JP2015207515A - 電極およびそれを用いた空気二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
正極:O2+2H2O+4e− → 4OH−
負極:Zn+2OH− → ZnO+H2O+2e−
全反応:2Zn+O2 → 2ZnO
本発明は第一に、酸素の還元能を有する金属錯体と、水の酸化能を有する層状金属化合物とを含む電極を提供する。
本発明は第二に、前記酸素の還元能を有する金属錯体が、多核金属錯体である前記記載の電極を提供する。
本発明は第三に、前記酸素の還元能を有する金属錯体の中心金属として、第一遷移金属原子またはイオンを含む前記記載の電極を提供する。
本発明は第四に、前記水の酸化能を有する層状金属化合物が、[M2+ 1-xM3+ x(OH)2]x+ [An- x/n・mH2O]x-(式中、Mは遷移金属元素、An-はn価のアニオン、xは0<x<1、mおよびnは0より大きい実数)で表される層状複水酸化物である前記記載の電極を提供する。
本発明は第五に、前記Mがマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛である前記記載の電極を提供する。
本発明は第六に、前記n価のアニオンが1価の水酸化物イオンである前期記載の電極を提供する。
本発明は第七に、前記記載の電極を有する空気二次電池を提供する。
本発明の電極は、酸素の還元能を有する金属錯体と、水の酸化能を有する層状金属化合物を含む。ここで、酸素の還元能とは、酸素を水酸化物イオンに還元できることを意味し、水の酸化能とは、水を水酸化物イオンに酸化できることを意味する。
酸素の還元能を有する金属錯体としては、金属ポルフィリン、金属フタロシアニンなどの単核金属錯体や1つの分子内に複数の金属原子または金属イオンを有する多核金属錯体などが例示される。
次に、本発明で好適に用いられる酸素の還元能を有する金属錯体の合成方法について説明する。
本発明に用いることの出来る酸素の還元能を有する金属錯体は、例えば、配位子化合物を有機化学的に合成した後、得られた化合物を、金属原子または金属イオンを付与する反応剤(以下、「金属付与剤」と言う。)と混合し、反応させることにより得られる。反応させる金属付与剤の量は特に限定されず、目的とする金属錯体に応じて、金属付与剤の量を調節すればよいが、通常、配位子化合物に対して過剰量の金属付与剤を反応させることが好ましい。
(水の酸化能を有する層状金属化合物)
(水の酸化能を有する層状金属酸化物)
水の酸化能を有する層状複水酸化物の組成の一例としては、[M2+ 1-xM3+ x(OH)2]x+ [An- x/n・mH2O]x-で表される組成が挙げられる。(式中、Mは遷移金属元素、M2+は二価の遷移金属イオン、M3+は三価の遷移金属イオン、An-はn価のアニオン、xは0<x<1並びにmおよびnは0より大きい実数を表す。)
本発明で好適に用いられる層状金属酸化物の合成方法について説明する。層状金属酸化物の合成方法は公知の如何なる方法で製造してもよいが、例えば、以下の方法で製造することが出来る。
次に、本発明で好適に用いられる層状複水酸化物の合成方法について説明する。層状複水酸化物は、公知の如何なる方法で製造してもよいが、例えば、以下の方法で製造することができる。
本発明の電極は、電極触媒および集電体から構成される。
前記金属メッシュおよび金属焼結体における金属としては、ニッケル、銅、クロム、鉄、チタン等の金属の単体;二種以上のこれら金属を含む合金が例示でき、ニッケル、銅、ステンレス(鉄−ニッケル−クロム合金)が好ましい。
本実施形態の空気二次電池は、本発明の電極を正極として用い、亜鉛単体および亜鉛化合物からなる群より選ばれる一種以上の負極活物質を含む負極と、電解質とを備えている。
ここに示す空気二次電池1は、前記電極触媒を含む正極触媒層11、正極集電体12、前記負極活物質を含む負極活物質層13、負極集電体14、電解液15およびこれらを収容する容器(図示略)を備える。
正極集電体12は正極触媒層11に接触して配置され、これらにより正極が構成されている。また、負極集電体14は負極活物質層13に接触して配置され、これらにより負極が構成されている。また、正極集電体12には正極端子(リード線)120が接続され、負極集電体14には負極端子(リード線)140が接続されている。
正極触媒層11および負極活物質層13は、対向して配置され、これらの間にこれらに接触するように電解質15が配置されている。
なお、本実施形態に係る空気二次電池は、ここに示すものに限定されず、必要に応じて一部構成が変更されていてもよい。
本発明の正極触媒層は、電極触媒として、酸素の還元能を有する金属錯体および水の酸化能を有する層状金属化合物を含むが、これら以外に、他の電極触媒を含んでもよい。さらに、電極には、導電材および結着材を含むものが好ましい。前記導電材は、電極の導電性を向上させることができるものであればよく、カーボンが好ましい。
(正極集電体)
前記金属メッシュおよび金属焼結体における金属としては、ニッケル、銅、クロム、鉄、チタン等の金属の単体;二種以上のこれら金属を含む合金が例示でき、ニッケル、銅、ステンレス(鉄−ニッケル−クロム合金)が好ましい。
本実施形態における負極として、亜鉛単体および亜鉛化合物からなる群より選ばれる一種以上を負極活物質として用いることができる。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、亜鉛合金などを例示することができる。
電解質は、電解質を溶媒に溶解した電解液を用いることができる。溶媒としては、イオンが電離し易いため水が好ましい。
容器は、正極触媒層11、正極集電体12、負極活物質層13、負極集電体14および電解液15を収容するものである。容器の材質としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等の樹脂や、前記正極触媒層11等の収容物とは反応しない金属が例示できる。
前記酸素拡散膜は、酸素(空気)を好適に透過できる膜であればよく、樹脂製の不織布または多孔質膜が例示でき、前記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂が例示できる。
セパレータは、電解液15の移動が可能な絶縁材料からなるものであればよく、樹脂製の不織布または多孔質膜が例示でき、前記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂が例示できる。また、電解液15を水溶液として用いる場合には、前記樹脂として、親水性化されたものを用いることが好ましい。
装置:PANalytical(株)製 X'Pert PRO MPD
X線管球:Cu−Kα
X線出力:45 kV-40 mA
装置:varian(株)製 INOVA300
<ニッケル鉄-層状複水酸化物の合成>
フラスコに、酢酸ニッケル(II)4水和物を5.0g(20mmol)と水20mlを入れ、0.2Mの酢酸ニッケル水溶液を作成した。同様にして別のフラスコに、硝酸鉄(III)9水和物を4.0g(10mmol)と水10mlを入れ、0.2Mの硝酸鉄水溶液を作成した。調整した酢酸ニッケル水溶液(10ml)と硝酸鉄水溶液(2ml)を、水20ml、DMF20mlと共にポリテトラフルオロエチレン製のるつぼに入れ、るつぼをステンレスジャケットで密封した。ステンレスジャケットを160℃に温度調整したオイルバスで1時間加熱攪拌した後、室温まで冷却させ、反応液中に生じた山吹色沈殿を濾取することにより、30mgのニッケル鉄-層状複水酸化物を得た。
2θ(o): 11.3、 22.7、 34.3、 38.6、 46.3、 61.6
<金属錯体MC1の合成>
以下の反応式(1)〜(3)に従い、化合物1および化合物2を経由して化合物3を合成した。そして、以下の反応式(4)に従い、化合物3と金属付与剤とを用いて、金属錯体MC1を合成した。
ESI−MS[M・]+:m/z=866.0
[実施例1]
(ガス拡散層用粉末の作製)
カーボンブラック(アセチレンブラック)、トライトン(キシダ化学)および水を1 : 1 : 30 (重量比)の割合で混合し、これにPTFE(ダイキン、D−210C)をカーボンブラックに対して67重量%になるように添加し、ミルサーで5分間粉砕後、吸引ろ過し、120℃で12時間乾燥させた。乾燥後これをミルサーで微粉化し、280℃、3時間空気中で熱処理を行った。ここで得られた粉末をミルサーで再度微粉化しガス拡散層用粉末を得た。
ビーカーに水100mlと1−ブタノール1mlを入れ、その中にカーボン(ケッチェンブラック300EC)0.18g、合成例1で作製したニッケル鉄-層状複水酸化物を0.16g、合成例2で作製した金属錯体MC1を0.08g加えた。2時間攪拌後、PTFE(ダイキン、D−210C)0.16gを少量ずつ加えてさらに1時間攪拌した。それを吸引ろ過し、120℃で乾燥してミルサーで粉砕し、触媒層粉末を得た。
ホットプレス用金型にアルミホイルをのせ、その上にニッケルメッシュ(ニコライ社製)をのせ、ガス拡散層電極用粉末を60mg充填し、ガス拡散層用粉末の上に触媒層用粉末を60mg充填した。まず、80kgf/cm2の圧力で冷間プレス行った後、350℃に保ったホットプレスを用いて10秒間プレスを行い、電極を得た。電極の反応面積は1.767cm2であった。
ポリテトラフルオロエチレン製のセルに作製した電極を取り付け、8M水酸化カリウム水溶液中でポテンショスタットを用いて測定した。電流密度50mA/cm2における酸素還元電位、水の酸化電位、及びそれらの電位差(V)を表1に示す。
東方技研 マルチポテンショスタット MODEL PS−04
(測定条件)
電解質溶液:8mol/L水酸化カリウム水溶液
溶液温度:室温(23℃)
参照電極:銀/塩化銀電極(飽和塩化カリウム)
カウンター電極:白金電極(ウィンクラー式電極)
掃引速度:±25mV/180秒
La0.6Ca0.4CoO3−xを、文献(Electrochimica Acta 2003, 48, 1567)記載の方法に従って合成した。触媒として、 La0.6Ca0.4CoO3−xを用いて、実施例1と同様に評価を行った。
以上により、本発明の有用性が確かめられた。
上記で得られた金属錯体MC1、ニッケル鉄-層状複水酸化物とカーボン(商品名:ケッチェンブラックEC600JD、ライオン社製)を質量比1:1:4で混合し、メタノール中、室温にて15分間攪拌した後、室温にて200Paの減圧下で12時間乾燥させて電極触媒Cat1を得た。電極触媒1を用いて、酸素還元能および水の酸化能の評価を行った。
<酸素還元能の評価>
この測定用電極を用いて、下記測定装置および測定条件において、酸素還元反応の電流値を測定した。電流値の測定は、窒素を飽和させた状態(窒素雰囲気下)、酸素を飽和させた状態(酸素雰囲気下)でそれぞれ行い、酸素雰囲気下での測定で得られた電流値から、窒素雰囲気下での測定で得られた電流値を引いた値を酸素還元反応の電流値とした。この電流値を測定用電極の表面積で除すことにより、電流密度を求めた。結果を表2に示す。
なお、電流密度は、銀/塩化銀電極に対して−0.8Vのときの値である。
日厚計測社製RRDE−1回転リングディスク電極装置
ALSモデル701Cデュアル電気化学アナライザー
(測定条件)
セル溶液:0.1mol/L水酸化カリウム水溶液(酸素飽和または窒素飽和)
溶液温度:25℃
参照電極:銀/塩化銀電極(飽和塩化カリウム)
カウンター電極:白金ワイヤー
掃引速度:10mV/秒
電極回転速度:1600rpm
上記で得られた電極触媒について、酸素還元能の評価の場合と同様の測定用電極を作製し、これを用いて、下記測定装置および測定条件において、水の酸化反応の電流値を測定した。電流値の測定は、窒素を飽和させた状態で行い、この電流値を測定用電極の表面積で除すことにより、電流密度を求めた。結果を表2に示す。なお、電流密度は、銀/塩化銀電極に対して1Vのときの値である。
日厚計測社製RRDE−1回転リングディスク電極装置
ALSモデル701Cデュアル電気化学アナライザー
(測定条件)
セル溶液:1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(窒素飽和)
溶液温度:25℃
参照電極:銀/塩化銀電極(飽和塩化カリウム)
カウンター電極:白金ワイヤー
掃引速度:10mV/秒
電極回転速度:900rpm
Claims (7)
- 酸素の還元能を有する金属錯体と、水の酸化能を有する層状金属化合物とを含む電極。
- 前記酸素の還元能を有する金属錯体が、多核金属錯体である請求項1に記載の電極。
- 前記酸素の還元能を有する金属錯体の中心金属として、第一遷移金属原子またはイオンを含む請求項1または2に記載の電極。
- 前記水の酸化能を有する層状金属化合物が、[M2+ 1-xM3+ x(OH)2]x+ [An- x/n・mH2O]x-(式中、Mは遷移金属元素、An-はn価のアニオン、xは0<x<1並びにmおよびnは0より大きい実数を表す。)で表される層状複水酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の電極。
- 前記Mがマンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅または亜鉛である請求項4に記載の電極。
- 前記n価のアニオンが1価の水酸化物イオンである請求項4または5に記載の電極。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電極を有する空気二次電池。
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