JP2015201507A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】水分、酸素に対する耐性が乏しく劣化しやすい有機EL素子の本質的な課題を解決する手段の提供【解決手段】陽極と陰極に挟まれた有機半導体材料を含む有機ELデバイスにおいて、当該有機半導体材料を含む発光材料の少なくとも1種の最低空軌道のエネルギーレベルが、3.4eVより深い位置にあることを特徴とする有機EL素子。このことによって電子注入層にアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることなく電子注入が容易に起こる【選択図】図2

Description

本発明は、水や酸素に触れても劣化が小さく、デバイスの作製工程や封止工程を大幅に簡素化できる有機EL素子に関するものである。
近年は、有機半導体材料を利用した有機デバイスの開発が盛んに行われている。とりわけ、有機EL、有機トランジスタ、有機太陽電池の開発が盛んであり、実用化も始まっている。しかしながらこれらのデバイス、特に有機ELはディスプレイと照明の用途で実用化および開発が進んでいるがコストや歩留まりの点でまだ多くの課題を抱えている。
特許公報第3614405号
SID2013、講演番号P.140L Heegerら、Science, vol.269, p.1086 (1995) Organic Light-Emitting Materials and Devices, Edited by Zhigang Li and Hong Meng, Taylor and Francis, 2007 Yookら、Thin Solid Films,vol. vol.517, p. 6109 (2009) Kanaiら、Organic Electronics, p188, vol.11 (2010) Gaoら、Tetrahedron Letters, vol.50, p.1649 (2009) Winkerら、J. Am. Chem. Soc., vol. 129, p.1805 (2007) Shaoら、Org. Biomol. Chem. vol.10, p.7045 (2012) Richardsら、Org. Biomol. Chem., vol. 9, p. 5005 (2011)
現在、検討されている有機デバイス、特に有機ELデバイスや有機太陽電池の陰極としては、アルミニウム、銀、金等の金属あるいはこれらを主体とした合金類、またインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化スズ等に代表される透明導電膜が使用されている。これらの金属および酸化物は仕事関数が4eV-5eV程度の範囲の値を持っている。同様に陽極も同様な金属、それらの合金類または透明導電膜が用いられている。
有機EL素子においては、陽極と陰極間に電圧を印加することにより、陽極からはホールが、陰極からは電子が有機半導体中に注入され、発光層中でエキシトンが生成しそれが基底状態に戻るときに発光する現象を利用したものである。ここで注入された電子を輸送するための機能を有する有機半導体材料の最低空軌道(LUMO)は、一般的には2eVから3eV程度の値を有しているため、Al、Ag、Au、ITO等の通常使われる電極の仕事関数とは1eVを超えるエネルギーギャップがありこれを乗り越えないと電子の注入は起こらない。このため、上記の陰極と陽極に電圧を印加し、特に陰極から効率よく電子を注入するためには、有機半導体材料のLUMOとのエネルギー差を小さくし、電子がより有機半導体材料のLUMOに注入されやすくする必要がある。このために電子注入材料として仕事関数の小さいアルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらとの合金、あるいはハロゲン化物、酸化物、炭酸化物等を用いている。これら金属のハロゲン化物や酸化物、炭酸化物等は基本的には絶縁体であるが、真空蒸着等のプロセスあるいは隣接層の材料と反応などによって、金属が遊離する、錯体を形成する等の反応がおこり膜中では少なくとも一部が金属として遊離しているか他の材料と化合物を形成することによって、有機半導体材料に電子が注入されやすくなっていると考えられている。
図1に有機ELデバイスの基本的な構成を示した。図1で示したように陰極と隣接する電子輸送層のLUMOレベルとのエネルギーギャップ差が小さくなるように、陰極の仕事関数を小さくするアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはそれらの誘導体を含有させるような構成をとっている。しかしながらこれらのアルカリ金属およびアルカリ土類金属類は水分、酸素との反応性が高く不安定であり、大気中に放置するとすみやかにデバイスの劣化を引き起こす。それを防止するために、有機EL素子を作製後大気中に解放することなく速やかに素子の封止を行う必要がある。
このような素子やデバイスの封止は種々の電子デバイスで広く行われているが、有機ELデバイスにおいては、一般の封止材料よりはるかに水分透過率の小さい封止膜をデバイスに付与することが必須となっている。具体的には1x10-6g/m2/day以下という極めて小さな値が要求されている。この値は、通常のプラスチックフィルム等では達成が不可能であり、無機物のフィラーを混入させて水蒸気透過率を下げる、有機と無機の多層膜を完成したデバイス上に積層する、及び/または、乾燥剤をデバイスに封入する等の対策が必要になっているが、設備投資がかかる上に、タクト低下、歩留まりの悪化、材料コストの上昇を招いており、有機デバイスの普及を妨げる要因となっている。
また、プラスチック基板へデバイスを作り込んだフレキシブルディスプレイやフレキシブル照明の開発が盛んになされているが、プラスチックは有機物でできているため水分や酸素を透過させる。そのために基板上に防湿層を設置し基板の透湿性を低減することが進められているが、これらはすべてコストを上昇させるものであり最終製品のコストを鑑みるとこのような特別の基板処理を必要としないデバイスの開発が必須である。このような技術開発を行わなければ、現在求められているコストを実現したデバイスの普及は難しいと考える。上述の封止の課題を解決する方法として、ガラス基板上に陰極を有する、通常の構造とは逆に積層し、電子注入層を工夫したデバイスが提案されているが、詳細は不明である。(非特許文献1)
上記のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属およびその誘導体を使用せずに高効率の発光をうる手段としては、いわゆるLight Emitting Chemical Cellといわれるのものがある。(非特許文献2)このデバイスはイオン類を高分子有機半導体中に添加しバイアスを印加した際に生じるイオンの電極界面への移動によって自発的にp-i-n構造が形成されるものであり、研究開発も盛んに行われているが、イオンが媒体中を移動するためには、一定の時間が必要であり応答性が悪いという本質的な欠点がある。
上記の課題を解決するために本発明者は、水分や酸素に対して影響を受けにくい有機ELデバイスの開発が必須だと考え、種々検討の結果、以下の条件を満たすことが極めて重要であることを見出し本発明の提供に至ったものである。
1.陽極と陰極に挟まれた有機半導体材料を含む有機ELデバイスにおいて、当該有機半導体材料を含む発光材料の少なくとも1種の最低空軌道のエネルギーレベルが、3.4eVより深い位置にあることを特徴とする有機EL素子
2.発光材料、発光材料を含むホスト材料、陰極と接する電子輸送材料の最低空軌道のエネルギーレベルが3.4eVより深い位置にあることを特徴とする特許請求範囲1に記載の有機EL素子
3.陰極および/または陰極に接した層に使用する金属またはその誘導体の仕事関数が4.0eVより深いことを特徴とする特許請求項1から2に記載した有機EL素子
4.陰極および/または陰極に接した層に使用する金属化合物がアルカリ金属、アルカリ土類金属およびその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物を実質的に含まないことを特徴とする特許請求範囲1から2に記載した有機EL素子
5.陰極に使用する金属が、実質的にアルミニウム、銀、金、インジウムおよび/またはスズ、亜鉛からなる酸化物、から選ばれることを特徴とする特許請求範囲1から4に記載した有機EL素子
これらの手段を適用することにより、従来のようなきわめて厳重に管理された封止方法から脱却し、大気中に放置しても安定な有機EL素子を得ることが出来る。
本発明の構成を採用することにより、陰極に空気、水分に対してアルカリ金属、アルカリ土類金属よりも安定な、即ち仕事関数の大きなアルミニウム(仕事関数WF:4.2eV)や銀(WF:4.3eV)、銅(4.7eV)、金(WF:5.1eV)さらには透明導電性化合物(例えばインジウムースズ酸化物(ITO)(WF:4.8eV)等を主体とした材料を用いることが可能になり、その結果、空気、水に対する安定性が飛躍的に向上し、特別な封止プロセスおよび材料を使用する必要がなくなる。このことによって大幅な設備投資の低減や歩留まりの向上が期待され、コスト低減が図られる。
従来型の有機ELデバイスのエネルギーダイヤグラムの一例。ここで104:電子輸送層と105:電子注入層は、これらを混合して用いても良い。また105:電子注入層と106:陰極は合金として用いることもできる。 本発明の有機ELデバイスのエネルギーダイヤグラムの一例。図1と同様に、204:電子輸送層と106:陰極は混合層としてもよい。
(有機半導体層)本発明で用いられる、有機半導体材料にはその求められる機能に応じて、ホール輸送、電子ブロック、発光、ホールブロック、電子輸送等の機能を有することが望ましい。単一材料で複数の機能を有していても良い。これら有機半導体層の層構成としては、ホール輸送層/電子ブロック層/発光層/ホールブロック層/電子輸送層の構成が取り得る。これら各々の層は複数の層から構成されていても良く、また各々の層が複数の機能を兼ねても良い。発光層は、ホスト材料と発光を担うドーパントから構成されるが、ホスト材料が発光材料を兼ねても良い。上記の有機半導体層のうち、ホール輸送層、発光層(ホストおよびドーパント)、ホールブロック層、電子輸送層に用いられる有機半導体材料としては、LUMOレベルは3.4eVより深い値を有する材料を用いることが必要である。ただし、電子ブロック機能を有する層のみはLUMOレベルが3.4eVより浅い材料を用いることが出来る。なぜならば発光層を流れる電子が陽極側に再結合しないで通過すると発光効率の低下をもたらすため、LUMO準位が発光層に持ちいている有機半導体材料より浅いことが電子ブロック機能を発現させるには有効である。
従来の有機ELに用いられてきた材料のLUMOは3.4eVより小さい値を持つものがほとんどである(非特許文献3)。LUMOが深い材料で有機ELデバイスに使用されていた材料としてはヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニル(HAT-CN)があげられる(特許文献1)。この材料を通常用いられているホール輸送材料に隣接、もしくは混合して用いることにより、電荷移動錯体を形成し、アニオンとカチオンが分離した状態が生成するため、効率の良いホール生成が得られている。しかしながら、当該特許にHAT-CNの隣接層には通常用いられるホール輸送材料であるN, N-ジメチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(NPB)を用い、また発光層にも通常用いられている8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(8−hydroxyquinoline aluminum ;Alq3)を用いている。発光層および電子輸送層に用いられているAlQ3等、従来用いられている材料のLUMOのレベルは2−3eVの間にあるため、電子注入層/陰極にはフッ化リチウムとアルミニウムの積層構造やリチウムキノリノールを電子輸送層に混合する等の構成が必要であった。
HAT-CNに関連する特許出願、学術文献は数多くあるが、基本的にはアミン系材料の隣接層、もしくは混合層として用いられている、アミン系化合物のHOMOの電子をLUMOが深いHAT-CNが引き抜いて電荷分離を起こさせるという概念に基づくものであり、陰極に用いられている不安定なアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いないという発想にもとづくものではなかった。また、HAT-CNは電子輸送能を有するが、発光材料として用いられるような発光効率を有する材料ではない。後述のようにHAT-CNは本発明で求められる陰極の仕事関数よりも深いLUMOを有しており、本発明の趣旨からはここまで深いLUMOを有する有機半導体は必要ではない。本発明で用いられる最低空軌道(LUMO)レベルが低い有機半導体材料としては、ヘキサアザトリフェニレン類(HAT類)一般式(1)、含窒素芳香族化合物であるアセン類(例えば非特許文献9)が用いられる。がこれらに限るものではなく電子吸引性の母核を有する3.4―5eV程度の深いLUMOレベルをもつものは好ましく用いられる。
これらは、基本的にはn型半導体の性質を有し、電子移動度が高いため有機トランジスタ用材料として検討されている。これらの材料を高いホール移動度が必要なホール輸送材料として用いるためには、置換基としてアミン類を導入することでホール輸送性が発現しいわゆるバイポーラーの性質を持つ。ヘキサアザトリフェニレン(HAT)に電子吸引性基であるシアノ基を6個導入したHAT-CNは、上述のように有機ELの電荷発生層として、ホール注入材料の隣接層に用いられている。HAT-CNの最高占有軌道(HOMO)、最低空軌道(LUMO)の値は、それぞれ9.5eV, 5.7eVと通常ホール輸送層に用いられているN, N-ジメチル-N,N’-ジフェニルベンジジン(NPB)の5.5eV、2.4eVよりもはるかに大きい値を有している(非特許文献4)。同様に発光層のホスト材料に良く用いられるm-CPやCBPのHOMO,LUMOの値は、m-CPで5.9eV、2.4eV、CBPでは6.3eV、3.0eVであり、電子輸送層に用いられているAlq3はそれぞれ5.9eV、3.0eV、TPBIではそれぞれ6.2eV、2.7eVである。(非特許文献3)
これらの条件を鑑みると、本質的な対策としては、陰極を実質的にAl、Ag、Cu、Auなどからなる材料とし、これらの金属から電子が注入できるような有機半導体材料、発光材料の設計をすることが必要になる。これらは今までに設計されてきた材料とは大きく異なるものであり開発思想も異なるものである。発光材料としては青、赤、緑の3原色が必要になるが、それぞれを発光させるために必要なバンドギャップとしては、最も広いバンドギャップを必要とする青色を基準に考えるとスカイブルーでは2.7eV程度、深青色では2.9-3.eV程度のバンドギャップが必要になる。この場合、Alを陰極に用いてその仕事関数と同様な有機材料(LUMO:4.2eV)を用いることができたとすると、ホール輸送層および発光材料に必要なHOMOレベルは、4.2eV+3eV=7.2eVとなり、通常の陽極として用いられるITOやあるいは金属の仕事関数が4.8-5.2eV程度であることを考慮するとホール注入が困難となる。
この困難を克服するためには、遷移金属酸化物を用いることで解決することができる。例えば三酸化モリブデンの価電子帯の位置はAuに対して2.7-2.8eV深い位置にある(非特許文献5)。即ち、ホール注入に必要な仕事関数は7.8-7.9eVとなり、上述の青色材料のLUMOレベルを4.2eVと置いたときのHOMOレベル7.2eVに対しても十分に注入できるレベルになっている。実際は、三酸化モリブデンMoO3は絶縁体であるために若干の酸素欠陥を導入し、その欠陥準位をとおしてホールを注入する必要がある。この欠陥準位は、通常の成膜方法でも若干の酸素結果が生じることが知られていること、また例えばスパッタリング法を用いて金属モリブデンあるいはタングステンをターゲットに用い、スパッタチャンバ内のアルゴンと酸素の比率等を変えていくことで所望の欠陥を得ることが可能となる。用いることができる酸化物は、酸化モリブデンや酸化タングステン、酸化バナジウム等に限らず大きな仕事関数を有するものであれば材料種は限定されない。
以上、アルカリ金属、アルカリ土類金属を用いずに作製した陰極に対して、有機材料のLUMOレベルを大きくしてAl、Ag、Au、ITO等から効率よく電子注入を行わせた場合に問題となる、ホール注入に必要となる大きな仕事関数は上述の技術を用いることで、特に青色のような広いバンドギャップに対してホールを注入することは可能であることがわかる。
次に有機材料について検討する。有機材料のLUMOを深くするためにはLUMOの分子軌道を電子欠損型にすれば良い。具体的には、有機ELのホール注入層として、NPD層に隣接して用いられるHAT-CNのような分子設計を行えばよい。HAT-CNのHOMO、LUMOレベルは文献で5.1eV程度であることが知られており、前述のAuと同レベルであり十分に電子を注入できるレベルにある。またHAT-CNのHOMOは非特許文献4によると9.6eVであり、酸化モリブデンよりも相当深いレベルにある。またバンドギャップは4.5eVと極めて広い。これに対し、HAT-CNの類縁体である、ヘキサアザトリフェニレン誘導体の置換基の種類を変えて溶液中の発光を調べた文献がある(非特許文献6)。
それによると,アリール基の置換基をメチル基から、フェニル基、メトキシフェニル基、フルオレン基、チオフェン基、トリフェニルアミン基と変化させると、溶液系での極大発光波長が432nmから700nmまで変化し、溶液でのHOMOレベルは6.35eVから5.28eVまで浅くなっている。一方LUMOレベルは3.5-3.6eV付近にありほぼ一定であった。以上から、溶液系ではあるがヘキサアザトリフェニレン誘導体の置換基の電子供与性を変えることにより、酸素欠損型の骨格に電子供与性の置換基を付与してLUMOレベルを大きく変えずにHOMOのレベルを変えることが可能であること、得られた化合物は蛍光を発することがわかる。すなわち、深いLUMOレベルを有する化合物でもRGB3原色の発光素子を作製することは可能であることがわかる。なお、非特許文献6には、有機ELデバイスの関しては言及されておらずこのような発光材料が水分や酸素に安定であることに関する記述はない。その他にLUMOが深い材料としては窒素を含む芳香族のアセン類が知られている(非特許文献7および8)。
これらの文献の中に例示されている化合物も本発明に好ましく用いられる。
本発明で用いられる種々の機能を有した有機材料は、陰極の材料構成を変更し、仕事関数が4eVV以上の値を有することから従来の材料を使用することは困難であり、電子ブロック層を除いて3.4eVより深いLUMOを有する分子を新たに設計・開発する必要がある。本発明で用いられる有機半導体材料のLUMOレベルは、3.4eV以上6eV以下、好ましくは4.0eV以上、5.2eV以下、特に好ましくは、4.2eV以上5.0V以下である。
本発明の有機ELに用いられるホール注入層は、発光材料のHOMOレベルが通常用いられる5.5eV〜6eV前後より非常に深いことから、発光層を形成する発光材料またはホスト材料のHOMOレベルと近いエネルギーレベルを有していることが必要である。従って、ホスト材料と同様なHOMOレベルであれば良い。このためには、ホスト材料そのものを用いることができる。また良く知られているポリチオフェン誘導体であるPEDT:PSSを改変してHOMOレベルを深くする等の公知の手段も用いることができる。
本発明の有機ELに用いられる電子注入・輸送層は、陰極の仕事関数および発光材料のLUMOレベルを鑑みて調節する必要がある。従って、用いる陰極材料によって最適なLUMOレベルが変わってくるが、3.4eVより深いLUMOレベルを有する材料が好ましく用いられる。より好ましくは4.0eV以上、特に4.2eV以上の材料が好ましい。例えば陰極の材料として、Agを用いる場合は4.3eV前後のLUMOレベルを有する材料が、Auを用いる場合には5.1eV近辺にLUMOレベルを有する材料が好ましい。これら最適なエネルギーレベルは、金属と有機物の界面の相互作用によって大きく変わる場合があり、一概に数値で表すことは困難であるが、電子注入に必要なエネルギーが小さい方が低電圧駆動が可能になり好ましく用いられる。具体的には元素Nを有する芳香族含窒素化合物、含窒素アセン類の様々な化合物のLUMOレベルが上記の条件に当てはまることが知られている。
本発明で用いられる有機半導体材料としては、下記一般式(1)で表されるが、これに限定されるものではない。
Figure 2015201507


(式中、Rはそれぞれ独立に、水素、炭素数1から10の炭化水素基、ハロゲン、アルコキシ基、アリールアミノ基、エステル基、アミド基、芳香族炭化水素基、複素環式基からなる群より選択される、Rは互いに環を形成しても良い)
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下にあげるが、本請求項の範囲を満たす者であればこれらに限定されない。
Figure 2015201507
(層構成)本発明の有機ELデバイスは、基板と基板上に設けられた一対の電極と、当該電極に挟まれた多層からなる有機EL層を含む。有機EL層には、陽極側から見て正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなるが、よく知られているように発光層の両側には電子ブロック層、正孔ブロック層を設けキャリアの閉じこめやエキシトンの閉じこめを最大化し、このことによって発光効率が向上する。
従って、本発明に用いられるデバイスの層構成としては、陽極/発光層/陰極の基本構造が必要である。発光層の両側または片側に接して、陽極側には正孔注入・輸送層、陰極側には電子輸送・注入層を設けることが出来る。これらの層は陽極および陰極から発光層に注入されたホールおよび電子のバランスを調節する役割および発光層で生成したエキシトンを閉じこめる役割が必要とされる。従って、それぞれの機能を有した層は2層以上の層から形成されてもよい。
(基板)本発明で用いられる基板はアルカリ、無アルカリガラス、ポリカーボネート、ポリイミドのようなプラスチックの透明材料、あるいは着色された材料が用いられる。本発明の趣旨からして、基板の平坦性を確保することは重要であり、また水分や酸素の透過性は低いことが望ましいが特に透水性が10-6g/m2day以下である必要はない。
基板の上部には、絶縁膜を形成したり、レジストでバンク構造を作製する等の従来の方法で作成することが可能である。また、TFT回路や配線を形成した基板も使用できる。
(陽極)本発明に用いられる陽極は、光透過性を有していても光反射性を有していても良い。また一部が反射する等の機能を有していて半透過性または両面が透過性になっていても良くこれらの構成に制限はない。光透過性を有する陽極としてはインジウムースズ酸化物、およびその類似化合物(例えばインジウム亜鉛酸化物等)に加え、PEDOT:PSS等に代表される低抵抗の有機半導体材料を用いることも可能である。光反射性の材料としてはAl、Ag、その他合金等反射率の高い公知の材料を用いることが出来る。これらの材料は、真空蒸着、スパッタリング、塗布等公知の工法を用いて形成できる。
また、本発明の有機半導体材料はHOMOが従来の材料より深くなるため、より陽極とオーミックコンタクトして、かつ深い仕事関数を有する材料、例えば酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化バナジウムのような酸化物を用いることが極めて有効である。このような深い仕事関数をこれらの電子構造は研究されており、荷電子帯の準位は7-8eVに存在することが知られている(非特許文献3)これらの酸化物材料は、蒸着やスパッタリング時の酸化状態をコントロールすることによって酸化数が変化し絶縁体から半導体、導体へと性質を変える。これは酸素欠陥に起因して荷電子帯より浅い準位に生じる酸素欠陥に基づく準位が生成すると考えられている。このように、荷電子帯が深い材料を上記の4-5.5eV程度の仕事関数を有する金属あるいは透明導電膜を用いた場合も、これらの酸化物を積層、もしくは混合し、その欠陥準位を調整することで7eVを超える有機半導体材料のHOMOへも効率的なホール注入が可能となる。
(陰極)本発明に用いられる陰極としては、仕事関数の値が大きく酸素や水分によって酸化されにくい、あるいは酸化されても安定な材料を用いることが本発明の効果を発現させるためには重要である。金属材料であれば、Al(仕事関数4.2eV)、Ag(同4.3eV)、Cu(4.7eV)、Au(同5.1eV)等の仕事関数が4.0eVより大きい値を持つ金属が好ましい。なお、Alは表面がたやすく酸化され安定な酸化アルミ膜を形成するが生成した膜は安定であるため、内部まで反応が進行しにくい。膜厚や工法には特に制限がなく、真空蒸着、スパッタ等公知の手法で形成できる。すなわち、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水分、酸素と反応する不安定な金属およびこれらのハロゲン化物等の誘導体を実質的に使用しないことが重要である。
なお、以上述べた仕事関数の評価には、大気中光電子分光装置(市販のAC-2,AC-3等)、UPS、サイクリックボルタンメトリー等で測定できる。また、LUMOレベルは紫外可視スペクトルの吸収長波端からバンドギャップを算出しHOMOレベルから差し引くことによって値を見積もることが出来る。
(プロセス)本発明の有機ELデバイスは、公知の工法を用いて作製することができる。例えば、真空蒸着、塗布法(インクジェット、グラビア印刷、ノズルジェット等)あるいはこれらの組み合わせで作製できる。特徴的なことは、大気中の水分や酸素に対して安定であるために真空や窒素などの特殊な環境でデバイスを作製することが不要であるということである。
(膜厚)本発明の有機ELデバイスの膜厚は、20-1000nmの範囲で使用される。混入するパーティクルの大きさを考えると、厚い方が好ましいが駆動電圧が上昇するため最低限の膜厚であることが望ましい。しかしながら総膜厚が500nmあればパーティクルが覆われる確率も高くなり歩留まり向上にとって非常に有益である。従来の有機層の総膜厚はせいぜい100nm-150nm程度でありこの膜厚の薄さが歩留まりを落とす主要因の一つであった。現在の発光効率はチャンピオンデータでは、外部量子効率が20%を超えるものも発表されている。このようなデバイスは、ホールと電子とを陽極と陰極からバランス良く注入し、発光層に閉じこめ、エキシトンの生成効率をあげることが重要であり、そのために発光層の両側にホール輸送層、電子輸送層を設けた多層構成をとっている。各々の層の厚みは数nmから厚くても100nmとなっている。通常では、クリーンルームといえどもパーティクルの発生を0にするのは大変困難であり、真空蒸着チャンバの中でもサブミクロンのパーティクルを0にするのは困難である。これらの対策を講じていくと、設備投資が膨大になり、また、量産の歩留まりも低下することになる。これらはすべてコストを押し上げ、有機ELデバイスが現時点では普及をしていない大きな原因の一つとなっている。従って、本発明に用いられる有機層は全膜厚を合計して500nm以上に設計することが好ましい。
(本発明1)市販のITO基板をフォトリソで2mm幅にパターニング後、三酸化モリブデンを10nm真空蒸着し、その後、本発明の化合物(1)−6(LUMO 3.63eV:)を50nmの厚みになるよう真空蒸着し、更に(1)−1(LUMO 3.45eV)に本発明の化合物(1)−3(LUMO 3.57eV)を5%ドープしたものを50nm蒸着した。続いて、本発明の化合物(1)−1を50nm蒸着し、陰極としてAlを100nm蒸着した。
(比較例)実施例と同様に、市販のITO基板をフォトリソでパターニング後、三酸化モリブデンを10nm真空蒸着した。その後、NPD、Alq3をそれぞれ50nmづつ蒸着し、LiF、Alを電子注入総、陰極として蒸着した。得られた実施例および比較例のデバイスを、封止をせずに大気に暴露し、発光を観察すると実施例、比較例ともに、ほぼ同電圧(3V)程度から発光が観察され、初期は均一な発光が見られたが、封止をせずに大気中に放置したあとに再び発光を観察したところ、比較例のデバイスはいわゆるダークスポットが発生してほとんど全面黒化するのに対し、実施例のデバイスはほとんど劣化が見られない。また発光させたまま、一定電流で連続駆動を行い、電圧上昇を評価すると本発明の層構成のデバイスは電圧上昇が小さい。
本発明は水分や酸素に対して安定な有機EL素子に関するものであり、本発明を実施することによりロバスト性に優れた有機EL素子を作製することができ結果的に安価な発光デバイスを実現できる
101:陽極(ITO)
102:正孔輸送層
103:発光層
104:電子輸送層
105:電子注入層
106:陰極
201:ホール注入層
202:正孔輸送層
203:発光層
204:電子輸送層




















Claims (5)

  1. 陽極と陰極に挟まれた有機半導体材料を含む有機ELデバイスにおいて、当該有機半導体材料を含む発光材料の少なくとも1種の最低空軌道のエネルギーレベルが、3.4eVより深い位置にあることを特徴とする有機EL素子
  2. 発光材料、発光材料を含むホスト材料、陰極と接する電子輸送材料の最低空軌道のエネルギーレベルが3.8eVより深い位置にあることを特徴とする特許請求範囲1に記載の有機EL素子
  3. 陰極および/または陰極に接した層に使用する金属またはその誘導体の仕事関数が4.0eVより深いことを特徴とする特許請求項1から2に記載した有機EL素子
  4. 陰極および/または陰極に接した層に使用する金属化合物がアルカリ金属、アルカリ土類金属およびその酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物を実質的に含まないことを特徴とする特許請求範囲1から2に記載した有機EL素子
  5. 陰極に使用する金属が、実質的にアルミニウム、銀、金、インジウムおよび/またはスズ、亜鉛からなる酸化物、から選ばれることを特徴とする特許請求範囲1から4に記載した有機EL素子


















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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110713493A (zh) * 2019-08-09 2020-01-21 浙江工业大学 三苯胺衍生物共轭聚合物材料的电化学聚合制备及应用
CN111073280A (zh) * 2019-11-25 2020-04-28 浙江工业大学 一种二氧化钛/聚六氮杂萘三苯胺核-壳结构复合薄膜及其制备方法与应用

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