JP2015199794A - 剥離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粘着剤が高温環境に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を得ることができる剥離方法を提供する。
【解決手段】光を透過する支持体と、粘着剤を介して支持体に固定された被着体と、を備える積層体に対し支持体側からエネルギー線を照射して、支持体と被着体とを分離する工程を備え、粘着剤が、縮合系樹脂と、ホウ素を含有するカーボン粒子と、を含み、被着体が、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する、剥離方法。
【選択図】なし
【解決手段】光を透過する支持体と、粘着剤を介して支持体に固定された被着体と、を備える積層体に対し支持体側からエネルギー線を照射して、支持体と被着体とを分離する工程を備え、粘着剤が、縮合系樹脂と、ホウ素を含有するカーボン粒子と、を含み、被着体が、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する、剥離方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、剥離方法に関し、特に、高温環境下でも粘着性が維持される耐熱粘着剤を用いた剥離方法に関する。
半導体産業では、半導体パッケージの薄型化やチップの高密度化等に対応するため、半導体ウェハの薄型化が求められており、また、ディスプレイ産業では、ディスプレイの薄型化やフレキシブル化に対応するため、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を形成するための基材の薄型化が求められている。
しかし、ウェハや基材の薄型化に伴い、製造プロセス中の取り扱い性が極端に低下し、ウェハや基材のゆがみ、寸法変動等が発生するため、薄いウェハや基材をそのまま製造プロセスを通すことが困難である。そのため、製造メーカでは、耐熱性の耐熱粘着剤を用いて、剛性が高い支持体に薄いウェハや基材を仮固定し、製造プロセス終了後に支持体から製品を剥がす手法が提案されている。
従来、耐熱粘着剤としては、アクリル系耐熱粘着剤が多く用いられている。また、耐熱粘着剤としては、シリコーン系耐熱粘着剤が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。更に、耐熱粘着剤としては、熱可塑樹脂を用いた高温下で貼り付ける材料が知られている(例えば、下記特許文献2参照)。
粘着剤の剥離としては、リフトアップ等による機械的な剥離、溶剤による溶解剥離、加熱による溶融剥離、熱発泡剥離、UV発泡剥離が用いられている(例えば、下記特許文献3〜7参照)。
ところで、アクリル系耐熱粘着剤には、高温環境下(例えば200℃以上)において、粘着性が維持できず、浮きや剥がれが生じるという問題がある。また、シリコーン系耐熱粘着剤には、価格が高い、貼付する対象が限定される(例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチック材料への粘着性が低い)という問題がある。
このような耐熱性(例えば200℃以上)を改良するために熱可塑樹脂を用いた場合、使用温度以上の貼付け温度、更には、溶融剥離するために同様に使用温度以上の剥離温度が必要であり、作業性に問題があった。また、粘着剤残りを除去するために溶剤洗浄を必要とする場合があり、生産性に問題があった。
更に、機械的な剥離に関しては、粘着強度が低過ぎる場合、工程中に剥がれを引き起こし、粘着強度が高過ぎる場合には、引き剥がしの応力によって被着体や、被着体上に形成した加工物の破損を引き起こす可能性があり、特に弾性率が大きい被着体の剥離方法としては好ましくなかった。
この問題を改良した溶解剥離に関しては、溶剤による溶解や浸透によって、被着体や、被着体上に形成した加工物の破損を引き起こす場合があり、更に、溶解時間に依存して工程時間が長くなり生産性に劣る問題があった。一方、熱発泡剥離やUV発泡剥離は、発泡剤の発泡温度や発泡効率に制限があり、粘着剤の使用温度(例えば200℃以上)においての適用に制限があった。
そこで、本発明は、粘着剤が高温環境に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を得ることができる剥離方法を提供することを目的とする。
本発明に係る剥離方法は、光を透過する支持体と、粘着剤を介して前記支持体に固定された被着体と、を備える積層体に対し前記支持体側からエネルギー線を照射して、前記支持体と前記被着体とを分離する工程を備え、前記粘着剤が、縮合系樹脂と、ホウ素を含有するカーボン粒子と、を含み、被着体が、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する。
本発明によれば、粘着剤が高温環境(例えば200℃以上)に曝された場合であっても、粘着剤が優れた耐熱性を有し、優れた粘着性が維持されるため、浮きや剥がれの発生が十分に抑制される。また、本発明によれば、粘着剤が高温環境(例えば200℃以上)に曝された場合であっても、粘着剤を被着体に貼付した後に被着体から粘着剤を剥離することができることから支持体と被着体とを分離することができる。この要因の一つとしては、例えば、ホウ素を含有するカーボン粒子を粘着剤が含むことにより、照射されたエネルギー線が熱変換されて生じる熱により縮合系樹脂が熱分解するため、被着体から粘着剤を剥離することができることから支持体と被着体とを分離することができると考えられる。
また、本発明に係る剥離方法において、支持体と被着体に残っている粘着剤は、ピールオフすることで剥離でき、必要に応じて可溶性溶剤で残渣の除去を行い、クリーニングすることができる。このような剥離方法では、被着体への残渣を少なくすることができる。
更に、カーボン粒子は、吸光性が高いため、低添加量、低放射エネルギー量で光熱変換を効率よく行うことができ、エネルギー線による熱分解及び被着体からの剥離性を兼ね備えることができ、スループットの向上が可能である。
カーボン粒子は、アセチレンガスを原料として用いて得られるカーボンブラックを含むことが好ましい。
カーボン粒子の含有量は、粘着剤の固形分全量を基準として0.1〜40質量%であることが好ましい。
カーボン粒子は、炭化ホウ素を含むことが好ましい。
カーボン粒子の平均粒径は、4μm以下であることが好ましい。
前記支持体の構成材料は、ガラスであってもよい。前記被着体はシリコンウェハであってもよい。
前記エネルギー線を照射する放射装置は、半導体レーザー装置であることが好ましい。
前記エネルギー線を照射する際の前記粘着剤の温度は、前記縮合系樹脂の熱分解温度に対して−50℃〜+200℃であることが好ましい。
本発明によれば、粘着剤が高温環境(例えば200℃以上)に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を得ることができる。
本実施形態に係る耐熱粘着剤及び剥離方法等について以下に説明するが、以下に限定されるものではない。
<粘着剤(耐熱粘着剤)>
本実施形態に係る粘着剤は、縮合系樹脂(I)と、ホウ素を含有するカーボン粒子(II)とを含む粘着剤組成物である。本実施形態に係る粘着剤によれば、粘着剤を例えば200℃以上の高温環境下に保持しても、高い粘着性が維持され、浮きや剥がれの発生が十分に抑制される。耐熱粘着剤としては、後述する耐熱粘着剤の使用方法における加熱工程でかかる温度に耐え得る粘着剤であれば特に制限はないが、以下に記載の耐熱粘着剤を用いることが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤は、縮合系樹脂(I)と、ホウ素を含有するカーボン粒子(II)とを含む粘着剤組成物である。本実施形態に係る粘着剤によれば、粘着剤を例えば200℃以上の高温環境下に保持しても、高い粘着性が維持され、浮きや剥がれの発生が十分に抑制される。耐熱粘着剤としては、後述する耐熱粘着剤の使用方法における加熱工程でかかる温度に耐え得る粘着剤であれば特に制限はないが、以下に記載の耐熱粘着剤を用いることが好ましい。
((I)成分:縮合系樹脂)
縮合系樹脂は、例えば、粘着性を有する樹脂である。縮合系樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性に優れる点等から、ポリアミド樹脂が好ましい。
縮合系樹脂は、例えば、粘着性を有する樹脂である。縮合系樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。これらの中で、耐熱性に優れる点等から、ポリアミド樹脂が好ましい。
縮合系樹脂は、縮合重合で得られた重合体を更に変性したものであってもよく、オレフィン変性ポリアミド、アルコキシシラン変性ポリアミド、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ変性ポリアミド、ポリカーボネート変性ポリアミド、オレフィン変性ポリイミド、シロキサン変性ポリイミド、エポキシ変性ポリイミド、ポリカーボネート変性ポリイミド、シロキサン変性ポリイミド、オレフィン変性ポリアミドイミド、アルコキシシラン変性ポリアミドイミド、シロキサン変性ポリアミドイミド、エポキシ変性ポリアミドイミド、エポキシ変性ポリアミドイミド、ポリカーボネート変性ポリアミドイミド等が挙げられる。
縮合系樹脂は、例えば、カルボキシル基を少なくとも2つ有するカルボン酸、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマー(A)と、アミノ基を少なくとも2つ有するモノマー(B)とを含む重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有する。すなわち、縮合系樹脂は、例えば、カルボキシル基を少なくとも2つ有するカルボン酸、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマー(A)に由来する構造単位(A)と、アミノ基を少なくとも2つ有するモノマー(B)に由来する構造単位(B)と、を有している。
なお、縮合系樹脂におけるモノマー(A)に由来する構造単位(A)は、モノマー(A)単位ということができ、モノマー(B)に由来する構造単位(B)は、モノマー(B)単位ということができ、縮合系樹脂は、モノマー(A)単位及びモノマー(B)単位を含む縮合系樹脂ということができる。
前記構造単位を形成し得るモノマー(A)及びモノマー(B)は、例えば、次の方法により確認することができる。すなわち、前記構造単位を加水分解したときに生成する、カルボキシル基を少なくとも2つ有するカルボン酸や、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物をモノマー(A)とすることができる。また、前記構造単位を加水分解したときに生成する、アミノ基を少なくとも2つ有する化合物をモノマー(B)とすることができる。
例えば、下記式(1−1)で表される構造単位は、下記式(A−1)で表されるカルボン酸、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーと、下記式(B−1)で表されるモノマーとを縮合重合して得られる構造単位ということができる。なお、式中、R1及びR2は二価の有機基を示す。
また、例えば、下記式(1−2)で表される構造単位は、下記式(A−2)で表されるカルボン酸、下記式(A−2’)で表される前記カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーと、前記式(B−1)で表されるモノマーとを縮合重合して得られる構造単位ということができる。なお、式中、R3は三価の有機基を示す。
更に、例えば、下記式(1−3)で表される構造単位は、下記式(A−3)で表されるカルボン酸、下記式(A−3’)で表される前記カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーと、前記式(B−1)で表されるモノマーとを縮合重合して得られる構造単位ということができる。なお、式中、R4は四価の有機基を示す。
モノマー(A)のカルボン酸としては、カルボキシル基を2つ有するカルボン酸(前記式(A−1)で表されるモノマー)、カルボキシル基を3つ有するカルボン酸(前記式(A−2)で表されるモノマー)、カルボキシル基を4つ有するカルボン酸(前記式(A−3)で表されるモノマー)等が挙げられる。
カルボキシル基を2つ有するカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸等のアルキレンジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のアリーレンジカルボン酸;4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、2−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、2−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸、メチルノルボルナン−3,4−ジカルボン酸等のシクロヘキサン骨格を有するジカルボン酸などが挙げられる。
カルボキシル基を3つ有するカルボン酸としては、トリメリット酸等の芳香族トリカルボン酸;シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸等の脂環式トリカルボン酸などが挙げられる。
カルボキシル基を4つ有するカルボン酸としては、ピロメリット酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸、4,4’−スルホニルジフタル酸、1−トリフルオロメチル−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、チオフエン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン、p−フェニレンビス(トリメリテート)、エチレンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン2,3,5,6−テトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド、4,4’−(4,4’イソプロピリデンジフェノキシ)−ビス(フタル酸)、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、ビス(エキソビシクロ(2,2,1)ヘプタン−2,3−ジカルボン酸)スルホン、1,2,4,5−テトラカルボキシシクロヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3:5,6−テトラカルボン酸、5,5’−エンド−(ポリシロキサン−1,5−ジイル)−ビスビシクロ[2,2,1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸等が挙げられる。
モノマー(B)としては、アミノ基を2つ有するモノマーが好ましい。アミノ基を2つ有するモノマーとしては、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4’−ジアミン、2,6,2’,6’−テトラメチル−4,4’−ジアミン、5,5’−ジメチル−2,2’−スルホニル−ビフェニル−4,4’−ジアミン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルスルホン、(4,4’−ジアミノ)ベンゾフェノン、(3,3’―ジアミノ)ベンゾフェノン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルメタン、(4,4’−ジアミノ)ジフェニルエーテル、(3,3’―ジアミノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン等のアルキレンジアミン;ポリエチレンオキサイドジアミン、ポリプロピレンオキサイドジアミン等のポリアルキレンオキサイドジアミン;(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、1,4−ビスアミノプロピルピペラジン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシルー5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン、ビスアミノメチルノルボルネン等の脂肪族ジアミン;ポリジメチルシロキサンジアミン等のシロキサンジアミンなどが挙げられる。
モノマー(A)における前記カルボン酸及びその無水物、並びに、モノマー(B)からなる群より選ばれる少なくとも一種は25℃で液状であることが好ましい。この場合、粘着剤が高温環境に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を容易に得ることができる。例えば、前記式(1−1)で表される構造単位については、式(A−1)で表されるモノマー、及び、式(B−1)で表されるモノマーの少なくとも一方が25℃で液状であることが好ましい。前記式(1−2)で表される構造単位については、式(A−2)で表されるモノマー、式(A−2’)で表される無水物、及び、式(B−1)で表されるモノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種が25℃で液状であることが好ましい。前記式(1−3)で表される構造単位については、式(A−3)で表されるモノマー、式(A−3’)で表される無水物、及び、式(B−1)で表されるモノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種が25℃で液状であることが好ましい。
モノマー(A)における前記カルボン酸及びその無水物のうち25℃で液状の化合物としては、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、3−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、2−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、3−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、2−エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、5,5’−エンド−(ポリシロキサン−1,5−ジイル)−ビスビシクロ[2,2,1]ヘプタン−エキソ−2,3−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
モノマー(B)のうち25℃で液状の化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、イソホロンジアミン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、[3,4−ビス(1−アミノヘプチル)−6−ヘキシルー5−(1−オクテニル)]シクロヘキセン、ビスアミノメチルノルボルネン、アルキレンオキサイドジアミン、アルキルジアミン、ポリアルキレンオキサイドジアミン、シロキサンジアミン等が挙げられる。
縮合系樹脂中の構造単位を与えるモノマー(A)及びモノマー(B)のそれぞれは、一種単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
縮合系樹脂は、ポリオキシアルカンジイル基を有していることが好ましい。このような基を有する縮合系樹脂は、Tgが低下し、低温で良好な粘着性を有するものとなる。
ここで、ポリオキシアルカンジイル基としては、下記式(2)で表される基が挙げられる。なお、式中、nは2以上の整数を示し、R5はアルカンジイル基を示す。複数存在するR5は互いに同一でも異なっていてもよい。
R5におけるアルカンジイル基は、直鎖状でも分岐状であってもよい。R5におけるアルカンジイル基としては、炭素数2〜4のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜3のアルカンジイル基がより好ましい。R5におけるアルカンジイル基としては、エチレン基、1,2−プロパンジイル基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基等が挙げられる。
式(2)におけるnとしては、2〜70が好ましく、6〜33がより好ましい。
ポリオキシアルカンジイル基としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド共重合体、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール共重合体等のポリアルキレンオキサイドから誘導される基が好ましく、ポリオキシエチレン基、ポリオキシ−1,2−プロパンジイル基がより好ましい。
縮合系樹脂にポリオキシアルカンジイル基を導入する方法は、特に制限されないが、例えば、ポリオキシアルカンジイル基を有するモノマーを用いて縮合系樹脂を得る方法や、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の縮合系樹脂を変性して前記ポリオキシアルカンジイル基を導入する方法が挙げられる。
縮合系樹脂は、構造単位(A)及び構造単位(B)の少なくとも一方の構造単位中にポリオキシアルカンジイル基を有していることが好ましく、構造単位(B)中にポリオキシアルカンジイル基を有していることがより好ましい。すなわち、構造単位(B)は、ポリオキシアルカンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b1)に由来する構造単位(b1)を有していることが好ましい。また、モノマー(A)及びモノマー(B)の少なくとも一方が、ポリオキシアルカンジイル基を有するモノマーを含むことが好ましく、モノマー(B)が、前記ポリオキシアルカンジイル基を有するモノマーを含むことがより好ましい。すなわち、モノマー(B)は、ポリオキシアルカンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b1)を含むことが好ましい。
モノマー(b1)としては、ポリアルキレンオキサイドジアミンが挙げられ、ジェファーミンD−230(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンD−400(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンD−2000(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンD−4000(HUNTSMAN、商品名)等のポリプロピレンオキサイドジアミン;ジェフアミンED−600(HUNTSMAN、商品名)、ジェフアミンED−900(HUNTSMAN、商品名)等のポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの共重合体ジアミン;ジェファーミンEDR−148(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンEDR−176(HUNTSMAN、商品名)等のポリエチレンオキサイドジアミン;ジェファーミンT−403(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンT−3000(HUNTSMAN、商品名)、ジェファーミンT−5000(HUNTSMAN、商品名)等のトリアミンなどを好適に用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
重合性モノマーにおけるモノマー(b1)の含有量は、モノマー(A)及びモノマー(B)の全量基準で、0.5〜20mol%が好ましく、1〜10mol%がより好ましく、2〜8mol%が更に好ましい。すなわち、縮合系樹脂における構造単位(b1)の含有量は、構造単位(A)及び構造単位(B)の全量基準で、0.5〜20mol%が好ましく、1〜10mol%がより好ましく、2〜8mol%が更に好ましい。このような縮合系樹脂によれば、被着体との密着性に一層優れる耐熱粘着剤が得られる。
重合性モノマーにおけるモノマー(b1)の含有量は、モノマー(B)の全量基準で、5〜20mol%が好ましく、7〜15mol%がより好ましく、8〜10mol%が更に好ましい。すなわち、縮合系樹脂における構造単位(b1)の含有量は、構造単位(B)の全量基準で、5〜20mol%が好ましく、7〜15mol%がより好ましく、8〜10mol%が更に好ましい。このような縮合系樹脂によれば、被着体との密着性に一層優れる耐熱粘着剤が得られる。
縮合系樹脂は、1,4−ピペラジンジイル基を有していることが好ましい。このような縮合系樹脂によれば、粘着剤が高温環境(例えば200℃以上)に曝された場合であっても優れた剥離性を容易に得ることができる。また、構造単位(B)が1,4−ピペラジンジイル基を有していることが好ましい。すなわち、構造単位(B)は、1,4−ピペラジンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b2)に由来する構造単位(b2)を有していることが好ましい。また、モノマー(B)が、1,4−ピペラジンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b2)を含むことが好ましい。このような構造単位(B)によれば、粘着剤が高温環境(例えば200℃以上)に曝された場合であっても優れた剥離性を容易に得ることができる。
構造単位(B)は、ポリオキシアルカンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b1)に由来する構造単位(b1)と、1,4−ピペラジンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b2)に由来する構造単位(b2)と、を含むことが好ましい。モノマー(B)は、ポリオキシアルカンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b1)と、1,4−ピペラジンジイル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b2)と、を含むことが好ましい。これらの場合、粘着剤が高温環境に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を容易に得ることができる。
なお、ポリオキシアルカンジイル基を有する構造単位が1,4−ピペラジンジイル基を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基を有していない構造単位が1,4−ピペラジンジイル基を有していてもよい。また、ポリオキシアルカンジイル基を有するモノマーが1,4−ピペラジンジイル基を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基を有していないモノマーが1,4−ピペラジンジイル基を有していてもよい。
1,4−ピペラジンジイル基を有する構造単位としては、1,4−ビス(ω−アミノアルキル)ピペラジン単位が挙げられる。1,4−ビス(ω−アミノアルキル)ピペラジン単位において、ω−アミノアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜4がより好ましい。
1,4−ビス(ω−アミノアルキル)ピペラジン単位としては、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン単位が好ましい。すなわち、モノマー(b2)としては、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンが好ましい。
重合性モノマーにおけるモノマー(b2)の含有量は、モノマー(A)及びモノマー(B)の全量基準で、15〜60mol%が好ましく、20〜50mol%がより好ましく、25〜45mol%が更に好ましい。縮合系樹脂における1,4−ピペラジンジイル基を有する構造単位(b2)の含有量は、構造単位(A)及び構造単位(B)の全量基準で、15〜60mol%が好ましく、20〜50mol%がより好ましく、25〜45mol%が更に好ましい。
縮合系樹脂は、脂環式構造を有していてもよい。このような基を有する縮合系樹脂では、吸水性を抑制できる。
なお、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の少なくとも一方を有する構造単位が脂環式構造を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の双方を有していない構造単位が脂環式構造を有していてもよい。また、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の少なくとも一方を有するモノマーが脂環式構造を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の双方を有していないモノマーが脂環式構造を有していてもよい。
ここで、脂環式構造としては、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、メチレンジシクロヘキシル基、イソホロン基、シクロヘキシルジメチル基等が挙げられる。
脂環式構造を有するモノマー(A)としては、1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。脂環式構造を有する(B)としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。これらは単独でも使用でき、組み合わせて用いることもできる。
重合性モノマーにおける脂環式構造を有するモノマーの含有量は、モノマー(A)及びモノマー(B)の全量基準で、0.5〜40mol%が好ましく、1〜20mol%がより好ましく、4〜16mol%が更に好ましい。縮合系樹脂における脂環式構造を有する構造単位の含有量は、構造単位(A)及び構造単位(B)の全量基準で、0.5〜40mol%が好ましく、1〜20mol%がより好ましく、4〜16mol%が更に好ましい。このような縮合系樹脂によれば、吸水率が一層抑制され、高温環境下における粘着力変化を一層抑制することができる。
縮合系樹脂は、シクロヘキシル基(シクロヘキサン環)を有していてもよく、構造単位(A)及び構造単位(B)の少なくとも一方の構造単位中にシクロヘキシル基を有していてもよく、構造単位(B)中にシクロヘキシル基を有していてもよい。すなわち、モノマー(B)が、シクロヘキシル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマーを含んでいてもよい。この場合、粘着剤が高温環境に曝された場合であっても優れた耐熱性及び剥離性を容易に得ることができる。また、縮合系樹脂は、構造単位(B)中に、シクロヘキシル基(シクロヘキサン環)と、ポリオキシアルカンジイル基と、1,4−ピペラジンジイル基と、を有していてもよい。
縮合系樹脂は、メチレンジシクロヘキシル基を有していてもよく、構造単位(A)及び構造単位(B)の少なくとも一方の構造単位中にメチレンジシクロヘキシル基を有していてもよく、構造単位(B)中にメチレンジシクロヘキシル基を有していてもよい。モノマー(A)及びモノマー(B)の少なくとも一方が、メチレンジシクロヘキシル基を有するモノマーを含んでいてもよく、モノマー(B)が、メチレンジシクロヘキシル基を有するモノマーを含んでいてもよい。すなわち、構造単位(B)は、メチレンビスシクロヘキシル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b3)に由来する構造単位(b3)を有していてもよい。また、モノマー(B)は、メチレンビスシクロヘキシル基及び少なくとも2つのアミノ基を有するモノマー(b3)を含んでいてもよい。モノマー(b3)としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられるが、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンが好ましい。
重合性モノマー中のモノマー(b3)の含有量は、モノマー(B)の全量基準で、4〜28.5mol%が好ましく、8〜28.5mol%がより好ましく、8〜20mol%が更に好ましい。縮合系樹脂における構造単位(b3)の含有量は、構造単位(B)の全量基準で、4〜28.5mol%が好ましく、8〜28.5mol%がより好ましく、8〜20mol%が更に好ましい。このような重合性モノマーを縮合重合して得られる構造単位を有する縮合系樹脂によれば、吸水率が抑制され保存安定性に一層優れる粘着剤が得られる。
縮合系樹脂は、二価の芳香環基を有することが好ましく、構造単位(A)中に二価の芳香環基を有することがより好ましい。すなわち、モノマー(A)が二価の芳香環基を有することが好ましい。縮合系樹脂が二価の芳香環基を有することにより、高温環境下における優れた耐熱性を得やすくなる。二価の芳香環基を有するモノマーとしては、上記式(A−1)のR1が二価の芳香環基であるカルボン酸、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物が挙げられる。
なお、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の少なくとも一方を有する構造単位が二価の芳香環基を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の双方を有していない構造単位が二価の芳香環基を有していてもよい。また、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の少なくとも一方を有するモノマーが二価の芳香環基を更に有していてもよく、ポリオキシアルカンジイル基及び1,4−ピペラジンジイル基の双方を有していないモノマーが二価の芳香環基を有していてもよい。
縮合系樹脂は、二価の芳香環基としてベンゼンジイル基を有していてもよく、フタル酸単位、イソフタル酸単位及びテレフタル酸単位からなる群より選択される少なくとも一種を有していてもよい。縮合系樹脂がベンゼンジイル基を有することにより、高温環境下における優れた耐熱性を得やすくなる。
重合性モノマーにおける二価の芳香環基を有するモノマーの含有量は、モノマー(A)及びモノマー(B)の全量基準で、20〜50mol%が好ましく、30〜50mol%がより好ましく、40〜50mol%が更に好ましい。縮合系樹脂における二価の芳香環基を有する構造単位の含有量は、構造単位(A)及び構造単位(B)の全量基準で、20〜50mol%が好ましく、30〜50mol%がより好ましく、40〜50mol%が更に好ましい。
縮合系樹脂の重量平均分子量は、10000〜80000が好ましく、20000〜50000がより好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を示す。測定装置及び測定条件は、例えば下記のとおりである。
<装置>
測定装置 :株式会社日立製作所製「HPLC−L17000Hシリ−ズ」
カラム :Shodex「GPC KD−806M」
検出器 :RI検出器 株式会社日立製作所製「I−7490」
データ処理 :株式会社日立製作所製「D7000G」
<測定条件>
カラム温度 :30℃
展開溶媒 :NMPリン酸リチウムブロマイド溶液
流速 :1.0ml/min
使用ポリスチレン :東ソー株式会社(TOSOH)製標準ポリスチレン
試料濃度 :樹脂固形分換算で1.0質量%NMP溶液
<装置>
測定装置 :株式会社日立製作所製「HPLC−L17000Hシリ−ズ」
カラム :Shodex「GPC KD−806M」
検出器 :RI検出器 株式会社日立製作所製「I−7490」
データ処理 :株式会社日立製作所製「D7000G」
<測定条件>
カラム温度 :30℃
展開溶媒 :NMPリン酸リチウムブロマイド溶液
流速 :1.0ml/min
使用ポリスチレン :東ソー株式会社(TOSOH)製標準ポリスチレン
試料濃度 :樹脂固形分換算で1.0質量%NMP溶液
縮合系樹脂は、例えば、カルボキシル基を少なくとも2つ有するカルボン酸、当該カルボン酸の無水物、前記カルボン酸のエステル化物及び前記カルボン酸のハロゲン化物からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマー(A)と、アミノ基を少なくとも2つ有するモノマー(B)とを含む重合性モノマーの縮合重合により得ることができる。エステル化物としては、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(1−イソプロポキシエチル)、シクロヘキサンジカルボン酸ビス(1−イソブトキシエチル)等が挙げられる。ハロゲン化物としては、二塩化イソフタロイル、二塩化テレフタロイル等が挙げられる。重合性モノマーは、ジイソシアネート化合物等の他のモノマーを含有していてもよい。
縮合重合の方法としては、特に制限されないが、例えば、前記重合性モノマーを溶媒に溶解して、反応温度0〜200℃、反応時間1〜5時間程度で反応させる方法を採用することができる。
縮合重合に用いる溶媒としては、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルスクシイミド、ジメチルフラン、トルエン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。この中では、樹脂の溶解性の観点から、N−メチルピロリドンが好ましい。
また、縮合重合においては、縮合反応を促進する目的で、触媒等の加速剤を用いることができる。加速剤の添加量としては、重合性モノマー10mol当量に対して、0.1〜50mol当量が好ましい。加速剤としては、塩化リチウム、塩化カルシウム、ロダンカルシウム等の無機塩;トリエチルアミン、ピリジン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩などが挙げられる。
本実施形態に係る粘着剤における縮合系樹脂の含有量は、粘着剤の固形分全量基準で、50質量%以上が好ましく、60〜99.9質量%がより好ましい。縮合系樹脂の含有量が前記範囲内であると、高耐熱性を十分に維持しつつ、一層高い粘着性を得ることができる。但し、縮合系樹脂の含有量は、用途に応じて適宜前記の範囲外とすることもできる。
((II)成分:カーボン粒子)
カーボン粒子(II)は、ホウ素を含有し且つ光を吸収する。このようなカーボン粒子(II)は、エネルギー線(放射エネルギー線)を吸収し、光熱変換する。このようなカーボン粒子(II)の構成材料としては、例えば、特に吸光性の高い炭素からなると共にホウ素を含有しているカーボンブラックが挙げられる。カーボン粒子(II)の構成材料としては、アセチレンガスを原料として用いて得られるカーボンブラック(アセチレンブラック)が、ホウ素を容易に含有させることが可能であるため好適であり、例えば、電気化学工業株式会社製、ホウ素変性アセチレンブラックが挙げられる。
カーボン粒子(II)は、ホウ素を含有し且つ光を吸収する。このようなカーボン粒子(II)は、エネルギー線(放射エネルギー線)を吸収し、光熱変換する。このようなカーボン粒子(II)の構成材料としては、例えば、特に吸光性の高い炭素からなると共にホウ素を含有しているカーボンブラックが挙げられる。カーボン粒子(II)の構成材料としては、アセチレンガスを原料として用いて得られるカーボンブラック(アセチレンブラック)が、ホウ素を容易に含有させることが可能であるため好適であり、例えば、電気化学工業株式会社製、ホウ素変性アセチレンブラックが挙げられる。
また、カーボン粒子(II)の構成材料としては、炭化ホウ素(B4C)も好適であり、例えばデンカボロン(電気化学工業株式会社製、デンカボロン#1200)が挙げられる。炭化ホウ素としては、研磨加工材や焼結体用原料等として市販されている粉末を使用することができる。B4Cを含むカーボン粒子(II)におけるホウ素の含有量は、カーボン粒子(II)の全体を基準として72〜85質量%が好ましく、75〜82質量%がより好ましい。
アセチレンブラックにホウ素を含有させる具体的な方法としては、例えば、特開2000−281933号公報の実施例1〜5に記載の方法が挙げられる。アセチレンブラックを含むカーボン粒子(II)におけるホウ素の含有量は、カーボン粒子(II)の全体を基準として0.3〜2.3質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。
カーボン粒子(II)の平均粒径(D50:体積粒度分布曲線の50%値の粒径)は、使用する粘着剤の厚みにより異なるが、4μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。粒径が4μmを超える場合、粘着剤を形成した際に、粘着剤表面に凸形状ができ表面平坦性が低下することや、その凸形状によって、被着体同士の貼り合わせにおいて空隙無く貼り付けることが難しい場合がある。カーボン粒子(II)の平均粒径の下限は、例えば10nmである。カーボン粒子(II)の平均粒径(D50)は、例えばレーザー回折光散乱法により測定可能であり、例えばベックマン・コールター社製「モデルLS−230」を用いて測定できる。
また、カーボン粒子(II)の含有量は、カーボン粒子(II)の吸光係数(吸光効率)によって異なるが、粘着剤の固形分全量を基準として0.1〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。40質量%を超えると、粘着剤形成時に表面への露出が増加し凸形状となり表面平坦性が低下し、貼り合わせにおいて空隙無く貼り付けることが難しい場合や、エネルギー線を照射した際に粘着剤全体が熱分解し脆弱化し、その結果、その後被着体からピールオフすることが難しい場合がある。0.1質量%未満であると、粘着剤内におけるカーボン粒子(II)の体積含有率が低いため、エネルギー線の光熱変換効率が低下する場合、更には、照射エネルギーが粘着剤を透過し、被着体に達し、ダメージを与える場合がある。
(その他)
本実施形態に係る粘着剤は、密着性を高めるために、発明の目的を損なわない範囲内で、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等の粘着付与剤などを含有してもよい。
本実施形態に係る粘着剤は、密着性を高めるために、発明の目的を損なわない範囲内で、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等の粘着付与剤などを含有してもよい。
<耐熱粘着材及びその形成方法>
本実施形態に係る粘着材(耐熱粘着材)は、支持体と、当該支持体上に設けられた粘着層と、を備え、粘着層が、本実施形態に係る粘着剤を含有している。
本実施形態に係る粘着材(耐熱粘着材)は、支持体と、当該支持体上に設けられた粘着層と、を備え、粘着層が、本実施形態に係る粘着剤を含有している。
耐熱粘着材は、例えば、本実施形態に係る粘着剤、剥離剤及び溶媒等を含む耐熱粘着剤ワニスを調製し、当該耐熱粘着剤ワニスを支持体の一面上に塗布して乾燥させることで粘着層を支持体の前記一面上に形成することにより作製することができる。
また、耐熱粘着材は、例えば、本実施形態に係る粘着剤、剥離剤及び溶媒等を含む耐熱粘着剤ワニスを調製し、当該耐熱粘着剤ワニスを支持体の両面上に塗布して乾燥させることで粘着層を支持体の前記両面に形成することにより両面耐熱粘着材として作製することができる。
更に、耐熱粘着材は、例えば、本実施形態に係る粘着剤、剥離剤及び溶媒等を含む耐熱粘着剤ワニスを離型フィルム等のフィルム上に塗布して乾燥させることにより粘着層を形成し、当該粘着層を支持体上にラミネートして転写することにより作製することができる。
このようなキャスティング法による作製方法は、平坦な粘着層が容易に得られることから好適である。
粘着層の厚さ(例えば乾燥後の厚さ)は、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましい。粘着層の厚さは、前記耐熱粘着剤ワニスにおける耐熱粘着剤の濃度や、耐熱粘着剤ワニスの塗布量によって、適宜調整することができる。
耐熱粘着剤ワニスに用いられる溶媒は、特に制限されないが、粘着剤が良好な溶解性を示すことから、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、グリコールエステル系溶剤等が好ましい。
溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル,3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。前記以外にも、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルスクシイミド、N,N’−ジメチルアセトアミド及びジメチルホルムアミドも用いることができる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合させて用いてもよい。
支持体の構成材料としては、光を透過するものであれば特に制限されないが、200℃以上の温度に対する耐熱性を有する材料を用いることが好ましく、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、トリアセチルセルロース、ポリエーテルイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、アクリル、ポリスチレン及びポリカーボネートから選択される少なくとも一つの有機材料等が挙げられる。また、構成材料として無機材料を含む支持体を用いることもでき、例えば、透過率が高いガラスが好適である。
粘着層は、単層であってもよく、複数層であってもよい。複数層の粘着層は、本実施形態に係る粘着剤を含有する粘着層と、本実施形態に係る粘着剤を含まない粘着層とを有していてもよい。すなわち、カーボン粒子(II)は単一の粘着層に均一に分散させて用いてもよいし、カーボン粒子(II)を用いた粘着剤からなる粘着層と、カーボン粒子(II)を用いない粘着剤からなる粘着層を有する複数層(例えば2層)の粘着層で用いることもできる。複数層で用いた場合、カーボン粒子(II)を含む粘着層内での剥離が優先される。
このような複数層の粘着層の形成方法としては、例えば、一方の粘着剤を含有するワニスを被着体の一面上に塗布して乾燥させることにより第一の粘着層を形成した後、他方の粘着剤を含むワニスを第一の粘着層上に塗布して乾燥させることにより第二の粘着層を形成する方法、一方の粘着剤を含有するワニスを一の被着体の一面上に塗布して得られた第一の粘着層と、他方の粘着剤を含有するワニスを他の被着体の一面上に塗布して得られた第二の粘着層とを互いに貼付ける方法等が挙げられる。
<粘着剤の使用方法及び粘着材の使用方法>
本実施形態に係る粘着剤の使用方法は、本実施形態に係る粘着剤(耐熱粘着剤)を含有する粘着層を介して第一の被着体を第二の被着体に貼付して仮固定することにより積層体を得る貼付工程(仮固定工程)と、粘着層の温度が高温(例えば200℃以上)となる条件下で第一の被着体及び第二の被着体を加熱する加熱工程と、加熱工程を経た第一の被着体から粘着層及び第二の被着体を剥離する剥離工程と、を備える。例えば、第一の被着体は、光を透過する支持体であり、第二の被着体は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する無機/有機材料を含む被着体(例えばシリコンウェハ)である。
本実施形態に係る粘着剤の使用方法は、本実施形態に係る粘着剤(耐熱粘着剤)を含有する粘着層を介して第一の被着体を第二の被着体に貼付して仮固定することにより積層体を得る貼付工程(仮固定工程)と、粘着層の温度が高温(例えば200℃以上)となる条件下で第一の被着体及び第二の被着体を加熱する加熱工程と、加熱工程を経た第一の被着体から粘着層及び第二の被着体を剥離する剥離工程と、を備える。例えば、第一の被着体は、光を透過する支持体であり、第二の被着体は、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する無機/有機材料を含む被着体(例えばシリコンウェハ)である。
無機/有機材料しては、特に制限されないが、200℃以上の温度に対する耐熱性を有する材料を用いることが好ましく、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂;アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びそれらの混合樹脂;アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、ガラス、銅、シリコン及び合金などが挙げられる。これらの材料の中では、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、アルミニウム、マグネシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、ガラス、銅、シリコンが高い耐熱性を示すことからより好ましい。
ところで、従来、粘着剤と支持体又は被着体との接着強度は、支持体や被着体の材質によって変化し、特に、粘着剤とシリコンウェハの組み合わせにおいて、200℃以上の高温処理を施すと、強固に密着しピールオフすることが困難であった。しかし、詳細な理由は不明であるが、鋭意検討した結果、ホウ素を含有するカーボン粒子を用いることで、表面自由エネルギーの変化等により、粘着剤とシリコンウェハの組み合わせにおいても剥離が可能であり、分離後、粘着剤を剥離することもできる。
本実施形態に係る粘着材の使用方法は、本実施形態に係る粘着材の粘着層を被着体に貼付して仮固定することにより積層体を得る貼付工程(仮固定工程)と、粘着層の温度が高温(例えば200℃以上)となる条件下で被着体を加熱する加熱工程と、加熱工程を経た被着体から粘着材を剥離する剥離工程と、を備える。被着体は、例えば、前記無機/有機材料を含む被着体(例えばシリコンウェハ)である。本実施形態に係る粘着材(耐熱粘着材)の粘着層は、高温環境下でも粘着性を維持することができるため、このような貼付工程及び加熱工程を備える用途に用いることができる。
貼付工程では、粘着層が被着体に近い側に配置されるように耐熱粘着材を被着体に貼付する。また、貼付工程では、耐熱粘着材の粘着層と被着体とが接するようにして押圧することで、耐熱粘着材を被着体に貼付することができる。また、両面耐熱粘着材を用いれば、複数の被着体を貼付することができる。この時、複数の被着体は互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
貼付工程では、例えば、耐熱粘着材と被着体とを任意の温度で貼付することができるが、例えば、適切な粘着性の発現と作業効率の観点から、0〜100℃で貼付することが望ましい。
加熱工程では、例えば、耐熱粘着材と被着体が加熱される。加熱の方法及び加熱の目的は特に制限されないが、当該加熱により、粘着層は、200℃以上の温度下に曝される。通常、耐熱性の低い耐熱粘着剤(例えば、アクリル系耐熱粘着剤)をこのような加熱工程に供すると、粘着性が維持されず、浮きや剥がれが生じてしまう。しかし、本実施形態に係る耐熱粘着剤を含有する粘着層によれば、このような加熱工程を経ても粘着性が維持されるため、浮きや剥がれの発生を十分に抑制することができる。
加熱工程においては、加熱した被着体を成形加工してもよい。本実施形態に係る耐熱粘着剤を含有する粘着層は、追従性に優れるため、成形加工によって被着体が変形した場合でも、浮きや剥がれの発生が十分に抑制される。
また、前記の加熱工程が複数回繰り返されてもよく、加熱の方法及び加熱の目的が異なっても、浮きや剥がれの発生が十分に抑制される。
加熱工程後(耐熱粘着剤の使用後)の剥離工程を例示する。剥離工程では、本実施形態に係る剥離方法(耐熱粘着剤の剥離方法)が用いられる。剥離工程では、光を透過する支持体と、粘着剤を介して前記支持体に固定(例えば仮固定)された被着体と、を備える積層体に対し前記支持体側からエネルギー線(放射エネルギー線)を照射して、前記支持体と前記被着体とを分離する。本実施形態では、耐熱粘着剤がカーボン粒子(II)を含有しているので、エネルギー線によって光熱変換することで耐熱粘着剤を熱分解させることができ、支持体と被着体との剥離を容易に行うことができる。
エネルギー線を照射する装置としては、電波領域である極超短波、センチ波、ミリ波、サブミリ波、光領域である赤外線、可視光線、紫外線、更に短い波長のX線が使用可能である。波長としては、1m〜0.1nmに相当する。これらエネルギー線(電磁波)を発生する装置としては、マイクロ波発生装置、半導体レーザー装置、面発光レーザー装置、LED、カーボンアーク灯、水銀ランプ、キセノン水銀ランプ、エキシマレーザー装置、X線照射装置等が挙げられる。このようなエネルギー線を照射する装置としては、半導体レーザー装置が好ましい。エネルギー線として炭酸ガスレーザー、エキシマレーザーを用いることもできるが、半導体レーザーは、一定の出力でエネルギー線を出力するため、エネルギー線の出力ムラが非常に少なく、安定した光熱変換を行うことができ、粘着性を有する縮合系樹脂の熱分解温度に合わせた出力とすることで、効率良く分離させることができる。
エネルギー線を照射する際の粘着剤の温度(例えば、エネルギー線を照射し、光熱変換する際の粘着剤の温度)は、縮合系樹脂の熱分解温度に対して−50℃〜+200℃の範囲が好ましく、−20℃〜+100℃の範囲がより好ましい。−50℃より低いと、粘着性を有する粘着剤が熱分解せず、分離できない場合があり、+200℃より高いと、被着体にかかる温度が高温になりダメージを与える可能性がある。そのため、縮合系樹脂の熱分解温度に合わせてエネルギー線の出力を調整することで、効率よく分離させることが可能である。
分離した支持体及び被着体には、耐熱粘着剤が残っている場合がある。残っている耐熱粘着剤は、それぞれの被着体から耐熱粘着剤をリフトアップして剥離することができる。リフトアップする際の温度は、特に制限はないが、0〜200℃が好ましく、作業の効率上、0〜50℃でリフトアップすることが好ましい。なお、取り除ききれない耐熱粘着剤等は、溶剤で洗浄することもでき、例えば、溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メチルスクシイミド、ジメチルフラン、トルエン、N,N’−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチレンホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。この中でも、被着体へのダメージの観点からメチルエチルケトン、アセトンが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
二塩化イソフタロイル43.75部(モル比)、二塩化テレフタロイル6.25部、ポリプロピレングリコールジアミン(JEFFAMINE(登録商標)D−2000、HUNTSMAN社製)5部、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン45部、及び、トリエチルアミン110部を加え、N−メチルピロリドン中で縮合重合させた。反応終了後、反応混合液に3倍量の水を加えて、不溶成分を分離、乾燥することにより重量平均分子量38500のポリアミド樹脂を得た。当該ポリアミドの熱分解温度は290℃であった。
二塩化イソフタロイル43.75部(モル比)、二塩化テレフタロイル6.25部、ポリプロピレングリコールジアミン(JEFFAMINE(登録商標)D−2000、HUNTSMAN社製)5部、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン45部、及び、トリエチルアミン110部を加え、N−メチルピロリドン中で縮合重合させた。反応終了後、反応混合液に3倍量の水を加えて、不溶成分を分離、乾燥することにより重量平均分子量38500のポリアミド樹脂を得た。当該ポリアミドの熱分解温度は290℃であった。
(合成例2)
二塩化イソフタロイル40部(モル比)、二塩化テレフタロイル10部、ポリプロピレングリコールジアミン(JEFFAMINE(登録商標)D−2000、HUNTSMAN社製)5部、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン45部、及び、トリエチルアミン110部を加え、N−メチルピロリドン中で縮合重合させた。反応終了後、反応混合液に3倍量の水を加えて、不溶成分を分離、乾燥することにより重量平均分子量39000のポリアミド樹脂を得た。当該ポリアミドの熱分解温度は295℃であった。
二塩化イソフタロイル40部(モル比)、二塩化テレフタロイル10部、ポリプロピレングリコールジアミン(JEFFAMINE(登録商標)D−2000、HUNTSMAN社製)5部、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン45部、及び、トリエチルアミン110部を加え、N−メチルピロリドン中で縮合重合させた。反応終了後、反応混合液に3倍量の水を加えて、不溶成分を分離、乾燥することにより重量平均分子量39000のポリアミド樹脂を得た。当該ポリアミドの熱分解温度は295℃であった。
(試料作製)
表1及び表2に示す配合に基づき、合成例1又は2で得られたポリアミド樹脂に、各種カーボン粒子を所定量加え、固形分30質量%となるように溶媒としてN,N’−ジメチルアセトアミドを加え、高速回転機(1200rpm)で5分間攪拌して粘着剤ワニスを得た。
表1及び表2に示す配合に基づき、合成例1又は2で得られたポリアミド樹脂に、各種カーボン粒子を所定量加え、固形分30質量%となるように溶媒としてN,N’−ジメチルアセトアミドを加え、高速回転機(1200rpm)で5分間攪拌して粘着剤ワニスを得た。
なお、表2中、HS−100(電気化学工業株式会社製)及びFX−35(電気化学工業株式会社製)は、ホウ素を含有しないアセチレンブラック粒子であり、H−43M(昭和電工株式会社製)はシリカ粒子である。平均粒径は、ベックマン・コールター社製「モデルLS−230」を用いてレーザー回折光散乱法により測定されたD50である。表1及び表2に示す添加量は、後述する粘着層における固形分を基準とした含有量を示す。
得られた粘着剤ワニスを、厚み25μmのポリイミドフィルムに、乾燥後の粘着層が15cm四方で乾燥後の厚みが25μmとなるようにアプリケータを用いて塗工し、160℃で30分加熱して乾燥させ、粘着材を作製した。次いで、得られた粘着材を、厚さ700μmの10cm×10cmガラス板上に配置し、ロール温度50±5℃、ロール圧0.3MPaのラミネータを0.4m/分の速度で通過させることで貼付けた。
(実施例、比較例)
実施例及び比較例において用いた組成、及び、下記評価の評価結果を表1及び表2に示す。なお、評価方法は以下の通りである。
実施例及び比較例において用いた組成、及び、下記評価の評価結果を表1及び表2に示す。なお、評価方法は以下の通りである。
[フィルム形成能]
ポリイミドフィルム上に形成した粘着材の状態を観察した。粘着材表面が平坦であるものを○、粘着材表面に凹凸形状が見られるものを×と評価した。
ポリイミドフィルム上に形成した粘着材の状態を観察した。粘着材表面が平坦であるものを○、粘着材表面に凹凸形状が見られるものを×と評価した。
[ウェハへの貼り付け性]
ガラスに貼り付けた粘着材をガラス側から目視で観察し、空隙の有無を確認した。空隙率が10%以下のものを○、空隙率が10%より多く30%以下のものを△、空隙率が30%より多いものを×と評価した。なお、空隙率は、目視で大まかな空隙の面積を読み取り、粘着材の面積(10cm×10cm)に対する比率で算出した。
ガラスに貼り付けた粘着材をガラス側から目視で観察し、空隙の有無を確認した。空隙率が10%以下のものを○、空隙率が10%より多く30%以下のものを△、空隙率が30%より多いものを×と評価した。なお、空隙率は、目視で大まかな空隙の面積を読み取り、粘着材の面積(10cm×10cm)に対する比率で算出した。
[耐熱性]
ガラスに貼り付けた粘着材を熱風乾燥炉中にて250℃/30分加熱して、粘着層の外観を観察した。加熱前後で変化がないものを○、膨れや空隙ができたものを×と評価した。
ガラスに貼り付けた粘着材を熱風乾燥炉中にて250℃/30分加熱して、粘着層の外観を観察した。加熱前後で変化がないものを○、膨れや空隙ができたものを×と評価した。
[レーザー剥離性]
耐熱性評価を実施したガラスに貼り付けた粘着材のガラス面側から、エネルギー線を照射し、粘着層における照射部の温度、剥離の可否を測定した。粘着層内で凝集破壊し、ガラスとポリイミドフィルムがほぼ自重で分離できたものを○、分離できなかったものを×と評価した。エネルギー線として半導体レーザー(波長808nm)を用い、レーザー出力90W及びレーザースキャン速度50mm/sに調整した。赤外線温度計を用いてレーザー照射部の温度を測定した。
耐熱性評価を実施したガラスに貼り付けた粘着材のガラス面側から、エネルギー線を照射し、粘着層における照射部の温度、剥離の可否を測定した。粘着層内で凝集破壊し、ガラスとポリイミドフィルムがほぼ自重で分離できたものを○、分離できなかったものを×と評価した。エネルギー線として半導体レーザー(波長808nm)を用い、レーザー出力90W及びレーザースキャン速度50mm/sに調整した。赤外線温度計を用いてレーザー照射部の温度を測定した。
[対ウェハ剥離強度]
レーザー剥離性評価で分離した基板を用い、ウェハ(ガラス)と粘着材間の剥離性を評価した。剥離強度は、幅10mmの粘着材を25℃において90度方向に300mm/minの速度で引張った際の強度を測定した。なお、レーザー剥離性の評価が低い場合には、対ウェハ剥離強度の評価を行わなかった。
レーザー剥離性評価で分離した基板を用い、ウェハ(ガラス)と粘着材間の剥離性を評価した。剥離強度は、幅10mmの粘着材を25℃において90度方向に300mm/minの速度で引張った際の強度を測定した。なお、レーザー剥離性の評価が低い場合には、対ウェハ剥離強度の評価を行わなかった。
(評価結果)
実施例では、フィルム形成能、ウェハへの貼り付け性、耐熱性、レーザー剥離性、ウェハ剥離強度のいずれも良好であり、耐熱性及びレーザー剥離性の結果に優れ、ウェハから粘着材を剥離することも可能であった。一方、比較例では、レーザー剥離性、又は、対ウェハ剥離強度が劣っており、耐熱性と剥離性を両立できないことが確認された。
実施例では、フィルム形成能、ウェハへの貼り付け性、耐熱性、レーザー剥離性、ウェハ剥離強度のいずれも良好であり、耐熱性及びレーザー剥離性の結果に優れ、ウェハから粘着材を剥離することも可能であった。一方、比較例では、レーザー剥離性、又は、対ウェハ剥離強度が劣っており、耐熱性と剥離性を両立できないことが確認された。
以上のように、特定の縮合系樹脂と、ホウ素を含有するカーボン粒子とを組み合わせることによって、優れた耐熱性と剥離性を兼ね備えた耐熱粘着剤、及び、それを用いた剥離方法の提供が可能である。
Claims (9)
- 光を透過する支持体と、粘着剤を介して前記支持体に固定された被着体と、を備える積層体に対し前記支持体側からエネルギー線を照射して、前記支持体と前記被着体とを分離する工程を備え、
前記粘着剤が、縮合系樹脂と、ホウ素を含有するカーボン粒子と、を含み、
前記被着体が、無機材料及び有機材料の少なくとも一方を含有する、剥離方法。 - 前記カーボン粒子が、アセチレンガスを原料として用いて得られるカーボンブラックを含む、請求項1に記載の剥離方法。
- 前記カーボン粒子の含有量が前記粘着剤の固形分全量を基準として0.1〜40質量%である、請求項1又は2に記載の剥離方法。
- 前記カーボン粒子が炭化ホウ素を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離方法。
- 前記カーボン粒子の平均粒径が4μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離方法。
- 前記支持体の構成材料がガラスである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の剥離方法。
- 前記被着体がシリコンウェハである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離方法。
- 前記エネルギー線を照射する装置が半導体レーザー装置である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剥離方法。
- 前記エネルギー線を照射する際の前記粘着剤の温度が、前記縮合系樹脂の熱分解温度に対して−50℃〜+200℃である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の剥離方法。
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