JP2015199817A - 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、及びインクジェット方法 - Google Patents

放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、及びインクジェット方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015199817A
JP2015199817A JP2014079193A JP2014079193A JP2015199817A JP 2015199817 A JP2015199817 A JP 2015199817A JP 2014079193 A JP2014079193 A JP 2014079193A JP 2014079193 A JP2014079193 A JP 2014079193A JP 2015199817 A JP2015199817 A JP 2015199817A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
ink
meth
acrylate
curable inkjet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014079193A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6326925B2 (ja
Inventor
斉 土屋
Hitoshi Tsuchiya
斉 土屋
福本 浩
Hiroshi Fukumoto
福本  浩
敏行 餘田
Toshiyuki Yoda
敏行 餘田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2014079193A priority Critical patent/JP6326925B2/ja
Publication of JP2015199817A publication Critical patent/JP2015199817A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6326925B2 publication Critical patent/JP6326925B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物を収容した組成物収容体、放射線硬化型インクジェット組成物を用いたインクジェット方法を提供することを目的の一つとする。
【解決手段】常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物とを含有し、組成物の溶存酸素量が0〜8.0kPaであり、組成物収容体に収容された、放射線硬化型インクジェット組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、及びインクジェット方法に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する方法として、種々の方式が利用されてきた。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、高い耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを有する画像を被記録媒体の表面に形成するため、インクジェット方式の記録方法において紫外線を照射すると硬化する、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物が使用されている。
例えば、特許文献1は、特定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸類と、ヒンダードアミン化合物とを含み、溶存酸素量が20ppmである紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を収容したインク収容体が開示されている。
特開2013−177525号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインク組成物は未だ硬化性及び吐出安定性が十分なものではなかった。
そこで、本発明は、硬化性にも優れかつ吐出安定性に優れた放射線硬化型インクジェット組成物を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、上記放射線硬化型インクジェット組成物を収容したインクジェット収容体、上記放射線硬化型インクジェット組成物を用いたインクジェット方法を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、吐出安定性に優れ、硬化性にも優れた放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討し、下記の本発明により上記課題を解決することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物とを含有し、組成物の溶存酸素量が0〜8.0kPaであり、組成物収容体に収容された、放射線硬化型インクジェット組成物。
[2]
前記光重合開始剤の組成物に対する含有量が1〜15質量%である、[1]に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[3]
前記重合性化合物としてベンゼン環含有(メタ)アクリレートを含む、[1]又は[2]に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[4]
前記重合性化合物としてフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含む、[1]〜[3]の何れかに記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[5]
放射線硬化型インクジェット組成物の調製の際に、前記光重合開始剤と前記重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に超音波を放射する超音波処理、あるいは当該混合物に加温する加温処理の少なくとも何れかを施したものである、[1]〜[3]の何れかに記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[6]
前記組成物収容体が、酸素透過率が5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下である部材により構成された容器に放射線硬化型インクジェット組成物を充填したものである、[1]〜[5]の何れかに記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[7]
前記処理が、前記超音波の照射あるいは加温の少なくとも何れかを混合物に行いつつ、混合物を撹拌するものである、[5]に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
[8]
[1]〜[7]の何れかに記載の放射線硬化型インクジェット組成物を収容した組成物収容体。
[9]
[1]〜[7]の何れかに記載の放射線硬化型インクジェット組成物をインクジェットヘッドから吐出するインクジェット方法。
[10]
常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物とを含有する放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法であって、
組成物の溶存酸素量を0〜8.0kPaとする、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法。
本発明のインク収容体の一例を示す分解斜視図である。 本発明のインクジェット装置の送給手段、吐出手段の一例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「硬化性」とは、光に感応して硬化する性質をいう。「保存安定性」とは、組成物の保存前後における異物の析出がなく安定している性質をいい、「低温保存安定性」は、組成物を特に低温で保存したときに、保存前後における異物の析出がなく安定している性質をいう。「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定した組成物の液滴をノズルから吐出させる性質をいう。「耐擦性」は組成物を付着させ硬化させた硬化膜の表面を擦った時に硬化膜が取れたり剥離したりしにくい性能をいう。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味する。
〔放射線硬化型インクジェット組成物〕
本実施形態の放射線硬化型インクジェット組成物(以下、単にインクジェット組成物とか組成物ともいう。)は、インクジェット法によりインクジェットヘッドから吐出して用いる組成物である。以下、放射線硬化型インクジェット組成物の1実施形態として放射線硬化型インクジェットインク組成物(単にインク組成物とかインクともいう)を記載する場合があるが、組成物はインク組成物以外の組成物でも良い。また、「放射線硬化型」の1実施形態として「紫外線硬化型」と記載する場合があるが、本実施形態において組成物は放射線を照射することにより硬化させて用いる放射線硬化型組成物であればよく、紫外線硬化型や紫外線硬化型組成物を放射線硬化型や放射線硬化型組成物と読み替えてもよい。放射線としては、紫外線、赤外線、可視光線、エックス線等があげられる。放射線として、放射線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。本実施形態におけるインクジェット組成物は、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と、重合性化合物とを含む。以下、本実施形態におけるインクジェット組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤〕
本実施形態の組成物は、光重合開始剤として、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド(アシルホスフィンオキサイドともいう)系光重合開始剤を含む。常温、単体で固体であるとは、25℃において当該光重合開始剤の単体で固体であるものをいう。固体は紛体、粒体などであってもよい。アシル基として2官能以上であり、2官能が好ましい。以下、上記の光重開始剤を特定の光重合開始剤とも言う。
上記光重合開始剤を含むことにより組成物の硬化性に優れ、特にUV−LEDによる硬化プロセスによる硬化性に一層優れる傾向にある。反面、上記光重合開始剤は、後述の重合性化合物に対する溶解性が劣る傾向がある。そのため、上記光重合開始剤を用い硬化性に優れる組成を得る場合に本願発明の実施形態が必要となる。上記の傾向は、1官能のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(モノアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤)と比較しても言えることである。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
上記光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)、IRGACURE1800(ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイドと、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンの質量比25:75の混合物)等が挙げられる。上記光重合開始剤の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対し、硬化性、吐出安定性が一層優れる点で、1〜20質量%が好ましく、15質量%以下がより好ましく、13質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。また、3質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上が特に好ましい。
(その他の光重合開始剤)
インク組成物はその他の光重合開始剤をさらに含んでもよい。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。その他の光重合開始剤としては、光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、芳香族ケトン類、モノアシルホスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオフェニル基含有化合物など)、α−アミノアルキルフェノン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製)、Speedcure TPO(以上、Lambson社製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
カチオン重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Irgacure250、Irgacure270等が挙げられる。
(チオキサントン系光重合開始剤)
その他の光重合開始剤の中でも、特に、硬化性、溶解性、安全性、コスト性に優れるチオキサントン系光重合開始剤を含んでもよい。チオキサントン系光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられ、チオキサントン系光重合開始剤を含有することで、インク組成物の硬化性を向上させることができる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、特に限定されないが、具体的には、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、及びクロロチオキサントンからなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。なお、特に限定されないが、ジエチルチオキサントンとしては2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンとしては2−イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントンとしては2クロロチオキサントンが好ましい。このようなチオキサントン系光重合開始剤を含むインク組成物であれば、硬化性、保存安定性、及び吐出安定性により優れる傾向にある。このなかでも、ジエチルチオキサントンを含むチオキサントン系光重合開始剤が好ましい。ジエチルチオキサントンを含むことにより、幅広い領域の紫外光(UV光)をより効率良く活性種に変換できる傾向にある。
チオキサントン系光重合開始剤の市販品としては、特に限定されないが、具体的には、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサントン)、Speedcure ITX(2−イソプロピルチオキサントン)(以上、Lambson社製)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製)等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、0.5〜4質量%が好ましく、1〜4質量%がより好ましい。含有量が0.5質量%以上であると、インクの硬化性に一層優れる傾向にある。また、含有量が4質量%以下であると、優れた吐出安定性がより効果的に維持される傾向にある。チオキサントン系光重合開始剤は酸素阻害を受けにくく、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と併用することで、硬化性の一層優れる組成物にできる点で好ましい。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
全ての光重合開始剤の合計の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、1〜20質量%が好ましい。含有量が当該範囲内であると、紫外線硬化速度を十分に発揮させ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けることができる。
〔重合性化合物〕
組成物は重合性化合物を含む。重合性化合物は、単独で、又は光重合開始剤の作用により、放射線照射時に重合されて、印刷されたインク組成物を硬化させることができる。重合性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、従来公知の、重合性官能基、特に、炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。重合性化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。以下これら重合性化合物について例示する。
単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;前記不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能のオリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、30〜85質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、開始剤溶解性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ビニルエーテル基を含有するものも挙げられる。このような単官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのなかでも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、が好ましい。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
上記のビニルエーテル基を含有する単官能(メタ)アクリレート類の中でも、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が上記の点で好ましい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インク組成物が当該ビニルエーテル基含有単官能(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクの硬化性を優れたものとすることができ、さらにインクを低粘度化することもできる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有単官能(メタ)アクリル酸エステル類、特に、上記一般式(1)で表される重合性化合物、中でも、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。含有量が10質量%以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方で、含有量が70質量%以下であると、インクの保存安定性を優れた状態に維持することができる。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。そのうち、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール骨格若しくはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。インク組成物が、多官能(メタ)アクリレートを単官能(メタ)アクリレートに加えて含むことがより好ましい。
2官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、5〜60質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、20〜50質量%であることがさらに好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、硬化性、保存安定性、吐出安定性により優れる傾向にある。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、インク組成物が低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、かつ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすい。さらに塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレート及び2官能(メタ)アクリレートを併用することがより好ましく、中でもフェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを併用することがさらに好ましい。
本実施形態の組成物は、光重合開始剤や色材などの固形分を溶解又は分散させている媒体成分のうちで上記の重合性化合物を最も多く含む非水系組成物であることが、硬化性や保存安定性などの点で好ましい。組成物に含む媒体成分のうち質量比が最も多い媒体成分が重合性化合物である。重合性化合物の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、40〜95質量%が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。重合性化合物の含有量が上記範囲内であると、粘度及び臭気をより低下させることができるとともに、光重合開始剤の溶解性及び反応性を更に優れたものとすることができる。
〔ベンゼン環含有(メタ)アクリレート〕
上記の重合性化合物の中でも、ベンゼン環含有(メタ)アクリレート(ベンゼン環含有(メタ)アクリルモノマー)が、光重合開始剤、特に本実施形態に用いる前述の特定の光重合開始剤の溶解性が優れ組成物の保存安定性(特に低温保存安定性)や吐出安定性が特に優れる点や、硬化性が一層優れる点で好ましい。ベンゼン環含有(メタ)アクリレートは、無置換または置換されたベンゼン環を有し、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物である。光重合開始剤の溶解性が特に優れ、低粘度な点で、(メタ)アクリロイル基数としては、好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。また、重合性官能基数として好ましくは2以下であり、より好ましくは1である。ベンゼン環が置換されている場合、置換基は、炭素数1〜6の炭化水素基あるいはアルコキシ基、水酸基などが挙げられる。置換されている場合、置換数は1〜5であり1〜3が好ましい。置換基は同一または異なるものであってもよい。上記の効果の点で無置換が好ましい。
分子中のベンゼン環の数は1以上であり、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1がさらに好ましい。ベンゼン環含有(メタ)アクリレートは、上記の効果が優れる点で、分子中の(メタ)アクリロイル基を除く部分の炭素数が20以下が好ましく15以下が好ましく10以下がより好ましい。当該炭素数の下限は6以上である。ベンゼン環含有(メタ)アクリルレートとしては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられる。上記の中でも、上記の効果が特に優れる点で、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。また、ベンゼン環含有(メタ)アクリレートのなかでも上記の効果が特に優れる点で、ベンゼン環含有アクリレートが好ましい。
ベンゼン環含有(メタ)アクリレートの組成物に対する含有量は、上記の効果が優れる点で、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましい。また、他の成分とのバランスをとる点で、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましく、50質量%以下が一層好ましい。ベンゼン環含有(メタ)アクリレートの中でも、25℃における粘度が20mPa・s以下のものが上記の効果の点で好ましく15mPa・s以下の物がより好ましい。当該粘度の下限は限られるものではないが例えば1mPa・s以上とすればよい。粘度はアントンパール社製レオメーターMCR−300を用いてシェアレート200にて測定することができる。
(重合禁止剤)
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤としてヒンダードアミン化合物やその他のものをさらに含んでもよい。その他の重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。重合禁止剤の含有量は、組成物の総質量(100質量%)に対し、0.05〜0.5質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
〔色材〕
インク組成物は、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。色材を含まない、若しくは、着色することを目的としない程度に色材を含有する(例えば0.1質量%以下)、クリア組成物(クリアインク)としてもよい。
〔分散剤〕
インク組成物が顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
〔その他の添加剤〕
インク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、スリップ剤(界面活性剤)、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
〔組成物の溶存酸素量〕
本実施形態における組成物は、組成物収容体(単に収容体ともいう)に収容された状態において溶存酸素量が0〜8.0kPaであることが、組成物の吐出安定性や保存安定性(特に低温保存安定性)の点で必要である。溶存酸素量は後述の実施例の方法で測定することができる。組成物は、組成物の調製を行った時点(組成物を製造した時点)において、溶存酸素量が0〜8.0kPaである組成物としてもよい。
組成物の溶存酸素量は、下限は、限られるものではないが、1kPa以上が好ましく、3kPa以上がより好ましい。上限は、7kPa以下が好ましく、6kPa以下がより好ましい。溶存酸素量が上記範囲であると、ヘッドから吐出される際の吐出安定性や保存安定性が一層すぐれ、組成物を調製する際の効率性にも一層優れる。組成物の溶存酸素量は、例えば組成物調製の際の溶存酸素量を低減させるための処理として後述する処理を行うことで上記範囲にすることができる。
収容体に収容された組成物の溶存酸素量は、少なくとも組成物収容体を製造し出荷する時点で上記の所定範囲内であることが好ましい。さらには、溶存ガス量が上記所定範囲内である期間が、インク組成物が収容されたインク収容体が出荷されてから、インクジェット記録装置で使用を開始する際までであるとより好ましい。また、組成物を調製した時点で組成物の溶存酸素が上記の範囲内であるとしてもよい。
〔組成物の製造方法〕
組成物の製造(調製)は、組成物に含有する各成分を混合し、成分が充分均一に混合するよう撹拌することで行うことができる。本実施形態において、組成物の調製は、調製の過程において、少なくとも、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して、超音波処理と加温処理の少なくとも何れかを施す工程を有することが、調製後の組成物の溶存酸素量を0〜8.0kPaとし易く、吐出安定性や保存安定性に優れた補正物とし易い点で好ましく、超音波処理を施す工程を有することがより好ましい。上記混合物は、少なくとも上記の成分を含むものであればよく、組成物に含む他の成分を更に含むものでも良いし、組成物に含む全ての成分を含むものでもよい。混合物に含む重合性化合物は、組成物に含む重合性化合物の少なくとも一部であればよい。
〔超音波処理〕
組成物の調製の際、少なくとも、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤(以下、特定の光重合開始剤ともいう)と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して超音波を照射する超音波処理を施すことが、調製後の組成物の溶存酸素量を0〜8.0kPaとし易く、吐出安定性や保存安定性に優れた補正物とし易い点で好ましい。その理由としては、上記特定の光重合開始剤は、重合性化合物に対する溶解性が低い傾向があり、超音波処理を施すことで、光重合開始剤の微細な粒子の残存がなくなり、インクジェットヘッドからの吐出を妨げることや組成物の保存中に光重合開始剤が析出してしまうことがなくなったと推測する。また、このことにより、光重合開始剤の粒子の内部や表面に付着し残っていた気泡が光重合開始剤から離脱して組成物中に放出され、放出した気泡が超音波の振動により組成物から追い出されることにより、吐出安定性が向上し、組成物の溶存酸素量が上記の範囲に入りやすいと推測する。
超音波処理を施す際は、混合物に超音波処理を施し、施した後の混合物に、組成物に含む残りの成分を更に混合させて最終的な組成物とすることが、光重合開始剤の溶解性が一層優れ、調製後の組成物の溶存酸素量を上記範囲内にし易い点や、残りの成分に超音波処理を施さないため、組成物の安定性を維持できる点で好ましい。残りの成分としては、残りの重合性化合物や他の成分が挙げられ、特に顔料などの分散状態で組成物に含む成分が挙げられる。
超音波処理の処理時間は、上記の効果を充分得る点や組成物調製の効率化の点で20分〜200分が好ましく30〜100分がより好ましい。また、超音波処理の超音波の出力は、同様の点で、400〜1000Wが好ましく、400〜800Wがより好ましい。また、超音波処理の超音波の周波数は、同様の点で、20〜30kHzが好ましい。
超音波処理は、超音波を照射しつつ、または、超音波処理の前または後に、他の処理をさらに行ってもよい。他の処理は、撹拌、加熱、減圧脱気などがあげられる。また、超音波処理を行った混合物に残りの成分を加えたものに、上記の他の処理を行ってもよい。
超音波処理は、混合物に対して超音波を照射しつつ組成物を撹拌する撹拌処理を行うものとすることが、混合物の全体に均一に超音波の放射ができ超音波の効果である吐出安定性や保存安定性が一層優れる点で好ましい。これにより、光重合開始剤の溶解が一層促進されると推測する。撹拌は少なくとも超音波処理における超音波を照射する時間帯の一部で行えばよく、超音波を照射する全時間帯のうちの30%以上の時間で行うことが上記の効果の点で好ましく50%以上で行うことがより好ましい。撹拌は、スクリュー、スターラーなどを用いて混合物のほぼ全体が回流するように行えばよい。
超音波処理は、超音波振動子を、組成物を収容した容器の中や壁面に設けて行うことができる。GSD150AT(ギンセン社製)、GSD300AT(ギンセン社製)、GSD600AT(ギンセン社製)、GSD1200AT(ギンセン社製)、GSD600MCVP−5(ギンセン社製)、GSD600MCVP−10(ギンセン社製)、GSD600MAT−5(ギンセン社製)、GSD600MAT−10(ギンセン社製)、GSD1200MAT−10(ギンセン社製)、UH−50(エスエムテー社製)、UH−150(エスエムテー社製)、UH−300(エスエムテー社製)、UH−600(エスエムテー社製)、UH−600S(エスエムテー社製)、UH−600SR(エスエムテー社製)、UH−1200SR(エスエムテー社製)、UH−600SR−1(エスエムテー社製)、UH−1200SR−1(エスエムテー社製)、UH−600SR−2(エスエムテー社製)、UH−600SR−3(エスエムテー社製)などの超音波分散機などのような混合物に対し超音波の照射が可能なものを利用して行ってもよいし、超音波洗浄機を利用して行ってもよい。
〔加温処理〕
組成物の調製の際、前述の超音波処理を行う混合物として述べた混合物と同様の混合物に対して、超音波処理の代わりにあるいは加えて加温を施す加温処理を施してもよい。混合物に加温を行うことによっても上記の光重合開始剤の溶解が促進し、重合開始剤の微細な粒子の残存がなくなることで、超音波処理と同様の効果が得られたと推測する。加温処理の条件や方法はここに記載すること以外は上述の超音波処理と同様にすることができる。
加温は、混合物の温度として40℃以上で行うことが上記の効果を得る点で好ましく、40〜50℃とすることがより好ましい。加温処理の処理時間は、上記の効果を充分得る点や組成物調製の効率化の点で20分〜200分が好ましい。加温は発熱体から発した熱を組成物に直接または間接に付与したり、赤外線などを照射したりすることで行えばよい。本実施形態において、加温を行う加温処理を加熱を行う加熱処理ともいう。
加温処理は、加温を行いつつあるいは加温の前や後に、他の処理を更に行ってもよい。他の処理は、撹拌、減圧脱気、超音波等が挙げられる。特に攪拌を行うことが超音波処理の場合と同様に好ましい。
加温処理は、混合物に加温を行いつつあるいは加温の後に混合物を減圧脱気するものであることが、上記の効果が一層優れる点で好ましく、加温を行いつつ減圧脱気を行うことがより好ましい。加温により光重合開始剤から離脱し組成物中に放出した気泡を組成物から追い出すために減圧脱気が効果的であったと推測する。減圧脱気は−70〜−90MPaの減圧で行うことが上記の効果の効率の点で好ましい。
〔組成物収容体〕
本実施形態の組成物収容体は、紫外線硬化型インクジェット組成物を収容したものである。以下組成物収容体の1実施形態としてインク収容体と記載する場合もあるがインク収容体に限らず組成物収容体であればよい。本実施形態の組成物収容体の態様としては、以下に限定されないが、例えば、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンク、ビン、缶が挙げられる。これらの中でも、汎用されており、かつ、後述の酸素透過度を所望の値に制御しやすいため、インクカートリッジ、パック、ボトル、タンクが好ましく、パックがより好ましく、フィルムのパックが特に好ましい。収容体が備える部品のうち組成物と接触して組成物が直接的に充填されている部品を特に容器と呼ぶ。例えばインクカートリッジである組成物収容体の場合、インクカートリッジの内部に備えるインクパックが容器である。容器がそれ自身で収容体であるような収容体、例えば容器のみからなる収容体としてもよい。例えばボトルなどである。
本実施形態のインク収容体の使用態様として、(A)記録装置とは別体であり、記録装置に装着されてインクを順次、記録装置に供給するインクカートリッジ等の形態と、(B)記録装置とは別体であり、インク使用時にはインクのみをボトル等のインク収容体から記録装置に移す形態と、(C)予め記録装置に備え付けられインクが収容されたタンク等の形態と、が少なくとも挙げられる。
上記の(A)及び(B)は、インク収容体を出荷してから記録装置にインクを供給する(移す)直前までのインク収容体と言うことができる。上記の(C)は、記録装置が出荷されてから当該記録装置で初めてインクの使用を開始する前までにおけるインク収容体と言うことができる。
なお、上記の(A)及び(C)は、インク容器からインクチューブ等の接続部を介して記録装置にインクを供給している状態で、記録装置の印刷を行うインク収容体と言うことができる。
また、上記の(B)は、インク収容体から記録装置にインクを移した後、当該記録装置で印刷を行うインク収容体と言うことができる。なお、当該(B)においてインクを移す対象としては、記録装置に備え付けられたタンク等が挙げられる。
また、容器を構成する部材の構成材料としては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック、各種の金属(合金を含む。)、並びにポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、及びポリプロピレン等のポリオレフィンが挙げられる。また、これらに限らず、上記の各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルム等であってもよい。部材は容器の軽量化、柔軟性の点でフィルムが好ましい。
容器を構成する部材の酸素透過率は、5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、3.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、2.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、1.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、0.5cc・20μm/(m2・day・atm)以下がさらにより好ましい。下限は限られるものではなく、0.0cc・20μm/(m2・day・atm)以上とすることができる。酸素透過度が上記範囲であると、保存中に収容体のインク組成物の溶存酸素量が上昇し難く、使用する際の吐出安定性を一層優れたものとできる。
上記の構成材料ないし部材としては、特に限定されることはない。インクパックの場合、フィルムを熱融着(ヒートシール)して袋状に加工して用いることができる。インクパックに用いるフィルムとしては、高密度、低密度、又は線状低密度のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリスチレン、等の延伸プラスチックフィルムが挙げられる。中でも、ガス透過性が好ましい範囲としやすく、フィルムの耐久性も優れる点で、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)が好ましい。
フィルムは複数層のフィルムを貼りあわせた積層フィルムとしてもよい。上記のフィルムで上記ガス透過度が得られる場合はフィルムのみから構成してもよいし、上記のフィルムにガスバリア層を積層することで酸素透過度や窒素透過度を確保してもよい。ガスバリア層は、アルミニウム層などの金属層、酸化ケイ素や酸化アルミニウム層などの無機酸化物層を用いてもよいし、上記のフィルムのなかでもガス透過度の低いエチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどを積層してもよい。フィルムの総膜厚としては50μm以上が好ましく、70μm以上がより好ましく、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。上記膜厚であると保管中のインク組成物の溶存ガス量が変化しにくく、パックの強度や柔軟性が得られる。これらの中でもガス透過度が低く、強度が優れる点で、エチレン−ビニルアルコール共重合体からなるフィルムが好ましい。また、パック以外の収容体の場合は、上記の他に、その他の合成樹脂、ガラス、及び金属などが挙げられる。
なお、本実施形態における部材の酸素透過度は、単位をcc・20μm/(m2・day・atm)とし、当該「atm」は20℃且つ乾燥気体(相対湿度0%)の条件下での圧力(atm)とする。また、当該酸素透過度は、ISO 14663−2:1999(Annex C)に定められた方法で、即ち電量分析センサーを用いてフィルムを透過する酸素の透過速度を(相対湿度が平衡状態に達した時に)測定することで、算出できる。
収容体の組成物の収容体積は、0.1〜5Lが好ましく、0.5〜4Lがより好ましい。
本実施形態において収容体の使用期限は20か月以下であることが好ましく、15か月以下であることがより好ましい。収容体の使用期限は、収容体を製造、出荷後、収容体の使用が可能な期限までの時間として、収容体の製造・販売者に指定された時間である。使用期限の下限は限られるものではないが、5か月以上が好ましく、10か月以上がより好ましい。使用期限が上記の範囲であると、保存安定性、吐出安定性、脱気効率性の点で一層好ましく、さらに、収容体の使用期限切れを少なくすることができる。
ここで、本実施形態のインク収容体の一例であるインクカートリッジについて説明する。図1は、インクカートリッジ40を示す分解斜視図である。インクカートリッジ40は、インクが充填される容器であるインクパック70と、インクパック70を内部に収めて保護する本体ケース76と蓋部78からなるカートリッジケース72からなり、インクパック70はインク供給口74を備え、本体ケース76は、鉤部84、切欠き部80、押さえ部82を備える。インクパック70の材質は上述のものを使用することができる。
〔インクジェット装置〕
本実施形態のインクジェット装置は、放射線硬化型インクジェット組成物を組成物収容体から流路を介してインクジェットヘッド(ヘッド)に送給する送給手段と、インクジェットヘッドから紫外線硬化型インクジェット組成物を吐出する吐出手段を備える。組成物収容体とインクジェットヘッドの間の流路において、紫外線硬化型インクジェット組成物を脱気する脱気手段を備えてもよい。
本実施形態において、インクジェット装置の1実施形態としてインクジェット記録装置又はインクジェットプリンターとも記載するが、インクジェット装置は記録装置やプリンター以外のインクジェット装置でも良い。インクジェット装置は、吐出手段に加えて、吐出された組成物を紫外線の照射によって硬化する硬化手段も備えることができる。
〔吐出手段、送給手段〕
インクジェット装置は、前記紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物を、ヘッドから吐出するものである。以下、図面を用いて具体的に説明するが吐出手段は以下に限られない。図2は本実施形態のインクジェット記録装置のヘッドの周囲の一例を表す概略図である。サブタンク200はインクカートリッジ(図示せず)からインクの供給を受け、加圧ポンプ202によってインクを脱気機構の一例である脱気モジュール204、ヒーター220の順に通過させて、複数個設けられたヘッド100に供給する。
吐出手段の具体例であるヘッド100は被記録媒体(図示せず)にインクを吐出するものである。圧力調整弁108は開弁アクチュエーター320によって開弁され、サブタンク200からヘッド100へインクを供給する際のインクの圧力を調整する。
脱気モジュール204を通過したインクは、圧力調整弁108が開弁すると、分岐継手106に流入する。分岐継手106の内部では、往路214が複数の通路に分岐されて、複数個のヘッド100に接続されている。
ヘッド100から吐出されなかったインクは、開閉バルブ212が開いた状態において、統合継手210及び復路216を介してサブタンク200へ循環される。サブタンク200とヘッド100との間にインクを循環させることで、インクが長期滞留してインク成分が分離、沈降した場合にこれを回復させたり、循環するインクの温度を一定にしたりすることができる。インクはヒーター218,220,222によって加熱されることで粘度が低下し、ヘッド100からの吐出に適した粘度となり、ヘッド100から吐出される。
これらの装置は、主走査移動テーブル64に設けられており、主走査移動テーブル64ごと被記録媒体に対して移動しながらヘッド100から被記録媒体にインクの吐出を行う主走査が行われる。
送給手段は上記の組成物収容体から吐出手段まで組成物を送給する装置である。組成物収容体から吐出手段までの間の組成物が送給される経路を流路と言う。流路としては、図2のインクカートリッジからサブタンク200までのインクの経路、サブタンク200、サブタンク200からヘッド100までの経路、ヘッド100の内部においてインクがヘッドのノズルから吐出されるまでの経路、ヘッド100からサブタンク200までインクを戻しサブタンク200から再びインクをヘッド100へ送給可能とする循環経路があげられる。
〔脱気手段〕
本実施形態のインクジェット装置は脱気手段(脱気機構ともいう)を備えてもよい。備える場合、インクジェット装置において、組成物から気泡や酸素などの気体を取り除く脱気をおこなうことで、吐出安定性を向上することができる。ヘッド100に供給するまでの間に、組成物収容体の長期保管中や、送給手段において、インクパックや送給手段の部材を介して、気泡や酸素が組成物に侵入することがあり、脱気手段を備えることが、上記の点で好ましい。以下脱気手段の1実施形態として脱気モジュールを記載する。図2の脱気モジュール204内には、インクが流入する脱気室(図示せず)と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない分離膜を介して脱気室と接する減圧室(図示せず)と、が設けられている。分離膜としては中空糸膜などを用いることができる。減圧ポンプ(図示せず)によって減圧室を減圧すると、脱気室内のインクに混入していた気泡やインクに溶解していたガスなどの気体は抜けていくので、気泡の混入がなく、脱気モジュール204へ送られたインクよりも溶存酸素濃度を低くしたインクをヘッド100へ供給し、ヘッド100から吐出させることができる。本記録装置の脱気モジュール204は、サブタンク200からヘッド100へインクを供給し続けた状態で、連続的にインクの脱気を行うことができる。脱気手段はインク収容体とヘッドのインク経路の間に設けられていることが脱気効率の点で好ましい。脱気手段はポンプなどの減圧手段を有する物である減圧脱気手段が脱気効率の点で好ましい。
上記の記録装置は、例えば特開2011−240565号の図4(本願明細書の図2)のように構成することができる。なお、上記の装置が移動せずに、被記録媒体がヘッドに対して移動しながらヘッドから被記録媒体に向けてインクの吐出が行われるラインプリンターのような構成としてもよく、この場合、インクの使用量が多い為、本実施形態が特に有用である。また、脱気モジュールが上記のような連続的にインクの脱気を行うものである代わりに、分離膜を備えずに、圧力調整弁を閉じた状態にして、減圧室を減圧することでインクの脱気を行うことと、脱気を終了したら、減圧室を常圧に戻して圧力調整弁108を開いた状態にしてインクをヘッドに供給することと、を交互に断続的に行う形態としてもよい。前者はインクを連続的に脱気することができる点で好ましく、後者は脱気能力が高い点で好ましい。
脱気手段により組成物の脱気を行い、溶存酸素量を脱気前の組成物の溶存酸素量よりも下げることが、吐出安定性を一層優れたものとする点で好ましい。脱気手段により脱気された組成物の溶存酸素量は8.0kPa以下が吐出安定性を一層優れたものとできる点で好ましい。脱気された組成物の溶存酸素量は、6.0kPa以下がより好ましく、下限は、限られるものではないが脱気効率の点で0.1kPa以上が好ましく、1kPa以上がより好ましく、2kPa以上がさらに好ましい。脱気された組成物の溶存酸素量が上記範囲であると、吐出安定性が一層優れる。本実施形態において脱気効率性は、例えば脱気を行うために必要な脱気時間で示すことができ脱気時間が短いほど脱気効率性に優れる。脱気された組成物の溶存ガス量を上記範囲にするには、例えば脱気手段による組成物の脱気の程度を調製すればよく、例えば上記の脱気モジュールの場合、脱気モジュールの減圧室の脱気の程度を調整したり、脱気モジュールを流れる組成物の流速を調整したりすればよい。
収容体に収容されていた組成物の溶存酸素量が前述の範囲であり、かつ脱気手段により脱気された組成物の溶存ガス量が上述の範囲である場合、組成物の保存安定性、吐出安定性、脱気効率性が何れも優れる点で一層好ましい。
〔被吐出対象〕
インクジェット方法を利用して、インク組成物を被吐出対象に吐出されること等により、組成物を用いる。被吐出対象の一実施形態として被記録媒体を記載するが被吐出対象としては被記録媒体には限られない。被記録媒体としては例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。下記インクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、当該インク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)から、インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
〔インクジェット方法〕
本実施形態の収容体に収容された紫外線硬化型インクジェット組成物を用いたインクジェット方法は、被吐出対象に、組成物をインクジェット法により吐出する吐出工程を含み、上記吐出工程により吐出された組成物に紫外線を照射して、組成物を硬化する硬化工程と、をさらに含むことができる。このようにして、被吐出対象で硬化した組成物により、硬化物が形成される。インクジェット方法は、インクジェット記録方法、インクジェット成型方法等があげられ、インクジェット法により組成物を吐出する物であればよい。以下インクジェット方法の1実施形態としてインクジェット記録方法を記載する。
〔吐出工程〕
上記吐出工程においては、後述のインクジェット記録装置を用いることができる。インク組成物の吐出の際は、インク組成物の粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱しない状態として、上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させることができる。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
紫外線硬化型インク組成物は、通常のインクジェット用インクで使用される水性インク組成物より粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインク組成物が、紫外線(光)の照射によって硬化する。換言すれば、被記録媒体上に形成されたインク塗膜が、紫外線の照射によって硬化膜となる。これは、インク組成物に含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化型インクジェット用光源として期待されている。これらの中でも、UV−LEDが好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは365〜405nmの範囲、より好ましくは380〜400nmの範囲にある紫外線を照射することにより、硬化可能であるようなインク組成物を用いることが好ましい。また、照射エネルギーは、50〜1000mJ/cm2が好ましく、100〜700mJ/cm2がより好ましく、200〜600mJ/cm2がさらに好ましい。
上記の場合、上記インク組成物の組成に起因して低エネルギー且つ高速での硬化が可能となる。照射エネルギーは、照射時間に照射強度を乗じて算出される。上記インク組成物の組成によって照射時間を短縮することができ、その場合、印刷速度が増大する。他方、本実施形態におけるインク組成物の組成によって照射強度を減少させることもでき、その場合、装置の小型化やコストの低下が実現する。その際の紫外線照射には、UV−LEDを用いることが好ましい。このようなインク組成物は、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物を含むことにより得られる。なお、発光ピーク波長は、上記の波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギーを上記の照射エネルギーとする。
本実施形態のインクジェット方法は、さらに、前述の送給手段により行われる組成物の送給(送給工程)、前述の脱気手段により行われる組成物の脱気(脱気工程)を備えてもよい。
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用原料]
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と略記した。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DPGDA」と略記した。)
・ライトアクリレートPO−A(フェノキシエチルアクリレート、共栄社化学社製商品名、下記表では「PEA」と略記した。)
・ビスコート#150(テトラヒドロフルフリルアクリレート、大阪有機化学工業、下記表では「THFA」と略記した。)
・P.I.ピグメントブルー15:4(大日精化社製、シアン顔料)
・Solsperse36000(ルブリゾール社製、顔料分散剤)
・メトキシヒドロキノン(重合禁止剤、東京化成工業社製、下記表中ではMEHQと略記した。)
〔光重合開始剤〕
・Irgacure819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、BASF社製商品名、固形分100%)
・KAYACURE DETX(2,4−ジエチルチオキサントン、固形分100%)
・Irgacure369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、BASF社製商品名、固形分100%)
〔紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物の作製〕
下記表に記載の成分を、表に記載の各組成比(単位は質量%)となるように用いて放射線硬化型インクジェット組成物である紫外線硬化型インクジェットインク組成物を調製した。実施例1を例に具体的に記載する。まず、顔料と顔料分散剤と重合性化合物のVEEAをそれらの質量比が表の各組成物における実施例1の質量比になるように秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れ撹拌して顔料を重合性化合物に対して分散させた。こうして顔料分散液を作成した。次に上記の顔料分散液とは別に、ステンレス製容器である混合物用タンクを用意して、これに実施例1で用いる成分のうちの上記顔料分散液で既に用いた成分以外の成分を、表の質量比になる量でかつ混合物の合計の質量が20kgとなる量を秤量し入れた。当該タンクはスクリューを備えてタンク内の混合物の攪拌が可能とした。さらに、タンク内に超音波振動子を備えタンク内の混合物に超音波の放射を可能とした。さらに、タンクの壁面に発熱体からなるヒーターを取り付けてタンク内の混合物に加温が可能とした。さらに、タンクは蓋をして密閉が可能なものとして、真空ポンプによりタンク内を減圧脱気が可能なものとした。
まずスクリューによりタンク内に入れた各成分を攪拌して混合物とした。次に、超音波振動子を作動させ混合物に対して周波数25kHzで超音波を放射した。超音波の放射の時間(分)、超音波の出力(ワット数)は表の実施例1に記載の条件とした。超音波を放射する全時間においてスクリューを回転させタンク内の混合物の全体が回流しているようにした。ヒーターは作動させず混合物に対する加温は行わず、また、真空ポンプは作動させず混合物に対する減圧脱気は行わなかった。こうして混合物に対する超音波処理を行った。組成物調製用のタンクに、上記で作成した顔料分散液と超音波処理を終えた混合物を、実施例1の組成比となる量を秤量して入れて、スクリューで攪拌して良く混合して最終の実施例1の組成物とした。調製した組成物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体製の膜厚110μmのフィルムからなるパックに充填してインクパックとした。当該フィルムの酸素透過率は1.5cc・20μm/(m2・day・atm)であった。インクパックは保護用のケースに収めた。
各例ごとに各例の組成物の質量比で組成物を調製した。実施例3〜6、8、比較例1、2、4は、それぞれ組成物を表に記載の組成物とし超音波処理を表に記載の条件にしたこと以外は実施例1に準じて組成物を作成した。実施例7は、超音波の放射を行う際にスクリューを停止して撹拌を行わなかったこと以外は実施例1と同様に行った。実施例2は、超音波の放射を行う代わりにタンクのヒーターを作動させてタンク内の混合物を45℃に加温し、加温処理の間、実施例1と同様に撹拌を行うことと加えて真空ポンプを作動させてタンク内を−80MPaに減圧脱気することもおこなった。
比較例3は、混合物に対し超音波振動子の作動を停止(OFF)にして超音波の放射を行わず、ヒーターを停止して加温も行わずに、表に記載の時間で撹拌を行ったこと以外は実施例1と同様に行った。なお、比較例3の溶存酸素量は、ほぼ組成物の飽和の溶存酸素量であると推測する。
こうして調製した各組成物に対して下記の評価を行った。結果を下記表に記載する。
〔溶存酸素量の測定〕
調製の完了後、すみやかに組成物調製用タンクから組成物を採取し、組成物の溶存酸素量を測定した。溶存酸素量測定は、溶存酸素系(DO計、3660EX、ハック・ウルトラ社製)を用いて、組成物の温度25℃で、DO計のセンサーを組成物に入れてから5分後の値を測定した。溶存酸素量の単位はkPaである。当該DO系はポーラログラフィック方式であり、迅速な測定が可能であり組成物の調製において溶存酸素の確認を短時間で行える点で、クロマトグラフ方式よりも好ましい。上記の溶存酸素計は測定の精度が高い点でも好ましく、特に、液温を検出して液温に基づく温度補償が可能であり測定の精度が高い点で好ましい。
〔低温保存安定性〕
調整した組成物を、ガラス瓶に入れ密封し、−20℃で4日保存し、保存後のインクをろ紙(アドバンテック社No.5A)で濾過し、ろ紙に残った異物を目視で観察した。保存期間を4日以上で1日ずつ長くして同様に確認した。評価基準は下記とした。確認された異物は光重合開始剤に起因する析出物であった。
A: 7日の保存で析出異物無し。
B: 4〜6日の保存で析出異物無し。
C: 4日の保存で析出異物有り。
〔記録試験〕
図2のような送給手段、脱気手段、吐出手段を備えるインクジェット装置を用意した。ただしテーブル64は固定とし、図示しない被記録媒体搬送機構を設けて被記録媒体をテーブル64に対して搬送させながら被記録媒体に対してインクが吐出されるラインプリンターして構成した。吐出手段のヘッド100は、吐出ノズル径20μm、吐出の駆動周波数15kHzとし、かつ、1回当たりのインク吐出量を7ngに調整し、1ヘッドあたり360個のノズルを備える。このようなインクジェット評価機(試作機)を用意した。組成物として上記で調製したインクをインクパックに収容して用いた。各例毎にインクパックをサブタンク200までのインクの経路に接続し、インクパックからからインクをサブタンクに供給した。サブタンク内のインクは常に所定量以上となるようにインクカートリッジからサブタンクへインクを送給した。インクカートリッジのインクが終わりになったら各例毎に同じ条件で用意したインクカートリッジに交換してサブタンクへのインクの供給を続けた。各インク送給手段を作動させてインクをヘッド100に送給した。脱気モジュールは中空子膜を介してインクを減圧脱気するものでありインクを送給しながらインクの脱気が可能なものとした。脱気させながらヘッド100へインクの送給を行うことで、インク供給経路でインクに混入してしまった気泡を取り除いた。ヘッド100のうち1つのヘッドを記録試験に用い他のヘッドへはインクが送給されないようにした。ヘッド100内に供給されたインクを採集して溶存酸素量を前述と同じ方法で測定したところ、何れの例も8kPa以下であった。ヒーターを作動させインクの粘度を吐出に適した粘度(10mPa・s以下)となるようにインクの温度を調節した。そして、当該評価機を用いてインクの吐出を行った。
〔吐出安定性〕
上記の1つのヘッド(360ノズル)から上記の吐出の周波数で連続吐出を行った。5分ごとに全てのノズルからインクが吐出しているか否かの検査を行い最大で合計50分まで連続吐出を行った。評価基準は下記とした。
A: 50分で不吐出ノズルなし。
B: 20〜50分で、不吐出ノズルなし。
C: 15分以下で不吐出ノズルあり。
〔硬化性試験〕
膜厚8μm(硬化後膜厚)となる量のインクを基材に塗布し、硬化に要する硬化エネルギーを確認した。綿棒で擦り綿棒等の状態から硬化したか否かを判定した。照射は395nmにピーク波長を有するLED、照射強度1100mW/cm2を用いた。基材はPETフィルム(PET50A PLシン〔商品名〕、リンテック社製)を用いた。照射した塗膜(組成物膜)を、綿棒を用いて100g加重で10回擦り、傷が付かなくなる時点の硬化エネルギー(照射エネルギー)を求めた。
なお、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。硬化エネルギーから下記基準により評価した。
A: 200mJ/cm2以下
B: 200mJ/cm2超300mJ/cm2以下
C: 300mJ/cm2
〔耐擦性試験〕
硬化性評価と同様の条件で傷がなくなる時点まで照射して硬化させた硬化膜を作成した。JIS K5701(ISO 11628)(平版印刷に用いられるインク、展色試料、及び印刷物を試験する方法について規定。)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業社(TESTER SANGYO CO., LTD.)製)を用いて、塗膜の耐擦性の評価を行った。評価方法は、塗膜が8μmである硬化膜の表面に金巾を乗せ、荷重500gをかけて擦り、擦った後の、上記硬化膜の剥離を目視にて評価した。評価基準は下記のとおりである。
A:金巾に汚れなし、記録面の剥離・傷なし。
B:金巾に汚れあり、記録面の剥離・傷なし。
C:金巾に汚れあり、記録面の剥離・傷が見られた。
Figure 2015199817
Figure 2015199817
以上の結果より、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物とを含有し、組成物の溶存酸素量が0〜8.0kPaであり、組成物収容体に収容された、放射線硬化型インクジェット組成物とした実施例1〜8は、吐出安定性、硬化性に優れた組成物であり、さらに低温保存安定性、耐擦性にも優れることが判った。これに対し、比較例の組成物は、吐出安定性、硬化性の少なくとも何れかが劣っていた。なお、低温保存安定性が劣る例と吐出安定性が劣る例とに相関がみられることから、低温保存安定性が劣る組成物は光重合開始剤が異物となりやすい傾向があり、低温である場合に限らず、組成物を長時間使用する間に吐出安定性を低下させる何らかの作用があったと推測する。
比較例1、3は、組成物の溶存酸素量が10.0kPaであり、吐出安定性に劣っていた。比較例2、4は硬化性に劣っていた。なお、表中には記載しなかったが、比較例4とは別に、比較例4における組成物の調製の際の混合物に対する処理の条件として比較例3と同じ条件で処理を行ったこと以外は比較例4と同様にして別途確認した所、低温保存安定性はAであったが、硬化性は比較例4と同様にCであった。このことから、常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤を含有することで効果性の優れた組成物とする場合に本願発明が必要となることが判った。
40…インクカートリッジ、70…インクパック、72…カートリッジケース、74…インク供給口、76…本体ケース、78…蓋部、80…切欠き部、82…押さえ部、84…鉤部、64…主走査移動テーブル、100…ヘッド、106…分岐継手、108…圧力調整弁、200…サブタンク、202…加圧ポンプ、204…脱気モジュール、210…統合継手、212…開閉バルブ、214…往路、216…復路、218,220,222…ヒーター、320…開弁アクチュエーター。

Claims (9)

  1. 常温、単体で固体である2官能以上のアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤と重合性化合物とを含有し、組成物の溶存酸素量が0〜8.0kPaであり、組成物収容体に収容された、放射線硬化型インクジェット組成物。
  2. 前記光重合開始剤の組成物に対する含有量が1〜15質量%である、請求項1に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  3. 前記重合性化合物としてベンゼン環含有(メタ)アクリレートを含む、請求項1又は2に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  4. 前記重合性化合物としてフェノキシエチル(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  5. 放射線硬化型インクジェット組成物の調製の際に、前記光重合開始剤と前記重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に超音波を放射する超音波処理、あるいは当該混合物に加温する加温処理の少なくとも何れかを施したものである、請求項1〜4の何れか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  6. 前記組成物収容体が、酸素透過率が5.0cc・20μm/(m2・day・atm)以下である部材により構成された容器に放射線硬化型インクジェット組成物を充填したものである、請求項1〜5の何れか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  7. 前記処理が、前記超音波の照射あるいは加温の少なくとも何れかを混合物に行いつつ、混合物を撹拌するものである、請求項5に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物を収容した組成物収容体。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物をインクジェットヘッドから吐出するインクジェット方法。
JP2014079193A 2014-04-08 2014-04-08 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、インクジェット方法、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法 Active JP6326925B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014079193A JP6326925B2 (ja) 2014-04-08 2014-04-08 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、インクジェット方法、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014079193A JP6326925B2 (ja) 2014-04-08 2014-04-08 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、インクジェット方法、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015199817A true JP2015199817A (ja) 2015-11-12
JP6326925B2 JP6326925B2 (ja) 2018-05-23

Family

ID=54551407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014079193A Active JP6326925B2 (ja) 2014-04-08 2014-04-08 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、インクジェット方法、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6326925B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004083621A (ja) * 2002-08-22 2004-03-18 Brother Ind Ltd インクジェット記録用水性インク
JP2011068731A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Fujifilm Corp 近赤外吸収性色素を含有する硬化性組成物、インク用組成物および近赤外線吸収フィルタの製造方法
JP2012172090A (ja) * 2011-02-22 2012-09-10 Seiko Epson Corp 光硬化型インク
JP2012255072A (ja) * 2011-06-08 2012-12-27 Seiko Epson Corp 光硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにその保存方法及び保存容器
JP2013053208A (ja) * 2011-09-02 2013-03-21 Dic Corp 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物及び画像形成方法
JP2013177525A (ja) * 2012-02-29 2013-09-09 Seiko Epson Corp インク収容体、当該収容体に収容されている紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録装置
JP2014005438A (ja) * 2012-05-29 2014-01-16 Seiko Epson Corp インクジェットインク組成物、インク収容体、インクジェット記録方法
JP2014156508A (ja) * 2013-02-14 2014-08-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 組成物及び重合物

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004083621A (ja) * 2002-08-22 2004-03-18 Brother Ind Ltd インクジェット記録用水性インク
JP2011068731A (ja) * 2009-09-24 2011-04-07 Fujifilm Corp 近赤外吸収性色素を含有する硬化性組成物、インク用組成物および近赤外線吸収フィルタの製造方法
JP2012172090A (ja) * 2011-02-22 2012-09-10 Seiko Epson Corp 光硬化型インク
JP2012255072A (ja) * 2011-06-08 2012-12-27 Seiko Epson Corp 光硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにその保存方法及び保存容器
JP2013053208A (ja) * 2011-09-02 2013-03-21 Dic Corp 活性エネルギー線硬化型インクジェット記録用インク組成物及び画像形成方法
JP2013177525A (ja) * 2012-02-29 2013-09-09 Seiko Epson Corp インク収容体、当該収容体に収容されている紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録装置
JP2014005438A (ja) * 2012-05-29 2014-01-16 Seiko Epson Corp インクジェットインク組成物、インク収容体、インクジェット記録方法
JP2014156508A (ja) * 2013-02-14 2014-08-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 組成物及び重合物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6326925B2 (ja) 2018-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10322589B2 (en) Photocurable ink composition, recording method, recording apparatus, photocurable ink jet recording ink composition, and ink jet recording method
JP6798943B2 (ja) インクジェット記録装置、インクジェット記録方法
JP6065535B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、インク収容体、及びインクジェット記録装置
JP7028291B2 (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
JP5910167B2 (ja) インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6212939B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
JP5664461B2 (ja) 光硬化型インクジェット記録用インク組成物、並びにその保存方法及び保存容器
JP5640400B2 (ja) 印刷方法
JP6733697B2 (ja) 光硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法
JP6447803B2 (ja) インクジェット方法、インクジェット装置、及びインクジェット組成物収容体
JP6288236B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット記録用インク組成物、インク収容体、及びインクジェット記録装置
JP6551486B2 (ja) インク収容体、インクジェット記録方法
JP7491353B2 (ja) 光硬化型インクジェットインクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP6011600B2 (ja) 光硬化インクジェットインク組成物
JP6702348B2 (ja) インクジェット記録方法
US10259235B2 (en) Ink jet method and ink jet apparatus
CN108148468B (zh) 光固化型喷墨记录用油墨组合物、喷墨记录方法
JP6326925B2 (ja) 放射線硬化型インクジェット組成物、放射線硬化型インクジェット組成物収容体、インクジェット方法、放射線硬化型インクジェット組成物の製造方法
JP2020114928A (ja) 光硬化型インクジェットインクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP6226011B2 (ja) インク収容体、インクジェット記録方法
JP2016168808A (ja) インクジェット方法及びインクジェット装置
JP2022099495A (ja) インクセット及びインクジェット記録方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20160617

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20160628

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171017

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180320

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6326925

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150