JP2015208735A - 排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 設置スペース及び運転動力が小さく、効率的に排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去し、排水の処理負担を軽減可能な排ガスの処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】 排ガスの処理装置は、アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、排ガスを海水と接触させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理槽と、第1処理槽から排出される排ガスを、電解槽で生成した海水アノード液と接触させて排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理槽と、第2処理槽において吸収された窒素酸化物から生成する硝酸成分を窒素に還元する変換手段と、 第1処理槽から排出される排ガスを塩基性水性液と接触させて二酸化炭素を吸収させる第3処理槽とを有する。硝酸成分を窒素に還元する変換手段として、カソード槽を利用する。
【選択図】 図2
【解決手段】 排ガスの処理装置は、アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、排ガスを海水と接触させて排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理槽と、第1処理槽から排出される排ガスを、電解槽で生成した海水アノード液と接触させて排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理槽と、第2処理槽において吸収された窒素酸化物から生成する硝酸成分を窒素に還元する変換手段と、 第1処理槽から排出される排ガスを塩基性水性液と接触させて二酸化炭素を吸収させる第3処理槽とを有する。硝酸成分を窒素に還元する変換手段として、カソード槽を利用する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ディーゼルエンジンなどの動力源によって排出される排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去するための排ガスの処理方法及び処理装置に関する。
船舶や車輌に動力源として用いられているディーゼルエンジンは、スモッグや酸性雨等の原因となる窒素酸化物及び硫黄酸化物を排出する。特に船舶用のディーゼルエンジンは、排気量が極めて大きいため、対策を施すことが急務となっている。このため、現状においては、排ガスに含まれる窒素酸化物を低減するために選択還元脱硝法(Selective Catalytic Reduction)を適用したり、硫黄酸化物を低減するために海水スクラバーを用いたりしている。
具体的には、下記特許文献1では、ハニカム型触媒を用いて窒素酸化物を含む排ガスを処理する排ガス処理方法及び船舶用排ガス処理触媒が記載されている。又、下記特許文献2では、海水によるスクラバー処理による排ガス中の酸性成分の除去方法を、下記特許文献3では、溢流壁及び処理液貯溜部を備えたスプレー塔において、塩水を電気分解した処理液を用いて排ガスを処理する排ガス浄化装置を記載している。
液相中の硝酸塩を還元する装置としては、例えば、下記特許文献4に記載されるバッチ式の水処理装置がある。
排ガスに含まれる窒素酸化物及び硫黄酸化物を低減するには、各々を処理するための個別の設備が必要となるので、設備の設置スペースや運転動力が問題となる。また、特許文献3の排ガス浄化装置では、電解処理した海水を利用した湿式排ガス処理技術によって窒素酸化物の低減が可能であるが、吸収された窒素酸化物は硝酸塩として排出されるため、排水として廃棄する際に、周囲への影響を軽減するための中和処理の負担が非常に大きくなる。特許文献4の水処理装置は、連続的なガス洗浄と組み合わせるには不向きであり、設備の設置スペースや運転動力の節減も難しい。
更に、温室効果ガス削減の観点から、船舶における二酸化炭素の排出抑制に対する要求も強まりつつあり、船舶の水に対する抵抗及びエンジンの燃費を低減する試みがなされているが、小規模の処理装置によって排ガスから二酸化炭素をも十分に除去することは容易ではない。
本発明の課題は、上述の問題を解決し、設備の設置スペース及び運転動力が小さく、効率的に排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去でき、且つ、二酸化炭素の除去にも有効であり、処理後の排水の処理・廃棄における負担が軽減される排ガスの処理装置を提供することである。
又、本発明の課題は、船舶用ディーゼルエンジン等の動力源から排出される排ガスに適用可能で、省スペースで効率的に排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去でき、且つ、二酸化炭素も効率的に除去でき、処理後の排水を廃棄する際の負担が軽減される排ガスの処理方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、海水の電解処理液を用いて排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する際に、気液接触処理の形態を工夫することによって二酸化炭素の除去効率を向上可能であり、処理排水も支障なく廃棄できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一態様によれば、排ガスの処理方法は、海水を電解する電解工程と、排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理工程と、前記第1処理工程を経た排ガスを、前記電解工程で生成される海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理工程と、前記第2処理工程において吸収された窒素酸化物から海水アノード液に生成する硝酸成分を窒素に還元する変換工程と、前記第1処理工程を経た排ガスを塩基性水性液と接触させる第3処理工程とを有することを要旨とする。
上記第1処理工程において、排ガスから硫黄酸化物が実質的に除去され、それにより、前記第3処理工程における前記塩基性水性液と前記第1処理工程を経た排ガスとの接触において、前記塩基性水性液の硫黄酸化物に起因するpHの低下が抑制されて、前記排ガスに含まれる二酸化炭素の前記塩基性水性液による吸収が進行する。上記第3処理工程における前記塩基性水性液として、前記電解工程において生成する海水カソード液、及び、海水のうちの少なくとも1種を使用可能である。上記第3処理工程は、前記第1処理工程と前記第2処理工程との間、或いは、前記第2処理工程の後に行うとよい。上記変換工程において、前記硝酸成分は、次亜塩素酸成分の存在下で電解還元され、前記次亜塩素酸成分は、海水の電解によって供給される。
又、本発明の一態様によれば、排ガスの処理装置は、アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理槽塔と、前記第1処理槽から排出される排ガスを、前記電解槽で生成した海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を前記海水アノード液に吸収させる第2処理槽と、前記第2処理槽において吸収された窒素酸化物から前記海水アノード液において生成する硝酸成分を窒素に還元するための変換手段と、前記第1処理槽から排出される排ガスを、塩基性水性液と接触させる第3処理槽とを有することを要旨とする。
上記排ガスの処理装置は、更に、前記第1処理槽において排ガスから硫黄酸化物が実質的に除去される液ガス比になるように前記第1処理槽への前記海水の供給を制御する制御手段を有するとよく、前記制御によって、前記第3処理槽における前記塩基性水性液と前記第1処理槽を経た排ガスとの接触において、前記塩基性水性液の硫黄酸化物に起因するpHの低下が抑制されて、前記排ガスに含まれる二酸化炭素の前記塩基性水性液による吸収が進行する。
本発明によれば、船舶用ディーゼルエンジン等の排ガスの処理に海水を用いて、排ガスから窒素酸化物及び硫黄酸化物を除去する処理を効率的に少ないスペースで行うことができる排ガスの処理方法及び処理装置が提供され、小型の処理装置で二酸化炭素を効率的に除去可能であり、処理後の排水を廃棄する際の処理負担が軽減されるので、大気汚染及び海洋汚染の防止に寄与する。
エンジン等から排出される排ガスには、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素及び粉塵等の微粒子が含まれ、排ガス中に含まれる硫黄酸化物及び二酸化炭素は水に可溶であり、水洗によって排ガスから除去することができる。一方、窒素酸化物は水に溶解し難いが、海水を電解したアノード液を処理液として用いると、吸収可能となる。これは、電解によってアノード液中に生じる塩素及び次亜塩素酸に窒素酸化物が反応することによる。この結果、処理後の排水には硝酸が含まれるので、廃棄するには更に中和するなどの処置が必要となる。この点に関し、出願人は、先の出願(特願2011−140527号)において、硝酸を更にカソード槽において電解処理することによって窒素ガスに変換して放出可能な排ガスの処理方法を提案している。この処理方法は、排ガスを海水と気液接触させる第1処理工程と、それに続いて排ガスを海水アノード液と気液接触させる第2処理工程とを有し、第1処理工程においては、排ガスの硫黄酸化物及び二酸化炭素を除去し、第2処理工程においては窒素酸化物を除去するように構成される。この処理方法では、窒素酸化物から窒素への変換を良好に進めることができ、硫黄酸化物も効率よく除去できる。しかし、硫黄酸化物と共に二酸化炭素も除去可能とする第1処理工程においては、実際には、二酸化炭素は予想外に吸収され難く、気液接触させる海水の割合を著しく増加させなければ二酸化炭素を満足に除去できないことが判明した。これは、二酸化炭素の気液接触による吸収がpHに依存し、共存する硫黄酸化物の吸収によって海水のpHが急激に低下するために二酸化炭素の吸収が抑制されることに起因する。つまり、排ガスの二酸化炭素を海水に吸収させるには、硫黄酸化物を吸収しても海水のpHが高く維持されることが必要であり、これを実現するには、供給する海水のpHをより高くして硫黄酸化物を吸収しても海水が塩基性を示すようにするか、或いは、硫黄酸化物の吸収によるpH低下の影響が実質的に小さくなるように液ガス比(気液接触するガスの流量に対する液体の流量の割合)を極端に高くして大量の海水と気液接触させることが必要である。しかし、pHを高めるには薬剤の使用によるコストが問題となり、液ガス比を高めると処理装置の規模等が大きくなるために船舶等への搭載に支障が生じるので、何れも実用に適した方法ではない。
本発明では、排ガスの二酸化炭素についても海水を用いて効率的に除去するための改良として、第1処理工程とは別に、排ガスを塩基性水性液に気液接触させる第3処理工程を設けて、第1処理工程を経た後の排ガスに第3処理工程を施すことによって、排ガスに残留する二酸化炭素を吸収・除去する。つまり、本発明の処理方法は、海水と排ガスとの気液接触により排ガスから硫黄酸化物を除去する第1処理工程と、海水アノード液と排ガスとの気液接触により排ガスから窒素酸化物を除去する第2処理工程と、第1処理工程を経た排ガスと塩基性水性液との気液接触により排ガスから二酸化炭素を除去する第3処理工程とを有し、第2処理工程で使用する海水アノード液は、海水の電解によって調製され、海水アノード液に吸収された窒素酸化物は、カソード電極による電解還元を経て硝酸成分から窒素へ変換される(変換工程)。第3処理工程の実施は、第1処理工程と第2処理工程の間であっても、第2処理工程の後であってもよい。以下に、本発明について詳細に説明する。
図1は、気液平衡値及び文献参照による物性データ等を利用して、水におけるpHと二酸化炭素吸収量との関係を作成した結果を示すグラフである。グラフから明らかなように、気液接触による二酸化炭素の除去効率は、使用する水のpHによって大きく変動し、pHが7程度以下においては二酸化炭素を吸収し難いことが判る。従って、排ガスから二酸化炭素を効率的に除去するには、接触する水性液のpHが少なくとも7を超える必要があり、pH8程度以上であることが好ましい。通常、海水のpHは、8.0〜8.2程度であるので、海水は、気液接触による二酸化炭素の除去に好適に使用可能である。又、電解槽のカソード槽において電気分解される海水カソード液も、電解によりpHが上昇して塩基性が高まるので、二酸化炭素の除去に好適に使用できる。従って、本発明の第3処理工程で使用する塩基性水性液として、海水及び海水カソード液から適宜選択して第3処理工程において使用することができ、これにより、硫黄酸化物を除去した後の排ガスから二酸化炭素を効率的に除去することができる。勿論、各種アルカリ製剤を用いて調製される塩基性水溶液の利用を排除するものではない。
排ガスからの二酸化炭素の除去に関して留意すべき点は、二酸化炭素を一旦吸収した水性液のpHがその後に低下すると、水性液から二酸化炭素が放出される点である。例えば、二酸化炭素を吸収した水性液に硫黄酸化物ガスが接触すると、硫黄酸化物の吸収によって水性液のpHが低下し、平衡反応によって二酸化炭素が放出される。これは、海水を利用して吸収した二酸化炭素が海水に含まれるカルシウムと塩を形成・析出した場合でも同じであり、カルシウム塩は、硫黄酸化物等の吸収によってpHが低下した海水に再溶解して二酸化炭素を放出する。従って、第3処理工程後の水性液を、その塩基性を利用する目的で第1処理工程において使用すると、水性液から二酸化炭素が放出される。故に、第3処理工程を経た水性液は、排ガス等の酸性物質を含むガスとの接触を避ける必要があり、本発明における第1処理工程と第3処理工程とは、互いに分離・区画された処理槽において個別に行われ、第3処理工程後の水性液と第1処理工程の排ガスとの接触は防止されるように構成される。
又、第3処理工程において水性液による二酸化炭素の吸収が進行するには、第1処理工程において排ガスから硫黄酸化物が完全に除去されることが理想的であり、実用的には、第1処理工程を経て第3処理工程に供給される排ガスに残留し得る硫黄酸化物の量が、第3処理工程における水性液のpHを7以下に低下させる最小量より少なくなっていることが重要である。従って、第1処理工程における気液接触条件を適正に設定するために、第1処理工程を経た排ガス中の硫黄酸化物量を検知し、必要に応じて第1処理工程の気液接触条件を好適化するとよい。具体的には、第1処理工程に供給する海水及び/又は排ガスの流量を制御して、第1処理工程を経た排ガスの硫黄酸化物濃度が適正レベル以下に低下する液ガス比に調節する。実用的には、供給される水性液の液滴径や処理槽の横幅等の装置条件によって吸収性能が変動するので、使用する装置に基づいて試行することによって液ガス比を設定すると良い。第1処理工程における液ガス比の調節によって排ガスから硫黄酸化物が実質的に除去されれば、第3処理工程における水性液のpH低下は抑えられて、液ガス比に応じた二酸化炭素の吸収が図1のように進行する。
以下に、第1〜第3処理工程の各工程及び電気分解において進行する反応について説明する。
海水等を含む水性液は、排ガスに含まれる窒素酸化物はほとんど吸収しないが、硫黄酸化物及び二酸化炭素は吸収し得るので、第1処理工程として、排ガスを海水と接触させることにより、排ガスに含まれる硫黄酸化物が海水に吸収されて排ガスから除去される。排ガスに含まれる微粒子もこの時除去される。第1処理工程を施した後の海水は、硫酸イオン、亜硫酸イオンを含み、pH5〜6程度の酸性液となる。液ガス比を極端に高くして処理後の海水のpHが7以上を維持するように調節すれば、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを吸収し得るが、二酸化炭素は別途第3処理工程において除去するので、第1処理工程においては硫黄酸化物を好適に除去できる条件として設定すれば良い。
海水等を含む水性液は、排ガスに含まれる窒素酸化物はほとんど吸収しないが、硫黄酸化物及び二酸化炭素は吸収し得るので、第1処理工程として、排ガスを海水と接触させることにより、排ガスに含まれる硫黄酸化物が海水に吸収されて排ガスから除去される。排ガスに含まれる微粒子もこの時除去される。第1処理工程を施した後の海水は、硫酸イオン、亜硫酸イオンを含み、pH5〜6程度の酸性液となる。液ガス比を極端に高くして処理後の海水のpHが7以上を維持するように調節すれば、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを吸収し得るが、二酸化炭素は別途第3処理工程において除去するので、第1処理工程においては硫黄酸化物を好適に除去できる条件として設定すれば良い。
第2処理工程では、第1処理工程を経た排ガスから窒素酸化物を除去する。海水の電解によって生成する海水アノード液に排ガスを接触させて、排ガスから窒素酸化物を海水アノード液に吸収させて除去する。第2処理工程は、後述の第3処理工程を行った後に実施しても良い。
海水の電解工程では、隔膜によって分画された電解槽中で対の電極を用いて海水を電気分解し、正極側のアノード槽では、下記式の反応に従って、正極表面で塩素ガス又は酸素ガスが生成し、生成したガスの一部が海水に溶解して、溶存塩素の一部は次亜塩素酸イオンとなる。この電解によって海水アノード液は、pH2〜4程度の酸性液となる。
2Cl- → Cl2 + 2e-
Cl2 + H2O → 2H+ + Cl- + ClO-
2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
Cl2 + H2O → 2H+ + Cl- + ClO-
2H2O → O2 + 4H+ + 4e-
上記のような海水アノード液が第2処理工程において排ガスと接触すると、排ガスに含まれる窒素酸化物は、下記式のように海水アノード液に含まれる塩素と反応して塩化ニトロシル(NOCl)に変換されて海水アノード液に溶解され、亜硝酸イオンに変換される。亜硝酸イオンは、海水アノード液に含まれる次亜塩素酸イオンと反応すると硝酸イオンに酸化されるので、排ガスと接触した後の海水アノード液には、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び塩素イオンが含まれる。
2NO + Cl2 → 2NOCl
NOCl + H2O → NO2 - + 2H+ + Cl-
NO2 - + ClO- → Cl- + NO3 -
NOCl + H2O → NO2 - + 2H+ + Cl-
NO2 - + ClO- → Cl- + NO3 -
第2処理工程後の海水アノード液を電解槽のアノード槽に供給して海水アノード液を循環させることによって、第2処理工程が繰り返されて窒素酸化物の吸収、亜硝酸イオン及び硝酸イオンの生成が更に進行するが、亜硝酸イオンは、次亜塩素酸によって硝酸に酸化されるので、海水アノード液の亜硝酸イオンは減少して硝酸イオンが増加する。
海水アノード液の一部を電解槽のカソード槽へ供給すると、下記式に示すように、硝酸イオンは、負極上での電解還元を経て、還元生成物と次亜塩素酸との反応によって窒素ガスに変換される。この反応は、カソード槽の電極材料として、例えば硝酸イオンの電解還元に活性を有する真鍮や高力黄銅等を用いた時に顕著になり、硝酸イオンの還元によってアンモニアが生成する。アンモニアは海水中でアンモニウムイオンとして存在し、海水アノード液に含まれる次亜塩素酸イオンと反応して窒素に還元される。亜硝酸イオンも電解還元を経て窒素ガスに変換される。電解によって海水カソード液のpHは上昇する。
NO3 - + 6H2O + 8e- → NH3 + 9OH-
NH3 + H2O → NH4 + + OH-
2NH4 + + 3HClO → N2↑ + 5H+ + 3Cl- + 3H2O
2H2O + 2e- → H2↑ + 2OH-
NH3 + H2O → NH4 + + OH-
2NH4 + + 3HClO → N2↑ + 5H+ + 3Cl- + 3H2O
2H2O + 2e- → H2↑ + 2OH-
上述の処理において、カソード槽における硝酸イオンの電解還元反応は、pH5〜9程度において反応効率が高く、硝酸イオンの過剰供給や水素発生、過度の電解などによって上記範囲からpHが外れると、還元反応が進行し難くなる。従って、反応を良好に進行させるには、海水カソード液のpHが上記範囲になるように調整することが好ましい。又、カソード槽における硝酸イオンの反応には次亜塩素酸が必要であるので、上述のpH調整及び次亜塩素酸の供給を行う手段として、海水アノード液の利用は都合がよい。つまり、第2処理工程後の海水アノード液を、アノード槽との循環を経てカソード槽に供給することによって、排ガスの窒素酸化物由来の成分濃度を増加させてカソード槽に供給できるだけでなく、酸性の海水アノード液によってカソード槽のpHを適正範囲に調整し、次亜塩素酸をカソード槽に供給することができる。
海水カソード液は、上記反応によって硝酸イオンが窒素ガスに変換されるとpH10程度の塩基性になる。これは、第1処理工程後の海水と併せることによって中和することができる。又、第1処理工程後の海水に含まれる亜硫酸イオンは、下記式のように、海水カソード液に残留する次亜塩素酸成分の存在下で硫酸イオンに酸化される。このようにして、処理後の海水及び海水カソード液を混合してpH7〜8程度に調整すると、海洋に廃棄することができる。
SO3 2- + ClO- → SO4 2- + Cl-
SO3 2- + ClO- → SO4 2- + Cl-
第1処理工程を経た排ガスは、第2処理工程の前又は後に、第3処理工程に供給される。第3処理工程において、排ガスを塩基性水性液と気液接触させることによって、排ガス中の二酸化炭素が水性液に吸収される。塩基性水性液として、海水及び/又は海水カソード液を好適に利用でき、電解槽の安定性等を勘案して適宜これらを混合して用いても良い。第1処理工程によって排ガスから十分に硫黄酸化物が除去されているので、第3処理工程の塩基性水性液は、排ガスとの接触において硫黄酸化物に起因する急激なpH低下は起こさず、排ガス中の二酸化炭素を容易に吸収する。排ガスの二酸化炭素が好適に除去されると、第3処理工程後の水性液は、炭酸イオン及び炭酸水素イオンを含む。炭酸水素イオンの一部は、海水に含まれるカルシウムイオンと反応し、カルシウム塩として固定化される。
CO2 + OH- → HCO3 -
2HCO3 - + Ca2+ → CaCO3 + H2O + CO2
2HCO3 - + Ca2+ → CaCO3 + H2O + CO2
図1から解るように、第3処理工程における液ガス比によって、水性液の二酸化炭素吸収量は変動するので、第3処理工程における液ガス比を調節することによって、排ガスの二酸化炭素除去率は所望のレベルに調整することができる。又、二酸化炭素の吸収によって水性液のpHが低下するので、第3処理工程後の水性液のpHが7〜8程度になるように二酸化炭素の吸収を調節すると、第3処理工程後の水性液は、そのまま海洋へ廃棄することが可能である。
排ガスに含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度に応じて、第1処理工程〜第3処理工程へ供給する海水、海水アノード液及び塩基性水性液の流量を調節すると、各工程において排ガスを十分且つ効率的に浄化することができる。この際、アノード槽への海水の供給速度と、アノード槽からカソード槽への海水アノード液の供給速度とが等しくなるように、又、カソード槽の海水カソード液を排出する流量もこれらと同等になるように、これらの流量を調節することによって、上述の処理を安定的に継続させることができる。
上述のような排ガスの処理方法を好適に実施可能な排ガスの処理装置の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。尚、図において破線で記載する接続は電気的接続を示す。
図2は、本発明に係る排ガスの処理装置の一実施形態を示し、第3処理工程は、第1処理工程と第2処理工程との間に行うように構成される。排ガスの処理装置1は、排ガスを処理する縦型の処理塔2と、海水を電気分解するための2槽式の電解槽3とを有し、処理塔2の内部は、2つの区画壁によって鉛直方向に並ぶ3つの槽に区分されて個々に分断され、第1処理槽4と第2処理槽5との間に第3処理槽6が位置するように構成される。電解槽3は、直流電源7の正極側に接続されるアノード側の電極8と、直流電源7の負極側に接続されるカソード側の電極9とを有し、電極間を区画する隔膜10によってアノード槽11とカソード槽12とに分割されている。電極を構成する素材は、アノード側については、白金被膜チタン等の一般的に電極として利用可能な導電性材料が挙げられ、カソード側については、硝酸イオンの電解還元に活性を有する導電性材料が使用され、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、タングステン、モリブデン、クロム、白金、錫、アルミニウム、亜鉛、カドミウム等の一種又は複数の金属を用いた材料や、真鍮、高力黄銅等の合金が挙げられる。隔膜10としては、一般的に電気分解で使用される透過膜を使用することができ、例えば、表面を親水化処理した中性の樹脂隔膜、イオン交換膜などがあり、樹脂隔膜の素材としてはPTFE等のフッ素系樹脂、ナフィオン等の電解質膜などが挙げられる。電解槽3には海水が収容され、海水の電気分解によって、アノード槽11側では、電極8表面において塩素ガス及び/又は酸素ガスが生成し、塩素の一部は溶解して次亜塩素酸イオンに変化し、海水アノード液はpH2〜4程度の酸性液となる。カソード槽12側では、電極9表面において水素ガスが生成し、電解が進むと、海水カソード液はpHが9〜10程度に上昇した塩基性液となる。
処理装置1は、海水Wを供給するためのポンプ21を有し、ポンプ21は、流路22を通じてアノード槽11へ海水Wを供給し、流路22から分岐する流路23によって、海水Wの一部を処理塔2へ供給可能なように接続されている。流路23は更に2つの流路23a,23bに分岐し、流路23を通る海水は、一方の流路23aから第1処理槽4内の頂部に配置される噴霧器24へ、他方の流路23bから第3処理槽6内の頂部に配置される噴霧器25へ各々供給可能である。
又、処理装置1は、アノード槽11内の海水アノード液Waを第2処理槽5に供給するポンプ26を有し、流路27を通じて、第2処理槽5内の頂部に配置される噴霧器28に海水アノード液Waを供給し、更に、海水アノード液Waの一部をカソード槽12に供給可能なように分岐した流路29を備えている。一方、カソード槽12は、流路30及び流路23bによって第3処理槽6と接続され、ポンプ31によって海水カソード液Wcを噴霧器25に供給可能に構成される。又、流路30から分岐する流路32を通じて、海水カソード液Wcを調整槽33へ放出可能である。
第1処理槽4の底部には、排ガスGを導入する導入口41を備え、導入口41から第1処理槽4に供給される排ガスGは、第1処理槽4の頂部と第3処理槽6の底部とを接続する配管42によって第3処理槽6へ供給される。更に、第3処理槽6中の排ガスは、第3処理槽6の頂部と第2処理槽5の底部とを接続する配管43によって第2処理槽5へ供給される。従って、処理塔2に供給される排ガスGは、第1処理槽4、第3処理槽6及び第2処理槽5を順次通過しながら処理塔2内を上昇する。この間に、先ず、第1処理槽4では、噴霧器24から滴下される海水Wと気液接触して、硫黄酸化物が海水Wによって吸収・除去され、粉塵等の粒子状物質も洗浄除去される。次に、第3処理槽6では、噴霧器25から滴下される塩基性水性液、つまり、海水W及び/又は海水カソード液Wcと気液接触して、二酸化炭素が吸収・除去される。更に、第2処理槽5では、噴霧器28から滴下される海水アノード液Waと気液接触して、窒素酸化物が海水アノード液Waによって吸収・除去されて、第2処理槽5の頂部の排出口44から排出される。窒素酸化物を吸収した海水アノード液Waにおいては、窒素酸化物から亜硝酸イオン及び硝酸イオンが生成し、これらの成分は、海水アノード液Waと共に第2処理槽5の底部から流路45を通じてアノード槽11へ還流される。
海水アノード液Waは、アノード槽11と第2処理槽5との間を循環し、その間に排ガスGから窒素酸化物を吸収することによって、次々と亜硝酸イオン及び硝酸イオンがアノード槽11へ供給され、亜硝酸イオンはアノード槽11内で次亜塩素酸イオンによって硝酸イオンに酸化されて硝酸イオンの成分濃度が増加する。海水アノード液Waの硝酸イオンをカソード槽12において電解還元して変換手段として機能させるには、流路27から分岐する流路29の調整弁51を開き、ポンプ26によって流路29を通じて海水アノード液Waをカソード槽12へ供給する。これによってアノード槽11の海水量が減少するので、これに対応する量の海水Wをアノード槽11へ補充するために、流路22の調整弁52を開き、ポンプ21によって流路22から海水Wをアノード槽11へ供給する。
カソード槽12に供給された海水アノード液に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンは、海水カソード液Wc中での電解還元を経て窒素ガスに変化し、水素ガスと共に放出される。硝酸イオン濃度が許容レベル以下に減少した海水カソード液Wcは、流路32から調整槽33へ供給され、或いは、流路30からポンプ31によって第3処理槽6へ供給されて、カソード槽12内の水位が一定に維持される。水位の維持・調整は、カソード槽12内で所定水位を超えた分の海水カソード液Wcがオーバーフローするように設計することで実現できる。調整槽33への供給流量を調節するために、ポンプ等を設けてその駆動を制御してもよい。
第3処理槽6の噴霧器25は、海水及び海水カソード液の何れも供給可能な供給手段であり、この実施形態では、主として流路23から供給される海水Wを使用し、状況に応じてポンプ31の駆動によって流路30から海水カソード液が供給されるように構成される。従って、ポンプ31の駆動によって海水Wと海水カソード液Wcとの混合液が第3処理槽6に供給され、海水カソード液Wcの混合割合は、ポンプ31の駆動制御によって調整可能である。カソード槽12内の海水カソード液WcのpHが安定している場合に海水カソード液Wcを使用すると、排ガス処理の安定性の点において好ましく、pH8.0〜9.0程度の海水カソード液Wcが塩基性水性液として供給できる。又、カソード槽12内の海水カソード液WcのpHが高騰した時に、海水カソード液Wcをカソード槽12から放出して第3処理槽6に供給すると、カソード槽12におけるpH調整を迅速に行う上で有効であると共に、海水よりpHが高い海水カソード液Wcによる二酸化炭素の吸収性が高いので、二酸化炭素濃度が高い排ガスへの対応がし易い。尚、流路23から流路23a,23bへの分岐点と、流路30が流路23bへ合流する合流点との間に、海水カソード液Wcが第1処理槽4へ逆流するのを防止するための逆止弁を設けると好ましい。逆止弁の代わりに調整弁を設けて第3処理槽6への海水Wの供給を止めると、海水カソード液Wcのみを第3処理槽6に供給することが可能である。
配管42には、第1処理槽4から排出される排ガスの成分濃度を検出するために分析計54が設けられる。分析計54は、流路23aに設けられる調整弁53と電気的に接続され、検出される排ガスの硫黄酸化物濃度に応じた電気信号を送信し、これに基づいて調整弁53の開閉を制御して海水Wの供給流量を調節することができる。第1処理槽4への海水Wの供給流量を増加することによって排ガスに残留する硫黄酸化物量が低下するので、分析計54に検出される硫黄酸化物濃度に応じて調整弁53を制御することにより、第3処理槽6において水性液の硫黄酸化物によるpH低下を生じさせないレベルに排ガスの硫黄酸化物濃度を低減可能であり、このように制御した時の第1処理槽4への海水Wの供給流量を適正流量の最小値とすることができる。又、第3処理槽6への海水及び/又は海水カソード液Wcの供給流量を調節するための調整弁55が流路23bに設けられる。流路23aの調整弁53の開閉は、流路23bへの流圧に影響を生じ得るので、調整弁55は分析計54と電気的に接続されて、調整弁53との間の供給圧バランスを加味して調整弁55の開閉が調節される。尚、分析計54において排ガスの二酸化炭素濃度を検出すると、これに応じて第3処理槽6に供給する海水及び/又は海水カソード液Wcの流量を決定して調整弁55を制御することができる。或いは、排出口44から放出される排ガスG’から検出される二酸化炭素の濃度に応じて調整弁55を調節するように制御してもよい。
調整槽33に供給された海水カソード液Wcは、第1処理槽4から流路56を通じて排出される海水と混合されて互いに中和され、この海水W1’に含まれる亜硫酸イオンは、海水カソード液Wcに残留する次亜塩素酸によって硫酸イオンに酸化される。排ガス由来の窒素酸化物はカソード槽12において窒素ガスとして放出されるので、調整槽33の海水W1’に溶解される排ガス由来の成分は、硫黄酸化物由来の硫酸であり、二酸化炭素も含まれる場合は、調整槽33においてカルシウム塩として析出する。調整槽33の海水W1’を外部廃棄に適したpHに更に調整する必要がある場合は、図示するように、pH測定器57、pH調整液を収容する容器58、及び、pH測定器57と電気的に接続されるポンプ59を用いて調整できる。pH測定器57によって測定される調整槽33内の海水W1’のpHに応じてポンプ59が作動し、中和に必要な量のpH調整液を容器58から調整槽33へ供給するように制御される。容器58に収容されるpH調整液は、金属水酸化物等の塩基性化合物水溶液が使用され、水酸化ナトリウム等の水溶液が実用的である。
一方、第3処理槽6からの排水W2’として、二酸化炭素を吸収した海水及び/又は海水カソード液Wcが排出される。吸収された二酸化炭素は、海水に含まれるカルシウムイオンと反応して塩として析出し、排水W2’のpHは低下して中性に近づく。排水W2’には、硫黄酸化物及び窒素酸化物は実質的に含まれず、そのまま海洋に廃棄することができる。
排ガスの処理が良好に遂行されるように、排ガスに含まれる各成分の処理による濃度変化を調べる測定システムが処理装置1に備えられる。具体的には、導入される排ガスGの窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度を測定する濃度計及びガス流量を測定する流量計を備えた測定部61が導入口41に設けられ、処理後の排ガスG’の窒素酸化物、硫黄酸化物及び二酸化炭素の濃度を測定する濃度計62が排出口44に設けられる。測定部61で検出されるガス流量と硫黄酸化物の濃度に基づいて、第1処理槽4に適正量の海水Wが供給されるようにポンプ21の作動が調節され、濃度計62で検出される硫黄酸化物の濃度がガス放出における許容レベルを超える場合は、海水Wの供給流量を増加して濃度が許容範囲に収まるように調整する。更に、分析計54で検出される硫黄酸化物の濃度が前述の適正レベルを超える場合は、調整弁53の制御によって海水Wの供給流量を増加して濃度が適正レベル以下に収まるように調整する。又、測定部61で検出されるガス流量と窒素酸化物の濃度に基づいて、抵抗回路等を利用した直流電源7の出力制御によって電解槽3における通電量を制御し、アノード槽11で生成する塩素ガスの量が、窒素酸化物の吸収に要する量及び硝酸の電解還元に要する次亜塩素酸を供給可能な量の合計になるように調整する。このような制御は、ポンプ21の駆動及び直流電源7の出力を電気的に制御する制御部(図示略)を設けて、この制御部に測定部61及び濃度計62からの電気信号を送信してポンプ21及び直流電源7を制御するように電気的に接続する(図示略)ことによって、測定値に基づいた自動制御が実行可能である。更に、測定部61で検出されるガス流量と二酸化炭素の濃度に基づいて、第3処理槽6に適正量の塩基性水性液(海水W及び/又は海水カソード液Wc)が供給されるようにポンプ21及び/又はポンプ31の作動が調節され、濃度計62で検出される二酸化炭素の濃度が所定レベルを超える場合は、塩基性水性液の供給流量を増加して濃度を低下させることによって所定レベル以下に調整する。このような制御も、上述の制御部に測定部61及び濃度計62からの電気信号を送信してポンプ21,31を制御するように電気的に接続(図示略)することによって、測定値に基づいて自動的に実行可能である。処理装置における各槽への適正な海水等の供給流量及び液ガス比は、処理槽の形状及び容積によって異なるので、使用する処理装置において上述のような制御による流量、液ガス比の調節を試行して処理条件を決定する。
カソード槽12における海水カソード液WcのpH値は、酸性の海水アノード液Waをカソード槽12に供給することによって低下して、硝酸イオンの電解還元に適するpH6〜8の範囲に近づくが、過剰に供給すると適正範囲を下回る。他方、硝酸イオンの電解還元の進行や水素ガスの放出によって、海水カソード液WcのpH値は上昇する。海水アノード液Waによって供給される硝酸イオン量と電解還元によって減少する硝酸イオン量とのバランスを取って安定的に処理を継続するには、海水カソード液WcのpH値を電解還元に適したpHに維持することが肝要であり、カソード槽12内のpHに応じて海水アノード液Waの供給流量を適正量に調節する必要がある。このため、海水カソード液WcのpHを検出するpH測定器63を備え、検出されるpH値に応じて調整弁51の開度を調節してカソード槽12内のpHが上記適正範囲になるような流量で海水アノード液Waをカソード槽12へ供給する。同時に、同じ流量で海水Wがアノード槽11へ供給されるように調整弁52の開度も調節して、アノード槽11内の海水アノード液Waの液量を一定に維持する。但し、硝酸イオンの電解還元反応は、次亜塩素酸が不足すると進行しないので、排ガスGに含まれる高濃度の窒素酸化物によって海水アノード液Waの次亜塩素酸が消費されると、カソード槽12内のpHを上記適正範囲に調整しても、次亜塩素酸の不足のために硝酸イオンの還元によるpH上昇が起こらず、海水アノード液Waの供給が停止する。この場合は、アノード槽11での塩素発生量を増加させることによって対応可能であり、そのためには、直流電源7の出力制御によって電極間の通電量を増加させる。次亜塩素酸は、必要量を超えて存在しても反応を阻害する恐れはないが、大気への過剰塩素ガスの放出及びエネルギー節減の観点から、前述したように、排ガスGの窒素酸化物濃度と対応させて適正な通電量になるように調節することが好ましい。
上述の様な処理条件の調整に際し、海水アノード液Waの供給過剰や電力供給過剰等によって適正pHから外れた場合、あるいは、より迅速にpHを低下させる必要がある場合などにおいて補助的にpHを調整するために、pH調整液を収容する容器(図示略)、及び、pH測定器63と電気的に接続されるポンプ(図示略)を備えると有用であり、pH測定器63によって測定されるpH値に基づいて、必要に応じてポンプを作動してpH調整液をカソード槽12に添加する。容器に収容するpH調整液は、電力過剰によるpH上昇の解消用及び急速調整用としては酸性水溶液が用いられ、海水アノード液Waの供給過剰によるpH低下の解消用としては、金属水酸化物等の塩基性化合物水溶液が使用され、実用的には、硫酸、水酸化ナトリウム等の水溶液が用いられる。塩基性化合物水溶液については、容器58に収容されるpH調整液を代用してもよい。
第2処理槽5による1回の処理で海水アノード液の硝酸イオン濃度が著しく上昇するような形態では、アノード槽11と第2処理槽5との間で海水アノード液Waを循環させる必要性が低下する。この場合、第2処理槽5から排出される海水アノード液は、アノード槽11へ還流させずに、ポンプ26の上流側又は流路29へ供給するように応用してもよい。又、第2処理槽5からポンプ26の上流側へ海水アノード液を供給するように構成すると、第2処理槽5の海水アノード液は、アノード槽11の海水アノード液Waと混合されて、その一部がカソード槽12へ供給される。第2処理槽5から流路29へ海水アノード液を供給すると、アノード槽11の海水アノード液Waとの混合液全てがカソード槽12へ供給される。何れにおいても、第2処理槽5の海水アノード液は、アノード槽11での電解を経ずに、次亜塩素酸イオンが添加されてカソード槽12に供給され、含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンが還元される。
図2の処理装置1において、3つの処理槽4,5及び6は、処理塔2の内部を区画壁によって区分することによって一体的に設けられているが、このような三槽型処理塔だけでなく、単一槽型処理塔や二槽型処理塔を利用しても、図2に示される排ガスの処理は実施可能である。例えば、個別の単一槽型処理塔を3つ利用して、これらを配管で直列に接続して処理塔2と同等に機能するようにしてもよい。又、二槽型処理塔と、単一槽型処理塔とを配管で直列に接続して使用しても良い。或いは、二槽型処理塔の1つの処理槽を2つに区分して配管で接続するように変形することによっても、3つの処理工程が実施可能である。
図2の処理装置1は、第3処理工程を第1処理工程と第2処理工程との間に実施する排ガスの処理実施形態であるが、第3処理工程は第2処理工程の後に実施しても良く、この処理順序による実施形態について、図3を参照して以下に説明する。
図3の処理装置1’は、図2の処理塔2における第2処理槽5及び第3処理槽6の配置とは逆の順序になるように第2処理槽5’及び第3処理槽6’が配置された処理塔2’と、図2と同構造の電解槽3とを有し、槽配置の変更に応じて配管及び流路の接続を変形している。この点以外は図2の処理装置1と同様であるので、以下において電解槽3に関する詳細な説明は省略する。
処理装置1’は、図2のものと同様の電解槽3と、第2処理槽5’及び第3処理槽6’が図2の処理塔2とは逆順に配列された処理塔2’とを有し、第1処理槽4底部の導入口41から供給される排ガスGは、第1処理槽4の頂部と第2処理槽5’の底部とを接続する配管64を通じて第2処理槽5’へ供給される。更に、第2処理槽5’中の排ガスは、第2処理槽5’の頂部と第3処理槽6’の底部とを接続する配管65を通じて第3処理槽6’へ供給される。従って、処理塔2’に供給される排ガスGは、第1処理槽4、第2処理槽5’及び第3処理槽6’を順次通過しながら処理塔2’内を上昇する。第1処理槽4では、噴霧器24から滴下される海水Wと気液接触して、硫黄酸化物が海水Wによって吸収・除去され、粉塵等の粒子状物質も洗浄除去される。第2処理槽5’では、噴霧器28’から滴下される海水アノード液Waと気液接触して、窒素酸化物が海水アノード液Waによって吸収・除去される。窒素酸化物を吸収した海水アノード液Waにおいては、窒素酸化物から亜硝酸イオン及び硝酸イオンが生成し、これらの成分は、海水アノード液Waと共に第2処理槽5’の底部から流路45’を通じてアノード槽11へ還流される。第3処理槽6’では、噴霧器25’から滴下される塩基性水性液、つまり、海水W及び/又は海水カソード液Wcと気液接触して、二酸化炭素が吸収・除去され、処理塔2’頂部の排出口44から排出される。
電解槽3の海水アノード液Waは、アノード槽11と第2処理槽5’との間を循環し、その間に排ガスGから窒素酸化物を吸収することによって、次々と亜硝酸イオン及び硝酸イオンがアノード槽11へ供給される。アノード槽11における反応機構は図2と同様であり、流路27から分岐する流路29の調整弁51を開いて、ポンプ26により流路29を通じて海水アノード液Waをカソード槽12へ供給することにより、海水アノード液Waの硝酸イオンがカソード槽12において電解還元される。アノード槽11の海水アノード液の減少に対応して海水Wをアノード槽11へ補充するために、流路22の調整弁52を開き、ポンプ21によって流路22から海水Wをアノード槽11へ供給する。
カソード槽12に供給された海水アノード液に含まれる硝酸イオン及び亜硝酸イオンは、電解還元を経て窒素ガスに変化し、水素ガスと共に放出される。硝酸イオン濃度が許容レベル以下に減少した海水カソード液Wcは、流路32から調整槽33へ供給され、或いは、流路30’からポンプ31によって第3処理槽6’へ供給されて、カソード槽12内の水位が一定に維持される。水位の維持は、図2と同様の方法で行うことができる。
第3処理槽6’の噴霧器25’は、海水及び海水カソード液の何れも供給可能であり、この実施形態でも、主として流路23,23b’から供給される海水Wを使用し、ポンプ31の駆動によって流路30’から海水カソード液が供給混合されるように構成される。従って、ポンプ31の駆動によって海水Wと海水カソード液Wcとの混合液が第3処理槽6’に供給され、海水カソード液Wcの混合割合は、ポンプ31の駆動制御によって調整可能である。海水カソード液Wcの利用に関しては、図2と同様に、海水カソード液WcのpH安定性や、カソード槽12におけるpH調整、排ガスGの二酸化炭素濃度等に応じて適宜実施することができる。流路23から流路23a,23b’への分岐点と、流路30’が流路23b’へ合流する合流点との間に、海水カソード液Wcが第1処理槽4へ逆流するのを防止するための逆止弁を設けると好ましく、或いは、調整弁を設けて第2処理槽5’への海水カソード液Wcの単独供給を可能とすることができる。
配管64には、第1処理槽4から排出される排ガスの成分濃度を検出するために分析計54が設けられ、図2と同様に、流路23aに設けられる調整弁53と電気的に接続されて、検出される排ガスの硫黄酸化物濃度に応じた電気信号を送信し、これに基づいて調整弁53の開閉を制御して海水Wの供給流量を調節することができる。第1処理槽4への海水Wの供給流量を増加することによって排ガスに残留する硫黄酸化物量が低下するので、分析計54に検出される硫黄酸化物濃度に応じて調整弁53を制御することにより、第1処理槽4への海水Wの供給流量を調整して、第3処理槽6’において海水及び/又は海水カソード液Wcの硫黄酸化物によるpH低下を生じさせないレベルに排ガスの硫黄酸化物濃度を低減可能であり、この流量を適正流量の最小値とすることができる。又、第3処理槽6’への海水及び/又は海水カソード液Wcの供給流量を調節するための調整弁55’が流路23b’に設けられる。調整弁55’は分析計54と電気的に接続され、調整弁53との供給圧バランスを加味して調整弁55’の開閉を調節できるように制御される。分析計54において排ガスの二酸化炭素濃度を検出すると、これに応じて第3処理槽6’に供給する海水及び/又は海水カソード液Wcの流量を決定して調整弁55’を制御することができる。或いは、調整弁55’の制御において、排出口44から放出される排ガスG’から検出される二酸化炭素の濃度に応じて調節するようにしてもよい。
調整槽33に供給された海水カソード液Wcは、図2と同様に、第1処理槽4から排出される海水と混合されて互いに中和され、調整槽33の海水W1’に溶解される排ガス由来の成分は、硫黄酸化物由来の硫酸である。pH測定器57、pH調整液を収容する容器58、及び、pH測定器57と電気的に接続されるポンプ59は、図2のものと同様であり、調整槽33の海水W1’のpH調整に使用する。
二酸化炭素を吸収した海水及び/又は海水カソード液である排水W2’が第3処理槽6’から排出され、排水W2’には硫黄酸化物及び窒素酸化物は実質的に含まれていないので、そのまま海洋に廃棄することができる。
上述の排ガスの処理において、反応に利用される海水の成分は塩素イオンであることから、上記処理は、海水に限らず、塩水を用いても実施可能である。尚、吸収した二酸化炭素とカルシウムとの析出による再放出の抑制を利用するには、カルシウムを含んだ塩水が使用される。海水に通常含まれる各種有機及び無機成分の配合が許容される。
(処理例1)
図2のように構成される排ガスの処理装置を用いて、室温において、以下のような操作を約3時間行った。尚、以下の記載において「ppm」は、排ガス1m3中の成分量が1mlである時を1とする単位である。
図2のように構成される排ガスの処理装置を用いて、室温において、以下のような操作を約3時間行った。尚、以下の記載において「ppm」は、排ガス1m3中の成分量が1mlである時を1とする単位である。
電極8,9として白金被膜チタン及び真鍮を装着し、隔膜10としてPTFE膜を用いて電解槽3を構成し、電解槽3に海水を投入して電極8,9に電圧(3.5V)を印加して電解することにより、アノード槽11に海水アノード液Waを、カソード槽12に海水カソード液Wcを生成させた。海水アノード液WaのpHは徐々に減少して2.9に、海水カソード液WcのpHは増加して10.2になった。
上記の状態でポンプ21,26を駆動させて調整弁53を開き、噴霧器24から第1処理槽4に海水を、噴霧器28から第2処理槽5に海水アノード液Waを、各々10L/時の流量で供給しながら、窒素ガスをベースとしたボンベガスを用いて調製した模擬排ガス(SOx濃度:1,000ppm、NOx濃度:1,000ppm、CO2濃度:5.0容積%)を第1処理槽4内に3.5L/分の流量で導入した。第2処理槽5に供給した海水アノード液Waがアノード槽11へ還流し始めたところで調整弁51,52を開放して、pH測定器63でカソード槽12のpHを測定しながら海水アノード液Waをカソード槽12に供給し、調整弁51はカソード槽12のpHが8〜9になるように調節した。それにより、カソード槽12への海水アノード液Waの供給流量は4L/時になり、同じ流量で海水がアノード槽11へ補充されるように調整弁52が調節された。
海水アノード液Waの循環が始まってから、アノード槽11の水質を測定したところ、60分後には亜硝酸イオン濃度:0mg/L、硝酸イオン濃度:350mg/Lとなった。一方、カソード槽12では、120分後には亜硝酸イオン濃度:0mg/L、硝酸イオン濃度:50mg/Lとなった。
処理塔2から排出される排ガスを分析したところ、SOx濃度:20ppm、NOx濃度:120ppm、CO2濃度:2.8容積%であった。又、第1処理槽4から排出される海水は、調整槽33に供給され、カソード槽12から流量約4L/時で供給される海水カソード液Wcと混合して、pH8.2の処理排水となり、その水質は、硝酸イオン濃度:20mg/L、亜硝酸イオン濃度:0mg/Lであった。
上述の操作を続けながら、更に調整弁55を開いて、噴霧器25から第3処理槽6に海水を10L/時の流量で供給したところ、処理塔2から排出される排ガスのCO2濃度は、2.0容積%に減少した。
(処理例2)
図2の構成の排ガスの処理装置から、第1処理槽4と第3処理槽6とを区画する区画壁を除去して第1処理槽4を第3処理槽6に連続させたこと以外は処理例1と同様にして、模擬排ガスの処理を行った。従って、導入された模擬排ガスは、接続された第1処理槽4及び第3処理槽を真っ直ぐに上昇して、配管43から第2処理槽5へ供給され、調整弁55を開いて噴霧器25から供給した海水は、噴霧器24から供給される海水と共に流路56から排出された。
図2の構成の排ガスの処理装置から、第1処理槽4と第3処理槽6とを区画する区画壁を除去して第1処理槽4を第3処理槽6に連続させたこと以外は処理例1と同様にして、模擬排ガスの処理を行った。従って、導入された模擬排ガスは、接続された第1処理槽4及び第3処理槽を真っ直ぐに上昇して、配管43から第2処理槽5へ供給され、調整弁55を開いて噴霧器25から供給した海水は、噴霧器24から供給される海水と共に流路56から排出された。
上記の操作の結果、噴霧器25から海水を供給する前後において、処理塔から排出される排ガスの成分濃度に実質的な変化は見られず、噴霧器25から供給される海水による二酸化炭素の除去効果は見られなかった。
ディーゼルエンジン等の排ガスに含まれる硫黄酸化物、窒素酸化物、炭酸ガス及び粉塵等を、海水を用いて効率的に除去でき、処理に用いた海水を外部に廃棄する際の調整も軽減されるので、船舶等における排ガス処理に適した、簡便且つ効率的な排ガスの処理装置が提供され、海洋での大気汚染の軽減に貢献可能な排ガスの処理方法が実施可能である。
1,1’ 処理装置、 2,2’ 処理塔、 3 電解槽、
4 第1処理槽、 5,5’ 第2処理槽、 6,6’ 第3処理槽、
7 直流電源、 8,9 電極、 10 隔膜、
11 アノード槽、 12 カソード槽、
21,26,31,59 ポンプ、
22,23,23a,23b,23b’ 流路、
27,29,30,32,45,45’,56 流路、
24,25,25’,28,28’ 噴霧器、 33 調整槽、
41 導入口、 42,43,64,65 配管、 44 排出口、
51,52,53,55,55’ 調整弁、 54 分析計、
57,63 pH測定器、 58 容器、
61 測定部、 62 濃度計、
G,G’ 排ガス、 W 海水、 Wa 海水アノード液、
Wc 海水カソード液、 W1’ 海水、 W2’ 排水。
4 第1処理槽、 5,5’ 第2処理槽、 6,6’ 第3処理槽、
7 直流電源、 8,9 電極、 10 隔膜、
11 アノード槽、 12 カソード槽、
21,26,31,59 ポンプ、
22,23,23a,23b,23b’ 流路、
27,29,30,32,45,45’,56 流路、
24,25,25’,28,28’ 噴霧器、 33 調整槽、
41 導入口、 42,43,64,65 配管、 44 排出口、
51,52,53,55,55’ 調整弁、 54 分析計、
57,63 pH測定器、 58 容器、
61 測定部、 62 濃度計、
G,G’ 排ガス、 W 海水、 Wa 海水アノード液、
Wc 海水カソード液、 W1’ 海水、 W2’ 排水。
Claims (9)
- 海水を電解する電解工程と、
排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理工程と、
前記第1処理工程を経た排ガスを、前記電解工程で生成される海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を海水アノード液に吸収させる第2処理工程と、
前記第2処理工程において吸収された窒素酸化物から海水アノード液に生成する硝酸成分を窒素に還元する変換工程と、
前記第1処理工程を経た排ガスを塩基性水性液と接触させる第3処理工程と
を有する排ガスの処理方法。 - 前記第3処理工程における前記塩基性水性液は、pHが8.0〜9.0である請求項1に記載の排ガスの処理方法。
- アノード槽及びカソード槽を有し、海水を電解して海水アノード液と海水カソード液とを生成する電解槽と、
排ガスを海水と接触させて前記排ガスに含まれる硫黄酸化物を海水に吸収させる第1処理槽と、
前記第1処理槽から排出される排ガスを、前記電解槽で生成した海水アノード液と接触させて前記排ガスに含まれる窒素酸化物を前記海水アノード液に吸収させる第2処理槽と、
前記第2処理槽において吸収された窒素酸化物から前記海水アノード液において生成する硝酸成分を窒素に還元するための変換手段と
前記第1処理槽から排出される排ガスを、塩基性水性液と接触させる第3処理槽と
を有する排ガスの処理装置。 - 更に、前記第1処理槽において排ガスから硫黄酸化物が実質的に除去される液ガス比になるように前記第1処理槽への前記海水の供給を制御する制御手段を有し、前記制御手段による制御によって、前記第3処理槽における前記塩基性水性液と前記第1処理槽を経た排ガスとの接触において、前記塩基性水性液の硫黄酸化物に起因するpHの低下が抑制されて、前記排ガスに含まれる二酸化炭素の前記塩基性水性液による吸収が進行する請求項3記載の排ガスの処理装置。
- 前記第3処理槽における前記塩基性水性液として、海水、及び、前記電解槽において生成する海水カソード液のうちの少なくとも1種を供給する供給手段を有する請求項3又は4に記載の排ガスの処理装置。
- 前記第3処理槽は、前記第1処理槽と前記第2処理槽との間に配置される請求項3〜5の何れか1項に記載の排ガスの処理装置。
- 前記第1処理槽、前記第2処理槽及び前記第3処理槽は、排ガスが前記第1処理槽及び前記第2処理槽の後に前記第3処理槽に供給されるように接続される請求項3〜5の何れか1項に記載の排ガスの処理装置。
- 前記制御手段は、前記第1処理槽から排出される排ガスに含まれる硫黄酸化物を検出する分析計と、前記分析計に検出される硫黄酸化物に応じて前記第1処理槽への海水の供給を調節する調整弁とを有する請求項4〜7の何れか1項に記載の排ガスの処理装置。
- 前記変換手段は、前記海水アノード液に生成する硝酸成分、及び、前記アノード槽に生成する次亜塩素酸成分を、前記カソード槽に供給する供給手段を有し、前記カソード槽において硝酸成分は窒素に電解還元される請求項3〜8の何れか1項に記載の排ガスの処理装置。
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