JP2015200260A - 点火制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】点火制御装置5は、エネルギ投入部42および電子制御ユニット34を備えている。エネルギ投入部42は、点火プラグ31に電気エネルギを投入可能であり、当該電気エネルギの投入により放電を継続させる。電子制御ユニット34は、燃料カット状態からの復帰を判定し、また燃料カット状態からの復帰が判定されてから点火周期が所定の実施回数経過するまでエネルギ投入部42に電気エネルギの投入を指令する。したがって、燃料カット状態から復帰したときマニホールドウェットが通常より少なくなり混合気が薄くなる場合であっても確実に混合気に点火することができる。これにより、燃料カット状態から復帰したときの燃料噴射量の補正量を低減するか、或いは補正そのものを無くすことができる。
【選択図】図2
Description
一方で、吸気通路内に燃料を噴射する場合、上述のような燃料カット制御が行われると、吸気通路の内壁に付着している液状の燃料であるマニホールドウェットが燃料カット状態の間に少なくなるか或いは無くなることに起因して、燃料カット状態から復帰したときの空燃比が目標空燃比に対して大きくなる側にずれて失火が生じる問題が起こる。この問題に対し、特許文献1では、燃料カット状態から復帰したときに燃料噴射量を増量してマニホールドウェット分を補填する補正を実施している。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料カット制御による燃費向上効果を高めることができる点火装置を提供することである。
以下の説明において、電流の大小は絶対値の大小を基準として表し、電流の増加とは電流の絶対値が大きくなる場合を意味し、電流の減少とは絶対値が小さくなる場合を意味する。
本発明の第1実施形態による点火制御装置は、図1に示すエンジンシステムに設けられている。
[エンジンシステムの構成]
先ず、エンジンシステム10の概略構成について図1を参照して説明する。
図1に示すように、エンジンシステム10は、火花点火式の内燃機関であるエンジン13を備えている。エンジン13は、スロットル弁14を通じて吸気マニホールド15から供給される空気とインジェクタ16から噴射される燃料との混合気を燃焼室17内で燃焼させ、その燃焼時の爆発力によりピストン18を往復運動させる。このピストン18の往復運動は、クランクシャフト19により回転運動に変換されて出力される。燃焼ガスは、排気マニホールド20等を通じて大気中に放出される。
次に、点火装置30の構成について図2を参照して説明する。
図2に示すように、点火装置30は、点火プラグ31、イグニッションコイル32、点火スイッチ40、電流検出回路41、エネルギ投入部42、および電子制御ユニット34を備えている。点火スイッチ40、電流検出回路41、およびエネルギ投入部42は、点火回路ユニット33に含まれている。また、点火回路ユニット33および電子制御ユニット34は、点火制御装置5を構成している。
エネルギ投入部42は、チョークコイル51、充電スイッチ52、充電スイッチ駆動回路53、コンデンサ54、整流素子55、放電スイッチ56、整流素子57、および放電スイッチ駆動回路58を有している。
点火スイッチ制御部63は、点火スイッチ40の開閉動作を制御するための点火信号IGTを出力する。点火信号IGTは、例えばカムポジションに基づき判断される点火タイミング(点火時期)よりも前の所定の時期に立ち上げられ、点火タイミングに立ち下げられる。
次に、電子制御ユニット34の制御処理について図3のフローチャートを参照して説明する。図3に示す一連の処理は、イグニッションスイッチがONされてからOFFされるまで繰り返し実行される。
ステップS110では、燃料カット状態からの復帰が検出されたか否かが判定される。ステップS110の判定が肯定された場合(S110:Yes)、処理はステップS120に移行する。一方、ステップS110の判定が否定された場合(S110:No)、処理はステップS160に移行する。
ステップS140では、継続放電を発生させる継続放電制御が実施される。ステップS140の後、処理はステップS150に移行する。
ステップS170では、通常放電を発生させる通常放電制御が実施される。ステップS170の後、処理は図3に示すルーチンを抜ける。
次に、点火制御装置5の作動について図4のタイムチャートを参照して説明する。
以下の説明において、充電スイッチ駆動回路53が充電スイッチ52のゲートに出力する信号を充電スイッチ駆動信号SWCとする。また、放電スイッチ駆動回路58が放電スイッチ56のゲートに出力する信号を放電スイッチ駆動信号SWDとする。また、点火信号IGT、継続期間信号IGW、充電スイッチ駆動信号SWCおよび放電スイッチ駆動信号SWDは、信号レベルがハイレベル「H」またはローレベル「L」となる信号である。また、継続放電カウント信号IGCは、信号レベルが3レベル「3」、2レベル「2」、1レベル「1」、0レベル「0」の4段階に変更される信号である。
点火信号IGTがローレベル「L」となる時刻t2では、点火スイッチ40がOFFとなり、二次巻線44で高電圧が発生する。これにより、点火プラグ31で放電が発生し、二次電流I2が増加する。この放電の後、電気エネルギ投入による放電の継続は行われず、二次電流I2は次第に減少する。
点火信号IGTがハイレベル「H」となる時刻t4では、点火スイッチ40がONとなる。このとき、継続放電カウント信号IGCが3レベル「3」であるので、次の放電が継続放電に設定される。
点火スイッチ40による放電の後、継続放電信号IGCを受けて時刻t6では、継続期間信号IGWがハイレベル「H」となり、エネルギ投入部42による電気エネルギ投入が開始される。これにより、二次電流I2が増加して放電が継続される。二次電流I2は、継続期間Tcの間、電流検出回路41による検出値が目標二次電流I2*に一致するように電気エネルギが投入されることによりフィードバック制御される。
以降、時刻t8から、継続放電カウント信号IGCが0レベル「0」になる時刻t15まで、時刻t4〜時刻t8と同様の作動が繰り返し行われる。
点火信号IGTがハイレベル「H」となる時刻t16では、継続放電カウント信号IGCが0レベル「0」であるので、次の時刻t17からの放電が通常放電に設定される。
以上説明したように、第1実施形態では、点火制御装置5は、イグニッションコイル32、点火スイッチ40、エネルギ投入部42、点火プラグ31、および電子制御ユニット34を備えている。エネルギ投入部42は、一次巻線43の接地側に接続され、電気エネルギを点火プラグ31に投入することにより放電を継続させる。電子制御ユニット34の燃料カット復帰判定部63は、燃料カット状態からの復帰を判定する。また、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、燃料カット状態からの復帰が判定されてから点火周期Tigが実施回数Nc経過するまでエネルギ投入部42に電気エネルギの投入を指令する。
このように構成することで混合気の着火性能が高まり、失火をさらに抑制可能である。
本発明の第2実施形態による点火制御装置について図5を参照して説明する。
第2実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、エンジン13の水温Twに基づき実施回数Ncを設定する。具体的には、エネルギ制御部64は、図5に示すマップにしたがい水温Twが低いほど実施回数Ncを増加させる。
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに、水温Twが低いときの着火性能の低下を抑制可能である。
本発明の第3実施形態による点火制御装置について図6、図7を参照して説明する。
第3実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、燃料カット状態が継続されていた時間である燃料カット継続時間Tcutに基づき実施回数Ncを設定する。燃料カット継続時間Tcutとは、図6に示すように、スロットル開度が全閉とされて車両が減速状態とされることにより燃料カットが開始される時刻t1から、出力回転数Neが閾値Ne_th以下になることにより燃料カット状態から復帰される時刻t2までの時間である。具体的には、エネルギ制御部64は、図7に示すマップにしたがい燃料カット継続時間Tcutが長いほど実施回数Ncを増加させる。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができ、さらに、燃料カット継続時間Tcutが長いときの着火性能の低下を抑制可能である。
本発明の第4実施形態による点火制御装置について図8、図9を参照して説明する。
第4実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、エネルギ投入部42が1点火周期Tigで投入する電気エネルギを放電エネルギWcとすると、エンジン13の水温Twに基づき放電エネルギWcを制御する。具体的には、エネルギ制御部64は、図8に示すように水温Twが低いほど放電エネルギWcを増加させる。本実施形態では、継続期間Tcが長いほど放電エネルギWcが大きくなるという関係が用いられて、図9に示すマップにしたがい水温Twが低いほど継続期間Tcが長く設定される。
このように放電エネルギWcを変更することによって、電気エネルギを必要なときに必要なだけ使うことができ、省エネルギ化を図ることができる。
本発明の第5実施形態による点火制御装置について図10を参照して説明する。
第5実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、目標二次電流I2*が大きいほど放電エネルギWcが大きくなるという関係を用いて、図10に示すマップにしたがい水温Twが低いほど目標二次電流I2*を大きく設定する。
このように目標二次電流I2*を変更することによっても放電エネルギWcを変更することができる。
本発明の第6実施形態による点火制御装置について図9、図10を参照して説明する。
第6実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、図9に示すマップにしたがい水温Twが低いほど継続期間Tcを長く設定し、また、図10に示すマップにしたがい水温Twが低いほど目標二次電流I2*を大きく設定する。
このように継続期間Tcおよび目標二次電流I2*の両方を変更することによって、放電エネルギWcをより細かく制御することができる。
本発明の第7実施形態による点火制御装置について図11、図12を参照して説明する。
第7実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、燃料カット継続時間Tcutに基づき放電エネルギWcを制御する。具体的には、エネルギ制御部64は、図11に示すように燃料カット継続時間Tcutが長いほど放電エネルギWcを増加させる。本実施形態では、継続期間Tcが長いほど放電エネルギWcが大きくなるという関係が用いられて、図12に示すマップにしたがい、燃料カット継続時間Tcutが長いほど継続期間Tcが長く設定される。
このように放電エネルギWcを変更することによって、電気エネルギを必要なときに必要なだけ使うことができ、省エネルギ化を図ることができる。
本発明の第8実施形態による点火制御装置について図13を参照して説明する。
第8実施形態では、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、図13に示すように点火周期Tigが経過する毎に放電エネルギWcを減少させる。
このように放電エネルギWcを変更することによって、電気エネルギを必要なときに必要なだけ使うことができ、省エネルギ化を図ることができる。
本発明の第9実施形態による点火制御装置について図14を参照して説明する。
第9実施形態では、電子制御ユニット34の噴射量設定部61は、燃料カット状態からの復帰が判定された場合、インジェクタ16が噴射する燃料を増量する補正を行う噴射量補正手段として機能する。また、電子制御ユニット34のエネルギ制御部64は、上述の燃料補正量に基づき放電エネルギWcを制御する。具体的には、エネルギ制御部64は、図14に示すように燃料補正量Qrが少ないほど放電エネルギWcを増加させる。放電エネルギWcは、継続期間Tcおよび目標二次電流I2*の一方、または両方を変更することによって増減される。
このように放電エネルギWcを変更することによって、電気エネルギを必要なときに必要なだけ使うことができ、省エネルギ化を図ることができる。
本発明の他の実施形態では、エンジンの水温および燃料カット継続時間の両方に基づき実施回数が制御されてもよい。
本発明の他の実施形態では、エンジンの水温および燃料カット継続時間の両方に基づき放電エネルギが制御されてもよい。
本発明の他の実施形態では、エネルギ投入部は、継続放電の発生中すなわち継続期間に充電と放電とを交互に繰り返し実施してもよい。
本発明の他の実施形態では、点火スイッチおよびエネルギ投入部は、別々のハウジング内に収容されてもよい。例えば、イグニッションコイルを収容するハウジング内に点火スイッチが収容され、また、電子制御ユニットを収容するハウジング内にエネルギ投入部が収容されてもよい。
本発明の他の実施形態では、充電スイッチは、例えばIGBT等の他のトランジスタから構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、放電スイッチは、例えばIGBT等の他のトランジスタから構成されてもよい。
本発明の他の実施形態では、直流電源は、バッテリに限らず、例えば交流電源をスイッチングレギュレータ等によって安定化した直流安定化電源、または、バッテリ電圧をDC−DCコンバータ等によって昇圧したもの等から構成されてもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
13 ・・・エンジン(内燃機関)
17 ・・・燃焼室
30 ・・・点火装置
31 ・・・点火プラグ
32 ・・・イグニッションコイル
40 ・・・点火スイッチ
42 ・・・エネルギ投入部
43 ・・・一次巻線
44 ・・・二次巻線
46 ・・・直流電源(電源)
63 ・・・燃料カット復帰判定部(燃料カット復帰判定手段)
64 ・・・エネルギ制御部(エネルギ制御手段)
Tig・・・点火周期
Claims (8)
- 内燃機関(13)の燃焼室(17)の混合気に点火する点火装置(30)を構成し、イグニッションコイル(32)の一次巻線(43)の通電および遮断によって二次巻線(44)に高電圧を発生させ、当該二次巻線に接続する点火プラグ(31)で放電を発生させる点火制御装置(5)であって、
電源と前記一次巻線との間の電流経路の導通および遮断を切り替え可能であり、前記電流経路を遮断することにより前記二次巻線に高電圧を発生させる点火スイッチ(40)と、
前記一次巻線または前記点火プラグに接続され、放電の継続を可能とする電気エネルギを前記点火プラグに投入可能なエネルギ投入部(42)と、
前記内燃機関の燃料噴射装置が燃料の噴射を停止する状態を燃料カット状態とすると、当該燃料カット状態からの復帰を判定する燃料カット復帰判定手段(63)と、
前記点火プラグの点火タイミングの間隔を点火周期(Tig)とすると、前記燃料カット状態からの復帰が判定された場合、当該判定から前記点火周期が所定の実施回数(Nc)経過するまで前記エネルギ投入部に電気エネルギの投入を指令するエネルギ制御手段(64)と、
を備えることを特徴とする点火制御装置。 - 前記エネルギ制御手段は、前記内燃機関の冷却水の水温(Tw)と前記燃料カット状態の継続時間(Tcut)との両方、あるいは一方に基づき前記実施回数を設定することを特徴とする請求項1に記載の点火制御装置。
- 前記エネルギ制御手段は、前記内燃機関の冷却水の水温が低いほど、前記エネルギ投入部が1点火周期で投入する電気エネルギ(Wc)を増加させることを特徴とする請求項1または2に記載の点火制御装置。
- 前記エネルギ制御手段は、前記燃料カット状態の継続時間が長いほど、前記エネルギ投入部が1点火周期で投入する電気エネルギを増加させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の点火制御装置。
- 前記エネルギ制御手段は、前記点火周期が経過する毎に、前記エネルギ投入部が1点火周期で投入する電気エネルギを減少させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の点火制御装置。
- 前記燃料カット状態からの復帰が判定された場合、前記燃料噴射装置が噴射する燃料を増量する補正を行う噴射量補正手段(61)をさらに備え、
前記エネルギ制御手段は、前記噴射量補正手段による補正量(Qr)が少ないほど、前記エネルギ投入部が1点火周期で投入する電気エネルギを増加させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の点火制御装置。 - 1つの前記点火プラグに対応して前記イグニッションコイルは1つだけ設けられ、
前記点火スイッチは、前記点火プラグの点火タイミングに合わせて前記電流経路を遮断することにより前記点火プラグに放電を発生させ、
前記エネルギ投入部は、前記点火スイッチによる放電の発生中に電気エネルギを重畳的に投入することにより放電を継続させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の点火制御装置。 - 前記二次巻線に流れる電流を二次電流(I2)とすると、
前記エネルギ投入部は、前記エネルギ制御手段から指令される継続期間(Tc)の間、前記二次電流を前記エネルギ制御手段から指令される目標二次電流(I2*)に制御可能であり、
前記エネルギ制御手段は、前記継続期間および前記目標二次電流の一方、あるいは両方を変更することにより、前記エネルギ投入部が1点火周期で投入する電気エネルギを変化させることを特徴とする請求項7に記載の点火制御装置。
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- 2014-04-10 JP JP2014080663A patent/JP6330440B2/ja active Active
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