図1〜図6を参照して実施形態の棒鋼受け渡し装置1について説明する。
棒鋼受け渡し装置1は、棒鋼圧延設備の一部である。図1に示す棒鋼受け渡し装置1は、棒鋼圧延装置(図示なし)により圧延された棒鋼Bを受け取り、受け取った棒鋼Bを冷却床20に渡す装置である。棒鋼受け渡し装置1は、受け取った棒鋼Bを冷却床20に取り込む、冷却床取り込み装置である。棒鋼Bは、圧延により作られる圧延材である。棒鋼Bは、円柱状であり、丸棒である。棒鋼Bには、細物と太物とがある。細物の棒鋼Bの直径は、例えば8〜19mmなどである。太物の棒鋼Bの直径は、例えば22〜51mmなどである。棒鋼Bの長手方向の長さは、約70〜90mなどである。棒鋼受け渡し装置1は、フレーム10と、冷却床20と、リフタ機構30と、トラフ機構40と、シフト機構60と、クランプ機構70と、を備える。
フレーム10は、床や地面(図示なし)に対して固定される部分である。フレーム10には、トラフ機構支持フレーム11がある。トラフ機構支持フレーム11は、トラフ機構40を下から支持する部分である。トラフ機構支持フレーム11は、例えば梁や板を組み合わせた物などである。
冷却床20は、棒鋼Bを搬送しながら、棒鋼Bを冷却する。図2に示すように、冷却床20は、受溝21と、搬送用溝23と、を備える。
(方向の定義)ここで、棒鋼受け渡し装置1に関する方向を次のように定義する。棒鋼受け渡し装置1が受け取った棒鋼Bの長手方向を棒鋼長手方向Xとする。冷却床20による棒鋼Bの搬送方向を冷却床搬送方向Yとする。冷却床搬送方向Yは、棒鋼長手方向Xに直交し、かつ、水平方向である。冷却床搬送方向Yにおいて、冷却床20による棒鋼Bの搬送の上流側を冷却床上流側Y1とする。冷却床搬送方向Yにおいて、冷却床20による棒鋼Bの搬送の下流側を冷却床下流側Y2とする。また、上下方向を上下方向Zとし、上側を上側Z1、下側を下側Z2とする。
受溝21は、リフタ機構30およびトラフ機構40から棒鋼Bを受け取るための溝である。
搬送用溝23は、棒鋼Bを搬送するための溝である。搬送用溝23は、受溝21よりも冷却床下流側Y2に配置される。搬送用溝23は、冷却床搬送方向Yに並ぶ複数の溝により構成される。搬送用溝23は、固定溝23aと可動溝23bとを備える。固定溝23aは、受溝21に対して固定される。可動溝23bは、固定溝23aに対して回動(棒鋼長手方向Xから見て円運動など)する。
リフタ機構30は、棒鋼圧延装置(図示なし)から受け取った棒鋼Bを冷却床20に渡す。リフタ機構30は、太物の棒鋼Bの受け渡しに用いられる。リフタ機構30は、冷却床20よりも冷却床上流側Y1に配置される。リフタ機構30は、冷却床20に隣接するように配置される。リフタ機構30は、ローラテーブル31と、ローラ上流側壁部33と、ローラテーブル駆動部35と、リフタ37と、を備える。
ローラテーブル31は、棒鋼圧延装置(図示なし)から棒鋼Bを受け取る。ローラテーブル31の上面(上側Z1の面)には、棒鋼Bが乗せられる。ローラテーブル31は、棒鋼Bを棒鋼長手方向Xに搬送する。ローラテーブル31は、棒鋼長手方向Xに並ぶ複数のローラ31a(円柱状部材)(1つのみ図示)により構成される。ローラテーブル31は、ローラテーブル31上からリフタ37上に棒鋼Bが移動可能に(乗り移り可能に)構成される。具体的には、ローラテーブル31の上面は、冷却床上流側Y1から冷却床下流側Y2になるにしたがって下側Z2に下がるように傾斜する。
ローラ上流側壁部33は、ローラテーブル31上の棒鋼Bが冷却床上流側Y1に移動するのを規制する。ローラ上流側壁部33は、ローラテーブル31の上面よりも上側Z1に突出する。ローラ上流側壁部33は、トラフ機構支持フレーム11よりも冷却床下流側Y2に配置される。ローラ上流側壁部33は、トラフ機構支持フレーム11と冷却床搬送方向Yに隣り合うように配置される。
ローラテーブル駆動部35は、ローラ31aを駆動させる(回動させる)。ローラテーブル駆動部35は、ローラテーブル31よりも冷却床上流側Y1に配置される。ローラテーブル駆動部35は、トラフ機構支持フレーム11の下側Z2(真下)に配置される。ローラテーブル駆動部35は、例えば、ローラ31a駆動用のローラモータ35aと、ローラ31aに固定されるシャフト35bと、ローラモータ35aの駆動力をシャフト35bに伝える滑車35cと、を備える。
リフタ37は、ローラテーブル31から冷却床20に棒鋼B(図3参照)を受け渡す。リフタ37は、ローラテーブル31と冷却床20との間(冷却床搬送方向Yにおける間)に配置される。リフタ37は、ローラテーブル31よりも冷却床下流側Y2に配置される。リフタ37は、冷却床20よりも冷却床上流側Y1に配置される。リフタ37は、上下方向Zに駆動される(上下方向Zに移動可能である)。リフタ37は、ローラテーブル31よりも下側Z2に配置された状態と、図3において二点鎖線で示すように受溝21よりも上側Z1に配置された状態と、の間で移動可能である。リフタ37が受溝21よりも上側Z1に配置された状態のときに、リフタ37から受溝21に棒鋼Bを移動させることができるように(渡せるように)、リフタ37が構成される。具体的には、リフタ37の上面(リフティングプレート)は、冷却床上流側Y1から冷却床下流側Y2になるにしたがって下側Z2に下がるように傾斜する。
トラフ機構40は、図2に示すように、棒鋼圧延装置(図示なし)から受け取った棒鋼Bを冷却床20に渡す。トラフ機構40は、細物の棒鋼Bの受け渡しに用いられる。後述するように、トラフ機構40には、トラフ使用状態(図1参照)とトラフ退避状態(図3参照)とがある。以下では、特に断らない限り、トラフ機構40がトラフ使用状態である場合について説明する。トラフ機構40は、リフタ機構30よりも上側Z1に配置され、リフタ機構30の上方(真上)に配置される。トラフ機構40は、トラフ機構支持フレーム11上に搭載される。トラフ機構40は、棒鋼長手方向Xに延びるように構成される。図4に示すように、トラフ機構40は、棒鋼長手方向Xに並ぶ複数のユニット40uにより構成される。トラフ機構40全体が備えるユニット40uの数は、例えば約20である(図4では、3つのユニット40uのみを実線で図示した)。棒鋼長手方向Xにおける1つのユニット40uの長さは、例えば約5mなどである。棒鋼長手方向Xにおけるトラフ機構40(図2参照)の全長は、棒鋼Bの全長よりも長く、例えば約100mなどである。複数のユニット40uそれぞれは、同様(または、ほぼ同様)の構成を備える。以下では、複数のユニット40uのうち1つのユニット40uについて説明する。図1に示すように、トラフ機構40は、トラフ機構フレーム41と、トラフ装置50と、を備える。
トラフ機構フレーム41は、トラフ装置50等が取り付けられる構造物である。トラフ機構フレーム41は、トラフ機構支持フレーム11上に搭載される。トラフ機構フレーム41は、トラフ機構支持フレーム11に対して移動可能である(詳細は後述)。トラフ機構フレーム41は、本体部41aと、前面部41bと、前面部支持部41cと、図4および図5に示す連結部41eと、クランプ取付部41fと、を備える。図1に示すように、本体部41aには、トラフ装置50が取り付けられる。前面部41bは、トラフ機構フレーム41の冷却床下流側Y2の端の面である。前面部41bは、例えば棒鋼落下ガイド59(後述)を構成する部材である。前面部支持部41cは、本体部41aに対して前面部41bを支持する。前面部支持部41cは、前面部41bの上端部(上側Z1端部)を支持する。前面部支持部41cには、前面部41bよりも冷却床下流側Y2に突出する突出部41dがある(突出部41dはなくてもよい)。図4および図5に示す連結部41eは、ユニット40uどうしを連結する。連結部41eは、棒鋼長手方向Xに隣接する2つのユニット40uの本体部41aどうしを、棒鋼長手方向Xに連結する。クランプ取付部41fは、棒鋼長手方向Xに隣接する2つのユニット40uの間、かつ、連結部41eで連結されない2つのユニット40uの間に、図5に示すクランプ機構70が配置される場合に設けられる。クランプ取付部41fは、本体部41aから棒鋼長手方向X外側に突出する。
トラフ装置50は、図2に示すように、棒鋼圧延装置(図示なし)から受け取った棒鋼Bを冷却床20に渡す装置である。トラフ装置50の数は、例えば複数(複数段)であり、図2では2段であり、3段以上でもよく、また、1段でもよい。複数のトラフ装置50は、上下方向Zに並ぶ。以下では、複数段のトラフ装置50のうち1段のトラフ装置50について説明する。トラフ装置50は、上蓋51と、トラフ53と、トラフ駆動部55と、シュート57と、棒鋼落下ガイド59と、を備える。
上蓋51は、トラフ53を閉じる蓋である。上蓋51は、トラフ機構フレーム41に対して固定される。
トラフ53は、棒鋼圧延装置(図示なし)から棒鋼Bを受け取り、受け取った棒鋼Bを落下させる。トラフ53は、リフタ37よりも上側Z1に配置され、リフタ37の上方(真上)に配置される。トラフ53は、棒鋼Bを下から受けるための凹部(窪み、溝)を備える。凹部は、棒鋼長手方向Xから見てU字状やC字状などである。1本のトラフ駆動アーム55e(後述)あたりのトラフ53の数は、例えば複数であり、図2では2であり、3以上でもよく、また、1でもよい。トラフ53は、アーム支持軸55f(後述)を中心に回動することにより、トラフ閉状態と、トラフ開状態と、に変わる。トラフ開状態は、トラフ53から上蓋51が離れた状態であり、トラフ53から棒鋼Bが落下可能な状態である。トラフ閉状態は、上蓋51によりトラフ53が閉じられた状態である。トラフ閉状態の場合、空間53sが形成される。空間53sは、上蓋51とトラフ53とで囲まれた(閉塞された、閉じられた)部分である。空間53s内には、棒鋼圧延装置(図示なし)から棒鋼Bが誘導される(通される)。
トラフ駆動部55は、トラフ53を駆動させる(開閉させる)。トラフ駆動部55は、トラフ53をアーム支持軸55f(後述)まわりに回動させる。トラフ駆動部55は、トラフ53よりも冷却床上流側Y1に配置される。トラフ駆動部55は、トラフ駆動装置55aと、トラフ駆動レバー55bと、ラインシャフト55cと、連結桿55dと、トラフ駆動アーム55eと、アーム支持軸55fと、を備える。
トラフ駆動装置55aは、トラフ53を開閉するためのアクチュエータである。トラフ駆動装置55aは、例えば伸縮式アクチュエータであり(回転式でもよい)、例えば流体圧シリンダであり、例えば空気圧シリンダである。トラフ駆動レバー55bは、トラフ駆動装置55aに連結される。図4に示すように、トラフ駆動装置55aは、複数のユニット40uあたり1つ設けられる。なお、図1および図3ではトラフ駆動装置55aを省略した。
ラインシャフト55cは、図2に示すように、トラフ機構フレーム41に対してトラフ駆動レバー55bを回動可能に支持する。ラインシャフト55cとトラフ駆動レバー55bとは、一体的に回転する。ラインシャフト55cの軸方向は、棒鋼長手方向Xである。図4に示すように、ラインシャフト55cは、複数のユニット40uそれぞれのトラフ装置50(図2参照)どうし(トラフ駆動レバー55bどうし)をつなぐ。ラインシャフト55cにより、複数のユニット40uでのトラフ53(図2参照)の動作が同期する。ラインシャフト55cは、フレキシブルジョイント55cjを備える。
フレキシブルジョイント55cjは、棒鋼長手方向Xに隣接するユニット40uそれぞれのラインシャフト55cどうしをつなぐ。フレキシブルジョイント55cjは、連結部41eでつながれていないユニット40uそれぞれのラインシャフト55cどうしをつなぐ。フレキシブルジョイント55cjは、連結部41eでつながれているユニット40uそれぞれのラインシャフト55cどうしをつないでもよい(図示なし)。フレキシブルジョイント55cjは、複数のユニット40u間のわずかな移動のずれによって生じるラインシャフト55cの屈曲を吸収する(後述)。フレキシブルジョイント55cjは、例えばギアカップリングなどにより構成される。
連結桿55dは、図2に示すように、トラフ駆動レバー55bとトラフ駆動アーム55eとを連結する。トラフ駆動アーム55eは、連結桿55dを介してトラフ駆動レバー55bに連結される。トラフ駆動アーム55eには、トラフ53が固定される。アーム支持軸55fは、トラフ機構フレーム41に対してトラフ駆動アーム55eを回動自在に支持する。アーム支持軸55fの軸方向は、棒鋼長手方向Xである。
シュート57は、トラフ53から棒鋼Bを落下させる。シュート57は、トラフ機構フレーム41に対して固定される。シュート57は、トラフ53が下側Z2に回動するとき(トラフ53がトラフ閉状態からトラフ開状態に変わるとき)、トラフ53内の棒鋼Bをトラフ53外に出せるように構成される。シュート57は、シュート57上を棒鋼Bが移動できるように(滑ることができるように)構成される。具体的には、シュート57は、冷却床上流側Y1から冷却床下流側Y2になるにしたがって下側Z2に下がるように傾斜する。
棒鋼落下ガイド59は、トラフ53から落下した棒鋼Bを冷却床20に誘導する、棒鋼Bの通路(隙間)である。棒鋼落下ガイド59は、上下方向Zに延びる。棒鋼落下ガイド59は、上下方向Zに対して傾いた部分を備えてもよい。棒鋼落下ガイド59は、シュート57とつながるように(シュート57上から棒鋼落下ガイド59に棒鋼Bが移動可能に)構成される。棒鋼落下ガイド59は、受溝21の上方(真上)に配置される。棒鋼落下ガイド59の下端部(下側Z2端部)は、受溝21の近傍に配置される。例えば、棒鋼落下ガイド59と冷却床20との間を、太物の棒鋼Bが通過できない程度(但し細物の棒鋼Bが通過できる程度)まで、棒鋼落下ガイド59の下端部を受溝21の近傍に配置できる(配置しなくてもよい)。
シフト機構60は、図1および図3に示すように、リフタ機構30に対してトラフ機構40を移動させる。シフト機構60は、トラフ使用状態(図1参照)およびトラフ退避状態(図3参照)にトラフ機構40を移動可能に構成される。シフト機構60は、トラフ機構支持フレーム11に対してトラフ機構フレーム41を移動させる。シフト機構60は、トラフ機構支持フレーム11およびトラフ機構フレーム41に取り付けられる。シフト機構60による、リフタ機構30に対するトラフ機構40の移動(移動αとする)の詳細は次の通りである。
[移動αの方向]移動αの方向には、冷却床搬送方向Y成分が含まれる。移動αの方向は、例えば水平方向のみであり、また例えば水平方向および上下方向Zでもよい(移動αの方向には上下方向Z成分が含まれてもよい)。トラフ機構40を上側Z1に持ち上げる力が不要であるという観点から、移動αは水平方向のみであることが好ましい。
[移動αの種類]移動αは、例えば直線移動であり、また例えば曲線移動や回転移動でもよい。シフト機構60の構成を簡易にするという観点から、移動αは直線移動であることが好ましい。
[移動αの種類および方向]移動αは、例えば、冷却床搬送方向Y成分を含み、かつ、直線移動であり、かつ、水平方向のみである(冷却床搬送方向Y成分を含み、かつ、直線移動であり、かつ、水平方向のみの移動αを、移動βとする)。移動βは、例えば冷却床搬送方向Yのみの移動(冷却床搬送方向Yと平行)であり、また例えば冷却床搬送方向Yおよび棒鋼長手方向Xでもよい(移動βには、棒鋼長手方向X方向成分が含まれてもよい)。シフト機構60を簡易な構成にする(具体的には後述するシフトガイド63を短くするなど)という観点から、移動βは冷却床搬送方向Yのみであることが好ましい。以下では、移動αが冷却床搬送方向Yのみである場合について説明する。シフト機構60は、図6に示すシフト支持部61と、シフトガイド63と、図1に示すストッパ64と、シフト装置65と、図5に示すシフト装置駆動部67と、を備える。
シフト支持部61は、図6に示すように、フレーム10に対してトラフ機構40を移動可能に支持する。シフト支持部61は、トラフ機構支持フレーム11に対してトラフ機構フレーム41(本体部41a)を移動可能に支持する。シフト支持部61は、例えば、フレーム側シフト支持部61aと、トラフ機構側シフト支持部61bと、を備える。フレーム側シフト支持部61aは、トラフ機構支持フレーム11の上面に固定される。フレーム側シフト支持部61aは、冷却床搬送方向Yに延びる(図1参照)。トラフ機構側シフト支持部61bは、フレーム側シフト支持部61aの上方(真上)に配置される。トラフ機構側シフト支持部61bは、フレーム側シフト支持部61aと上下方向Zに対向するように配置される。フレーム側シフト支持部61aとトラフ機構側シフト支持部61bとの間には、例えばローラ(図示なし)やスライドパッド(図示なし)などが配置されてもよい。なお、フレーム側シフト支持部61aおよびトラフ機構側シフト支持部61bのうち一方はなくてもよい。
シフトガイド63は、リフタ機構30に対するトラフ機構40の移動をガイドする。シフトガイド63は、リフタ機構30に対するトラフ装置50の棒鋼長手方向Xへの移動を規制する。シフトガイド63は、フレーム側シフトガイド63aと、トラフ機構側シフトガイド63bと、を備える。フレーム側シフトガイド63aは、トラフ機構支持フレーム11の上面に固定される。フレーム側シフトガイド63aは、例えばフレーム側シフト支持部61aの側面(棒鋼長手方向X内側の面)である。フレーム側シフトガイド63aとフレーム側シフト支持部61aとは別個の部材でもよい(図示なし)。トラフ機構側シフトガイド63bは、トラフ機構フレーム41に対して固定される。トラフ機構側シフトガイド63bは、トラフ機構フレーム41の底面(下側Z2の面)から下側Z2に突出する。トラフ機構側シフトガイド63bは、トラフ機構側シフト支持部61bと一体的に形成される。トラフ機構側シフトガイド63bとトラフ機構側シフト支持部61bとは別個の部材でもよい(図示なし)。フレーム側シフトガイド63aおよびトラフ機構側シフトガイド63bは、それぞれ、冷却床搬送方向Yに延びる(図1参照)。フレーム側シフトガイド63aとトラフ機構側シフトガイド63bとは、棒鋼長手方向Xに対向するように配置される。
ストッパ64は、図1に示すように、リフタ機構30に対するトラフ機構40の冷却床下流側Y2への移動を規制する。ストッパ64は、トラフ機構支持フレーム11に固定される。ストッパ64は、トラフ機構支持フレーム11の上面から上側Z1に突出する。ストッパ64は、トラフ機構40がトラフ使用状態の場合(図1に示す状態の場合)に、トラフ機構フレーム41に接触する。ストッパ64は、トラフ機構フレーム41に固定された部材(トラフ機構側シフト支持部61bなど)に接触してもよい。
シフト装置65は、リフタ機構30に対してトラフ機構40を移動させる装置である。シフト装置65は、トラフ機構40の冷却床上流側Y1に配置される。シフト装置65は、棒鋼長手方向Xに延びるトラフ機構40を、冷却床搬送方向Yに平行移動させる。図5に示すように、シフト装置65は、複数設けられる。複数のシフト装置65は、棒鋼長手方向Xに並ぶように配置される。複数のシフト装置65は、トラフ機構40の複数の部位に取り付けられる。例えば、1つのユニット40uに対して、1つのシフト装置65が取り付けられる(1つのユニット40uに複数のシフト装置65が取り付けられてもよい)。シフト装置65は、例えばジャッキであり、例えばスクリュージャッキである。シフト装置65は、シフト装置連結シャフト67a(後述)の軸周りの回動を、冷却床搬送方向Yの直線移動に変換する。なお、シフト装置65は、シリンダなどのアクチュエータでもよい。シフト装置65は、固定部65aと、出力部65bと、を備える。固定部65aは、トラフ機構支持フレーム11に固定される。出力部65bは、固定部65aに対して冷却床搬送方向Yに移動する(駆動される)。出力部65bは、トラフ機構フレーム41(本体部41a)に取り付けられる。
シフト装置駆動部67は、複数(例えば3つ)のシフト装置65を同期駆動させる。シフト装置駆動部67は、シフト装置連結シャフト67aと、シフトモータ67bと、を備える。シフト装置連結シャフト67aは、複数のシフト装置65どうし(固定部65aどうし)を連結する。
シフトモータ67bは、シフト装置65を駆動する装置(シフト装置駆動装置)である。シフトモータ67bは、例えば電動モータである。1つのシフトモータ67bは、シフト装置連結シャフト67aを介して、複数(例えば3つ)のシフト装置65に駆動力を伝える。シフトモータ67bは、トラフ機構40全体に対し、複数(例えば6)設けられる。例えば、3つのユニット40u(冷却床搬送方向Yの長さ約15m)あたり、1つのシフトモータ67bが設けられるとする。また、トラフ機構40全体(冷却床搬送方向Yの全長約100m)に、ユニット40u(冷却床搬送方向Yの長さ約5m)が約20設けられるとする。この場合、トラフ機構40全体あたり、約6つのシフトモータ67bが設けられる(上記の個数や寸法は適宜変更してもよい)。これらの複数の(例えば6つの)シフトモータ67bは、同期駆動される(同時に動作する)(後述)。
クランプ機構70(トラフ固定機構)は、図6に示すように、フレーム10に対してトラフ機構40を固定する。クランプ機構70は、トラフ機構支持フレーム11に対してトラフ機構フレーム41(本体部41a)を固定する。クランプ機構70は、フレーム10に対するトラフ機構40の振動を防ぐ。クランプ機構70は、トラフ機構40をトラフ使用状態(図1参照)およびトラフ退避状態(図3参照)に維持する。クランプ機構70は、例えば、クランプレバー70cを用いて固定対象物(トラフ機構40、被クランプ部70a)を固定する、レバー式である。クランプ機構70は、例えば、バネ70dを用いて固定対象物を固定する、バネクランプである。クランプ機構70は、被クランプ部70aと、レバー支持部70bと、クランプレバー70cと、バネ70dと、油圧シリンダ70eと、を備える。
被クランプ部70aは、トラフ機構支持フレーム11に固定される。被クランプ部70aは、クランプレバー70cが接触可能に構成される。被クランプ部70aは、トラフ機構支持フレーム11の棒鋼長手方向X端部よりも、棒鋼長手方向X外側に突出する。被クランプ部70aは、例えば板状である。被クランプ部70aは、フレーム側シフト支持部61aと一体的に構成される。被クランプ部70aは、トラフ機構側シフトガイド63bと一体的に構成される。被クランプ部70aは、フレーム側シフト支持部61aやトラフ機構側シフトガイド63bとは別個の部材でもよい。レバー支持部70bは、トラフ機構フレーム41に固定される。レバー支持部70bは、連結部41eまたはクランプ取付部41f(図5参照)に固定される。クランプレバー70cは、レバー支持部70bに対して移動(例えば回動)可能である。クランプレバー70cは、被クランプ部70aに接触可能である。バネ70dは、クランプレバー70cが被クランプ部70aを押し付ける向きに、クランプレバー70cを付勢する。バネ70dは、例えば複数のサラバネを重ね合わせたものなどである(図示しないコイルバネなどでもよい)。油圧シリンダ70eは、レバー支持部70bに対してクランプレバー70cを移動させるアクチュエータである(クランプレバー駆動アクチュエータである)。
(動作)
図1に示す棒鋼受け渡し装置1の動作を説明する。以下、リフタ機構30の動作と、トラフ機構40の動作と、シフト機構60の動作と、クランプ機構70の動作と、について説明する。
(リフタ機構30の動作)
図3に示すリフタ機構30の動作は次の[動作A1]〜[動作A6]の通りである。[動作A1]太物の棒鋼Bが、棒鋼圧延装置(図示なし)からローラテーブル31上に渡される。[動作A2]ローラ31aを回転駆動させることにより、棒鋼Bは、ローラテーブル31上を棒鋼長手方向Xに移動する。[動作A3]ローラ31aの駆動を止めることで、棒鋼Bは、ローラテーブル31上を自然滑走する。その結果、棒鋼長手方向Xへの棒鋼Bの移動が停止する。[動作A4]棒鋼Bは、ローラテーブル31の上面から、下側Z2に下げられた状態のリフタ37(図3において実線で示すリフタ37参照)の上面に移動する。[動作A5]リフタ37が上側Z1に上げられる(図3において二点鎖線で示すリフタ37参照)。[動作A6]棒鋼Bは、リフタ37の上面から受溝21に移動する。上記[動作A1]〜[動作A6]のように、リフタ機構30を用いて棒鋼Bの受け渡しを行う場合、トラフ機構40を用いる場合に比べ、棒鋼B(製品)にキズが付き難く、品質面で有利である。
(トラフ機構40の動作)
図2に示すトラフ機構40の動作は次の[動作B1]〜[動作B7]の通りである。[動作B1]細物の棒鋼Bが、棒鋼圧延装置(図示なし)からトラフ閉状態のトラフ53(空間53s)に渡される(誘導される)。[動作B2]上記[動作B1]のとき、例えば複数本の棒鋼Bそれぞれが別個のトラフ53に渡される。このとき、例えば棒鋼Bの径の太さに応じて、渡されるトラフ53が選択される。なお、上記[動作B1]のとき、1本のみの棒鋼Bが1つのみのトラフ53に渡されてもよい。[動作B3]棒鋼Bは、空間53s内を棒鋼長手方向Xに移動する。ここで、細物の棒鋼Bの圧延速度は、太物の棒鋼Bの圧延速度よりも高速である。そのため、細物の棒鋼Bをローラテーブル31上で移動させた場合、棒鋼Bがローラテーブル31に対して飛び跳ねたり飛び出たりするおそれがある。そこで、細物の棒鋼Bを空間53s内で移動させる。これにより、太物の棒鋼Bに比べて高速の圧延速度に対応できる(トラフ53が棒鋼Bを適切に受け取ることができる)。[動作B4]図示しないピンチローラおよびブレーキにより、棒鋼Bの棒鋼長手方向Xの移動を減速および停止させる。[動作B5]トラフ駆動部55が駆動することにより、トラフ53がトラフ開状態となる。[動作B6]棒鋼Bは、トラフ53からシュート57上に乗り移る。[動作B7]棒鋼Bは、シュート57上を移動し、棒鋼落下ガイド59を通り、受溝21に落下する。上記[動作B5]〜[動作B7]は、トラフ53から棒鋼Bが1本ずつ落下するように行われる。例えば、トラフ装置50が複数設けられる場合、トラフ装置50を1つずつ駆動させる。また例えば、1本のトラフ駆動アーム55eに複数(例えば2つ)のトラフ53が取り付けられる場合、トラフ駆動アーム55eを複数段階(例えば2段階)に回動させる(ダブルアクションを行う)ことで、棒鋼Bを1本ずつ落下させる。
(シフト機構60の動作)
図1および図3に示すシフト機構60の動作は次の通りである。上記のように、シフト機構60は、トラフ使用状態(図1参照)およびトラフ退避状態(図3参照)にトラフ機構40を移動可能に構成される。
図1に示すトラフ使用状態は、トラフ機構40が使用可能な状態(トラフ機構40で棒鋼Bの受け渡しができる状態)である。トラフ使用状態のとき、リフタ37の上方(真上)にトラフ機構40が配置される。トラフ使用状態のとき、リフタ37の上方(または略上方)にトラフ53が配置される。トラフ使用状態のとき、受溝21の上方に棒鋼落下ガイド59が配置される。
図3に示すトラフ退避状態は、リフタ機構30に対してトラフ機構40を退避させた状態である。トラフ退避状態は、リフタ機構30の使用時や、リフタ機構30のメンテナンス時などに採られる状態である。トラフ退避状態は、少なくとも「状態C1」(後述)であり、好ましくは「状態C2」(後述)であり、「状態C3」(後述)でもよい。
状態C1(トラフ退避状態)は、リフタ37の上方(真上)が開放された状態である。さらに詳しくは、状態C1は、リフタ37の上面の上方の領域D1が開放された状態である。なお、図3では、各領域(領域D1、後述する領域D2、および後述する領域D3)の境界どうしを区別しやすくするために、各境界を模式的に示した(各境界を表す破線を、各境界の実際の位置に対してわずかにずらした)。状態C1のとき、領域D1よりも冷却床上流側Y1に、前面部41bの冷却床下流側Y2の面が配置される。領域D1には上端部(上側Z1端部)がある。領域D1の上端部よりも上側Z1には、物(例えば前面部支持部41c、特に突出部41d)が配置されてもよい。領域D1の上端部は、リフタ37から十分離れた位置(後述する「(効果1)」を奏する程度に十分離れた位置)に設定される。具体的には例えば、領域D1の上端部の高さ位置(上下方向Zにおける位置)は、上蓋51の上端部の高さ位置と同じである。さらに詳しくは、領域D1の上端部の高さ位置は、トラフ使用状態(図1参照)のときのリフタ37の上方(真上)における、トラフ装置50の上端部(上蓋51の上端部)の高さ位置である。なお、領域D1の上端部の高さ位置は、図2に示すアーム支持軸55fの上端部の高さ位置と同じでもよく、トラフ駆動アーム55eの上端部の高さ位置と同じでもよい。また、領域D1の上端部の高さ位置は、ラインシャフト55cの上端部の高さ位置と同じでもよく、トラフ駆動レバー55bの上端部の高さ位置と同じでもよい(後述する領域D2および領域D3の場合も同様)。
状態C2(トラフ退避状態)は、図3に示すように、リフタ37の上方およびローラテーブル31の上方(真上)が開放された状態である。さらに詳しくは、状態C2は、リフタ37の上面と、ローラテーブル31の上面と、の上方の領域D2が開放された状態である。状態C2のとき、領域D2よりも冷却床上流側Y1に、前面部41bの冷却床下流側Y2の面が配置される。領域D2には上端部(上側Z1端部)がある。領域D2の上端部よりも上側Z1には、物(例えば前面部支持部41c、特に突出部41d)が配置されてもよい。領域D2の上端部は、リフタ37およびローラテーブル31から十分離れた位置(後述する「(効果2)」を奏する程度に十分離れた位置)に設定される。具体的には例えば、領域D2の上端部の高さ位置は、トラフ駆動アーム55eの上端部の高さ位置と同じである。さらに詳しくは、領域D2の上端部の高さ位置は、トラフ使用状態(図1参照)のときのリフタ37およびローラテーブル31の上方(真上)における、トラフ装置50の上端部(トラフ駆動アーム55eの上端部)の高さ位置である。
状態C3(トラフ退避状態)は、リフタ37の上方、ローラテーブル31の上方、および、ローラ上流側壁部33の上方(真上)、が開放された状態である。さらに詳しくは、状態C3は、リフタ37の上面と、ローラテーブル31の上面と、ローラ上流側壁部33の上面と、の上方の領域D3が開放された状態である。状態C3のとき、領域D3よりも冷却床上流側Y1に、前面部41bの冷却床下流側Y2の面が配置される。領域D3には上端部(上側Z1端部)がある。領域D3の上端部よりも上側Z1には、物(例えば前面部支持部41c、特に突出部41d)が配置されてもよい。領域D3の上端部は、リフタ37、ローラテーブル31、およびローラ上流側壁部33から十分離れた位置に設定される。具体的には例えば、領域D3の上端部の高さ位置は、トラフ駆動アーム55eの上端部の高さ位置と同じである。さらに詳しくは、領域D3の上端部の高さ位置は、トラフ使用状態(図1参照)のときのリフタ37、ローラテーブル31、およびローラ上流側壁部33の上方(真上)における、トラフ装置50の上端部(トラフ駆動アーム55eの上端部)の高さ位置である。
シフト機構60等は、次の[動作E1]〜[動作E4]のように動作(駆動)する。[動作E1]上記のように、複数(例えば6つ)のシフトモータ67b(図5参照)を同期駆動させる。[動作E2]図5に示すシフトモータ67bの駆動力は、シフト装置連結シャフト67aにより複数のシフト装置65に同時に伝わる。その結果、複数のシフト装置65が同期駆動する。[動作E3]その結果、各ユニット40uが同時に冷却床搬送方向Yに移動する。その結果、トラフ機構40全体が冷却床搬送方向Yに平行移動する。[動作E4]上記[動作E3]の際、理想的には、複数のユニット40uは、棒鋼長手方向Xに直線状に並んで冷却床搬送方向Yに移動する。しかし、実際には、複数のユニット40uどうしが冷却床搬送方向Yにわずかにずれる場合がある。その結果、図4に示す複数のユニット40uにわたって設けられたラインシャフト55cが曲がる。しかし、ラインシャフト55cにはフレキシブルジョイント55cjが設けられている。よって、複数のユニット40uどうしが冷却床搬送方向Yにずれても、ラインシャフト55cを適切に軸周りに回転させることができる。
(クランプ機構の動作)
図6に示すクランプ機構70の動作には、トラフ機構固定時の動作と、トラフ機構シフト時の動作と、がある。トラフ機構固定時とは、トラフ機構40がフレーム10に対して固定される時である。トラフ機構シフト時とは、トラフ機構40がフレーム10に対して(リフタ機構30に対して)移動する時である。
トラフ機構固定時のクランプ機構70の動作は次の通りである。油圧シリンダ70eの油圧を所定値未満とする(例えば油圧をかけない)。その結果、バネ70dの付勢力により、クランプレバー70cが被クランプ部70aに押し付けられる。その結果、トラフ機構支持フレーム11に対して、トラフ機構フレーム41が固定される。この固定により、フレーム10に対するトラフ機構40の振動を防ぐことができる。
トラフ機構シフト時のクランプ機構70の動作は、次の通りである。油圧シリンダ70eに所定値以上の油圧がかけられる。その結果、油圧シリンダ70eは、クランプレバー70cが被クランプ部70aから離れる向きに、クランプレバー70cを移動させる。このとき油圧シリンダ70eは、バネ70dの付勢力と反対向きに(例えばバネ70dを圧縮させる向きに)、クランプレバー70cを移動させる。その結果、クランプレバー70cが被クランプ部70aから離れる。その結果、フレーム10に対して(リフタ機構30(図1参照)に対して)、トラフ機構40が移動可能となる。
(効果1)
図1に示す棒鋼受け渡し装置1による効果を説明する。棒鋼受け渡し装置1は、棒鋼Bを冷却する冷却床20と、リフタ機構30と、トラフ機構40と、シフト機構60と、を備える。リフタ機構30は、棒鋼Bを搬送するためのローラテーブル31、および、ローラテーブル31から冷却床20に棒鋼Bを受け渡すためのリフタ37を備える。トラフ機構40は、棒鋼Bを落下させるためのトラフ53、および、トラフ53から落下した棒鋼Bを冷却床20に誘導するための棒鋼落下ガイド59を備える。
[構成1−1]図1および図3に示すように、シフト機構60は、リフタ機構30に対してトラフ機構40を移動可能に構成される。
[構成1−2]図1に示すように、シフト機構60は、リフタ37の上方にトラフ機構40が配置された状態(図1参照)に、トラフ機構40を移動可能に構成される。
[構成1−3]図3に示すように、シフト機構60は、少なくともリフタ37の上方(領域D1)が開放された状態に、トラフ機構40を移動可能に構成される。
上記[構成1−1]および[構成1−3]により、図3に示すリフタ37の上方を開放させることができる。よって、リフタ37のメンテナンスを容易に行える。また、上記[構成1−1]および[構成1−3]により、リフタ機構30使用時(リフタ機構30を用いて棒鋼Bの受け渡しをする時)にリフタ37の上方を開放させることができる。よって、棒鋼受け渡し装置1は、次の[効果1−1]〜[効果1−3]を奏する。[効果1−1]リフタ機構30使用時にローラテーブル31内で棒鋼Bが正常に搬送されない状況が発生した場合でも、トラフ機構40の損傷を抑制できる。[効果1−2]リフタ機構30使用時にローラテーブル31内で棒鋼Bが正常に搬送されない状況が発生した場合でも、材料(搬送トラブルが生じた棒鋼B)を容易に取り出せる。[効果1−3]リフタ機構30から冷却床20に受け渡される棒鋼Bが、棒鋼落下ガイド59(図1参照)に干渉することがない。この干渉が生じないので、リフタ37から冷却床20に受け渡される棒鋼Bの径(最大製品サイズ)によって、棒鋼落下ガイド59(図1参照)の下端部の位置が制限されることがない。よって、図1に示すようにリフタ37の上方にトラフ機構40が配置された状態のとき([構成1−2]参照、トラフ使用状態のとき)、棒鋼落下ガイド59を、冷却床20のより近くに配置できる(従来よりも棒鋼落下ガイド59を下側Z2に延ばせる)。よって、棒鋼落下ガイド59の落下誘導性を向上させることができる。具体的には、トラフ機構40使用時(トラフ機構40を用いて棒鋼Bの受け渡しをする時)に、棒鋼Bを冷却床20に適切に誘導できる。その結果、冷却床20での棒鋼Bの溝移りを抑制できる。その結果、棒鋼Bが溝移りすることによって生じる棒鋼Bの品質の悪化(棒鋼Bが曲がるなど)を抑制できる。
(効果2)
[構成2]図3に示すように、シフト機構60は、リフタ37の上方(領域D1)およびローラテーブル31の上方(領域D2)が開放された状態に、リフタ機構30に対してトラフ機構40を移動可能に構成される。
上記[構成1−1]および[構成2]により、ローラテーブル31の上方を開放させることができる。よって、ローラテーブル31のメンテナンスを容易に行える。また、リフタ機構30使用時にローラテーブル31の上方を開放させた場合、ローラテーブル31上の棒鋼Bから、トラフ機構40に輻射熱が伝わりにくい。よって、この輻射熱によって生じるトラフ機構40の損傷を抑制できる。その結果、トラフ機構40の寿命を延ばすことができる。また、この損傷により必要となるトラフ機構40の保守作業を減らす(保守性を向上させる)ことができる。
(効果3)
[構成3]シフト機構60によるトラフ機構40の移動は、冷却床搬送方向Y成分(冷却床20での棒鋼Bの搬送方向成分)を含む直線移動である。
上記[構成3]により、シフト機構60がトラフ機構40を曲線移動させる場合や回転移動させる場合に比べ、簡易なシフト機構60の構成でトラフ機構40を移動させることができる。
(効果4)
[構成4]シフト機構60によるトラフ機構40の移動は、冷却床搬送方向Y成分(冷却床20での棒鋼Bの搬送方向成分)を含む水平方向のみである。
上記[構成4]では、シフト機構60がトラフ機構40を上側Z1に持ち上げる力が不要なので、シフト機構60を動作させるのに必要なエネルギー量を抑制できる。
(効果5)
図5に示すように、トラフ機構40は、棒鋼長手方向X(棒鋼Bの長手方向)に延びるように構成される。シフト機構60は、複数のシフト装置65を備える。
[構成5]複数のシフト装置65は、棒鋼長手方向Xに並ぶように配置され、かつ、トラフ機構40の複数の部位に取り付けられる。
上記[構成5]により、棒鋼長手方向Xに延びるトラフ機構40を平行移動させやすい(1つのシフト装置65のみでトラフ機構40を移動させる場合や、複数のシフト装置65が棒鋼長手方向Xに並んでいない場合と比べたとき)。
(効果6)
[構成6]シフト機構60は、複数のシフト装置65を同期駆動させるシフト装置駆動部67を備える。
上記[構成6]により、棒鋼長手方向Xに延びるトラフ機構40をより確実に平行移動させることができる。その結果、トラフ機構40が備えるラインシャフト55cも、平行移動させることができる。よって、シフト機構60によりトラフ機構40を移動させるとき(移動の前や後)に、ラインシャフト55cどうしの結合(棒鋼長手方向Xの結合)を脱着する作業を行う必要がない。