JP2015206015A - 多孔質体およびその製造方法 - Google Patents

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Takashi Furusawa
高志 古沢
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Abstract

【課題】 加工性に優れ、表面積が大きく、かつ孔径の小さいポリアリーレンスルフィド樹脂を含む多孔質体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド樹脂と、非晶性の熱可塑性樹脂と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂と、前記熱可塑性樹脂とを溶解可能な溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る工程1、前記溶解物を押し出す工程2、押し出した押出物を冷却固化させ、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂及び前記熱可塑性樹脂と前記溶媒(b)とを相分離させる工程3、前記熱可塑性樹脂を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂を溶解させず、かつ前記溶媒(b)と相溶する溶媒(c)を用いて、得られた押出物から前記熱可塑性樹脂及び前記溶媒を除去する工程4、を必須工程として有する多孔質体、その製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明はポリアリーレンスルフィド樹脂を含有し、微細孔径を有する多孔質体およびその製造方法に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PPSと言うことがある。)に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PASと言うことがある。)は、耐熱性、耐薬品性に優れ、電気電子部品、自動車部品、給湯器部品、繊維、フィルム用途等に幅広く用いられている。中でも、ポリアリーレンスルフィド樹脂多孔質体を用いた中空糸膜や分離膜、多孔質フィルムは、優れた耐熱性や耐薬品性を活かして、半導体製造における不純物除去のための薬液ろ過や、医薬品製造、食品製造、化学工業品製造における合成原料や有機溶剤のろ過などへの利用が期待されている。
このようなポリアリーレンスルフィド樹脂多孔質体の製造方法として、例えば、ポリアリーレンスルフィド樹脂と、該樹脂を溶解する溶媒の混合物を高温下で均質粘性流体とした後、押出、冷却固化させ、次いで溶媒を抽出除去する方法が知られている(特許文献1)。しかし、該方法はポリアリーレンスルフィド樹脂自体の溶融粘度が低いため、均質粘性流体の粘度が低く、加工性に劣り、例えば、中空糸状に押出した際、溶液粘度が低いため固化するまで形状を保持できず、糸切れを生じるという問題があった。また、冷却固化の際に溶媒の蒸発と混合物の固化が競争的に生じるために多孔質体表面に孔を形成できないという問題点もあった。さらに、これらの問題点により、多孔質自体も表面積が小さく、微細な孔径を数多く有するPAS多孔質体が得られなかった。
このため、透過性能や分画性能が十分でなく、特に、医療分野、例えば透析で用いられるとき限外ろ過膜では、有害な物質の放出がないという本質的な特徴を有さなければならないことから、孔径が小さいだけでなく、表面積が大きいPAS多孔質体が求められていた。
特表平7−500527号公報
そこで本発明が解決しようとする課題は、加工性に優れ、表面積が大きく、かつ孔径の小さいポリアリーレンスルフィド樹脂を含む多孔質体およびその製造方法を提供することにある。
本願発明者らは種々の検討を行った結果、原料としてポリアリーレンスルフィド樹脂に加え、非晶性の熱可塑性樹脂と、当該熱可塑性樹脂を溶解する溶媒とを併用することによって、成形性が優れるだけでなく、表面積が大きく、かつ孔径の小さい多孔質体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る工程1、
前記溶解物を押し出す工程2、
押し出した押出物を冷却固化させ、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)とを相分離させる工程3、
前記熱可塑性樹脂(a2)を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を溶解させず、かつ前記溶媒(b)と相溶する溶媒(c)を用いて、得られた押出物から前記熱可塑性樹脂(a2)及び前記溶媒(b)を除去する工程4、を必須工程として有する多孔質体の製造方法、に関する。
また、本発明は、内部に複数の空孔を有する多孔質体であって、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を含有し、BET比表面積が0.1〜100〔m/g〕の範囲であり、かつ孔径が0.01〜2.0〔μm〕の範囲であり、空孔分布において当該平均孔径の範囲に少なくとも2つのピークが存在するものである多孔質体、に関する。
本発明により、加工性に優れ、表面積が大きく、かつ孔径の小さいポリアリーレンスルフィド樹脂を含む多孔質体およびその製造方法を提供することができる。
実施例7で得られた多孔質体について、SEMで撮影した画像である(倍率5000倍)。
本発明の多孔質体の製造方法は、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る工程1、
前記溶解物を押し出す工程2、
押し出した押出物を冷却固化させ、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)とを相分離させる工程3、
前記熱可塑性樹脂(a2)を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を溶解させず、かつ前記溶媒(b)と相溶する溶媒(c)を用いて、得られた押出物から前記熱可塑性樹脂(a2)及び前記溶媒(b)を除去する工程4、を必須工程として有する。以下、詳述する。
本発明の製造方法は、まず始めに、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る工程(以下、工程1と言うことがある)を有する。
ここで、本発明に使用するポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)は、芳香族環と硫黄原子とが結合した構造を繰り返し単位とする樹脂構造を有するものであり、具体的には、下記式(1)
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、ニトロ基、アミノ基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基を表す。)で表される構造部位と、下記式(2)
で表される3官能性の構造部位と、を繰り返し単位とする樹脂である。下記式(8)で表される3官能性の構造部位は、他の構造部位との合計モル数に対して、0.001〜3モル%が好ましく、特に0.01〜1モル%であることが好ましい。
ここで、前記式(1)で表される構造部位は、特に該式中のR及びRは、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の機械的強度の点から水素原子であることが好ましく、その場合、下記式(3)で表されるパラ位で結合するもの、及び下記式(4)で表されるメタ位で結合するものが挙げられる。
これらの中でも、特に繰り返し単位中の芳香族環に対する硫黄原子の結合は前記構造式(3)で表されるパラ位で結合した構造であることが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性や結晶性の面で好ましい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a)は、前記式(1)や式(2)で表される構造部位のみならず、下記の構造式(5)〜(8)
で表される構造部位を、前記式(1)と式(2)で表される構造部位との合計の30モル%以下で含んでいてもよい。特に本発明では上記式(5)〜(8)で表される構造部位は10モル%以下であることが、ポリアリーレンスルフィド樹脂の耐熱性、機械的強度の点から好ましい。前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a)中に、上記式(5)〜(8)で表される構造部位を含む場合、それらの結合様式としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体の何れであってもよい。
また、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a)は、その分子構造中に、ナフチルスルフィド結合などを有していてもよいが、他の構造部位との合計モル数に対して、3モル%以下が好ましく、特に1モル%以下であることが好ましい。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物や、その他の共重合成分とを、硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、2)ジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物や、その他の共重合成分とを、極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下に、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールと、更に必要ならばその他の共重合成分とを自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中で、スルフィド化剤とジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物とを反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と、更に必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物と、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モルの範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物との具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18のアルキル基を核置換基として有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物として1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
重合工程により得られたポリアリーレンスルフィド樹脂を含む反応混合物の後処理方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(1)重合反応終了後、先ず反応混合物をそのまま、あるいは酸または塩基を加えた後、減圧下または常圧下で溶媒を留去し、次いで溶媒留去後の固形物を水、反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に中和、水洗、濾過および乾燥する方法、或いは、(2)重合反応終了後、反応混合物に水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素などの溶媒(使用した重合溶媒に可溶であり、且つ少なくともポリアリーレンスルフィドに対しては貧溶媒である溶媒)を沈降剤として添加して、ポリアリーレンスルフィドや無機塩等の固体状生成物を沈降させ、これらを濾別、洗浄、乾燥する方法、或いは、(3)重合反応終了後、反応混合物に反応溶媒(又は低分子ポリマーに対して同等の溶解度を有する有機溶媒)を加えて撹拌した後、濾過して低分子量重合体を除いた後、水、アセトン、メチルエチルケトン、アルコール類などの溶媒で1回または2回以上洗浄し、その後中和、水洗、濾過および乾燥をする方法、(4)重合反応終了後、反応混合物水を加えて水洗浄、ろ過、必要に応じて水洗浄の時に酸を加えて酸処理し、乾燥をする方法、(5)重合反応終了、反応混合物をろ過し、必要に応じ、反応溶媒で1回または2回以上洗浄し、更に水洗浄、ろ過および乾燥する方法、等が挙げられる。
尚、上記(1)〜(5)に例示したような後処理方法において、ポリアリーレンスルフィド樹脂の乾燥は真空中で行なってもよいし、空気中あるいは窒素のような不活性ガス雰囲気中で行なってもよい。
また、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、酸素濃度が5〜30体積%の範囲の酸化性雰囲気中あるいは減圧条件下で熱処理を行い、酸化架橋させることもできる。
本発明で用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、好ましくは0.90〜2.50の範囲であり、さらに好ましくは0.95〜1.95の範囲である。また、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の溶融粘度は、本発明の効果を損ねなければ特に限定されるものではないが、好ましくは300℃で測定した溶融粘度(V6)が1〜1500〔Pa・s〕の範囲であり、より好ましくは10〜500〔Pa・s〕の範囲である。
ただし、300℃で測定した溶融粘度(V6)とは、フローテスターを用いて、温度300℃、荷重1.96MPa、オリフィス長とオリフィス径との、前者/後者の比が10/1であるオリフィスを使用して6分間保持した後の溶融粘度を表す。また、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
[ただし、SRは剪断速度(秒−1)、SSは剪断応力(ダイン/cm)、そしてKは定数を示す。]N値は1に近いほどポリアリーレンスルフィドは線状に近い構造であり、N値が高いほど架橋が進んだ構造であることを示す。
本発明に用いる非晶性の熱可塑性樹脂(a2)としては、本発明の効果を損ねなければものであれば特に限定されるものではないが、ガラス転移温度が工程1における加熱溶融する温度以下のものであることが好ましく、さらに具体的には、ガラス転移温度が270℃以下であることがより好ましく、さらにガラス転移温度が50〜270℃のものであることが最も好ましい。具体的には、ポリカーボネート樹脂や、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテルに代表されるポリアリーレンエーテルや、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンオキサイド、スルホン化ポリアリーレンスルホン、スルホン化ポリアリーレンスルフィドスルホンなどに代表されるスルホン化芳香族ポリエーテルスルホンや、スルホン化ポリアリーレンエーテルケトン、スルホン化ポリアリーレンエーテルエーテルケトンなどに代表されるスルホン化芳香族ポリエーテルケトンが挙げられ、このうち、スルホン化ポリアリーレンスルホン、スルホン化ポリアリーレンスルフィドスルホンなどに代表されるスルホン化芳香族ポリエーテルスルホンが好ましい。
前記熱可塑性樹脂(a2)の好ましい態様の一つは、下記化学式
で表されるスルホン化ポリフェニルスルホンが好ましいものとして挙げられる。このような熱可塑性樹脂(a2)は、例えば、ウルトラソンP(BASF社、登録商標)、レーデルR(ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社、登録商標)などの市販されているポリフェニルスルホンを、公知の方法でスルホン化することにより得られる。
次に、前記溶媒(b)としては、融点が100℃以下で、かつポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒であれば特に限定されるものではないが、融点が100℃以下で、ハンセン溶解パラメータ(以下、SP値ということがある)が24.0〜48.0〔MPa1/2〕の範囲の溶媒が好ましい溶媒として挙げられる。ただし、本発明で用いるハンセン溶解パラメータは、溶媒(b)とポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)との親和性または溶媒(b)と前記熱可塑性樹脂(a2)との親和性を評価するために用いられるパラメータであり、溶剤の溶解パラメータを定義する方法として当業者には良く知られており、例えば「INDUSTRIAL SOLVENTSHANDBOOK」(pp.35−68、Marcel Dekker, Inc.、1996年発行)や、「HANSEN SOLUBILITY PARAMETERS:A USER’S HANDBOOK」(pp.1−41,CRC Press,1999)「DIRECTORYOF SOLVENTS」(pp.22−29、Blackie Academic & Professional、1996年発行)などに記載されている。本発明においてハンセン溶解度パラメータは、溶媒の化学構造に基づいてハンセン溶解度パラメータを算出してもよいし、また前記参考文献中に記載された値のものを用いてもよい。溶媒の化学構造に基づいてハンセン溶解度パラメータを算出する場合には、HSPソフトに溶媒の構造式を入力して、計算することができる。具体的には、チャールズハンセンらによって開発されたソフトフェア(ソフト名:Hansen Solubility Parameter in Practice(HSPiP)Version 3.0.38)で求めることができる。算出は、溶媒温度を25℃として行うものとする。
このような溶媒(b)として、具体的にはベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、4,4’−ジブロモビフェニル、1−フェニルナフタレン、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジフェニルオキサゾール、トリフェニルメタノール、N,N−ジフェニルホルムアミド、ベンジル、アントラセン、4−ベンゾイルビフェニル、ジベンゾイルメタン、2−ビフェニルカルボン酸、ジベンゾチオフェン、ペンタクロロフエノール、1−ベンジル−2−ピロリジオン、9−フルオレノン、2−ベンゾイルナフタレン、1−ブロモナフタレン、1,3−ジフェノキシベンゼン、フルオレン、1−フェニル−2−ピロリジノン、1−メトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、1,3−ジフェニルアセトン、1,4−ジベンゾイルプタン、フェナントレン、4−ベンゾイルビフェニル、1,1−ジフェニルアセトン、0,0’−ビフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、トリフェニレン、2−フェニルフェノール、チアントレン、3−フェノキシベンジルアルコール、4−フェニルフェノール、9,10−ジクロロアントラセン、トリフェニルメタン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、9,10−ジフェニルアントラセン、フルオランテン、ジフェニルフタレート、ジフェニルカルボネート、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、4−ブロモジフェニルエーテル、ピレン、9,9’−ビ−フルオレン、4,4’−イソプロピルリデン−ジフェノール、イプシロン−カプロラクタム、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ジフェニルイソフタレート及びジフェニルーターフタレート、1−クロロナフタレンからなる群から選ばれる1種以上の溶媒が挙げられる。
このうち、沸点が255℃以上と高く、SP値がポリアリーレンスルフィド樹脂(SP値42.2)に近く、相溶性が優れることから好ましい。例えば、ベンゾフェノン(SP値41.2)、ジフェニルエーテル(SP値40.0)、ジフェニルスルフィド(SP値40.2)、1,3−ジフェニルアセトン(SP値42.4)、4−ブロモジフェニルエーテル(SP値44.7)、4−ブロモビフェニル(SP値42.4)、2−ベンゾイルナフタレン(SP値45.1)、2−フェニルフェノール(SP値46.8)からなる群から選ばれる1種以上の溶媒であることが好ましい。特に、常温で固体であることからベンゾフェノン、1,3−ジフェニルアセトン、4−ブロモビフェニル、2−ベンゾイルナフタレン、2−フェニルフェノールが好ましい。
常温(23℃)で固体である溶媒を用いると、例えば液浴や冷却ロールに落とした際にすぐに固化し、溶媒相の液浴や冷却ロールへの流出が無いため、表面に固化した溶媒相が形成するため好ましい。表面に固化した溶媒相が形成すると、次に、その溶媒をアセトン等で抽出除去することによって、外表面に孔が形成し、多孔質体内部まで孔が出来やすくなる。
さらに上記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)に加え、本発明の特性を損ねない範囲で他の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑材、顔料、染料、有機ないし無機の微粒子、充填材、核剤などを配合することもできる。
工程1は、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)と、前記溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る。ここで、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)との加熱溶解は、非酸化性雰囲気下で行っても良い。なお、非酸化性雰囲気とは気相の酸素濃度が5体積%以下、好ましくは2体積%以下、更に好ましくは酸素を実質的に含有しない雰囲気、即ち窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることを指す。また、加熱溶解の温度としては、前記溶媒(b)の融点以上の範囲であるが、200〜350〔℃〕の範囲で、かつ、前記熱可塑性樹脂(a2)のガラス転移温度以上であることが好ましい。
さらに、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)との配合割合は、本発明の効果が損なわなければ特に限定されるものではないが、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)の合計100質量部に対して、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が1〜50質量部の範囲で、かつ前記熱可塑性樹脂(a2)が1〜40質量部の範囲で、溶媒(b)が90〜10質量部の範囲であることが均質流体粘度が得られ、かつ多孔質体内部まで孔が形成されやすくなる傾向となるため好ましく、さらに前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)の合計100質量部に対して、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が5〜45質量部の範囲で、かつ前記熱可塑性樹脂(a2)が2〜35質量部の範囲で、溶媒(b)が80〜20質量部の範囲であることがより好ましい。
前記加熱溶解は、公知の混練技術および混練装置や撹拌混合技術および撹拌混合装置が利用できる。具体的には、加熱装置を有する、一軸押出機、二軸混練押出機や攪拌翼付きの混合槽、溶解槽などが使用できる。
続いて、本発明は、前記工程1で得られた溶解物を押し出す工程(以下、工程2と言うことがある)を有する。溶解物は、押出機先端や溶解槽の釜底に取り付けたヘッドと呼ばれる部分に導かれ、押し出される。必要に応じて空気加圧や窒素加圧が行われる。このヘッド内の押出し口には、溶解物を所定の形状に押し出すための口金を装着することで所定の形状に溶解物を成形して押し出すことができる。ストランド状に押し出す場合には、ストランドダイを用い、またシート状またはフィルム状に押し出す場合にはTダイを用い、さらに、中空糸状に押し出す場合には中空糸成形用紡口を用いればよい。
続いて、本発明は、工程2で押し出した押出物を冷却固化させ、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)とを相分離させる工程(以下、工程3と言うことがある)を有する。
工程3では、前記工程2のヘッドから空中に押し出された溶解物が、(1)そのまま、ストランド状、中空糸状ないしフィルム状またはシート状で直接、液浴や冷却ロールに導かれ、液浴または冷却ロール通過中に、押出物中のポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)が固化する温度まで冷却されるか、(2)一旦、溶融物を平面上にキャストした後、250〜300〔℃〕の範囲、0.01〜20〔MPa〕の熱プレスを行い、シートないしフィルム状に賦形したものを、液浴に浸漬してポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)が固化する温度まで冷却されることで、熱誘起相分離が生じることとなる。液浴により冷却する場合、液浴の組成は、押出物と反応性を有さない液体でれば特に限定されることはなく、水、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられるが、通常は冷却能力が高い水を用いることが好ましい。また、押出物が150〔℃〕以下の範囲、好ましくは20〜100〔℃〕の範囲となる様、液浴の温度を90〔℃〕以下、好ましくは−10〜80〔℃〕の範囲、さらに好ましくは−10〜30〔℃〕の範囲で、かつ、用いる液体の熱容量を加味して、溶解物を150〔℃〕以下、好ましくは20〜100〔℃〕の範囲まで冷却するに十分な量を用いればよい。
また、冷却固化する際の冷却速度は、溶解物が、その溶解温度〔℃〕から液浴通過中に20〔℃〕以下まで冷却する間に要した時間〔秒〕として算出される値であり、50〜500〔℃/秒〕の範囲、好ましくは100〜200〔℃/秒〕の範囲である。50〔℃/秒〕以上だと、外表面の開孔性が向上し、内部まで孔が形成しやすくなるため好ましく、一方、500〔℃/秒〕以下になると温度調節が安定的になるため好ましい。
なお、ヘッドから空中に押し出された溶解物が、液浴または冷却ロールに導かれるまでの間に、エアーギャップにより冷却されるため、ヘッドから空中に押し出された溶解物が、液浴または冷却ロールに導かれるまでの時間は0.1〜60〔秒〕の範囲である。0.1〔秒〕以上であれば、温度調節が安定的になるため好ましく、一方、60〔秒〕以下になると外表面の溶媒の蒸発を抑制して外表面の開孔性が向上し、内部まで孔が形成するため好ましい。
本発明は、工程3で冷却固化させた押出物を、続いて、前記熱可塑性樹脂(a2)を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を溶解させず、かつ前記溶媒(b)と相溶する溶媒(c)を用いて、得られた押出物から前記熱可塑性樹脂(a2)及び前記溶媒(b)を除去する工程(以下、工程4と言うことがある)を有する。
工程4において、押出物中の前記溶媒(b)の除去は、前記熱可塑性樹脂(a2)を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を溶解させず、かつ溶媒(b)と相溶する、揮発性の溶媒(c)で抽出除去し、その後乾燥して押出物中に残存する前記溶媒(c)を揮発除去することで実施できる。このような溶媒(c)の例としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、メタノール、エタノール等の脂肪族アルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒や、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等のアミド系溶媒などを挙げることができる。
このように本発明の製造方法によれば、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒(b)と、特に好ましくは特定範囲のハンセン溶解パラメータを有する溶媒(b)とを組合せることによって、冷却固化後の押出物表面および内部に微細形状の溶媒(b)の固化相を形成させることができ、さらに、溶解物を50〜500℃/secの範囲で急冷固化させることで、外表面の溶媒(b)の蒸発を防ぎ、外表面に溶媒(b)の固化相を残して、孔の閉塞を抑制できることから、続く前記熱可塑性樹脂(a2)及び溶媒(b)の除去工程を経て、ポリアリーレンスルフィド樹脂を含む多孔質体に対し、微細な孔を形成することができる。
上記製造方法によって得られる多孔質体は、BET比表面積が0.1〜100〔m/g〕の範囲であり、より好ましくは1〜50〔m/g〕の範囲であり、さらに好ましくは3〜10〔m/g〕の範囲を有する。
また、本発明の多孔質体のSEM観察した結果からは、孔径が20〔nm〕〜10〔μm〕の範囲であり、好ましくは50〔nm〕〜5〔μm〕の範囲であり、孔径分布において当該孔径範囲に少なくとも2つのピークが存在する空孔を有するものである。ピークのうち、少なくとも一つは20〜200〔nm〕の範囲に存在するものであることが好ましく、さらに50〜100〔nm〕の範囲に存在するものであることがより好ましい。また、さらにピークのうち、少なくとも一つは0.5〜10〔μm〕の範囲に存在するものであることが好ましく、さらに1〜5〔μm〕の範囲に存在するものであることがより好ましい。
これらの空孔は、前記工程4において、前記押出物中に微粒子として分散した前記熱可塑性樹脂(a2)の微粒子と、前記溶媒(b)の微粒子を、前記溶媒(c)により除去して得られたものと考えられ、その結果、それぞれの微粒子の孔径に由来して、孔径分布において当該孔径範囲に少なくとも2つのピークが存在するものと考えられる。
本発明の多孔質体の空孔率は特に限定されるものではないが、好ましくは20〜80%の範囲であり、より好ましくは45〜75%の範囲である。
本発明の多孔質体は、耐熱性、耐薬品性に優れるだけでなく、表面積が大きく、かつ孔径が小さく、透過性または分画性に優れるため、半導体製造における不純物除去のための薬液ろ過膜や、医薬品製造、食品製造、化学工業品製造における合成原料や有機溶剤のろ過膜、電池セパレータや電気絶縁材、フィルター、抄紙カンバスなどに好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
(ポリアリーレンスルフィド樹脂、熱可塑性樹脂の溶融粘度の測定)
樹脂の溶融粘度は、島津製作所製フローテスター、CFT−500Cを用い、300℃、荷重:1.96×10Pa、L/D=10/1にて、6分間保持した後に測定した。
(溶解物の溶液粘度の測定)
工程1で得られた溶融物の溶融粘度は、温度を270℃、保持時間1分間としてこと以外は上記の溶融粘度の測定と同様に行った。
(ガラス転移温度)
各熱可塑性樹脂のサンプル5mgを採取し、示差走査型熱量計(DSC)にて、窒素雰囲気下で20℃から10℃/分にて290℃まで昇温させたときの発熱ピーク位置の温度をガラス転移点温度として評価した。
(多孔質体の孔径の測定)
実施例で得られた多孔質体をSEM装置(日本電子株式会社製「JSM−6360A」)を用いて観察して孔径測定を行った。内部観察においては、試料を液体窒素で凍結させた後破壊し、その破壊面をプラチナ蒸着させ、観察および孔径測定を行った。孔径は、SEM測定で得られた画像上で任意の100箇所を選択し、得られた孔径分布のピーク値を表1、2に記載した。なお、ピーク値が二つある場合は、併記した。
(多孔質体の空孔率の測定)
以下の式を用いて空孔率を算出した。
式中の記号は以下の通りである。
A:空孔率(%)
Wwet:溶媒相を除去する前の重量、
Wdry:溶媒相を除去した後の重量、
ρpoly:ポリマーの密度
ρsol:溶媒の密度
(多孔質体のBET表面積の測定)
BET表面積の測定にはオートソーブ(Quantachrome Instruments社製「AUTOSORB−1」)を使用した。試料をセルに入れた後、脱気した後ヘリウム置換、冷却し、窒素置換させることによってBET表面積を測定した。
(参考例1:ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造)
圧力計、温度計、コンデンサー、デカンター、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)33.511kg(228モル)、NMP2.280kg(23モル)、47.23質量%NaSH水溶液27.300kg(NaSHとして230モル)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533g(NaOHとして228モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300kgを留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp−DCBはデカンターで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp−DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.069kg(0.7モル)であったことから、仕込んだNMPの97モル%(22.3モル)がNMPの開環体(4−(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水Na2Sに変わる場合の理論脱水量は27.921kgであることから、オートクレーブ内の残水量621g(34.5モル)の内、401g(22.3モル)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの220g(12.2モル)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.053モルであった。
上記脱水工程終了後に、内温を160℃に冷却し、NMP47.492kg(479モル)に含む溶液を仕込み、185℃まで昇温した。オートクレーブ内の水分量は、工程2で仕込んだNMP1モル当たり0.025モルであった。ゲージ圧が0.00MPaに到達した時点で、精留塔を連結したバルブを開放し、内温200℃まで1時間掛けて昇温した。この際、精留塔出口温度が110℃以下になる様に冷却とバルブ開度で制御した。留出したp−DCBと水の混合蒸気はコンデンサーで凝縮し、デカンターで分離して、p−DCBはオートクレーブへ戻した。留出水量は179g(9.9モル)で、オートクレーブ内水分量は41g(2.3モル)で、脱水後に仕込んだNMP1モル当たり0.005モルで、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.010モルであった。オートクレーブ内のSMAB量は脱水時と同じく、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で3時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。内温200℃時点のゲージ圧は0.03MPaで、最終ゲージ圧は0.30MPaであった。冷却後、得られたスラリーの内、6.5kgを30リットルの80℃温水に注いで1時間撹拌した後、濾過した。このケーキを再び30リットルの温水で1時間撹拌し、洗浄した後、濾過した。次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、酢酸でpHを4.5に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。さらに得られたケーキに30リットルの温水を加え。1時間撹拌したのち、ろ過する操作を2回繰返して、熱風循環乾燥機を用い120℃で一晩乾燥して白色粉末上のPPS樹脂(以下、PPS−1)を得た。得られたPPS樹脂の溶融粘度(V6)は172Pa・sであった。
(参考例2:ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造)
圧力計、温度計、コンデンサーを連結した撹拌翼および底弁付き150リットルオートクレーブに、45%水硫化ソーダ(47.65質量%NaSH)14.118kg、48%苛性ソーダ(48.72質量%NaOH)9.468kgと、N−メチル−2−ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水12.012kgを留出させた(残存する水分量はNaSH1モル当り1.07モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン16.985kg及びN−メチル−2−ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いてゲージ圧で0.1MPaに加圧して昇温を開始した。昇温して260℃になった時点でオートクレーブ上部を散水することで冷却しながら、260℃で3時間反応した。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。反応中の最高圧力は、0.87MPaであった。反応後、冷却し、100℃で底弁を開き、反応スラリーを150リットル平板ろ過機に移送し120℃で加圧ろ過した。得られたケーキに70℃温水50kgを加え撹拌したのち、濾過し、さらに温水25kgを加え濾過した。次に温水25kg加え、酢酸でpHを4.5に調整し、1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加え、濾過した。さらに、温水25kgを加え1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加えろ過する操作を2回繰り返した。得られたケーキを熱風循環乾燥機を用いて120℃で15時間乾燥し、PPS−2を得た。得られたポリマーの溶融粘度50Pa・sであった。
(参考例3:スルホン化PPSUの製造方法)
ポリフェニルスルホン(BASF社製 Ultrason P3010)を140℃で24時間乾燥させた。続いて、乾燥させたポリフェニルスルホン80gに対し、ジクロロメタンを500ml加え12時間攪拌、膨潤させた。その後さらにジクロロメタンを600ml加え、氷浴で10℃まで冷却させた。クロロスルホン酸35mlを1時間かけて滴下した。その後、無水酢酸を10ml滴下した。5〜10℃を維持して7時間攪拌させた。その後、純水に反応液を投入することにより反応を停止させ、pH5〜6となるまで純水で洗浄し、72時間60℃にて真空乾燥させることで、スルホン化PPSU(S−PPSU1)を得た。
得られたS−PPSUのスルホン化度(DS:Degree of Sulfonation)はHartmann-thompson et al,Journal of Applied Polymer Science, Volume 110, Issue 2, p958−974,2008に基づき算出した。すなわち、d-DMSOに溶解させた後、H-NMRにより算出した。PPSU高分子構造中にあるビフェニル骨格のオルト位にスルホン基がある時(約7.9ppm)の積分値を、スルホン基が無いとき(約7.6ppm)およびある時のピークの積分値の和で割り100を掛けた値をスルホン化度とした。得られた。S−PPSUのスルホン化度は51%であった。また、ガラス転移温度は220℃であった。
(実施例1〜8、比較例1〜3)
・工程1
表1〜3に記載した配合比でポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)、ジフェニルケトン(b)を混ぜ合わせた後、小型二軸押出機(DSM Explore社製「Compounder15」)を用いて混練温度270 ℃、回転数250 rpm、滞留時間1分にて混練を行い、ポリアリーレンスルフィド樹脂と溶媒が相溶した溶融物となったことを確認した。
・工程2
続いて、前記小型二軸押出機に取り付けたヘッドから溶融物をストランド状に押出した。
・工程3
ストランド状に押出した押出物は、次いで3.5cmのエアーギャップを通過させた後、20℃のイオン交換水を充分量満たした液浴へ導き、冷却固化させた。なお、この冷却固化課程では、押出物を270℃から20℃まで1.25〔秒〕で冷却固化させ、冷却速度が200〔℃/秒〕となるよう調整した。
・工程4
その後、得られたストランドをアセトン浸漬して、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)、ジフェニルケトン(b)を除去し、50℃の真空乾燥機を用いて3時間乾燥して、ストランド状のポリアリーレンスルフィド樹脂を含む多孔質体を得た。得られたポリアリーレンスルフィド樹脂多孔質体について各測定を行った結果を表1〜3に記載した。
※表中の記号は次のものを表す。
DPK:ジフェニルケトン
PES:ポリエーテルスルホン(BASF社製PES Ultrason E1010、300℃における溶融粘度(V6a)約4000〔Pa・s〕、ガラス転移温度220℃)
PPSU:ポリフェニルスルホン(BASF社製Ultrason P3010、溶融粘度1,700Pa・s、結晶性)
比較例1〜2はポリアリーレンスルフィド樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有させなかったことによりスピノーダル分解速度が速くなり、空いた孔径が大きくなっただけでなく、空孔率および比表面積も小さいものであった。また孔径分布におけるピークは1つであった。参考例1は工程4においてPPSUがアセトン溶媒により除去されなかったため、SEM観察によりPPSUが微粒子として分散した状態であり、孔径分布におけるピークは1つであった。

Claims (15)

  1. ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)と、融点が100℃以下でかつ該ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)と、前記熱可塑性樹脂(a2)とを溶解可能な溶媒(b)とを加熱溶解させて相溶した溶解物を得る工程1、
    前記溶解物を押し出す工程2、
    押し出した押出物を冷却固化させ、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)及び前記熱可塑性樹脂(a2)と前記溶媒(b)とを相分離させる工程3、
    前記熱可塑性樹脂(a2)を溶解させるが前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を溶解させず、かつ前記溶媒(b)と相溶する溶媒(c)を用いて、得られた押出物から前記熱可塑性樹脂(a2)及び前記溶媒(b)を除去する工程4、を必須工程として有する多孔質体の製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂(a2)は、ガラス転移温度が270℃以下である請求項1記載の多孔質体の製造方法。
  3. 工程1において、加熱溶解する温度が非晶性の熱可塑性樹脂(a2)のガラス転移温度以下である請求項1又は2記載の多孔質体の製造方法。
  4. 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の300℃における溶融粘度が1〜1500Pa・sの範囲である請求項1〜3の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  5. 前記溶媒(b)はハンセン溶解パラメータが24.0〜48.0〔MPa1/2〕の範囲である請求項1〜4の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  6. 前記溶媒(b)が、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド、1,3−ジフェニルアセトン、4−ブロモジフェニルエーテル、4−ブロモビフェニル、2−ベンゾイルナフタレンおよび2−フェニルフェノールからなる群から選ばれる1種以上の溶媒である請求項1〜5の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  7. 前記溶媒(c)は、ケトン系溶媒、脂肪族アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、塩素化炭化水素系溶媒およびアミド系溶媒からなる群から選ばれる1種以上の溶媒である請求項1〜6の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  8. 前記工程1において、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)、前記熱可塑性樹脂(a2)及び前記溶媒(b)の合計100質量部(a1+a2+b)に対して、前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)が1〜50質量部の範囲であり、前記熱可塑性樹脂(a2)が1〜40質量部の範囲であり、前記溶媒(b)が90〜10質量部の範囲である請求項1〜7の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  9. 前記工程3において、冷却固化が50〜500〔℃/sec〕の範囲となる冷却速度である請求項1〜8の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  10. 前記工程3において冷却固化が、前記溶媒(b)に対する前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)の溶解温度から、150〔℃〕以下の範囲まで冷却する請求項1〜9の何れか一項記載の多孔質体の製造方法。
  11. 内部に複数の空孔を有する多孔質体であって、ポリアリーレンスルフィド樹脂(a1)を含有し、BET比表面積が0.1〜100〔m/g〕の範囲であり、かつ孔径が20〔nm〕〜10〔μm〕の範囲であり、孔径分布において当該孔径範囲に少なくとも2つのピークが存在するものであることを特徴とする多孔質体。
  12. ピークのうち、少なくとも一つは20〜200〔μm〕の範囲に存在する、請求項11記載の多孔質体。
  13. ピークのうち、少なくとも一つは0.5〜10〔μm〕の範囲に存在する、請求項11又は12記載の多孔質体。
  14. 前記空孔が、少なくとも、非晶性の熱可塑性樹脂(a2)からなる微粒子が分散したポリアリーレンスルフィド樹脂組成物から、該微粒子を除去して形成されたものである、請求項11〜13の何れか一項記載の多孔質体。
  15. 前記熱可塑性樹脂(a2)は、ガラス転移温度が270℃以下である請求項14記載の多孔質体。
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