JP2015204185A - マイクロ波イオン源およびそれに用いるシールド部材 - Google Patents

マイクロ波イオン源およびそれに用いるシールド部材 Download PDF

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Abstract

【課題】マイクロ波イオン源のプラズマ室内で発生する堆積物を低減する。【解決手段】マイクロ波イオン源10は、プラズマ室11の内部空間12にマイクロ波を軸方向に導入するためのマイクロ波導入窓16と、内部空間12を囲むように軸方向に延在する側壁15と、マイクロ波導入窓16と軸方向に対向する位置に設けられるイオン引出開口17と、を含むプラズマ室11と、内部空間12において側壁15に沿って設けられるライナ20と、内部空間12においてライナ20よりも内側に設けられ、内部空間12をプラズマ生成空間12aとプラズマ生成空間12aの外側に位置するマイクロ波遮蔽空間12bとに区画するシールド部材60と、を備える。シールド部材60は、プラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとを連通させる複数の小孔63を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロ波イオン源に用いるシールド部材に関する。
マイクロ波をプラズマ生成に用いるイオン源が知られている。真空のプラズマ室にマイクロ波が導入される。プラズマ室に供給された原料ガスがマイクロ波によって励起され、プラズマが生成される。プラズマからイオンが引き出される。
特開2003−308795号公報
プラズマ室の内壁は、ライナにより被覆される。ライナは、プラズマ室内で生成されるラジカルと反応し、ライナを構成する分子とラジカルが結合して、プラズマ室の内壁やイオン引出開口に付着して堆積する。イオン引出開口における堆積物が増えると、イオンの引出効率が低下し、生成されるイオンビームの品質やマイクロ波イオン源の運転継続性に影響を与えるおそれがある。
本発明のある態様の例示的な目的のひとつは、プラズマ室内で発生する堆積物の低減にある。
本発明のある態様のマイクロ波イオン源は、プラズマ室の内部空間にマイクロ波を軸方向に導入するためのマイクロ波導入窓と、内部空間を囲むように軸方向に延在する側壁と、マイクロ波導入窓と軸方向に対向する位置に設けられるイオン引出開口と、を含むプラズマ室と、内部空間において側壁に沿って設けられるライナと、内部空間においてライナよりも内側に設けられ、内部空間をプラズマ生成空間とプラズマ生成空間の外側に位置するマイクロ波遮蔽空間とに区画するシールド部材と、を備える。シールド部材は、プラズマ生成空間とマイクロ波遮蔽空間とを連通させる複数の小孔を有する。
本発明の別の態様は、シールド部材である。このシールド部材は、マイクロ波イオン源のプラズマ室に設けられるシールド部材であって、プラズマ室の軸方向に延在し、プラズマ室の内部空間をプラズマ生成空間とプラズマ生成空間の外側に位置するマイクロ波遮蔽空間とに区画する筒部と、筒部に設けられ、プラズマ生成空間とマイクロ波遮蔽空間とを連通させる複数の小孔と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、プラズマ室内で発生する堆積物を低減することができる。
実施の形態に係るマイクロ波イオン源を概略的に示す断面図である。 図1に示すマイクロ波イオン源のA−A線断面図である。 比較例に係るマイクロ波イオン源において堆積物が発生する様子を模式的に示す図である。 実施の形態に係るマイクロ波イオン源において堆積物の発生が低減する様子を模式的に示す図である。 他の実施の形態に係るマイクロ波イオン源を概略的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
図1は、実施の形態に係るマイクロ波イオン源10を概略的に示す断面図である。図2は、図1に示すマイクロ波イオン源10のA−A線断面図である。
マイクロ波イオン源10は、マイクロ波によって原料ガスのプラズマをプラズマ室11に生成し、そのプラズマからプラズマ室11の外部へイオンを引き出すように構成されている。マイクロ波イオン源10は、例えばイオン注入装置又は粒子線治療装置のためのイオン源に使用される。プラズマ室11は、プラズマが生成される空間であるプラズマ生成空間12aを含む内部空間12を囲む容器である。
プラズマ室11は、両端をもち直線的に延在する筒状の形状を有する。プラズマ室11の一端から他端に向かう方向を以下では便宜上、軸方向と呼ぶことがある。また、軸方向に直交する方向を径方向と呼び、軸方向を囲む方向を周方向と呼ぶことがある。しかしこれらは、プラズマ室11が回転対称性を有する形状であることを必ずしも意味しない。図示の例ではプラズマ室11は円筒形状を有するが、プラズマ室11は、プラズマを適切に収容し得る限り、いかなる形状であってもよい。また、プラズマ室11の軸方向長さは、プラズマ室11の径方向長さより長くてもよいし短くてもよい。
プラズマ室11は、入口端13、出口端14、及び側壁15を備える。入口端13にはマイクロ波導波管50が接続されている。入口端13とマイクロ波導波管50との間には、マイクロ波導波管50から内部空間12を仕切るようにマイクロ波導入窓16が設けられている。一方、出口端14には、イオン引出開口17が形成されている。出口端14においてプラズマ室11は、イオン引出開口17を除き、塞がれている。入口端13、出口端14、及び側壁15は、例えばステンレス鋼またはアルミニウムのような非磁性金属材料で形成されている。
図2に示されるように、イオン引出開口17は、長手方向に細長い開口幅W1のスリット形状を有する。イオン引出開口17の開口幅W1は、イオンの引出効率を高めるため、内部空間12の直径(径方向の幅)W2の1/2以上とすることが望ましく、2/3以上とすることがより好ましい。なお、イオン引出開口17の形状は、スリット形状に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形などの形状としてもよい。
側壁15は、入口端13と出口端14とを接続する筒状の部材である。側壁15は、マイクロ波導入窓16及び内部空間12を囲むように軸方向に延在する。側壁15は、マイクロ波導入窓16に外接し、内部空間12を区画する内表面を有する。
マイクロ波導波管50は、マイクロ波源(図示せず)から発信されるマイクロ波を内部空間12に伝達するようマイクロ波源をプラズマ室11につなぐ。プラズマ室11の入口端13に進入するマイクロ波の伝搬方向を矢印Pで図示する。マイクロ波の伝搬方向Pは図示されるように、プラズマ室11の軸方向に一致し、マイクロ波導入窓16に垂直である。
マイクロ波導入窓16は、マイクロ波導波管50から内部空間12にマイクロ波を受け入れるための真空窓である。マイクロ波を透過させるために、マイクロ波導入窓16は誘電体で形成されている。マイクロ波導入窓16はその上流側の表面がマイクロ波導波管50に向けられ、下流側の表面が内部空間12に露出されている。このように、プラズマ室11において軸方向に関してマイクロ波導波管50に近い側を上流側と呼び、イオン引出開口17に近い側を下流側と呼ぶことがある。
マイクロ波導入窓16は、窓本体18と窓保護材19とを備える二層構造を有してもよい。窓保護材19は内部空間12に面するマイクロ波導入窓16の内層であり、窓本体18は窓保護材19に導波管側で隣接するマイクロ波導入窓16の外層である。窓保護材19はプラズマ室11の外からイオン引出開口17を通じてプラズマ室11に逆流する電子から窓本体18を保護するために窓本体18を被覆する。窓本体18は例えばアルミナ(Al)のプレートであり、窓保護材19は例えば窒化ホウ素(BN)のプレートである。
本実施の形態においては、窓保護材19は、窓本体18よりも厚い。すなわち、窓保護材19の軸方向長さは、窓本体18の軸方向長さよりも長い。窓保護材19はプラズマ室11のマイクロ波導入窓16側を占める中実の部材であり、窓保護材19の軸方向長さは内部空間12の容積を所望の大きさに調整するよう定められている。このように窓保護材19が側壁15の内側の空間を部分的に占有することは、軸方向に大きい寸法を有するプラズマ室11において高密度のプラズマを発生させるのに有利である。内部空間12の軸方向長さを短くすることで、内部空間12の容積の増大を抑えられるからである。なお、窓保護材19は、窓本体18に隣接し軸方向の長さが相対的に長いブロック部と、内部空間12に隣接し軸方向の長さが相対的に短いプレート部とにより構成されていてもよい。
また、本実施の形態においては、マイクロ波導入窓16は内部空間12の(軸方向に垂直な)断面の全体を占めている。しかし、変形例においては、マイクロ波導入窓16は内部空間12の断面の一部(例えば中心部)に形成されていてもよい。
マイクロ波イオン源10は、プラズマ室11の内部空間12に設けられるライナ20及びシールド部材60を備える。ライナ20は、プラズマの汚染を軽減または防止し、側壁15を保護するための内壁部材である。ライナ20は、例えば窒化ホウ素(BN)で形成される。ライナ20は、側壁15に沿ってマイクロ波導入窓16と出口端14との間に延在する。ライナ20の外周面は、内部空間12の側壁15に内接してそれを被覆する。ライナ20の内面は、内部空間12に露出されている。ライナ20の上流端部にはシールド部材60の鍔部64が接触しており、ライナ20は、鍔部64と出口端14の間に挟み込まれている。
シールド部材60は、内部空間12においてライナ20よりも内側に設けられ、内部空間12をプラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとに区画する。プラズマ生成空間12aは、マイクロ波導入窓16を通じてマイクロ波が導入される空間であり、プラズマが生成される空間である。一方、マイクロ波遮蔽空間12bは、プラズマ生成空間12aの径方向外側に位置し、シールド部材60によりマイクロ波が遮蔽されるため、プラズマが生成されない空間である。本実施の形態では、ライナ20が露出する空間をマイクロ波遮蔽空間12bとすることにより、生成されるプラズマによってライナ20が侵食されにくくする。
シールド部材60は、導電性を有するとともに高融点の材料で構成される板状部材である。シールド部材60は、例えば、グラファイト(C)により構成される。シールド部材60の厚さは、0.5mm〜5mm程度であり、2mm〜3mm程度の厚さを有することが好ましい。
シールド部材60は、筒部62及び鍔部64を備える。筒部62は、マイクロ波導入窓16から出口端14のイオン引出開口17へ向けて軸方向に延在する部材である。筒部62は、プラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとを径方向に区画する。本実施の形態において、筒部62はプラズマ室11の形状に対応して円筒形状を有する。他の実施の形態においては、プラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとを径方向に区画できる形状であれば、いかなる形状であってもよい。筒部62は、第1端部62aが窓保護材19に接し、第2端部62bが出口端14に接する。
図2に示すように、筒部62は、イオン引出開口17の開口幅W1よりも直径(径方向の幅)W3が大きくなるように形成される。これにより、イオン引出開口17は、プラズマ生成空間12aと連通し、マイクロ波遮蔽空間12bとは連通しないこととなる。また、筒部62の直径W3は、内部空間12の直径W2に近い値とすることが望ましく、例えば、内部空間12の直径W2の3/4以上とすることが好ましい。これにより、プラズマ生成空間12aの容量を大きくしてイオンの引出効率を高めることができる。
鍔部64は、筒部62のマイクロ波導入窓16側の第1端部62aから側壁15に向かって径方向外側へ延在する部材である。鍔部64は、窓保護材19の内部空間12に隣接する面のうち、マイクロ波遮蔽空間12bに隣接する箇所に接しており、プラズマ生成空間12aに隣接する箇所には設けられていない。鍔部64は、プラズマ生成空間12aに対応する箇所が空いている中空円板形状を有する。鍔部64は、筒部62とともに、マイクロ波導入窓16を通じて導入されるマイクロ波が、マイクロ波遮蔽空間12bに侵入しないようにする。一方、プラズマ生成空間12aには、鍔部64が設けられていないマイクロ波導入窓16の中央部を通じてマイクロ波が導入される。
筒部62には、複数の小孔63が設けられる。複数の小孔63は、プラズマ生成空間12aへ供給されるガスを通過させる一方で、プラズマ生成空間12aに導入されるマイクロ波の通過を抑制する形状を有する。小孔63は、マイクロ波の遮蔽効率を高めるため、導入するマイクロ波の波長よりも十分に小さい開口径を有することが望ましい。例えば、2.45GHzのマイクロ波を用いる場合、約120mmの波長よりも十分に小さい値として、0.5mm〜5mm程度の開口径とすればよく、2mm〜3mm程度の開口径とすることが望ましい。また、プラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとの間で原料ガスが移動できるように、複数の小孔63の開口率は高い方が望ましく、50%以上の開口率となるように多数設けられることが好ましい。
また、鍔部64にも複数の小孔65が設けられる。本実施の形態においては、ガス通路32の末端に位置するガス出口34が鍔部64の近傍に設けられる。鍔部64に小孔65を設けることで、マイクロ波遮蔽空間12bを介してガス通路32とプラズマ生成空間12aを連通させる。これにより、プラズマ生成空間12aへのガス供給を可能とする。筒部62と同様、鍔部64においても、原料ガスを通過させる一方で、マイクロ波の通過を制限する形状の小孔65とすることが望ましい。鍔部64の小孔65は、0.5mm〜5mm程度の開口径とすればよく、50%以上の開口率となるように多数設けられることが好ましい。なお、他の実施の形態において、プラズマ生成空間12aに直接ガスを供給できる位置にガス出口が設けられる場合には、鍔部64に小孔65を設けなくてもよい。
本実施の形態において、シールド部材60は、マイクロ波導入窓16とライナ20の間に挟み込まれて保持される。したがって、シールド部材60の軸方向の長さは、ライナ20の軸方向の長さと同じか、鍔部64の厚さだけ軸方向に長い。
プラズマ室11の入口端13は、図示されるように、プラズマ室11をマイクロ波導波管50に取り付けるための取付フランジ21を備える。取付フランジ21は入口端13において側壁15の外表面よりも径方向外側に突き出して形成された部分である。マイクロ波導波管50の末端にはこの取付フランジ21に対応する相手側のフランジ51が設けられており、これら2つのフランジ21、51はボルトなどの適切な締結手段によって取り付けられるよう構成されている。図示されるようにそれぞれのフランジ21、51の合わせ面には窓本体18の外周部に適合する凹部が形成されており、プラズマ室11の入口端13とマイクロ波導波管50とに窓本体18が挟持される。
マイクロ波イオン源10は、プラズマの原料ガスを内部空間12に供給するためのガス供給系31を備える。ガス供給系31は、生成すべきイオン種に応じて適切な原料ガスを内部空間12に供給する。原料ガスとして、例えば、三フッ化ホウ素(BF)、ジボラン(B)、アルシン(AsH)、ホスフィン(PH)などを用いる。
ガス供給系31は、プラズマ室11に埋設されているガス通路32を備える。ガス通路32は、側壁15の内壁26に沿って窓保護材19の外周部に埋設されている。窓保護材19の外周部には、ガス通路32を形成するガス配管を通すための切り欠きが設けられている。ガス通路32を形成するガス配管は、非磁性金属材料などで構成され、ガス通路32の内部をマイクロ波から遮蔽する。ガス通路32は、マイクロ波導波管50側に設けられているガス入口33と、鍔部64の近傍に設けられているガス出口34と、を備える。
ガス入口33は、ガス通路32をガス供給管35に接続する。ガス供給管35は、マイクロ波導波管50の外側を軸方向に沿って延びており、図示しないガス源をガス入口33に接続する。ガス入口33は、入口端13の取付フランジ21及びマイクロ波導波管50のフランジ51に形成されている。ガス入口33は、マイクロ波導波管50のフランジ51を貫通して入口端13及び側壁15へと延びている。ガス入口33は、取付フランジ21において窓本体18の外側を通る。
ガス出口34は、ガス通路32を内部空間12に接続する。ガス出口34は、鍔部64の近傍に設けられており、鍔部64と接する窓保護材19の一部が除去されることにより形成される。
したがって、原料ガスは、ガス供給管35からガス入口33、ガス通路32、ガス出口34、鍔部64の小孔65、マイクロ波遮蔽空間12b、筒部62の小孔63を通じて、プラズマ生成空間12aに供給される。
マイクロ波イオン源10は、プラズマ室11を冷却するための冷却装置、例えば冷却ジャケット22を備える。冷却ジャケット22は、冷媒(例えば冷却水)により内部空間12及びマイクロ波導入窓16をそれらの外側から冷却するよう内部空間12及びマイクロ波導入窓16の周囲に配設されている。冷却ジャケット22は、冷媒流路23と、冷媒流路23に冷媒を供給するための冷媒入口(図示せず)と、冷媒流路23から冷媒を排出するための冷媒出口(図示せず)と、を備える。冷媒入口および冷媒出口は、例えば、ガス供給系31のガス入口33と同様に、フランジ51に設けられる。冷媒流路23に供給される冷媒の温度は例えば室温またはそれより低温である。なお冷却ジャケット22は、側壁15の内側(または外側)に隣接して設けられていてもよい。
冷媒流路23は、プラズマ室11の軸方向長さにわたって側壁15の内部に形成されている。また、冷媒流路23は、図2に示されるように、プラズマ室11を周方向に囲むように側壁15に形成されている。そのため、プラズマ室11の側壁15は内壁26と外壁27とを有する二重管構造を有し、内壁26と外壁27との間の空間が冷媒で満たされる。内壁26及び外壁27の下流側の端部は冷媒流路23を閉じるよう結合され出口端14に取り付けられている。また、内壁26及び外壁27の上流側の端部は冷媒流路23を閉じるよう結合され入口端13に取り付けられている。なお冷媒流路23は、側壁15に形成されマイクロ波導入窓16及び内部空間12を(例えばらせん状または蛇行状に)取り巻く管路であってもよい。
また、マイクロ波イオン源10は、内部空間12の中心軸に沿う磁場を発生させるための例えばコイルなどの磁場発生器(図示せず)をプラズマ室11の外側に備えてもよい。マイクロ波を原料ガスに効率的に吸収させるために、電子サイクロトロン共鳴条件の磁場又はそれよりも強い軸方向の磁場が内部空間12に印加される。こうしてマイクロ波が導入されるプラズマ生成空間12aに高密度プラズマが生成されてもよい。
イオン引出開口17の外側には、イオンをプラズマ室11の外に引き出すための引出電極系(図示せず)が設けられている。引出電極系はイオンを被照射物に運ぶためのいわゆるビームラインの最上流部にあたる。このビームラインも内部空間12と同様に真空排気系(図示せず)によって真空に保持される。
本実施の形態に係るマイクロ波イオン源10の動作を説明する。プラズマ生成空間12aにガス通路32を通じてプラズマの原料ガスが供給される。磁場発生器により上述の軸方向磁場がプラズマ生成空間12aに印加される。マイクロ波がマイクロ波導入窓16を通じてプラズマ生成空間12aに導入される。マイクロ波と軸方向磁場との作用によって原料ガスが励起され、プラズマ生成空間12aにプラズマが生成される。イオン引出開口17を通じてプラズマ生成空間12aの外へとイオンが引き出される。
本実施の形態においては、プラズマ室11の内部空間12をプラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bとに区画するシールド部材60が設けられるため、プラズマ生成に伴ってプラズマ生成空間12aに生じる堆積物を低減することができる。本効果について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、比較例に係るマイクロ波イオン源110において堆積物80が発生する様子を模式的に示す図である。比較例に係るマイクロ波イオン源110は、シールド部材60を有しない点で上述の実施の形態と相違する。本図では、プラズマ室11の内部空間12にガス通路32から原料ガスGが供給され、プラズマ70が生成されている様子を示している。また、本比較例では、原料ガスGとして三フッ化ホウ素(BF)を用いてボロンビームを生成する場合を示しており、ライナ20として窒化ホウ素(BN)を用いている。
原料ガスとしてBFを用いると、イオン化によりB、BF、BF 、F、F が生成される。これらのイオンがライナ20などの壁面で中性化されると、F、F等の反応性の高いフッ素ラジカルが生成される。BNで構成されるライナ20の表面は、Fイオンの他にこれらのフッ素ラジカルによって侵食され、構成元素であるボロン(B)や窒素(N)がプラズマ中に放出されてプラズマ室内でイオン化される。それらのイオンは、
マイクロ波導入窓16及び出口端14の内壁やイオン引出開口17に付着し、軸方向磁場に沿ってドリフトしてきた電子と結合して堆積物80を形成しうる。
この堆積物80は、ライナ20を設けることによって増加することが本発明者の知見として得られている。特に、イオン引出開口17に堆積物80が多量に付着すると、イオン引出開口17の開口が狭くなってイオン引出効率が低下する。イオン引出開口17が堆積物80によって塞がれてしまうと、イオンを取り出せなくなってしまうため、マイクロ波イオン源110の運転を停止して堆積物80を除去する必要が生じる。堆積物80の生成量が多く、短期間で多量の堆積物80が生成されてしまうと、マイクロ波イオン源110を停止する頻度が高くなる。すると、マイクロ波イオン源110及びマイクロ波イオン源110を用いる装置の稼働率が低下してしまう。
図4は、実施の形態に係るマイクロ波イオン源10において堆積物80の発生が低減する様子を模式的に示す図である。本図も、図3と同様に、ガス通路32から原料ガスGとしてBFが供給され、プラズマ70が生成されている様子を示している。実施の形態では、内部空間12にシールド部材60が設けられているため、内側のプラズマ生成空間12aにおいてプラズマ70が生成される。外側のマイクロ波遮蔽空間12bにおいてはF、F などのイオンが生成されにくくなり、F、F等の反応性の高いフッ素ラジカルがライナ20を侵食することも少なくなる。その結果、ライナ20を設ける場合であっても、マイクロ波導入窓16及び出口端14の内壁やイオン引出開口17に付着する堆積物80を低減させることができる。なお、原料ガスGとして挙げたBFは例示にすぎず、その他の種類の原料ガスを用いた場合においても、同様に堆積物80を低減させることができる。
また、本実施の形態においては、シールド部材60に多数の小孔が設けられるため、プラズマ生成空間12aとマイクロ波遮蔽空間12bの間を中性ガスが行き来することができる。プラズマ生成空間12aにおいてイオン化していない中性ガスは、生成されるプラズマによって加熱され、加熱された中性ガスがマイクロ波遮蔽空間12bへ移動してライナ20を加熱する。ライナ20が加熱されて高温に保たれると、ライナ20の表面にイオン化物質が付着しにくくなる。このようにして、ライナ20による保護機能を高めることができる。一方で、マイクロ波イオン源10には冷却ジャケット22が設けられているので、マイクロ波イオン源10の過度の温度上昇は抑制できる。
また、本実施の形態によると、ガス通路32が側壁15に埋設され、側壁15の内側に配置されているため、プラズマ室11の外に露出されていない。通常、プラズマ室11には高電圧が印加されるので、ガス通路32が側壁15の外側に配置されてプラズマ室11の外表面に凹凸が設けられると、そこを起点として放電が生じうる。本実施の形態では、ガス通路32が側壁15の内側に配置されているため、プラズマ室11の外表面を滑らかに形成することができ、外表面での放電を抑制できる。
つづいて、図5を参照しながら本発明の他の実施形態に係るマイクロ波イオン源10を説明する。この実施の形態は、シールド部材60に鍔部64が設けられず、窓保護材19の外周部にスペーサ部材40が設けられる点を除いて、上述の実施の形態と同様である。そのため、以下の説明では同様の箇所について説明を適宜省略する。
図5は、他の実施の形態に係るマイクロ波イオン源10を概略的に示す断面図である。マイクロ波イオン源10は、スペーサ部材40を備える。スペーサ部材40は、窓保護材19の外周部に設けられ、中心部に窓保護材19を収容する。スペーサ部材40は、ステンレスやアルミニウムなどの非磁性金属材料で構成される。スペーサ部材40には、マイクロ波遮蔽空間12bと連通するガス出口34を有するガス通路32が埋設される。
シールド部材60は、径方向の直径が窓保護材19と同じか、それよりも大きい筒部62を有する。筒部62は、スペーサ部材40に固定され、スペーサ部材40と出口端14の間に挟持される。これにより、マイクロ波遮蔽空間12bは、筒部62とスペーサ部材40とによりマイクロ波の侵入が抑制される。
本実施の形態においては、スペーサ部材40を設けることにより、径方向の直径がシールド部材60よりも小さい窓保護材19が配置される。窓保護材19はシールド部材60と同軸に配置されており、マイクロ波は、窓保護材19を通じてプラズマ生成空間12aに導入される。したがって、シールド部材60が鍔部64を有していない構成であっても、上述の実施の形態と同様に、マイクロ波遮蔽空間12bでのプラズマの生成を抑制できる。これにより、ライナ20の侵食を防いで、プラズマ生成空間12aに生成される堆積物を低減できる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
上述の実施の形態においては、ライナ20を窒化ホウ素(BN)などの誘電体で構成することとした。変形例において、ライナ20は、タングステン(W)やモリブデン(Mo)などの金属により構成されてもよい。この場合においても、フッ素ラジカルがライナ20と化学結合して生じるイオン化物質の発生を抑え、ライナ20に起因する堆積物を低減することができる。また、ライナ20を構成する金属がプラズマ中に混入し、イオンビームとなって引き出されることを防ぐことができる。
10…マイクロ波イオン源、11…プラズマ室、12…内部空間、12a…プラズマ生成空間、12b…マイクロ波遮蔽空間、15…側壁、16…マイクロ波導入窓、17…イオン引出開口、20…ライナ、32…ガス通路、34…ガス出口、60…シールド部材、62…筒部、63…小孔、64…鍔部、65…小孔。

Claims (7)

  1. プラズマ室の内部空間にマイクロ波を軸方向に導入するためのマイクロ波導入窓と、前記内部空間を囲むように前記軸方向に延在する側壁と、前記マイクロ波導入窓と前記軸方向に対向する位置に設けられるイオン引出開口と、を含むプラズマ室と、
    前記内部空間において前記側壁に沿って設けられるライナと、
    前記内部空間において前記ライナよりも内側に設けられ、前記内部空間をプラズマ生成空間と前記プラズマ生成空間の外側に位置するマイクロ波遮蔽空間とに区画するシールド部材と、を備え、
    前記シールド部材は、前記プラズマ生成空間と前記マイクロ波遮蔽空間とを連通させる複数の小孔を有することを特徴とするマイクロ波イオン源。
  2. 前記シールド部材は、前記マイクロ波導入窓から前記イオン引出開口へ向けて前記軸方向に延在する筒部と、前記筒部の前記マイクロ波導入窓側の端部から前記側壁に向かって径方向に延在する鍔部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波イオン源。
  3. 前記マイクロ波導入窓の外周部に埋設され、前記プラズマ生成空間にガスを供給するためのガス出口を末端に有するガス通路をさらに備え、
    前記ガス出口は、前記鍔部の近傍に設けられており、
    前記鍔部は、前記ガス通路と前記マイクロ波遮蔽空間とを連通させる複数の小孔を有することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波イオン源。
  4. 前記複数の小孔は、前記プラズマ生成空間へ供給されるガスを通過させる一方で、前記プラズマ生成空間に導入されるマイクロ波の通過を抑制する形状を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロ波イオン源。
  5. 前記シールド部材は、グラファイト(C)で構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロ波イオン源。
  6. 前記ライナは、窒化ホウ素(BN)で構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロ波イオン源。
  7. マイクロ波イオン源のプラズマ室に設けられるシールド部材であって、
    前記プラズマ室の軸方向に延在し、前記プラズマ室の内部空間をプラズマ生成空間と前記プラズマ生成空間の外側に位置するマイクロ波遮蔽空間とに区画する筒部と、
    前記筒部に設けられ、前記プラズマ生成空間と前記マイクロ波遮蔽空間とを連通させる複数の小孔と、
    を備えることを特徴とするシールド部材。
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