JP2015200034A - ストライプ柄の筒状編地の編成方法 - Google Patents

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【課題】編糸の種類によって筒状編地の見栄えが損なわれることがないストライプ柄の筒状編地の編成方法を提供する。【解決手段】筒状編地1を裏返しの状態で編成するストライプ柄の筒状編地の編成方法において、各筒状ベース部2を編成する際、筒状ベース部2の一面側を構成する一側編目列20を編成すると共に、その一側編目列20の編幅方向の外側の位置に第一余剰編目列30を編成する工程αと、筒状ベース部2の他面側を構成する他側編目列21を編成すると共に、その他側編目列21の編幅方向の外側の位置に第二余剰編目列31を編成する工程βと、を交互に繰り返す。その繰り返しの際、一側編目列20と第一余剰編目列30とを繋ぐ編糸と、他側編目列21と第二余剰編目列31とを繋ぐ編糸と、を交差させる。【選択図】図3

Description

本発明は、裏返しの状態で編成するストライプ柄の筒状編地の編成方法に関する。
横編機を用いて、色の異なる複数の筒状ベース部がウエール方向に並ぶストライプ柄の筒状編地を編成する編成方法が知られている。例えば、特許文献1には、編糸aを用いて筒状ベース部Aを編成した後、編糸bに切り換えて筒状ベース部Bを編成し、再び編糸aに切り換えて筒状ベース部Cを編成する際、筒状ベース部Aから筒状ベース部Cに渡って伸びる編糸aからなる渡り糸を、筒状ベース部Bの編目にタックするなどして、編糸の切り換え時の処理を簡素化する編成方法が開示されている。
また、特許文献1には、筒状編地を裏返しの状態で編成する編成方法、即ち使用時に筒状編地の内側となる面を筒の外側に向けて編成する編成方法が開示されている。編成が終わった筒状編地は裏返して使用する。筒状編地を裏返しの状態で編成することで、編成時の筒状編地の外側に配置されていた渡り糸を、使用時の筒状編地の内側に配置することができ、使用時の筒状編地の外側から渡り糸を見え難くすることができる。
特開2003−41461号公報
しかし、使用時の筒状編地の内側に渡り糸を配置する編成方法であっても、編糸の素材や太さによっては、渡り糸が筒状編地の外側から見え隠れし、筒状編地の見栄えが損なわれる場合がある。また、特許文献1の編成方法では、編糸の素材や太さによって、筒状ベース部における渡り糸がタックされた部分が変形し、筒状編地の見栄えが損なわれる場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、編糸の種類によって筒状編地の見栄えが損なわれることがないストライプ柄の筒状編地の編成方法を提供することにある。
本発明は、少なくとも前後一対の針床を備え、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、色の異なる複数の筒状ベース部がウエール方向に並ぶことでストライプ柄が形成される筒状編地を裏返しの状態で編成するストライプ柄の筒状編地の編成方法に係る。この本発明のストライプ柄の筒状編地の編成方法では、各筒状ベース部を編成する際、筒状ベース部の一面側を構成する一側編目列を編成すると共に、その一側編目列の編幅方向の外側の位置に第一余剰編目列を編成する工程αと、筒状ベース部の他面側を構成する他側編目列を編成すると共に、その他側編目列の編幅方向の外側の位置に第二余剰編目列を編成する工程βと、を交互に繰り返す。そしてそのストライプ柄の筒状編地の編成方法では、その繰り返しの際、一側編目列と第一余剰編目列とを繋ぐ編糸と、他側編目列と第二余剰編目列とを繋ぐ編糸と、を交差させることで、一側編目列と他側編目列とを筒状に繋ぐと共に、筒状ベース部の編幅方向の外側に第一余剰編目列と第二余剰編目列とで構成される余剰編地部を編成する。
本発明のストライプ柄の筒状編地の編成方法として、余剰編地部を袋編みによって編成する形態を挙げることができる。
本発明のストライプ柄の筒状編地の編成方法として、ウエール方向の離れた位置にある二つの筒状ベース部のうち、ウエール方向の下方にあるものを下方ベース部、上方にあるものを上方ベース部とし、これら下方ベース部と上方ベース部との間にある筒状ベース部を中間ベース部としたとき、下方ベース部と上方ベース部とを共通の編糸で編成する形態を挙げることができる。この場合、下方ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部と上方ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部とを繋ぐ渡り糸を、中間ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部に編成によって接続する。
本発明のストライプ柄の筒状編地の編成方法によれば、編糸の種類によって筒状編地の見栄えが損なわれることを回避することができる。本発明の編成方法で編成された筒状編地は、編成後に裏返してから使用される。そのとき、筒状ベース部の外側に形成される余剰編地部は、筒状編地の内部に配置され筒状編地の外側から見えない状態になる。なお、筒状ベース部を構成する一側編目列と他側編目列との接続は、編糸の交差によって行われるため、両編目列の繋ぎ目が目立つこともない。
また、共通の編糸を用いてウエール方向の離れた位置にある二つの筒状ベース部を編成する場合、両筒状ベース部間を渡る渡り糸が形成されるが、本発明の編成方法によれば、その渡り糸を目立たなくすることができる。本発明の編成方法では、両筒状ベース部間を渡る渡り糸は、筒状ベース部の外側に配置される余剰編地部の更に外側に配置される。つまり、渡り糸は筒状ベース部から離隔した位置にあるため、筒状編地を裏返して使用したときに、筒状編地の外側から渡り糸が殆ど見えない状態になる。
余剰編地部を袋編みによって編成する編成方法によれば、余剰編地部が袋状組織となり、余剰編地部がカールすることがない。余剰編地部がカールすると余剰編地部に繋がる筒状ベース部が変形する恐れがあるが、袋状組織の余剰編地部はカールすることがないので、筒状ベース部の変形を抑制することができる。
筒状編地のウエール方向に渡る渡り糸を余剰編地部に編成によって接続する本発明の編成方法によれば、渡り糸を固定することができる。編成時に筒状編地の外側に配置される渡り糸は使用時の筒状編地の内側に配置されるが、渡り糸が余剰編地部に固定されていれば、渡り糸が筒状編地に物や手などを挿入する妨げとなることを回避することができる。
実施形態で編成するストライプ柄の筒状編地の写真を示す概略図である。 ストライプ柄の筒状編地の編成手順を模式的に説明する編成イメージ図である。 ストライプ柄の筒状編地の編成工程図の一例を示す図である。
以下の実施形態では、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前針床(以下、FB)と後針床(以下、BB)、および編糸を給糸する給糸口を備え、BBが左右にラッキング可能で、かつ編目の目移しを行うことができる2枚ベッド横編機を用いた編成例を説明する。もちろん、使用する横編機は、2枚ベッド横編機に限定されるわけではなく、例えば4枚ベッド横編機であっても構わない。
<実施形態1>
≪全体構成≫
図1の横縞のストライプ柄の筒状編地1は、色の異なる複数の筒状ベース部がウエール方向に並ぶことで形成されている。この筒状編地1には、ウエール方向に1段分しかない筒状ベース部も形成されており、従来にはないデザインのストライプ柄となっている。図1のストライプ柄の筒状編地1がこのような従来にないデザインのストライプ柄の筒状編地1となっているのは、筒状編地1を裏返しの状態で編成し、かつその編成の際に筒状ベース部の編幅方向の外側に余剰編地部を形成するからである。以下、図1のストライプ柄の筒状編地1の編成方法を詳細に説明する。
≪編成の概略≫
図2に示す編成イメージ図には、図1のストライプ柄の筒状編地1を裏返した状態が示されている(以降、裏返した状態の筒状編地1には符号『1R』を付す)。つまり、図1の筒状編地1は、使用時に筒の外側となる面(図1で見えている面)を、筒の内側に向けた裏返しの状態で編成を行う。なお、説明の便宜上、図2の筒状編地1Rに備わる筒状ベース部2の数は、図1よりも少なくしている。
筒状編地1Rは、ウエール方向に並ぶ複数の筒状ベース部2と、各筒状ベース部2の編幅方向の外側(左端および右端)に形成される複数の余剰編地部3と、を備える。この図2では、ウエール方向の下端(紙面下側)の筒状ベース部2(下方ベース部2d)と、ウエール方向の上端の筒状ベース部2(上方ベース部2u)と、は共通の編糸で編成され、両ベース部2d,2u間にはその共通の編糸からなる渡り糸4で繋がっている。また、下方ベース部2dと上方ベース部2uとの間に配置される筒状ベース部2(中間ベース部2m)は、ベース部2d,2uとは異なる編糸で編成される。各ベース部2d,2m,2uの編幅方向の外側に形成される余剰編地部3d,3m,3uは、各ベース部2d,2m,2uと繋がっている。渡り糸4の中間部分は、余剰編地部3mに編成によって接続されている(図中の黒丸で示す部分を参照)。なお、下方ベース部2dと上方ベース部2uとの間に複数の中間ベース部2mが形成されていても良い。
上記筒状編地1Rを編成するには、下方ベース部2dと余剰編地部3dとを並行して編成する。両者2d,3dの編成が終了したら、その編成に使用した給糸口を余剰編地部3の外側(紙面左側)に待機させ、上記給糸口とは別の給糸口を用いて中間ベース部2mと余剰編地部3mを並行して編成する。その際、待機させていた給糸口を用いて、余剰編地部3mの編目にタックやニットを行うことで、渡り糸4を余剰編地部3mに接続する。この渡り糸4の接続は、余剰編地部3dから余剰編地部3uまでの渡り糸4の長さに応じて複数個所で行っても良い。接続箇所間の糸長を短くすることで、図1の筒状編地1に手を入れたときに手に渡り糸4が引っ掛かり難くなる。中間ベース部2mと余剰編地部3mの糸入れと糸出しは、公知の技術を利用して行うと良い。
中間ベース部2mと余剰編地部3mの編成が終了したら、待機させていた給糸口を用いて上方ベース部2uと余剰編地部3uを並行して編成し、両者2u,3uを完成させる。
上記手順に従って筒状編地1Rを完成させたら、筒状編地1Rを裏返すことで、図1に示すストライプ柄の筒状編地1を得ることができる。図2の筒状編地1Rを裏返したとき、余剰編地部3d,3m,3uは、図1に示すように筒状編地1の内側に配置され、筒状編地1の外側から見えない状態になる。また、図2に示す渡り糸4や、糸入れと糸出しを行った際の編糸の余端も、図1の筒状編地1の内側に配置され、筒状編地1の外側から見えない状態になっている。
≪具体的な編成方法≫
次に、図3の編成工程図を参照して、各筒状ベース部2と余剰編地部3をどのように編成するかを説明する。図3の左欄の「アルファベット+数字」は編成工程の番号を示し、右欄は針床における編成状態が示されている。図中の大文字アルファベットは編針の位置を、矢印は目移しの方向を、三角印は給糸口8を示す。各工程で実際に行なわれる操作は太線で示す。
S0には、筒状ベース部2とその両端の余剰編地部3とがFBとBBに係止された状態が示されている。筒状ベース部2は、筒状ベース部2の一面側を構成する一側編目列20と、筒状ベース部2の他面側を構成する他側編目列21と、で構成される。一側編目列20はBBの編針I,K,M,O,Q,Sに係止され、他側編目列21はFBの編針H,J,L,N,P,Rに係止されている。また、余剰編地部3は、第一余剰編目列30と第二余剰編目列31とで構成される。左側の第一余剰編目列30はFBの編針B,D,Fに、右側の第一余剰編目列30はFBの編針T,V,Xに係止されており、左側の第二余剰編目列31はBBの編針C,E,Gに、右側の第二余剰編目列31はBBの編針U,W,Yに係止されている。
S1では、まず一側編目列20をBBからFBの空針に目移しする。そして、給糸口8を右方向に移動させ、左側の第一余剰編目列30、一側編目列20、右側の第一余剰編目列30の順に編成する(本発明の工程αに相当)。
ここで、一側編目列20をBBからFBに目移ししたのは、一側編目列20の編目を筒状ベース部2の外側から見たときに裏目とするためである。そうすることで、図2に示す編成後の筒状編地1Rを裏返したときに、筒状編地1の外側から見た筒状ベース部2の編目が表目となる。
S2では、まずS1で編成した一側編目列20をFBからBBの空針に目移しすると共に、他側編目列21をFBからBBの空針に目移しする。そして、給糸口8を左方向に移動させ、右側の第二余剰編目列31、他側編目列21、左側の第二余剰編目列31の順に編成する(本発明の工程βに相当)。このとき、S1において編成した一側編目列20と第一余剰編目列30とを繋ぐ編糸に、他側編目列21と第二余剰編目列31とを繋ぐ編糸が交差する。なお、他側編目列21をFBからBBに目移しした理由は、他側編目列21を筒状ベース部2の外側から見たときに裏目とするためである。
S3では、まずS2で編成した他側編目列21をBBからFBの空針に移動させると共に、一側編目列20をBBからFBの空針に移動させる。そして、給糸口8を右方向に移動させ、左側の第一余剰編目列30、一側編目列20、右側の第一余剰編目列30の順に編成する(本発明の工程αに相当)。このとき、S2における編糸の交差が確定し、S1で編成した一側編目列20と、S2で編成した他側編目列21と、が筒状に繋がる。S3以降は、S2,S3の編成を繰り返し、筒状ベース部2を完成させると良い。
以降説明した編成工程に従えば、簡単な目移しと給糸口8の往復によって、図2に示す筒状編地1Rを効率的に編成することができる。また、上記編成工程では、余剰編地部3が袋状に編成され、余剰編地部3を構成する第一余剰編目列30と第二余剰編目列31とが互いに対向するように配置されるため、余剰編地部3がカールすることがない。そのため、余剰編地部3と筒状ベース部2との境界部で編目が変形するなどの問題が生じ難い。さらに、筒状ベース部2を構成する一側編目列20と他側編目列21とが編糸の交差によって綴じられているため、両編目列20,21の境界が目立ち難く、段差も形成されない。
≪その他の構成1≫
余剰編地部3は、ゴム編地や天竺編地として編成することもできる。例えば、余剰編地部3をゴム編地とする場合、例えば図3のFBの編針FとBBの編針DとFBの編針Bとを用いて左側の第一余剰編目列30を編成し、BBの編針GとFBの編針EとBBの編針Cとを用いて左側の第二余剰編目列31を編成する。また、余剰編地部3を天竺編地とする場合、例えば図3のFBの編針FとBBの編針D,Bとを用いて第一余剰編目列30を編成し、BBの編針G,D,Bを用いて第二余剰編目列31を編成する。その他、第一余剰編地部31をFBの編針FとBBの編針D,Bとに編成し、第二余剰編目列31をBBの編針G,E,Cに編成して、厚みのある余剰編地部3とすることもできる。いずれにせよ、筒状ベース部2と余剰編地部3との境界部で編糸を交差させ、筒状ベース部2を構成する一側編目列20と他側編目列21と、を筒状に繋げる必要がある。
≪その他の構成2≫
図3に示す編成工程図では、筒状ベース部2を筒の外側から見たときに裏目となるように編成した。これに対して、図3の筒状ベース部2を筒の外側から見たときに表目となるように編成しても良い。その場合、S0に示す状態で一側編目列20と他側編目列21とを目移しすることなく両編目列20,21を編成すれば良い。このような編成を行って筒状編地1Rを編成し、その筒状編地1Rを裏返した場合、筒状編地1は筒の外側から見たときに裏目からなる筒状編地1となる。なお、筒状ベース部2を筒の外側から見たときに表目と裏目が混在する編組織とすることも可能である。
≪その他の構成3≫
余剰編地部3は、筒状ベース部2の編幅方向の一端側にのみ設けられていても良い。その場合、筒状ベース部2の編幅方向の他端側は、C字状編成によって接続しても良いし、引き返し編成によって開口させても良い。
1 筒状編地 1R 裏返しの状態にある筒状編地
2 筒状ベース部 20 一側編目列 21 他側編目列
3 余剰編地部 30 第一余剰編目列 31 第二余剰編目列
4 渡り糸
2d 下方ベース部 2m 中間ベース部 2u 上方ベース部
3d,3m,3u 余剰編地部
8 給糸口
FB 前針床 BB 後針床

Claims (3)

  1. 少なくとも前後一対の針床を備え、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、色の異なる複数の筒状ベース部がウエール方向に並ぶことでストライプ柄が形成される筒状編地を裏返しの状態で編成するストライプ柄の筒状編地の編成方法において、
    各筒状ベース部を編成する際、前記筒状ベース部の一面側を構成する一側編目列を編成すると共に、その一側編目列の編幅方向の外側の位置に第一余剰編目列を編成する工程αと、前記筒状ベース部の他面側を構成する他側編目列を編成すると共に、その他側編目列の編幅方向の外側の位置に第二余剰編目列を編成する工程βと、を交互に繰り返し、
    その繰り返しの際、前記一側編目列と前記第一余剰編目列とを繋ぐ編糸と、前記他側編目列と前記第二余剰編目列とを繋ぐ編糸と、を交差させることで、前記一側編目列と前記他側編目列とを筒状に繋ぐと共に、前記筒状ベース部の編幅方向の外側に前記第一余剰編目列と前記第二余剰編目列とで構成される余剰編地部を編成するストライプ柄の筒状編地の編成方法。
  2. 前記余剰編地部を袋編みによって編成する請求項1に記載のストライプ柄の筒状編地の編成方法。
  3. ウエール方向の離れた位置にある二つの筒状ベース部のうち、ウエール方向の下方にあるものを下方ベース部、上方にあるものを上方ベースとし、これら下方ベース部と上方ベース部との間にある筒状ベース部を中間ベース部としたとき、前記下方ベース部と前記上方ベース部とを共通の編糸で編成する場合、
    前記下方ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部と前記上方ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部とを繋ぐ渡り糸を、前記中間ベース部の編幅方向の外側に形成される余剰編地部に編成によって接続する請求項1または請求項2に記載のストライプ柄の筒状編地の編成方法。
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