JP2015200388A - 軸受パッド、該軸受パッドを備える軸受装置、及び該軸受装置を備える回転機械 - Google Patents

軸受パッド、該軸受パッドを備える軸受装置、及び該軸受装置を備える回転機械 Download PDF

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Abstract

【課題】軸受パッドにおいて、パッド面を効率的に冷却することができる。
【解決手段】軸受パッド10は、回転軸を支持するパッド面PSを有し、前記回転軸の回転方向Rの前方側の第一面S1及び回転方向Rの後方側の第二面S2に開口してパッド面PSよりも内側に冷却流路F1が形成されるパッド本体110と、冷却流路F1の第一面S1側の開口から冷却油を導入するよう供給する冷却油供給部140と、を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、軸受パッド、該軸受パッドを備える軸受装置、及び該軸受装置を備える回転機械に関する。
蒸気タービンやガスタービン、ポンプ、エンジン等、回転軸を有した回転機械においては、回転軸を回転可能に支持するために軸受装置が用いられている。このような軸受装置としては、回転軸に摺接するパッド面を有する軸受パッドを備えたジャーナル軸受やスラスト軸受がある。これらの軸受パッドを備える軸受装置においては、回転機械の安全な運転を可能にするために軸受パッドのパッド面と回転軸との間に潤滑油が流れている。この潤滑油によってパッド面と回転軸との間に油膜が形成され、この油膜を介して軸受装置は回転軸を支持している。
また、この潤滑油には、高速で回転する回転軸と軸受パッドとの速度差によって摩擦熱が生じる。この摩擦熱によって潤滑油やパッド面の温度が上昇してしまう。
そこで、軸受装置では、パッド面を効率的に冷却する構造が用いられている。例えば、特許文献1には、回転軸の回転方向の後方側の側面から前方側の側面に向けて、軸受パッド内を連通するように冷却溝が形成されたスラスト軸受が開示されている。さらに、このスラスト軸受には、軸受パッドを冷却するための冷却油を供給する給油口が軸受パッドの間に隣接するよう設けられている。そして、給油口から供給される冷却油は、回転軸が回転することによって回転方向の後方側から前方側に向かって潤滑油とともに流れる。そのため、冷却油は、回転方向の後方側から冷却溝に進入して回転方向の前方側に流れ出ることで、軸受パッドを冷却している。
特開2012‐122535号公報
ところで、パッド面と回転軸との間を流れる潤滑油は、摩擦熱によって回転方向の後方側から前方側に向かうにしたがって温度が上昇してしまう。さらに、回転機械の性能向上のために、回転軸の径を大きくして軸受装置が受けるスラスト力が増加したり、回転軸の周速を速くしたりすると、摩擦熱はさらに大きくなり、パッド面の回転方向の前方側はより高温となっていく。
しかしながら、特許文献1に記載の軸受装置では、冷却油によってパッド面を冷却する場合、回転方向の後方側から前方側に向かって冷却油が流通させる。その結果、パッド面の中で最も高温となっている回転方向の前方側に冷却油が到達する時点では、冷却油が摩擦熱によって高温となってしまう。そのため、パッド面の回転方向の前方側の最も高温となる部分を十分に冷却することができず、パッド面を効率的に冷却することが難しいという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、パッド面を効率的に冷却することが可能な軸受パッド、該軸受パッドを備える軸受装置、及び該軸受装置を備える回転機械を提供するものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様における軸受パッドでは、回転軸を支持するパッド面を有し、前記回転軸の回転方向の前方側の第一面及び前記回転方向の後方側の第二面に開口する冷却流路が前記パッド面よりも内側に形成されるパッド本体と、前記冷却流路の前記第一面側の開口から冷却油を導入するよう供給する冷却油供給部と、を備える。
このような構成によれば、冷却流路に対して冷却油供給部から回転方向の前方側の開口に導入された冷却油を回転方向の後方側の開口に向かって流通させることができる。即ち、パッド面の温度の高いパッド面の回転方向の前方側から冷却油を供給することができる。そのため、パッド面の温度の高い方から冷却油を低温のまま流通させることができ、冷却油を効率的に使用することができる。
また、上記軸受パッドでは、前記冷却流路は、前記第一面側の開口から前記回転方向に沿って前記第二面側に向かうように形成されていてもよい。
このような構成によれば、冷却油供給部から導入された冷却油は、回転方向に沿って冷却流路内に流入する。即ち、パッド本体の周りを流れる潤滑油の流れ方向と平行に冷却流路内を流通する。そのため、第一面側の開口から冷却流路に導入される際の圧損を低減することができる。したがって、冷却油の流速を低減させることなく冷却流路に流通させることができ、パッド面を効率的に冷却することができる。
また、上記軸受パッドでは、前記冷却流路に導入される冷却油が、前記パッド面において前記回転軸との間に介在する潤滑油と同じ材料であってもよい。
このような構成によれば、冷却流路を流通してパッド面を冷却した冷却油をパッド本体の外部に排出するだけで、潤滑油とともに回収することできる。そのため、冷却油を回収するための構造が不要となり、軸受パッドを簡易な構成で形成することができる。
また、本発明の第二の態様における軸受パッドでは、回転軸を支持するパッド面を有し、前記パッド面と平行な面に開口する冷却流路が前記パッド面よりも内側に形成されるパッド本体と、前記冷却流路に冷却油を供給する冷却油供給部とを備え、前記冷却流路は、前記開口から所定の冷却位置に向かって形成される。
このような構成によれば、所定の冷却位置に対して、パッド本体においてパッド面と平行な面の開口から冷却油を供給することで、冷却位置を効果的に冷却することができる。具体的には、冷却位置に対して、パッド面と平行な面から冷却油を直接供給することで、パッド面の温度の影響を受けずに冷却位置まで冷却油を供給することができる。その結果、冷却位置に温められていない冷却油を供給することができ、パッド面を冷却油で効率的に冷却することができる。
また、本発明の第三の態様における軸受装置は、前記軸受パッドと、前記軸受パッドを外側から覆う軸受ケーシングと、を備える。
このような構成によれば、パッド面を効率的に冷却でき、高周速、高面圧を必要とする回転軸を安定的に支持することができる。
また、本発明の第四の態様における回転機械は、前記回転軸を支持する前記軸受装置を備える。
このような構成によれば、回転軸が安定的に支持されるため、運転効率を向上させて回転機械の運転性能を向上させることができる。
本発明によれば、回転方向の後方側から前方側に向かって冷却油を流通させて、パッド面を効率的に冷却することができる。
本発明の各実施形態における蒸気タービンの概略構成図である。 本発明の各実施形態におけるスラスト軸受(軸受装置)の断面図である。 本発明の第一実施形態における軸受パッドを説明する斜視図である。 本発明の第一実施形態における軸受パッドの断面図である。 本発明の第一実施形態における冷却面に形成される冷却流路を説明する図である。 本発明の第一実施形態における固定部を説明する要部断面拡大図である。 本発明の第二実施形態における軸受パッドを説明する斜視図である。 本発明の第二実施形態における冷却面に形成される冷却流路を説明する図である。 本発明の第三実施形態における軸受パッドを説明する斜視図である。 本発明の第三実施形態における軸受パッドの断面図である。 発明の第三実施形態における冷却面に形成される冷却流路を説明する図である。
《第一実施形態》
以下、本発明に係る第一実施形態について図1から図6を参照して説明する。
本発明の実施形態に係る蒸気タービン100(回転機械)について説明する。
蒸気タービン100は、蒸気のエネルギーを回転動力として取り出す外燃機関であって、発電所における発電機等に用いられるものである。
図1に示すように、蒸気タービン100は、タービンケーシング20と、該タービンケーシング20を貫通するように軸線Oに沿って延びる回転軸30と、タービンケーシング20に保持された静翼40と、回転軸30に設けられた動翼50と、回転軸30を軸線O回りに回転可能に支持する軸受部60とを備えている。
なお、軸受部60は、ジャーナル軸受61及びスラスト軸受1(軸受装置)を備えており、回転軸30を回転可能に支持している。
このような蒸気タービン100では、タービンケーシング20内に導入される蒸気が静翼40及び動翼50の間の流路を通過する。この際、蒸気が動翼50を回転させることで該動翼50に伴って回転軸30が回転し、該回転軸30に接続された発電機等の機械に動力(回転エネルギー)が伝達される。
回転軸30は、軸線Oを中心とする円柱形状をなして形成されている。そして、回転軸30は、タービンケーシング20に対して軸線O方向に延在している。回転軸30の一部には、スラストカラー31が形成されている。スラストカラー31は、軸線Oを中心として円板形状をなしており、フランジ状をなすように回転軸30の本体から回転軸30の径方向外側に一体的に張り出している。
次に、本実施形態における軸受装置であるスラスト軸受1について、図2を参照して説明する。
スラスト軸受1は、スラストカラー31を回転軸30の軸線O方向に支持する。本実施形態のスラスト軸受1は、外装である軸受ケーシング11と、回転軸30の回転方向Rに隣接して配置される軸受パッド10と、隣接する軸受パッド10の間に配置されて低温の潤滑油を供給する給油ノズル12と、を備えている。
軸受ケーシング11は、複数の軸受パッド10及び給油ノズル12を外側から覆っている。軸受ケーシング11は、環状をなし、中心部を回転軸30が挿通している。軸受ケーシング11は、軸線O方向に対向する不図示の面で、軸受パッド10を揺動可能に支持するとともに、給油ノズル12を固定している。
軸受パッド10は、図示しない潤滑油を介してパッド面PSでスラストカラー31を軸線O方向から支持することで、回転軸30を支持する。即ち、軸受パッド10は、パッド面PSがスラストカラー31と対向し、スラストカラーに軸線方向から摺接するように配置される。軸受パッド10は、軸受ケーシング11内で回転軸30の回転方向Rに隣接して複数配置されている。具体的には、本実施形態では、六個の軸受パッド10が回転方向Rに均等に離間して環状に配置される。図3及び図4に示すように、軸受パッド10は、パッド面PSよりも内側に冷却流路F1が形成されるパッド本体110と、冷却流路F1に冷却油を供給する冷却油供給部140とを備える。
パッド本体110は、スラストカラー31に対してパッド面PSが傾くよう軸受ケーシング11に揺動可能に支持されている。パッド本体110は、回転軸30の軸線O方向に見て、略扇形に形成された部材である。パッド本体110は、パッド面PSと直交する端面を有しており、回転軸30の回転方向Rの前方側を第一面S1とし、回転方向Rの後方側を第二面S2とする。パッド本体110は、表面がパッド面PSとなる軸受材層120と、軸受材層120の裏面側に一体となって設けられるパッド材層130と、を有している。
軸受材層120は、パッド本体110の表面であるパッド面PSを形成している。即ち、軸受材層120の表面であるパッド面PSは、略扇形をなしている。パッド面PSは、回転軸30のスラストカラー31との間に介在する潤滑油に曝されている。軸受材層120は、パッド面PSに異物等が付着した際に回転軸30を損傷させないような材料で形成される。具体的には、軸受材層120は、ホワイトメタルのような軟質金属や耐熱性の高い樹脂材料によって形成される。本実施形態の軸受材層120は、例えば、樹脂材料であるPEEKやPTFE等の耐熱性の高いエンジニアリングプラスチックによって構成される。
パッド材層130は、軸受材層120の裏面に層状をなして形成されるパッド本体110の裏金である。即ち、パッド材層130におけるパッド面PSと平行な面も、略扇形をなしている。本実施形態のパッド材層130は、軸受材層120の裏面に貼り合せるように形成される第一パッド材層131と、第一面S1及び第二面S2に開口する冷却流路F1が形成される第二パッド材層132と、第一パッド材層131と第二パッド材層132とを固定する固定部133とを有する。
第一パッド材層131は、軸受材層120と一体に形成されている。第一パッド材層131は、可能な限り薄く形成されることが好ましい。本実施形態の第一パッド材層131は、後述する固定部133の第一固定孔133aが形成可能な厚みで形成される。具体的には、本実施形態の第一パッド材層131は、軸受材層120と同等の厚みに形成される。第一パッド材層131は、パッド材層130よりも熱伝導率の高い材料で構成される。本実施形態の第一パッド材層131は、例えば、金属材料により構成される。
第二パッド材層132は、第一パッド材と向かい合うパッド面PS側の面である冷却面CSに冷却流路F1が形成される。さらに、第二パッド材層132には、冷却面CSと直交する方向に貫通するように、後述する固定部133の第二固定孔133bが形成される。第二パッド材層132も、第一パッド材層131と同様に、パッド材層130よりも熱伝導率の高い材料で構成される。本実施形態の第二パッド材層132は、第一パッド材層131と同じ金属材料で構成される。
冷却流路F1は、冷却油供給部140が接続されて冷却油が導入される導入開口α1から、冷却油をパッド本体110の外部に排出する排出開口β1を繋ぐように形成される。本実施形態の冷却流路F1は、第一面S1に形成される導入開口α1から第二面S2に形成される排出開口β1を繋ぐように形成される。本実施形態の冷却流路F1は、第二パッド材層132の冷却面CSを全面にわたって横断するように蛇行する一本の流路として形成される。本実施形態の冷却流路F1は、冷却面CSから窪んで形成される。
具体的には、本実施形態の冷却流路F1では、図5に示すように、導入開口α1が第一面S1の略扇形をなす冷却面CSの径方向X(図5紙面上下方向)の外側に形成される。また、排出開口β1が、第二面S2の冷却面CSの径方向Xの外側に形成される。本実施形態の冷却流路F1は、冷却面CSの径方向Xに延びて冷却面CSから矩形状に窪む溝が、回転方向Rに離れて複数形成される。そして、この冷却面CSの径方向Xに延びる溝は、冷却面CSの径方向Xの一端が回転方向Rの一方に隣接する溝と接続され、他端が回転方向Rの他方に隣接する溝と接続されている。さらに、第一実施形態の冷却流路F1は、回転方向Rの両端がそれぞれ導入開口α1と排出開口β1とに接続されている。これにより、第一実施形態の冷却流路F1は、冷却面CSの径方向Xに延びて、冷却面CSの全面を横断する一本の流路として形成されている。
固定部133は、第一パッド材層131に対して第二パッド材層132を密着するよう固定する。本実施形態の固定部133は、図6に示すように、第一パッド材層131に形成される第一固定孔133aと、第二パッド材層132に形成される第二固定孔133bと、第一固定孔133a及び第二固定孔133bに挿入されるボルト133cと、有する。
第一固定孔133aは、第一パッド材層131に形成されるボルト固定用のネジ孔として複数形成される。
第二固定孔133bは、第二パッド材層132に形成される円形断面の貫通孔である。第二固定孔133bは、ボルト133cが第一パッド材層131側に抜けないように、第二パッド材層132の冷却面CS側に貫通孔を縮径するよう段部が形成される。第二固定孔133bは、第一パッド材層131に第二パッド材層132を重ねた場合に、第一固定孔133aと対応する位置に形成される。また、第二固定孔133bは、冷却流路F1と重ならない位置に複数形成される。
ボルト133cは、第二固定孔133bを介して第一固定孔133aに挿入されることで、第一パッド材層131に対して第二パッド材層132を固定する。
冷却油供給部140は、導入開口α1から冷却油を導入することで、冷却流路F1内に冷却油を供給する。本実施形態の冷却油供給部140は、可撓性の高い材料で構成されたフレキシブルホースであり、一端が導入開口α1に接続され、他端が不図示の冷却油の供給源に接続されている。冷却油供給源から供給される冷却油は、金属や樹脂材料を冷却することができる材料や温度であればよい。本実施形態の冷却油は、給油ノズル12から供給される潤滑油と同じ温度・材料の油が使用される。
給油ノズル12は、回転方向Rに互いに隣り合うパッド本体110の間に配置されている。給油ノズル12は、スラストカラー31に向かって低温の潤滑油を噴出するための給油口が設けられている。給油ノズル12は、軸受ケーシング11に一体的に固定されており、不図示の潤滑油の供給源から供給される潤滑油を給油口12aから軸受ケーシング11内に供給する。本実施形態の給油ノズル12は、回転軸30の径方向に等距離ずつ離れて配置される給油口12aを有している。本実施形態では、六個の給油ノズル12が回転方向Rに均等に離間して環状に配置される。
次に、上記第一実施形態の軸受装置であるスラスト軸受1の作用について説明する。
第一実施形態のスラスト軸受1によれば、蒸気タービン100が駆動することで回転軸30がスラストカラー31とともに回転し、給油ノズル12の給油口12aから潤滑油が供給される。供給された潤滑油は、スラストカラー31とパッド本体110のパッド面PSとの間の隙間に流入する。同時に、スラスト軸受1では、冷却油供給部140から潤滑油と同じ低温の冷却油がパッド本体110の冷却流路F1の第一面S1側に供給される。第一面S1側に供給された冷却油は、パッド面PSにおける回転方向Rの前方側であって、冷却面CSの径方向Xの外側に形成された導入開口α1から冷却流路F1内に導入される。導入された冷却油は、排出開口β1に向かって冷却流路F1内を流通し、排出開口β1からパッド本体110の外部に排出される。排出された冷却油は、不図示の排出口から潤滑油とともに軸受ケーシング11の外部に排出される。
ここで、パッド本体110のパッド面PSがほぼ静止しているのに対して、スラストカラー31が非常に高周速で回転するため、狭い隙間に満たされた潤滑油には、スラストカラー31とパッド面PSとの間で、非常に大きな速度差が生じる。このような速度差が生じると、隙間に流入している潤滑油にせん断力が働き、粘性力が潤滑油の内部で発生する。この粘性作用と、スラストカラー31に対してパッド本体110が傾くことにより、くさび効果が発生し、スラストカラー31とパッド面PSとの隙間内の潤滑油に油膜圧力が発生してスラストカラー31を軸線O方向に支持することができる。
また、潤滑油は、スラストカラー31とパッド本体110との間で潤滑作用をもたらすとともに、パッド本体110の冷却作用をもなしている。即ち、給油ノズル12の給油口12aから噴出された低温の潤滑油は、スラストカラー31とパッド本体110との間を回転軸30の回転方向Rに沿って流れる際に、パッド面PSと熱交換してパッド本体110をパッド面PS側から冷却している。
ところが、本実施形態のようにパッド面PSを形成する軸受材層120が樹脂材料で構成されている場合、熱伝導率が低いためにパッド面PSの熱はパッド材層130側に伝導されにくくなっている。そのため、パッド面PSの熱を逃がすことができず、パッド面PSが十分に冷却されずに高温のままとなってしまう。
さらに、スラストカラー31とパッド本体110との間の速度差に起因して潤滑油に働く剪断力により、潤滑油の内部では粘性力とともに摩擦熱も発生する。そのため、回転方向Rの後方側(潤滑油の流れ方向の手前側)であるパッド面PSの第二面S2側から、回転方向Rの前方側(潤滑油の流れ方向の奥側)であるパッド面PSの第一面S1側に向かうにしたがって、潤滑油の温度は徐々に上昇していく。特に、本実施形態のようにスラスト軸受1の場合、潤滑油に対して、回転軸30の径方向の外側に向かって遠心力が生じる。その結果、パッド面PSの第一面S1側の中でも、回転軸30の径方向である冷却面CSの径方向Xの外側に最も高温となるホットスポットが生じる。即ち、パッド面PS側を流通する潤滑油だけでは、パッド面PSの回転方向Rの前方側であって、冷却面CSの径方向Xの外側のホットスポットを十分に冷却することができない。
一方、上記のような第一実施形態の軸受パッド10によれば、冷却流路F1に対して冷却油供給部140から回転方向Rの前方側である第一面S1の導入開口α1に導入された冷却油を回転方向Rの後方側である第二面S2の排出開口β1に向かって流通させることができる。即ち、パッド面PSの最も温度の高いホットスポットの形成される回転方向Rの前方側である第一面S1側から冷却油を供給することができる。そのため、パッド面PSの温度の高い方から冷却油を低温のまま流通させることができ、冷却油を効率的に使用することができる。したがって、最も高温となっている部分から軸受パッド10を効率的に冷却することができる。
また、パッド材層130を第一パッド材層131と第二パッド材層132とに分けて、第二パッド材層132の冷却面CSに溝として冷却流路F1を形成することで、冷却流路F1を容易に形成することができる。したがって、導入開口α1から排出開口β1までを複雑な経路で一本につなぐような冷却流路F1であっても容易に形成することができる。
さらに、第一パッド材層131が軸受材層120と同程度の厚みになるよう薄く形成されることで、パッド本体110において軸受材層120側に近づけて冷却流路F1を形成することができる。即ち、パッド面PSに近い位置に冷却流路F1を形成することができる。したがって、第一パッド層側からであってもパッド面PSを効率的に冷却でき、軸受パッド10をより効率的に冷却することができる。
また、冷却油として潤滑油と同じ油を用いることで、冷却流路F1を流通してパッド面PSを冷却した冷却油を排出開口β1からパッド本体110の外部に排出するだけで、潤滑油とともに回収することできる。そのため、冷却油を回収するための構造が不要となり、軸受パッド10を簡易な構成で形成することができる。したがって、冷却効率の高い軸受パッド10を容易に形成することができる。
さらに、上記のような軸受パッド10を有することで、パッド面PSを効率的に冷却できることで、スラスト軸受1して高周速、高面圧を必要とする回転軸30を安定的に支持することができる。
また、高周速の回転軸30や大型化して高面圧が軸受パッド10に負荷されてしまう回転軸30を安定的に支持できるため、運転効率を向上させて蒸気タービン100の運転性能を向上させることができる。
《第二実施形態》
次に、図7及び図8を参照して第二実施形態の軸受パッド10aについて説明する。
第二実施形態においては第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第二実施形態の軸受パッド10aは、冷却流路F2の形状について第一実施形態と相違する。
第二実施形態の冷却流路F2では、図7及び図8に示すように、導入開口α2が、第一実施形態と同様に、第一面S1において冷却面CSの径方向Xの外側に形成される。一方、排出開口β2は、第一実施形態とは異なり、第二面S2において冷却面CSの径方向Xの内側に形成される。第二実施形態の冷却流路F2は、回転方向Rに延びて冷却面CSから矩形状に窪む溝が、冷却面CSの径方向Xに離れて複数形成される。そして、この回転方向Rに延びる溝は、回転方向Rの一端が冷却面CSの径方向Xの一方に隣接する溝と接続され、他端が冷却面CSの径方向Xの他方に隣接する溝と接続されている。さらに、第一実施形態の冷却流路F1は、回転方向Rの両端がそれぞれ導入開口α2と排出開口β2とに接続されている。これにより、第二実施形態の冷却流路F2は、回転方向Rに延びて、冷却面CSの全面を横断する一本の流路として形成されている。
上記のような軸受パッド10によれば、冷却油供給部140から導入開口α2に導入された冷却油は、回転方向Rに沿って冷却流路F2内に流入する。即ち、パッド本体110の周りを流れる潤滑油の流れ方向と平行に冷却流路F2内を流通する。そのため、導入開口α2からて冷却流路F2に導入される際の圧損を低減することができる。したがって、冷却油の流速を低減させることなく冷却流路F2に流通させることができ、パッド面PSを効率的に冷却することができる。
《第三実施形態》
次に、図9から図11を参照して第三実施形態の軸受パッド10bについて説明する。
第三実施形態においては第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。この第三実施形態の軸受パッド10は、冷却流路F3について第一実施形態及び第二実施形態と相違する。
即ち、第三実施形態の冷却流路F3は、図9に示すように、冷却油供給部140が接続されて冷却油が導入される開口の位置が異なっており、パッド面PSよりも内側の所定の冷却位置Pに冷却油を直接供給するよう形成される。具体的には、第三実施形態の冷却流路F3では、図10に示すように、パッド本体110においてパッド面PSと反対の平行な面である背面BSに冷却油供給部140が接続される導入開口α3が形成される。そして、第三実施形態の冷却流路F3では、冷却油がパッド本体110の外部に排出される排出開口β3が第一面S1に形成される。第三実施形態の冷却流路F3は、導入開口α3から冷却位置Pに向かって延びる導入孔F31と、導入孔F31と接続されて冷却面CSに形成される流通溝F32とを有する。
ここで、第三実施形態における所定の冷却位置Pとは、第二パッド材層132の冷却面CSにおいて前述したホットストポットに対応する位置である。具体的には、第三実施形態における所定の冷却位置Pは、冷却面CSの径方向Xの外側、かつ、回転方向Rの前方側の位置である。
導入孔F31は、背面BSの導入開口α3から冷却面CSの冷却位置Pに向かって垂直に延び、第二パッド材層132を貫通する孔として形成される。
流通溝F32は、図11に示すように、第二パッド材層132の冷却面CSの冷却位置Pを中心として、渦状をなす一本の流路として形成される。具体的には、本実施形態の流通溝F32は、パッド面PS側から冷却面CSを見た場合に、冷却位置Pから反時計回りの渦状に形成され、第一面S1に形成された排出開口β3に接続される。
上記のような軸受パッド10によれば、所定の冷却位置Pに対して、パッド本体110においてパッド面PSと反対の平行な面である背面BSの導入開口α3から冷却油を供給することで、冷却位置Pを効果的に冷却することができる。具体的には、ホットストポットに対応する位置である冷却位置Pに対して、第一面S1等の側面から冷却面CSに沿って冷却油を供給するのではなく、背面BSから冷却油を直接供給することで、パッド面PSの温度の影響を受けずに冷却位置Pまで冷却油を供給することができる。通常、パッド面PSは、ホットスポット以外の部分も温度が上昇している。そのため、冷却面CSに沿って形成された冷却流路F1、F2によって冷却油を冷却位置Pまで供給した場合、冷却位置Pに到達するまでに、パッド面PSと熱交換してしまい冷却油の温度は上昇してしまう。その結果、冷却位置Pに最も低温の冷却油を供給することができず、パッド面PSの最も温度の高いホットスポットを効果的に冷却することができない。ところが、本実施形態のように、背面BSに形成された導入開口α3から冷却位置Pに向かって垂直に延びる冷却流路F3を冷却油が流通することで、冷却位置Pに到達するまでに冷却油の温度が上昇してしまうことがない。その結果、冷却位置Pに最も低温の冷却油を供給することができ、パッド面PSの温められていない最も温度の高いホットスポットを冷却油で効率的に冷却することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
なお、冷却流路F1、F2は、第一実施形態や第二実施形態のような形状に限定されるものではなく、回転方向Rの前方側である第一面S1から回転方向Rの後方である第二面S2に向かって接続されていればよい。例えば、冷却流路F1、F2は、第一面S1の導入開口α1、α2から第二面S2の排出開口β1、β2まで一直線に繋がっていても良く、第三実施形態のように渦状をなしていてもよい。
また、冷却流路F3は、第三実施形態のような渦状の形状に限定されるものではなく、パッド面PSと平行な面に開口して所定の冷却位置に向かって形成されていればよい。例えば、冷却流路F3は、冷却位置Pから一直線に第一面S1や第二面S2に延びて形成されてもよい。
さらに、固定部133は、本実施形態のようにボルト133cを用いた構造に限定されるものではなく、第一パッド材層131と第二パッド材層132とが密着したまま外れないように固定できればよい。例えば、第一パッド材層131と第二パッド材層132とを接着剤や溶剤で固定してもよい。このような構造にすることで、第一パッド材層131に第一固定孔133aを形成する必要が無くなり、第一パッド材層131を軸受材層120よりも薄くすることができる。
また、本願発明の軸受装置は、本実施形態のようにスラスト軸受1であることに限定されるものではなく、回転軸30を支持する軸受装置であればよい。例えば、軸受装置は、ジャーナル軸受61であってもよい。
さらに、本願発明の回転機械は、本実施形態のように蒸気タービン100に限定されるものではなく、回転軸30を有する機械であれば良い。例えば、回転機械は、ガスタービン、ポンプ、エンジンであってもよい。
100…蒸気タービン 20…タービンケーシング 30…回転軸 O…軸線 31…スラストカラー R…回転方向 40…静翼 50…動翼 60…軸受部 61…ジャーナル軸受 1…スラスト軸受 11…軸受ケーシング 10、10a、10b…軸受パッド 110…パッド本体 PS…パッド面 S1…第一面 S2…第二面 120…軸受材層 130…パッド材層 131…第一パッド材層 132…第二パッド材層 CS…冷却面 F1…冷却流路 α1、α2、α3…導入開口 β1、β2、β3…排出開口 X…径方向 133…固定部 133a…第一固定孔 133b…第二固定孔 133c…ボルト 140…冷却油供給部 12…給油ノズル 12a…給油口 P…冷却位置 F31…導入孔F31 F32…流通溝F32

Claims (6)

  1. 回転軸を支持するパッド面を有し、前記回転軸の回転方向の前方側の第一面及び前記回転方向の後方側の第二面に開口する冷却流路が前記パッド面よりも内側に形成されるパッド本体と、
    前記冷却流路の前記第一面側の開口から冷却油を導入するよう供給する冷却油供給部と、
    を備える軸受パッド。
  2. 前記冷却流路は、前記第一面側の開口から前記回転方向に沿って前記第二面側に向かうように形成される請求項1に記載の軸受パッド。
  3. 前記冷却流路に導入される冷却油が、前記パッド面において前記回転軸との間に介在する潤滑油と同じ材料である請求項1または請求項2に記載の軸受パッド。
  4. 回転軸を支持するパッド面を有し、前記パッド面と平行な面に開口する冷却流路が前記パッド面よりも内側に形成されるパッド本体と、
    前記冷却流路に冷却油を供給する冷却油供給部とを備え、
    前記冷却流路は、前記開口から所定の冷却位置に向かって形成される軸受パッド。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の軸受パッドと、
    前記軸受パッドを外側から覆う軸受ケーシングと、を備える軸受装置。
  6. 前記回転軸を支持する請求項5に記載の軸受装置を備える回転機械。
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