JP2015211122A - 基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の周縁部を良好に昇温させることができる、基板処理装置を提供すること。
【解決手段】基板処理装置1は、スピンチャック5と、SPMノズル21と、赤外線ヒータ58と、スポットヒータ71とを含む。SPMの吐出に並行して、赤外線ヒータ58からの赤外線の照射位置が、基板Wの上面周縁部と基板Wの上面中央部との間で移動させられる。基板Wの上面周縁部には、スポットヒータ71から赤外線を含む光が照射される。
【選択図】図2

Description

本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
下記特許文献1には、ウエハ回転機構によって回転させられているウエハの上面に対する処理液の供給と並行して、ウエハの上面に対向配置された赤外線ヒータから赤外線を基板の上面に照射する手法が開示されている。ウエハの表面に対する赤外線の照射によりウエハや処理液が温められ、これにより、処理液による処理効率を向上させることができる。特許文献1に記載の手法では、ウエハの表面における赤外線の照射位置を、ウエハの中央部とウエハの周縁部との間で移動させることにより、ウエハの表面全域に対して赤外線を照射できる。
特開2013−182957号公報
しかしながら、基板(ウエハ)の回転状態では、基板の周縁部の周速は基板中央部よりも速いので、赤外線ヒータから基板の周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板中央部に比して少ない。そのため、赤外線の照射にも拘らず、基板の表面周縁部における基板や処理液の温度が、基板の中央部に比して低くなっているおそれがある。基板の表面周縁部の温度が低いと、基板の表面周縁部における処理液の処理効率が、基板の表面中央部に比して低下するおそれがある。
そこで、本発明の目的は、基板の周縁部を良好に昇温させることができる、基板処理装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、処理液を用いて基板(W)を処理する基板処理装置(1;201)であって、所定の回転軸線(A1)を中心に回転可能なベース(12)と、前記ベースの周縁部に立設され、前記ベースの上面から間隔を隔てた状態で前記基板を支持する基板支持部材(13)とを有する基板保持回転手段(5)と、前記基板の表面を加熱する第1の加熱手段(58)と、前記基板の表面において前記第1の加熱手段から加熱される加熱領域を移動させる加熱領域移動手段(60)と、前記第1の加熱手段と別に設けられて、前記基板の周縁部を加熱する第2の加熱手段(72,222)とを含む、基板処理装置を提供する。
なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符合を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。
この構成によれば、第1の加熱手段および第2の加熱手段によって基板が加熱される。基板の回転状態において、基板の周縁部の周速は基板の中央部よりも速いので、基板の表面周縁部に対向する状態にある第1の加熱手段から基板の周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板の表面中央部に対向する状態にある第1の加熱手段から基板の表面中央部に与えられる単位面積当たりの熱量に比して少ない。
しかしながら、第2の加熱手段が基板の周縁部に熱量を与えるので、回転状態にある基板の周縁部に十分な熱量を付与することができる。これにより、基板の周縁部を良好に昇温させることができる、基板処理装置を提供できる。
請求項2に記載のように、前記第2の加熱手段は、前記表面周縁部の円周方向の一部を加熱するスポットヒータ(71)であってもよい。
請求項3に記載の発明は、前記基板保持回転手段を収容するチャンバ(4)と、前記チャンバ内に基板を搬出入するための基板搬送手段(CR)とをさらに含み、前記スポットヒータは、前記チャンバ内において、前記基板搬送手段が前記基板保持回転手段との間で前記基板を受け渡すための受渡し位置よりも上方に配置されている、請求項2に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、スポットヒータが、チャンバ内に基板を搬出入している基板搬送手段と干渉することを未然に防止できる。
請求項4に記載の発明は、前記スポットヒータは、前記チャンバの隔壁(4A)に支持されている、請求項2または3に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、チャンバ内において、スポットヒータを、基板処理装置から離反する位置に配置できる。
請求項5に記載の発明は、前記第2の加熱手段は、前記基板の周縁部に沿う円弧状をなす円弧状ヒータ(222)を含む、請求項1に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、円弧状ヒータが基板の周縁部に沿っているので、基板の周縁部に多大な熱量を与えることができ、基板の周縁部をより一層良好に昇温させることができる。
請求項6に記載の発明は、前記円弧状ヒータを移動するヒータ移動手段(224)をさらに含む、請求項5に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、円弧状ヒータを基板の側方に退避させることができる。そのため、円弧状ヒータが基板搬送手段等と干渉することを未然に防止できる。
請求項7に記載の発明は、前記円弧状ヒータは、半円環状をなし、前記基板の周縁部の半周を加熱する第1の半円環ヒータ(222)と、半円環状をなし、前記基板の周縁部の残りの半周を加熱する第2の半円環ヒータ(222)とを含む、請求項5または6に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、基板周縁部の全域に対向して、円弧状ヒータが配置される。そのため、基板の周縁部は円弧状ヒータから常時熱を受ける。これにより、基板の周縁部に多大な熱量を与えることができ、基板の周縁部をさらに良好に昇温させることができる。
請求項8に記載の発明は、前記第1の加熱手段による前記基板の表面の加熱と、前記第2の加熱手段による前記基板の表面の加熱とを並行して行う加熱制御手段(3)をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1の加熱手段による基板の加熱と、第2の加熱手段による基板の加熱とを並行して行うから、基板に対する加熱効率が向上し、これにより、基板の周縁部を含む基板の全域を、良好に昇温させることができる。したがって、加熱工程に要する時間を短縮できる。その結果、基板支持部材への熱影響を低減できる。
請求項9に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段の出力開始と同期して前記第2の加熱手段の出力を開始させる、請求項8に記載の基板処理装置である。
この構成によれば、第1の加熱手段による基板の加熱と、第2の加熱手段による基板の加熱とが同時に開始させられる。2つの加熱手段による基板の加熱を同時に開始するから、基板に対する加熱効率が向上し、これにより、基板の周縁部を含む基板の全域を、より一層良好に昇温させることができる。
請求項10に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記第2の加熱手段の出力が前記第1の加熱手段よりも低くなるように制御する、請求項8または9に記載の基板処理装置である。
第2の加熱手段による基板の加熱によって、基板だけでなく、基板の周縁部に当接するための基板支持部材も加熱されるおそれがある。
この構成によれば、第2の加熱手段の出力が第1の加熱手段よりも低いので、基板支持部材に多くの熱量が与えられることを抑えることができる。これにより、第2の加熱手段による加熱に伴う、基板支持部材への熱影響を低減できる。
請求項11に記載の発明は、前記加熱制御手段は、前記加熱領域の位置に基づいて、前記第2の加熱手段の出力を変更する出力変更制御手段をさらに含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
前記加熱領域移動手段が、前記加熱領域を、前記基板の表面周縁部を含む領域で移動させるものである場合には、請求項12に記載のように、前記出力変更制御手段は、前記加熱領域が前記表面周縁部に接近しまたは前記表面周縁部に接近するときの前記第2の加熱手段の出力を、前記加熱領域が前記中央部に位置するときよりも低下させ、あるいは零にしてもよい。
本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の構成の模式的な平面図である。 図1に示す基板処理装置に備えられたチャンバの内部を水平に見た模式図である。 スピンベースおよびこれに関連する構成の模式的な平面図である。 赤外線ヒータの縦断面図である。 スポットヒータの構成を模式的に示す図である。 図2に示す処理ユニットによって行われるレジスト除去処理の処理例を示すフローチャートである。 SPM供給工程が行われているときの基板を水平に見た模式図である(その1)。 SPM供給工程が行われているときの基板を水平に見た模式図である(その2)。 本発明の第2実施形態に係る基板処理装置に備えられたチャンバの内部を水平に見た模式図である。 第1の円弧状ヒータユニットを水平方向に見た模式図である。 第1の円弧状ヒータユニットの模式的な平面図である。 第1の円弧状ヒータユニットを、図11の矢視XIIから見て拡大して示す模式図である。 図11の切断面線XIII−XIIIで切断したときの断面図である。 図9に示す処理ユニットによって行われるレジスト除去処理の処理例を示すフローチャートである。 基板搬入工程後の基板の周囲の構成を水平に見た模式図である。 SPM供給工程が行われているときの基板を水平に見た模式図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置1の模式的な平面図である。図2は、基板処理装置1に備えられたチャンバ4の内部を水平に見た模式図である。図3は、スピンベース(ベース)12およびこれに関連する構成の模式的な平面図である。図4は、赤外線ヒータ(第1の加熱手段)58の縦断面図である。図5は、スポットヒータ71の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理液や処理ガスによって基板Wを処理する複数の処理ユニット2と、各処理ユニット2のチャンバ4に対して、ハンドHを用いて基板Wの搬入および搬出を行う基板搬送ロボット(基板搬送手段)CRと、基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉などを制御する制御装置(制御手段)3とを含む。
図2に示すように、各処理ユニット2は、枚葉式のユニットである。各処理ユニット2は、内部空間を有する箱形のチャンバ4と、チャンバ4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線(所定の軸線)A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック(基板保持回転手段)5と、スピンチャック5に保持されている基板WにSPM(硫酸過酸化水素水混合液。HSO(硫酸)およびH(過酸化水素水)を含む混合液)またはHを供給するSPM供給ユニット(SPM供給手段)6と、スピンチャック5に保持されている基板Wに薬液の一例のSC1(NHOHとHとを含む混合液)を供給するSC1供給ユニット8と、基板Wを加熱する第1の加熱ユニット10と、基板Wを加熱する第2の加熱ユニット11と、スピンチャック5を取り囲む筒状のカップ7とを含む。
図2および図3に示すように、スピンチャック5は、鉛直に延びる筒状の回転軸14と、回転軸14の上端に水平姿勢に取り付けられた円板状のスピンベース(ベース)12と、スピンベース12に配置された複数個(3個以上。この実施形態では、図3に示すようにたとえば6個)のチャックピン(基板支持部材)13と、回転軸14に連結されたスピンモータ15とを含む。複数個のチャックピン13は、スピンベース12の上面周縁部において基板Wの外周形状に対応する円周上で適当な間隔を空けて配置されている。各チャックピン13は、たとえば、炭素を含む導電性の樹脂材料を用いて形成されている。
スピンチャック5は、各チャックピン13を基板Wの周端面に一括して当接させることにより、基板Wをそれぞれ水平方向に挟むことができ、この状態で、基板Wは、スピンベース12の上面と間隔を隔てた状態で、スピンチャック5に一体回転可能に保持される。したがって、基板Wが複数個のチャックピン13に保持された状態で、スピンモータ15の回転駆動力が回転軸14に入力されることにより、回転軸線A1まわりに基板Wが回転させられる。
図2に示すように、SPM供給ユニット6は、SPMまたはHを基板Wの上面に向けて選択的に吐出するSPMノズル21と、SPMノズル21が先端部に取り付けられた第1のノズルアーム22と、第1のノズルアーム22を移動させることにより、SPMノズル21を移動させる第1のノズル移動ユニット23とを含む。
SPMノズル21は、たとえば、連続流の状態でSPMおよびHを選択的に吐出するストレートノズルであり、たとえば基板Wの上面に垂直な方向に処理液を吐出する垂直姿勢で第1のノズルアーム22に取り付けられている。第1のノズルアーム22は水平向に延びており、図3に示すように、スピンチャック5の周囲で鉛直方向に延びる回転軸線(図示しない)まわりに回転可能に設けられている。なお、SPMノズル21は、吐出口よりも内方(回転軸線A1側)の位置にSPMまたはHが着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向にSPMまたはHが吐出される内向き姿勢で第1のノズルアーム22に保持されていてもよいし、吐出口よりも外方(回転軸線A1とは反対側)の位置にSPMまたはHが着液するように基板Wの上面に対して傾いた吐出方向にSPMまたはHを吐出する外向き姿勢で第1のノズルアーム22に保持されていてもよい。
第1のノズル移動ユニット23は、所定の回転軸線(図示しない)まわりに第1のノズルアーム22を回転させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿ってSPMノズル21を水平に移動させる。第1のノズル移動ユニット23は、SPMノズル21から吐出されたSPMが基板Wの上面に着液する処理位置と、SPMノズル21が平面視でスピンチャック5の周囲に設定されたホーム位置との間で、SPMノズル21を水平に移動させる。さらに、第1ノズル移動ユニット14は、SPMノズル12から吐出されたSPMまたは過酸化水素水が基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、SPMノズル12から吐出されたSPMまたは過酸化水素水が基板Wの上面周縁部)に着液する周縁位置との間で、SPMノズル12を水平に移動させる。中央位置および周縁位置は、いずれも処理位置である。なお、SPMノズル21は、吐出口が基板Wの上面の所定位置(たとえば中央部)に向けて固定的に配置された固定ノズルであってもよい。また、この明細書において、基板の周縁部Wとは、たとえば直径の300mmの基板Wで、基板の周端Wから約10〜30mmの幅を有する領域をいう。
図2に示すように、SPM供給ユニット6は、SPMノズル21に接続され、硫酸供給源からHSOが供給される硫酸配管24と、過酸化水素水供給源からHが供給される過酸化水素水配管25とをさらに含む。
硫酸配管24の途中部には、硫酸配管24を開閉するための硫酸バルブ26、硫酸流量調整バルブ27およびヒータ28が、SPMノズル21側からこの順に介装されている。ヒータ28は、HSOを室温よりも高い温度(70〜120℃の範囲内の一定温度。たとえば90℃)に維持する。HSOを加熱するヒータ28は、図2に示すようなワンパス方式のヒータであってもよいし、ヒータを含む循環経路の内部にHSOを循環させることによりHSOを加熱する循環方式のヒータであってもよい。図示はしないが、硫酸流量調整バルブ27は、弁座が内部に設けられたバルブボディと、弁座を開閉する弁体と、開位置と閉位置との間で弁体を移動させるアクチュエータとを含む。他の流量調整バルブについても同様である。
過酸化水素水配管25の途中部には、過酸化水素水配管25を開閉するための過酸化水素水バルブ29と、過酸化水素水流量調整バルブ30とが、SPMノズル21側からこの順に介装されている。SPMノズル21には、温度調整されていない常温(約23℃)程度のHが、過酸化水素水配管25を通して供給される。
SPMノズル21は、たとえば略円筒状のケーシング(図示しない)を有している。硫酸配管24は、SPMノズル21のケーシングの側壁に配置された硫酸導入口に接続されている。
硫酸バルブ26および過酸化水素水バルブ29が開かれると、硫酸配管24からのHSOおよび過酸化水素水配管25からのHが、SPMノズル21のケーシング(図示しない)内へと供給され、ケーシング内において十分に混合(攪拌)される。この混合によって、HSOとHとが均一に混ざり合い、HSOとHとの反応によってHSOおよびHの混合液(SPM)が生成される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid;HSO)を含み、混合前のHSOおよびHの温度よりも高い温度(100℃以上。たとえば160℃)まで昇温させられる。生成された高温のSPMは、SPMノズル21のケーシングの先端(たとえば下端)に開口した吐出口から吐出される。
図2に示すように、SC1供給ユニット8は、SC1を基板Wの上面に向けて吐出するSC1ノズル41と、SC1ノズル41が先端部に取り付けられた第2のノズルアーム42と、第2のノズルアーム42を移動させることにより、SC1ノズル41を移動させる第2のノズル移動ユニット43とを含む。第2のノズル移動ユニット43は、スピンチャック5の周囲で上下方向に延びる回動軸線(図示しない)まわりに第2のノズルアーム42を回動させることにより、SC1ノズル41を水平に移動させる。
SC1供給ユニット8は、SC1をSC1ノズル41に案内するSC1配管44と、SC1配管44の内部を開閉するSC1バルブ45とを含む。第SC1バルブ45が開かれると、SC1供給源からのSC1が、SC1配管44からSC1ノズル41に供給される。これにより、SC1が、SC1ノズル41から吐出される。なお、SC1ノズル41は、吐出口が基板Wの上面の所定位置(たとえば中央部)に向けて固定的に配置された固定ノズルであってもよい。
図2に示すように、リンス液供給ユニット9は、スピンチャック5に保持されている基板Wに向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル46と、リンス液ノズル46にリンス液を供給するリンス液配管47と、リンス液配管47からリンス液ノズル46へのリンス液の供給および供給停止を切り替えるリンス液バルブ48とを含む。リンス液ノズル46は、リンス液ノズル46の吐出口が静止された状態でリンス液を吐出する固定ノズルである。リンス液供給ユニット8は、リンス液ノズル46を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を移動させるリンス液ノズル移動装置を備えていてもよい。
リンス液バルブ48が開かれると、リンス液配管47からリンス液ノズル46に供給されたリンス液が、リンス液ノズル46から基板Wの上面中央部に向けて吐出される。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
図2に示すように、カップ7は、スピンチャック5に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。
カップ7は、カップ下部31と、カップ下部31の上方に昇降可能に設けられたカップ上部32とを含む。カップ下部31は、中心軸線が回転軸線A1と一致する有底円筒状をなしている。基板処理装置1の稼働中は、カップ下部31の底面に形成された排気口(図示しない)から、常時、カップ7内の雰囲気が排気されている。カップ上部32は、カップ下部31と中心軸線を共通とする円筒状の円筒部33と、この円筒部33の上端から円筒部33の中心軸線に近づくほど高くなるように傾斜する傾斜部34とを一体的に含む。カップ上部32には、カップ上部32を昇降(上下動)させるためのカップ昇降ユニット35が結合されている。カップ昇降ユニット35により、カップ上部32は、傾斜部34の上端がスピンベース12の側方に配置される上位置と、傾斜部34の上端がスピンベース12の下方に配置される下位置とに移動される。
スピンチャック5が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されると、基板Wに供給された処理液が基板Wの周囲に振り切られる。処理液が基板Wに供給されるとき、上向きに開いたカップ7の傾斜部34は、スピンベース12よりも上方に配置される。したがって、基板Wの周囲に排出された薬液(SPMやSC1を含む)やリンス液などは、カップ7によって受け止められる。そして、カップ7に受け止められた処理液は、図示しない回収装置または排液装置に送られる。
図2に示すように、第1の加熱ユニット10は、赤外線を基板Wに照射する赤外線ヒータ(第1の加熱手段)58と、赤外線ヒータ58が先端部に取り付けられたヒータアーム59と、ヒータアーム59を移動させるヒータ移動ユニット(加熱領域移動手段)60とを含む。
図2に示すように、赤外線ヒータ58は、赤外線を発する赤外線ランプ61と、赤外線ランプ61を収容するランプハウジング62とを含む。赤外線ランプ61は、ランプハウジング62内に配置されている。図3に示すように、ランプハウジング62は、平面視で基板Wよりも小さい。そのため、このランプハウジング62内に配置されている赤外線ヒータ58は、平面視で基板Wよりも小さい。赤外線ランプ61およびランプハウジング62は、ヒータアーム59に取り付けられている。そのため、赤外線ランプ61およびランプハウジング62は、ヒータアーム59と共に移動する。
図4に示すように、赤外線ランプ61は、制御装置(加熱制御手段)3に接続されている。赤外線ランプ61は、たとえばハロゲンランプである。赤外線ランプ61は、ハロゲンランプの代わりに、カーボンヒータ等の他の発熱体であってもよい。赤外線ランプ61は、フィラメントを含む。ランプハウジング62は次に述べるように透過部材を含み、そのため、赤外線ランプ61が発光すると、赤外線ランプ61からの光が、ランプハウジング62を透過してランプハウジング62の外面から外方に放射される。
図4に示すように、ランプハウジング62の次に述べる底板部66の下面は、基板Wの上面と平行でかつ平坦な基板対向面58aを含む。赤外線ヒータ58が基板Wの上方に配置されている状態では、赤外線ヒータ58の基板対向面58aが、間隔を空けて基板Wの上面に上下方向に対向する。この状態で赤外線ランプ61が赤外線を発すると、赤外線を含む光が基板対向面58aから基板Wの上面に向かい、基板Wの上面に照射される。基板対向面58aは、たとえば、直径が基板Wの半径よりも小さい円形である。基板対向面58aは、円形に限らず、長手方向の長さが基板Wの半径以上である矩形状であってもよいし、円形および矩形以外の形状であってもよい。
図4に示すように、赤外線ランプ61は、水平面に沿って配置された有端の円環部63と、円環部63の一端部および他端部から上方に延びる一対の鉛直部64とを含む。ランプハウジング62は、赤外線を透過させる透過部材を含む。透過部材は、上下方向に延びる筒状の収容部65と、収容部65の下端を塞ぐ円盤状の底板部66とを含む。ランプハウジング62は、さらに収容部65の上端を塞ぐ蓋部材67と、赤外線ランプ61の一対の鉛直部64を支持する支持部材68とを含む。赤外線ランプ61は、支持部材68を介して蓋部材に支持されている。赤外線ランプ61の円環部は、収容部65と底板部66と蓋部材67とによって区画された空間に配置されている。底板部66は、赤外線ランプ61の下方に配置されており、間隔を空けて赤外線ランプ61に上下方向に対向している。
図2に示すように、ヒータ移動ユニット60は、赤外線ヒータ58を所定の高さで保持している。図3に示すように、ヒータ移動ユニット60は、スピンチャック5の周囲で上下方向に延びる回動軸線A4まわりにヒータアーム59を回動させることにより、赤外線ヒータ58を水平に移動させる。これにより、赤外線を含む光が照射され加熱される加熱領域(基板Wの上面内の一部の領域)が基板Wの上面内で移動する。ヒータ移動ユニット60は、平面視で基板Wの中心を通る円弧状の軌跡に沿ってヒータアーム59の先端部を水平に移動させる。したがって、赤外線ヒータ58は、スピンチャック5の上方を含む水平面内で移動する。また、ヒータ移動ユニット60は、赤外線ヒータ58を鉛直方向に移動させることにより、基板対向面58aと基板Wとの距離を変化させる。
図4に示すように、赤外線ヒータ58からの赤外線は、基板Wの上面内の加熱領域に照射される。制御装置3は、赤外線ヒータ58が発光している状態で、スピンチャック5によって基板Wを回転させながら、ヒータ移動ユニット60によって赤外線ヒータ58を回動軸線A4まわりに回動させる。これにより、基板Wの上面が、赤外線ヒータ58の加熱領域によって走査される。そのため、処理液などの液体(たとえばSPM)が基板W上に保持されている状態で赤外線ランプ61が発光すると、基板Wの温度が上昇し、それに伴って、基板W上の液体の温度も上昇する。あるいは基板W上の液体自体が加熱され昇温する。
図2に示すように、第2の加熱ユニット11は、赤外線を基板Wの上面周縁部の一部分に照射するスポットヒータ71(第2の加熱手段)を含む。図5(a)および図5(b)に示すように、スポットヒータ71は、赤外線を発する赤外線ランプ72と、赤外線ランプ72からの光を反射して加熱対象物へ導くためのリフレクタ73と、赤外線ランプ72およびリフレクタ73を収容するヒータハウジング74とを含む。
赤外線ランプ72は、たとえばハロゲンランプである。赤外線ランプ72は、ハロゲンランプの代わりに、カーボンヒータ、石英管ヒータ、セラミックヒータ等の他の発熱体であってもよい。赤外線ランプ72は、フィラメントと、フィラメントを収容する石英管とを含む。リフレクタ73は、赤外線ランプ72から発せられた光を反射して、所定の目標照射位置へ配光するための反射面73Aを有している。反射面73Aは椀状をなしている。そのため、赤外線ランプ72が発光すると、赤外線ランプ72からの光が、ヒータハウジング74の下面から外方に放射される。
スポットヒータ71として、平行光型のスポットヒータ71Aや、集中光型のスポットヒータ71Bを採用できる。これらのスポットヒータ71A,71Bは反射面73Aの形状が互いに異なっている。図5(a)に示す平行光型のスポットヒータ71Aは、互いに同じ方向に向かう平行光を放射している。一方、図5(b)に示す集中光型のスポットヒータ71Bは、一点または円形状に集中する集中光を放射している。
スポットヒータ71は、チャンバ4内の上部領域に配置されている。スポットヒータ71は、スピンチャック5から上方に大きく離反している。換言すると、スポットヒータ71は、基板搬送ロボットCR(図1参照)のハンドH(図1参照)がスピンチャック5との間で前記基板を受け渡すための受渡し位置よりも上方に配置されている。
スポットヒータ71は、スポットヒータ用保持ユニット75を介して、チャンバ4の側壁(隔壁)4Aに取り付けられている。スポットヒータ用保持ユニット75は、たとえば水平に延びる支持ロッド76を含む。支持ロッド76の基端は、チャンバ4の側壁4Aに固定されている。なお、スポットヒータ71は、ボールねじやシリンダ等により、支持ロッド76の軸方向に沿って移動可能に設けられていてもよい。また、スポットヒータ71は、ベアリング等により、支持ロッド76の回りに回転可能に設けられていてもよい。このような移動(回転)可能な構成とすることにより、スポットヒータ71の位置変更や姿勢変更を容易にし、スポットヒータ71からの赤外線を含む光の放射先を、所望の位置に設定することができる。スピットヒータ71から赤外線を含む光は、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面周縁部の所定の一部(円周方向の一部)の領域に設定されている。スポットヒータ71からの赤外線を含む光が照射される照射領域Tが、スピンチャック5に保持されている基板Wの上面周縁部の所定の一部分(円周方向の一部分)に設定されている。この照射領域Tは、基板Wに対する処理中において静止状態に保たれている。
制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータなどによって構成されている。制御装置3は、予め定められたプログラムに従って、スピンモータ15、第1および第2のノズル移動ユニット23、カップ昇降ユニット35、ヒータ移動ユニット60、ヒータ28等の動作を制御する。また、制御装置3は、赤外線ランプ61や赤外線ランプ72に供給される電力を調整する。さらに、制御装置3は、硫酸バルブ26、過酸化水素水バルブ29、SC1バルブ45、リンス液バルブ48等の開閉を制御すると共に、流量調整バルブ20,23のアクチュエータを制御して、当該流量調整バルブ27,30の開度を制御する。
図6は、処理ユニット2によって行われるレジスト除去処理の処理例を示すフローチャートである。図7および図8は、SPM供給工程(S3)が行われているときの基板Wを水平に見た模式図である。
以下、図2および図6〜図8を参照しつつ、処理ユニット2によって行われるレジスト除去処理の処理例について説明する。図3〜図5については適宜参照する。
処理ユニット2によって基板Wにレジスト除去処理が施されるときには、チャンバ4の内部に、高ドーズでのイオン注入処理後の基板Wが搬入される(ステップS1)。搬入される基板Wは、レジストをアッシングするための処理を受けていないものとする。具体的には、制御装置3は、カップ上部32が下位置に下げられ、ノズル等が全てスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板Wを保持している基板搬送ロボットCR(図1参照)のハンドH(図1参照)をチャンバ4の内部に進入させることにより、基板Wがその表面を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。スポットヒータ71がスピンチャック5から上方に大きく離間しているので、基板Wの搬入時にハンドHがスポットヒータ71に干渉することはない。その後、制御装置3は、スピンモータ15によって基板Wの回転を開始させる(ステップS2)。基板Wは予め定める液処理速度(300〜1500rpmの範囲内で、たとえば500rpmまで上昇させられ、その液処理速度に維持される。また、制御装置3は、カップ昇降ユニット35を制御して、カップ上部32を上位置まで上昇させる。
基板Wの回転速度が液処理速度に達すると、次いで、制御装置3は、SPMを基板Wに供給するSPM供給工程(ステップS3)を行う。SPM供給工程(S3)では、SPMノズル21から吐出されるSPMが基板Wの上面中央部に着液する。
具体的には、制御装置3は、第1のノズル移動ユニット23を制御することにより、SPMノズル21をホーム位置から中央位置に移動させる。これにより、SPMノズル21が基板Wの中央部の上方に配置される。
SPMノズル21が基板Wの上方に配置された後、制御装置3は、硫酸バルブ26および過酸化水素水バルブ29を同時に開く。これにより、硫酸配管24の内部を流通するHSOがSPMノズル21に供給されると共に、過酸化水素水配管25を流通する過酸化水素水がSPMノズル21に供給される。そして、SPMノズル21のケーシング内においてHSOとHとが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される。そのSPMが、SPMノズル21の吐出口から吐出され、基板Wの上面の中央部に着液する。
SPMノズル21からのSPMは、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に流れ、図7および図8に示すように、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜80が基板W上に形成される。なお、図7では、SPMノズル21の図示を省略しているが、赤外線ヒータ58と干渉しない位置においてSPMを供給しつづけている。
また、SPM供給工程(S3)と並行して、赤外線ヒータ58およびスポットヒータ71によって、基板Wおよび基板W上のSPMを、基板Wに供給される前のSPMの温度よりも高温の加熱温度で加熱する加熱工程が行われる。
具体的には、制御装置3は、ヒータ移動ユニット60を制御することにより、赤外線ヒータ58を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、赤外線ヒータ58が基板Wの上方に配置される。その後、制御装置3は、赤外線ヒータ58に発光を開始させる。これにより、赤外線ヒータ58の温度が所定の加熱温度(たとえば200℃以上)まで上昇し、その加熱温度に維持される。
赤外線ヒータ58が基板Wの上方で発光を開始した後、制御装置3は、図3に示すように、ヒータ移動ユニット60によって赤外線ヒータ58を移動させることにより、基板Wの上面における赤外線ヒータ58による加熱領域(赤外線の照射位置)を、基板Wの上面周縁部と基板Wの上面中央部との間で移動させる(加熱領域移動工程)。
基板Wが前記の液処理速度(たとえば500rpm)で回転している状態で、基板Wおよび基板W上のSPMが加熱される。基板Wの回転状態において、基板Wの周縁部の周速は基板Wの中央部よりも速いので、基板Wの上面周縁部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板Wの上面中央部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面中央部に与えられる単位面積当たりの熱量に比して少ない。
また、カップ7のカップ上部34との干渉を防ぐべく、赤外線ヒータ58が最も基板の中央部から水平方向に離反した状態において、図3および図8に示すように、赤外線ヒータ58のランプハウジング62の最外方位置が基板Wの周端上に位置している。前述のように、ランプハウジング62内に赤外線ランプ61が収容されているので、赤外線ランプ61の最外方位置は、基板Wの周端上よりもやや内寄りに位置している。したがって、基板Wの上面周縁部に、赤外線ヒータ58の赤外線ランプ61からの熱量が十分に与えられない。
また、赤外線ヒータ58の発光開始と同期して、制御装置3は、スポットヒータ71に発光を開始させる。これにより、スポットヒータ71の温度が、所定の加熱温度(たとえば200℃以上)まで上昇し、その加熱温度に維持される。基板Wの上面周縁部の照射領域Tに、スポットヒータ71からの赤外線を含む光が照射される。照射領域Tは静止状態であり、移動しない。スポットヒータ71からの光の照射により、基板Wの周縁部が加熱される。
制御装置3は、赤外線ヒータ58およびスポットヒータ71による基板Wの加熱が所定時間にわたって行われた後、赤外線ヒータ58の発光を停止させると共に、スポットヒータ71の発光を停止させる。その後、制御装置3は、ヒータ移動ユニット60を制御することにより、赤外線ヒータ58を基板Wの上方から退避させる。
このように、制御装置3は、基板Wを回転させている状態で、基板Wの上面の加熱領域を基板Wの上面内で移動させる。また、スポットヒータ71が基板Wの専ら周縁部に熱量を与える。したがって、基板Wが均一に加熱される。そのため、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜80も均一に加熱される。これにより、基板Wの上面全域において、基板WとSPMとの界面の温度が、高温に維持され、基板Wからのレジストの除去が促進される。なお、「基板Wの専ら周縁部に熱量を与える」とは、スポットヒータ71からの光が直接的に基板Wの周縁部に与えられる結果、基板Wの周縁部に熱量の大部分が与えられることを指す。この場合、基板Wの中央部にも伝熱により熱が与えられることがある。
また、加熱工程時のスポットヒータ71の温度(出力)が、赤外線ヒータ58の温度(出力)よりも低く設定されていてもよい。スポットヒータ71による光の照射によって、基板Wだけでなく、基板Wの周縁部に当接するためのチャックピン13も加熱されるおそれがあるが、スポットヒータ71の温度が赤外線ヒータ58よりも低い温度に設定されているので、チャックピン13に多くの熱量が与えられることを抑えることができる。これにより、スポットヒータ71による基板Wの加熱に伴う、チャックピン13への熱影響を低減できる。
また、図8に示すように、加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近したとき、または基板Wの上面周縁部に位置するときに、スポットヒータ71の温度(出力)の出力を、それまでの温度から低下させてもよい。さらには、加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近したとき、または基板Wの上面周縁部に位置するときに、スポットヒータ71の出力を零にして、スポットヒータ71の発光を停止させてもよい。加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近しまたは基板Wの上面周縁部に位置するときには、赤外線ヒータ58によって基板Wの周縁部に十分な熱量を付与できるので、スポットヒータ71の出力をそれまでよりも低下させまたは零にしても、基板Wの周縁部を良好に昇温させることができる。これにより、チャックピン13への熱影響をより一層低減できる。
SPMの吐出開始から予め定めるSPM処理時間が経過すると、SPM供給工程(S3)が終了する。SPM供給工程(S3)の終了に引き続いて、Hを基板Wに供給する過酸化水素水供給工程(ステップS4)が行われる。
具体的には、制御装置3は、過酸化水素水バルブ29を開いた状態に維持しつつ硫酸バルブ26だけを閉じる。これにより、硫酸配管24の内部をHSOが流通せずに、Hだけが過酸化水素水配管25の内部を流通してSPMノズル21に供給される。SPMノズル21に供給されたHは、SPMノズル21のケーシング内を通ってSPMノズル21の吐出口から吐出される。そのHが、液処理速度で回転している基板Wの上面中央部に着液する。すなわち、SPMノズル21から吐出される処理液が、SPMからHに切り換わる。
基板Wの上面中央部に着液したHは、基板Wの周縁に向かって基板W上を外方に流れる。基板W上のSPMがHに置換され、やがて、基板Wの上面全域が、Hの液膜によって覆われる。
の吐出開始から予め定める処理時間が経過すると、制御装置3は、過酸化水素水バルブ29を閉じて、SPMノズル21からのHの吐出を停止させる。また、制御装置3は、SPMノズル21を中央位置からホーム位置に移動させる。これにより、SPMノズル21が基板Wの上方から退避させられる。
次いで、リンス液を基板Wに供給する第1のリンス液供給工程(ステップS5)が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ48を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル46からリンス液を吐出させる。リンス液ノズル46から吐出されたリンス液は、Hによって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板W上のHが、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上のHの液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。これにより、基板Wの上面の全域においてHが洗い流される。そして、リンス液バルブ48が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ48を閉じて、リンス液ノズル46からのリンス液の吐出を停止させる。
次いで、制御装置3は、SC1を基板Wに供給するSC1供給工程(ステップS6)を実行する。具体的には、制御装置3は、第2のノズル移動ユニット43を制御することにより、SC1ノズル41を退避位置から処理位置に移動させる。制御装置3は、SC1ノズル41が基板Wの上方に配置された後、SC1バルブ45を開いて、回転状態の基板Wの上面に向けてSC1をSC1ノズル41に吐出させる。この状態で、制御装置3は、第2のノズル移動ユニット43を制御することにより、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。そして、SC1バルブ45が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、SC1バルブ45を閉じてSC1の吐出を停止させる。その後、制御装置3は、第2のノズル移動ユニット43を制御することにより、SC1ノズル41を基板Wの上方から退避させる。
SC1ノズル41から吐出されたSC1は、基板Wの上面に着液した後、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、基板W上のリンス液は、SC1によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。これにより、基板W上のリンス液の液膜が、基板Wの上面全域を覆うSC1の液膜に置換される。さらに、制御装置3は、基板Wが回転している状態で、基板Wの上面に対するSC1の着液位置を中央部と周縁部との間で移動させるので、SC1の着液位置が、基板Wの上面全域を通過し、基板Wの上面全域が走査される。そのため、SC1ノズル41から吐出されたSC1が、基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域が均一に処理される。
SC1の吐出開始から予め定める処理時間が経過すると、制御装置3は、SC1バルブ45を閉じて、SC1ノズル41からのSC1の吐出を停止させる。また、制御装置3は、SC1ノズル41を中央位置からホーム位置に移動させる。これにより、SC1ノズル41が基板Wの上方から退避させられる。
次いで、リンス液を基板Wに供給する第2のリンス液供給工程(ステップS7)が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ48を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル46からリンス液を吐出させる。リンス液ノズル46から吐出されたリンス液は、SC1によって覆われている基板Wの上面中央部に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁部に向けて流れる。これにより、基板W上のSC1が、リンス液によって外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。そのため、基板W上のSC1の液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。これにより、基板Wの上面の全域においてSC1が洗い流される。そして、リンス液バルブ48が開かれてから所定時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ48を閉じて、リンス液ノズル46からのリンス液の吐出を停止させる。
次に、基板Wを乾燥させるスピンドライ工程(ステップS8)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、SPM供給工程(S3)から第2のリンス液供給工程(S7)までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(ステップS9)。
次に、チャンバ4内から基板Wが搬出される(ステップS10)。具体的には、制御装置3は、カップ昇降ユニット35を制御して、カップ上部32を下位置まで下降させる。そして、全てのノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板搬送ロボットCRのハンドHをチャンバ4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドHにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドHをチャンバ4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバ4から搬出される。なお、スポットヒータ71がスピンチャック5から上方に大きく離間しているので、基板Wの搬出時にハンドHがスポットヒータ71に干渉することはない。
以上により、この実施形態によれば、赤外線ヒータ58およびスポットヒータ71によって基板Wが加熱される。
前述のように、基板Wの回転状態において、基板Wの周縁部の周速は基板Wの中央部よりも速いので、基板Wの上面周縁部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板Wの上面中央部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面中央部に与えられる単位面積当たりの熱量に比して少ない。
また、前述のように、赤外線ヒータ58が最も基板Wの中央部から水平方向に離反した状態において、赤外線ランプ61の最外方位置は、基板Wの周端上よりもやや内寄りに位置しているので、基板Wの上面周縁部に、赤外線ヒータ58の赤外線ランプ61からの熱量が十分に与えられないという事情もある。
しかしながら、スポットヒータ71が基板Wの専ら周縁部に熱量を与えるので、回転状態にある基板Wの周縁部に十分な熱量を付与することができる。これにより、基板Wの周縁部を良好に昇温させることができる、基板処理装置1を提供できる。したがって、基板Wの上面周縁部においても、SPMによるレジスト除去効率を高めることができ、ゆえに、基板Wの上面全域からレジストを良好に除去できる。
また、赤外線ヒータ58による基板Wの加熱と、スポットヒータ71による基板Wの加熱とを並行して行うから、基板Wに対する加熱効率が向上し、これにより、基板Wの周縁部を含む基板Wの全域を、良好に昇温させることができる。したがって、加熱工程に要する時間を短縮できる。その結果、チャックピン13への熱影響を低減できる。
図9は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201に備えられたチャンバ4の内部を水平に見た模式図である。図10は、第1の円弧状ヒータユニット221を水平方向に見た模式図である。図11は、第1の円弧状ヒータユニット221の模式的な平面図である。図12は、第1の円弧状ヒータユニット221を、図11の矢視XIIから見て拡大して示す模式図である。図13は、図11の切断面線XIII−XIIIで切断したときの断面図である。
基板処理装置201が、第1実施形態に係る基板処理装置1と共通する部分には、図11の場合と同一の参照符号を付し説明を省略する。基板処理装置201が基板処理装置1と相違する点は、第1の加熱ユニット11に代えて第2の加熱ユニット211を設けた点である。
図9に示すように、第2の加熱ユニット211は、第1の円弧状ヒータユニット221と、第2の円弧状ヒータユニット231とを含む。第2の円弧状ヒータユニット231は、第1の円弧状ヒータユニット221と同等の構成を有している。第1および第2の円弧状ヒータユニット221,231は、スピンチャック5に保持される基板Wの中央部を挟むように配置されており、基板Wの円周方向に対して180°ずれて配置されている。以下、第1の円弧状ヒータユニット221のみを説明し、第2の円弧状ヒータユニット231についての説明を省略する。
第1の円弧状ヒータユニット221は、赤外線を基板Wに照射する半円環状の円弧状ヒータ(第2の加熱手段、第1および第2の半円環ヒータ)222と、円弧状ヒータ222を保持するホルダ223と、ホルダ223に結合されて、円弧状ヒータ222を水平方向に移動させる円弧状ヒータ移動ユニット(ヒータ移動手段)224とを含む。
図10〜図12に示すように、円弧状ヒータ222は、赤外線ランプ226と、赤外線ランプ226を上方から保持する赤外線ランプホルダ227とを含む。
赤外線ランプ226は、たとえばハロゲンランプである。図11に示す赤外線ランプ226を平面視で見た場合の円弧状の曲率は、基板Wの外径に沿う曲率と同等に設定されている。赤外線ランプ226は、ハロゲンランプの代わりに、カーボンヒータ等の他の発熱体であってもよい。図13に示すように、赤外線ランプ226は、フィラメント229と、フィラメント229を収容する石英管230とを含む。図12に示すように、赤外線ランプ226は、水平面に沿って配置された有端の半円環部226Aと、半円環部226Aの一端部および他端部から上方に延びる一対の鉛直部226Bとを含む。鉛直部226Bが、赤外線ランプホルダ227を上下方向に貫通すると共に、赤外線ランプホルダ227に固定されている。半円環部226Aの中央部は、サポート部材227Aによって後述する赤外線ランプホルダ227に支えられている。赤外線ランプ226は、制御装置3に接続されている。
赤外線ランプホルダ227は、赤外線ランプ226の上方において、赤外線ランプ226と間隔を隔てて配置されている。赤外線ランプホルダ227は、平面視で赤外線ランプ226と略整重複する半円環状の板状部材である。赤外線ランプホルダ227は、赤外線ランプ226の上方を覆っている。図13に示すように、赤外線ランプホルダ227の下面は、赤外線ランプ226から発せられた光を反射して、所定の目標照射位置へ配光するための反射面228を有する。反射面228は、上下方向に湾曲する湾曲面を有する。そのため、赤外線ランプ226が発光すると、赤外線ランプ226からの光が反射面228にて反射され、下方に向けて放射される。円弧状ヒータ222から放射される光は、平行光であってもよいし、集中光であってもよい。
図9に示すように、各円弧状ヒータ移動ユニット224は、一対の円弧状ヒータ222を、基板Wの上面周縁部に近接対向する処理位置と、基板Wの上面周縁部から側方に退避した退避位置との間で、対応する円弧状ヒータ222を水平に移動させる。
図14は、第2実施形態に係る処理ユニット202によって行われるレジスト除去処理の処理例を示すフローチャートである。図15は、基板搬入工程(S11)後の基板Wの周囲の構成を水平に見た模式図である。図16は、SPM供給工程(S13)が行われているときの基板Wを水平に見た模式図である。なお、図15および図16は説明の明確化のため一部を断面にて記載する。
以下、図9および図14〜図16を参照する。図10〜図13については適宜参照する。
処理ユニット202によって基板Wにレジスト除去処理が施されるときには、チャンバ4の内部に、高ドーズでのイオン注入処理後の基板Wが搬入される(ステップS11)。搬入される基板Wは、レジストをアッシングするための処理を受けていないものとする。具体的には、制御装置3は、カップ上部32が下位置に下げられ、円弧状ヒータ222が退避位置に退避し、かつノズル等が全てスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板Wを保持している基板搬送ロボットCR(図1参照)のハンドH(図1参照)をチャンバ4の内部に進入させることにより、基板Wがその表面を上方に向けた状態でスピンチャック5に受け渡される。円弧状ヒータ222が退避位置に退避しているので、基板Wの搬入時にハンドHが円弧状ヒータ222に干渉することはない。その後、制御装置3は、スピンモータ15によって基板Wの回転を開始させる(ステップS12)。基板Wは予め定める液処理速度(300〜1500rpmの範囲内で、たとえば500rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。
また、制御装置3は、各円弧状ヒータ移動ユニット224を制御して、図16に示すように、対応する円弧状ヒータ222を処理位置(図11も併せて参照)に配置する。円弧状ヒータ222が処理位置に配置された状態では、両方の円弧状ヒータ222の端部同士が当接している。具体的には、第1の円弧状ヒータユニット221の円弧状ヒータ222が基板Wの周縁部の半周に対向し、第2の円弧状ヒータユニット231の円弧状ヒータ222が基板Wの残りの半周に対向している。すなわち、基板Wの上面周縁部の略全域に赤外線ランプ226が対向している。
円弧状ヒータ222の円弧状ヒータ222の配置後、制御装置3は、カップ昇降ユニット35を制御して、カップ上部32を上位置まで上昇させる。
基板Wの回転速度が液処理速度に達すると、次いで、制御装置3は、SPMを基板Wに供給するSPM供給工程(ステップS13)を行う。SPM供給工程(S13)では、SPMノズル21から吐出されるSPMが基板Wの上面中央部に着液する。
具体的には、制御装置3は、第1のノズル移動ユニット23を制御することにより、SPMノズル21をホーム位置から中央位置に移動させる。これにより、SPMノズル21が基板Wの中央部の上方に配置される。
SPMノズル21が基板Wの上方に配置された後、制御装置3は、硫酸バルブ26および過酸化水素水バルブ29を同時に開く。これにより、硫酸配管24の内部を流通するHSOがSPMノズル21に供給されると共に、過酸化水素水配管25を流通するHがSPMノズル21に供給される。そして、SPMノズル21のケーシング内においてHSOとHとが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される。そのSPMが、SPMノズル21の吐出口から吐出され、基板Wの上面の中央部に着液する。
SPMノズル21からのSPMは、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に流れ、図16に示すように、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜80が基板W上に形成される。
また、SPM供給工程(S3)と並行して、赤外線ヒータ58および一対の円弧状ヒータ222によって、基板Wおよび基板W上のSPMを、基板Wに供給される前のSPMの温度よりも高温の加熱温度で加熱する加熱工程が行われる。
具体的には、制御装置3は、ヒータ移動ユニット60を制御することにより、図3に示すように、赤外線ヒータ58を退避位置から処理位置に移動させる。これにより、赤外線ヒータ58が基板Wの上方に配置される。その後、制御装置3は、赤外線ヒータ58に発光を開始させる。これにより、赤外線ヒータ58の温度が所定の加熱温度(たとえば200℃以上)まで上昇し、その加熱温度に維持される。
赤外線ヒータ58が基板Wの上方で発光を開始した後、制御装置3は、ヒータ移動ユニット60によって赤外線ヒータ58を移動させることにより、基板Wの上面における赤外線ヒータ58による加熱領域(赤外線の照射位置)を、基板Wの上面周縁部と基板Wの上面中央部との間で移動させる(加熱領域移動工程)。
基板Wが前記の液処理速度(たとえば500rpm)で回転している状態で、基板Wおよび基板W上のSPMが加熱される。基板Wの回転状態において、基板Wの周縁部の周速は基板Wの中央部よりも速いので、基板Wの上面周縁部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板Wの上面中央部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面中央部に与えられる単位面積当たりの熱量に比して少ない。
また、赤外線ヒータ58の発光開始と同期して、制御装置3は、各円弧状ヒータ222に発光を開始させる。これにより、円弧状ヒータ222の温度が、所定の加熱温度(たとえば200℃以上)まで上昇し、その加熱温度に維持される。上面周縁部の全域に、一対の円弧状ヒータ222からの赤外線を含む光が照射される。一対の円弧状ヒータ222からの光の照射により、基板Wの周縁部が加熱される。
制御装置3は、赤外線ヒータ58および一対の円弧状ヒータ222による基板Wの加熱が所定時間にわたって行われた後、赤外線ヒータ58の発光を停止させると共に、一対の円弧状ヒータ222の発光を停止させる。
その後、制御装置3は、ヒータ移動ユニット60を制御することにより、赤外線ヒータ58を基板Wの上方から退避させる。また、制御装置3は、第1および第2の円弧状ヒータユニット221,231の円弧状ヒータ移動ユニット224を制御して、各円弧状ヒータ222を、処理位置から退避位置に退避させる。
このように、制御装置3は、基板Wを回転させている状態で、基板Wの上面の加熱領域を基板Wの上面内で移動させる。また、円弧状ヒータ222が基板Wの専ら周縁部に熱量を与える。したがって、基板Wが均一に加熱される。そのため、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜80も均一に加熱される。これにより、基板Wの上面全域において、基板WとSPMとの界面の温度が、高温に維持され、基板Wからのレジストの除去が促進される。
また、加熱工程時の円弧状ヒータ222の温度(出力)が、赤外線ヒータ58の温度(出力)よりも低く設定されていてもよい。円弧状ヒータ222による光の照射によって、基板Wだけでなく、基板Wの周縁部に当接するためのチャックピン13も加熱されるが、円弧状ヒータ222の温度が赤外線ヒータ58よりも低い温度に設定されているので、チャックピン13に多くの熱量が与えられることを抑えることができる。これにより、円弧状ヒータ222による基板Wの加熱に伴う、チャックピン13への熱影響を低減できる。
また加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近したとき、または基板Wの上面周縁部に位置するときに、円弧状ヒータ222の温度(出力)の出力を、それまでの温度から低下させてもよい。さらには、加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近したとき、または基板Wの上面周縁部に位置するときに、円弧状ヒータ222の出力を零にして、発光を停止させてもよい。加熱領域が基板Wの上面周縁部に接近しまたは基板Wの上面周縁部に位置するときには、赤外線ヒータ58によって基板Wの周縁部に十分な熱量を付与できるので、円弧状ヒータ222の出力をそれまでよりも低下させまたは零にしても、基板Wの周縁部を良好に昇温させることができる。これにより、チャックピン13への熱影響をより一層低減できる。
SPMの吐出開始から予め定めるSPM処理時間が経過すると、SPM供給工程(S13)が終了する。SPM供給工程(S13)の終了に引き続いて、制御装置3は、Hを基板Wに供給する過酸化水素水供給工程(ステップS14)を実行する。過酸化水素水供給工程(S14)の開始から所定時間が経過すると、次いで、制御装置3は、リンス液を基板Wに供給する第1のリンス液供給工程(ステップS15)を実行する。第1のリンス液供給工程(S15)の開始から所定時間が経過すると、次いで、制御装置3は、SC1を基板Wに供給するSC1供給工程(ステップS16)を実行する。SC1供給工程(S16)の開始から所定時間が経過すると、次いで、制御装置3は、リンス液を基板Wに供給する第2のリンス液供給工程(ステップS17)を実行する。第2のリンス液供給工程(S17)の開始から所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンドライ工程(ステップS18)を実行する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(ステップS19)。これらステップS14,S15,S16,S17,S18,S19の処理は、それぞれ、図6のステップS4,S5,S6,S7,S8,S9と同様の処理である。
次いで、チャンバ4内から基板Wが搬出される(ステップS10)。具体的には、制御装置3は、カップ昇降ユニット35を制御して、カップ上部32を下位置まで下降させる。円弧状ヒータ222を退避位置に退避しており、かつ全てのノズル等がスピンチャック5の上方から退避している状態で、基板搬送ロボットCRのハンドHをチャンバ4の内部に進入させる。そして、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドHにスピンチャック5上の基板Wを保持させる。その後、制御装置3は、基板搬送ロボットCRのハンドHをチャンバ4内から退避させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバ4から搬出される。なお、円弧状ヒータ222が退避位置に退避させられているので、基板Wの搬出時にハンドHが円弧状ヒータ222に干渉することはない。
以上により、この実施形態によれば、赤外線ヒータ58および一対の円弧状ヒータ222によって基板Wが加熱される。
前述のように、基板Wの回転状態において、基板Wの周縁部の周速は基板Wの中央部よりも速いので、基板Wの上面周縁部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの周縁部に与えられる単位面積当たりの熱量は、基板Wの上面中央部に対向する状態にある赤外線ヒータ58から基板Wの上面中央部に与えられる単位面積当たりの熱量に比して少ない。
しかしながら、円弧状ヒータ222が基板Wの専ら周縁部に熱量を与えるので、回転状態にある基板Wの周縁部に十分な熱量を付与することができる。とくに各円弧状ヒータ222が基板Wの周縁部に対向するように配置されており、しかも、一対の円弧状ヒータ222が、基板Wの上面周縁部の略全域に対向しているから、基板Wの周縁部の全域が加熱される。以上により、基板Wの周縁部を極めて良好に昇温させることができる、基板処理装置201を提供できる。したがって、基板Wの上面周縁部においても、SPMによるレジスト除去効率を高めることができ、ゆえに、基板Wの上面全域からレジストを良好に除去できる。
また、赤外線ヒータ58による基板Wの加熱と、円弧状ヒータ222による基板Wの加熱とを並行して行うから、基板Wに対する加熱効率が向上し、これにより、基板Wの周縁部を含む基板Wの全域を、良好に昇温させることができる。したがって、加熱工程に要する時間を短縮できる。その結果、チャックピン13への熱影響を低減できる。
以上、この発明の2つの実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することも可能である。
たとえば、第1実施形態において、スポットヒータ71として、赤外線を放射するヒータを例に挙げて説明したが、スポットヒータとして、レーザ光を放射するヒータや、熱風を吹き付けるヒータなどの他のヒータを採用することもできる。
また、第1実施形態において、スポットヒータ71はチャンバ4の隔壁(たとえば側壁4A)に取り付けられる構成でなく、ヒータアーム59とは別のスキャンアームに支持される構成であってもよい。
また、第2実施形態において、一対の円弧状ヒータ222を設け、円環状ヒータを2分割するように構成する例を示したが、円環状ヒータを3分割またはそれ以上分割されていてもよい。また、円環状ヒータを1つのヒータで構成してもよい。
また、円弧状ヒータ222によって円環状ヒータを構成する構成でなく、周方向の一部の上面周縁部にのみ円弧状ヒータ222が配置されていてもよい。この場合、円弧状ヒータ222は、半円環状でなくても、円弧状であればよい。
また、第1および第2実施形態の処理例のSPM供給工程(S3,S13)において、基板Wの上面の赤外線ヒータ58による加熱領域を、基板Wの上面周縁部と基板Wの中央部との間で移動させる場合を例に挙げて説明したが、基板Wの一の上面周縁部と、前記の一の上面周縁部と上面中央部を挟んだ他の上面周縁部との間で、前記の加熱領域を移動させるようにしてもよい。また、上面周縁部と上面中央部の間に位置する中間位置と、上面周縁部との間で、前記の加熱領域を移動させるようにしてもよい。
また、SPM供給工程(S3,S13)において、基板Wを液処理速度(たとえば約500rpm)で回転させるとして説明したが、このときの基板Wの回転速度が、基板W上からのSPMの排出が抑制されて基板Wの上面にSPMの液膜が保持される状態(パドル状態)を維持できるような低回転速度(パドル回転速度)であってもよい。
また、SPM供給工程(S3,S13)において、第1のノズル移動ユニット23を駆動して、SPMノズル21を、基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿って移動させてもよい。この場合、SPMノズル21を、基板Wの上面中央部と基板Wの上面周縁部との間で移動させることができる。
また、第1および第2実施形態の処理例において、SPM供給工程(S3,S13)の後に過酸化水素水供給工程(S4,S14)を実行するとしたが、この過酸化水素水供給工程(S4,S14)は省略可能である。また、第1のリンス液供給工程(S5,S15)の後にSC1供給工程(S6,S16)を実行するとしたが、このSC1供給工程(S6,S16)は省略可能である。
また、第1および第2実施形態では、SPM供給ユニット6として、HSOおよびHの混合をSPMノズル21の内部で行うノズル混合タイプのものを例に挙げて説明したが、SPMノズル21の上流側に配管を介して接続された混合部を設け、この混合部において、HSOとHとの混合が行われる配管混合タイプのものを採用することもできる。
また、レジスト除去処理を行う基板処理装置1,201を例に挙げて説明したが、本発明は、処理液として、他の薬液(たとえば、リン酸水溶液)等を用いる基板処理装置にも適用可能である。
また、前述の各実施形態では、基板処理装置1,201が、円板状の基板Wを処理する装置である場合について説明したが、基板処理装置1,201は、液晶表示装置用基板などの多角形の基板Wを処理する装置であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 基板処理装置
3 制御装置(加熱制御手段)
4 チャンバ
5 スピンチャック(基板保持回転手段)
6 SPM供給ユニット
12 スピンベース(ベース)
13 スピンチャック(基板支持部材)
58 赤外線ヒータ(第1の加熱手段)
60 ヒータ移動ユニット(加熱領域移動手段)
71 スポットヒータ(第2の加熱手段)
201 基板処理装置
222 円弧状ヒータ(第2の加熱手段、第1の半円環ヒータ、第2の半円環ヒータ)
224 円弧状ヒータ移動ユニット(ヒータ移動手段)
A1 回転軸線(所定の軸線)
CR 基板搬送ロボット(基板搬送手段)
W 基板

Claims (12)

  1. 処理液を用いて基板を処理する基板処理装置であって、
    所定の回転軸線を中心に回転可能なベースと、前記ベースの周縁部に立設され、前記ベースの上面から間隔を隔てた状態で前記基板を支持する基板支持部材とを有する基板保持回転手段と、
    前記基板の表面を加熱する第1の加熱手段と、
    前記基板の表面において前記第1の加熱手段から加熱される加熱領域を移動させる加熱領域移動手段と、
    前記第1の加熱手段と別に設けられて、前記基板の周縁部を加熱する第2の加熱手段とを含む、基板処理装置。
  2. 前記第2の加熱手段は、前記表面周縁部の円周方向の一部を加熱するスポットヒータを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
  3. 前記基板保持回転手段を収容するチャンバと、
    前記チャンバ内に基板を搬出入するための基板搬送手段とをさらに含み、
    前記スポットヒータは、前記チャンバ内において、前記基板搬送手段が前記基板保持回転手段との間で前記基板を受け渡すための受渡し位置よりも上方に配置されている、請求項2に記載の基板処理装置。
  4. 前記スポットヒータは、前記チャンバの隔壁に支持されている、請求項2または3に記載の基板処理装置。
  5. 前記第2の加熱手段は、前記基板の周縁部に沿う円弧状をなす円弧状ヒータを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
  6. 前記円弧状ヒータを移動するヒータ移動手段をさらに含む、請求項5に記載の基板処理装置。
  7. 前記円弧状ヒータは、
    半円環状をなし、前記基板の周縁部の半周を加熱する第1の半円環ヒータと、
    半円環状をなし、前記基板の周縁部の残りの半周を加熱する第2の半円環ヒータとを含む、請求項5または6に記載の基板処理装置。
  8. 前記第1の加熱手段による前記基板の表面の加熱と、前記第2の加熱手段による前記基板の表面の加熱とを並行して行う加熱制御手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  9. 前記加熱制御手段は、前記第1の加熱手段の出力開始と同期して前記第2の加熱手段の出力を開始させる、請求項8に記載の基板処理装置。
  10. 前記加熱制御手段は、前記第2の加熱手段の出力が前記第1の加熱手段よりも低くなるように制御する、請求項8または9に記載の基板処理装置。
  11. 前記加熱制御手段は、前記加熱領域の位置に基づいて、前記第2の加熱手段の出力を変更する出力変更制御手段をさらに含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
  12. 前記加熱領域移動手段が、前記加熱領域を、前記基板の表面周縁部を含む領域で移動させるものであり、
    前記出力変更制御手段は、前記加熱領域が前記表面周縁部に接近しまたは前記表面周縁部に位置するときの前記第2の加熱手段の出力をそれまでよりも低下させ、あるいは零にする、請求項11に記載の基板処理装置。
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