JP2015205235A - 活性炭を用いるトリアジン化合物からのパラジウムの除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 材料寿命や有機EL素子寿命に悪影響を与えるパラジウムの含有量が極めて少ないトリアジン化合物が求められている。
【解決手段】
パラジウムを含有するトリアジン化合物を、有機溶媒存在下、活性炭と混合する。
【選択図】 なし
【解決手段】
パラジウムを含有するトリアジン化合物を、有機溶媒存在下、活性炭と混合する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、活性炭を用いるパラジウムを含有するトリアジン化合物が溶解した溶液からパラジウムを除去する方法に関する。
トリアジン化合物は、医薬品、電子材料に用途展開が期待されている化合物である。近年のパラジウム触媒カップリング合成技術の進歩により、様々なトリアジン化合物が創生されている。一方で、パラジウム触媒を用いたカップリング反応では、生成物にパラジウムが混入するという問題があり、その除去方法が検討されている。例えば、活性白土やゼオライトを用いる方法(例えば、特許文献1)、アルミナを用いる方法(例えば、特許文献2)が開示されている。
例えば、電子材料の分野ではトリアジン化合物が有機EL素子用材料としても有効であるが、不純物としてのパラジウムがトリアジン化合物自体の材料寿命や有機EL素子寿命の低下の原因となっていることが示唆されている。そのため、パラジウム含有量が極めて少ない(例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析装置の検出限界以下)材料が求められている。
当該課題は、有機EL素子の品質安定化や、有機EL素子用材料の品質安定化のために解決しなければならない喫緊の課題であった。
発明者らが検討したところ、本願の比較例で示したように、パラジウムを含有するトリアジン化合物に対して、特許文献1及び2に示された方法を用いても、市場要求を満たすほど十分なパラジウム除去が達成できないことが判明した。
本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、トリアジン化合物からのパラジウム除去については、数ある吸着剤の中でも活性炭が極めて効果的であることを見いだし、本願発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、パラジウムを含有するトリアジン化合物を、有機溶媒存在下、活性炭と混合することを特徴とするパラジウム除去方法である。
また、本発明は、当該パラジウム除去方法を用いることを特徴とする、パラジウム含有量が1ppm未満のトリアジン化合物の製造方法である。
また、本発明は、当該パラジウム除去方法を用いて製造されるパラジウム含有量が1ppm未満のトリアジン化合物である。
本発明は、パラジウムを含有するトリアジン化合物から、パラジウムを除去する極めて効果的な方法を提供するものである。
本発明に基づいてパラジウムを除去されたトリアジン化合物は、パラジウム含有量が極めて少ないものであり、トリアジン化合物自体の材料寿命や当該トリアジン化合物を用いた有機EL素子寿命に与える悪影響が極めて少ないものである。そのため、当該パラジウム除去方法を用いて製造されたトリアジン化合物を含有する有機EL素子については、長寿命化や品質安定化向上が期待され、産業上極めて有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、パラジウムを含有するトリアジン化合物を、有機溶媒存在下、活性炭と混合することを特徴とするパラジウム除去方法、及び当該除去方法を用いて製造されるパラジウム含有量が1ppm未満である下記一般式(1)
Ar1は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を表す。
Ar2は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40のヘテロ芳香族基を表す。
Ar3は、同一の置換基を表し、炭素数1〜40の置換基を表す。)
で表されるトリアジン化合物である。
本発明において、パラジウムは、特に限定するものではないが、金属パラジウム、パラジウムイオン(例えば、Pd+,Pd2+)、パラジウム錯体(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウムクロロホルム錯体,π−アリルパラジウム錯体)、パラジウム塩(例えば、塩化パラジウム(II),臭化パラジウム(II),酢酸パラジウム(II))、パラジウム触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0),トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0),ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II),ジクロロテトラアンミンパラジウム(II),ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II))等を挙げることができる。
本発明において、トリアジン化合物は、トリアジン基を含有する一般公知のものであれば、特に限定されるものではない。
産業上の有効性から、当該トリアジン化合物は、下記一般式(1)
Ar1は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を表す。
Ar2は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40のヘテロ芳香族基を表す。
Ar3は、同一の置換基を表し、炭素数1〜40の置換基を表す。)
で表されるトリアジン化合物であることが好ましい。
上記一般式(1)において、Ar1は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数6〜40の芳香族炭化水素基を表す。
当該アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数6〜40の芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、ビフェニリル基、4−メチルビフェニル−4−イル基、4−エチルビフェニル−4−イル基、4−n−ブチルビフェニル−4−イル基、4−n−オクチルビフェニル−4−イル基、4−メトキシビフェニル−4−イル基、4−エトキシビフェニル−4−イル基、4−n−ブトキシビフェニル−4−イル基、4−n−オクチルオキシビフェニル−4−イル基、ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−n−ブチルナフタレン−1−イル基、4−n−オクチルナフタレン−1−イル基、4−メトキシナフタレン−1−イル基、4−トキシナフタレン−1−イル基、4−n−ブトキシナフタレン−1−イル基、4−n−オクチルオキシナフタレン−1−イル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニリル基、又はピレニル基等が挙げられる。
Ar1としては、パラジウム除去効率に優れる点で、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基であることが好ましく、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、又はピレニル基(これらの置換基は、各々独立して、メチル基又はメトキシ基を有していてもよい)がより好ましい。
なお、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基としては、特に限定するものではないが、ナフチル基、4−メチルナフタレン−1−イル基、4−エチルナフタレン−1−イル基、4−n−ブチルナフタレン−1−イル基、4−n−オクチルナフタレン−1−イル基、4−メトキシナフタレン−1−イル基、4−トキシナフタレン−1−イル基、4−n−ブトキシナフタレン−1−イル基、4−n−オクチルオキシナフタレン−1−イル基、アントラセニル基、フェナントリル基、フルオランテニル基、トリフェニリル基、又はピレニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)において、Ar2は、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40のヘテロ芳香族基を表す。
当該アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40のヘテロ芳香族基としては、特に限定するものではないが、ピリジル基、6−メチルピリジン−2−イル基、5−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、6−メチルピリジン−3−イル基、5−メチルピリジン−3−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、6−メトキシピリジン−2−イル基、5−メトキシピリジン−2−イル基、4−メトキシピリジン−2−イル基、6−メトキシピリジン−3−イル基、5−メトキシピリジン−3−イル基、4−メトキシピリジン−3−イル基、3−メトキシピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル基、ピラジル基、6−メチルピラジン−2イル基、5−メチルピラジン−2−イル基、5,6−ジメチルピラジン−2−イル基、6−メトキシピラジン−2イル基、5−メトキシピラジン−2−イル基、5,6−ジメトキシピラジン−2−イル基、キノリル基、イソキノリル基、2−メチルキノリン−4−イル基、4−メチルキノリン−2−イル基、2−メトキシキノリン−4−イル基、4−メトキシキノリン−2−イル基、イソキノリル基、3−メチルイソキノリン−8−イル基、8−メチルキノリン−3−イル基、3−メトキシイソキノリン−8−イル基、8−メトキシキノリン−3−イル基、キノキサリル基、2−ピリジルベンゼン−4−イル基、3−ピリジルベンゼン−4−イル基、4−ピリジルベンゼン−4−イル基、2−ピリジルベンゼン−3−イル基、3−ピリジルベンゼン−3−イル基、4−ピリジルベンゼン−3−イル基、6−メチルピリジン−2−イルベンゼン−4−イル基、4−メチルピリジン−3−イルベンゼン−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イルベンゼン−4−イル基、6−メチルピリジン−2−イルベンゼン−3−イル基、4−メチルピリジン−3−イルベンゼン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イルベンゼン−3−イル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチオフェニル基等が挙げられる。
Ar2としては、パラジウム除去効率に優れる点で、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基であることが好ましく、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、又はイソキノリル基(これらの置換基は、各々独立して、メチル基又はメトキシ基を有していてもよい)がより好ましい。
前記のアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基としては、特に限定するものではないが、例えば、ピリジル基、6−メチルピリジン−2−イル基、5−メチルピリジン−2−イル基、4−メチルピリジン−2−イル基、6−メチルピリジン−3−イル基、5−メチルピリジン−3−イル基、4−メチルピリジン−3−イル基、3−メチルピリジン−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イル基、6−メトキシピリジン−2−イル基、5−メトキシピリジン−2−イル基、4−メトキシピリジン−2−イル基、6−メトキシピリジン−3−イル基、5−メトキシピリジン−3−イル基、4−メトキシピリジン−3−イル基、3−メトキシピリジン−4−イル基、2−メトキシピリジン−4−イル基、ピリミジル基、4,6−ジメチルピリミジン−2−イル基、4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル基、ピラジル基、6−メチルピラジン−2イル基、5−メチルピラジン−2−イル基、5,6−ジメチルピラジン−2−イル基、6−メトキシピラジン−2イル基、5−メトキシピラジン−2−イル基、5,6−ジメトキシピラジン−2−イル基、キノリル基、2−メチルキノリン−4−イル基、4−メチルキノリン−2−イル基、2−メトキシキノリン−4−イル基、4−メトキシキノリン−2−イル基、イソキノリル基、3−メチルイソキノリン−8−イル基、8−メチルキノリン−3−イル基、3−メトキシイソキノリン−8−イル基、8−メトキシキノリン−3−イル基、キノキサリル基、2−ピリジルベンゼン−4−イル基、3−ピリジルベンゼン−4−イル基、4−ピリジルベンゼン−4−イル基、2−ピリジルベンゼン−3−イル基、3−ピリジルベンゼン−3−イル基、4−ピリジルベンゼン−3−イル基、6−メチルピリジン−2−イルベンゼン−4−イル基、4−メチルピリジン−3−イルベンゼン−4−イル基、2−メチルピリジン−4−イルベンゼン−4−イル基、6−メチルピリジン−2−イルベンゼン−3−イル基、4−メチルピリジン−3−イルベンゼン−3−イル基、2−メチルピリジン−4−イルベンゼン−3−イル基等が挙げられる。
上記一般式(1)において、Ar3は、同一の置換基を表し、炭素数1〜40の置換基を表す。
当該炭素数1〜40の置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、総炭素数6〜40のアリール基、総炭素数3〜40のヘテロアリール基、炭素数1〜40のアルキル基、炭素数1〜40のアルコキシル基、シアノ基等が挙げられる。
Ar3において、総炭素数6〜40のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、ビフェニリル基、ナフチル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、又はピセニル基等が挙げられる。このうち、トリアジン化合物の安定性の点で、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、ビフェニリル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、又はナフチル基が好ましい。
Ar3において、総炭素数3〜40のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、キノリル基、ピリジル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ジベンゾチオフェニル基、又はN−カルバゾリル基等が挙げられる。
Ar3において、炭素数1〜40のアルキル基としては、ハロゲン元素やアリール基を有していてもよい総炭素数1〜40のアルキル基が挙げられ、以下に限定されるものではないが、具体的には、メチル基、フルオロメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、プロピン基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ステアリル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、1,3−シクロヘキサジエニル基、又は2−シクロペンテン−1−イル基等を例示することができる。
Ar3において、炭素数1〜40のアルコキシ基としては、ハロゲン元素やアリール基を有していてもよい総炭素数1〜40のアルコキシ基が挙げられ、以下に限定されるものではないが、具体的には、メトキシ基、フルオロメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、プロピンオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ステアリルオキシ基、トリクロロメチルオキシ基、トリフルオロメチルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−シクロヘキサジエニルオキシ基、又は2−シクロペンテン−1−イルオキシ基等を例示す
Ar3としては、パラジウム除去効率に優れる点で、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基又はアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基であることが好ましく、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、ビフェニリル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、又はナフチル基であることがさらに好ましい。
Ar3としては、パラジウム除去効率に優れる点で、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基又はアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基であることが好ましく、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、ビフェニリル基、9−フェナントリル基、9,9−ジアルキル−フルオレン−2−イル基、又はナフチル基であることがさらに好ましい。
なお、Ar3における、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基及びアルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基は、それぞれ前記の通りの定義である。
本発明において、有機溶媒としては、トリアジン化合物が十分に溶解する不活性溶媒であればよく、特に限定するものではないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶媒や、ジエチルエーテル、テトラハイドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル系有機溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等が挙げられる。これらのうち、パラジウムのベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族系有機溶媒が好ましい。
本発明において、活性炭としては、従来公知のものであれば、特に限定するものではないが、例えば、粉末活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ペレット炭、ヤシガラ粉砕炭、石炭破砕炭、又は石炭系造粒炭等が挙げられる。
本発明において使用される活性炭の使用量は、通常、トリアジン化合物100gに対して0.1〜50gの範囲が好ましく、1〜20gの範囲がより好ましい。
本発明は、常圧下、空気、窒素、又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うことができ、特に限定されるものではない。
パラジウムを含有するトリアジン化合物と活性炭を混合する温度は、溶媒が液体の状態を維持できるものであれば、特に限定するものではないが、−10〜170℃の範囲が好ましく、パラジウム除去効率を高めるため好ましくは、30〜150℃の範囲が好ましい。
本発明において、混合にかかる時間は、使用するトリアジン化合物の仕込み量、活性炭の使用量、溶媒量によって一定しないが、通常、数分〜5時間の範囲が好ましい。
本発明において、活性炭は、固液分離で除去することが好ましい。
活性炭を固液分離方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ろ紙、グラスフィルター、メンブレンフィルター、パンチング式スクリーン、スリット式スクリーン、又はワイヤーメッシュスクリーン等を用いてろ過する方法等が挙げられる。これらのうち、孔径4〜8μmのろ紙及び孔径5〜10μmのグラスフィルターが好ましい。
固液分離の温度は特に限定するものではないが、20〜170℃の範囲が好ましく、60〜120℃の範囲がより好ましい。
固液分離して得られたろ液を、エバポレータ等で濃縮乾固することにより、パラジウム含有量が1ppm未満のトリアジン化合物が得られる。
以下、本発明を実施例等によって本発明を具体的に記述する。しかし、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。
実施例−1
実施例−2
実施例−3
実施例−4
実施例−5
比較例−1
2350ppmのパラジウムを含有する化合物(2)(5.0g,7.83mmol)、粒径63〜200μmの中性アルミナ(メルク社製、0.50g)、トルエン(125g)を、冷却管を備えた500mLナスフラスコに加え、110℃1時間撹拌した。80℃まで放冷後、固形物をろ別し、ろ液を濃縮乾固することにより、化合物(2)を4.6g回収した(回収率92%)。この濃縮乾固物についてICP−AES分析を行った結果、パラジウムの含有量は88ppmであった。すなわち、パラジウムの除去率は96.2%であった。
2350ppmのパラジウムを含有する化合物(2)(5.0g,7.83mmol)、粒径63〜200μmの中性アルミナ(メルク社製、0.50g)、トルエン(125g)を、冷却管を備えた500mLナスフラスコに加え、110℃1時間撹拌した。80℃まで放冷後、固形物をろ別し、ろ液を濃縮乾固することにより、化合物(2)を4.6g回収した(回収率92%)。この濃縮乾固物についてICP−AES分析を行った結果、パラジウムの含有量は88ppmであった。すなわち、パラジウムの除去率は96.2%であった。
比較例−2
比較例−1において、化合物(2)の代わりに2600ppmのパラジウムを含有する化合物(3)を5.0g(8.89mmol)用いた以外は同様の操作を行ったところ、化合物(3)を4.7g回収した(回収率94%)。パラジウムの含有量は95ppmであり、すなわちパラジウムの除去率は96.3%であった。
比較例−1において、化合物(2)の代わりに2600ppmのパラジウムを含有する化合物(3)を5.0g(8.89mmol)用いた以外は同様の操作を行ったところ、化合物(3)を4.7g回収した(回収率94%)。パラジウムの含有量は95ppmであり、すなわちパラジウムの除去率は96.3%であった。
本発明のパラジウム除去方法によれば、他のパラジウム除去方法よりも簡便且つ強力にトリアジン化合物中のパラジウム不純物を除去することができる。
したがって、本方法によれば、パラジウム含有量が極めて少ないトリアジン化合物を工業的に容易に製造することができる。ひいては、パラジウムによるトリアジン化合物の分解や、トリアジン化合物を用いた有機EL素子の長寿命化に貢献するものである。
また、本発明は、トリアジン化合物中のパラジウム含有量を極めて少なくできるため、トリアジン化合物の品質管理の面で、産業上極めて有用なものである。
Claims (5)
- パラジウムを含有するトリアジン化合物を、有機溶媒存在下、活性炭と混合することを特徴とするパラジウム除去方法。
- Ar1が、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数10〜40の縮環芳香族炭化水素基であり、かつ、Ar2が、アルキル基又はアルコキシ基を有していてもよい総炭素数3〜40の含窒素複素芳香族基である、請求項2に記載のパラジウム除去方法。
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