JP2015200448A - 溶湯用撹拌羽根 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐火物の支持体として使用されていた金属製スタッドに起因した膨張差を緩和し、耐火物への亀裂の発生を軽減して、耐火物の耐用性を向上可能な溶湯用撹拌羽根を提供する。
【解決手段】軸部芯金10と、軸部芯金10の先部に設けられた羽根部芯金11とを有し、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12が不定形耐火物13で覆われた溶湯用撹拌羽根であり、少なくとも羽根部芯金11の表面12には、無機繊維質のロープで形成したリング14が設けられ、リング14が不定形耐火物13に埋設されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶湯(例えば、溶銑)を撹拌する溶湯用撹拌羽根に関する。
溶銑の脱硫はKR法(機械撹拌式)により行っている。具体的には、図3に示すように、溶銑鍋90に溶銑91を入れた後、インペラ(撹拌羽根)92を溶銑鍋90の上方から溶銑91中に浸漬させ、溶銑鍋90内の溶銑91に脱硫剤を投入しながら、インペラ92を高速で回転させることで、脱硫剤を溶銑91中に巻き込み、効率よく分散させている。
一般にインペラ92は、図4(A)、(B)に示すように、鉄製の軸部芯金93と羽根部芯金94の表面に、Y型(又はV型)の金属製スタッド(支持体)95を取り付け、更に耐火物(キャスタブル)96を流し込み施工することで、製作されている。このインペラ92の製造に使用する耐火物96としては、例えば、耐熱スポーリング性に優れるAl、3Al・2SiO(ムライト)、SiC、SiO等の材料がある。
上記した構成のインペラであれば、インペラの寿命に耐火物の耐食性が影響を及ぼすということはなく、通常は、軸部芯金よりも羽根部芯金に設けた耐火物の亀裂進展や剥離の状況により、インペラの寿命が決まる。
これは、インペラの使用に際し、耐火物に大きな熱衝撃(使用に際し、インペラの溶銑への浸漬と溶銑からの取出しが繰返し行われ、耐火物の昇温と冷却(放熱冷却)が繰返されることで発生)が加えられることや、金属製スタッドと耐火物との間に膨張差(金属は耐火物より熱膨張が大きいため、インペラを熱間で使用することで発生)が生じることから、耐火物に応力がかかって亀裂が発生し、耐火物が剥落することによる。また、耐火物に発生した亀裂から溶銑が差し込み、金属製スタッドや羽根部芯金を溶融することによる。
上記課題を解決するため、以下に示すインペラが提案されていた。
例えば、特許文献1には、インペラの芯金(軸部芯金と羽根部芯金)と、この芯金の表面を覆う耐火物との間、及び芯金に取り付けられたスタッド(アンカー)と、このまわりを覆う耐火物との間に、シート、テープ、及び塗料等の薄状形成材を配設し、これらを高温時に消失させて、上記した薄状形成材の厚みに対応した微小空隙を設け、熱衝撃による膨張差を吸収できるように応力を緩和させた脱硫用インペラが開示されている。
また、特許文献2には、芯金から、羽根部の下方外縁部に延びる金属製スタッドを有する構造とすることで、羽根部において、芯金を被覆した耐火物の脱落を防止する溶湯撹拌用インペラが開示されている。
特開2003−166011号公報 特開2011−184762号公報
上記したように、特許文献1、2に記載のインペラはいずれも、耐火物の亀裂や剥落を抑制するための構成を記載している。
しかし、インペラの使用にあっては、耐火物を溶銑中に浸漬させるため、特許文献1に記載のように、スタッドと耐火物との間に微小空隙を設けたとしても、耐火物の焼結が進行して微小空隙がなくなる。
また、特許文献1、2に記載のインペラはいずれも、耐火物の亀裂や剥落の抑制に一定の効果はあるものの、耐火物の支持体として金属製のスタッドを使用しているため、耐火物とスタッドの膨張差から生じる応力緩和が不十分である。このため、耐火物に発生した亀裂が進展し、耐火物の剥離した部分や亀裂から溶銑が浸入し、金属製スタッドが湯道になることで、芯金を溶損させる。
以上のことから、特許文献1、2に記載のインペラでは、耐火物の亀裂や剥落の抑制を根本的に解決できていない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来、耐火物の支持体として使用されている金属製スタッドに起因した膨張差を緩和し、耐火物への亀裂の発生を軽減して、耐火物の耐用性を向上可能な溶湯用撹拌羽根を提供することを目的とする。
本発明者等は、支持体とした使用されている金属製スタッドの欠点に鑑みて、耐熱性の無機繊維と耐火物の膨張差が小さいことに着目し、この無機繊維を支持体に適用することで、前記した欠点を解決できると考えた。
前記目的に沿う本発明に係る溶湯用撹拌羽根は、軸部芯金と、該軸部芯金の先部に設けられた羽根部芯金とを有し、前記軸部芯金と前記羽根部芯金の表面が不定形耐火物で覆われた溶湯用撹拌羽根において、
少なくとも前記羽根部芯金の表面には、無機繊維質のロープで形成したリングが設けられ、該リングが前記不定形耐火物に埋設されている。
本発明に係る溶湯用撹拌羽根において、前記無機繊維質のロープの直径は、5mm以上30mm以下であることが好ましい。
本発明に係る溶湯用撹拌羽根は、不定形耐火物を芯金(少なくとも羽根部芯金)へ支持させる支持体を、無機繊維質のロープで構成するので、従来使用されている金属製スタッドと比較して、不定形耐火物との膨張差を小さくでき、耐火物の亀裂生成を飛躍的に軽減できる。
また、上記した無機繊維質のロープをリングに形成するので、このロープを直線状とした場合と異なり、不定形耐火物からのロープの引き抜けを抑制、更には防止でき、不定形耐火物を芯金にロープを介してしっかりと保持できる。
更に、リングを不定形耐火物に埋設しているので、リングと溶湯との直接接触を防止でき、リングの劣化を抑制、更には防止できる。なお、溶湯用撹拌羽根の使用に際しては、不定形耐火物の表面からリングが部分的に露出するおそれもあるが、リングは上記した材質であるため、従来の金属製スタッドと比較して溶損を抑制できる(金属製スタッドの場合、溶湯によりスタッドが溶損、更には浸入した溶湯により芯金が溶損)。
従って、従来の金属製スタッドを用いた溶湯用撹拌羽根と比較して、不定形耐火物の剥離や芯金の溶損を抑制できるため、溶湯用撹拌羽根の寿命を延長できる。
また、無機繊維質のロープの直径が5mm以上30mm以下である場合、不定形耐火物を支持する強度を十分に備えるロープを、作業性よくリングに形成できる。
本発明の一実施の形態に係る溶湯用撹拌羽根の不定形耐火物のライニング構造を示す説明図である。 (A)〜(C)はそれぞれ変形例に係る溶湯用撹拌羽根の不定形耐火物のライニング構造を示す説明図である。 溶銑の脱硫方法を示す説明図である。 (A)は同溶銑の脱硫方法で使用する従来例に係る撹拌羽根を側断面視した場合のライニング構造を示す説明図、(B)は同撹拌羽根を平断面視した場合のライニング構造を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る溶湯用撹拌羽根(以下、単に撹拌羽根ともいう)は、軸部芯金10と、軸部芯金10の先部に設けられた羽根部芯金11とを有し、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12が不定形耐火物(以下、単に耐火物ともいう)13で覆われたもの(図3、図4(A)、(B)参照)であり、耐火物13への亀裂の発生を軽減して、耐火物13の耐用性を向上させたものである。以下、詳しく説明する。
撹拌羽根は、溶銑脱硫のKR装置に用いるインペラであるが、溶湯を撹拌するものであれば、特に限定されるものではない。なお、撹拌羽根の大きさや形状(羽根部形状)は、特に限定されるものではなく、撹拌羽根の使用用途(例えば、溶湯の種類や目的)に応じて、種々変更できる。
この撹拌羽根を構成する軸部芯金10と羽根部芯金11は、例えば鉄製であり、軸部芯金10は円柱状(又は円筒状)、羽根部芯金11は板状、となっている。この羽根部芯金11(羽根部)は、軸部芯金10を中心として、軸部芯金10に等角度に複数枚(例えば、4枚)設けられている。なお、羽根部芯金11の枚数も、撹拌羽根の使用用途に応じて、1枚又は2枚以上の複数枚に、種々変更できる。
軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12には、無機繊維質のロープで形成した複数のリング14が設けられ、このリング14が耐火物13に埋設されている。即ち、リング14は、従来の金属製スタッドの代わりに使用されるスタッド機能を有するものである。
例えば、800℃での熱膨張係数は、従来使用されている金属製スタッドが11×10−6/K(SS400)であり、一方、無機質のセラミックスが7.2×10−6/K(Al)である。このように、各材質の熱膨張係数は大きく異なるため、金属製スタッドの代わりに無機繊維質のロープを用いると、耐火物の亀裂発生数を飛躍的に減少できる。
なお、上記したロープは、無機繊維を、例えば組紐状に編んで製造しているため、たとえ熱膨張したとしても、金属製スタッドのように、耐火物に亀裂を発生させるような膨張にはならない。また、ロープは、容易に変形することが可能である。更に、無機繊維周囲の耐火物が高温下で変形しても、この耐火物内部の無機繊維は、耐火物の変形に倣って変形するため、内部応力を緩和する効果もある。
ロープを構成する無機繊維とは、耐熱性を有する繊維のことであり、構成される化学成分(材質)が、例えば、Al質、SiO質、Al−SiO質、Al−SiO−B質のうち、いずれか1種又は2種以上である、長繊維(無機質長繊維)のことである。
この無機繊維は、金属製スタッドでは強度の低下を生じるような環境下(例えば、600℃以上、更には1000℃以上の高温下)でも、耐熱性と強度を有するものであるが、無機繊維が上記の化学成分で構成されていれば、このような耐熱条件を満たすことから、好ましい。
上記した材質のうち、特に、Al−SiO質は、耐高温性やコストパフォーマンス等に優れるので、より好ましい。
このAl−SiO質の中でも、Alが70質量%以上の組成(例えば、Al:72質量%、SiO:28質量%)の無機繊維は、入手が容易でコストパフォーマンスもよく、また、Alが90質量%以上の組成(例えば、Al:90質量%、SiO:10質量%)の無機繊維は、より耐熱性に優れている。
なお、他の材質でも、耐熱性を有する繊維でロープ状にすることができる無機繊維を用いてロープを製造すれば、このロープをあまり高温にならないような箇所に使用することも可能である。例えば、炭素繊維や、Al−SiO−CaO質、CaO−SiO質等の繊維が適用可能である。
ロープに使用する無機繊維は、複数本まとめて撚ってヤーンとすることができ、更に、当該ヤーンを複数束ねて組紐加工し、ロープ状に加工できることが必要である。なお、ヤーンとしては、例えば、0.2〜1mm程度の径を有するものを使用でき、またロープとしては、例えば、5〜30mm程度の直径を有するものを使用することが好ましい。
これにより、ロープを製造できる。
なお、上記した組紐加工の種類としては、8打ち、16打ち、金剛打ち等が挙げられるが、特にその種類が限定されることはない。また、ロープは、スリーブ等の中空形状でもよいが、好ましくは、ロープ内の空間ができるだけ少ないものがよい。
ロープが不定形耐火物内でスタッド機能としての強度を発揮するには、前記したように、ロープの材質として長繊維(連続繊維)を用いることが必須である。一方、短繊維を使用した場合でも、ロープ形状に組紐加工することは可能ではあるが、繊維が絡み合っているだけで容易に引き抜けるため、スタッド機能を果たさない。
なお、長繊維の使用にあたり、スタッド機能として必要な引張強度の調整は、前記したロープの直径を変化させることで可能である。この長繊維とは、繊維長がm(メートル)オーダー以上(通常はkm(キロメートル)オーダー以上が多い)のものであり、繊維長が1〜50mm程度である短繊維とは容易に区別される。
上記したように、不定形耐火物にスタッド機能を持つロープは、その直径の増加に伴って引張強度が向上するため、耐火物の剥離防止効果を向上させることができる。特に、ロープの直径を5mm以上にすると、上記した効果が安定するため好ましい。
一方、ロープの直径が増大すると共に、ロープをリングに形成する(リング状に曲げる)ことが困難となる。特に、直径が30mmを超えると、リングに形成することが困難になり易い。
従って、ロープの直径は、5mm以上30mm以下(更には、20mm以下)とすることが好ましい。
上記したリング14は、図1に示すように、金属製の環(接続部材)15を用いて、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に取り付けられている。
環15は、内部に貫通孔を有する環状の金属部材であり、この環15の貫通孔の一方側に、リング状にしたロープの両端部を揃えて挿入し、環15でロープの両端部をかしめることで、ロープをリング14に形成できるものである。そして、この環15をプレスすることで圧着部16を形成し、ロープと環15を圧着させて、環15からロープが引抜けない構造としている。
なお、この環15を、その軸心が、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に対して直交する方向となるように配置し、環15の周縁を表面12に溶接することで、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12にリング14が設けられる。
ここで、リング14(環15)の設置間隔は、特に限定されるものではなく、従来の金属製スタッドと同様の考え方で、適宜決定すればよい。
また、複数のリング14は、その貫通孔17の軸心が、隣り合うリング14の貫通孔17の軸心とは異なるように配置(ここでは、貫通孔17の軸心が、上下方向と水平方向に交互になるように配置)されている。これにより、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12への耐火物13のスタッド機能が高められるが、各リング14の貫通孔17の軸心を同一とすることもできる。
更に、リング14は、上記したように、軸部芯金10と羽根部芯金11の全表面12に設置することが好ましいが、少なくとも亀裂の発生数が多い部位、即ち羽根部芯金11(特に、羽根部芯金11の下側、更には下側の角部)の表面12に設置することが、作業性や経済性の観点から好ましい。この場合、リング14を設置しない部位には、従来使用されている金属製スタッド(V型又はY型)を設置することができる。
なお、上記した亀裂の発生数が多い部位は、過去の操業実績等により把握できるが、例えば、数値解析によっても把握できる。
また、芯金表面へのリングの取り付け構造は、上記した構造に限定されるものではなく、例えば、以下に示す構造とすることもできる。
図2(A)に示すように、内部に貫通孔を有する金属製の環(接続部材)20を用い、この環20の貫通孔の両側から、ロープの端部をそれぞれ挿入して、ロープをリング状にする。次に、この環20内でロープの両端部を揃え、環20をプレスすることで圧着部21を形成し、ロープと環20を圧着させて、環20からロープが引抜けない構造とする。
なお、この環20を、その軸心が、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に対して平行となるように配置し、環20の側面を表面12に溶接することで、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12にリング22を設けることができる。
また、図2(B)に示すように、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12側に貫通孔23(例えば、径が10〜20mm程度)を形成し、この貫通孔23の両側からロープの両端部をそれぞれ押し込み、貫通孔23内でロープの両端部を固定する。これにより、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に、リング24を設けることができる。
そして、図2(C)に示すように、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に、L字状の係止ピン25を設け、この係止ピン25に、ロープで形成したリング26を引っ掛ける(又は結び付ける)ことで、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12にリング26を設けることもできる。
上記したリング14(リング22、24、26も同様)は、図1に示すように、不定形耐火物13中に埋設しておく必要がある。なお、不定形耐火物13は、流し込みにより施工する。この不定形耐火物13の材質としては、例えば、Al、3Al・2SiO(ムライト)、SiC、SiO等、がある。
上記したように、リング14を不定形耐火物13中に埋設するのは、リング14の一部が不定形耐火物13の表面(稼動面)に露出していると、リング14の切断原因となり、不定形耐火物13のスタッドとしての効果が低下することによる。
なお、リング14の不定形耐火物13中への埋設位置は、羽根部芯金11(軸部芯金10も同様)の表面12を覆う不定形耐火物13の厚みT2に対する、羽根部芯金11の表面12からのリング14の突出長さXの割合(=X/T2)が、1/5(20%)以上9/10(90%)以下(好ましくは、下限を30%、更には40%、上限を80%、更には70%)であれば、不定形耐火物13の耐用が安定する。
ここで、リング14の突出長さXとは、羽根部芯金11の表面12から、リング14の先端位置までの最短距離である。
なお、軸部芯金10と羽根部芯金11の表面12に、不定形耐火物13を施工するに際しては、リング14を形成するロープが柔軟性を有するため、リング14が不定形耐火物13の荷重を受け、荷重方向に垂れ下がってしまう、不定形耐火物13内で湾曲する、折れ曲がる、貫通孔17が潰れる、等の可能性がある。これらの現象は、リング14の支持材としての役割を低減させるものである。
従って、施工時に、ロープを構成する無機繊維が、予め硬化材にて硬化され、常温でリング14の強度が発現している状態が好ましい。
上記した強度とは、施工時に、リング14が不定形耐火物13の荷重により、垂れ下がる、湾曲する、折れ曲がる、潰れる、といった変形に耐え得ることを指す。
なお、硬化材としては、フェノール樹脂やコールタールピッチ、高温域でガラス質のネットワークを形成するリン酸、リン酸塩、ケイ酸塩、シリカゾル、アルミナゾル、油性ニス、有機接着剤等が挙げられるが、好ましくは昇温過程で揮発するような市販品の油性ニス等の樹脂が好適である。
更に、型枠等を用いて、リング14を固定し、硬化材を用いてリング14を硬化させることで、リング14の配置位置と形状を固定することもできる。
続いて、本発明の一実施の形態に係る溶湯用撹拌羽根の製造方法について、図1を参照しながら説明する。
まず、無機繊維質のロープで形成したリング14を、羽根部芯金11(更には、軸部芯金10、以下同様)の表面12に取り付ける。このとき、必要に応じて、リング14を硬化材により硬化させておいてもよい。
次に、羽根部芯金11の表面12に、間隔をあけて型枠を配置する。なお、型枠の設置位置は、目的とする不定形耐火物13の厚みと、リング14が不定形耐火物13に埋設されることを考慮して設定する。
そして、型枠内に、混練した不定形耐火物13を流し込み、この不定形耐火物13を養生し硬化させた後、型枠を取り外し、更に乾燥炉等で乾燥処理する。得られた溶湯用撹拌羽根を、例えば、KR装置に取り付けて使用する。
上記のように、羽根部芯金11の表面12にリング14を設け、このリング14を、流し込み施工した不定形耐火物13に埋設することで、リング14の貫通孔17内にも耐火物13が入り込むため、リング14が耐火物13から滑って引き抜かれるおそれがなくなる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、試験に使用する溶湯用撹拌羽根として、軸部芯金と羽根部芯金を有し、その表面が不定形耐火物(Al:60質量%、SiO:30質量%、SiC:6質量%、残部不純物)で覆われたインペラを使用した。なお、羽根部芯金は、軸部芯金を中心として、軸部芯金に等角度に4枚取り付けられている。
上記したインペラは、軸方向の長さ(インペラの軸部上端から羽根部下端までの長さ)H1が3000mm、軸部芯金の径D1が300mm、軸部(耐火物も含む)の外径D2が500mm、である。また、羽根部芯金は、厚みT1が120mm、軸部芯金の軸方向の幅(高さ)H2が600mm、軸部芯金の径方向の突出幅Wが400mm、であり、羽根部芯金の表面に配置された耐火物の厚みT2が300mmである(以上、図4(A)、(B)参照)。
インペラとしては、比較例1として、軸部芯金と羽根部芯金の表面に、金属製スタッドを取り付けたインペラを、比較例2として、羽根部芯金の表面のみ、比較例1で用いた金属製スタッドの代わりに直線状のロープを取り付けたインペラを、実施例1〜8として、羽根部芯金の表面のみ、比較例1で用いた金属製スタッドの代わりにリングを取り付けたインペラを、それぞれ使用した(図1参照)。
この各インペラの羽根部芯金について、金属製スタッド、直線状のロープ、又はリングの取り付け箇所は、羽根部芯金1枚あたり36箇所(合計:144箇所=36箇所×4枚)とした。なお、直線状のロープの取り付けは、1箇所あたり3本とした。
上記したインペラを、溶銑の脱硫に用い、インペラの寿命を比較した。なお、1日あたりの処理量は25〜30チャージであり、溶銑温度を1330〜1370℃、処理時間を約15〜20分、とした。
上記した試験条件とその結果を、表1に示す。なお、インペラの寿命は、作業性や経済性の観点から、200チャージ以上使用できた場合を合格とし、一部のインペラについては、200〜205チャージの使用時点で耐火物表面の亀裂発生状況を目視観察した結果を、表1に記載した。また、比較例1、2については、剥離が発生してインペラの寿命に到達した時点での結果を、表1に記載した。
Figure 2015200448
表1に示すように、比較例1は、羽根部芯金の表面に金属製スタッドを取り付けていたため、耐火物と金属製スタッドとの膨張差から生じる応力緩和が不十分であった。このため、耐火物に多くの亀裂が発生し、耐火物の多くが剥離したため、インペラを200チャージ使用することができなかった(150チャージ以上200チャージ未満)。
また、比較例2は、羽根部芯金の表面に直線状のロープを取り付けていたため、耐火物からロープが引き抜け易く、ロープによる耐火物の支持が弱くなった。このため、耐火物の剥離が発生し、インペラを200チャージ使用することができなかった(150チャージ以上200チャージ未満)。
一方、実施例1〜8はいずれも、羽根部芯金の表面にリングを取り付けていたため、耐火物からのリングの引き抜けを抑制、更には防止でき、リングにより耐火物を支持できた。このため、耐火物への亀裂の発生を低減でき(亀裂の発生:10cm四方で10個未満)、剥離の発生時期を遅延させることができたため、インペラを200チャージ以上使用できた。
ここで、リングの突出割合(以下、占有割合ともいう)を一定(2/3)とし、リングの形成に使用したロープの直径を種々変更した結果について、実施例1〜4を参照しながら説明する。なお、リングの占有割合とは、前記したリングの不定形耐火物中への埋設位置を示す指標であり、羽根部芯金の表面を覆う不定形耐火物の厚みT2(ここでは、300mm)に対する、羽根部芯金の表面からのリングの突出長さXの割合(=X/T2)を意味する。
実施例1は、ロープの直径が最適範囲(5〜30mm)の下限値未満(3mm)であったため、ロープの引張強度が低下した。このため、インペラは200チャージ以上使用できたが、耐火物に亀裂が発生した(亀裂の発生:中(10cm四方で5個以上10個未満))。
一方、実施例2、3は、ロープの直径が上記した最適範囲内であったため、ロープの引張強度が十分であった。このため、耐火物への亀裂の発生を、実施例1よりも低減できた(亀裂の発生:少(10cm四方で5個未満))。
なお、実施例4は、ロープの直径が上記した最適範囲の上限値超(40mm)であったため、ロープをリングに形成するのに、手間を要した。
続いて、リングの形成に使用したロープの直径を一定(5mm)とし、リングの占有割合を種々変更した結果について、実施例2、5〜8を参照しながら説明する。
実施例7は、リングの占有割合が最適範囲(1/5〜9/10)の下限値未満(1/6)であったため、耐火物に対するスタッド機能が低下する傾向にあった。このため、インペラは200チャージ以上使用できたが、耐火物に亀裂が発生した(亀裂の発生:中)。
一方、実施例2、5、6は、リングの占有割合が上記した最適範囲内であったため、耐火物に対するスタッド機能が十分に発揮された。このため、耐火物への亀裂の発生を、実施例7よりも低減できた(亀裂の発生:少)。
なお、実施例8は、リングの占有割合が上記した最適範囲の上限値超(93/100)であったため、インペラの使用に際し、不定形耐火物の表面からリングが部分的に露出してしまった。このため、溶湯がリングに接触してリングが溶損し、耐火物のスタッドとしての効果が低下したが、羽根部芯金の表面からの突出長さXを、実施例8と同じ280mmにした金属製スタッドの場合と比較して、亀裂発生の抑制効果は得られた。
以上のことから、本発明の溶湯用撹拌羽根を使用することで、従来よりも、不定形耐火物の亀裂発生を低減でき、芯金の溶損を抑制できることを確認できた。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の溶湯用撹拌羽根を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
10:軸部芯金、11:羽根部芯金、12:表面、13:不定形耐火物、14:リング、15:環、16:圧着部、17:貫通孔、20:環、21:圧着部、22:リング、23:貫通孔、24:リング、25:係止ピン、26:リング

Claims (2)

  1. 軸部芯金と、該軸部芯金の先部に設けられた羽根部芯金とを有し、前記軸部芯金と前記羽根部芯金の表面が不定形耐火物で覆われた溶湯用撹拌羽根において、
    少なくとも前記羽根部芯金の表面には、無機繊維質のロープで形成したリングが設けられ、該リングが前記不定形耐火物に埋設されていることを特徴とする溶湯用撹拌羽根。
  2. 請求項1記載の溶湯用撹拌羽根において、前記無機繊維質のロープの直径は、5mm以上30mm以下であることを特徴とする溶湯用撹拌羽根。
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