JP2015208268A - コンバインの穀粒排出装置 - Google Patents

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大崎 正美
Masami Osaki
正美 大崎
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Abstract

【課題】本発明では、グレンタンク内の穀粒を側方へ傾けた穀粒排出筒で排出するコンバインにおいて、コンバインの移動時に穀粒排出筒の収まりを良くしてコンバインの納屋への収納性を良くすることが課題である。
【解決手段】グレンタンク1の底部に設ける搬送螺旋8に引き継いで穀粒を送り揚げる穀粒排出筒6をグレンタンク1の後側に設け、該穀粒排出筒6を側方へ傾けてグレンタンク1内の穀粒を排出するコンバインの穀粒排出装置において、穀粒排出筒6をグレンタンク1よりも低い位置で下部穀粒排出筒60と上部穀粒排出筒61とに分割し、上部穀粒排出筒61を下部穀粒排出筒60側へ折り曲げて収納可能にしたことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置とする。
【選択図】図17

Description

この発明は、コンバインの穀粒排出装置に関するものである。
従来、コンバインには、脱穀装置によって脱穀選別した後の穀粒を貯留するために、グレンタンクが備えられている。
そして、刈取脱穀作業中にグレンタンクに貯留した穀粒を、トラックの荷台上の運搬用穀粒タンク等へ排出するために、螺旋コンベア式の穀粒排出装置が備えられている。
この穀粒排出装置として、特開2006−340654公報には、機体フレーム上に搭載されたグレンタンクの後側に立設した穀粒排出筒を、グレンタンクの底部に備えた搬送螺旋の軸心を中心として機体右側方へ傾けて穀粒の排出作業を行う技術が開示されている。
また、穀粒排出筒は移動時の穀粒排出筒の破損や、機体の安定性低下を防止するために、上下略中間位置で折り曲げるようにしている。
特開2006−340654公報
前記従来のコンバインの穀粒排出装置では、穀粒を排出する穀粒排出筒が長くコンバインの機体から離れた位置に穀粒を排出できるが、その全長の略中間位置で折り曲げてもその折り曲げた端部がグレンタンクより高く突出した状態となって、コンバインを納屋等に収納し難い。
本発明では、グレンタンク内の穀粒を側方へ傾けた穀粒排出筒で排出するコンバインにおいて、コンバインの移動時に穀粒排出筒の収まりを良くしてコンバイン移動時の安全性や、納屋への収納性を良くすることが課題である。
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、グレンタンク(1)の底部に設ける搬送螺旋(8)から引き継いで穀粒を搬送する穀粒排出筒(6)をグレンタンク(1)の後側に設け、該穀粒排出筒(6)を前記搬送螺旋(8)の軸心回りに回動可能としたコンバインの穀粒排出装置において、穀粒排出筒(6)をグレンタンク(1)の上端部よりも低い位置で下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)とに分割し、上部穀粒排出筒(61)を、下方の下部穀粒排出筒(60)側へ折り曲げて収納可能にしたことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置とする。
請求項2に記載の発明は、前記下部穀粒排出筒(60)の上端後部に設ける連結ピン(64)によって、下部穀粒排出筒(60)と前記上部穀粒排出筒(61)を連結し、下部穀粒排出筒(60)の上端前部に設けるロック装置(63)で下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)を連結し、該ロック装置(63)のロックを解除することで、連結ピン(64)を中心に上部穀粒排出筒(61)を後方へ折り曲げて下部穀粒排出筒(60)の後方に収納可能な構成とした請求項1に記載のコンバインの穀粒排出装置とする。
請求項3に記載の発明は、前記ロック装置(63)は、下部穀粒排出筒(60)の上端の下フランジ(60b)に設けた係合部(76)と、上部穀粒排出筒(61)の下端の上フランジ(61a)に設けたロックレバー(74)を備え、このロックレバー(74)を係合部(76)に係合して下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)を連結可能な構成とした請求項2に記載のコンバインの穀粒排出装置とする。
請求項4に記載の発明は、前記上フランジ(61a)に、バネ(75)でロックレバー(74)を弾発支持し、前記下フランジ(60b)に、下方へ膨らむカム部(77)を設け、ロックレバー(74)の把持部(74b)を係合部(76)に係合させて側方へ回動すると把持部(74b)がカム部(77)を乗り越えてロックした状態を保持することを特徴とする請求項3に記載のコンバインの穀粒排出装置とする。
請求項1に記載の発明で、グレンタンク(1)から穀粒を排出する際は、穀粒排出筒(6)を下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)を直線的に連結して長い状態とすることで、コンバインの機体から離れた位置まで穀粒を移動排出できるが、穀粒の排出作業が終了すると、上部穀粒排出筒(61)をグレンタンク(1)よりも低い位置で下部穀粒排出筒(60)側に倒すことで、穀粒排出筒(6)の全体がグレンタンク(1)よりも低くなって、コンバインが移動し易く、納屋への収納も容易で収まりが良くなる。
請求項2に記載の発明で、上部穀粒排出筒(61)を後部の連結ピン(64)を中心に後方へ回動して収納するので、収納操作が容易で、収納するとコンバインの機体から穀粒排出筒6が突出することが無く、収まりが良い。
請求項3に記載の発明で、下部穀粒排出筒(60)に上部穀粒排出筒(61)を連結固定するには、片手で上部穀粒排出筒(61)を直立に支持し他方の手で上部穀粒排出筒(61)を支えながら他方の手でロックレバー(74)を係合部(76)に係止することで固定できるので、作業者一人で容易に行える。
請求項4に記載の発明で、ロックレバー(74)の把持部(74b)を持って係合部(76)に係合して側方へ回動するとロック装置(63)がロックされるので操作が簡単容易である。
コンバインの左側面図である。 コンバインの背面図である。 コンバインの平面図である。 グレンタンクの左側面図である。 グレンタンクの右側面図である。 グレンタンクの平面図である。 グレンタンクの正面図である。 グレンタンクの背面図である。 グレンタンクの一部拡大正面図である。 グレンタンクの一部拡大平面図である。 グレンタンクの一部拡大正断面図である。 (a)搬送螺旋の側断面図、(b)搬送螺旋の前端支持部の側断面図である。 穀粒排出筒の下部側断面図である。 穀粒排出筒の拡大平断面図である。 穀粒排出筒の拡大平断面図である。 排出筒の側断面図である。 グレンタンクの拡大右側面図である。 穀粒排出筒の一部拡大側断面図である。 穀粒排出筒の連結部の斜視図である。 下部穀粒排出筒と上部穀粒排出筒の連結部の平断面図である。
以下、本発明の実施の形態を、普通型のコンバインを例示して説明する。なお、本明細書においてコンバインの前進方向に向かって左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後という。
(機体構成)
図1〜図3に示すように、コンバインは、機体フレーム3の下方に走行装置20を設け、機体フレーム3の上部左側の部位には脱穀装置18を搭載し、機体フレーム3の上部右側の部位には穀粒排出用の穀粒排出筒6を備えたグレンタンク1を搭載し、機体フレーム3上におけるグレンタンク1の前側の部位には電子ガバナ式或いはコモンレール燃料噴射式のエンジンEを搭載し、走行装置20の前方位置には昇降調節自在な刈取装置21を設けて構成する。
(原動部、走行装置、操縦部の構成)
図1、図3に示すように、前記エンジンEは、上面に座席25cを備えた開閉自在なエンジンカバーE1によって覆う。このエンジンカバーE1の外側面は目抜き鉄板で形成され、エンジン冷却用の外気を濾過しながら吸入する構成とする。
前記走行装置20は、機体フレーム3の前部に、エンジンEから静油圧式無段変速装置(図示省略)を介して駆動されるミッションケースMを取り付け、このミッションケースMから駆動される左右の駆動輪22と、転輪支持フレーム23aに軸支された多数の転輪23および最後部の緊張輪23bにわたって、クローラ24を巻きかけて構成する。また、最も前方に位置する転輪23の下側から緊張輪23bの下側にわたって、クローラ24の外れを防止するクローラガイド23cを配置する。このクローラガイド23cは、その前後方向における3箇所で、転輪支持フレーム23aにボルトで締結して取り付ける。
前記静油圧式無段変速装置は、操縦部25の一側に備えた変速レバー25aの前後傾動操作によって変速されるように、この静油圧式無段変速装置のトラニオン軸と変速レバー25aを電気的に連繋している。尚、前記静油圧式無段変速装置には、油圧モータ側の斜板角度を2位置に切り換えて出力を2段階に変速する機構を備える。また、前記ミッションケースMには、このミッションケースM内の伝動軸を制動する駐車ブレーキを備え、操縦部25のステップ上に配置した駐車ブレーキペダルの踏み込み操作によってこの駐車ブレーキが制動作動するよう連繋している。また、操縦部25の前部には、左右方向への操作によって機体を旋回させ、前後方向への操作によって刈取装置21を昇降させる昇降レバー25bを設ける。
(刈取装置の構成)
図1、図3に示すように、前記刈取装置21は、分草杆26b、掻込リール26、掻込オーガ26a、刈刃27、脱穀装置18の扱室に連通する搬送コンベア26cを備え、脱穀装置18および操縦部25の前側(機体フレーム3の前側)に配置し、油圧シリンダー(図示省略)の伸縮作動によって昇降する。
(脱穀装置の構成)
前記脱穀装置18は、扱胴を内装する上部の扱室と、揺動選別棚、唐箕、一番移送螺旋、ニ番移送螺旋(いずれも図示省略)を内装する下部の選別室から構成する。
一番移送螺旋には、一番揚穀螺旋を備えた一番揚穀筒18aの基部を接続する。
図1に示すように、脱穀装置18の後端部には脱穀後の排藁を細かく切断して排出する排藁切断装置18bを装着し、この排藁切断装置18bの後部には、切断された排藁を既刈地側(機体右側)へ排出案内する排塵カバー18cを装着する。
(グレンタンクの構成およびグレンタンクの位置保持構成)
図4〜図8に示すように、前記グレンタンク1は、箱型の容器に形成し、底部には、互いに左右逆方向に傾斜する左右の傾斜面を備え、この左右の傾斜面の間の谷部に、機体前後方向の搬送螺旋8を配置し、この搬送螺旋8をエンジンEの駆動力で駆動する構成とする。
図5に示すように、グレンタンク1の内壁1aの上部には、前記一番揚穀筒18aの上端部を接続する穀粒投入口1bを開口させる。
図6に示すように、グレンタンク1の上壁1cには、メンテナンス用の点検口1dを開口させ、この点検口1dを覆う開閉自在な点検蓋1eを設ける。
グレンタンク1の下部における前壁1fから後壁28の間に、図12に示す搬送螺旋8を設ける。即ち、図7、図9、図10、図12に示すように、搬送螺旋8の前端部をベアリング8aで前壁1f側に軸受し、この前壁1fから前方へ突出した搬送螺旋8の軸端には、入力プーリ8bを備える。図12(a)に示すように、ベアリング8aを前壁1fに保持するボス部材8cを設け、このボス部材8cの外周にテンションアーム8dの基部を
回動自在に嵌合させる。これにより、搬送螺旋8とベアリング8aとボス部材8cとテンションアーム8dがアッセンブリーで交換可能となる。
図9に示すように、前記入力プーリ8bと、エンジンEから排出クラッチ(図示省略)を介して駆動される出力プーリ8eにわたって伝動ベルト8fを巻き掛け、テンションアーム8dの先端部に軸支したテンションローラ8gを、この伝動ベルト8fに下側から当接させる。このテンションアーム8dの先端部にはテンションスプリング8hの下端部を係止し、このテンションスプリング8hの上端部を、前壁1fに固着したステー8iに係止する。この構成により、図10に示すように、前壁1fと伝動ベルト8fの間に、テンションアーム8dとテンションスプリング8hが配置され、これらの配置に必要な空間がコンパクトになる。これによって、グレンタンク1の容量の拡大を図ることができる。
前記テンションアーム8dの基部には、このテンションアーム8dをテンションスプリング8hの張力に抗して回動操作するハンドル8jを取り付けている。このハンドル8jの操作によって伝動ベルト8fの張力を緩め、伝動ベルト8fを入力プーリ8bから外すことができる。
図7、図9に示すように、グレンタンク1の前部に、このグレンタンク1の前部を脱穀装置18側に接近した位置に保持する保持装置1gを設ける。
この保持装置1gは、グレンタンク1の内壁1aの上部前端に上下回動自在に軸支したフック1hを、一番揚穀筒18aの上端部に連結した係止棒1iに引っ掛ける機構と、グレンタンク1の前壁1fの下端部に上下摺動自在に保持した係止ピン1jを、機体フレーム3の外端部上面に形成した係止孔(図示省略)に嵌合させる機構から構成する。
前記フック1hと、グレンタンク1の前壁1fの下部における左右方向中間部に軸支した操作ハンドル1kを、連繋プレート1mで連繋し、操作ハンドル1kを機体外側方へ引き操作することで、フック1hが上方回動して係止棒1iから外れる構成としている。
図9に示すように、前記係止ピン1jは、逆L字形状に屈折しており、グレンタンク1の前壁1fの下端部に固定した断面コ字形状のホルダ1nに貫通支持し、この係止ピン1jを下降側へ常時付勢するスプリング1pを備える。このスプリング1pの弾性力に抗して係止ピン1jを引き上げ、この係止ピン1jの下端部が機体フレーム3の上面に形成した係止孔から抜けた位置で、この係止ピン1jの下降を規制する規制部材1qを、前壁1fにおけるホルダ1nの上側の部位に固着している。
図10に示すように、前壁1fの下端には後方へ向けて折り曲げた部位を有し、この部位に、上下位置規制部材1rを固定する。一方、機体フレーム3の上面には、上下位置規制部材1rの厚みよりも僅かに高い位置に、保持部材1sを固定する。
この構成により、グレンタンク1を機体フレーム3上の収穫作業位置に保持する状態では、上下位置規制部材1rが保持部材1sの下側の隙間に嵌って上下方向の移動が規制され、係止ピン1jの下端部が機体フレーム3の上面の係止孔に挿入されてグレンタンク1の下部の横方向移動が規制され、フック1hが係止棒1iに引っ掛かってグレンタンク1の上部の横方向移動が規制される。
一方、グレンタンク1を機体フレーム3上から外側方へ移動させてメンテナンスを行う場合には、係止ピン1jを引き上げ操作して規制部材1qに係止し、操作ハンドル1kを外側方へ引き操作してフック1hを係止棒1iから離脱させる。これによってグレンタンク1の位置保持が解除され、機体外側方のメンテナンス位置へ引き出せるようになる。
(搬送筒の構成および搬送筒を起立姿勢で固定するロック装置の構成)
図13、図14に示すように、前記グレンタンク1の後壁28の下部には、前記搬送螺旋8の後端部を後方へ突出させるための穴を開口し、この穴を囲うように、後壁28の後側面には、円筒状の第1筒部材2を固定する。
この第1筒部材2の他側部と機体フレーム3上に固定した円筒状の第2筒部材4の一側部を接合および分離自在に第1縦軸5で軸着し、この第2筒部材4の他側部と下部穀粒排出筒60を備えた第3筒部材7の一側部を、搬送螺旋8の軸心を中心として相対回動自在に接合する。この第2筒部材4と第3筒部材7との接合は、第2筒部材4の外周部にボルト29で固定した複数のL字型の保持具30によって、第3筒部材7の外周部を挟み付けることで行われる。
前記第3筒部材7内の穀粒通路はL字型に屈曲させてあり、内部には、前記搬送螺旋8の後端部から継ぎ手31を介して連動される中間螺旋軸32と、この中間螺旋軸32から第3筒部材7内に一体形成したベベルギヤケース33内のベベルギヤ連動機構34を介して連動される揚穀螺旋軸35の下端部を内装する。前記継ぎ手31は、搬送螺旋8後端部に固定した横向きのピンと、中間螺旋軸32の前端部に固定した爪状部とが係合する構成であり、第2筒部材4に内装される。
前記第3筒部材7の上端部には、穀粒排出筒6の下端部を連結し、この下部穀粒排出筒60の内部に前記揚穀螺旋軸35が内装される。
前記第3筒部材7の機体外側の部位には、点検窓36を開口し、蓋37を着脱自在に設ける。
前記第3筒部材7の後側壁から前記ベベルギヤケース33を後方へ突出させて一体形成し、この突出端部を円筒形状として軸部10とし、機体フレーム3に固定した板状の支持部材11によって、この軸部10を軸受け支持する。
(搬送筒の構成と作用)
穀粒排出筒6は、図8、図17、図19に示す如く、下部穀粒排出筒60と上部穀粒排出筒61をその上下中間部で連結している。下部穀粒排出筒60の上端に設ける下フランジ60bの後部に固着したブラケット60aと上部穀粒排出筒61の下端に設ける上フランジ61aを連結ピン64で連結し、上部穀粒排出筒61のフランジ61a前側を下部穀粒排出筒60の下フランジ60bにロック装置63で固定して下部穀粒排出筒60に上部穀粒排出筒61を延長連結する。
ロック装置63は、上フランジ61aを貫通した摺動部74aとこの摺動部74aに対して直角に曲げて把持部74bを形成したL字状ロックレバー74をバネ75で上フランジ61a側に付勢し、下フランジ60bに係合部76と下方へ膨出するカム部77を設け、把持部74bを持ってロックレバー74を係合部75に係合して把持部74bを180°回動すると把持部74bがバネ75の付勢力に抗してカム部76を乗り越えて固定状態になる。
また、図20に示す如く、下部穀粒排出筒60の後側に折り曲げた上部穀粒排出筒61を受ける受座60cを設け、この受座60cに設けるゴムなどの弾性受80で上部穀粒排出筒61を受け、上部穀粒排出筒61に設ける止めプレート61cを受座60cの側面に重ねて、ハンドル78付きの止めボルト79を受座60cのナット60dに締めつけて、上部穀粒排出筒61を折り曲げた状態で固定するようにしている。
ロック装置63を外して上部穀粒排出筒61を後方へ倒すと連結部はグレンタンク1の上壁1cよりも低くなり、コンバインの最大高さが低くなって、納屋等への収納が容易になる。
上部穀粒排出筒61と下部穀粒排出筒60の連結部内部は、図18の如く、下部穀粒排出筒60に内装する下揚穀螺旋軸35aの上端に突出軸67を固定する下係合部65を設け、上部穀粒排出筒61に内装する上揚穀螺旋軸35bの下端には前記下係合部65と係合する上係合部71を嵌合するボス72を設け、この上係合部71を上部穀粒排出筒61に固着の上ボス部68に軸受69で軸支している。また、上係合部71には前記下揚穀螺旋軸35aの突出軸67を嵌合させる嵌合穴70を形成している。下係合部65の爪65aと上係合部71の爪71aが噛み合って、下揚穀螺旋軸35aの回転が上揚穀螺旋軸35bに伝動される。
従って、下部穀粒排出筒60に上部穀粒排出筒61を重ねると下揚穀螺旋軸35aの突出軸67が上係合部71の嵌合穴70に嵌り込んで下揚穀螺旋軸35aと上揚穀螺旋軸35bの中心が一致して回転を良好に伝動する。
上部穀粒排出筒61には一条の上螺旋板73を巻き付け、下揚穀螺旋軸35aには二条の下螺旋板66a,66bを巻き付けることで、上螺旋板73の下端と下螺旋板66a,66bの上端間に隙間が有っても穀粒を効率的に搬送できる。
穀粒排出筒6の左側に機体フレーム3から第1支持フレーム16を立設し、この第1支持フレーム16の上部に設ける取付ブラケット16aと下部穀粒排出筒60の下部に設けるシリンダブラケット60eを排出筒傾動シリンダ62で連結し、この排出筒傾動シリンダ62の伸縮で穀粒排出筒6を直立から略水平姿勢まで傾けて支持するようにしている。
排出筒傾動シリンダ62は、グレンタンク1の後側面と下部穀粒排出筒60の間或いは下部穀粒排出筒60よりも後側で、第1支持フレーム16への取付ブラケット16を燃料タンク51よりも高い位置として下部穀粒排出筒60のシリンダブラケット60eに取り付けて、伸縮範囲を長くして下部穀粒排出筒60が直立から水平まで広い角度で傾けることが出来る。
排出筒傾動シリンダ62の位置は、グレンタンク1の後側面と下部穀粒排出筒60の間であれば、排出筒傾動シリンダ62が見え難くて外観が良くなり、下部穀粒排出筒60よりも後側であれば、排出筒傾動シリンダ62のメンテナンスが行い易い。
(排出筒の構成と作用)
図16に、排出筒6aの構成を示す。
前記上部穀粒排出筒61の上端部の壁面に軸受6dを固定し、この軸受6dに、上部穀粒排出筒61に内装した上揚穀螺旋軸35bの上端部を回転自在に軸受けする。
上部穀粒排出筒61の上端部の側面には、開口部6eを形成する。
前記穀粒排出筒6の上端部外周に、排出口6bを開口した排出筒6aを回動自在に嵌合する。これにより、排出筒6aは、上揚穀螺旋軸35bと同軸心で回動自在となる。
前記上部穀粒排出筒61の上端部の側面に形成した開口部6eと、排出筒6a側の排出口6bが連通することで、上揚穀螺旋軸35bの回転によって穀粒排出筒6内を搬送された穀粒が、開口部6eから排出口6bを経て外部へ排出される。尚、上揚穀螺旋軸35bの上端部には、穀粒を跳ね出す羽根板6fを取り付けている。
前記排出筒6aの上端部外面には、この排出筒6aを回動操作する門型のハンドル6cを取り付ける。
前記穀粒排出筒6を機体外側方へ傾けた状態において、排出筒6aは、排出口6bが真下を向く状態から、真上を向く状態まで、上揚穀螺旋軸35bと同軸心で回動させることができる。
これにより、例えば運搬車の荷台へ穀粒を排出する場合には、穀粒排出筒6を機体外側方に待機した運搬車の荷台上へ傾動させ、排出クラッチを接続操作して穀粒排出作業を開始する。そして、荷台上の穀粒堆積高さを均一化するために、排出筒6aを上揚穀螺旋軸35bと同軸心で回動させて穀粒の排出位置を変えながら、この穀粒排出作業を継続する。
そして、この荷台が満杯になると、排出クラッチを遮断操作して下揚穀螺旋軸35aと上揚穀螺旋軸35bの回転駆動を停止する。この時点では、穀粒排出筒6内に搬送途中の穀粒が残存しており、このまま穀粒排出筒6を起立側に回動させた場合には、この残存している穀粒が排出口6bから零れ落ち、損失となってしまう。このような場合に、排出筒6aを、上部穀粒排出筒61の開口部6eを閉じるようになるまで回動させる(反転させる)ことで、この排出口6bからの穀粒の零れ落ちを防止することができる。
このようにして穀粒排出筒6を起立姿勢で格納した場合、排出口6aは機体内側を向く。
また、前記排出筒6aの内面における排出口6bの近傍の部位には、ヘの字形状に屈折したステー6gを固定し、このステー6gの自由辺側に穀粒の詰まりを検出する圧電式の詰まりセンサ6hを取り付ける。
即ち、穀粒排出作業中に、運搬車の荷台が満杯になったにも係わらずに揚穀螺旋軸35の回転駆動が継続された場合には、堆積した穀粒によって排出口6bが塞がれて排出不能の状態となるが、この状態を詰まりセンサ6hによって検出することができる。
この詰まりセンサ6hによって穀粒の詰まり(排出不能の状態)が検出された場合には、下揚穀螺旋軸35aと上揚穀螺旋軸35bの駆動源であるエンジンEの駆動を自動的に停止させるように構成する。即ち、詰まりセンサ6hによって一定圧力以上の圧力が検出された場合には、排出口6bに穀粒の詰まりが発生したと判定し、エンジンEへの燃料供給経路に設けた遮断弁を作動し、燃料供給を遮断するように、制御回路を構成する。
また、このエンジンEの自動停止と共に、ブザーを鳴動させる構成としてもよい。
尚、この燃料供給の遮断状態を、排出クラッチの遮断操作によって解除されるように連繋するとよい。
また、排出クラッチを電動モータで作動する構成とし、詰まりセンサ6hによって穀粒の詰まりが検出された場合に、電動モータを作動させて排出クラッチを自動的に遮断するように構成してもよい。
また、前記排出筒6aの側面には、排出口6bとは別に、穀粒が通過可能な開口部6iを形成し、この開口部6iを塞ぐ開閉自在な蓋体6jを設けるとよい。この蓋体6jは、ばね(図示省略)によって閉塞側に常時付勢されており、排出口6bに穀粒が詰まった場合に、この穀粒から受ける圧力によって蓋体6jが押し開かれ、開口部6iから穀粒がオーバーフローする構成である。
(グレンタンクの上側回動支持部の構成)
図6、図8に示すように、前記穀粒排出筒6よりも機体内側の部位に縦方向の第1支持フレーム16を立設し、この第1支持フレーム16の上部には機体左右方向の第2支持フレーム17の中間部を固定し、この第2支持フレーム17の機体内側端部を脱穀装置18に連結するとともに、第2支持フレーム17の機体外側端部には、下部の第1縦軸5と同軸心でグレンタンク1を回動自在に支持する第2縦軸19を設ける。即ち、グレンタンク1は、その後側下部を第1縦軸5で回動自在に支持され、その後側上部を第2縦軸19で回動自在に支持される。
前記第2筒部材4は第1支持フレーム16の下部に連結する。
(燃料タンクの構成および配置)
図1、図2に示すように、機体フレーム3の後端部において、脱穀装置18の後部内側面と、起立姿勢の穀粒排出筒6の間の部位に、支持台50を固定する。この支持台50に、エンジンEへ燃料を供給するために備える燃料タンク51を載せ、固定用のバンド51aで固定する。
この燃料タンク51は、機体背面視において縦長に形成された箱体であり、上部には、作業者の手が入る程度の内径を有した給油口51bを備える。
これにより、脱穀装置18と穀粒排出筒6の間の空間を利用して大容量の燃料タンク51を配置でき、給油頻度を少なくして作業能率を向上させることができる。
また、この給油口51bは、起立姿勢とした穀粒排出筒6よりも後側の位置に配置し、給油作業を、機体後方からだけでなく、機体右外側方からも容易に行なえる構成としている。
また、燃料タンク51を支持台50に載せることで、この燃料タンク51の底部がエンジンEの底部よりも高い位置に配置され、燃料タンク51からエンジンE側への燃料の流れが良好なものとなってエンジン性能を安定させることができる。
(グレンタンクのその他の構成)
図4、図9、図11に示すように、グレンタンク1の下部左外側面を覆うカバー52を設ける。
このカバー52は、後壁28よりも後側の部位から、前壁1fよりも前側の部位までを一体で覆う前後幅を有した側面視矩形の板体である。このカバー52の下部内側面には、機体フレーム3側の係止棒(図示省略)に係止するフック部52aを固着し、カバー52の上部内側面には、グレンタンク1の下部外側面に固定した係止棒52bに嵌合する位置規制部材52cと、この係止棒52bに引っ掛かるフックを有したロックハンドル52dを固定する。
このカバー52を取り外した状態では、グレンタンク1の前側に設ける上述の入力プーリ8b、伝動ベルト8f、係止ピン1j等が露出し、これらの操作を容易に行なうことができる。
図4、図11に示すように、グレンタンク1の低部における搬送螺旋8の上側の位置に、このグレンタンク1の前壁1fと後壁28の間を連結する棒状部材53を設ける。図7、図9に示すように、グレンタンク1の前壁1fにおける搬送螺旋8よりも高い位置に、メンテナンス用の開口部54を形成し、この開口部54を着脱自在な蓋体55で塞ぐ。これにより、蓋体55を取り外し、搬送螺旋8の上側に配置する穀粒流下案内板56を開口部54から入れ、棒状部材53に載せながら後方へ挿し込むことで、この穀粒流下案内板56の装着および離脱作業を容易に行うことができる。
図11に示すように、グレンタンク1の底部における搬送螺旋8の直下の部位に開口部57を形成し、この開口部57を塞ぐ底板58を設ける。この底板58は、グレンタンク1の底部下面に固定した支持部材59に対して、機体外側方から挿し込んで装着する構成である。即ち、支持部材59の機体内側の端部には、底板58の内側端部を保持する保持部59aが屈折形成され、底板58の内側端部には、保持部59aに嵌り合う屈折部が下向きに折り曲げて形成されている。底板58の外側端部は上側に折り曲げ、支持部材59の外側端部の縦面に重ねてボルト58aで締結して固定する。
6 穀粒排出筒
60 下部穀粒排出筒
60b 下フランジ
61 上部穀粒排出筒
61a 上フランジ
63 ロック装置
64 連結ピン
74 ロックレバー
74b 把持部
75 バネ
76 係合部
77 カム部

Claims (4)

  1. グレンタンク(1)の底部に設ける搬送螺旋(8)から引き継いで穀粒を搬送する穀粒排出筒(6)をグレンタンク(1)の後側に設け、該穀粒排出筒(6)を前記搬送螺旋(8)の軸心回りに回動可能としたコンバインの穀粒排出装置において、穀粒排出筒(6)をグレンタンク(1)の上端部よりも低い位置で下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)とに分割し、上部穀粒排出筒(61)を、下方の下部穀粒排出筒(60)側へ折り曲げて収納可能にしたことを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
  2. 前記下部穀粒排出筒(60)の上端後部に設ける連結ピン(64)によって、下部穀粒排出筒(60)と前記上部穀粒排出筒(61)を連結し、下部穀粒排出筒(60)の上端前部に設けるロック装置(63)で下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)を連結し、該ロック装置(63)のロックを解除することで、連結ピン(64)を中心に上部穀粒排出筒(61)を後方へ折り曲げて下部穀粒排出筒(60)の後方に収納可能な構成とした請求項1に記載のコンバインの穀粒排出装置。
  3. 前記ロック装置(63)は、下部穀粒排出筒(60)の上端の下フランジ(60b)に設けた係合部(76)と、上部穀粒排出筒(61)の下端の上フランジ(61a)に設けたロックレバー(74)を備え、このロックレバー(74)を係合部(76)に係合して下部穀粒排出筒(60)と上部穀粒排出筒(61)を連結可能な構成とした請求項2に記載のコンバインの穀粒排出装置。
  4. 前記上フランジ(61a)に、バネ(75)でロックレバー(74)を弾発支持し、前記下フランジ(60b)に、下方へ膨らむカム部(77)を設け、ロックレバー(74)の把持部(74b)を係合部(76)に係合させて側方へ回動すると把持部(74b)がカム部(77)を乗り越えてロックした状態を保持することを特徴とする請求項3に記載のコンバインの穀粒排出装置。
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