用い、反応溶液中のCYM、開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:DBX:CuBr:Me6TREN=100:1:1:1とし、反応温度48℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−31)を得た。
(実施例6)
反応溶液中のCYM濃度を1.83mol/Lとし、反応溶液中のCYM、開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:DBX:CuBr:PMDETA=100:1:1:1とし、反応温度を72℃、反応時間を5時間とした以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系ポリマー(Br−PCYM−Br−27−5h)を得た。
(実施例7)
反応溶液中のCYM濃度を1.83mol/Lとし、重合開始剤として2−ブロモプロピオン酸メチル(MBP、東京化成社製)を用いて、反応溶液中のCYM、開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:MBP:CuBr:PMDETA=400:2:1:1とし、反応温度を72℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例1と同様にしてメタクリル系ポリマー(PCYM−Br−3)を得た。
(合成例1)
(ポリメチルメタクリレート(PMMA−Br)及びポリスチレン(PS−Br)の調製)
PMMA−Br及びPS−Brは、Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry 2007,45,3538−3549に準じて調製した。
モノマー成分としてメチルメタクリレート(MMA)又はスチレン(S)、開始剤として2−ブロモイソ酪酸エチル(EBrIB)、遷移金属化合物としてCuBr、配位子としてPMDETAを用いた。重合温度は100℃、重合時間は280分(PS−Br)、又は15分(PMMA−Br)とした。また、モノマー:開始剤の濃度比は、200:1とした。
重合反応後は、クロロホルムを加えて、アルミナカラムを通したのちに、蒸発乾燥させた。その後、多量のヘキサンを加え、沈殿させたのちに、フィルターろ過、乾燥をして重合体を得た(PMMA−Br:Mw=1.44×104,Mw/Mn=1.26、PS−Br:Mw=8.14×103,Mw/Mn=1.08)。
(実施例8)
50mLのナノフラスコに、重合開始剤(マクロイニシエーター)として合成例1で得られたPMMA−Brを0.2g(0.014mmol)、キシレン2.5mLを加え、溶解した。次に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(CYM、商品名「サイクロマーM100」、(株)ダイセル製)1.0mL(5.5mmol、[CYM]=1.57mol/L))、配位子としてPMDETA3μL(0.014mmol)を順に加え、撹拌した。撹拌後、遷移金属化合物としてCuBr2.0mg(0.014mmol)を加え、直ちに脱気して温度70℃で、3時間加熱した。
反応溶液中のCYM、重合開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比は、CYM:PMMA−Br:CuBr:PMDETA=397:1:1:1であった。
反応後、反応溶液をキシレン約2mLで希釈し、ヘキサン(関東化学社製)約30mLを加えて、ポリマーを沈殿させた。これをヘキサン約30mLで洗浄し、CYM、キシレンを除去した。さらに、ポリマーをキシレン約5mLに再溶解し、ヘキサン約25mLで再沈殿させ、ヘキサン約30mLで洗浄する工程を2度繰り返した。得られたポリマーを真空乾燥機で室温乾燥させ、ブロック共重合体(PMMA−4−PCYM−4)を得た。
(実施例9)
反応溶液中のCYM濃度を1.37mol/Lとし、反応時間を5時間とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PMMA−4−PCYM−5)を得た。
(実施例10)
反応時間を5時間とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PMMA−4−PCYM−6)を得た。
NMR測定により、PMMA−4−PCYM−6の脂環式エポキシ基の開環の有無を解析したところ、脂環式エポキシ基が開環することで生じるヒドロキシ基、エーテル基のピークは検出されなかった。
(実施例11)
遷移金属化合物として塩化銅(I)(CuCl、関東化学社製)1.4mg(0.0138mol)を用い、反応時間を5時間とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PMMA−4−PCYM−9)を得た。
(実施例12)
遷移金属化合物としてCuCl1.4mg(0.0138mol)を用い、反応温度を72℃とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PMMA−4−PCYM−14)を得た。
(実施例13)
重合開始剤として合成例1で得られたPS−Brを使用し、反応溶液中のCYM濃度を1.83mol/Lとし、反応溶液中のCYM、重合開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、CYM:PS−Br:CuBr:PMDETA=224:1:1:1とし、反応温度72℃、反応時間を3時間とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PS−1−PCYM−1)を得た。
(実施例14)
重合開始剤として実施例2で得られたBr−PCYM−Br−18を使用し、モノマー成分としてメタクリル酸ベンジル(BMA、和光純薬製)5.9mmolを使用して、反応溶液中のCYM、重合開始剤、遷移金属化合物、配位子のmol比を、BMA:Br−PCYM−Br−18:CuBr:PMDETA=200:0.07:1:1とし、反応温度72℃、反応時間を5時間とした以外は、実施例8と同様にしてブロック共重合体(PBMA−PCYM−18−PBMA)を得た。
(実施例15)
(シリカ複合材料の調製)
実施例8で得られたPMMA−4−PCYM−4を凍結乾燥し、1wt%エチルベンゼン液を調製し、一晩撹拌した。次に、窒素置換されたグローボックス内で溶液を撹拌しながら、パーヒドロポリシラザン(PHPS)/ジブチルエーテル溶液(商品名「NN−120」、Azエレクトロニックマテリアルズ社製、重量平均分子量700、濃度20wt%、密度0.92g/cm3)(PHPS:3.05×10-5mmol)を加えた。静置後、上澄み液だけを取り出し、カーボン膜を蒸着した銅のマイクログリッド上に一滴滴下し、空気中室温にて1日間に乾燥させ、シリカ複合材料を得た。
表3に、実験条件を示した。
取り出した上澄み液をTEMで観察したところ、PMMA−4−PCYM−4は、シリカを海とする海島状の不均一なミクロ相分離構造が観察された(図1(a))。図1(a)において、黒色部分は、シリカに相当する部分である。
また、シリカ複合材料をTEMで観察したところ、ポリマーとコンポジットでドメイン周期の近い相分離構造が見られた。PMMA−PCYMを鋳型とするナノコンポジットが形成されていた。図1(b)において、黒色部分はシリカである。
[評価]
実施例および比較例で得られたサンプルについて、下記の測定方法又は評価方法により評価を行った。
(重量平均分子量、及び分子量分布)
重量平均分子量及び数平均分子量は、以下の方法で測定した。
サンプル溶液(0.2wt%THF溶液、0.3wt%DMSO溶液)を、高速液体クロマトグラフィー((株)日立製作所製、カラムオーブン;L−7300、ポンプ;L−7100、デガッサ;JASCO DG2080−53、カラム;TSK gel G5000HHR、示唆屈折計;L−2490、UV検出器;TOSOH UV−8011、検出波長;254nm)を用いて、剥離液;THF、温度;35℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
(NMR)
NMR測定は、NMR spectrometer(JEOL、GSX、400MHz)を用いて、以下の条件で13C−NMR測定を行った。
サンプル濃度:10wt%
溶媒:メチルスルホキシド−d6(DMSO−d6、ACROS ORGANICS)
測定温度:25℃
(シリカ複合材料の透過型電子顕微鏡(TEM)による観察)
コーティング組成物を、カーボン膜を蒸着した銅のマイクログリッド上に一滴滴下し、空気中、室温にて1日間、徐々に乾燥させた。これを四酸化オスミウム蒸気に暴露してサンプルを用意した。
観察は、透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H7100)、加速電圧75kVの条件で行い、撮影にはCCDカメラ(日立ハイテクノロジーズ、AMT Advantage ERL−A付属)を用いた。

Claims (8)

  1. 原子移動ラジカル重合法により得られる、脂環式エポキシ基を有することを特徴とする(メタ)アクリル系ポリマー。
  2. 分子量分布が1.8以下である請求項1に記載の(メタ)アクリル系ポリマー。
  3. モノマーの繰り返し単位が、下記式(1)である請求項1又は2に記載の(メタ)アクリル系ポリマー。
  4. 一分子中に(メタ)アクリロイル基及び脂環式エポキシ基を有する(メタ)アクリル系モノマーと、重合開始剤と、触媒とを用いて原子移動ラジカル重合を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載の(メタ)アクリル系ポリマーに対応する繰り返し単位からなるブロックを含むことを特徴とするブロック共重合体。
  6. 原子移動ラジカル重合法により得られる請求項5に記載のブロック共重合体。
  7. 請求項5又は6に記載のブロック共重合体、及びポリシラザンを含むことを特徴とするコーティング組成物。
  8. 請求項7に記載のコーティング組成物を硬化させて得られるシリカ複合材料。
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