JP2015201488A - 積層体、及びこれを用いた発光素子の製造方法 - Google Patents

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省三 高田
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Abstract

【課題】発光層にダメージを与えることなくダイシング可能であり、かつ、光取り出し向上のための凹凸構造を有する積層体、及び該積層体をダイシングする工程を含む発光素子の製造方法の提供。【解決手段】発光層を具備する基板と、該基板の該発光層側の面に、又は、該発光層側と反対側の面に形成された構造層とを有する積層体であって、該構造層は、構造域と、該構造域が形成されたエリアの境界線に沿って形成された隙間路とを有し、該構造域は表面に高さ50nm以上の凹凸構造を有し、そして該隙間路の表面の平均算術粗さRaが0nm超50nm未満である前記積層体、及び該積層体をダイシングする工程を含む発光素子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、発光層を具備する基板と構造層とを有する積層体、及び該積層体を用いた発光素子の製造方法に関する。
近年、有機ELやLEDなどの発光素子の光取り出しを向上させる取り組みが活発に行われている。発光素子は発光層、基板、封止部材などの部材からなっている。そのなかで、発光素子と封止部材との界面において全反射が起こる角度範囲が存在するため、光の取り出し効率が落ちるという問題が知られており、さまざまな対策が行われてきた。例えば、以下の特許文献1には発光素子に凹凸構造をもつ光学フィルムを張り付けることで光取り出し効率が向上することが開示されている。また、以下の特許文献2には、発光層表面に凹凸構造を形成することで光取り出し効率が向上することが開示されている。これらの光取り出し向上のための対策は、基板上に形成された多数の素子に対して一括して行われる。
一方、LED、半導体メモリ、表示素子などの製造工程において、基板上に作製した多数の素子を個片化するプロセスとして、ダイシング工程がある。以下の特許文献3には、レーザー光を利用して基板内部に改質層を設けることで、基板上の素子にダメージを与えずにダイシングする技術が開示されている。他のダイシング技術としては、機械的に基板に傷をつけるブレードダイシングが古くから利用されている。
特開2009−229507号公報 特開2006−294907号公報 特開2002−192367号公報
本願発明者らは、光取り出し効率向上のために凹凸構造を形成した面からレーザーでダイシングをする場合、凹凸構造によりレーザー光が散乱してしまい、基板内部に改質層を形成できないという新たな問題に直面した。
特にフリップチップ型LEDなど光を基板側から取り出す方式の発光素子では、基板の発光層側と反対の面に凹凸構造を形成する必要があるため、構造的に避けられない重要な問題であった。発光層面からレーザーを照射して基板内部に改質層を設けることでダイシングを行うと、発光層にダメージが入り内部発光効率が落ちるという問題が発生する。また、従来から知られているブレードダイシングを行うと、凹凸構造にダメージが発生し、光取り出し効率が低下するという問題が発生する。すなわち、光を基板側から取り出す発光素子では、光取り出しのために凹凸構造を形成することで製造工程において新たな別の問題が発生してしまい、目的とする光取り出し効率の向上ができないという問題が存在した。
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、発光層にダメージを与えることなくダイシング可能であり、かつ、光取り出し向上のための凹凸構造を有する積層体を提供すること、及び該積層体をダイシングすることによる発光素子の製造方法を提供することである。
前記課題を解決すべく、本願発明者らは鋭意検討し、実験を重ねた結果、以下の解決手段により上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]発光層を具備する基板と、該基板の該発光層側の面に、又は、該発光層側と反対側の面に形成された構造層とを有する積層体であって、該構造層は、構造域と、該構造域が形成されたエリアの境界線に沿って形成された隙間路とを有し、該構造域は表面に高さ50nm以上の凹凸構造を有し、そして該隙間路の表面の平均算術粗さRaが0nm超50nm未満である前記積層体。
[2]前記隙間路が、発光素子を個片化する境界線の位置に配置された、前記[1]に記載の積層体。
[3]前記[1]又は[2]に記載の積層体を、該構造層の隙間路に沿ってダイシングする工程を含む、発光素子の製造方法。
[4]前記[3]に記載の方法によって製造された発光素子。
本発明に係る積層体は、光取り出し向上のために凹凸構造を形成され、かつ、発光層にダメージを与えることなくダイシング可能である。
本実施形態に係る積層体の一実施態様を示す断面図である。 本実施形態に係る積層体の一実施態様を示す平面図である。 本実施形態に係る積層体の他の実施態様を示す断面図である。 本実施形態に係る積層体の他の実施態様を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」とも言う。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。また、以下の図面において、同一の符号を付した要素は同様の構成及び機能を有することが意図される。
(積層体の構成)
先ず、積層体の構成について説明する。図1に積層体の断面図を、図2に積層体の平面図を示す。積層体は、発光層1、基板2、表面に高さ50nm以上の凹凸構造を有する構造域3Aと、表面粗さRaが0nm超50nm未満である隙間路3Bとを有する構造層3から構成される。本実施形態の積層体は、図1に示す積層体に限定されるものではなく、例えば、他の実施態様として図3、4に示すような積層体であってもよい。発光層1は、図1、3、4において、後述の隙間路3Bに沿って分離された形で示すが、連続していてもよい。
(発光層)
発光層1の構成は、半導体発光素子において一般的なものを採用することができ特に限定されないが、例えばGaN系半導体発光層を用いることができる。GaN系半導体発光層は、n−半導体層、p−半導体層、導電層、電極等から構成されている。n−半導体層は、第1のn型クラッド層としてのGaN層及び第2のn型クラッド層としてのIn0.02Ga0.98N層の積層体等である。なお、半導体発光素子の構成としては、ホモ構造、ヘテロ構造若しくはダブルへテロ構造のものを用いることができる。さらに、量子井戸構造(単一量子井戸構造若しくは多重量子井戸構造)を採用することもできる。
発光層1の形成方法は、半導体発光素子において一般的なものを採用でき特に限定されないが、例えば、周知の窒化物系化合物半導体で構成される半導体層を、周知の有機金属気相成長法(MOCVD法)、分子線結晶成長法(MBE法)、ハライド系気相成長法(HVPE法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、電子シャワー法等によって形成することができる。
(基板)
基板2は、GaN等のガリウム窒化物、炭化珪素、シリコン等の半導体基板、サファイア、スピネル、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の酸化物基板、ホウ化ジルコニウム等を用いることができる。汎用性の点から、GaN、炭化ケイ素、サファイアが好ましく、生産性の点からサファイアが特に好ましい。
(構造層)
本実施形態における構造層3は、表面に高さ50nm以上の凹凸構造を有する構造域3Aと、表面粗さRaが0nm超50nm未満である隙間路3Bとを有する。
(構造域)
構造域3Aは、典型的には、凹凸構造として、多数の突起を有する。突起は、周期的な配置であっても、周期的な配置でなくてもよく、長期的な秩序を持っていてもよい。また、各突起の形状は、同じでも異なっていてもよい。特に、凹凸構造を有する領域3Aにおける凹凸構造の高さ(上記突起における底部から頂部までの高さ)は、50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは350nm以上である。また、凹凸構造層における凹凸構造の高さは、1500nm以下であることが好ましく、より好ましくは1300nm以下、更に好ましくは1200nm以下である。凹凸構造の高さが50nm以上である場合、発光素子と周囲の封止部材との界面でのこれらの間の屈折率差がより緩和されて光の反射が抑制されるとともに、光散乱の効果が良好に得られる。その結果、凹凸構造が存在しない場合に、発光素子と周囲の封止部材との界面で臨界角を超えて全反射し、透明層や半導体層の内部に閉じ込められていた光も、凹凸構造の存在で光の進行方向が変化するために、臨界角以内に入る割合が増加することによって光取り出し量が向上する。1500nm以下である場合、生産性の点で有利である。
また、該凹凸構造の幅(上記突起における底部の幅)は50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは200nm以上、より更に好ましくは250nm以上である。更に該凹凸構造の幅は、2000nm以下が好ましく、より好ましくは1500nm以下、更に好ましくは1400nm以下である。凹凸構造の幅が50nm以上である場合、光り取り出し性の点で有利であり、2000nm以下である場合、歩留まり、生産性の点で有利である。
構造域3Aの屈折率は、光取出し効率の点から1.50以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましく、1.70以上であることが更に好ましい。該屈折率は、凹凸微細構造層の透明性の点から、好ましくは2.00以下であり、更に好ましくは1.95以下である。
構造域3Aの材質は、基板2と同質であってもよく、異なっていてもよい。屈折率が高い材料としては、GaN等のガリウム窒化物や炭化珪素等の半導体、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ等の金属酸化物、ホウ化ジルコニウム等の無機材料が挙げられる。これらの材料を含む組成物も、高い屈折率が実現できるので好適である。
構造域3Aの材質と基板2の材質が異なる場合、構造域3Aの厚みは、好ましくは1nm以上2000nm以下、より好ましくは3nm以上1800nm以下、更に好ましくは5nm以上1500nm以下である。厚みが1nm以上である場合、成長基板との密着性の点で有利であり、2000nm以下である場合、耐クラック性の点で有利である。本開示で、構造域3Aの厚みとは、構造域3Aに形成された凹凸構造の凹部の厚み(上記突起の底部における厚み)を意味する。
(隙間路)
隙間路3Bには、上記の凹凸構造は形成されておらず、ほぼ平坦化されている。平坦化度は、JIS B 0601、JIS B 0031により定義される平均算術粗さRaで表現でき、走査型電子顕微鏡の断面観察から得られた粗さ曲線から計算する方法や原子間力顕微鏡を用いた方法で求めることができる。本発明において、Raは、0nm超50nm未満であり、40nm未満であることが好ましく、より好ましくは30nm未満であり、更に好ましくは10nm未満である。50nm未満の場合、レーザー光の透過率が高くなり、基材に改質層を形成する上で有利である。隙間路3Bは、発光素子を個片化するために切断される境界線の位置に形成されることが好ましい。これにより、レーザーにより改質層を形成するダイシングにより、発光素子の個片化が可能となる。
隙間路3Bの幅は、レーザー光のスポットサイズより大きいことが好ましく、具体的には、0.4μm以上であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上であり、更に好ましくは10μm以上であり、よりさらに好ましくは100μm以上である。また、光取り出しの観点で、10000μm以下であることが好ましく、より好ましくは1000μm以下であり、更に好ましくは100μm以下であり、より更には50μm以下であることが好ましい。
平坦な隙間路3Bの材質は、凹凸構造を有する領域3Aと同質であってもよく、異なっていてもよいが、生産性の観点で、同質のほうが有利である。
(構造層の製造方法)
所望の凹凸が形成された構造域3Aと隙間路3Bを有する構造層3は、用いる材料に応じて、種々の方法、例えば、基板をエッチングする方法、平滑膜を形成した後にエッチングする方法、未硬化塗布膜の形成、凹凸賦形モールドを用いた転写、及び、乾燥又は光若しくは熱による硬化、を経る方法、プレス加工、射出成形等の公知の加工方法、等により形成できる。また、凹凸が形成された構造域3Aと隙間路3Bを有する光学シートを別に作製し、基板に張り付けることでも形成できる。この光学シートは、種々の方法、例えば、基板をエッチングする方法、平滑膜を形成した後にエッチングする方法、未硬化塗布膜の形成、凹凸賦形モールドを用いた転写、及び、乾燥又は光若しくは熱による硬化、を経る方法、プレス加工、射出成形等の公知の加工方法、等により形成できる。この光学シートを基板に張り付ける方法が、生産性の観点で有利である。
基板の所望の位置に構造域と隙間路を形成するための位置合わせは、公知の方法を用いることができる。例えば、基板のオリフラ、又は、刻印を目印に、マスクを配置する方法、凹凸賦形モールドを配置する方法、シートを張り付ける方法などがある。シートを張り付ける方法を用いる場合には、シートに刻印をつけておくこともできる。シートに刻印をつける方法を用いると、位置合わせを簡便に行うことができ、生産性の観点で有利である。
(発光素子)
凹凸構造を有する発光素子は、上記積層体を個片化することで作製することができる。凹凸構造を有する発光素子は、界面での全反射による光のロスが低減されることで光取り出し効率が向上する点で好ましい。
(発光素子の製造方法)
上記積層体を発光素子に個片化する方法として、ダイシングを用いることができる。ダイシングの種類としては、機械的に基板を切断するブレードダイシング、レーザーを用いて基板表面でアブレーションを起こさせて基板を切断する方法、レーザーで基板内部に改質層を形成し割断するダイシング等の公知の手法が用いられる。レーザーで基板内部に改質層を形成し割断するダイシングを用いる場合、切除除去エリアが小さく、カケが発生しにくいため生産性の観点で有利である。
以下、実施例及び比較例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(ダイシング)
浜松ホトニクス製のレーザーダイシングエンジンを用い、基板への改質を実施した。装置条件は、特開2002−192367号公報の記載に基づいた。基板の改質を形成でき所定の位置で基板を個片化できたものを○、基板の改質が出来ず所定の位置で個片化できなかったものを×とした。
(光取り出し効率)
1mm□に個片化した発光素子の上に3mmφ半球レンズ型にLED封止材(SCR1016、信越シリコーン製)を成形し、100℃で1時間、150℃で5時間加熱し、半導体発光素子を封止した。作製した半導体発光素子について、発光量の測定を行い、リファレンスに対して発光量が1.2倍以上のものをAAA、1.1倍以上1.2倍未満のものをAA、1.05倍以上1.1倍未満のものをA、1.0倍以上1.05倍未満のものをB、1.0倍未満のものをCとした。
<発光層付基板>
サファイア基材上に、MOCVDにより、AlGaN低温バッファ層、n型GaN層、n型AlGaNクラッド層、InGaN発光層(MQW)、p型AlGaNクラッド層、p型GaN層をこの順で積層し、更に電子ビーム蒸着により、ITO層を積層した。その後、フォトリソグラフィーでレジストをパターニングし、p側電極、及びn側電極が形成される領域の光取出し層をドライエッチングで除去した。一旦、レジストを剥離した後、n側電極が形成される領域は、更にフォトリソグラフィーによるレジストパターニングとITOエッチング、塩素系ガスによるドライエッチングを行ってエッチング加工を行い、n型GaN層を露出させた。再度レジスト剥離を行い、フォトリソグラフィーでレジストをパターニングし、リフトオフ法を用いて金属を蒸着して電極パッドを取り付けて、p側電極及びn側電極を形成した。その後、サファイア基板の発光層と反対側の面を研磨した。以上により、発光層付基板を作製した。
<凹凸部の形状、平坦部の表面粗さ>
電子線顕微鏡SEM(日立ハイテクノロジー製SU−8010)を用いて、凹凸層の高さとピッチ(幅)、隙間路の表面粗さRaを計測した。断面を出した試料を、SEM試料台にカーボンペーストを用いて貼り付け、オスミウム蒸着した後、加速電圧1000V、50,000倍で観察した。
[実施例1]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.92で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域と、15μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは10nm未満であった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[実施例2]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.75で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域と、15μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは10nm未満であった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[実施例3]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.72で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域と、15μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは10nm未満であった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[実施例4]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.65で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域と、15μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは10nm未満であった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[実施例5]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.92で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域と、100μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは20〜30nmであった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[実施例6]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.72で、高さ100nm、ピッチ100nmの凹凸構造を有する構造域と、15μm幅の凹凸構造を形成しない隙間路とを有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。隙間路のRaは20〜30nmであった。上記積層体の隙間路に沿って、ダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[比較例1]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.72で、高さ700nm、ピッチ700nmの凹凸構造を有する構造域を有する光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。上記積層体の凹凸構造面からダイシング試験を行った。レーザーで基板内部に改質層を形成し割断することによる個片化ができなかったため、通常のブレードダイシングを行い、素子を個片化した。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
[比較例2]
上記の発光層付基板の発光層と反対側の面に、材質の屈折率が1.92の平膜の光学シートを張り付けることで、積層体を形成した。上記積層体の平膜光学シート面からダイシング試験を行った。続いて、個片化した発光素子を用いて、光取り出し効率を測定した。このとき、上記光学シートを張り付けていない発光素子をリファレンスとした。
実施例1〜6、比較例1〜2の積層体の構成とダイシング試験及び光取り出し効率の結果を以下の表1に示す。
Figure 2015201488
表1から、構造層に、表面粗さRaが0nm超50nm未満である隙間路を含むことで、レーザーで基板内部に改質層を形成し割断することが可能となることが分かる。また、凹凸構造を有することで光取り出し効率が向上することが分かる。すなわち、構造層に凹凸構造と隙間路を含むことで、ダイシングが可能であり、光取り出し効率が向上することが確認された。
本発明に係る積層体は、レーザーを用いたダイシング性に優れ、更に高い光取り出し効率によって輝度向上の効果を奏するので、白色LED照明、ディスプレイバックライト等の分野において好適に利用可能である。
1 発光層
2 基板
3 構造層
3A 凹凸構造
3B 隙間路

Claims (4)

  1. 発光層を具備する基板と、該基板の該発光層側の面に、又は、該発光層側と反対側の面に形成された構造層とを有する積層体であって、該構造層は、構造域と、該構造域が形成されたエリアの境界線に沿って形成された隙間路とを有し、該構造域は表面に高さ50nm以上の凹凸構造を有し、そして該隙間路の表面の平均算術粗さRaが0nm超50nm未満である前記積層体。
  2. 前記隙間路が、発光素子を個片化する境界線の位置に配置された、請求項1に記載の積層体。
  3. 請求項1又は2に記載の積層体を、該構造層の隙間路に沿ってダイシングする工程を含む、発光素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の方法によって製造された発光素子。
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