JP2015203173A - 導体及びそれからなる高伸度電線コード - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性、高引張強力及び高い耐屈曲疲労性を有し、さらに高導電性と表面の絶縁特性を兼ね備えた電線コードを提供する。【解決手段】金属被覆された有機繊維糸条の外部を絶縁性の樹脂が被覆した電線コードであって、金属被覆された有機繊維糸条の撚り数が180回/m以上であり、金属被覆の外側に分解温度が150℃以上の潤滑剤が付着し、絶縁性の樹脂の融点または軟化点が潤滑剤の分解温度が以下であり、絶縁性の樹脂の平均皮膜厚みが150μm以下である電線コード。金属被覆された有機繊維糸条の表面に、分解温度が150℃以上の潤滑剤を付着させ、180回/m以上の撚りを行い、その後絶縁性の、潤滑剤の分解温度以下の融点または軟化点を有する樹脂により、平均皮膜厚みが150μm以下となるように被覆する電線コードの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は有機合成繊維を用いた導体に関し、さらに詳しくは各種電気配線に好適な電線用の導体に関する。
従来の電線は、芯線用の導体として銅線を用いたものが主流であり、この導体は低伸度かつ剛直なものであった。そして電子機器の可動部などの頻繁に屈曲やねじりが加わる用途に用いた場合には、使用時の金属疲労や作業時の引張により断線しやすい傾向にあった。
そのような欠点を解消すべく特許文献1では、軽量かつ屈曲性に強い電線用の導体として、高強度合成繊維の周囲に金属めっきを施した導体が開示されている。しかしこの高強度合成繊維は軽量で高強度ではあるものの、剛性も高く、伸度を必要とする分野に使用することは困難であった。
一方、伸びるという目的だけであれば、従来からあるコイル状に加工したカールコードなどの採用が考えられるが、体積や重量が増大し、軽量化などの要求に対しては逆効果であり、また絡みやすく作業性、取扱い性に劣るという問題があった。
そこで電線に直接伸度を持たせる技術としては、例えば特許文献2では、弾性糸を2倍程度に伸ばした状態で非弾性糸を巻き付けて形成した芯糸の外周に、銅箔をらせん状に巻き付け、ポリウレタンやビニールチューブで外部被覆した高伸度電線が開示されている。特許文献3では、伸縮自在な弾性糸からなる芯材の外周に導電線を配設した複数本の芯線を仮撚加工糸で被覆した高伸度電線が開示されている。特許文献4では、芯部が伸縮自在な弾性体とその外周を被覆する中間層とからなる弾性円筒体であり、その芯部に導線を倦回して導体部を形成し、該導体部の外周を絶縁体で被覆した高伸度電線が開示されている。
しかしこれらの技術は基本的にポリウレタンなどの弾性糸を用いた技術であり、耐熱性のレベルが低いという問題があった。弾性糸の有する耐熱性レベルでは、高温下に晒される環境下では使用できない、電線配線時に半田付け加工ができない、といった問題があったのである。また、弾性糸は基本的に引張強度が低く、必要な引張強度を持たせようとすると繊維のフィラメント数などを多くする必要があり、電線が太くて重くなるという問題があった。
特開2011−76852号公報 特開昭61−290603号公報 特開2004−134313号公報 国際公開第2008/078780号公報
本発明は、各種電気配線に好適な導体を提供することを目的とし、特には、軽量で取扱い性に優れ、電線コード用の芯材に適した導体を提供することを目的とする。
本発明の導体は、金属被覆された有機合成繊維糸条からなる導体であって、該有機合成繊維糸条の溶融または熱分解開始温度が300℃以上であり、破断伸度が5.0%以上であることを特徴とする。
さらには、有機合成繊維糸条の初期弾性率が500cN/dtex以下であることや、有機合成繊維が芳香族ポリアミド繊維であることが好ましい。
また、有機合成繊維糸条が複数の長繊維から構成されたものであることや、有機合成繊維糸条が複数の短繊維から構成された紡績糸であること、あるいは有機合成繊維糸条が牽切加工糸であることが好ましい。
またもう一つの本発明の高伸度電線コードは、上記の本発明の導体が、絶縁体により被覆されていることを特徴とする。
本発明によれば、各種電気配線に好適な導体、特には軽量で取扱い性に優れ、電線コード用の芯材に適した導体が提供される。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の導体は、金属被覆された有機合成繊維糸条からなる導体であって、該有機合成繊維糸条の溶融または熱分解開始温度が300℃以上であり、破断伸度が5.0%以上である導体である。
ここで有機合成繊維糸条を被覆する金属としては導電性を有せば特に限定は無いが、電気抵抗、価格等の面からは銅が一般的には最も好ましい。しかし各種用途により、その他のニッケル、銀、金の単独あるいはこれらの合金等も、好ましく用いられる。
有機繊維に上記の銅等の金属を被覆する方法としては、無電解めっき法、スパッタリング法、真空蒸着法等があるが、特に量産性の面から無電解めっき法が好ましい。またその被覆量は、求められる導電性に応じて適宜に設定できる。しかし、無電解めっきで厚い被覆を形成するには時間を有するため、無電解めっきを実施し、有機繊維糸条に導電性を付与した後に、電気めっきすることが効果的な手段である。
金属被覆の厚みとしては、0.05〜5.0μmが好ましく、0.1〜3.0μmがより好ましい。厚くなりすぎると、金属被覆量が多くなり繊維糸条が硬くなり柔軟性を損ねてしまうために好ましくない。
本発明の導体では上記のような金属にて有機合成繊維糸条が被覆されているわけであるが、本発明で好適に用いられる有機合成繊維糸条としては高強力繊維が集合した糸条(繊維束)であることが好ましい。
また本発明においては、この導体を構成する有機合成繊維糸条の溶融または熱分解開始温度が300℃以上であることが必要である。さらには合成樹脂からなる糸条の溶融または熱分解温度は350〜600℃の範囲であることが好ましく、さらには450〜550℃の範囲にあることが好ましい。この時、例えばアラミド繊維のように溶融せず融点が測定できない物であっても良く、その場合は熱分解温度がこの範囲にあることが好ましい。
本発明の導体を構成する有機合成繊維糸条はこのような高い耐熱性を有しながら、さらに破断伸度が5.0%以上の高い伸度を有することが必要である。特には糸条を構成する有機合成繊維は5.0〜50%の伸度を有することが好ましい。
本発明の導体は、このような高い耐熱性と高伸度の両方の性質を両立させることにより、高い耐久性を確保することができたのである。
有機合成繊維糸条を構成する繊維の強度は、3cN/dtex以上であることが好ましい。さらには3〜25cN/dtexの範囲であることが好ましい。また初期弾性率としては、500cN/dtex以下であることが好ましく、特には10〜500cN/dtexの範囲であることが好ましい。通常高強力繊維はその初期弾性率が高くなるのであるが、このような初期弾性率を有することにより、屈曲疲労性などの耐久性が向上する傾向にある。
また本発明で用いられる有機繊維糸条の総繊度は、求められる強力と細さによっても適宜に決定することができる。具体的には例えば、ロボットケーブル、イヤホン、ヘッドホンケーブルやパソコンのマウス等のUSBケーブル等の津信号線や電磁波シールドに使用される導体の場合は、単繊維繊度としては0.5〜20dtexの範囲が好ましく、さらには0.5〜5dtexの範囲がより好ましい。また、総繊度としては10〜5000dtexの範囲が好ましく、さらには100〜2000dtexの範囲であることが、より細く、柔軟性に優れ、高強力な電線コードを得るためには好ましい。また糸条を構成する繊維の総本数としては50〜1000本の範囲であることが、好ましい。このような範囲の糸条を用いることにより、高強力性と疲労性のバランスのとれた電線とすることが可能となる。
本発明の金属被覆された有機繊維糸条は、必要に応じて撚りをかけて使用することが好ましい。撚り係数としては、引張強力を重視する場合には0.5〜2.0の範囲であることが好ましい。通常、撚り係数は約1.0の時に強度は最大になるものの、より多くの撚りを掛けることにより電気抵抗値を低下させることが可能である。これは、撚りを掛けることで、めっきの脱落やクラック等による欠点がキャンセルされることに加えて、単糸一本一本に被覆された金属の金属表面同士が強固な撚りで密着することにより、接触抵抗が低減されたのであると推察される。撚り係数としては、必要とされる電気抵抗値と引張強力を得るように、用途に応じて決定することができる。さらに金属被覆された有機繊維糸条には、表面の酸化等を防ぐために、防錆剤等を塗布することも好ましい。
なお、ここで撚り係数(TM)とは、下記式で表されるものである。
TM=T×√D/1055
[但し、TM;撚り係数、T;撚り数(回/m)、D;有機繊維糸条原糸の総繊度(tex)を示す。]
このような本発明にて用いられる有機合成繊維は、上記の物性さえ満たせば特に限定されるものではないが、芳香族ポリアミド繊維(以下、「アラミド繊維」という)、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾビスオキサゾール繊維など、耐熱性や引張強力に優れた有機合成繊維であることが好ましい。特に、上記の有機合成繊維のなかでも、耐熱性および耐切創性に優れているため、熱による電線の変形や鋭利な刃物による電線の切断等の恐れがない点から、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)が最も好ましい。このようなアラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維があり、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「コーネックス」)が挙げられる。また、パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「トワロン」)や共重合タイプのコポリパラフェニレン−3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人株式会社製、「テクノーラ」)等が例示される。中でも耐屈曲疲労性や耐薬品性の観点からは、共重合タイプのパラ系アラミド繊維であることが好ましい。
ところで本発明の導体としては、熱分解温度の高い繊維が用いられるが、そのような繊維を用いた場合には剛直な物性であることが多く、本発明の必須要件である5.0%以上の高い破断伸度を確保することが困難な場合がある。
そこで一つの方法としては、該有機合成繊維が短繊維から構成された、いわゆる紡績糸であることが好ましい。このような紡績糸を用いる方法は、特にパラ系アラミド繊維や、メタ系アラミド繊維などのアラミド繊維において有効である。また加工の途中工程にて牽切加工を行う牽切加工糸を用いることも好ましい。特に強度が若干弱く牽切しやすいメタ系アラミド繊維においては、この牽切加工を行った糸条として用いることが好ましい。
また、別の方法として、各種の物理的あるいは化学的な処理を行って伸度を確保することも好ましい。
この方法は特に、各種アラミド繊維、中でも耐熱性や耐切創性の面に優れたパラ系アラミド繊維に好ましく適用される方法である。なお、強度を重視する観点からは長繊維からなるフィラメント糸条に適用すると効果的な方法であるが、上記の紡績糸や牽切加工糸にさら処理を行って適用することもできる。
処理の具体的な方法としては、超音波、コロナ放電、放射線、電流、磁界、化学的な化合物による処理等が挙げられる。本発明の導体とするためには、極性溶剤や第4級アンモニウム塩などの処理液を用いて、繊維に接触処理する方法が好ましい。処理された糸条は、さらに常温または加温状態で、後処理を行うことが好ましい。具体的は極性溶剤としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、スルフォランを用いることができ、あるいは第4 級アンモニウム塩として、例えば臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTMAB) などを用いることができ、2種類以上混合して用いることも好ましい方法である。フィラメント糸あるいは紡績糸である繊維糸条に対し、これらの処理液を浸漬・噴射・塗布・ディッピングなどの方法により接触処理し、常温または加温状態で、後処理を行うことが好ましい。
この後処理の温度および時間は、望む伸度に応じて設定することが可能であるが、処理を効果的にするためには、処理温度としては50〜100℃の範囲であることが好ましい。また処理時間としては30秒〜30分の範囲であることが好ましい。処理条件を厳しくすることにより破断伸度を大きくすることが可能であり、処理条件を緩やかにすることにより、処理前の高い破断伸度を維持することが可能となる。
このような方法により、高伸度とすることが困難な全芳香族ポリアミドからなるフィラメント糸や紡績糸に対しても、目的の伸度を付与することが可能である。さらに以上の処理は、糸条を緊張下で処理することが好ましく、伸縮性や伸度を制御することが可能である。処理時の工程張力としては0.05〜10Nの範囲であることが好ましい。繊維糸条に掛ける工程張力を高くすることにより破断伸度を大きくすることが可能である。ただし、高伸度化は通常、引張強度も低下させる傾向にあるため、必要に応じて調整することが重要である。さらに製糸工程にて延伸条件を適正化することで、高伸度の糸を製造することが可能である。
特に上記の処理方法は、パラ型アラミド繊維に効果的である。このパラ型アラミド繊維を溶剤処理することで、高伸度が発現する理由については明らかではないが、極性溶媒で処理することにより繊維が膨潤し、その後の加熱乾燥により収縮することで、伸縮性を有する高伸度の繊維が得られるものと考えられる。
そして本発明では、元々本発明の要件を満たした高伸度の繊維や、上記のような各種加工を行った高耐熱性の繊維に対し、めっき加工を行い、有機合成繊維糸条の表面が金属被覆された本発明の導体を得ることができる。
さらに本発明の導体は、伸縮性を有するものであることが好ましい。一般的に有機合成繊維は、伸縮性を保持する弾性変形領域と塑性変形領域を有しているのであるが、その弾性変形領域で使用することが好ましい。このような弾性変形領域は、繊維の応力−歪曲線から得ることが可能である。
もう一つの本発明はこのような本発明の導体が絶縁体により被覆されている高伸度電線コードである。
ここで金属被覆有機合成繊維糸条の周りを被覆する絶縁体としては、導体が銅等の金属からなる一般的な電線の絶縁体に使用されている樹脂等であればいずれを用いることも可能である。例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ゴム、エラストマー等を挙げることができる。例えば熱可塑性樹脂であれば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、又はポリエステル系の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
また別の観点からは絶縁体が、弾性樹脂であることが好ましい。特に電線コードに適した弾性樹脂としては、伸縮性、耐水性及び耐老化性に優れた樹脂であることが好ましい。例えばこれらの性能に優れるものとしては合成ゴム系弾性体が挙げられる。合成ゴム系弾性体としては、アクリル系ゴム、ニトリル系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン・ブタジエン系ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、エチレン・酢酸ビニル系ゴム、イソプレン系ゴム、エピクロルヒドリン系ゴム、多硫化ゴム、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム、エチレン・プロピレン系ゴム、クロロプレン系ゴム及びブチル系ゴムが好ましい。より好ましくは、伸縮性及び耐水性に優れるブチル系ゴム、多硫化ゴム、及びシリコン系ゴムである。
あるいは絶縁樹脂ではなく、絶縁体として絶縁性の繊維を用い、導体の周囲をカバリングするのも良い方法である。
このような本発明の高伸度電線コードは、高強度のメッキ繊維を用いているにも関わらず高い伸度を有し、さらに強い張力で伸ばされた際の回復性に優れ、強力や電気伝導率を高いレベルで維持することが可能となった。さらに耐熱性や引張強度も優れているために、本発明の導体やそれを用いた高伸度電線コードは、例えばハンダ付加工を必要とする電線や高伸度の物性が要求されるロボットやウェアラブル電子機器用の信号線、電磁波シールド材などとしても、好適に使用される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例で用いた評価方法は下記の通りである。
(1)電気抵抗値
抵抗値測定器(日置株式会社製 ミリオームハイテスタ3540−02A)にて、電線コード1m間の電気抵抗値を測定した。
(2)繊度
JIS−L1013に準拠して測定した。
(3)初期弾性率
ASTM D885に準拠して測定した。
(4)破断伸度
ASTM D885に準拠して測定した。
(5)50N負荷時伸度
ASTM D885に準拠して測定した応力―歪曲線から50N負荷時の伸度を読み取った。
[実施例1]
有機合成繊維糸条として総繊度1670dtex、単繊維本数1000本の共重合パラ系アラミド繊維糸条(コポリパラフェニレン−3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド長繊維糸条、帝人株式会社製、「テクノーラ」、分解開始温度500℃)を、前処理としてジメチルスルホキシド中に80℃、10分間、低張力(0.1N以下)の条件にて浸せきした後、乾燥処理し、高伸度の糸条を得た。
その後、引き続き下記条件にて金属被覆処理(銅めっき処理)を実施した。
界面活性剤(「Cataposit 1501PREDIP」、ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製(以下、この処理における剤は同じ会社の製品であるため記載を省略する))0.05%水溶液に、約40℃で約1分間浸せき後、触媒となるPdを含む処理液(「OMNISHIELD ACTIVATOR 1572」0.2%+濃塩酸0.8%溶液)に、室温で1分間浸せきし、Pdを吸着した後、水洗を行い過剰のPdを除去した。その後、銅を含む処理液(「OMNISHIELD ELECTROLESS COPPER 1598M」4.8%、「OMNISHIELD ELECTROLESS COPPER 1598A」1.0%、「OMNISHIELD ELECTROLESS COPPER 1598R」0.2%、「CUPOSIT Y」1.4%、「CUPOSIT Z」2.2%、「OMNISHIELD 1120SR COPPER REPLENISHER」0.16%溶液)に浸漬し、無電解銅めっきを実施した。さらにその後、硫酸銅(CuSO・5HO)20%、硫酸5.0%溶液中で、電気抵抗値が約1.0Ω/mになるまで電気銅めっきを実施し、めっき厚み0.7μmの銅被覆された破断伸度52%の高伸度の導体を得た。
なお、めっき工程においては、糸条に張力を付与した状態でめっきを施し、引張り張力に対して高い密着性を有する導体が得られた。その後、撚り係数1.0の撚りを施して得られた糸条から成る導体の電気抵抗値は、1.0Ω/mであった。また破断強力の30%に相当する50Nの力で引張った後、力を取り除いたとき、電気抵抗値に変動は見られなかった。得られた導体の引張強力と、50N負荷時の伸度、破断伸度を表1に示す。
また撚りを施した後に、引抜成型機にてポリエステル系熱可塑性エラストマーを平均被覆厚みが約100μmになるよう被覆し、高伸度電線コードを得た。得られた高伸度電線コードは、高い伸度と共に耐熱性や引張強度に優れ、強い張力で伸ばされた際の回復性、特に強力や電気伝導率を高いレベルで維持するものであった。
Figure 2015203173
[実施例2]
前処理の条件を変更し、処理時間を10分間から2分間に減少させた以外は、実施例1と同様にして高伸度の導体及び絶縁体で被覆した高伸度電線コードを得た。処理条件及び得られた物性を表1に併せて記した。
[実施例3]
前処理の条件を変更し、処理張力を0.5Nに増加させた以外は、実施例1と同様にして高伸度の導体及び絶縁体で被覆した高伸度電線コードを得た。処理条件及び得られた物性を表1に併せて記した。
[実施例4]
共重合パラ系アラミド繊維糸条を、原糸繊度を1670dtexから440dtexに、単繊維本数を1000本から267本に変更し、前処理の条件を、処理時間を10分間から2分間に減少させ、処理張力を0.5Nに増加させた以外は、実施例1と同様にして高伸度の導体及び絶縁体で被覆した高伸度電線コードを得た。処理条件及び得られた物性を表1に併せて記した。
[実施例5]
単糸繊維径2.2dtexのメタ系アラミド繊維(ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、帝人株式会社製、「コーネックス」、分解開始温度420℃)を用いて、有機合成繊維糸条として綿番手5番手の紡績糸を作製した。得られた紡績糸に実施例1と同様の金属被覆処理(めっき処理)を施し、高伸度の導体及び絶縁体で被覆した高伸度電線コードを得た。得られた導体は、破断伸度が17%と高く、電気抵抗値も1.0Ω/mと優れたものであった。ただし実施例1〜4と比べると、単糸間でめっき厚みにバラツキが見られるものであった。また実施例1と同様に50Nの力で引張った後、力を取り除いたときには非可逆的に伸長しており、電気抵抗値も若干低下していた。
[実施例6]
実施例5と同じ単糸繊維径2.2dtexのメタ系アラミド繊維を用いて、1100dtexの牽切加工糸を作製した。得られた牽切加工糸に実施例1と同様の金属被覆処理(めっき処理)を施し、高伸度の導体及び絶縁体で被覆した高伸度電線コードを得た。得られた導体は、破断伸度が17%と高く、電気抵抗値も1.0Ω/mと優れたものであった。ただし実施例1〜4と比べると、単糸間でめっき厚みにバラツキが見られるものであった。また実施例1と同様に50Nの力で引張った後、力を取り除いたときには非可逆的に伸長しており、電気抵抗値も若干低下していた。
[比較例1]
有機合成繊維糸条として実施例1に用いた総繊度1670dtexの共重合パラ系アラミド繊維糸条を用い、ジメチルスルホキシド処理をしなかった以外は実施例1と同様にして導体及び絶縁体で被覆した電線コードを得た。得られた導体の破断伸度は4.3%しかなく、伸度が求められる用途には不向きなものであった。
[比較例2]
有機合成繊維糸条として実施例4に用いた総繊度440dtexの共重合パラ系アラミド繊維糸条を用い、ジメチルスルホキシド処理をしなかった以外は実施例4と同様にして導体及び絶縁体で被覆した電線コードを得た。得られた導体の破断伸度は4.4%しかなく、伸度が求められる用途には不向きなものであった。

Claims (7)

  1. 金属被覆された有機合成繊維糸条からなる導体であって、該有機合成繊維糸条の溶融または熱分解開始温度が300℃以上であり、破断伸度が5.0%以上であることを特徴とする導体。
  2. 有機合成繊維糸条の初期弾性率が500cN/dtex以下である請求項1記載の導体。
  3. 有機合成繊維が芳香族ポリアミド繊維である請求項1または2記載の導体。
  4. 有機合成繊維糸条が複数の長繊維から構成されたものである請求項1〜3のいずれか1項記載の導体。
  5. 有機合成繊維糸条が複数の短繊維から構成された紡績糸である請求項1〜3のいずれか1項記載の導体。
  6. 有機合成繊維糸条が牽切加工糸である請求項1〜3のいずれか1項記載の導体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の導体が、絶縁体により被覆されている高伸度電線コード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016212960A (ja) * 2015-04-29 2016-12-15 株式会社サーテックカリヤ ポリマー繊維導電線およびその製造方法
JP2018111902A (ja) * 2017-01-13 2018-07-19 ウラセ株式会社 伸縮性導電体
WO2019083037A1 (ja) 2017-10-26 2019-05-02 古河電気工業株式会社 カーボンナノチューブ複合線、カーボンナノチューブ被覆電線、ワイヤハーネス、ロボットの配線及び電車の架線

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