JP2015210118A - 磁気エンコーダの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定部材とプラスチック磁石との接着状態を良好に維持して高信頼性を確保しつつ、タクトタイムを短縮して生産効率を高めて生産コストの低減を図り、更には環境面でも良好な磁気エンコーダの製造方法を提供する。
【解決手段】磁気エンコーダの製造方法に使用する接着剤が、反応性ホットメルト接着剤であり、かつ、インサート成形時に、前記プラスチック磁石材料の溶融物により前記固定部材から流失しない硬化状態または固化状態で塗布されており、インサート成形完了後に、金型から前記固定部材ごと成形体を取り出し、前記反応性ホットメルト接着剤の接着反応を進行させ、前記磁石部と前記固定部材との接着結合を完結させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転体の回転速度の検出に用いられる磁気エンコーダの製造方法に関する。
従来、車輪用軸受に使用する磁気エンコーダには、ゴムに磁性粉を混入させた磁性ゴムを用いたゴム磁石エンコーダと、プラスチックに磁性粉を混入させたプラスチック磁石からなるプラスチック磁石エンコーダがあるが、両者を比較した場合、プラスチック磁石は、磁界をかけた状態での射出成形(磁場成形)が容易であり、これにより、同じ磁性粉配合量のゴム磁石を用いた場合と比べ、より高出力で、磁気特性に優れた磁気エンコーダを得ることが可能であるだけでなく、プラスチック磁石エンコーダは、耐環境信頼性(耐熱酸化性、耐水性、耐油,耐薬品性等)、及び耐摩耗性の面でも、ゴム磁石エンコーダより優れることが知られている。
上記理由から、更なる高出力(高磁力)、及びBRICS等を想定した過酷環境下での使用を前提とした要求に対しては、ゴム磁石エンコーダより、プラスチック磁石エンコーダの方が好適であり、今後、上記要求を足がかりに、プラスチック磁石エンコーダの市場は益々拡大していくものと予想される。
ところで、自動車の足回りのような、極めて過酷な環境下で使用される車輪用軸受向けに適用可能なプラスチック磁石エンコーダを開発する上での最大の技術課題の一つは、プラスチック磁石と金属製の固定部材との間に、如何にして高信頼性の接着を確立するかどうかである。
車両が寿命を全うする以前に、プラスチック磁石と固定部材間の接着力が消失し、固定部材からプラスチック磁石が脱落するなどということは、決してあってはならず、本出願人は先に特許文献1、2において、高信頼性の接着を実現したプラスチック磁石エンコーダを得るための製造方法として、予め接着剤を塗布した固定部材をコアとしたインサート成形法によって成形と接着を同時に行う(成形接着)方法を確立し、前記課題を克服している。
しかしながら、特許文献1、2に示された製造法によれば、確かに過酷環境下においても適用可能な高信頼性の接着を備えたプラスチック磁石エンコーダを得ることが可能であるが、同製造法は、予め接着剤を塗布した固定部材を金型にセットした後、高温、高圧のプラスチック磁石材料を所望の温度にコントロールした金型に注入し、更に、注入完了後にそのままの状態で一定時間保持し、金型内である程度のプラスチック磁石と接着剤との接着反応を進行させるという製造法である。そのため、金型内で接着反応を進行させるため、インサート成形体を金型内で一定時間保持するプロセスを含むため、タクトタイムの短縮に限界があった。
特許第4178412号公報 特許第4189696号公報
上記したように、特許文献1、2に係る製造法では、高品質の製品が得られるものの、生産の効率化、即ち、生産コスト低減の面で、改善の余地がある。
また、特許文献1、2に係る製造法で使用する接着剤は、同製造法を実現するための最良の接着剤であるが、一般的に取り扱いに注意を要し、環境への負荷が懸念される有機溶剤に希釈した状態で使用される。即ち、環境面への配慮から、より環境負荷の小さな接着剤への置き換え、という点も課題として捉えられていた。
そこで本発明は、固定部材とプラスチック磁石との接着状態を良好に維持して高信頼性を確保しつつ、タクトタイムを短縮して生産効率を高めて生産コストの低減を図り、更には環境面でも良好な磁気エンコーダの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するものであり、下記に示す磁気エンコーダの製造方法を提供する。
(1)回転体の回転速度を検出するための磁気エンコーダの製造方法であって、予め接着剤を塗布した固定部材をコアにして、ポリアミド系樹脂とフェライト系磁性粉とを含有するプラスチック磁石材料をインサート成形して前記固定部材と前記プラスチック磁石材料からなる磁石部とを一体化した後、前記磁石部を円周方向に多極磁化する磁気エンコーダの製造方法において、
前記接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、かつ、インサート成形時に、前記プラスチック磁石材料の溶融物により前記固定部材から流失しない硬化状態または固化状態で塗布されており、
インサート成形完了後に、金型から前記固定部材ごと成形体を取り出し、前記反応性ホットメルト接着剤の接着反応を進行させ、前記磁石部と前記固定部材との接着結合を完結させることを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。
(2)前記反応性ホットメルト接着剤が、シリコーン系反応性ホットメルト接着剤、ポリウレタン系反応性ホットメルト接着剤、ポリエステル系反応性ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系反応性ホットメルト接着剤の中から選ばれる一つであることを特徴とする上記(1)記載の磁気エンコーダの製造方法。
本発明に係る磁気エンコーダの製造方法は、反応性ホットメルト接着剤を用いてインサート成形を行うことにより、従来と同等の機能性、耐久性を確保しながら、従来を上回る高い生産性を実現する。また、有機溶剤を使用しないため、環境負荷も少ない。
磁気エンコーダを備える転がり軸受ユニットの一例を示す断面図である。 磁気エンコーダを備えたシール装置を示す断面図である。 磁極形成リングの一例を示す斜視図である。
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する、
図1は、磁気エンコーダの一例として、独立懸架式のサスペンションに支持する、非駆動輪を支持するための車輪支持用転がり軸受ユニット2aに組み込まれた状態を示す断面図である。
図示される転がり軸受ユニット2aにおいて、固定輪である外輪5aと、車輪(図示せず)を固定するための取付フランジ12と一体回転する回転輪(回転体)であるハブ7a及び内輪16aと、外輪5aとハブ7a及び内輪16との間で周方向に転動自在に配設された複数の転動体である玉17a,17aと、磁気エンコーダ26とを含む。
ハブ7aの内端部に形成した小径段部15に外嵌した内輪16aは、このハブ7aの内端部を径方向外方にかしめ広げる事により形成したかしめ部23によりその内端部を抑え付ける事で、ハブ7aに結合固定されている。また、車輪は、このハブ7aの外端部で、固定輪である外輪5aの外端部から突出した部分に形成した取付フランジ12に円周方向に所定間隔で植設されたスタッド8によって、結合固定自在としている。これに対して外輪5aは、その外周面に形成した結合フランジ11により、懸架装置を構成する、図示しないナックル等に結合固定自在としている。外輪5aとハブ7a及び内輪16aとの間には、保持器18によって案内される複数の玉17a,17aが周方向に転動自在に配置されている。
更に、外輪5aの両端部内周面と、ハブ7aの中間部外周面及び内輪16aの内端部外周面との間には、それぞれシールリング21a、21bが設けられる。これら各シールリング21a、21bは、外輪5aの内周面とハブ7a及び内輪16aの外周面との間で、各玉17a、17aを設けた空間と外部空間とを遮断している。
各シールリング21a、21bは、それぞれ軟鋼板を曲げ形成して、断面L字形で全体を円環状とした芯金24a、24bにより、弾性材22a、22bを補強してなる。この様な各シールリング21a、21bは、それぞれの芯金24a、24bを外輪5aの両端部に締り嵌めで内嵌し、それぞれの弾性材22a、22bが構成するシールリップの先端部を、ハブ7aの中間部外周面、或は内輪16aの内端部外周面に外嵌固定したスリンガ25に、それぞれの全周に亙り摺設させている。
また、図2に示すように、磁気エンコーダ26は、固定部材であるスリンガ25と、スリンガ25の側面に一体接合された磁石部である磁極形成リング27とで構成される。図3に示すように、磁極形成リング27は多極磁石であり、その周方向には、交互にN極とS極が形成されている。そして、この磁極形成リング27に磁気センサ28が対面配置される(図1参照。)。
また、磁気エンコーダ26の磁極形成リング27は、磁性粉とそのバインダーとなる樹脂組成物とからなる多極プラスチック磁石により構成される。そして、この磁気エンコーダ26は、後述するように、反応性ホットメルト接着剤を予め塗布したスリンガ25をコアにして、プラスチック磁石材料をインサート成形した後、硬化反応の更なる進行を実現し、両者間の接着を完結させた後、得られる接着接合物体を円周方向に多極磁化することで製造される。
プラスチック磁石は、磁性粉とバインダーとを主成分とする樹脂組成物からなる。バインダーの主成分としては、ポリアミド系樹脂、具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612などが使用可能である。駆動輪用のハブ軸受に搭載される場合には、基本的に外部環境に曝されることになり、融雪材として使用される塩化カルシウムが水と一緒にかかる可能性があるが、磁性粉の配合量を調整(増量)することにより、必要十分な耐久性が確保できるため、前記ポリアミド系樹脂の適用は全て問題とならない。ただし、前記ポリアミド系樹脂の中でも、所謂High Nylonであるポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、更には、ポリアミド410、アジピン酸ユニットにテレフタル酸を一部共重合させた半芳香族ポリアミドであるポリアミド6T/6−6、ポリアミド6T/6I、ポリアミド6T/6I/6−6、ポリアミド6T/M−5T、ポリアミド9Tなどを適用すれば、それらの吸水率は比較的小さく、従って、耐融雪材性が良好になるため、特に好ましい。
磁性粉としては、性能とコストのバランスから、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライト等のフェライト系を用いる。
プラスチック磁石における磁性粉の含有量は、40〜80体積%が好ましい。磁性粉の含有量が40体積%未満の場合は、磁気特性が劣ると共に、細かいピッチで円周方向に多極磁化させるのが困難になり、一方、80体積%を越える場合は、樹脂バインダー量が少なくなりすぎて、磁石全体の強度が低くなると同時に、成形が困難になり、実用性が低下する。
また、樹脂組成物には、目的に応じて種々の添加剤を添加することができる。例えば、磁気エンコーダが−40℃〜120℃の繰り返し冷熱衝撃が印加されるような状況下での信頼性をより確実なものとするために、バインダーの主成分であるポリアミド系樹脂に、衝撃強さ改良剤としての軟質成分を配合した複合材料にすることもできる。バインダーの主成分であるポリアミド系樹脂は一般に、タフネスに劣る脆性的な材料とは捉えられないが、上記したような過酷な温度環境下での信頼性をより確実なものとするには、ポリアミド系樹脂が本来有する柔軟性(タフさ)では必ずしも十分とはいえない。更なる高信頼性の確保には、柔軟性、特に低温での柔軟性(もしくは低温耐衝撃性)の改良が不可欠であり、従って、本発明の目的達成のためには、低温(−40℃)での衝撃強さ改良剤としての軟質成分の配合が極めて重要となるのである。
軟質成分としては、その分子構造中にガラス転移温度が少なくとも−40℃以下である軟質セグメントを含む熱可塑性エラストマーを用いることができる。利用可能な熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、塩化ビニル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリオレフィン系及びシリコーン系があるが、エンコーダの要求性能や使用環境を考慮すると、より好適なのは、ポリエステル系及びポリアミド系といったエンプラ系の熱可塑性エラストマーであり、そして、これらの熱可塑性エラストマーの軟質セグメントが、ガラス転移温度−40℃以下のものであれば良いのである。
尚、該軟質セグメントは、ガラス転移温度が−40℃以下のものであれば良く、その他の性質等によっては特に限定されない。そのような軟質セグメントの候補としては、ポリエステル、ポリエーテル、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、及びポリカプロラクタム等が考えられ、選択肢が多い。ただし、市場からの入手し易さという点を考慮すると、ポリエステル、あるいはポリエーテルを軟質セグメントに有する熱可塑性エラストマーを選択するのが現状として最適であろう。特に、耐加水分解性を考慮すると後者のポリエーテルセグメントを含むものの方がより好適であるとすることができる。また、ポリエーテルセグメントの具体例としては、ポリテトラメチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、あるいは、これらの共重合体等を挙げることができる。
また、軟質成分として、動的架橋型熱可塑性エラストマーを用いても良い。動的架橋型熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂とゴムからなるポリマーアロイであり、従来の熱可塑性エラストマーの欠点であった耐油性や耐熱性を向上させるといった特長がある。動的架橋型熱可塑性エラストマーは、熱可塑性樹脂とゴムを任意に組み合わせて材料設計できるため、様々な組合せが検討されている。つまり、ポリオレフィン系、スチレン系、ポリアミド系などが上市されており、例えば、スチレン系動的架橋型エラストマーとポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマーを相溶化させたリケンテクノス(株)製のハイパーアロイアクティマーやMultibase社より上市されているポリアミド樹脂とシリコンゴムからなる動的架橋型熱可塑性エラストマーなどを特に好適に使用することができる。
尚、軟質成分の配合量は、樹脂組成物全量に対して5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。5質量%未満では絶対量が少なすぎて、所望の低温柔軟性を付与することができない。また、50質量%を超えた場合は、特に耐熱性が不十分となり、磁気エンコーダの磁石材料としての用途に適さない。
その他にも、樹脂組成物には、熱安定剤(耐熱加工安定剤、酸化防止剤)、光安定剤、帯電防止材、可塑剤、無機あるいは有機難燃剤、補強材等を必要に応じて適宜添加してもよい。
特に、使用環境を考慮すると、熱安定剤の添加は好ましく、好適に添加されるものとしては、アミン系酸化防止剤として、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンポリマーに代表されるアミン・ケトン系、p,p´−ジクミルジフェニルアミンに代表されるジアリルアミン系、及びN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンに代表されるp−フェニレンジアミン系、といったものがあり、フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールに代表されるモノフェノール系、及び2,2´−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)に代表されるポリフェノール系のものがある。また一方で、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンといったハイドロキノン系のものを用いることもできる。
更に、樹脂組成物には、上記アミン系、フェノール系及びハイドロキノン系の酸化防止剤と共に、過酸化物分解型酸化防止剤(二次酸化防止剤)を併用して用いても良い。二次酸化防止剤としては、2−メルカプトベンズイミダゾールのような硫黄系二次酸化防止剤やトリス(ノニル化フェニル)フォスファイトのようなリン系二次酸化防止剤を用いることができる。
尚、熱安定剤の配合量は、バインダー樹脂に対して0.1〜3質量%程度が好ましいが、種類によっては、ブルームしない、あるいは樹脂の物性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ以上の量を使用しても良い。
上記成分を含有する磁性粉含有樹脂組成物をペレット化して、インサート成形に供されるプラスチック磁石材料が得られる。その際、2軸押し出し機、ニーダー又はバンバリーミキサー等を用い、バインダー樹脂、軟質成分、各種添加剤を混練して樹脂組成物とし、この樹脂組成物を押出してペレット化する。尚、混練は、160℃〜280℃の温度で、1分間〜20分間が適当てある。次いで、同様の混練機を用い、樹脂組成物ペレットと、磁性粉とを混練した後、押し出して磁性粉含有樹脂組成物をペレット化する。尚、このときの混練も、160℃〜280℃の温度で、1分間〜20分間が適当てある。
上記したように、特許文献1、2のような製造方法では、性能と耐久性に優れ、過酷な自動車の足回り環境下においても適用可能な高信頼性のプラスチック磁石エンコーダを得ることができるが、予め接着剤を塗布した固定部材(スリンガ25)を金型にセットした後、プラスチック磁石材料の射出成形を行い、更に、射出完了後、そのままの状態で一定時間保持し、金型内である程度プラスチック磁石と接着剤との接着反応を進行させるため、タクトタイムの短縮に限界がある。
上記課題を受けて、発明者らは、従来品と同等以上の高信頼性と従来品を遥かに凌ぐ低コスト化を実現するプラスチック磁石エンコーダの新たな製造方法を確立すべく、鋭意研究を重ねた結果、従来の製造法におけるインサート成形体を金型内で一定時間保持するプロセスをキャンセルできる接着剤として反応性ホットメルト接着剤を用いるとともに、反応性ホットメルト接着剤をスリンガに適正に塗布し、即ち塗膜状態としてインサート成形時には流動しないレベルの硬化または固化状態とし、インサート成形完了後に、接着剤の接着反応を進行させて完結させ、完全硬化または固化状態を実現させることを見出し、本発明を完成した。
尚、接着が完結するとは、磁気エンコーダが、実使用環境下において十分な信頼性を確保できるような磁極形成リング27の接着強度、接着耐久性を実現した状態である。
反応性ホットメルト接着剤は、通常の(反応性を持たない)ホットメルト接着剤が、それ自身が熱可塑性材料であるが故に抱えていた、「耐熱性に本質的な限界を持つ」という問題に対応すべく開発された接着剤である。また、反応性ホットメルト接着剤は、基本的に、通常のホットメルトのシステムによって溶融塗布した後、なんらかの化学反応、具体的には、熱硬化、酸化硬化、放射線硬化、あるいは、湿気硬化反応により架橋構造を形成して耐熱性を大幅に向上させることができる。
本発明では、接着剤としてこの反応性ホットメルト接着剤を用いる。反応性ホットメルト接着剤としては、シリコーン系反応性ホットメルト接着剤、ポリウレタン系反応性ホットメルト接着剤、ポリエステル系反応性ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系反応性ホットメルト接着剤及びフェノール樹脂系反応性ホットメルト接着剤等が挙げられ、本発明においては、前記いずれも好適に適用することが可能である。
また、反応性ホットメルト接着剤は無溶剤の接着剤であり、有機溶剤を使用することがなく、環境面からも好適である。
反応性ホットメルト接着剤のスリンガ25への塗布方法としては、ノズルの吐出口から接着剤を押出し、スリンガ25の磁石接合面に直接塗布すればよい。また、反応性ホットメルト接着剤は、インサート成形中に磁性粉含有樹脂組成物の溶融物によりスリンガ25から流失しない程度の粘性を有するものが多く、塗布後に特別な処理を施すことなく、そのままの状態でインサート成形に使用することができるが、塗布後に加熱等により半硬化または半固化状態とすることもできる。
また、スリンガ25の接着表面は、プラスチック磁石との接着をより強固なものとするため、ショットブラストなどの機械的処理や化学エッチング法などにより面粗化されていることが好ましい。
そして、接着を完了した後、金型からスリンガ25ごと取り出し、熱硬化等の上記方法により反応性ホットメルト接着剤の接着反応を進行させて、スリンガ25と磁極形成リング27との接着結合を完結させる。
尚、インサート成形において、ディスクゲート方式の射出成形機を用いることが好ましい。溶融した磁性材料はディスク状に広がってから、内径厚み部にあたる部分の金型に流入することで、中に含有する燐片状の磁性体粉が面に対して平行に配向する。特に、内径厚み部近傍の、回転センサが検出する内径部と外径部との間の部分はより配向性が高く、厚さ方向に配向されたアキシアル異方性に非常に近くなっている。
そして、接着完了後、ヨークコイルを用いて磁極形成リング27を多極磁化して磁気エンコーダを得る。極数は70〜130極程度、好ましくは90〜120極である。極数が70極未満の場合は、極数が少なすぎて回転数を精度良く検出することが難しくなる。それに対して、極数が130極を越える場合は、各ピッチが小さくなりすぎて、単一ピッチ誤差を小さく抑えることが難しく、実用性が低い。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれによって何ら制限されるものはない。
〔実施例1〜4、比較例1〕
(試験体の作製)
先ず、2軸押し出し機に、ポリアミド12、軟質成分(ポリアミド系熱可塑性エラストマー)を樹脂組成物の全量の30質量%、熱安定剤(N,N´−ジフェニル‐p−フェニレンジアミン)を0.5質量%となるように投入して混練して樹脂組成物を得た。混練は、250℃で5分間行った。その後、樹脂組成物を通例の方法によりペレット化した。
次いで、樹脂組成物のペレットにフェライト磁性粉を投入し、2軸押し出し機を用いて250℃で10分間混練した後、押し出した。尚、磁性粉はプラスチック磁石材料の60体積%とした。そして、この押し出した磁性粉含有樹脂組成物をペレット化した。
また、断面L字状のステンレス鋼製スリンガ(図2参照)を用意し、接着面をショットブラストにより粗面化した。
そして、上記のスリンガの接着面に表1に示す接着剤を塗布し、射出成形機の金型にセットし、上記の磁性粉含有樹脂組成物のペレットを用いてインサート成形した。尚、接着剤は十分な粘性を有しており、成形時に磁性粉含有樹脂組成物の溶融物によりスリンガから流失する心配はないことを確認してある。次いで、インサート成形完了後に金型からスリンガごと取り出し、実施例については接着剤の接着反応を進行させて接着を完結させた。次いで、接着後の成形品を、ヨークコイルを用いて多極に着磁して磁気エンコーダ試験体を作製した。
(耐熱衝撃性試験)
実施例及び比較例の磁気エンコーダ試験体について、繰り返し熱衝撃試験を実施した。試験条件は、(120℃で30分)保持と(−40℃で30分)保持を1サイクルとし、1000サイクル行った。そして、1000サイクル後に、外観を目視評価するとともに、剥がれ試験(プラスチック磁石部の強制剥がし試験)後の破損状態を評価した。結果を表1に併記するが、外観評価では、割れ、欠け、クラック及び製品形状に変化が無い場合に良好として表中に「〇」を記し、割れ等がある場合に不良として表中に「×」を記した。また、剥がれ試験では、試験後の破断面が母材破断、即ち、接着剤層やプラスチック磁石と接着剤間、及びスリンガと接着剤間で破壊するのではなく、プラスチック磁石部で破壊が生じているときに接着強度に優れ、合格と判定して表中に「〇」を記し、破壊しない場合を接着不良と判断して表中に「×」を記した。
Figure 2015210118
表1から明らかなように、本発明に従い反応性ホットメルト接着剤を用いた実施例では、高信頼性の接着が実現されていることから上記判定基準を満足し、合格の結果が得られた。一方、比較例1の反応性を持たず、且つ、融点が120℃より低温側に存在するホットメルト接着剤(T&K TOKA(株)製ポリアミド系ホットメルト接着剤「トーマイド#394」)では、高温時に接着剤が軟化してしまう影響で、スリンガからプラスチック磁石が移動(形状変化有り)し、更に、その影響から剥がれ試験では母材で破断するという結果が得られず、不合格であった。
2a ハブユニット軸受(軸受)
5a 外輪(固定輪)
7a ハブ(回転輪)
11 結合フランジ
12 取付フランジ
16a 内輪(回転輪)
17a 玉(転動体)
21a,21b シールリング
22a,22b 弾性材
24a,24b 芯金
25 スリンガ(固定部材)
26 磁気エンコーダ
27 磁極形成リング(磁石部)
28 センサ

Claims (2)

  1. 回転体の回転速度を検出するための磁気エンコーダの製造方法であって、予め接着剤を塗布した固定部材をコアにして、ポリアミド系樹脂とフェライト系磁性粉とを含有するプラスチック磁石材料をインサート成形して前記固定部材と前記プラスチック磁石材料からなる磁石部とを一体化した後、前記磁石部を円周方向に多極磁化する磁気エンコーダの製造方法において、
    前記接着剤は、反応性ホットメルト接着剤であり、かつ、インサート成形時に、前記プラスチック磁石材料の溶融物により前記固定部材から流失しない硬化状態または固化状態で塗布されており、
    インサート成形完了後に、金型から前記固定部材ごと成形体を取り出し、前記反応性ホットメルト接着剤の接着反応を進行させ、前記磁石部と前記固定部材との接着結合を完結させることを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。
  2. 前記反応性ホットメルト接着剤が、シリコーン系反応性ホットメルト接着剤、ポリウレタン系反応性ホットメルト接着剤、ポリエステル系反応性ホットメルト接着剤、エポキシ樹脂系反応性ホットメルト接着剤、フェノール樹脂系反応性ホットメルト接着剤の中から選ばれる一つであることを特徴とする請求項1記載の磁気エンコーダの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022176861A1 (ja) * 2021-02-18 2022-08-25 パナソニックIpマネジメント株式会社 磁気スケール、磁気スケールシステム、磁気スケールの製造方法及び磁気スケールシステムの製造方法

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WO2022176861A1 (ja) * 2021-02-18 2022-08-25 パナソニックIpマネジメント株式会社 磁気スケール、磁気スケールシステム、磁気スケールの製造方法及び磁気スケールシステムの製造方法

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